(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096512
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】プリント回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/10 20060101AFI20170306BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20170306BHJP
H05K 3/14 20060101ALI20170306BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20170306BHJP
H05K 3/22 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
H05K3/10 E
H05K3/10 D
H05K3/12 610B
H05K3/12 610G
H05K3/14 A
H05K3/18 G
H05K3/18 H
H05K3/22 Z
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-541018(P2012-541018)
(86)(22)【出願日】2010年11月25日
(65)【公表番号】特表2013-512562(P2013-512562A)
(43)【公表日】2013年4月11日
(86)【国際出願番号】KR2010008372
(87)【国際公開番号】WO2011065757
(87)【国際公開日】20110603
【審査請求日】2013年11月13日
【審判番号】不服2015-18442(P2015-18442/J1)
【審判請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0114286
(32)【優先日】2009年11月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ソ ヨン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ユン サン ウン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジン ス
(72)【発明者】
【氏名】ナム ミョン ファ
(72)【発明者】
【氏名】リ サン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】アン チ ヘ
【合議体】
【審判長】
阿部 利英
【審判官】
小関 峰夫
【審判官】
内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平6−224529(JP,A)
【文献】
特開平7−321461(JP,A)
【文献】
特開平11−74625(JP,A)
【文献】
特開2001−36200(JP,A)
【文献】
特開2002−204043(JP,A)
【文献】
特開2003−60355(JP,A)
【文献】
特開2006−173650(JP,A)
【文献】
特開2008−277737(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0194318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/10
H05K 3/20
H05K 3/42
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層の上面にシード層を形成するステップと、
シード層上に回路パターンを形成するステップと、
前記回路パターンをプレス方式により圧力を加え、前記回路パターン及び前記回路パターンの下面に配置されたシード層を前記絶縁層内に埋め込むステップと、
前記絶縁層の上面に配置されたシード層を除去するステップと、
前記埋め込まれた回路パターンをオーバーエッチングするステップと、
を含み、
前記シード層は前記回路パターンと異なる材料で形成され、
前記埋め込むステップは、前記回路パターンの上面が前記絶縁層の表面以下に位置するようにし、
前記回路パターンの上面の直径が前記回路パターンの下面の直径より広くなるように埋め込むステップを含み、
前記オーバーエッチングするステップは、前記回路パターンの上面が前記絶縁層の表面より低い段差を有する高さに位置するようにオーバーエッチングするステップを含むことを特徴とするプリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記回路パターンを形成するステップは、
絶縁層上にシード層を形成するステップと、
前記シード層上に感光性材料を塗布して露光及び現像によりパターニングするステップと、
前記のパターニングされた感光性材料層に金属材料を充填して回路パターンを形成するステップと、
前記のパターニングされた感光性材料を除去するステップと、
を含む、請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記シード層は、アニリン、ピロール、チオフェン、アセチレンなどのアルケン及びその誘導体を単量体として用いる導電性高分子である、請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記シード層は、金属製粒子及びイオンを含む高分子複合体である、請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記シード層は、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラックなどのカーボン系と、インジウム、錫、二酸化チタン(TiO2)などの無機材料のうち少なくとも1つ以上を含む、請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属材料の充填は、無電解メッキ、電解メッキ、スクリーン印刷法、ディスフェンシング法、インク噴射法、及びドライ方式のうち少なくともいずれか1つの充填方法により行われる、請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属材料は、銅、銀、錫、金、ニッケル、パラジウムのうち少なくとも1つ以上を含む、請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記プレス方式は、熱と圧力を同時に加えるプレス方式、超音波を用いたプレス方式、及びサーマルレーザーを用いたプレス方式のうちいずれか1つである、請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
絶縁層の内部に埋め込まれる回路パターンを備え、
前記回路パターンの上面は前記絶縁層の上面より低く位置した状態で露出し、前記回路パターンの下面にはシード層が配置され、前記回路パターンと共に前記絶縁層内に埋め込まれ、
前記回路パターンは前記下面の幅より上面の幅が広く、
前記シード層は前記回路パターンと異なる材料で形成されたことを特徴とするプリント回路基板。
【請求項10】
前記回路パターンは、銅、銀、錫、金、ニッケル、パラジウムのうちいずれか1つ、もしくは少なくとも2以上の材料からなる、請求項9に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
前記シード層は、アニリン、ピロール、チオフェン、アセチレンなどのアルケン及びその誘導体を単量体として用いる導電性高分子である、請求項9又は10に記載のプリント回路基板。
【請求項12】
前記シード層は、金属性粒子及びイオンを含む高分子複合体である、請求項9又は10に記載のプリント回路基板。
【請求項13】
前記シード層は、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラックなどのカーボン系と、インジウム、錫、二酸化チタンなどの無機材料のうち少なくとも1つ以上を含む材料で形成された、請求項9又は10に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の内部に回路パターンが埋め込まれる構造のプリント回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板は、電気絶縁性基板に銅のような導電性材料で回路配線をプリントして形成するものであり、電子部品を搭載する直前の基板を言う。すなわち、種々の電子部品を平板上に密集して搭載させるために、各部品の装着位置を決め、部品を接続する回路配線を平板表面にプリントして固定させた回路基板を意味する。
【0003】
通常、プリント回路基板の製造方法は、生産性が高く且つ製造コストが低いフォトリソグラフィー法を用いている。このようなフォトリソグラフィー法を用いてプリント回路基板を製造する方法としてサブトラクティブ法、セミアディティブ法(Semi-Additive Process:SAP)等がある。
【0004】
図1はサブトラクティブ法の工程例を示すものである。
具体的には、(a)絶縁層1上に金属層2を形成し、(b)金属層2上に感光性材料を塗布した後、露光及び現像により感光性材料のパターン3を形成し、(c)エッチングを行った後、(d)感光性材料3を除去して回路パターン4を形成する工程からなる。
【0005】
図2はセミアディティブ法の工程例を示すものである。
具体的には、(a)絶縁層11上にシード層12を形成し、(b)シード層12上に感光性材料13を塗布してパターニングをした後、(c)無電解銅メッキ14を行う。その後、(d)感光性材料13を除去し、(e)シード層12を除去する工程からなる。セミアディティブ法は、
図3から分かるようにアラインメント(目合わせ)に関しては所望の位置に回路パターン14を形成することができる。
【0006】
しかしながら、上記のようなサブトラクティブ法やセミアディティブ法により製造されるプリント回路基板の回路は、絶縁層の表面が均一でなく、微細回路の形成に限界がある。微細回路を形成するためには、絶縁部材を含んだ表面の粗さが低いほど有利であるが、絶縁層と感光性材料との密着性が低くなり、回路を形成する一連の工程中に層間剥離現象等によって回路形成に悪影響を及ぼす。粗さが大きい場合、感光性材料と基材との密着性は良くなるが、メッキ工程及び感光性材料の剥離工程後、最終シード層を除去する工程で粗い絶縁部材内に微細Cuが残存し易く、電気的にショートが発生する可能性が高く、回路の下地層にエッチング液が浸透して所望の回路形状を形成し難くなり、高い信頼性を有する微細回路の形成に悪影響を及ぼす。
【0007】
したがって、絶縁部材の粗さと信頼性が高い微細回路の実現能力とのネガティブな相関関係のために、微細回路を実現するための特別な工法が要求されている。
【0008】
上記の微細回路に対する制約を解決するための方法として、金属層の表面と金属層を支持する絶縁層を含む一連のキャリア基板上に回路のパターンを予め形成した後、これを反転させて回路が絶縁部材に向かうようにし圧力を加えることにより回路を埋め込む方法がある。
【0009】
図4は上述した絶縁層に回路パターンを埋め込む工程例を示すものである。
(a)シード層22を含んだキャリア基板21を形成し、(b)感光性材料23を塗布してパターニングを行った後、(c)金属材料を充填して回路パターン24を形成する。その後、(d)感光性材料23を除去し、(e)回路パターン24が絶縁層25と対向するように位置合わせし、(f)これをプレスした後、(g)キャリア基板21を除去し、(h)シード層22を除去する工程からなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の回路パターンの埋め込み方法は、その工程が複雑であり、回路24の絶縁層25への埋め込みにおいてアラインメントの問題が生じる恐れがあり、
図5のように回路パターン24が所望の位置に埋め込まれない可能性がある。また、製造コストが高く、工程の歩留まりが低くなるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、既存のセミアディティブ法のように回路パターンを所望の絶縁層上に形成することにより、アラインメント問題を生じることなく、微細回路を形成することができ、形成された微細回路の信頼性を高めるために、突出した回路を絶縁層の内部に埋め込む工程を含む一連の工程により、信頼性の高い微細回路を形成できるプリント回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、回路を埋め込んだ後、シード層を除去するエッチング工程において、回路層が絶縁層の表面より低く形成されるようにオーバーエッチングを行うことにより、隣接回路間のイオンの移動による回路の不良を低減することができるプリント回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の一実施例により、(a)シード層が形成された絶縁層上に回路パターンを形成するステップと、(b)回路パターンをプレス方式により絶縁層の内部に埋め込むステップと、(c)シード層を除去するステップと、を含み、信頼性の高い微細回路を形成するプリント回路基板の製造方法を提供する。
【0014】
特に、ステップ(a)は、(a−1)絶縁層上にシード層を形成するステップと、(a−2)シード層上に感光性材料を塗布して露光及び現像によりパターニングするステップと、(a−3)パターニングされた感光性材料層に金属材料を充填して回路パターンを形成するステップと、(a−4)パターニングされた感光性材料を除去するステップと、を含んでなることが好ましい。
【0015】
なお、ステップ(a−1)のシード層は、例えば、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、チタン(Ti)、錫(Sn)のうち少なくとも1つ以上を含む金属層であることを特徴とし、もしくは、アニリン、ピロール、チオフェン、アセチレンなどのアルケン及びその誘導体を単量体として用いる導電性高分子であることを特徴とし、もしくは金属性粒子及びイオンを含む高分子複合体であることを特徴とし、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラックなどのカーボン系とインジウム、錫、二酸化チタン(TiO
2)などの無機材料のうち少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。
【0016】
さらに、ステップ(a−3)は、金属材料の充填方法として、例えば、無電解メッキ、電解メッキ、スクリーン印刷法、ディスフェンシング法、インク噴射法、ドライ方式のうち少なくともいずれか1つであることを特徴とし、上記の金属材料は、銅、銀、錫、金、ニッケル、パラジウムのうち少なくとも1つ以上を含むことが望ましい。
【0017】
なお、ステップ(b)のプレス方式は、熱と圧力を同時に加えるプレス方式、超音波を用いたプレス方式、あるいはサーマルレーザーを用いたプレス方式のうちいずれか1つであることが好ましい。
【0018】
プリント回路基板の製造方法は、ステップ(c)以後に、(d)上記の埋め込まれた回路の高さが絶縁層の表面より低く形成されるようにオーバーエッチングを行うステップをさらに含み、隣接回路間のイオンの移動を防ぎ、回路の不良を低減することができる。
【0019】
なお、本発明の一実施例により、絶縁層の内部に回路パターンが埋め込まれており、回路パターンは、絶縁層の表面より低く形成されるプリント回路基板を提供し、信頼性の高い微細回路を形成し隣接回路間のイオンの移動を防ぎ、回路の不良を低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、絶縁層上に所望の回路パターンを直接形成することにより、アラインメント問題を生じることなく、微細回路を形成することができ、形成された微細回路の信頼性を高めるために、突出した回路パターンを絶縁層の内部に埋め込む工程を含む一連の工程により、高密度及び信頼性が向上した微細回路を形成できるという効果が得られる。
【0021】
なお、回路層を埋め込んだ後、シード層を除去するエッチング工程において、回路層が絶縁層の表面より低く形成されるように、オーバーエッチングを行う工程を加えることにより、隣接回路間のイオンの移動の発生を減らすことができ、これによる回路の不良を低減する効果も得られる。
【0022】
本発明は、前述した本発明の目的及び他の目的、特徴、利点は、添付の図面を参照して詳細に説明することから明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来技術によるプリント回路基板の製造工程図である。
【
図2】従来技術によるプリント回路基板の製造工程図である。
【
図3】従来のセミアディティブ法により形成された一部回路パターンのアラインメントを示すものである。
【
図4】従来の回路埋め込み方式によるプリント回路基板の製造工程図である。
【
図5】
図4により形成された一部回路パターンのアラインメントを示す断面図である。
【
図6】本発明の望ましい一実施形態によるプリント回路基板の製造方法のフローチャートである。
【
図7】
図6のフローチャートに対応するプリント回路基板の製造方法の流れを示す断面図である。
【
図8】本発明により形成された一部回路パターンのアラインメントを示す断面図である。
【
図9】本発明により形成された一部回路パターンのアラインメントを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施例により、(a)シード層が形成された絶縁層上に回路パターンを形成するステップと、(b)回路パターンをプレス方式により絶縁層の内部に埋め込むステップと、(c)シード層を除去するステップと、を含み、信頼性の高い微細回路を形成するプリント回路基板の製造方法が提供される。
【0025】
(実施形態)
以下、添付の図面を参照して本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。明細書全体に亘って同一の構成要素に対しては同一の符号を付す。
【0026】
図6及び
図7は本発明による具体的な製造工程についての手順図及び工程図を示すものである。
本発明は、(a)シード層が形成された絶縁層上に回路パターンを形成するステップと、(b)回路パターンをプレス方式により絶縁層の内部に埋め込むステップと、(c)シード層を除去するステップと、を含むことを特徴とするプリント回路基板の製造方法及び、回路パターンの形成を所望の絶縁層上に直接形成することにより、アラインメント問題を起こさず微細回路を形成することができ、突出した回路を絶縁層の内部に埋め込む工程を含むことにより、微細回路の信頼性を高めることができるプリント回路基板を提供する。
【0027】
具体的には、上記の工程は、ステップS1では絶縁層110上に金属薄膜のシード層120を形成する。シード層120を含む基板、又は、シード層120及び基板の一部を穿孔してビアホールを形成することができる。また、シード層120は、例えば、銅、金、ニッケル、パラジウム、インジウム、チタン、錫のうち少なくとも1つ以上を含む金属層であり、もしくはアニリン、ピロール、チオフェン、アセチレンなどのアルケン及びその誘導体を単量体として用いる導電性高分子である。さらに、シード層120は、金属性粒子及びイオンを含む高分子複合体であることを特徴とするのみでなく、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラックなどのカーボン系とインジウム、錫、二酸化チタンなどの無機材料のうち少なくとも1つ以上を含むこともできる。
【0028】
ステップS2では、シード層120上に感光性材料を塗布してパターニングする。この場合、シード層120上に塗布された感光性材料を露光及び現像工程により所望のパターン130を形成することができる。
【0029】
その後、ステップS3では、パターニングされた感光性材料層130に金属材料を充填して所望の回路パターン140を形成する。この場合、金属材料は、銅、銀、錫、金、ニッケル、パラジウムのうち少なくとも1つ以上を含むことが望ましい。また、金属材料の充填方法として無電解メッキ、電解メッキ、スクリーン印刷法、ディスフェンシング法、インク噴射法、ドライ方式のうち少なくともいずれか1つであることが望ましく、ドライ方式にはスパッタ法、蒸着法などがある。
【0030】
ステップS4では、感光性材料130を除去してシード層120上に所望の回路パターン140のみが残ることになる。このように形成された回路パターン140は基板上に突出した形態で残ることになる。
【0031】
ステップS5では、プレス方式で突出した回路を絶縁層110の内部に埋め込む。この場合、プレス方式は、熱と圧力を同時に加えるプレス方式、超音波を用いたプレス方式、又はサーマルレーザーを用いたプレス方式であることが望ましい。
【0032】
ステップS6では、絶縁層110上のシード層120を除去して回路パターン140が絶縁層110上に埋め込まれたプリント回路基板を提供することができる。このように既存のセミアディティブ法のように絶縁層110上に回路パターン140を直接形成することにより、回路パターン140を所望の位置に形成でき、回路の埋め込み時に発生し得るアラインメント問題は発生しなくなる。これは
図8に示されている。
【0033】
その後、ステップS7で回路パターン140が絶縁層110の表面より低く形成されるように、オーバーエッチングを行うステップをさらに含んで構成することができる。このようなオーバーエッチングにより隣接回路間のイオンの移動による回路の不良を低減することができる。
【0034】
図8は、本発明により回路パターン140を埋め込んでプリント回路基板を製造したものであり、
図9は、回路パターン140が絶縁層110の表面より低く形成されるようにオーバーエッチング工程をさらに加えたプリント回路基板の一部断面図を示すものである。
【0035】
図8及び
図9を参照すると、上述した本発明による製造工程により製造される本発明のプリント回路基板は、絶縁層110の内部に埋め込まれる回路パターン140を備え、回路パターン140の表面は、絶縁層の表面以下の高さに露出する構造で形成される。即ち、絶縁層にシード層を形成し、シード層の上部に回路パターンを直接形成した後、加圧して埋め込む構造であるので、基本的に回路パターンは、絶縁層の表面以下に形成され、上述したオーバーエッチング工程を加える場合、絶縁層の表面より低い、段差(d)を有する高さで回路パターンの表面が外部に露出することになる。
【0036】
このような工程上の特殊性に起因して、回路パターンの表面の露出面の直径(T
1)は、回路パターンの下部面の直径(T
2)より広い構造で形成されることになる。即ち、上部から加圧される圧力によって一定部分の上部表面が圧縮されて広い直径を有することから、全体的に回路パターンは、上部面から下部面に行くほど狭くなるテーパー状に形成される。
【0037】
なお、本発明による製造工程の特性上、シード層を形成し、シード層の上部に回路パターンを形成した後、直ぐに加圧によって埋め込まれるため、回路パターンの下部面にはシード層が積層されたまま絶縁層に埋め込まれることになる。
【0038】
したがって、
図8及び
図9に示すように、回路パターン140の下部面にはシード層120が存在する構造で回路パターンが形成される。
【0039】
この場合、回路パターンは、銅、銀、錫、金、ニッケル、パラジウムのうちいずれか1つ、もしくは少なくとも2つ以上の材料からなり、シード層も回路パターンと同一の材料で形成することができる。
【0040】
勿論、これとは異なり、本発明の回路パターンの下部面に形成される薄膜のシード層が回路パターンと異なる材料で形成される場合には、シード層は、例えば、アニリン、ピロール、チオフェン、アセチレンなどのアルケン及びその誘導体を単量体として用いる導電性高分子からなる。
【0041】
又は、回路パターンの下部面に形成される薄膜のシード層は、金属性粒子及びイオンを含む高分子複合体で形成するか、もしくはグラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラックなどのカーボン系とインジウム、錫、二酸化チタンなどの無機材料のうち少なくとも1つ以上を含む材料で形成することもできる。
【0042】
上述した本発明による製造工程で実現されるプリント回路基板は、キャリア基板上に回路パターンを予め形成した後、これを絶縁層と対向させて圧力を加えることにより回路パターンを埋め込む。従来の方式は、
図5のように所望の位置に回路パターンを形成できず、アラインメント問題が発生したが、本発明によると、絶縁層110上に回路パターン140を直接形成して埋め込むことにより、
図8及び
図9のように所望の位置に回路パターン140を埋め込むことができ、回路のアラインメント問題を解消させることができる。