特許第6096541号(P6096541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096541
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】部品供給装置および実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170306BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H05K13/02 A
   H05K13/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-53174(P2013-53174)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-179500(P2014-179500A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】村松 啓且
(72)【発明者】
【氏名】長田 行正
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−238823(JP,A)
【文献】 特開2000−294987(JP,A)
【文献】 特開2004−349661(JP,A)
【文献】 特開平11−059813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、
前記パレット収納部に収納された前記パレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記パレットを前記パレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、
前記高さ位置検出手段による前記パレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れする前記パレットの高さ位置に応じた高さ位置へ前記パレット載置台を位置付けるように前記パレット載置台を昇降させる昇降機構部と
前記パレットを前記パレット収納部と前記パレット載置台との間で出し入れするためのパレット移動機構とを備え
前記高さ位置検出手段は、前記パレット収納部内に収納された前記パレットのうち検出対象の前記パレットを前記パレット移動機構により前記パレット収納部から途中まで引き出した状態で、前記パレットの高さ位置を検出するように構成されている、部品供給装置。
【請求項2】
電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、
前記パレット収納部に収納された前記パレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記パレットを前記パレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、
前記高さ位置検出手段による前記パレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れする前記パレットの高さ位置に応じた高さ位置へ前記パレット載置台を位置付けるように前記パレット載置台を昇降させる昇降機構部とを備え、
前記高さ位置検出手段は、前記パレットの出し入れ方向と直交する幅方向に互いに離間した複数位置で、それぞれ前記パレットの高さ位置を検出するように構成されており、
前記昇降機構部は、前記高さ位置検出手段による前記幅方向に互いに離間した複数位置における複数の検出結果に基づいて、前記パレット載置台を昇降させるように構成されている、部品供給装置
【請求項3】
電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、
前記パレット収納部に収納された前記パレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記パレットを前記パレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、
前記高さ位置検出手段による前記パレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れする前記パレットの高さ位置に応じた高さ位置へ前記パレット載置台を位置付けるように前記パレット載置台を昇降させる昇降機構部と、
前記パレットを前記パレット収納部と前記パレット載置台との間で出し入れするためのパレット移動機構とを備え、
前記高さ位置検出手段は、前記パレット収納部内に収納された前記パレットのうち検出対象の前記パレットを前記パレット移動機構により前記パレット収納部から途中まで引き出した状態で、前記パレットの高さ位置を検出するように構成されており、
前記高さ位置検出手段は、前記パレットの出し入れ方向と直交する幅方向に互いに離間した複数位置で、それぞれ前記パレットの高さ位置を検出するように構成されており、
前記昇降機構部は、前記高さ位置検出手段による前記幅方向に互いに離間した複数位置における複数の検出結果に基づいて、前記パレット載置台を昇降させるように構成されている、部品供給装置
【請求項4】
電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、
前記パレット収納部に収納された前記パレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、
前記パレットを前記パレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、
前記高さ位置検出手段による前記パレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れする前記パレットの高さ位置に応じた高さ位置へ前記パレット載置台を位置付けるように前記パレット載置台を昇降させる昇降機構部とを備え、
前記高さ位置検出手段は、前記パレット載置台に設けられた接触センサを含み、前記パレット載置台を前記パレットに近づけるように昇降させて前記接触センサが前記パレットに接触することにより、前記パレットの高さ位置を検出するように構成されている、部品供給装置
【請求項5】
前記高さ位置検出手段は、前記パレットを前記パレット収納部から最初に前記パレット載置台に移動させる際に、前記パレットの高さ位置を検出するように構成され、
前記昇降機構部は、高さ位置検出済みの前記パレットを前記パレット収納部と前記パレット載置台との間で出し入れする際に、前記高さ位置の検出結果に基づいて前記パレット載置台を昇降させるように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記高さ位置検出手段は、前記パレット収納部に収納されたすべての前記パレットの高さ位置を予め検出するように構成され、
前記昇降機構部は、前記パレットを前記パレット収納部と前記パレット載置台との間で出し入れする際に、予め検出された前記高さ位置の検出結果に基づいて前記パレット載置台を昇降させるように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記高さ位置検出手段は、前記パレット載置台に設けられた接触センサを含み、前記パレット載置台を前記パレットに近づけるように昇降させて前記接触センサが前記パレットに接触することにより、前記パレットの高さ位置を検出するように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置および実装システムに関し、特に、電子部品を保持するパレットを用いて部品供給を行う部品供給装置およびそのような部品供給装置を備えた実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を保持するパレットを用いて部品供給を行う部品供給装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電子部品を保持する複数のパレットを収納するパレット収納部と、パレット収納部を上下に昇降させる昇降機構とを備え、パレットを用いて部品実装装置に部品供給を行う部品供給装置が開示されている。上記特許文献1では、部品実装装置の所定の引出高さ位置にパレット移動機構を備えたパレット載置台が設置されており、部品供給装置のパレット収納部を昇降させて、収納されたパレットの高さ位置を引出高さ位置に一致させると、パレット移動機構によってパレットをパレット載置台に引き出すことができる。また、部品供給装置のパレット収納部の下端位置に、検出用のドグが固定されており、パレット収納部を昇降させると、部品実装装置に設置された光センサによってドグが検出される。収納されたパレットを引き出す際には、光センサによってドグが検出される位置から、ドグからパレットまでの設計上の距離(高さ方向の距離)をオフセットさせ、さらに光センサの高さ位置と引出高さ位置との距離を加味することによって、昇降機構が所望のパレットを引出高さ位置に位置付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−29282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パレット収納部内の各パレットの高さ位置は製造誤差や組付誤差により設計値からずれる場合があるとともに、パレット自体が薄い板状部材である場合が多いためにパレットが長期使用に伴って変形し、設計通りの高さ位置に収まらない場合もある。このような場合に、上記特許文献1に記載された部品供給装置では、ドグの検出位置を基準に、ドグからパレットまでの設計上の距離をオフセットさせることにより各パレットを引出高さ位置まで移動させているため、パレット収納部内でのパレットの高さ位置が設計値に対してずれている場合に、パレットの高さ位置に対するパレット載置台の高さ位置(引出高さ位置)が所望の高さ位置となるようにパレット収納部を昇降させることができないという問題点がある。パレットの高さ位置と引出高さ位置とがずれると、パレットを引き出す際のパレットとパレット載置台との接触時にパレットに衝撃が加わり、その結果、パレットが振動してパレット内の電子部品の位置ずれ、裏返りなどの原因となる可能性がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、パレット収納部内でのパレットの高さ位置が設計値に対してずれる場合にも、パレットの高さ位置に対してパレット載置台を所望の高さ位置に正確に位置付けることが可能な部品供給装置および実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における部品供給装置は、電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、パレット収納部に収納されたパレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、パレットをパレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、高さ位置検出手段によるパレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れするパレットの高さ位置に応じた高さ位置へパレット載置台を位置付けるようにパレット載置台を昇降させる昇降機構部とを備え、パレットをパレット収納部とパレット載置台との間で出し入れするためのパレット移動機構とを備え、高さ位置検出手段は、パレット収納部内に収納されたパレットのうち検出対象のパレットをパレット移動機構によりパレット収納部から途中まで引き出した状態で、パレットの高さ位置を検出するように構成されている
また、上記目的を達成するために、この発明の第2の局面における部品供給装置は、電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、パレット収納部に収納されたパレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、パレットをパレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、高さ位置検出手段によるパレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れするパレットの高さ位置に応じた高さ位置へパレット載置台を位置付けるようにパレット載置台を昇降させる昇降機構部とを備え、高さ位置検出手段は、パレットの出し入れ方向と直交する幅方向に互いに離間した複数位置で、それぞれパレットの高さ位置を検出するように構成されており、昇降機構部は、高さ位置検出手段による幅方向に互いに離間した複数位置における複数の検出結果に基づいて、パレット載置台を昇降させるように構成されている。
また、上記目的を達成するために、この発明の第3の局面における部品供給装置は、電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、パレット収納部に収納されたパレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、パレットをパレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、高さ位置検出手段によるパレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れするパレットの高さ位置に応じた高さ位置へパレット載置台を位置付けるようにパレット載置台を昇降させる昇降機構部と、パレットをパレット収納部とパレット載置台との間で出し入れするためのパレット移動機構とを備え、高さ位置検出手段は、パレット収納部内に収納されたパレットのうち検出対象のパレットをパレット移動機構によりパレット収納部から途中まで引き出した状態で、パレットの高さ位置を検出するように構成されており、高さ位置検出手段は、パレットの出し入れ方向と直交する幅方向に互いに離間した複数位置で、それぞれパレットの高さ位置を検出するように構成されており、昇降機構部は、高さ位置検出手段による幅方向に互いに離間した複数位置における複数の検出結果に基づいて、パレット載置台を昇降させるように構成されている。
また、上記目的を達成するために、この発明の第4の局面における部品供給装置は、電子部品を保持するパレットを上下方向に並べて複数収納するパレット収納部と、パレット収納部に収納されたパレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段と、パレットをパレット収納部から引き出して載置するためのパレット載置台と、高さ位置検出手段によるパレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れするパレットの高さ位置に応じた高さ位置へパレット載置台を位置付けるようにパレット載置台を昇降させる昇降機構部とを備え、高さ位置検出手段は、パレット載置台に設けられた接触センサを含み、パレット載置台をパレットに近づけるように昇降させて接触センサがパレットに接触することにより、パレットの高さ位置を検出するように構成されている。
【0008】
この発明の第1〜第4の局面による部品供給装置では、上記のように、パレット収納部に収納されたパレットの高さ位置を検出する高さ位置検出手段を設けることにより、パレット収納部に収納された個々のパレットについての実際の高さ位置を直接検出することができる。そして、高さ位置検出手段によるパレットの高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れするパレットの高さ位置に応じた高さ位置へパレット載置台を位置付けるようにパレット載置台を昇降させる昇降機構部を設けることによって、出し入れするパレットについて得られた実際の高さ位置の検出結果から、そのパレットの実際の高さ位置に応じた所望の高さ位置(パレットを出し入れするための高さ位置)へパレット載置台を正確に位置付けることができる。その結果、本発明によれば、パレット収納部内でのパレットの高さ位置が設計値に対してずれる場合にも、パレットの高さ位置に対してパレット載置台を所望の高さ位置に正確に位置付けることができる。
また、この発明の第1および第3の局面による部品供給装置では、パレットをパレット収納部とパレット載置台との間で出し入れするためのパレット移動機構をさらに備え、高さ位置検出手段は、パレット収納部内に収納されたパレットのうち検出対象のパレットをパレット移動機構によりパレット収納部から途中まで引き出した状態で、パレットの高さ位置を検出するように構成されている。これにより、パレット収納部がパレットを多数収納している場合でも、検出対象以外の他のパレットが検出の妨げにならずに、検出対象のパレットの高さ位置を容易に検出することができる。また、パレットを途中まで引き出した状態でパレットの高さ位置を検出することにより、パレットをすべて引き出す場合よりも高さ位置検出動作の時間を短縮することができる。
また、この発明の第2および第3の局面による部品供給装置では、高さ位置検出手段は、パレットの出し入れ方向と直交する幅方向に互いに離間した複数位置で、それぞれパレットの高さ位置を検出するように構成されており、昇降機構部は、高さ位置検出手段による幅方向に互いに離間した複数位置における複数の検出結果に基づいて、パレット載置台を昇降させるように構成されている。
また、この発明の第4の局面による部品供給装置では、高さ位置検出手段は、パレット載置台に設けられた接触センサを含み、パレット載置台をパレットに近づけるように昇降させて接触センサがパレットに接触することにより、パレットの高さ位置を検出するように構成されている。これにより、接触センサをパレットに接触させるだけの簡単な構成で、パレットの高さ位置を検出することができる。また、パレット載置台の昇降に伴って接触センサを移動させることができるので、たとえば接触センサをパレット載置台とは独立して移動させる構成と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【0011】
上記第1〜第4の局面による部品供給装置において、好ましくは、高さ位置検出手段は、パレットをパレット収納部から最初にパレット載置台に移動させる際に、パレットの高さ位置を検出するように構成され、昇降機構部は、高さ位置検出済みのパレットをパレット収納部とパレット載置台との間で出し入れする際に、高さ位置の検出結果に基づいてパレット載置台を昇降させるように構成されている。このように構成すれば、使用するパレットのみについて高さ位置を検出することができ、高さ位置の検出に要する作業時間を抑制することができる。すなわち、パレット収納部に多数のパレットが収納される場合、必ずしもすべてのパレットが使用されるとは限らない。そのため、最初にパレットを使用する時(パレット載置台に移動させる時)に高さ位置検出を行うことにより、使用しないパレットについては高さ位置検出を行わずに済むので、検出作業時間を抑制することができる。
【0012】
上記第1〜第4の局面による部品供給装置において、好ましくは、高さ位置検出手段は、パレット収納部に収納されたすべてのパレットの高さ位置を予め検出するように構成され、昇降機構部は、パレットをパレット収納部とパレット載置台との間で出し入れする際に、予め検出された高さ位置の検出結果に基づいてパレット載置台を昇降させるように構成されている。このように構成すれば、部品供給作業の実施中に高さ位置検出を行う必要がないので、高さ位置検出を行う場合でも動作制御が容易であるとともに、実装作業中の作業効率にも影響を与えずに済む。
【0013】
上記第1〜第3の局面による部品供給装置において、好ましくは、高さ位置検出手段は、パレット載置台に設けられた接触センサを含み、パレット載置台をパレットに近づけるように昇降させて接触センサがパレットに接触することにより、パレットの高さ位置を検出するように構成されている。このように構成すれば、接触センサをパレットに接触させるだけの簡単な構成で、パレットの高さ位置を検出することができる。また、パレット載置台の昇降に伴って接触センサを移動させることができるので、たとえば接触センサをパレット載置台とは独立して移動させる構成と比較して、装置構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、パレット収納部内でのパレットの高さ位置が設計値に対してずれる場合にも、パレットの高さ位置に対してパレット載置台を所望の高さ位置に正確に位置付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1および第2実施形態による実装システムの構成を示した平面図である。
図2】本発明の第1および第2実施形態による実装システムの制御的な構成を示したブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態による部品供給装置を示した縦断面図である。
図4図3に示した部品供給装置のラックおよび載置台を示した斜視図である。
図5図3に示した部品供給装置の載置台とパレットとを示した平面図である。
図6図3に示した部品供給装置の載置台を、ラック側から見た側面図である。
図7図3に示した部品供給装置の接触センサによる検出時の位置関係を説明するための模式的な縦断面図である。
図8】部品供給装置の2つの接触センサによる検出結果のうち、低い方の高さ位置を説明するための図6に対応する模式図である。
図9】部品供給装置の2つの接触センサによる検出結果のうち、高い方の高さ位置を説明するための図6に対応する模式図である。
図10図3に示した部品供給装置においてラックから載置台へパレットを移動させる際の位置関係を説明するための模式的な縦断面図である。
図11図3に示した部品供給装置において載置台からラックへパレットを移動させる際の位置関係を説明するための模式的な縦断面図である。
図12】本発明の第1実施形態による部品供給装置の制御動作を説明ためのフロー図である。
図13】本発明の第2実施形態による部品供給装置の制御動作を説明ためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
まず、図1図12を参照して、本発明の第1実施形態による実装システム100について説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による実装システム100は、表面実装機1と、部品供給装置2とを備えている。また、表面実装機1には、制御装置16(図2参照)が内蔵されており、制御装置16が表面実装機1のみならず部品供給装置2の制御を行うように構成されている。なお、表面実装機1は、本発明の「部品実装装置」の一例である。
【0021】
表面実装機1は、クリーム半田(図示せず)が印刷された基板(配線基板)4に、後述するヘッドユニット14を用いて各種の部品(電子部品)5を実装(搭載)する装置である。ここで、部品5は、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品である。これらの各種の部品5は、部品供給装置2の他、テープフィーダ3からも供給される。なお、部品5は、本発明の「電子部品」の一例である。
【0022】
表面実装機1は、基台10と、基台10上に設けられた基板搬送部11と、基板搬送部11の両側(Y1側およびY2側)に配置された部品供給領域12および13と、基板搬送部11の上方(図1の紙面手前側)をX−Y平面に沿って移動可能なヘッドユニット14と、ヘッドユニット14に取得された実装前の部品5の状態を撮像する部品撮像部15と、制御装置16(図2参照)とを備えている。
【0023】
基台10上に配置された基板搬送部11は、基板4の搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア11aを有している。一対のコンベア11aは、一方側(X1側)から基板4を受け入れて所定の作業位置まで搬送するとともに、作業位置において基板4を保持する機能を有している。また、一対のコンベア11aは、部品5の実装完了後に、実装済みの基板4を他方側(X2側)に搬出する機能をさらに有している。
【0024】
基板搬送部11の前側(Y2側)に確保された2カ所の部品供給領域12には、それぞれ、部品供給装置2が配置されている。また、基板搬送部11の後側(Y1側)に確保された部品供給領域13には、複数のテープフィーダ3が横方向(X方向)に沿って並んで配置されている。これらのテープフィーダ3は、部品供給領域13に設けられたスロット(図示せず)に着脱可能に装着されている。部品供給装置2およびテープフィーダ3は、それぞれの部品供給領域12および部品供給領域13にセットされた状態で、表面実装機1の制御装置16と接続され、制御装置16によって動作が制御されるように構成されている。
【0025】
ここで、テープフィーダ3は、部品5を所定の間隔を隔てて保持した部品テープ(図示せず)が巻回されたリール(図示せず)を保持可能に構成されている。テープフィーダ3は、部品テープをリールから巻き取るようにして間欠的に繰り出すことにより、先端部の所定の部品取出位置まで部品5を搬送するように構成されている。このため、テープフィーダ3は、部品テープに収納可能な小型の部品5を供給する。
【0026】
一方、部品供給装置2は、通常、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)などの大型のパッケージ部品5を供給する。部品供給装置2は、部品5を保持するパレット6をラック30に多数収納しており、ラック30からパレット6を所定の部品取出位置まで移動させることにより、部品5を供給するように構成されている。パレット6には、部品5の設置領域が区画されたトレイ7が設置されており、このトレイ7に大型の部品5が平置きで並べて配置されている。なお、ラック30は、本発明の「パレット収納部」の一例である。部品供給装置2の詳細な構成は、後述する。
【0027】
ヘッドユニット14は、部品供給領域12および13から供給される部品5を吸着するとともに、吸着した部品5を基板4の上方(図1の紙面手前側方向)の所定位置(実装位置)まで移送し、その位置で部品5を基板4に実装する機能を有している。具体的には、ヘッドユニット14の下面には、複数(ここでは、6本)の実装ヘッド14aが取り付けられている。また、各実装ヘッド14aには、先端部が下方(図1の紙面奥側方向)に向けられた部品吸着用の吸着ノズル(図示せず)が取り付けられている。これにより、部品実装動作時には、表面実装機1に設けられた負圧発生機(図示せず)により吸着ノズルの先端部(下端部)に発生させた負圧によって、部品供給装置2やテープフィーダ3の部品5が実装ヘッド14aに個々に吸着される。
【0028】
ヘッドユニット14は、基台10上をX方向に延びる支持部14bを介して移動可能に支持されている。ヘッドユニット14は、支持部14bに設けられたX軸モータ(サーボモータ)14cによりボールねじ軸14dが回動されることによってX方向に移動される。また、基台10の上面には、Y方向に延びる一対の高架フレーム17が配置されており、高架フレーム17には、Y軸モータ(サーボモータ)17aとボールねじ軸17bとが設けられている。ここで、支持部14bは、一対の固定レール17cを介して高架フレーム17上をX方向に跨いでいる。そして、支持部14bは、サーボモータ17aによりボールねじ軸17bが回動されることによって高架フレーム17上を固定レール17cに沿ってY方向に移動される。これにより、ヘッドユニット14は、ボールねじ軸14dおよび17bがそれぞれ回転されて、基台10上のX−Y平面内を任意の位置に移動することが可能に構成されている。
【0029】
また、各々の実装ヘッド14aは、Z軸モータ(サーボモータ)14e(図2参照)および図示しない昇降機構によって、上下方向(Z方向)に昇降可能に構成されている。表面実装機1では、実装ヘッド14aが吸着ノズルを下降位置まで下げた状態で、部品5を部品供給装置2から吸着し、部品5を吸着した状態で一旦上昇位置に戻されて基板4の所定の実装位置の上方まで搬送される。そして、実装位置で再び吸着ノズルが下げられて部品5が基板4に実装される。また、実装ヘッド14aは、R軸モータ(サーボモータ)14f(図2参照)および図示しない回転機構によって、吸着ノズルの中心を通る鉛直軸線(Z方向)を回動中心とする回転方向に回動されるように構成されている。これにより、吸着ノズルの先端部に保持された部品5の姿勢(X−Y平面での向き)が詳細に調整される。なお、テープフィーダ3により供給される部品5についても、同様の動作によって基板4に実装される。
【0030】
また、ヘッドユニット14には基板撮像部14gが取り付けられている。表面実装機1は、基板撮像部14gにより基板4に付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を上方から撮像し、基板4の位置および姿勢を認識するように構成されている。これにより、基板4の任意の実装位置の上方に実装ヘッド14aの吸着ノズルを位置付け、部品実装を行うことが可能である。
【0031】
部品撮像部15は、図1に示すように、基台10上に固定的に設置されている。また、部品撮像部15は、ヘッドユニット14により部品供給装置2またはテープフィーダ3から取り出された実装直前の部品5を、下面側から撮像する機能を有している。より詳細には、部品撮像部15は、ヘッドユニット14が部品撮像部15の上方をX方向に移動する間に、部品5の下面側の形状を撮像するように構成されている。これにより、実装直前の吸着部品5の吸着ノズルに対する保持(吸着)状態が、表面実装機1に認識されるように構成されている。
【0032】
制御装置16は、図2に示すように、実装システム100全体の部品実装動作に関する動作を制御するように構成されている。具体的には、制御装置16は、CPUからなる演算処理部21と、記憶部22と、モータ制御部23と、外部入出力部24と、画像処理部25とを含んでいる。ここで、記憶部22には、表面実装機1および部品供給装置2などの各装置に実装作業を実行させるための実装プログラム22aと、後述する部品供給装置2の各パレット6の高さ位置データ22bと、その他実装動作制御に必要な各種データ(図示せず)とが格納されている。また、実装システム100には表示ユニット(モニタ)26が設置されており、制御装置16に接続されている。演算処理部21は、操作内容に対応した画像を表示ユニット26に表示させるように構成されている。なお、演算処理部21は、本発明の「制御部」の一例である。
【0033】
モータ制御部23は、演算処理部21から出力される制御信号に基づいて、表面実装機1の各サーボモータ(Y軸モータ17a(図1参照)、X軸モータ14c(図1参照)、Z軸モータ14e、R軸モータ14fおよび基板搬送部11のサーボモータ(図示せず)など)を制御するように構成されている。また、モータ制御部23は、部品供給装置2のサーボモータ(後述する載置台昇降モータ51およびパレット移動モータ41c)や、テープフィーダ3に内蔵されたテープ巻取駆動用のサーボモータ(図示せず)を制御する。また、モータ制御部23は、各サーボモータが有するエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいてヘッドユニット14のX−Y平面内の位置、吸着ノズルの高さ位置および回転位置、部品供給装置2の後述する載置台40の高さ位置やパレット6の引出位置などを認識可能に構成されている。
【0034】
また、外部入出力部24は、表面実装機1の運転操作上の各種センサ類からの入出力を制御する機能を有している。また、演算処理部21は、外部入出力部24を介して、部品供給装置2の後述する接触センサ42の出力信号を受け取るように構成されている。なお、接触センサ42は、本発明の「高さ位置検出手段」の一例である。
【0035】
画像処理部25は、基板撮像部14gおよび部品撮像部15が撮像した画像データに所定の画像処理を施す機能を有している。そして、演算処理部21は、画像処理部25による画像処理結果(撮像結果)に基づいて、基板4の位置および姿勢や、吸着部品5の保持状態を認識するように構成されている。
【0036】
次に、図1図11を参照して、第1実施形態による部品供給装置2の構造について詳細に説明する。
【0037】
図3に示すように、部品供給装置2は、部品5を保持するパレット6を上下方向(Z方向)に並べて複数収納するラック30と、パレット6をラック30から引き出して載置するための載置台40と、載置台40を昇降させる昇降機構部50とを備えている。また、載置台40には、図4に示すように、パレット6をラック30と載置台40との間で出し入れするための引出機構41と、ラック30に収納されたパレット6の高さ位置を検出するための複数(2つ)の接触センサ42とが設けられている。なお、載置台40および引出機構41は、それぞれ、本発明の「パレット載置台」および「パレット移動機構」の一例である。
【0038】
図3および図4に示すように、ラック30は、部品供給装置2の内部で上下方向に3つ並ぶ(図3参照)ようにして、上下方向に固定的に配置されている。それぞれのラック30は同一構成を有する。ラック30は、Y方向に貫通する矩形枠状の形状を有している。ラック30の両方の側面30a(図4参照)の内側には、水平方向(Y方向)に延びるレール31(図3参照)が上下に間隔を隔てて並ぶように配置されている。なお、図3では、説明のため、最下段のラック30について、パレット6を抜き取った状態を図示している。
【0039】
パレット6は、上方(Z1側)が開放された平坦な薄肉の皿状部材であり、アルミなどの金属材料からなる。パレット6は、図5に示すように、出し入れ方向(Y方向)と直交する幅方向(X方向)に長い矩形形状を有し、幅方向の両端の短辺には、それぞれ外側に突出するフランジ部6aが形成されている。この両側のフランジ部6aがラック30の両側面30aの内側で同じ高さ位置に配置された一対のレール31(図3参照)によって支持される。これにより、パレット6は、Y方向に移動可能な状態で、幅方向(X方向)の両端を支持されている。また、パレット6の前側(Y1側)には、前側に突出するとともに長辺に沿って幅方向(X方向)に延びる係合片6bが設けられている。
【0040】
なお、図3に示すように、ラック30のレール31は、パレット6を支持するほか、パレット6をラック30から出し入れする際(Y方向に移動する際)のガイドとしての機能を有する。また、レール31のY方向の両端部には、先細り形状の案内部31a(図7参照)が形成されている。このため、隣接するレール31間の溝が、Y方向の両端部で上下に拡がっており、案内部31aは、パレット6の出し入れの際に多少の位置ずれがあっても溝内に案内する機能を有する。なお、部品供給装置2の背面(Y2側)にはドア部2aが設けられ、開閉可能となっており、部品供給装置2の背面側からパレット6を入れ替えることが可能である。
【0041】
載置台40は、部品供給装置2内でラック30の前側(Y1側)に配置されている。載置台40は、図4に示すように、幅方向(X方向)の両端の側壁にそれぞれY方向に延びる支持レール43を有しており、パレット6の下面の幅方向両端部分をY方向移動可能な状態で支持するように構成されている。これにより、載置台40は、図5に示すように、ラック30内のパレット6を、前側端部の引出位置Py1まで引き出して支持する。支持レール43のラック30側(Y2側)端部には、先端に向けて低くなるように傾斜した案内部43a(図7参照)が形成されている。案内部43aは、レール31の案内部31aと同様、パレット6がラック30から載置台40へ乗り移る際にパレット6を案内する機能を有する。
【0042】
載置台40は、図3に示すように、昇降機構部50によって上下方向(Z方向)に支持および駆動されるように構成されている。具体的には、幅方向外側に配置された上下に延びるガイドレール44と係合するスライダ45が載置台40に取り付けられており、スライダ45を介して載置台40がガイドレール44に沿って上下移動可能に構成されている。また、昇降機構部50は、載置台昇降モータ(サーボモータ)51と、ベルト−プーリ機構52とを含み、載置台昇降モータ51により上下に延びる駆動ベルトを回転させ、駆動ベルトに固定されたスライダ45を上下させるように構成されている。これにより、載置台40がベルト−プーリ機構52の回転に伴って上下に昇降することにより、ラック30に保持された任意のパレット6の高さ位置に応じて載置台40を位置付けることが可能である。
【0043】
なお、部品供給装置2の上面の前側端部は開口2bが形成されており、引出位置Py1までパレット6が引き出されると、載置台40が上昇してパレット6上に設置されたトレイ7が開口2bの下方位置(Z2側)に配置される。これにより、ヘッドユニット14の実装ヘッド14aが上方から開口2bを介してトレイ7上の部品5を吸着して取り出し可能となっている。
【0044】
引出機構41は、図4に示すように、載置台40の内底部に配置され、係合フック41aと、係合フック41aが取り付けられたベルト−プーリ機構41bと、ベルト−プーリ機構41bを駆動するパレット移動モータ(サーボモータ)41c(図3参照)とを含む。係合フック41aは、上側(Z1側)に突出するローラであり、この係合フック41aがパレット6の係合片6bと係合可能に構成されている。係合フック41aは、パレット移動モータ41cがベルト−プーリ機構41bを駆動することにより、載置台40のY方向の両端間を移動することが可能である。これにより、図5に示すように、係合フック41aをY2方向端部からY1方向側に移動させると、係合フック41aがパレット6の係合片6bと係合し、Y1方向端部の引出位置Py1(二点鎖線参照)までの任意の位置にパレット6を配置することができる。また、係合片6bを逆にY2方向に駆動すれば、パレット6を元の収納位置Py2まで戻すことができる。
【0045】
2つの接触センサ42は、図6に示すように、載置台40のラック30側の端部(Y2側端部)において、引出方向(Y方向)と直交する幅方向(X方向)に互いに離間してそれぞれ設けられている。具体的には、2つの接触センサ42は、載置台40の幅方向の両端位置にそれぞれ配置されている。それぞれの接触センサ42は、伸縮(進退)可能な検出子42aを上方に向けた状態で載置台40に固定的に取り付けられ、それぞれパレット6の高さ位置を検出するように構成されている。
【0046】
なお、部品供給装置2が表面実装機1に接続されることにより、各接触センサ42は制御装置16(図2参照)の外部入出力部24に接続される。図2に示すように、各接触センサ42は、パレット6と接触すると、それぞれ外部入出力部24を介して、パレット6の検出信号を個別に演算処理部21へ出力する。
【0047】
図7に示すように、接触センサ42は、載置台40をパレット6に近づけるように昇降させて接触センサ42の検出子42aがパレット6に接触することにより、パレット6の実際の高さ位置を検出するように構成されている。これにより、演算処理部21は、接触センサ42が検出信号を出力した時点での、載置台昇降モータ51のエンコーダ(図示せず)の出力信号(載置台昇降モータ51のエンコーダの座標値)に基づいて、パレット6の高さ位置を取得することが可能である。演算処理部21は、取得したパレット6の高さ位置データ22b(図2参照)を、接触センサ42の検出結果として記憶部22に格納する。
【0048】
第1実施形態では、接触センサ42は、ラック30内に収納されたパレット6のうち、検出対象のパレット6を引出機構41によりラック30から途中まで引き出した状態で、パレット6の高さ位置を検出するように構成されている。すなわち、接触センサ42は、図7に示すように、検出対象のパレット6が接触センサ42の上方の検出引出位置Py3まで引き出された状態で、そのパレット6の下面と接触することにより、パレット6の高さ位置を検出するように構成されている。検出引出位置Py3は、収納位置Py2を基準として、接触センサ42の検出位置までの距離D1以上で、かつ、載置台40の支持レール43の後端部までの距離D2よりも小さい所定距離D3分だけパレット6を引き出した所定位置である。これにより、高さ位置の検出時にパレット6の前側(Y1側)端部が載置台40と接触するのが防止される。
【0049】
昇降機構部50の載置台昇降モータ51は、モータ制御部23(図2参照)を介して演算処理部21により駆動制御される。その結果、昇降機構部50は、接触センサ42によるパレット6の高さ位置の検出結果に基づいて、出し入れするパレット6の高さ位置に応じた高さ位置(後述する引出高さ位置Pz3および収納高さ位置Pz4)へ載置台40を位置付けるように構成されている。
【0050】
ここで、第1実施形態では、昇降機構部50は、ラック30から載置台40にパレット6を移動させる場合(引出時)には、接触センサ42の複数(2つ)の検出結果のうち、低い方の検出結果に基づいて載置台40を昇降させ、載置台40からラック30にパレット6を移動させる場合(収納時)には、複数(2つ)の検出結果のうち、高い方の検出結果に基づいて載置台40を昇降させるように構成されている。
【0051】
すなわち、ラック30内のレール31の組み付け誤差などによりパレット6が幅方向(X方向)に傾斜している場合や、パレット6自体が長期使用に伴い変形して湾曲しているような場合、または、レール31の摩耗により高さ位置が変化する場合などには、パレット6に対する2つの接触センサ42の接触位置が上下にずれることになる。したがって、高さ位置検出時に載置台40をパレット6の下方から上昇させると、図8に示すように、一方の接触センサ42が高さ位置Pz1で先に接触して検出信号を出力する。その後、載置台40の上昇を継続すると、図9に示すように、他方の接触センサ42が高さ位置Pz2(Pz2>Pz1)で接触して検出信号を出力する。このため、演算処理部21は、1つのパレット6につき、接触センサ42の個数分だけ、高さ位置データ22b(高さ位置Pz1およびPz2)を取得して記憶部22に格納する。なお、図8および図9では、理解の容易化のため、高さ位置Pz1と高さ位置Pz2との相違を誇張して図示している。
【0052】
そして、パレット6の引出時には、図10に示すように、低い方の検出結果(高さ位置Pz1)に基づく引出高さ位置Pz3に載置台40が位置付けられ、パレット6が引き出される。これにより、パレット6の移動先である載置台40がパレット6の収納高さ位置に対して相対的に低い位置に位置付けられるため、パレット6を引き出す際にパレット6の先端が載置台40(支持レール43)の端面に衝突したり、支持レール43の端面に引っかかりながら乗り越えたりするケースが抑止される。なお、図10では、理解の容易化のために高さ位置の相違を誇張して図示している。実際には、引出高さ位置Pz3は、引出対象のパレット6の収納高さ位置と略同じか、わずかに低い位置であり、少なくとも引出対象のパレット6の収納高さ位置より高くならない位置になる。
【0053】
同様に、パレット6の収納時には、図11に示すように、高い方の検出結果(高さ位置Pz2)に基づく収納高さ位置Pz4に載置台40が位置付けられ、パレット6が収納される。これにより、パレット6の移動先であるラック30がパレット6の高さ位置(すなわち、載置台40の高さ位置)に対して相対的に低い位置に位置付けられるため、パレット6を収納する際にパレット6の先端がラック30(レール31)の端面に衝突したり、レール31の端面に引っかかりながら乗り越えたりするケースが抑止される。この図11でも、理解の容易化のために高さ位置の相違を誇張して図示している。実際には、収納高さ位置Pz4は、引出対象のパレット6の収納高さ位置と略同じか、わずかに高い位置であり、少なくとも引出対象のパレット6の収納高さ位置より低くならない位置になる。
【0054】
引出高さ位置Pz3および収納高さ位置Pz4は、それぞれ、低い方の検出結果(高さ位置Pz1)および高い方の検出結果(高さ位置Pz2)をそのまま用いることができる。また、接触センサ42の検出位置と、支持レール43の高さ位置とが異なる場合には、その分の距離を各検出結果から補正した値として、引出高さ位置Pz3および収納高さ位置Pz4が算出される。
【0055】
なお、第1実施形態では、接触センサ42は、基板4に対する部品5の実装作業時に、パレット6をラック30から最初(初回)に載置台40に移動させる際に、パレット6の高さ位置を検出するように構成されている。そして、昇降機構部50は、高さ位置検出済みのパレット6をラック30と載置台40との間で出し入れする際に、高さ位置の検出結果(高さ位置データ22b)に基づいて載置台40を昇降させるように構成されている。したがって、基板4に対する部品5の実装に際して、ラック30の中で使用されないパレット6(実装しない部品を保持するパレットや、予備のパレットなど)については、高さ位置の検出が行われない。
【0056】
次に、図1〜3および図7図12を参照して、実装システム100の部品供給装置2においてパレット6の高さ位置検出および部品供給を行う際の制御装置16(演算処理部21)(図2参照)の制御処理フローについて説明する。
【0057】
第1実施形態では、表面実装機1の実装作業に伴う部品供給作業中に、パレット6の高さ位置検出が行われる。表面実装機1側の動作および制御処理の内容は公知であるので説明を省略し、ここでは部品供給装置2の動作制御について説明する。上記の通り、部品供給装置2の動作制御は表面実装機1の制御装置16(演算処理部21)によって実施され、部品供給装置2は、表面実装機1の実装作業に連動して動作するように制御される。
【0058】
図12に示すように、実装作業の開始後、ステップS1では、演算処理部21は、実装プログラム22aに従って、ラック30に保持されたパレット6のうち、いずれかのパレット6(n番目とする)の引き出しを行うか否かを判断する。すなわち、部品供給装置2による、n番目のパレット6に保持された部品5の部品供給を行うか否かが判断される。
【0059】
n番目のパレット6の引き出しを行わない場合、ステップS1の判断を繰り返すことにより、部品供給が必要になるまで待機する。n番目のパレット6の引き出しを行う場合、処理がステップS2に進み、演算処理部21は、引出対象のn番目のパレット6について高さ位置データ22bが記憶部22に格納されているか否かを判断する。実装開始後、引出対象のn番目のパレット6が最初(初回)に引き出される場合には、高さ位置データ22bが記憶部22に格納されていないため、処理がステップS3に進む。
【0060】
ステップS3では、演算処理部21は、昇降機構部50を駆動させ、n番目のパレット6の検出高さ位置Pz5に載置台40を移動(昇降)させる。図7に示すように、検出高さ位置Pz5は、引出機構41の係合フック41aが係合可能な高さ範囲内で、n番目のパレット6の設計上の高さ位置から僅かに低い位置であり、予め設定された所定量だけn番目のパレット6の設計上の高さ位置から下降した位置となる。
【0061】
次に、図12のステップS4において、演算処理部21は、引出機構41を駆動させ、n番目のパレット6を検出引出位置Py3(図7参照)まで引き出す。これにより、n番目のパレット6は、載置台40(レール31)とは非接触で、かつ、接触センサ42とは接触可能な検出引出位置Py3まで、ラック30の収納位置Py2から引き出される。
【0062】
そして、ステップS5において、演算処理部21は、接触センサ42による高さ位置検出を行う。すなわち、演算処理部21は、昇降機構部50により載置台40をn番目のパレット6の下方から上昇させ、接触センサ42の検出子42aをパレット6の下面に接触させる。この際、演算処理部21は、2つの接触センサ42のそれぞれから検出信号が出力されるまで載置台40を微速上昇させ、各接触センサ42の検出信号出力時点での載置台40の高さ位置(エンコーダ出力座標値)をそれぞれ取得する。この結果、n番目のパレット6について、高低2つの高さ位置データ(高さ位置Pz1およびPz2、図8および図9参照)22bが取得される。
【0063】
n番目のパレット6について得られた2つの検出結果(高さ位置データ22b)は、ステップS6において、記憶部22(図2参照)に格納される。これにより、n番目のパレット6に対する高さ位置検出が完了し、演算処理部21は、ステップS7において、載置台40をn番目のパレット6の引出高さ位置Pz3(図10参照)に移動させる。すなわち、2つの高さ位置データ22bの内、高さ位置Pz1に対応する低い方の高さ位置データに基づく引出高さ位置Pz3に、載置台40が移動(昇降)される。なお、ステップS2において、n番目のパレット6の高さ位置データ22bが記憶部22に格納されていると判断された場合(2回目以降の引き出し動作の場合)には、そのまま処理がステップS7に進み、載置台40が引出高さ位置Pz3に位置付けられる。
【0064】
そして、図12のステップS8において、演算処理部21は、引出機構41を引出方向(Y1方向)に駆動させ、n番目のパレット6をY方向端部の引出位置Py1(図5参照)まで引き出す。これにより、n番目のパレット6がラック30から載置台40に乗り移る。そして、ステップS9において、演算処理部21は、載置台40を上端の部品供給高さ位置(開口2bの近傍の高さ位置)まで上昇させる(図3参照)。これにより、表面実装機1のヘッドユニット14によりパレット6内の部品5を吸着可能な部品取出位置にパレット6が配置され、部品5が供給される。
【0065】
その後、図12のステップS10では、演算処理部21は、引出位置Py1に配置したn番目のパレット6を収納するか否かを判断する。演算処理部21は、パレット6を収納すると判断するまでは、ステップS10の判断を繰り返し、待機する。この間に、n番目のパレット6から必要数の部品5がヘッドユニット14により取り出されて、基板4に実装される。別のパレット6の部品5を供給する場合など、引出位置Py1に配置したn番目のパレット6を収納する場合には、処理がステップS11に進む。
【0066】
ステップS11では、演算処理部21は、載置台40をn番目のパレット6の収納高さ位置Pz4(図11参照)に移動させる。すなわち、2つの高さ位置データ22bの内、高さ位置Pz2に対応する高い方の高さ位置データに基づく収納高さ位置Pz4に、載置台40が移動(昇降)される。そして、ステップS12において、演算処理部21は、引出機構41を収納方向(Y2方向)に駆動させ(図5参照)、n番目のパレット6を引出位置Py1からラック30に収納する。これにより、n番目のパレット6が載置台40からラック30に乗り移り、元の収納位置Py2(図5参照)に配置される。
【0067】
n番目のパレット6の収納が完了すると、ステップS1に戻る。以降、ステップS1〜S12の処理が繰り返されることにより、実装プログラム22aに従って実装される部品5が各パレット6から順次供給されることにより、基板生産が進行する。表面実装機1側で基板生産が完了すると、部品供給装置2側の処理も終了する。
【0068】
以上のようにして、部品供給装置2によるパレット6の高さ位置検出および部品供給が行われる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、ラック30に収納されたパレット6の高さ位置を検出する接触センサ42を設けることにより、ラック30に収納された個々のパレット6についての実際の高さ位置(Pz1、Pz2)を直接検出することができる。そして、接触センサ42によるパレット6の高さ位置の検出結果(高さ位置データ22b)に基づいて、出し入れするパレット6の高さ位置に応じた高さ位置(引出高さ位置Pz3、収納高さ位置Pz4)へ載置台40を位置付けるように載置台40を昇降させる昇降機構部50を設けることによって、出し入れするパレット6について得られた実際の高さ位置の検出結果(高さ位置データ22b)から、そのパレット6の実際の高さ位置に応じた所望の高さ位置(引出高さ位置Pz3、収納高さ位置Pz4)へ載置台40を正確に位置付けることができる。その結果、第1実施形態では、ラック30内でのパレット6の高さ位置が設計値に対してずれる場合にも、パレット6の高さ位置に対して載置台40を所望の高さ位置に正確に位置付けることができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、接触センサ42を、ラック30内に収納されたパレット6のうち検出対象のパレット6を引出機構41によりラック30から途中の検出引出位置Py3まで引き出した状態で、パレット6の高さ位置を検出するように構成する。これにより、ラック30がパレット6を多数収納している場合でも、検出対象以外の他のパレット6が検出の妨げにならずに、検出対象のパレット6の高さ位置を容易に検出することができる。また、パレット6を途中まで引き出した状態でパレット6の高さ位置を検出することにより、パレット6をすべて引き出す場合よりも高さ位置検出動作の時間を短縮することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、載置台40をパレット6に近づけるように昇降させて接触センサ42がパレット6に接触することにより、パレット6の高さ位置を検出するように部品供給装置2を構成する。これにより、接触センサ42をパレット6に接触させるだけの簡単な構成で、パレット6の高さ位置(Pz1、Pz2)を検出することができる。また、載置台40の昇降に伴って接触センサ42を移動させることができるので、たとえば接触センサ42を載置台40とは独立して移動させる構成と比較して、部品供給装置2の装置構成を簡素化することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、接触センサ42を、パレット6の出し入れ方向(Y方向)と直交する幅方向(X方向)に互いに離間した2カ所で、それぞれパレット6の高さ位置を検出するように2つ設ける。そして、ラック30から載置台40にパレット6を移動させる場合には、接触センサ42の2つの検出結果(高さ位置データ22b)のうち、低い方の検出結果(高さ位置Pz1)に基づいて載置台40を引出高さ位置Pz3へ昇降させ、載置台40からラック30にパレット6を移動させる場合には、高い方の検出結果(高さ位置Pz2)に基づいて載置台40を収納高さ位置Pz4へ昇降させるように昇降機構部50を構成する。これにより、ラック30と載置台40との間でパレット6を移動させる際に、パレット6の低い部分に対して、パレット6の移動先の高さ位置が同じか僅かに低くなるように載置台40を移動させることができる。この結果、パレット6の高さ位置が幅方向にばらつく場合にも、パレット6の移動先に応じてパレット6の移動時の衝撃を極力低減することが可能な適正な高さ位置(引出高さ位置Pz3、収納高さ位置Pz4)に載置台40を配置することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、パレット6をラック30から最初に載置台40に移動させる際に、パレット6の高さ位置を検出するように接触センサ42を構成する。そして、高さ位置検出済みのパレット6をラック30と載置台40との間で出し入れする際に、高さ位置の検出結果(高さ位置データ22b)に基づいて載置台40を昇降させるように昇降機構部50を構成する。これにより、使用するパレット6のみについて高さ位置を検出することができ、使用しないパレット6については高さ位置検出を行わずに済むので、検出作業時間を抑制することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、図1図3図12および図13を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、実装作業中にパレット6を最初に載置台40に移動させる際にパレット6の高さ位置を検出するように部品供給装置を構成した上記第1実施形態と異なり、ラック30に保持されたすべてのパレット6の高さ位置検出を予め行うように部品供給装置を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに、説明を省略する。
【0075】
本発明の第2実施形態による実装システム200(図1参照)の部品供給装置102(図1参照)において、接触センサ42(図3参照)は、ラック30に収納されたすべてのパレット6の高さ位置を予め検出するように構成されている。また、昇降機構部50(図3参照)は、演算処理部121(図2参照)に制御されることにより、パレット6をラック30と載置台40との間で出し入れする際に、予め検出された高さ位置の検出結果(高さ位置データ22b)に基づいて載置台40を昇降させるように構成されている。なお、第2実施形態による部品供給装置102の動作は、上記第1実施形態と同様、表面実装機1の制御装置16(演算処理部121)によって制御される。また、演算処理部121は、本発明の「制御部」の一例である。
【0076】
このため、第2実施形態では、演算処理部121は、表面実装機1による部品実装動作の開始前の準備動作として、部品供給装置102によるパレット6の高さ位置検出処理を行う。そして、演算処理部121は、すべてのパレット6の高さ位置検出が完了した後で、表面実装機1による部品実装動作を開始するように構成されている。
【0077】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
次に、図12および図13を参照して、第2実施形態による実装システム200の部品供給装置102におけるパレット6の高さ位置検出および部品供給を行う際の制御処理フローについて説明する。
【0079】
図13に示すように、演算処理部121は、表面実装機1による部品実装動作に先だって、まず、パレット6の高さ位置検出を行う。演算処理部121は、ステップS21〜S24において、ラック30に保持されたn番目のパレット6の高さ位置検出を実施する。ステップS21〜S24の内容は、それぞれ、上記第1実施形態におけるステップS3〜S6(図12参照)と同様である。n番目のパレット6の高さ位置検出が完了すると、処理がステップS25に進む。
【0080】
ステップS25において、演算処理部121は、ラック30に保持されたすべてのパレット6の高さ位置検出が完了したか否かを判断する。高さ位置検出が完了していないパレット6が存在する場合には、演算処理部121は、次の未検出のパレット6についてステップS21〜S24の処理を実施する。このステップS21〜S25を繰り返すことにより、演算処理部121は、ラック30に保持されたすべてのパレット6の高さ位置検出を実施する。
【0081】
ステップS25において、ラック30に保持されたすべてのパレット6の高さ位置検出が完了したと判断されると、部品供給装置102側の実装準備動作が修了し、処理がステップS1に進む。これにより、表面実装機1による実装作業が実行可能となる。
【0082】
以降の実装作業中の部品供給装置102による部品供給動作は、上記第1実施形態と同様である。但し、第2実施形態では、すべてのパレット6の高さ位置検出が完了済みであるので、上記第1実施形態におけるステップS2〜S6(図12参照)の処理が不要となる。その他のステップS1およびS7〜S12の処理は、上記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0083】
第2実施形態では、上記のように、接触センサ42を、ラック30に収納されたすべてのパレット6の高さ位置を予め検出するように構成する。そして、昇降機構部50を、パレット6をラック30と載置台40との間で出し入れする際に、予め検出された高さ位置の検出結果(高さ位置データ22b)に基づいて載置台40を昇降させるように構成する。これにより、部品供給作業(実装作業)の実施中に高さ位置検出を行う必要がないので、高さ位置検出を行う場合でも実装作業の作業効率に影響を与えずに済む。
【0084】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0086】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、表面実装機1の制御装置16(演算処理部21(121))が、部品供給装置を含む実装システム全体の制御を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。表面実装機の制御装置とは別個に、独立して部品供給装置の各部の制御を行う制御装置を部品供給装置に設けてもよい。また、部品供給装置に設けた制御装置によって、表面実装機を含む実装システム全体の制御を行うように構成してもよいし、実装システム全体の制御を行う制御装置を表面実装機および部品供給装置とは別個に設けてもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、部品供給装置に接触センサを設けてパレットの高さ位置を検出するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接触センサに代えて、レーザ変位計などの光学センサや、光学センサ以外の他の検出手段を設けてもよい。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、検出対象のパレットを途中の検出引出位置Py3まで引き出した状態で、パレットの高さ位置検出を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、パレットに前側へ突出する検出片を設けて、パレットが収納位置Py2にある状態で、検出片に接触センサが接触するように構成してもよい。この場合、各パレットの検出片の位置を、幅方向にずらして配置し、検出対象のパレットの検出片の位置に合わせて接触センサが幅方向に移動するような構成とすることができる。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、接触センサ42を上方に向けて配置し、載置台40をパレット6の下方から上昇させることにより、接触センサ42にパレット6の下面の高さ位置を検出させた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接触センサを下方に向けて配置し、載置台を下降させてパレットの高さ位置を検出するようにしてもよい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、接触センサを載置台に取り付けて載置台と一体で昇降するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接触センサのみを載置台とは独立して昇降させる昇降機構を設けてもよい。この場合、パレットが収納位置Py2にある状態でも検出可能なようにすれば、載置台の位置によらずにパレットの高さ位置を検出することが可能となる。また、パレットを検出引出位置Py3まで引き出す高さ位置検出専用の引出機構をさらに設けてもよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、載置台に接触センサを2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。接触センサは1つでもよいし、3つ以上でもよい。接触センサを複数設ける場合は、上記第1および第2実施形態で示したように、少なくともパレットの幅方向の両端位置に各センサを配置するのが好ましい。これにより、パレットの幅方向の傾斜(高さ位置ずれ)を正確に検出し易くなるとともに、載置台およびラックにおいてパレットと接触する部分(支持レール43およびレール31)に対応するパレット側の部分の高さ位置を検出することができる。
【0092】
なお、接触センサを複数設ける場合には、低い方の検出結果(高さ位置Pz1)と、高い方の検出結果(高さ位置Pz2)との差分を算出して、得られた差分が所定の許容値よりも大きい場合に、パレット位置異常として、部品供給装置を停止するとともに警告装置(ブザーや警告ランプなど)を作動させる構成としてもよい。これにより、ラック内に収納されたパレットの姿勢異常や、パレットの異常な歪みなどに起因する、パレットの高さ位置ずれを検知して、正常な部品供給動作が実施できるように対処すること(メンテナンスなど)が可能となる。
【0093】
また、上記第1および第2実施形態では、載置台40にパレット6を引き出す場合には、接触センサ42の2つの検出結果のうち、低い方の検出結果(高さ位置Pz1)に基づいて載置台40を引出高さ位置Pz3へ昇降させ、ラック30にパレット6を収納させる場合には、高い方の検出結果(高さ位置Pz2)に基づいて載置台40を収納高さ位置Pz4へ昇降させた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図9に示すように、複数(2つ)の検出結果を平均した平均高さ位置Pz11を用いてもよい。この場合、引出高さ位置および収納高さ位置の両方が、平均高さ位置Pz11に基づいた共通の高さ位置となる。これによっても、個々のパレット6の実際の高さ位置に基づいた引出高さ位置および収納高さ位置に載置台を位置付けることができるので、パレット収納部内でのパレットの高さ位置が設計値に対してずれる場合にも、パレットの高さ位置に対してパレット載置台を所望の高さ位置に正確に位置付けることが可能である。また、この場合、記憶部22には、平均高さ位置Pz11の高さ位置データ22bのみが格納されるので、データ量を抑制することができる。
【0094】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、実装システム100および200の演算処理部21(121)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、演算処理部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 表面実装機(部品実装装置)
2、102 部品供給装置
4 基板
5 部品(電子部品)
6 パレット
21、121 演算処理部(制御部)
30 ラック(パレット収納部)
40 載置台(パレット載置台)
41 引出機構(パレット移動機構)
42 接触センサ(高さ位置検出手段)
50 昇降機構部
100、200 実装システム
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11
図12
図13