(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
利用者の装身具に配設された近距離通信装置と、前記近距離通信装置と通信して前記利用者との離隔を検出する離隔検出部を備える無線通信装置とを備える無線機検出システムであって、
前記無線通信装置は、
基地局との間の無線通信を行う無線通信部と、
前記離隔が検出されないときに、前記無線通信部を無線送信が行われない状態とする送信停止部と、
前記無線送信が行われていないときに電波を検出する電波検出部と、
所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする判定部と、
を備えることを特徴とする無線機検出システム。
利用者の装身具に配設された近距離通信装置と、前記近距離通信装置と通信して前記利用者との離隔を検出する離隔検出部を備える無線通信装置とを備える無線機検出システムであって、
前記無線通信装置は、
基地局との間の無線通信を行う無線通信部と、
前記基地局に対する無線送信に用いられる自己周波数を、前記無線通信部から取得する周波数取得部と、
前記離隔が検出されないときに、前記自己周波数が除かれた周波数帯における電波を検出する電波検出部と、
所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする判定部と、
を備えることを特徴とする無線機検出システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、警備員には、警備会社、企業内の警備部署等の管理組織から業務用の携帯電話が貸与される。したがって、警備員に貸与された携帯電話の使用履歴を管理組織が調べることで、携帯電話の私的使用を監視することが可能である。しかし、警備員が私的に所持している携帯電話の使用を監視することは、プライバシー侵害等の観点から困難であり、私物の携帯電話について持ち込みを禁止するという運用が採られている。
【0008】
本発明は、このような課題に対してなされたものである。すなわち、警備員が私的に所持する携帯電話等、他の無線機が存在するか否かを判定する機能を備えた無線機通信装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る無線通信装置は、利用者との離隔を検出する離隔検出部と、基地局との間の無線通信を行う無線通信部と、前記離隔が検出されないときに、前記無線通信部を無線送信が行われない状態とする送信停止部と、前記無線送信が行われていないときに電波を検出する電波検出部と、所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする判定部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の無線通信装置は、利用者との離隔を検出する離隔検出部と、基地局との間の無線通信を行う無線通信部と、前記基地局に対する無線送信に用いられる自己周波数を、前記無線通信部から取得する周波数取得部と、前記離隔が検出されないときに、前記自己周波数が除かれた周波数帯における電波を検出する電波検出部と、所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする判定部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る無線通信装置は、望ましくは、前記電波検出部は、検出する電波の周波数を所定の周波数範囲内で変化させる。
【0012】
また、本発明に係る無線通信装置は、望ましくは、前記無線通信装置の位置を検出する位置検出部を備え、前記電波検出部は、検出された位置が所定の領域内の位置であるときに、電波を検出する。
【0013】
さらに、本発明の無線機検出システムは、利用者の装身具に配設された近距離通信装置と、前記近距離通信装置と通信して前記利用者との離隔を検出する離隔検出部を備える無線通信装置とを備える無線機検出システムであって、前記無線通信装置は、基地局との間の無線通信を行う無線通信部と、前記離隔が検出されないときに、前記無線通信部を無線送信が行われない状態とする送信停止部と、前記無線送信が行われていないときに電波を検出する電波検出部と、所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする判定部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の無線機検出システムは、利用者の装身具に配設された近距離通信装置と、前記近距離通信装置と通信して前記利用者との離隔を検出する離隔検出部を備える無線通信装置とを備える無線機検出システムであって、前記無線通信装置は、基地局との間の無線通信を行う無線通信部と、前記基地局に対する無線送信に用いられる自己周波数を、前記無線通信部から取得する周波数取得部と、前記離隔が検出されないときに、前記自己周波数が除かれた周波数帯における電波を検出する電波検出部と、所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする判定部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明のプログラムは、基地局との間の無線通信を行う無線通信装置に読み込まれる、無線機検出プログラムであって、
前記プログラムは、前記無線通信装置が有するコンピュータに、利用者との離隔を検出する処理と、前記離隔が検出されないときに、前記無線通信
装置を無線送信が行われない状態とする処理と、前記無線送信が行われていないときに電波を検出する処理と、所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする処理と、を実行させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のプログラムは、基地局との間の無線通信を行う無線通信装置に読み込まれる、無線機検出プログラムであって、前記プログラムは、前記無線通信装置が有するコンピュータに、利用者との離隔を検出する処理と、前記基地局に対する無線送信に用いられる自己周波数を取得する処理と、前記離隔が検出されないときに、前記自己周波数を除く周波数帯における電波を検出する処理と、所定強度の電波が検出された場合に、他の無線機が存在するとの判定をする処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、他の無線機が存在するか否かを判定する機能と利用者から離間することを監視する機能とを備えて、利用者の手元において、利用者が他の通信装置を使用することを監視可能な通信装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、利用者としての警備員が特定の通信装置として会社所有の無線機検出・携帯電話1の貸与を受けて、これを使用する例について説明する。この無線機検出・携帯電話1は、携帯電話としての機能のほかに、周囲の無線機を検出する機能を有している。
【0020】
図1は、警備員との概略的な関係を示した説明図である。警備員は自己の業務の範囲で必要に応じて無線機検出・携帯電話1を使用する。また、警備員の着衣となる制服にはその一部に発信機としての近距離通信装置51が固定的に配設されている。近距離通信装置51はRFIDタグであり、近傍の無線機検出・携帯電話1からの質問信号を受けて応答信号を返送する。無線機検出・携帯電話1は、この応答信号を受けて、自己が警備員から離間していないことを判定する。こうして、無線機検出・携帯電話1は、警備員の近傍に位置していること、及び周囲に自己以外の無線機が存在しないことを判定する。
【0021】
(第1の実施形態)
図2には本発明の第1実施形態に係る無線機検出・携帯電話1の構成が示されている。この無線機検出・携帯電話1は、警備員によって携行され、職務を遂行する上で使用される。無線機検出・携帯電話1は、同一のケースに収容された無線通信部10および無線機検出部20を備える。無線通信部10は、携帯電話としての機能を有し、携帯電話システムの基地局との間で無線通信を行う。無線機検出部20は、無線機検出・携帯電話1以外の他の無線機を検出する。
【0022】
無線通信部10は、ユーザインターフェース部12、制御部14、無線部16、および送受信アンテナ18を備える。ユーザインターフェース部12は、タッチパネル、ディスプレイ、レシーバ、マイク、スピーカ、イヤホンジャック、バイブレータ、通信コネクタ等を含む。ユーザインターフェース部12においては、無線機検出・携帯電話1を動作させるための操作がユーザである警備員によって行われる。ユーザインターフェース部12は、警備員の操作に応じた操作情報を制御部14に出力する。
【0023】
制御部14は、操作情報に基づいてユーザインターフェース部12および無線部16を制御する。この制御には、発呼、着呼、通話、電子メールの送受信、インターネット上のウェブサイトのブラウジング等の制御が含まれる。
【0024】
この制御に際して、制御部14は、基地局との間で無線部16および送受信アンテナ18を介した通信を行い、携帯電話システムの回線にアクセスする。すなわち、制御部14は、基地局に送信する情報を含むベースバンド帯域の信号を無線部16に出力する。無線部16は、制御部14から出力された信号を無線信号に変換し送受信アンテナ18から基地局に送信する。また、無線部16は、基地局から送信され、送受信アンテナ18で受信された無線信号をベースバンド帯域の信号に変換し、制御部14に出力する。
【0025】
なお、制御部14は、基地局との間の無線通信を行うときには、周波数多元接続方式、時分割多元接続方式、符号多元接続方式等、基地局が属する携帯電話システムの通信方式に応じて無線部16を制御し、無線信号の周波数、無線信号が送受信されるタイムスロット等を設定する。
【0026】
また、無線機検出・携帯電話1は、警備員が職務において用いるものであることから、制御部14は、インターネット上のウェブサイトのブラウジング、特定のアドレスへの電子メールの送信、特定の電話番号に対する通話等を禁止するよう設定されていてもよい。また、あわせて、電源OFFの操作も禁止されていることが好ましい。
【0027】
無線機検出部20は、近距離通信部52、電波検出ユニット22、受信アンテナ24、および受信部26を備える。無線機検出部20は、他の無線機から送信される電波を検出するのに適した状態に無線通信部10を制御し、その上で、他の無線機が送信する電波を検出する。本実施形態においては、他の無線機から送信される電波を検出するのに適した状態とは、無線部16による無線信号の送信が行われない状態をいう。
【0028】
近距離通信部52は、RFIDタグのリーダ部として構成され、定期的に質問信号を発信し、これを受けた近距離通信装置51が送信する応答信号を受信する。近距離通信部52は、対応する警備員の近距離通信装置51に登録された識別情報を予め記憶しており、受信した応答信号に含まれている識別情報と一致すれば、無線機検出・携帯電話1の近傍に警備員が存在すると判定する。かかる判定結果は電波検出ユニット22に出力される。
【0029】
近距離通信部52は、このようにして判定した警備員の存在(近距離通信装置51の存在)について、その識別情報ごとにフラグ管理する。すなわち、或る識別情報の近距離通信装置51について存在が判定されると対応するフラグを成立させ、所定時間のあいだ当該近距離通信装置51から応答信号を受信しなければこの近距離通信装置51が不存在(警備員が不存在)と判定して対応するフラグを非成立にする。そして、近距離通信部52は判定結果を電波検出ユニット22に出力する。このように、近距離通信部52は、無線機検出・携帯電話1が警備員から離隔したことを検出する離隔検出手段として機能している。
【0030】
ここで、警備員側となる近距離通信装置51について説明しておく。近距離通信装置51は、前述したように警備員の制服に固定的に配設されている。近距離通信装置51は、バッテリ(図示せず)から電力供給を受けて起動するアクティブ型のRFIDタグで構成され、無線機検出部20の近距離通信部52と通信する。近距離通信装置51は、予め自己に固有の識別情報を記憶しており、近距離通信部52の質問信号を受信すると識別情報を含む応答信号を送信する。なお、これに限らず識別情報を含む発信信号を所定時間おきに定期的に送信するようにしてもよい。近距離通信装置51の通信距離は、無線機検出・携帯電話1が警備員の身体から離間していないことを判定できる距離とすることが好ましく、例えば、半径2m以下、より好ましくは半径1m以下とする。なお、近距離通信装置51は制服に配設される例に限定されず、IDカードなどの警備員の装身具の一部に固定的に設けられていてもよい。また、近距離通信装置51は、アクティブ型のRFIDタグに限らず、パッシブ型のRFIDタグであってもよいし、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)など近距離無線通信として知られる種々の通信方式に従って無線機検出装置20の近距離通信部52と通信する構成であってよい。
【0031】
電波検出ユニット22は、送信停止部28、電波検出/判定部30、および警告指令部32を備える。電波検出ユニット22は、自らに読み込まれたプログラムに従って動作するプロセッサによって構成してもよい。この場合、プログラムの実行によって、電波検出ユニット22において送信停止部28、電波検出/判定部30、および警告指令部32の各機能が実現される。電波検出ユニット22は、無線通信部10における制御部14に一体化してもよい。
【0032】
送信停止部28は、近距離通信部52が近距離通信装置51の存在を判定している間、所定のインターバル時間ごとに、所定の停止時間だけ制御部14を制御して無線部16を停止状態とする。ここで、無線部16を停止状態とする処理は、無線部16が無線信号を送信しているときに、無線信号の送信を停止させる処理の他、携帯電話としての動作において無線部16が無線信号を送信する必要が生じても、無線信号を送信させない処理を含む。インターバル時間および停止時間は、無線通信部10の携帯電話としての機能が妨げられない程度の時間として定められている。また、所定のインターバル時間ごとに無線部16を停止状態とする他、予め定められたスケジュールに基づき無線部16を停止状態とする制御を実行してもよい。
【0033】
電波検出/判定部30は、上記の停止時間の間、受信アンテナ24および受信部26を介して電波を検出し、検出された電波に基づいて、他の無線機が存在するか否かを判定する。より具体的には、次のような処理を実行する。
【0034】
電波検出/判定部30は、受信部26の受信周波数を設定する。この受信周波数は、あらゆる携帯電話システムにおいて用いられている周波数帯に含まれる周波数とする。これによって、受信部26は、受信周波数における電波を受信アンテナ24を介して受信し検波する。そして、受信された電波に対する検波信号を電波検出ユニット22に出力する。
【0035】
電波検出/判定部30は、検波信号の強度が判定閾値を超えたとき、あるいは判定閾値以上であるときは、他の無線機が存在する旨の判定をする。ここで、判定閾値は、他の無線機が無線機検出・携帯電話1から所定の距離範囲内にある場合に、検波信号の強度が取り得る値に基づいて定められている。この距離範囲は、例えば、半径2m以下、より好ましくは半径1m以下とする。すなわち、警備員から所定の距離範囲外にいる他者が所持する無線機からの電波が検出され難くなるよう、判定閾値が定められている。
【0036】
また、他の無線機が存在するとの判定については、検波信号の強度が判定閾値を超えた時間が所定の判定時間を超えたこと、あるいは、所定の判定時間以上であること、という条件を追加してもよい。これによって、無線機でない電気機器から発せられたノイズによる誤判定が回避される。
【0037】
また、無線機が採用する通信方式によっては、無線機から発せられる電波の強度は変動する。例えば、時間分割多元接続方式を採用する無線機の場合、規定されたタイムスロットにおいてのみ電波が発せられ、短時間内で送信および送信停止が繰り返される。そこで、検波信号の強度についての判定は、検波信号の時間平均値(過去に遡ったある時間内での平均値)、検波信号に対し積分効果のある低域通過フィルタ処理が施された信号等によって行ってもよい。
【0038】
電波検出/判定部30は、受信部26に対して設定する受信周波数を、所定の周波数範囲内で繰り返し変化させ、各受信周波数について、他の無線機が存在するか否かを判定する。この周波数範囲は、例えば、あらゆる携帯電話システムで使用されている周波数範囲とする。
【0039】
警告指令部32は、電波検出/判定部30が他の無線機が存在するとの判定をしたとき、すなわち、他の無線機を検出したときは、制御部14を制御して無線通信部10に無線機検出に係る警告処理を実行させる。この警告処理は、他の無線機が検出された場合に対処するための処理であり、無線機検出・携帯電話1を所持する警備員に注意を促す警告動作や、警備員を遠隔から管理する監視センタへの連絡等がある。
【0040】
警告動作には、例えば、ユーザインターフェース部12のスピーカから警告音を発する処理、ユーザインターフェース部12のバイブレータを動作させる処理、ディスプレイに警告メッセージを表示する処理がある。また、監視センタへの連絡には、例えば、監視センタへの電子メールの送信や、予め設定された手続により異常信号の送信を行う処理がある。警備員が職務を遂行する場所は、夜中の建物内や、巡回用の自動車内等であり、警備員以外に携帯電話等の無線機を使用する者がいないことが多い。警告動作に基づく連絡を受けた監視センタの人員は、警備員の業務スケジュールを確認し、警備員以外の者がいない可能性が高い場合には、警備員に問い合わせる等すればよい。
【0041】
また、警告司令部32は、近距離通信部52が近距離通信装置51の存在を判定しなくなる(警備員が不存在と判定する)と、制御部14を制御して無線通信部10に警備員離間に係る警告処理を実行させる。この警告処理は、無線機検出・携帯電話1が警備員から離間した場合に対処するための処理であり、周囲に報知を行う警告動作や、警備員を遠隔から管理する監視センタへの通報等がある。
【0042】
無線機検出・携帯電話1が警備員から離間する場合には、警備員が意図的に手放す以外にも、警備員が不測の事態に巻き込まれている可能性もある。そこで、このような場合には、異常事態と判定して監視センタに異常通報を行って、監視センタから他の警備員に現場確認などが要請される。なお、無線機検出・携帯電話1が警備員から離間したことを厳密に判断するために、警告司令部32は、近距離通信部52が近距離通信装置51を「存在」と判定していた状態から「不存在」と判定する状態に変化したときに異常事態と判定して、警備員離間に係る警告処理を実行させるようにしてもよい。
【0043】
この他、警告司令部32は、無線機検出・携帯電話1のバッテリ電圧が所定値以下に低下したことを検出して無線通信部10にバッテリ残量低下に係る警告処理を実行させてよい。また、警告司令部32は、警備員による電源OFF操作を検出したときには、これを受け付けることを禁止して、無線通信部10に不正な操作に係る警告処理を実行させてよい。
【0044】
以上に説明した電波検出ユニット22の動作について
図3を用いて説明する。
図3は、電波検出ユニット22の動作を示すフローチャートである。
図3において、まず電波検出ユニット22は、近距離通信部52が警備員の存在を判定していれば(ST1−Yes)、送信停止部28が、所定のタイミングで制御部14を制御して予め設定された停止時間だけ無線部16を停止状態とする(ST2)。
【0045】
電波検出/判定部30は、この停止時間の間に他の無線機が存在するか否かを判定する。まず、電波検出/判定部30は受信部26の受信周波数を設定する(ST3)。受信部26は、受信された電波に対する検波信号を電波検出ユニット22に出力する。電波検出/判定部30は、受信部26が受信検波した検波信号の入力を受けると強度の判定を行う(ST4)。
【0046】
電波検出/判定部30は、検波信号の強度が判定閾値以上でなければ(ST5−No)、探査すべき全ての周波数について処理を繰り返す(ST6−No)。なお、無線部16を停止状態としていた停止時間が終了すると、電波検出/判定部30は処理を終了する。一方、電波検出/判定部30は、受信検波した検波信号の強度が判定閾値以上であれば(ST5−Yes)、他の無線機が存在する旨の判定をする(ST7)。電波検出/判定部30が他の無線機を検出すると、警告指令部32が警告処理を実行する(ST8)。
【0047】
また、ステップST1において、近距離通信部52が警備員の不存在を判定していれば(ST1−No)、警告司令部32は異常事態と判定して(ST9)、警告処理を実行する(ST8)。
【0048】
このような構成および処理によれば、警備員が所持する無線機検出・携帯電話1の無線通信機能が停止しているときに近傍の携帯電話等他の無線機の検出を行う。これによって、警備員が無線機検出・携帯電話1に加えて私的な携帯電話を業務区画で使用している場合にも私的な携帯電話を検出して警備員に対する警告、監視センタへの連絡等が行われる。したがって、警備員が私的に所持している携帯電話の使用を取り締まることが容易となる。また、警備員が私的な携帯電話の探索を逃れるために無線機検出・携帯電話1を故意に手元から離そうとすれば、これを検出して警告処理を行う。また、検波信号の強度に対する判定閾値は、他の無線機までの距離を考慮して定められている。そのため、警備員以外の者が所持する携帯電話等の無線機からの電波は検出され難い。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4には、第2実施形態に係る無線機検出・携帯電話2の構成が示されている。無線機検出・携帯電話2は、無線通信部10が無線送信に用いる周波数以外の周波数の電波を検出することで、他の無線機を検出するものである。
図1に示される無線機検出・携帯電話1の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
第2実施形態に係る電波検出ユニット23は、第1実施形態に係る電波検出ユニット22における送信停止部28を周波数取得部34に置き換えたものである。すなわち、電波検出ユニット23は、周波数取得部34、電波検出/判定部30、および警告指令部32を備える。電波検出ユニット23は、自らに読み込まれたプログラムに従って動作するプロセッサによって構成してもよい。この場合、プログラムの実行によって各構成部の各機能が実現される。
【0051】
周波数取得部34は、無線通信部10が基地局に対する無線送信に用いる周波数、すなわち自己周波数を示す情報を、制御部14から取得する。
【0052】
電波検出/判定部30は、自己周波数を除く周波数帯において、受信アンテナ24および受信部26を介して電波を検出し、検出された電波に基づいて、他の無線機が存在するか否かを判定する。より具体的には、次のような処理を実行する。
【0053】
電波検出/判定部30は、受信部26の受信周波数を設定する。この受信周波数は、例えば、あらゆる携帯電話システムにおいて用いられている周波数帯に含まれる周波数のうち、自己周波数を除いた周波数とする。これによって、受信部26は、受信周波数の電波を受信アンテナ24を介して受信し検波する。そして、受信された電波に対する検波信号を電波検出ユニット23に出力する。
【0054】
電波検出/判定部30は、検波信号に基づいて他の無線機が存在するか否かを判定する。この際、電波検出/判定部30は、受信部26に対して設定する受信周波数を、自己周波数を除く所定の周波数範囲内で繰り返し変化させ、各受信周波数について、他の無線機が存在するか否かを判定する。警告指令部32は、電波検出/判定部30が他の無線機が存在するとの判定をしたとき、すなわち、他の無線機を検出したときは、制御部14を制御して無線通信部10に警告処理を実行させる。
【0055】
かかる第2の実施形態における電波検出ユニット23の動作について
図5を用いて説明する。
図5は、電波検出ユニット23の動作を示すフローチャートである。
図5において、まず電波検出ユニット23は、近距離通信部52が警備員の存在を判定していれば(ST11−Yes)、周波数取得部34は、無線通信部10より自己周波数を取得する(ST12)。
【0056】
電波検出/判定部30は、得られた自己周波数を除く周波数帯において受信周波数を設定し、受信アンテナ24および受信部26を介して電波を検出する。まず、電波検出/判定部30は受信部26の自己周波数を除く周波数帯から受信周波数を設定する(ST13)。受信部26は、受信された電波に対する検波信号を電波検出ユニット22に出力する。電波検出/判定部30は、受信部26が受信検波した検波信号の入力を受けると強度の判定を行う(ST14)。
【0057】
電波検出/判定部30は、検波信号の強度が判定閾値以上でなければ(ST15−No)、自己周波数を除く範囲で探査すべき全ての周波数について処理を繰り返す(ST16−No)。一方、電波検出/判定部30は、受信検波した検波信号の強度が判定閾値以上であれば(ST15−Yes)、他の無線機が存在する旨の判定をする(ST17)。電波検出/判定部30が他の無線機を検出すると、警告指令部32が警告処理を実行する(ST18)。
【0058】
また、ステップST11において、近距離通信部52が警備員の不存在を判定していれば(ST11−No)、警告司令部32は異常事態と判定して(ST19)、警告処理を実行する(ST18)。
【0059】
このような第2実施形態に係る無線機検出・携帯電話2においては、無線機検出・携帯電話2が無線通信を行う自己周波数以外の周波数帯において無線機の検出を行う。これによって、警備員が無線機検出・携帯電話2に加えて私的な携帯電話を業務区画内で使用している場合にも私的な携帯電話を検出して警備員に対する警告、監視センタへの連絡等が行われる。したがって、警備員が私的に所持している携帯電話の使用を取り締まることが容易となる。また、他の無線機を検出する際に、無線通信部10による無線信号の送信を停止しなくてもよい。これによって、他の無線機を検出する際の制御が簡単となる。
また、本実施形態においても、警備員が私的な携帯電話の探索を逃れるために無線機検出・携帯電話1を故意に手元から離そうとすれば、これを検出して警告処理を行うことが可能となる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、電波検出ユニット22(23)は、無線機検出・携帯電話1(2)が予め設定された所定の位置範囲内にある場合に、他の無線機を検出する処理を行うようにしてもよい。この場合、無線通信部10がGPS測位手段などの現在位置取得手段を有し、電波検出ユニット22(23)は現在位置が予め設定された位置範囲内(例えば利用者である警備員が職務を遂行する場所など)であるかを判定する位置検出部を備える。そして、予め設定された位置範囲であるときに、送信停止部28(又は周波数取得部34)と電波検出/判定部30とに、他の無線機を検出する処理(ST2またはST12)を実行させる。
このような構成および処理によれば、無線機検出・携帯電話3が、検出領域内にあるときには、他の無線機の検出が行われ、検出領域外にあるときには、他の無線機の検出は行われない。
【0062】
また、近距離通信部52を、警備員が利用する業務用の自動車内、警備場所等、他の無線機を検出すべき場所に設けられている第2の近距離通信装置と近距離通信により通信可能として、近距離通信部52が第2の近距離通信装置と通信可能である場合、又は第2の近距離通信装置より定期的に送信される指令信号を近距離通信部52が受信したときに、電波検出ユニット22(23)は、他の無線機を検出する処理(ST2またはST12)を行うようにしてもよい。この場合、電波検出ユニット22(23)は、第2の近距離通信装置と通信可能であることにより無線機検出・携帯電話1が他の無線機を検出すべき場所に位置していると判定する位置検出部を備える。そして、そのような位置にあると判定しているときに、送信停止部28(又は周波数取得部34)と電波検出/判定部30とに、他の無線機を検出する処理(ST2またはST12)を実行させる。
このような構成および処理によれば、無線機検出・携帯電話1(2)が、第2の近距離通信装置と通信することができる領域にある場合には、他の無線機の検出が行われる。他方、無線機検出・携帯電話5が、指令信号を受信することができない領域にある場合には、他の無線機の検出は行われない。
【0063】
また、無線機検出・携帯電話1(2)が、遠隔の監視センタから指令信号を受信したときに、電波検出ユニット22(23)は、他の無線機を検出する処理(ST2またはST12)を行うようにしてもよい。
【0064】
また、各実施形態としては、受信アンテナ24および受信部26によって、他の無線機からの電波を受信する構成について説明した。このような構成の他、受信アンテナ24および受信部26を用いずに、無線通信部10の送受信アンテナ18および無線部16によって他の無線機からの電波を受信する構成としてもよい。
【0065】
さらに、各実施形態については、無線機として携帯電話を検出する例を取り上げた。検出対象の無線機は、携帯電話の他、WiFi(登録商標)機器、WiMAX(登録商標)機器、トランシーバ等であってもよい。この場合、電波検出/判定部30は、受信部26に対して設定する受信周波数を、これらの無線機で用いられる周波数帯の周波数とする。