(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステータは、一定の厚みの絶縁材によって形成され、前記突出部の外周を被覆し、前記突出部と前記コイルとを絶縁する第三絶縁部を備える、請求項7に記載の回転機。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0018】
<回転機>
回転機10は、例えば、モータ又は発電機である。モータ又は発電機のような回転機10は、各種の製品に搭載される。例えば、回転機10は、電動車両に搭載される。電動車両としては、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)、電動自転車、電動車椅子、電動カート又は電動配膳車が例示される。回転機10がモータである場合、回転機10は、例えば、電動車両を移動させるための動力源として利用される。回転機10は、
図1に示すように、ロータ30と、ステータ40を備える。
【0019】
ロータ30は、ロータコア32と、複数の永久磁石34と、シャフト36を備える。ロータコア32は、例えば、プレス機によって電磁鋼板を打ち抜きつつ積層して形成される。ロータコア32には、複数の永久磁石34をそれぞれ収納するための空間と、シャフト36を固定するための貫通孔が形成される。このような空間及び貫通孔は、電磁鋼板が積層された方向に延在する。永久磁石34は、前述した空間に収納された状態で、ロータコア32の内部に設けられる。回転機10がモータである場合、このようなロータ30を備えるモータは、IPM(Interior Permanent Magnet)モータと称される。ロータ30の極数は、要求される性能等の諸条件を考慮し、適宜設定される。
【0020】
シャフト36は、ロータコア32の中心部に形成された貫通孔に固定される。シャフト36には、ロータコア32の両側に軸受(不図示)が取り付けられる。軸受は、ステータ40に設けられた支持部(不図示)に支持される。シャフト36は回転軸となり、ロータ30は、シャフト36を回転中心として回転する。ロータ30は、既に実用化されたモータ又は発電機が備えるロータと同様である。従って、ロータ30に関するこの他の説明は、省略する。本実施形態では、ロータ30が回転する方向(「回転方向」という。
図1でシャフト36の近傍に示す「矢印」参照)に対応した方向を「周方向」という。周方向は、回転軸となるシャフト36を中心とし、回転方向及びこれとは反対の方向の両方向を含む概念である。回転機10において、回転軸となるシャフト36を中心とする放射方向を「径方向」という。
【0021】
ステータ40は、ステータコア42と、複数の基端側コイル51と、複数の対向側コイル52と、第三絶縁部78(
図1では不図示
図4(A)、
図6及び
図7参照)と、第二絶縁部80と、第一絶縁部90(
図1では不図示
図6、
図7、
図10(A),(B)参照)を備える。ステータコア42は、
図2に示すように、ヨーク部44と、複数のティース部46を備える。
図2に示す例では、ステータコア42は、18個のティース部46を備える。18個のティース部46は、ヨーク部44からロータ30(シャフト36)の側に突出する。ティース部46が突出する方向は、径方向に一致する。ステータコア42は、
図2に示すように、複数のステータコアセグメント(以下、「セグメント」という)48を環状に配置して形成される。
【0022】
セグメント48は、
図2及び
図3に示すように、ヨーク部分45と、ティース部46を備える。ヨーク部分45は、プレス機によって電磁鋼板を、
図2及び
図3に示すような形状に打ち抜きつつ積層して形成される。ヨーク部分45には、径方向の内側の側面に係合溝455が形成される。ヨーク部分45の周方向の一方側には凹部451が形成される。ヨーク部分45の周方向の他方側には凸部453が形成される。
【0023】
ティース部46は、ヨーク部分45と同様、プレス機によって電磁鋼板を、
図2及び
図3に示すような形状に打ち抜きつつ積層して形成される。ティース部46には、径方向の外側の側面に、係合溝455に対応した形状の係合突起461が形成される。係合溝455及び係合突起461は、積層方向に延在する。積層方向は、セグメント48(ステータコア42)で電磁鋼板が積層された方向である。ロータコア32で電磁鋼板が積層された方向は、積層方向に一致する。セグメント48(ステータコア42)において、電磁鋼板の板厚及び積層枚数は、諸条件を考慮し、適宜設定される(ロータコア32において同じ)。ヨーク部分45及びティース部46は、同一の電磁鋼板によって形成され、板厚及び積層枚数は同一とされる。
【0024】
ティース部46は、突出部463と、対向部467を備え、これらが一体をなして形成される。突出部463は、ヨーク部44から径方向をロータ30の側に突出した状態で設けられるティース部46において、突出する部分を形成する。突出部463は、4個の切欠部465を備える。切欠部465は、積層方向の両側において、突出部463の周方向の両側の部分にそれぞれ形成される(
図3及び
図4(A)参照)。切欠部465は、前述した部分が積層方向に切り欠かれた状態で形成される。切欠部465が形成された突出部463には、基端側コイル51と対向側コイル52が設けられる。対向部467は、突出部463と一体をなし、ロータ30に対向する面を含む。
【0025】
本実施形態では、ステータコア42の第一端面421(
図1、
図6及び
図7参照)の側となる積層方向の一方側を「第一端面側」といい、ステータコア42の第二端面422(
図6及び
図7参照)の側となる積層方向の他方側を「第二端面側」という。第二端面422は、積層方向において第一端面421の反対側となるステータコア42の端面である。ステータコア42の第一端面421は、セグメント48(ヨーク部分45及びティース部46)における積層方向の一方側の端面によって形成される。ステータコア42の第二端面422は、セグメント48(ヨーク部分45及びティース部46)における積層方向の他方側の端面によって形成される。
【0026】
セグメント48は、互いに別体のヨーク部分45とティース部46を組み立て、一体として形成される。具体的に、セグメント48は、係合溝455に係合突起461を嵌め合わせて形成される(
図3上段参照)。係合溝455に係合突起461を嵌め合わせた状態(
図3下段参照)において、ヨーク部分45とティース部46が径方向に離間するような移動は、規制される。係合溝455及び係合突起461の形状は、例えば、
図3上段等に示すような、台形状とされる。但し、係合溝455及び係合突起461の形状は、前述したような径方向への移動を規制することが可能な形状であればよく、台形状とは異なる形状であってもよい。圧入された状態とするようにしてもよい。
【0027】
ステータコア42は、
図2に示すように、隣り合うセグメント48のヨーク部分45にそれぞれ形成された凹部451に凸部453を嵌め合わせて、環状に形成される。本実施形態では、ステータコア42は、18個のセグメント48を環状に配置して形成される(
図2参照)。1個のセグメント48におけるティース部46の数は1個であるため、ステータコア42には、18個のスロット部47が形成される。スロット部47は、隣り合うティース部46の間に形成された空間である。ステータ40のスロット数は、要求される性能等の諸条件を考慮し、適宜設定される。分割された複数のセグメント48によってステータコア42を形成する技術は、公知の技術であり、本実施形態においても、公知の技術を採用することができる。この点に関するこの他の説明は、省略する。
【0028】
基端側コイル51と対向側コイル52は、ティース部46の突出部463に導線を集中巻して形成される。基端側コイル51と対向側コイル52は、1個のティース部46に対して、径方向に並んで設けられる。対向側コイル52は、基端側コイル51より径方向の内側に設けられる。基端側コイル51と対向側コイル52の形成に際し、突出部463は、
図4(A)に示すように、第三絶縁部78によって被覆される。第三絶縁部78は、例えば、一定の厚みの絶縁シートを、突出部463の外周に巻き付け、その後、絶縁シートの端部同士を所定の方法で固定し形成される。突出部463に巻き付けられた環状の絶縁シートは、4箇所の切欠部465に対応する範囲で変形されて、
図4に示すような状態とされる。第三絶縁部78によれば、突出部463と基端側コイル51及び対向側コイル52の絶縁を確保することができる。
【0029】
基端側コイル51と対向側コイル52は、既に実用化された回転機のステータが備えるコイルと同様、公知の巻線技術を採用して、適宜形成される。例えば、所定の巻線機によって導線を巻回し、基端側コイル51と対向側コイル52をそれぞれ形成する。基端側コイル51と対向側コイル52は、既に実用化されたコイルボビンを用いた方法によって形成するようにしてもよい。同一のティース部46に設けられた基端側コイル51及び対向側コイル52に関し、基端側コイル51の巻き終わり部(以下、「終部」という)53及び巻き始め部(以下、「始部」という)55と、対向側コイル52の終部54及び始部56は、径方向を内側から外側に向けて、終部54、始部56、終部53及び始部55の順序で設けられる(
図1参照)。基端側コイル51と対向側コイル52の形成に関するこの他の説明は、省略する。
【0030】
複数の基端側コイル51は、U相、V相及びW相の何れかの基端側コイル51にそれぞれ分類され、例えば、
図5に示すように、スター結線される。複数の対向側コイル52は、U相、V相及びW相の何れかの対向側コイル52にそれぞれ分類され、対向側コイル52と同じく、例えば、スター結線される(
図5参照)。
【0031】
18個の基端側コイル51のうち、所定の6個の基端側コイル51U(
図5では「U11,U12,U13,U14,U15,U16」と記載。以下、基端側コイル51Uをそれぞれ区別する場合、「基端側コイルU11」〜「基端側コイルU16」という)は、接続線部としての第一渡線61Uによって接続され、連続したU相の基端側連結コイル67Uを形成する。具体的に、第一渡線61Uは、基端側コイルU11の終部53U及び基端側コイルU12の始部55Uと、基端側コイルU12の終部53U及び基端側コイルU13の始部55Uと、基端側コイルU13の終部53U及び基端側コイルU14の始部55Uと、基端側コイルU14の終部53U及び基端側コイルU15の始部55Uと、基端側コイルU15の終部53U及び基端側コイルU16の始部55Uを、それぞれ接続する。
図5では、終部53Uを示す符号「53U」を基端側コイルU11,U12に付し、始部55Uを基端側コイルU12,U16に付し、その他の基端側コイル51Uの終部53U及び始部55Uについては、符号「53U」及び「55U」の付与を省略している(後述する、基端側コイル51V,51Wについても同じ)。
【0032】
18個の基端側コイル51のうち、他の6個の基端側コイル51V(
図5では「V11,V12,V13,V14,V15,V16」と記載。以下、基端側コイル51Vをそれぞれ区別する場合、「基端側コイルV11」〜「基端側コイルV16」という)は、接続線部としての第一渡線61Vによって接続され、連続したV相の基端側連結コイル67Vを形成する。具体的に、第一渡線61Vは、基端側コイルV11の終部53V及び基端側コイルV12の始部55Vと、基端側コイルV12の終部53V及び基端側コイルV13の始部55Vと、基端側コイルV13の終部53V及び基端側コイルV14の始部55Vと、基端側コイルV14の終部53V及び基端側コイルV15の始部55Vと、基端側コイルV15の終部53V及び基端側コイルV16の始部55Vを、それぞれ接続する。
【0033】
18個の基端側コイル51のうち、さらに他の6個の基端側コイル51W(
図5では「W11,W12,W13,W14,W15,W16」と記載。以下、基端側コイル51Wをそれぞれ区別する場合、「基端側コイルW11」〜「基端側コイルW16」という)は、接続線部としての第一渡線61Wによって接続され、連続したW相の基端側連結コイル67Wを形成する。具体的に、第一渡線61Wは、基端側コイルW11の終部53W及び基端側コイルW12の始部55Wと、基端側コイルW12の終部53W及び基端側コイルW13の始部55Wと、基端側コイルW13の終部53W及び基端側コイルW14の始部55Wと、基端側コイルW14の終部53W及び基端側コイルW15の始部55Wと、基端側コイルW15の終部53W及び基端側コイルW16の始部55Wを、それぞれ接続する。
【0034】
18個の対向側コイル52のうち、所定の6個の対向側コイル52U(
図5では「U21,U22,U23,U24,U25,U26」と記載 以下、対向側コイル52Uをそれぞれ区別する場合、「対向側コイルU21」〜「対向側コイルU26」という)は、接続線部としての第二渡線62Uによって接続され、連続したU相の対向側連結コイル68Uを形成する。具体的に、第二渡線62Uは、対向側コイルU21の終部54U及び対向側コイルU22の始部56Uと、対向側コイルU22の終部54U及び対向側コイルU23の始部56Uと、対向側コイルU23の終部54U及び対向側コイルU24の始部56Uと、対向側コイルU24の終部54U及び対向側コイルU25の始部56Uと、対向側コイルU25の終部54U及び対向側コイルU26の始部56Uを、それぞれ接続する。
図5では、終部54Uを示す符号「54U」を対向側コイルU21,U22に付し、始部56Uを対向側コイルU22,U26に付し、その他の対向側コイル52Uの終部54U及び始部56Uについては、符号「54U」及び「56U」の付与を省略している(後述する、対向側コイル52V,52Wについても同じ)。
【0035】
18個の対向側コイル52のうち、他の6個の対向側コイル52V(
図5では「V21,V22,V23,V24,V25,V26」と記載 以下、対向側コイル52Vをそれぞれ区別する場合、「対向側コイルV21」〜「対向側コイルV26」という)は、接続線部としての第二渡線62Vによって接続され、連続したV相の対向側連結コイル68Vを形成する。具体的に、第二渡線62Vは、対向側コイルV21の終部54V及び対向側コイルV22の始部56Vと、対向側コイルV22の終部54V及び対向側コイルV23の始部56Vと、対向側コイルV23の終部54V及び対向側コイルV24の始部56Vと、対向側コイルV24の終部54V及び対向側コイルV25の始部56Vと、対向側コイルV25の終部54V及び対向側コイルV26の始部56Vを、それぞれ接続する。
【0036】
18個の対向側コイル52のうち、さらに他の6個の対向側コイル52W(
図5では「W21,W22,W23,W24,W25,W26」と記載 以下、対向側コイル52Wをそれぞれ区別する場合、「対向側コイルW21」〜「対向側コイルW26」という)は、接続線部としての第二渡線62Wによって接続され、連続したW相の対向側連結コイル68Wを形成する。具体的に、第二渡線62Wは、対向側コイルW21の終部54W及び対向側コイルW22の始部56Wと、対向側コイルW22の終部54W及び対向側コイルW23の始部56Wと、対向側コイルW23の終部54W及び対向側コイルW24の始部56Wと、対向側コイルW24の終部54W及び対向側コイルW25の始部56Wと、対向側コイルW25の終部54W及び対向側コイルW26の始部56Wを、それぞれ接続する。
【0037】
基端側コイルU11の始部55Uと対向側コイルU21の始部56Uは、共通した端子69Uに接続される。基端側コイルU11の始部55Uは、第一引出線70Uを介して端子69Uに接続され、対向側コイルU21の始部56Uは、第二引出線72Uを介して端子69Uに接続される。第一引出線70Uは、基端側コイルU11の始部55Uに連続して繋がる接続線部である。第二引出線72Uは、対向側コイルU21の始部56Uに連続して繋がる接続線部である。基端側コイルV11の始部55Vと対向側コイルV21の始部56Vは、共通した端子69Vに接続される。基端側コイルV11の始部55Vは、第一引出線70Vを介して端子69Vに接続され、対向側コイルV21の始部56Vは、第二引出線72Vを介して端子69Vに接続される。第一引出線70Vは、基端側コイルV11の始部55Vに連続して繋がる接続線部である。第二引出線72Vは、対向側コイルV21の始部56Vに連続して繋がる接続線部である。基端側コイルW11の始部55Wと対向側コイルW21の始部56Wは、共通した端子69Wに接続される。基端側コイルW11の始部55Wは、第一引出線70Wを介して端子69Wに接続され、対向側コイルW21の始部56Wは、第二引出線72Wを介して端子69Wに接続される。第一引出線70Wは、基端側コイルW11の始部55Wに連続して繋がる接続線部である。第二引出線72Wは、対向側コイルW21の始部56Wに連続して繋がる接続線部である。
【0038】
基端側コイルU16の終部53Uと、基端側コイルV16の終部53Vと、基端側コイルW16の終部53Wは、接続され、中性点(
図5で、基端側連結コイル67U,67V,67Wが交差する中心部の「黒丸」参照)が形成される。対向側コイルU26の終部54Uと、対向側コイルV26の終部54Vと、対向側コイルW26の終部54Wは、接続され、中性点(
図5で、対向側連結コイル68U,68V,68Wが交差する中心部の「黒丸」参照)が形成される。基端側連結コイル67U,67V,67Wでの中性点の形成は、第一引出線71U,71V,71Wを介して行われる。第一引出線71Uは、基端側コイルU16の終部53Uに連続して繋がる接続線部である。第一引出線71Vは、基端側コイルV16の終部53Vに連続して繋がる接続線部である。第一引出線71Wは、基端側コイルW16の終部53Wに連続して繋がる接続線部である。対向側連結コイル68U,68V,68Wでの中性点の形成は、第二引出線73U,73V,73Wを介して行われる。第二引出線73Uは、対向側コイルU26の終部54Uに連続して繋がる接続線部である。第二引出線73Vは、対向側コイルV26の終部54Vに連続して繋がる接続線部である。第二引出線73Wは、対向側コイルW26の終部54Wに連続して繋がる接続線部である。
【0039】
第一引出線70U,71Uは、第一渡線61Uと共にU相の第一接続線部を形成し、第二引出線72U,73Uは、第二渡線62Uと共にU相の第二接続線部を形成する。第一引出線70V,71Vは、第一渡線61Vと共にV相の第一接続線部を形成し、第二引出線72V,73Vは、第二渡線62Vと共にV相の第二接続線部を形成する。第一引出線70W,71Wは、第一渡線61Wと共にW相の第一接続線部を形成し、第二引出線72W,73Wは、第二渡線62Wと共にW相の第二接続線部を形成する。
【0040】
第一渡線61Uは、第一径方向線部63Uと、第一周方向線部65Uを備える(
図1及び
図9(B)参照)。第一径方向線部63Uと第一周方向線部65Uは、連続して繋がった状態で、第一渡線61Uを形成する。第一渡線61Vは、第一径方向線部63Vと、第一周方向線部65Vを備える(
図1及び
図9(B)参照)。第一径方向線部63Vと第一周方向線部65Vは、連続して繋がった状態で、第一渡線61Vを形成する。第一渡線61Wは、第一径方向線部63Wと、第一周方向線部65Wを備える(
図1及び
図9(B)参照)。第一径方向線部63Wと第一周方向線部65Wは、連続して繋がった状態で、第一渡線61Wを形成する。第一渡線61Uによる2個の基端側コイル51Uの接続と、第一渡線61Vによる2個の基端側コイル51Vの接続と、第一渡線61Wによる2個の基端側コイル51Wの接続は、同様に行われる。
【0041】
第二渡線62Uは、第二径方向線部64Uと、第二周方向線部66Uを備える(
図1及び
図9(B)参照)。第二径方向線部64Uと第二周方向線部66Uは、連続して繋がった状態で、第二渡線62Uを形成する。第二渡線62Vは、第二径方向線部64Vと、第二周方向線部66Vを備える(
図1及び
図9(B)参照)。第二径方向線部64Vと第二周方向線部66Vは、連続して繋がった状態で、第二渡線62Vを形成する。第二渡線62Wは、第二径方向線部64Wと、第二周方向線部66Wを備える(
図1及び
図9(B)参照)。第二径方向線部64Wと第二周方向線部66Wは、連続して繋がった状態で、第二渡線62Wを形成する。第二渡線62Uによる2個の対向側コイル52Uの接続と、第二渡線62Vによる2個の対向側コイル52Vの接続と、第二渡線62Wによる2個の対向側コイル52Wの接続は、同様に行われる。第一渡線61U及び第二渡線62Uと、第一渡線61V及び第二渡線62V、第一渡線61W及び第二渡線62Wは、積層方向の第一端面側でそれぞれまとまった状態で配置される。
【0042】
本実施形態では、基端側コイル51U,51V,51Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「基端側コイル51」という。対向側コイル52U,52V,52Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「対向側コイル52」という。終部53U,53V,53Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「終部53」といい、終部54U,54V,54Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「終部54」という。始部55U,55V,55Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「始部55」といい、始部56U,56V,56Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「始部56」という。第一渡線61U,61V,61Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第一渡線61」といい、第二渡線62U,62V,62Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第二渡線62」という。第一径方向線部63U,63V,63Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第一径方向線部63」といい、第二径方向線部64U,64V,64Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第二径方向線部64」という。第一周方向線部65U,65V,65Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第一周方向線部65」といい、第二周方向線部66U,66V,66Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第二周方向線部66」という。
【0043】
各相の第一渡線61を形成する第一径方向線部63は、基端側コイル51の終部53に連続して繋がり、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。各相の第二渡線62を形成する第二径方向線部64は、対向側コイル52の終部54に連続して繋がり、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。第一径方向線部63は、隣り合うティース部46にそれぞれ設けられた、一の基端側コイル51のコイルエンド部57と他の基端側コイル51のコイルエンド部57の間に設けられる。第二径方向線部64は、隣り合うティース部46にそれぞれ設けられた、一の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58と他の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58の間に設けられる。
【0044】
図1に示す「D」の範囲に基づけば、第一径方向線部63Uは、積層方向の第一端面側において、基端側コイル51Uのコイルエンド部57Uと基端側コイル51Vのコイルエンド部57Vの間を(
図6参照)、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。
図1に示す「D」の範囲のうち、基端側コイル51U,51Vより径方向の内側の範囲で、第二径方向線部64Uは、積層方向の第一端面側において、対向側コイル52Uのコイルエンド部58Uと対向側コイル52Vのコイルエンド部58Vの間を(
図7参照)、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。さらに連続して第二径方向線部64Uは、積層方向の第一端面側において、第一径方向線部63Uと共に、基端側コイル51Uのコイルエンド部57Uと基端側コイル51Vのコイルエンド部57Vの間を(
図6参照)、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。
図6に示す例では、第一径方向線部63Uと第二径方向線部64Uは、積層方向に重なり合った状態で配置されている。第一径方向線部63Uと第二径方向線部64Uは、周方向に重なり合った状態であってもよい(異なる相の第一径方向線部63と第二径方向線部64についても同じ)。
図1に示す「D」の範囲における、基端側コイル51U及び対向側コイル52Uと基端側コイル51V及び対向側コイル52Vは、同一のスロット部47に収納されたコイル(2組のコイル)である。
【0045】
第一径方向線部63Vは、積層方向の第一端面側において、基端側コイル51Vのコイルエンド部57Vと基端側コイル51Wのコイルエンド部57Wの間を、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。基端側コイル51V,51Wより径方向の内側の範囲で、第二径方向線部64Vは、積層方向の第一端面側において、対向側コイル52Vのコイルエンド部58Vと対向側コイル52Wのコイルエンド部58Wの間を、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。さらに連続して第二径方向線部64Vは、積層方向の第一端面側において、第一径方向線部63Vと共に、基端側コイル51Vのコイルエンド部57Vと基端側コイル51Wのコイルエンド部57Wの間を、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。第一径方向線部63Wは、積層方向の第一端面側において、基端側コイル51Wのコイルエンド部57Wと基端側コイル51Uのコイルエンド部57Uの間を、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。基端側コイル51W,51Uより径方向の内側の範囲で、第二径方向線部64Wは、積層方向の第一端面側において、対向側コイル52Wのコイルエンド部58Wと対向側コイル52Uのコイルエンド部58Uの間を、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。さらに連続して第二径方向線部64Wは、積層方向の第一端面側において、第一径方向線部63Wと共に、基端側コイル51Wのコイルエンド部57Wと基端側コイル51Uのコイルエンド部57Uの間を、径方向の内側から径方向の外側に向けて配置される。
【0046】
本実施形態では、コイルエンド部57U,57V,57Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「コイルエンド部57」といい、コイルエンド部58U,58V,58Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「コイルエンド部58」という。
【0047】
各相の第一渡線61を形成する第一周方向線部65は、ヨーク部44に沿って周方向に配置される。第一周方向線部65は、第一径方向線部63とは反対側の部分で、同相の基端側コイル51の始部55に連続して繋がる。各相の第二渡線62を形成する第二周方向線部66は、ヨーク部44に沿って周方向に配置される。第二周方向線部66は、第二径方向線部64とは反対側の部分で、同相の対向側コイル52の始部56に連続して繋がる。同相の第一周方向線部65と第二周方向線部66は、積層方向及び/又は径方向に重なり合った状態で配置される(
図1及び
図9(B)では、積層方向に重なり合った状態を例示)。
【0048】
第二絶縁部80は、
図1及び
図8に示すように、ステータコア42の第一端面421上を、ヨーク部44に対応して設けられる。第二絶縁部80は、ステータコア42と第一渡線61及び第二渡線62を絶縁する。第二絶縁部80は、複数の絶縁モジュール82を環状に配置して形成される。
図2に示すようにステータコア42が18個のセグメント48によって形成される本実施形態では、第二絶縁部80は、18個の絶縁モジュール82を環状に配置して形成される。絶縁モジュール82は、例えば、樹脂成形によって一体的に形成される。絶縁モジュール82は、
図9(A)〜(C)に示すように、設置部84U,84V,84Wと、突起部86を備える。本実施形態では、設置部84U,84V,84Wを区別せず、又は、これらを総称する場合、「設置部84」という。
【0049】
設置部84U,84V,84Wは、周方向においてヨーク部分45に沿った円弧状をなし、積層方向に凹状(第二端面側が底側)となる溝部である。設置部84U,84V,84Wは、径方向を内側から外側に向けて、設置部84U、設置部84V及び設置部84Wの順で配置される。設置部84Uには、第一周方向線部65Uと第二周方向線部66Uが収納される。例えば、第一周方向線部65Uと第二周方向線部66Uは、
図9(B)に示すように、第一周方向線部65Uが積層方向の第二端面側で第二周方向線部66Uが第一端面側となるように重なり合った状態で、設置部84Uに収納される。
【0050】
設置部84Vには、第一周方向線部65Vと第二周方向線部66Vが収納される。例えば、第一周方向線部65Vと第二周方向線部66Vは、
図9(B)に示すように、第一周方向線部65Vが積層方向の第二端面側で第二周方向線部66Vが第一端面側となるように重なり合った状態で、設置部84Vに収納される。設置部84Wには、第一周方向線部65Wと第二周方向線部66Wが収納される。例えば、第一周方向線部65Wと第二周方向線部66Wは、
図9(B)に示すように、第一周方向線部65Wが積層方向の第二端面側で第二周方向線部66Wが第一端面側となるように重なり合った状態で、設置部84Wに収納される。設置部84U,84V,84Wに収納された状態において、第一周方向線部65U及び第二周方向線部66Uと、第一周方向線部65V及び第二周方向線部66Vと、第一周方向線部65W及び第二周方向線部66Wの接触が防止される(
図9(B)参照)。そのため、異なる相の第一周方向線部65及び第二周方向線部66同士の絶縁を確保することができる。
【0051】
凹状をした設置部84U,84V,84Wの開口側端部(積層方向の第一端面側)には、周方向に所定の間隔で爪部87が形成される。設置部84Uに設けられた爪部87は、積層方向の第一端面側に配置された第二周方向線部66Uに引っ掛かり、又は、第二周方向線部66Uを押圧する。この爪部87は、第一周方向線部65Uと第二周方向線部66Uが設置部84Uから抜けることを防止する。設置部84Vに設けられた爪部87は、積層方向の第一端面側に配置された第二周方向線部66Vに引っ掛かり、又は、第二周方向線部66Vを押圧する。この爪部87は、第一周方向線部65Vと第二周方向線部66Vが設置部84Vから抜けることを防止する。設置部84Wに設けられた爪部87は、積層方向の第一端面側に配置された第二周方向線部66Wに引っ掛かり、又は、第二周方向線部66Wを押圧する。この爪部87は、第一周方向線部65Wと第二周方向線部66Wが設置部84Wから抜けることを防止する。
【0052】
絶縁モジュール82は、H方向(
図9(A)参照)から視た平面形状が、ヨーク部分45の積層方向の第一端面側の形状に対応した形状とされる(
図3、
図8及び
図9(A),(C)参照)。絶縁モジュール82には、凹部88と、凸部89が形成される。凹部88及び凸部89は、ヨーク部分45における凹部451及び凸部453に対応した形状を有する。凹部88は、ヨーク部分45における凹部451に対応して、絶縁モジュール82の周方向の一方側に形成される。凸部89は、ヨーク部分45における凸部453に対応して、絶縁モジュール82の周方向の他方側に形成される。
【0053】
絶縁モジュール82は、セグメント48に装着される。第二絶縁部80は、セグメント48によるステータコア42の場合と同様、隣り合うセグメント48に装着された絶縁モジュール82にそれぞれ形成された凹部88に凸部89を嵌め合わせて、環状に形成される(
図8参照)。ヨーク部分45における凹部451及び凸部453の配置と、絶縁モジュール82における凹部88及び凸部89の配置を一致させることで、凹部451への凸部453の嵌め合わせと、凹部88への凸部89の嵌め合わせを、同じタイミングで行うことができる。そのため、絶縁モジュール82が装着された状態であっても、スムーズにセグメント48及び絶縁モジュール82を環状とすることができる。第二絶縁部80では、環状に配置された絶縁モジュール82のそれぞれが備える設置部84Uは、
図8に示すように、周方向に連続した状態となる。同じく、設置部84Vは、設置部84Uの外側で、周方向に連続した状態となり、設置部84Wは、設置部84Vの外側で、周方向に連続した状態となる。
【0054】
突起部86は、設置部84Uより径方向の内側に設けられ、積層方向を第一端面側に突出する。突起部86は、第一渡線61と第二渡線62を径方向から周方向に屈曲させるための支点となる。例えば、
図1に示す「D」の範囲に基づけば、第一渡線61Uと第二渡線62Uは、突起部86の支点となる部分(
図9(A)に示す「P2」参照)に接し、周方向に屈曲し、設置部84Uに収納される。第一渡線61Uと第二渡線62Uが接する突起部86は、基端側コイル51Uと対向側コイル52Uが設けられたティース部46と共にスロット部47を形成する他の1つのティース部46(基端側コイル51Vと対向側コイル52Vが形成)を備えるセグメント48に装着された絶縁モジュール82の突起部86である(
図1参照)。
【0055】
即ち、第一渡線61と第二渡線62は、回転方向に隣り合うセグメント48に装着された絶縁モジュール82の突起部86の支点部分「P2」に接して屈曲する。本実施形態における、第一径方向線部63は、基端側コイル51の終部53と突起部86の支点部分「P2」の間の第一渡線61の部分である。第一周方向線部65は、突起部86の支点部分「P2」と、回転方向に2スロット分離間したティース部46に設けられた同相の基端側コイル51の始部55の間の第一渡線61の部分である。第二径方向線部64は、対向側コイル52の終部54と突起部86の支点部分「P2」の間の第二渡線62の部分である。第二周方向線部66は、突起部86の支点部分「P2」と、回転方向に2スロット分離間したティース部46に設けられた同相の対向側コイル52の始部56の間の第二渡線62の部分である。
【0056】
基端側コイル51Uの第一渡線61Uと対向側コイル52Uの第二渡線62Uは、突起部86の所定の部分(
図9(A)に示す「P3」参照)の近傍で、設置部84Uから離脱する。基端側コイル51Uの第一渡線61U(第一周方向線部65U)と始部55Uが連続する部分は、突起部86の「P3」の部分に沿って変形する。対向側コイル52Uの第二渡線62U(第二周方向線部66U)と始部56Uが連続する部分は、突起部86の「P3」の部分に沿って変形する。設置部84Vから離脱した基端側コイル51V及び対向側コイル52Vの各始部55V,56Vは、突起部86の所定の部分「P3」に接して変形する。設置部84Wから離脱した基端側コイル51W及び対向側コイル52Wの各始部55W,56Wは、突起部86の所定の部分「P3」に接して変形する。
【0057】
図1に示す状態において、基端側コイル51Uの第一周方向線部65Uと対向側コイル52Uの第二周方向線部66Uは、始部55U,56Uの側で、基端側コイル51Wの第一渡線61W(第一周方向線部65W)及び対向側コイル52Wの第二渡線62W(第二周方向線部66W)と交差する。基端側コイル51V及び対向側コイル52Vの各始部55V,56Vは、基端側コイル51Uの第一渡線61U(第一周方向線部65U)及び対向側コイル52Uの第二渡線62U(第二周方向線部66U)と交差する。基端側コイル51W及び対向側コイル52Wの各始部55W,56Wは、基端側コイル51Vの第一渡線61V(第一周方向線部65V)及び対向側コイル52Vの第二渡線62V(第二周方向線部66V)と交差する。
【0058】
周方向に隣り合うティース部46のそれぞれに設けられ、これら2個のティース部46の間に形成されたスロット部47に収納された、2組の基端側コイル51及び対向側コイル52は、第一絶縁部90によって絶縁される。第一絶縁部90は、例えば、シート状の絶縁材によって形成される。第一絶縁部90は、
図6、
図7及び
図10(A),(B)に示すように、被覆部92を備える。第一絶縁部90は、隣り合うティース部46によるスロット部47内の2組の基端側コイル51及び対向側コイル52の間を、被覆部92が積層方向の第一端面側となるようにして、積層方向に配置される。被覆部92は、
図6、
図7及び
図10(A)に示すように、積層方向の第一端面側の端部をスロット部47の側(積層方向の第二端面側)に屈曲した形状を有する。被覆部92は、例えば、シート状の絶縁材を山折りして形成される。
【0059】
被覆部92は、径方向領域93と、周方向領域94を備える。第一絶縁部90(被覆部92を除く第一絶縁部90の部分)が各ティース部46に設けられた基端側コイル51及び対向側コイル52の間に配置された状態で、被覆部92は、
図11に示すように、第一渡線61(第一径方向線部63及び第一周方向線部65)と第二渡線62(第二径方向線部64及び第二周方向線部66)に沿って、径方向から周方向に屈曲する。この屈曲も、第一渡線61及び第二渡線62の場合と同様、突起部86を支点(
図9(A)に示す「P2」参照)として行われる。被覆部92の径方向領域93は、第一絶縁部90が隣り合うティース部46にそれぞれ設けられた基端側コイル51及び対向側コイル52の間に配置された状態で、一の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58と、他の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58の間を、径方向の内側から径方向の外側に配置される。被覆部92の周方向領域94は、前述した状態で、周方向に配置される。周方向領域94は、第一周方向線部65及び第二周方向線部66と共に、各相に対応した設置部84に収納されるようにしてもよい。この場合、好適な絶縁状態を維持することが可能となる。
【0060】
被覆部92は、
図6、
図7及び
図10(A)に示すように、第一壁部95と第二壁部96を備える。被覆部92において、第一壁部95と第二壁部96は、互いに対向する。第一壁部95と第二壁部96の間には、空隙98が形成される。空隙98には、第一径方向線部63及び第二径方向線部64と、第一周方向線部65及び第二周方向線部66の各一部が配置される。被覆部92の径方向領域93において第二壁部96の所定の位置には、
図10(B)に示すように、スリット部99が設けられる。スリット部99は、積層方向に第二壁部96を切り込み形成される。第一径方向線部63は、スリット部99を通過して空隙98に配置される。被覆部92の径方向領域93は、2個の基端側コイル51の各コイルエンド部57の間で、第一径方向線部63及び第二径方向線部64を周方向から被覆し、2個の対向側コイル52の各コイルエンド部58の間で、第二径方向線部64を周方向から被覆する(
図11参照)。被覆部92の周方向領域94は、第一周方向線部65及び第二周方向線部66の各一部を径方向から被覆する(
図11参照)。
【0061】
図11では、基端側コイル51の終部53と、対向側コイル52の終部54と、第一渡線61(第一径方向線部63)と、第二渡線62(第二径方向線部64及び第二周方向線部66の一部)と、被覆部92と、第二絶縁部80の突起部86を図示し、その他の構成(例えば、基端側コイル51(積層方向の第一端面側のコイルエンド部57)、対向側コイル52(積層方向の第一端面側のコイルエンド部58)及び突起部86を除く第二絶縁部80)の図示を省略している。第一周方向線部65は、第二周方向線部66より積層方向の第二端面側に配置されるため、
図11では不図示となっている。
【0062】
図1に示す「D」の範囲に基づけば、第一絶縁部90は、
図6及び
図7に示すように、基端側コイル51U及び対向側コイル52Uと基端側コイル51V及び対向側コイル52Vの間に配置される。そして、この第一絶縁部90は、スロット部47内で、基端側コイル51U及び対向側コイル52Uと基端側コイル51V及び対向側コイル52Vを絶縁する。基端側コイル51U及び対向側コイル52Uと基端側コイル51V及び対向側コイル52Vは、同一のスロット部47(
図6及び
図7に示す2個の突出部463の間の空間)に収納されたコイルである。また、この第一絶縁部90は、被覆部92の径方向領域93で、基端側コイル51U,51Vの各コイルエンド部57U,57Vの間に配置された第一径方向線部63U及び第二径方向線部64Uを周方向から被覆し(
図6参照)、第一径方向線部63U及び第二径方向線部64Uとコイルエンド部57Vを絶縁する。この第一絶縁部90は、被覆部92の径方向領域93で、対向側コイル52U,52Vの各コイルエンド部58U,58Vの間に配置された第二径方向線部64Uを周方向から被覆し(
図7参照)、第二径方向線部64Uとコイルエンド部58Vを絶縁する。さらに、この第一絶縁部90は、被覆部92の周方向領域94で、第一周方向線部65U及び第二周方向線部66Uを径方向から被覆し、第一周方向線部65U及び第二周方向線部66Uと、これに接近した第一渡線61V及び第二渡線62Vの各部分、及び/又は、基端側コイル51V及び対向側コイル52Vの各始部55V,56Vを絶縁する。
【0063】
詳細は省略するが、基端側コイル51V及び対向側コイル52Vと基端側コイル51W及び対向側コイル52Wの間に配置される第一絶縁部90は、スロット部47内で、基端側コイル51V及び対向側コイル52Vと基端側コイル51W及び対向側コイル52Wを絶縁する。基端側コイル51V及び対向側コイル52Vと基端側コイル51W及び対向側コイル52Wは、同一のスロット部47に収納されたコイルである。また、この第一絶縁部90は、被覆部92の径方向領域93で、第一径方向線部63V及び第二径方向線部64Vとコイルエンド部57Wを絶縁し、第二径方向線部64Vとコイルエンド部58Wを絶縁する。さらに、この第一絶縁部90は、被覆部92の周方向領域94で、第一周方向線部65V及び第二周方向線部66Vと、これに接近した第一渡線61W及び第二渡線62Wの各部分、及び/又は、基端側コイル51W及び対向側コイル52Wの各始部55W,56Wを絶縁する。
【0064】
基端側コイル51W及び対向側コイル52Wと基端側コイル51U及び対向側コイル52Uの間に配置される第一絶縁部90は、スロット部47内で、基端側コイル51W及び対向側コイル52Wと基端側コイル51U及び対向側コイル52Uを絶縁する。基端側コイル51W及び対向側コイル52Wと基端側コイル51U及び対向側コイル52Uは、同一のスロット部47に収納されたコイルである。また、この第一絶縁部90は、被覆部92の径方向領域93で、第一径方向線部63W及び第二径方向線部64Wとコイルエンド部57Uを絶縁し、第二径方向線部64Wとコイルエンド部58Uを絶縁する。さらに、この第一絶縁部90は、被覆部92の周方向領域94で、第一周方向線部65W及び第二周方向線部66Wと、これに接近した第一渡線61U及び第二渡線62Uの各部分、及び/又は、基端側コイル51U及び対向側コイル52Uの各始部55U,56Uを絶縁する。
【0065】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0066】
(1)1個のティース部46に、基端側コイル51と対向側コイル52を設ける(
図1参照)こととした。対向側コイル52は、基端側コイル51より径方向の内側に設けられる。一のティース部46に設けられた基端側コイル51の終部53と、回転方向に2スロット分離間した他のティース部46に設けられた同相の基端側コイル51の始部55は、第一渡線61によって繋がれる。一のティース部46に設けられた対向側コイル52の終部54と、他のティース部46に設けられた同相の対向側コイル52の始部56は、第二渡線62によって繋がれる。また、基端側コイル51の終部53及び始部55と、対向側コイル52の終部54及び始部56を何れも積層方向の第一端面側に設け、且つ、同側に第一渡線61と第二渡線62を設ける(
図1参照)こととした。さらに、径方向において、基端側コイル51の終部53を始部55より内側(始部55は終部53より外側)とし、対向側コイル52の終部54を始部56より内側(始部56は終部54より外側)とする(
図1参照)こととした。
【0067】
そのため、導線の太さを細くすることが可能となり、基端側コイル51のコイルエンド部57と、対向側コイル52のコイルエンド部58をコンパクトにすることができる。基端側コイル51及び対向側コイル52の形成に際し、導線を好適に巻回することができる。積層方向の第一端面側で、第一渡線61と第二渡線62を好適に配置することができる。コイルエンド部57,58の高さを低くし、薄型化可能(小型化可能)なステータ40とすることができる。
【0068】
(2)第一絶縁部90に被覆部92を設け、被覆部92にて第一径方向線部63と第二径方向線部64を被覆した状態で、第一径方向線部63と第二径方向線部64を、基端側コイル51の各コイルエンド部57の間と、対向側コイル52の各コイルエンド部58の間に配置する(
図6及び
図7参照)こととした。そのため、第一径方向線部63を、異なる相の基端側コイル51のコイルエンド部57と絶縁し、第二径方向線部64を、異なる相の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58と絶縁することが可能となる。絶縁を確保した状態で、第一径方向線部63と第二径方向線部64を、一のコイルエンド部57,58と他のコイルエンド部57,58の間の隙間に配置させることが可能となり、積層方向におけるステータ40の寸法増加を抑制することができる。被覆部92は、第一絶縁部90を形成する絶縁材を屈曲させて形成されるため、第一絶縁部90に被覆部92を容易に設けることができる。
【0069】
第一絶縁部90の被覆部92に周方向領域94を設け、第一渡線61の第一周方向線部65と第二渡線62の第二周方向線部66を、周方向領域94で被覆することとした。そのため、突起部86の付近で交差する、第一周方向線部65及び第二周方向線部66と、異なる相の第一渡線61及び第二渡線62の各部分、及び/又は、異なる相の基端側コイル51及び対向側コイル52の各始部55,56を、好適に絶縁することができる。
【0070】
(3)第二絶縁部80に突起部86を設け、第一渡線61及び第二渡線62を突起部86に沿って屈曲させる(
図1及び
図11参照)こととした。そのため、各相の第一渡線61及び第二渡線62を突起部86で好適に屈曲させ、各相に対応した設置部84にそれぞれ収納することができる。
【0071】
(4)積層方向における両側において、突出部463の周方向の両側の部分にそれぞれ切欠部465を形成する(
図4(A)参照)こととした。そのため、基端側コイル51及び対向側コイル52を形成する各導線をスロット部47内で基準線Lの側に屈曲させることが可能となる(
図6及び
図7参照)。ステータコア42の第一端面421及び第二端面422の各側に設けられる各コイルエンド部57,58の高さ(積層方向における寸法)を低くし、積層方向におけるステータ40の寸法増加を抑制することができる。
【0072】
スロット部47内で導線を基準線Lの側に好適に屈曲させるために、第一端面421及び第二端面422に対応する領域で、第三絶縁部78に対応する絶縁材の厚み(積層方向の寸法)を厚くし、厚みの厚い絶縁材に、屈曲の支点となる部分を形成する(例えば、コーナ部をR形状とする)場合がある(
図4(B)の右図参照)。このような絶縁材では、前述した領域における厚みの増加分(積層方向の両側それぞれの厚み増加「t」を合計した「2t」)だけ、コイルエンド部の高さが増加する。その結果、積層方向におけるステータの寸法が高くなる。この点に関し、本実施形態のステータ40では、切欠部465を支点(
図4(A)に示す「P1」参照)として、導線を基準線Lの側に変形させることができる。そのため、第一絶縁部90の厚みを一定とすることが可能となり、上述した通り、コイルエンド部57,58の寸法増加を抑制することができる。
【0073】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例は、他の変形例と適宜組み合わせて採用するようにしてもよい。
【0074】
(1)上記では、永久磁石34がロータコア32の内部に設けられた形式のロータ30(
図1参照)を例に説明した。ロータは、永久磁石がロータコアの外周側面に設けられた形式のロータ、又は、永久磁石を備えない形式のロータとしてもよい。回転機がモータである場合、永久磁石がロータコアの外周側面に設けられたロータを備えるモータは、SPM(Surface Permanent Magnet)モータと称される。セグメント48を環状に配置して形成したステータコア42(
図2参照)を例に説明した。ステータコアは一体型のステータコアであってもよい。この場合、ステータコアは、電磁鋼板を、ヨーク部と複数のティース部を一体とした形状に打ち抜きつつ積層して形成される。ヨーク部分45とティース部46を組み立てて形成したセグメント48(
図3参照)を例に説明した。セグメントは、ヨーク部分とティース部が一体で連続した構成であってもよい。この場合、セグメントは、電磁鋼板を、ヨーク部分とティース部を一体とした形状に打ち抜きつつ積層して形成される。
【0075】
上記では、例えば、回転方向を基準としたとき、基端側コイル51U及び対向側コイル52Uと、基端側コイル51V及び対向側コイル52Vと、基端側コイル51W及び対向側コイル52Wを、U相、V相及びW相の順で繰り返して配置した構成(
図1参照)を例に説明した。各相の基端側コイル51及び対向側コイル52の配置は、これとは異なり、同相の基端側コイル51及び対向側コイル52が所定の数だけ隣り合った状態となるような配置としてもよい。各相の基端側コイル51及び対向側コイル52の配置は、例えば、ロータ30の極数との関係等を考慮し、適宜設定される。第一絶縁部90における被覆部92は、異なる相の基端側コイル51及び対向側コイル52が隣り合う位置で、上記同様、第一渡線61と第二渡線62の所定の部分を、上記同様に被覆する。
【0076】
(2)上記では、
図5に示すような結線を例に説明した。各相の基端側コイル51及び対向側コイル52の結線は、各基端側コイル51の終部53及び始部55と、各対向側コイル52の終部54及び始部56を
図5とは反対向きとなるようにしてもよい。この場合、各相の基端側コイル51の結線は、終部53U,53V,53Wがそれぞれ対応する端子69U,69V,69Wの側となり、始部55U,55V,55Wがそれぞれ中性点の側となる。各相の対向側コイル52の結線は、終部54U,54V,54Wがそれぞれ対応する端子69U,69V,69Wの側となり、始部56U,56V,56Wがそれぞれ中性点の側となる。
【0077】
上記では、基端側コイル51において、終部53が始部55より径方向の内側(始部55が終部53より径方向の外側)となり、対向側コイル52において、終部54が始部56より径方向の内側(始部56が終部54より径方向の外側)となる構成(
図1参照)を例に説明した。基端側コイル51において、終部53が始部55より径方向の外側(始部55が終部53より径方向の内側)となり、対向側コイル52において、終部54が始部56より径方向の外側(始部56が終部54より径方向の内側)となるようにしてもよい。この場合も、同相の2個の基端側コイル51を繋ぐ第一渡線と、同相の2個の対向側コイル52を繋ぐ第二渡線等は、上記同様、第一絶縁部90の被覆部92によって適宜被覆される。
【0078】
(3)上記では、第一絶縁部90の被覆部92における被覆対象が、第一渡線61及び第二渡線62である場合(
図6、
図7及び
図11参照)を例に説明した。第一引出線70U,70V,70W及び第二引出線72U,72V,72W、及び/又は、第一引出線71U,71V,71W及び第二引出線73U,73V,73W(
図5参照)が、第一渡線61及び第二渡線62のように、同一のスロット部47に収納された異なる相の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58の間に配置されるような場合、被覆部92の被覆対象として、第一引出線70U,70V,70W及び第二引出線72U,72V,72W、及び/又は、第一引出線71U,71V,71W及び第二引出線73U,73V,73Wを含めるようにしてもよい。第一引出線70U,70V,70W及び第二引出線72U,72V,72W、及び/又は、第一引出線71U,71V,71W及び第二引出線73U,73V,73Wを、異なる相の基端側コイル51及び対向側コイル52の各コイルエンド部57,58の間の隙間に配置させることが可能となり、積層方向におけるステータ40の寸法増加を抑制することができる。
【0079】
(4)上記では、ロータ30がステータ40の内周側に回転自在に支持された内転型の回転機10(
図1参照)を例に説明した。回転機は、外転型の回転機であってもよい。外転型の回転機のステータでは、複数のティース部は、ヨーク部から径方向を外側に突出する。外転型の回転機のロータは、ステータの外側で、複数のティース部に対向する。外転型の回転機では、上述した内転型の回転機10のステータ40における対向側コイル52に対応するコイルは、ステータ40における基端側コイル51に対応するコイルより径方向の外側に設けられる。本実施形態は、外転型の回転機に対しても、上記同様に適用することができる。本実施形態を適用した外転型の回転機に関する説明は、省略する。