(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の感圧接着層は、少なくとも2種の、粒子(A)及び粒子(B)を含む。
粒子(A)は、JIS K 5101 13−1に準拠した方法で測定されるジブチルフタレート(DBP)吸油量が180〜280mL/100gであり、好ましくは200〜250mL/100gである。DBP吸油量が前記下限値未満の粒子では、圧着時に感圧接着層から染み出したインクにより、対向面が汚れる(以下「染み出し汚れ」と呼ぶ)のを防ぐことが困難である。一方、DBP吸油量が前記上限値を超える粒子を用いた場合には、感圧接着層から粒子状の塊が部分的に脱落して、圧着対向面へ転写されて対向面が汚れる場合がある(以下「脱落汚れ」と呼ぶ)。粒子(A)としては、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、珪藻土、シリカが挙げられる。これらのうち、シリカから成る粒子が好ましい。
【0011】
粒子(A)の粒径には特に制限は無いが、好ましくは1〜15μmであり、より好ましくは2〜10μmであり、最も好ましくは4〜7μmである。本発明において、該粒径は平均粒径(d
50)のことであり、以下、単に「粒径」という。粒径は、例えばJIS Z 8825−1:2001「粒子径解析―レーザー回折法」に準拠して、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。
【0012】
粒子(A)の配合量は、感圧接着層の重量の10〜50重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましい。粒子(A)の配合量が前記下限値未満であると、染み出し汚れが起こる場合がある。一方、粒子(A)の配合量が前記上限値を超えると、画像濃度が下がる場合がある。
【0013】
上記粒子(A)と組合せて使用される粒子(B)は、粒子(A)の粒径より小さい粒径、及び粒子(A)の真比重より1.0g/cm
3以上大きい真比重を有する。粒子(B)の粒径は、粒子(A)の粒径より小さければよいが、好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜1.0μmである。
【0014】
粒子(B)の真比重は、粒子(A)の真比重より1.0g/cm
3以上大きい。粒子(A)が上述の無水ケイ酸等である場合、その真比重は約1.5〜約2.5であるので、粒子(B)の真比重は2.5g/cm
3以上であり、好ましくは5.0g/cm
3以上である。真比重の上限については特に制限は無いが、実際上、約12g/cm
3である。真比重は、例えば、JIS M 8717に準じる気体容積法により測定することができる。
【0015】
粒子(B)は、感圧接着層中の他の成分、非水系インク及び基紙に対して不活性、即ち、化学反応等による影響を何ら及ぼさない物質であれば、任意の物質から構成されていてよく、無機物質、無機物質と有機物質との複合素材等から構成されてよい。無機物質としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及び硫酸バリウムが挙げられ、有機物質との複合素材としては、上記無機物質上に例えばシリコーン等のコーティングを備えるものが挙げられる。これらのうち、酸化亜鉛及び酸化チタンから成る粒子が好ましい。
【0016】
粒子(B)の配合量は、感圧接着層の重量の5〜30重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。粒子(B)の配合量が、前記範囲外であると、十分な染み出し汚れ防止効果を得られない場合がある。
【0017】
粒子(A)/粒子(B)の重量比は、両者間の粒径及び真比重の差にも依存するが、1/1〜3/1であることが好ましく、より好ましくは、1/1〜2/1である。
【0018】
このように粒径及び真比重の異なる、少なくとも2種類の粒子を組合せて使用することで、印刷画像濃度の向上、染み出し汚れの低減、印刷後の剥離強度の増加抑制等の効果を達成することができる。この理由としては、但し、本発明を制限する趣旨ではないが、小さくて重い粒子(B)が粒子(A)の隙間を埋めて存在し、感圧接着層の細孔径、特に基紙側の細孔径を小さくすることで、感圧接着性記録紙の圧着時のインクや粘着性ポリマーの染み出しを防止するためであると考えられる。
【0019】
本発明において、粘着性ポリマー、即ち、加圧により剥離可能に接着するポリマー、としては、天然ゴム、変性天然ゴム、例えば種々の薬剤で加硫された天然ゴム、ポリメチルメタクリレートがグラフトされた天然ゴム、酸性変性天然ゴム、解重合変性された天然ゴム等、及び合成ゴム、例えばブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−2−クロルエチルビニルエーテル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、剥離強度の点から、天然ゴムもしくは変性天然ゴムが好ましく、より好ましくは天然ゴムである。なお、感圧接着層を調製する際には、該粘着性ポリマーはラテックスの形態で、感圧接着層調製用の組成物に配合することが好ましい。
【0020】
粘着性ポリマーの配合量(不揮発分)は、感圧接着層の重量の20〜50重量%であることが好ましく、30〜40重量%であることがより好ましい。該粘着性ポリマーの配合量が前記下限値未満であると、十分な剥離強度を得ることが難しく、該配合量が前記上限値を超えると、剥離強度が強くなり過ぎ、剥離時に感圧接着層や基紙が破損して情報が読み取れなくなる場合がある。
【0021】
本発明において、ポリビニルアルコールとしては、けん化度80モル%以上のものが好ましく、より好ましくは96〜100モル%のものが用いられる。けん化度が高いほど分子中の親水性が高いため、非水系インクが紙内部に浸透することを抑制すると共に、感圧接着層を構成する他の成分同士及び該接着層と基材とのバインダーとして機能して、感圧接着性記録紙の剥離時に、該接着層の基材からの脱落を防止すると考えられる。
【0022】
好ましくは、感圧接着層の皮膜強度の観点からポリビニルアルコールの重合度1700以上のものが使用される。重合度が1700より小さいポリビニルアルコールでは、満足の行く画像濃度が得られない場合があり、また、剥離時の脱落汚れや染み出し汚れの抑制についても、満足の行く結果が得られない場合がある。一方、重合度が高すぎると、感圧接着層調製用の組成物の粘性が高くなり、スムーズな塗工を行うことが難しくなる。従って、ポリビニルアルコールの重合度は6000以下であることが好ましい。
【0023】
ポリビニルアルコールの配合量は、感圧接着層の重量に対して2〜20重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。配合量が前記下限値未満の場合、画像濃度が低くなり、感圧接着層の硬さが不足し、非水系インクで印刷した場合の剥離強度の増加や、転写汚れが十分に抑制されない場合がある。配合量が前記上限値を超える場合、感圧接着層を調製するための塗工液の粘度が高くなり、塗工が困難になり、感圧接着層の皮膜が硬くなり過ぎる場合がある。なお、感圧接着層を調製する際には、ポリビニルアルコールを水溶液の形態で、感圧接着層調製用の組成物に配合することが好ましい。
【0024】
上記各成分に加えて、感圧接着層は、穀物でんぷん、変性でんぷん等を含有することが好ましい。でんぷんを配合することによって、剥離強度の微調整が可能になると同時に、剥離時の感圧接着層や基紙の破損を防ぐ効果が高まる。でんぷんの粒径は1〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。でんぷんの配合量は、感圧接着層の重量の50重量%以下であることが好ましく、15〜25重量%であることがより好ましい。でんぷんの含有量が前記上限値よりも多いと、剥離強度が弱くなり、郵送中等に自然剥離する恐れがある。
【0025】
その他、感圧接着層には、粒子分散剤、流動性改良剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防腐剤等の慣用の添加剤を、本発明の目的を阻害しない量で配合してよい。例えば、粒子分散剤としては、高分子分散剤や界面活性剤に代表される公知の分散剤を使用することが好ましい。
【0026】
高分子分散剤としては、たとえば市販品として、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、ジョンソンポリマー株式会社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドンK−30、K−90等が挙げられる。
界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製デモールシリーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T−45、EP)などのアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0027】
本発明において、基紙は特にその構成成分、抄紙方法、配合割合、厚さ等が限定されるものではなく、例えば普通紙、コート紙、アート紙などを使用することができる。これらの中でも普通紙を用いることが好ましい。
【0028】
本発明の感圧接着性記録紙は、粒子(A)、粒子(B)、ポリビニルアルコールの水溶液、所望によりでんぷん、さらに分散剤を混合し、得られた水性混合物を粘着性ポリマーのラテックスと混合して感圧接着層形成用の組成物を調製し、該組成物を基紙に塗工し、次いで、乾燥することによって作ることができる。感圧接着層形成用組成物は、全成分を一括してミキサー等に投入して調製してもよく、各成分を分割して分散及び溶解させたものを混合することで調製してもよい。塗工方法としては、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター等、いずれの方法であってもよい。塗工後の乾燥方式も、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0029】
得られる感圧接着層は、該感圧接着層同士を接着した際に、その剥離強度が40gf/25mm以上100gf/25mm未満であることが好ましい。剥離強度が前記下限値未満では、郵送中に剥離してしまう恐れがあり、前記上限値以上では、受信者が手で剥離することが困難となる。
【0030】
本発明の感圧接着性記録紙は、非水系インクの印刷に適する。該非水系インクは、通常、顔料、分散剤、及び有機溶剤を含む。顔料は任意のものであってよく、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0031】
顔料の平均粒径は、分散性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
【0032】
インク中の顔料の含有量は、通常、0.01〜20重量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から1〜15重量%であることが好ましく、5〜10重量%であることが一層好ましい。
【0033】
顔料分散剤としては種々の物を使用することができ、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
【0034】
これらのうち、高分子系分散剤が好ましく、例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる:ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、11200(ポリアミド系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、22000、24000、及び28000(いずれも日本ルーブリゾール株式会社製);エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、及び4055(変性ポリウレタン)(いずれもEfka CHEMICALS社製);デモールP、EP、ポイズ520、521、530、及びホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)(いずれも花王株式会社製);ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)(いずれも楠本化成株式会社製);ディスコール202、206、OA−202、及びOA−600(多鎖型高分子非イオン系)(いずれも第一工業製薬株式会社製);ANTARON V216(ビニルピロリドン−ヘキサデセンコポリマー)(アイエスピー・ジャパン株式会社製)。なかでも、ポリアミド系及びビニルピロリドン−ヘキサデセンコポリマーがより好ましい。
【0035】
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分にインク中に分散可能な量であればよく、通常、顔料に対する重量比で、分散剤の不揮発分が0.1から2程度、好ましくは、0.3〜1.0程度である。
【0036】
有機溶剤としては、非極性有機溶剤、極性有機溶剤又はこれらの混合物を使用することができる。非極性有機溶剤の例としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系の溶剤が挙げられる。例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる。テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、アイソゾール300、アイソゾール400、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、及びAFソルベント7号(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、Exxol(エクソール)D40、ExxolD80、ExxolD100、ExxolD130、及びExxolD140(いずれもエクソン・モービル社製)。芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(アルキルベンゼン、いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ200(エクソン・モービル社製)等が挙げられる。
【0037】
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤を用いることができる。エステル系溶剤としては、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル;アルコール系溶剤としてはイソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール;高級脂肪酸系溶剤としてはイソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸;エーテル系溶剤としてはジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルが挙げられる。
【0038】
上記各成分に加えて、該インクは、本発明の目的を阻害しない範囲で、慣用の添加剤を含んでよい。該添加剤としては、酸化防止剤、例えばジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びノルジヒドログアヤレチック酸等、が挙げられる。
【0039】
インクジェットプリンターは、ピエゾ方式、又はサーマル方式のいずれのものであってもよく、好ましくは、ピエゾ式のものが使用される。また、圧着葉書等の作成に使用されるシーラー等の装置は任意のものであってよい。
【0040】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜11>
表1に示す処方(不揮発分、重量%)に従い、以下の方法で感圧接着性記録紙を形成した。まず、粒子(A)と分散剤(デモールEP、花王株式会社製)の水性分散液を、超音波分散機を用いて調製した。次に、粒子(B)も同様の方法で分散液を調製し、粒子(A)の分散液、粒子(B)の分散液、ポリビニルアルコールの水溶液、及び実施例1〜10においてはでんぷん(和光純薬株式会社製「小麦でんぷん」)を混合した水性混合物と、天然ゴムラテックス(サイデン化学株式会社製「サイビノールE」)とを混合して、感圧接着層形成用の組成物を調製した。該組成物を、210mm×297mmの普通紙(理想科学工業株式会社製「理想用紙IJ」、坪量:85g/m
2)上の片面全面にバーコーターを用いて、乾燥重量5〜6g/m
2となるように塗工した。得られた塗工層を、120℃のオーブン中で2分間乾燥した後、さらに23℃、相対湿度50%環境下で24時間乾燥させた。
【0041】
<比較例1〜6>
粒子(B)を配合しないこと(比較例1)、粒子(A)を配合しないこと(比較例2)、粒子(A)に代えて他の粒子を配合したこと(比較例3)、粒子(B)に代えて他の粒子を配合したこと(比較例4〜6)を除き、実施例と同様にして感圧接着性記録紙を形成した。
【0042】
表1に示す、各成分の詳細は以下のとおりである。
<粒子>
ミズカシル P-803:シリカ、DBP吸油量240(mL/100g)、真比重2.15(g/cm
3)、粒子径5.0μm、水澤化学工業株式会社製
ミズカシル P-78A:シリカ、DBP吸油量250(mL/100g)、真比重2.15(g/cm
3)、粒子径6.0μm、水澤化学工業株式会社製
ミズカシル P-801:シリカ、DBP吸油量200(mL/100g)、真比重2.15(g/cm
3)、粒子径6.0μm、水澤化学工業株式会社製
酸化亜鉛1種:DBP吸油量10〜15(mL/100g)、真比重5.78(g/cm
3)、粒子径0.9μm、ハクスイテック株式会社製
SUPER F-1:酸化亜鉛、DBP吸油量20(mL/100g)、真比重5.78(g/cm
3)、粒子径0.1μm、ハクスイテック株式会社製
A-190:酸化チタン、DBP吸油量19〜21(mL/100g)、真比重3.98(g/cm
3)、粒子径0.15μm、堺化学工業株式会社製
A-160:酸化チタン、DBP吸油量19〜21(mL/100g)、真比重3.98(g/cm
3)、粒子径0.60μm、堺化学工業株式会社製
<比較用粒子>
CARPLEX FPS-101M:シリカ、DBP吸油量155(mL/100g)、真比重2.15(g/cm
3)、粒子径7.4μm、エボニック・デグザ株式会社製
Brilliant-15:炭酸カルシウム、DBP吸油量11.4(mL/100g)、真比重2.72(g/cm
3)、粒子径0.15μm、白石工業株式会社製
MP-1451:アクリル粒子、DBP吸油量20〜50(mL/100g)、真比重1.20(g/cm
3)、粒子径0.15μm、綜研化学株式会社製
MP-2200:アクリル粒子、DBP吸油量20〜50(mL/100g)、真比重1.20(g/cm
3)、粒子径0.36μm、綜研化学株式会社製
<ポリビニルアルコール>
PVA RS4104 けん化度98.5モル%、重合度400、株式会社クラレ製
PVA GH-17 けん化度87.8モル%、重合度1700、日本合成化学株式会社製
PVA VF-17 けん化度98.5モル%、重合度1700、日本酢ビ・ポバール株式会社製
PVA N-300 けん化度98.5モル%、重合度3000、日本合成化学株式会社製
【0043】
得られた感圧接着性記録紙を、以下の方法で評価した。
<画像濃度>
インクジェットプリンター オルフィスX9050(理想科学工業株式会社製)に非水系顔料インク(「RISO XインクF ブラック<K>」(理想科学工業株式会社製))を装着して、感圧接着性記録紙の感圧接着層の上に、解像度300x300dpi及びインク量18pLで、2cmx2cmの黒ベタ画像を印刷した。印刷してから24時間後、メールシーラー(PRESSLE multi II:トッパンフォームズ社製)を用いて、感圧接着性記録紙を塗工面を内側にして、画像部分が非画像部分に対向するように折り畳み、ロールギャップ16で加圧接着させ、室温で24時間放置した。その後、手で接着部を剥離して、印刷面のO.D.値をX−Rite社製i1i0(アイワン・アイオー)を用いて測定し、下表の基準で評価した。
◎:O.D.(0.80以上)
〇:O.D.(0.70以上0.80未満)
△:O.D.(0.50以上0.70未満)
×:O.D.(0.50未満)
【0044】
<脱落汚れ>
インクジェットプリンター オルフィスX9050(理想科学工業株式会社製)に非水系顔料インク(「RISO XインクF ブラック<K>」(理想科学工業株式会社製))を装着して、感圧接着性記録紙の感圧接着層の上に、解像度300x300dpi及びインク量18pLで、2cmx2cmの黒ベタ画像を印刷した。印刷してから24時間後、メールシーラー(PRESSLE multi II:トッパンフォームズ社製)を用いてロールギャップ16で加圧接着させ、室温で24時間放置した。その後、剥離し、印刷部分の粒子の脱落の度合いを目視で確認した。
◎:粒子の脱落が全く発生しなかった
〇:粒子の脱落が少し発生した
△:粒子の脱落が発生したが、目立たない
×:粒子のほとんどが脱落して転写した
【0045】
<染み出し汚れ>
脱落汚れを確認後、印刷部分から染み出して対抗面に転写したインク量をO.D.値で評価した。O.D.値は、X−Rite社製i1i0(アイワン・アイオー)を用いて測定した。
◎:O.D.(0.08未満)
〇:O.D.(0.08以上0.10未満)
×:O.D.(0.10以上)
【0046】
<印刷前の剥離強度>
感圧接着性記録紙を幅25mm、長さ100mmに裁断し、感圧接着層同士が向かい合うように2つ折りにし、メールシーラー(PRESSLE multi II:トッパンフォームズ社製)を用いてロールギャップ16で加圧接着させた。圧着後、室温で24時間放置後、T型剥離試験(JISK6854)を行い、剥離強度を測定して、以下の基準で評価した。
○:剥離強度 40gf/25mm以上100gf/25mm未満
×:剥離強度 40gf/25mm未満もしくは100gf/25mm以上
【0047】
<印刷後の剥離強度>
インクジェットプリンター オルフィスX9050(理想科学工業株式会社製)に非水系顔料インク(「RISO XインクF ブラック<K>」(理想科学工業株式会社製))を装着して、感圧接着性記録紙の感圧接着層の上に、解像度300x300dpi及びインク量18pLで、2cmx2cmの黒ベタ画像を印刷した。印刷してから24時間後、印刷物を幅25mm、長さ100mmに裁断し、感圧接着層が向かい合うように2つ折りにし、メールシーラー(PRESSLE multi II:トッパンフォームズ社製)を用いてロールギャップ16で加圧接着させた。圧着後、室温で24時間放置後、T型剥離試験(JISK6854)を行い、測定値を評価した。
○:剥離強度 40gf/25mm以上100gf/25mm未満
×:剥離強度 40gf/25mm未満もしくは100gf/25mm以上
【0049】
表1から分かるように、粒子(B)を欠く比較例1、粒子(A)を欠く比較例2、粒子(A)の要件を欠く粒子を含む比較例3、粒子(B)の要件を欠く粒子を含む比較例4〜6では、いずれも画像濃度が低く、転写汚れが認められた。これに対して、実施例では転写汚れが無く、特に高いケン化度もしくは重合度を有するポリビニルアルコールを含む場合には、高い画像濃度が得られた。