(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、不溶性担体粒子を用いたイムノアッセイ法が広く行われていた。
不溶性担体粒子を用いたイムノアッセイ法では、ニトロセルロースメンブレンのような繊維構造を持つ膜の所定の位置に被検出物質に特異的に結合するリガンドを固定化した試験片に、不溶性担体粒子として、金コロイド、白金金コロイド、着色ポリスチレン粒子などを用い、これに被検出物質に特異的に結合するリガンドを固定化した粒子と被検出物質を含む検体を前述の試験片に毛細管現象を利用して展開することで、ニトロセルロースメンブレン上のリガンドと再溶解した不溶性担体粒子上のリガンドで被検出物質をサンドイッチし、目視または専用の装置を用いて検出する手法が用いられている。
【0003】
金コロイド、白金金コロイド、着色ポリスチレン粒子などの不溶性担体粒子は目視で判定できる利点があるが、これらの不溶性担体粒子は専用の装置を用いて検出しても劇的な検出感度の向上は見込めない。一方、蛍光物質を標識したリガンドまたは蛍光物質を含む不溶性担体粒子を使う場合、専用の装置を用いれば、劇的な検出感度向上を見込める利点があるが、一方、目視判定は出来ず、被検出物質の量が多く、目視判定では短時間で検出できるとしても、専用の装置を使う必要があり、逆に煩雑となってしまう。
【0004】
この課題を解決するべく、目視判定が可能な不溶性担体粒子と蛍光粒子を混合して使用することが提案されているが(特許文献1を参照)、不溶性担体粒子上のリガンドと蛍光粒子上のリガンドが競合するため、被検出物質が非常に少ない場合、効率よく蛍光粒子上のリガンドが結合できず、必ずしも高感度とはならない。また、生産効率を考える場合、2種類の不溶性担体粒子を別々に調製する必要があり、効率が悪いという課題が残されていた。
【0005】
さらに、金属からなる微粒子の外側が、少なくとも一種の蛍光物質を含有するシリカの少なくとも1層で覆われた構造を持つイムノクロマトグラフィー用複合粒子を使うことが提案されているが(特許文献2を参照)、本発明では金属からなる微粒子の吸光によって外側の蛍光物質の蛍光が吸収されてしまうため、蛍光物質の種類が制限されることや、シリカ層を用いることが前提となっており、その調製には特別な技術が必要であるという課題が残されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不溶性担体粒子を用いるイムノアッセイ法は、POCT(Point Of Care Test)として体外診断用医薬品として広く使用されており、特に細菌やウイルスに由来する感染症の診断補助に利用されている。感染症は、時に免疫力の低い乳幼児や高齢者などが罹患する場合、命に関わることがあり、インフルエンザウイルス感染症などでは、小児や成人においても同様である。一方、一部の細菌やウイルスには抗生物質や特効薬などの治療薬があり、早期に診断することで確実な治療に結びつけることができる。また、インフルエンザウイルス感染症は、感染性が強く、院内感染やクリニックの待合室での感染を引き起こす可能性がある。そのような現状において、POCTとしての体外診断用医薬品には、高感度である一方で、できる限り短い時間で判定できるものが求められている。
【0008】
本発明は、迅速性が高く、高感度なイムノアッセイに用いる、目視判定もでき、且つ高感度装置測定が可能な不溶性担体粒子、その調製方法、およびそれを用いたイムノアッセイ方法、並びにそれを含むイムノアッセイキットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、目視で確認することのできる可視域着色不溶性担体粒子上の官能基にリガンドを結合する際、同時に蛍光物質を結合することで解決できる。不溶性担体粒子の吸光波長と同じ波長の色と補色の関係にある色の波長の蛍光を発する蛍光物質を組み合わせることで、不溶性担体粒子に蛍光が吸収されることなく、効率よく検出できる。すなわち、赤色の不溶性担体粒子には赤色の蛍光を発する蛍光物質を使用する。これをイムノアッセイに用いることで、被検出物質の量が多い場合には、目視判定により迅速に検出でき、被検出物質の量が少ない場合には、専用の装置を用いて高感度に検出することができる。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] イムノアッセイに用いる、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子であって、該可視域着色不溶性担体粒子による前記蛍光色素が発する波長域の蛍光の吸収が小さい、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[2] 標識に用いる蛍光色素が、可視域着色不溶性担体粒子の吸光波長と同じ波長の色と補色の関係にある色の波長の蛍光を発する蛍光物質である、[1]の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[3] 可視域着色不溶性担体粒子が、青色に着色された粒子であり、蛍光色素が発する蛍光の波長が450nm〜570nmである、[1]または[2]の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[4] 可視域着色不溶性担体粒子が、青色に着色された粒子であり、蛍光色素がフルオレセインまたはフルオレセインイソチシアネートである、[3]の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[5] 可視域着色不溶性担体粒子が、赤色に着色された粒子であり、蛍光色素が発する蛍光の波長が590nm〜750nmである、[1]または[2]の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[6] 可視域着色不溶性担体粒子が、赤色に着色された粒子であり、蛍光色素がATBTA-EU
3+である、[5]の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[7] 不溶性担体粒子がポリスチレンラテックス粒子である、[1]〜[6]のいずれかの蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子。
[8] [1]〜[7]のいずれかの蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を用いたイムノアッセイ方法。
[9] 測定しようとする抗原または抗体を含む抗原抗体複合体に[1]〜[7]のいずれかの蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を結合させ、不溶性担体粒子の着色を目視で観察するか、および/または不溶性担体粒子から発せられる蛍光を測定することにより抗原抗体複合体の存在を決定することを含む、[8]のイムノアッセイ法。
[10] イムノクロマト法である、[8]または[9]のイムノアッセイ法。
[11] [1]〜[7]のいずれかの蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を含むイムノアッセイキット。
[12](i) 可視域着色不溶性担体粒子の吸光スペクトルを測定する工程、
(ii) 該可視域着色不溶性担体粒子の吸収が少ない波長域を決定する工程、
(iii) 該波長域の蛍光を発する蛍光色素を選択する工程、および
(iv) 選択した蛍光色素で前記可視域着色不溶性担体粒子を標識する工程、
を含む、[1]〜[7]のいずれかの蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を調製する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子の存在は目視により検出することも、蛍光検出装置を用いて検出することもできる。従って、本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を、担体粒子の存在を指標にして被検出物質を測定するイムノアッセイに用いた場合、被検出物質の有無を目視によっても、蛍光検出装置によっても判断することができる。本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を用いることにより、蛍光検出装置等の設備がない施設、場所でもPOCT(Point Of Care Test)を簡便に行うことができ、また、蛍光検出装置を用いて蛍光を測定することにより、より高精度な測定も行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、イムノアッセイに用いるための、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子である。
【0015】
不溶性担体粒子とは、粒子自体が液体に不溶性であり、抗原や抗体を結合させ保持する担体となる粒子をいう。本発明においては、検査薬等の技術分野で用いられるラテックス粒子を用いることができる。ラテックス粒子とは、コロイド状に水中に分散した乳濁液を形成する粒子をいう。粒子の材質は限定されないが、検査薬等の技術分野で抗体、抗原、リガンド、レセプター等のタンパク質を結合する固相担体の材料に用いられるものを用いることができる。例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸共重合体などのスチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリメチレンメタアクリレート(PMMA)、ポリビニルトルエン、などの樹脂、シリカ、セルロース等が挙げられる。この中でも、スチレンをベースとする粒子が好ましい。スチレンをベースとする粒子とは、ポリスチレンやスチレンまたはスチレンの誘導体と重合性不飽和カルボン酸や重合性不飽和スルホン酸等との共重合体をいう。スチレンの誘導体としては、クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、重合性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、重合性不飽和スルホン酸としては、スチレンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。本発明において、スチレンをベースとするラテックス粒子をポリスチレンラテックス粒子といい、単にポリスチレン粒子ということもある。また、内部や表面に鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体を含ませた磁性体粒子であってもよい。
用いる粒子の粒径は、10nm〜数百nm、好ましくは30nm〜500nmである。
【0016】
可視域着色粒子とは、人が目で見て認識できる色で着色された粒子をいう。該可視域着色粒子は、特定の波長の可視光線を反射することにより、人がその反射された可視光線により色を認識することができる。可視光線は、波長380nm〜750nm程度の光線である。着色粒子の色は、有彩色として色相で表現され、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色等があり、各色は以下の特定の波長の可視光線を反射することにより人にその色に着色されていると認識される。
赤色 620〜750nm
橙色 590〜620nm
黄色 570〜590nm
緑色 495〜570nm
青色 450〜495nm
紫色 380〜450nm
【0017】
可視域着色粒子は、上記の粒子を各色の色素で染色することにより製造することができる。色素による染色は、粒子表面の染色でもよいが、色素の脱離を防ぐため、色素を粒子に染み込ませることにより粒子内部も染色することが好ましい。また、単独の色素で染色することもできるが、複数の色素で染色することにより任意の色に着色された可視域着色粒子を得ることができる。例えば、赤色粒子、青色粒子、緑色粒子、黄色粒子、ピンク色粒子などの各色の着色粒子を製造することができる。着色に用いる色素は樹脂等の染色に用い得る公知の色素を用いることができ、例えば、スダンブルー、スダンIII、スダンレッドIV、キニザリングリーン、オイルオレンジ等の染料や顔料を用いて着色することができる。また、種々の材質でできた種々の色に着色された粒子が市販されており、それらの市販着色粒子を用いることもできる。
【0018】
本発明においては、上記の可視域着色不溶性担体粒子は、蛍光色素で標識する。標識は例えば、蛍光色素を蛍光標識剤として可視域着色不溶性担体粒子に結合させればよい。結合させる蛍光色素の種類は限定されず、検査薬等の分野で用いられているものを用いることができる。この際、蛍光色素は蛍光色素から発する蛍光の可視域着色粒子への吸収が小さい蛍光色素を選択する。これは、可視域着色粒子に結合させた蛍光色素から発せられる蛍光色素が粒子に吸収されてしまうと、十分な強度の蛍光を粒子からのシグナルとして測定できなくなってしまうからである。蛍光色素から発する蛍光が可視域着色粒子に吸収されない蛍光とは、可視域着色粒子が吸収する光の波長域と蛍光色素から発せられる蛍光の波長域が重複しないことをいう。例えば、用いる可視域着色粒子の吸光スペクトルを吸光光度計を用いて測定し、可視域着色粒子の吸収が小さい波長域の蛍光を発する蛍光色素を用いればよい。可視域着色粒子の吸収が小さい波長域は、該可視域着色粒子の吸収が大きい波長域の色と補色の関係にある色の波長域であり、不溶性担体粒子の吸光波長と同じ波長の色と補色の関係にある色の波長の蛍光を発する蛍光物質を用いることができる。例えば、赤色粒子は、赤色光を反射するため、ヒトが視覚により赤色に着色されていると認識する。一方、赤色着色粒子は、赤色と補色の関係にある色の光を吸収する。赤色光の波長は620〜750nm付近である。赤色と補色の関係にある色は青色から緑色であり、青色光の波長は450〜495nm付近、緑色光の波長は495nm〜570nm付近である。従って、赤色の可視域着色粒子を用いる場合は、青色から緑色と補色の関係にある色の波長の蛍光を発する蛍光色素を用いればよい。青色から緑色と補色の関係にある色は橙色から赤色であり、その波長は590nm〜750nm付近である。従って、赤色に着色された可視域着色不溶性担体粒子を用いる場合は、590nm〜750nm、好ましくは590nm〜650nmの波長域の蛍光を発する蛍光色素を用いればよい。
【0019】
また、青色粒子は、青色光を反射するため、ヒトが視覚により青色に着色されていると認識する。一方、青色着色粒子は、青色と補色の関係にある色の光を吸収する。青色光の波長は450〜495nm付近である。青色と補色の関係にある色は橙色から赤色であり、橙色光の波長は590〜620nm付近、赤色光の波長は620nm〜750nm付近である。従って、青色の可視域着色粒子を用いる場合は、橙色から赤色と補色の関係にある色の波長の蛍光を発する蛍光色素を用いればよい。橙色から赤色と補色の関係にある色は青色から緑色であり、その波長は450nm〜570nm付近である。従って、青色に着色された可視域着色不溶性担体粒子を用いる場合は、450nm〜570nm、好ましくは500nm〜550nmの波長域の蛍光を発する蛍光色素を用いればよい。また、青色粒子は600nm〜700nmの吸収が大きくなる傾向があるので、この波長域を避け、600nm〜700nmよりも低波長域の蛍光を発する蛍光色素が好ましい。
【0020】
本発明においては、用いようとする可視域着色粒子の吸光スペクトルを吸光光度計により測定し、吸収の小さい光の波長域を決定し、該波長域の蛍光を発する蛍光色素を選択し、以下に記載の方法で、上記可視域着色粒子に結合させればよい。このような蛍光色素を用いることにより、蛍光色素から発せられた蛍光の可視域着色不溶性担体粒子への吸収を低く抑えられるので、十分な蛍光強度を得ることができる。
【0021】
可視域着色粒子の蛍光標識に用いる蛍光色素としては、フルオレセイン(fluorescein)、ローダミン(rhodamine)、クマリン、Cy dye、Alexa(登録商標)Fluor、EvoBlue、オキサジン、Carbopyronin、naphthalene、biphenyl、anthracene、phenenthrene、pyrene、carbazole等を基本骨格として有する有機蛍光色素やその蛍光色素の誘導体が挙げられる。また、ユーロピウム(EU
3+)キレートやテルピウム(Tb
3+)キレート等の希土類錯体も用いることができる。ユーロピウム(EU
3+)キレートとしてアミノ基を有するATBTA([4’-(4’-Amino-4-biphenylyl)-2,2’:6’,2”-terpyridine-6,6”-diylbis(methyliminodiacetato)]europate(III))-EU
3+等を用いることができる。さらに、Green Fluorescent Protein(GFP)等の蛍光タンパク質も用いることができる。
【0022】
蛍光色素による可視域着色粒子の標識は、あらかじめ上記の可視域着色粒子にカルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、チオール基、アルデヒド基等の官能基を導入しておき、上記蛍光色素にも官能基を導入し、官能基同士の結合反応により蛍光色素を可視域着色粒子に結合させることにより行うことができる。例えば、アミノ基とカルボキシル基をアミド結合により結合させたり、チオール基同士をジスルフィド結合により結合させることができる。また、官能基同士を架橋試薬を用いて結合させてもよい。架橋試薬として、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド、EDAC(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩)、グルタルアルデヒド等が挙げられる。また、蛍光色素として希土類錯体を用いる場合、アミノ基を導入したATBTA-EU
3+等を用いればよい。さらに、蛍光タンパク質を用いる場合は、官能基同士の結合を利用してもよいが、蛍光タンパク質を可視域着色粒子に物理的吸着を利用して結合させることもできる。アミノ基やカルボキシル基を導入した蛍光色素は市販のものを用いることができる。
【0023】
また、可視域着色不溶性担体粒子の主材料に予め蛍光色素を混入させておくこともできる。例えば、不溶性担体ラテックス粒子の材料となる樹脂等に蛍光色素と可視域着色色素を練り込み等により含有させ、不溶性担体粒子を作製することができる。さらに、蛍光不溶性担体粒子を可視域着色色素によって標識することもできる。ここで、蛍光不溶性担体粒子とは、蛍光色素を結合させた不溶性担体粒子の他、蛍光を発し得る物質でできた不溶性担体粒子も含む。このような粒子として、例えば、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)等の希土類元素が付活されたM
IM
IIO
4又はM
IAl
5O
12(M
Iはイットリウム(Y)、ランタン(La)又はガドリニウム(Gd)、M
IIはニオブ(Nb)、リン(P)又はバナジウム(V))からなる粒子が挙げられ、特開2012-32263号公報に記載のものを用いることができる。また、可視域着色色素とは、人が目で見て認識できる色で着色された色素をいい、樹脂等の染色に用い得る公知の色素を用いることができ、例えば、スダンブルー、スダンIII、スダンレッドIV、キニザリングリーン、オイルオレンジ等の染料や顔料が挙げられる。例えば、不溶性担体ラテックス粒子の材料となる樹脂等に蛍光色素を練り込み等により含有させ、不溶性担体粒子を作製し、その後、可視域着色色素により染色することができる。本発明においては、これらの蛍光色素を混入した主材料を用いて製造した可視域着色不溶性担体粒子、及び可視域着色色素によって標識された蛍光不溶性担体粒子も、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子という。すなわち、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子とは、蛍光を発し、かつ可視域の色に着色されたあらゆる不溶性担体粒子を含む。
【0024】
本発明に用い得る蛍光色素およびその蛍光波長(nm)をかっこ内に示す。蛍光波長は測定条件等により、前後する。下記波長の±数十nm、例えば、±25nmの範囲で測定することができる。これらの蛍光色素は一例であり、これらには限定されず。種々の蛍光色素をその蛍光波長に基づいて使用することができる。
【0025】
有機蛍光色素
Dylight405(420)、DY-405(420)、Cascade Blue(420)、Alexa Fluor405(421)、AMCA(440)、Alexa-350(442)、AMCA-X(447)、Pacific Blue(455)、Marine Blue(460)、DY-415(467)、Royal Blue(480)、ATTO425(484)、Cy2(505)、ATTO465(508)、DY-475XL(509)、NorthernLights493(514)、BODIPY 505/515(515)、DY-490(516)、Dylight488(518)、Alexa-488(519)、5-FITC(519)、FAM(520)、DY-495-X5(520)、DY-495(521)、フルオレセイン(Fluorescein)(521)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)(522)、ATTO488(523)、HiLyte Flour488(523)、MFP488(523)、ATTO495(527)、OG-488(524)、Rhodamine110(525)、OG-514(530)、Oyster500(530)、Spectrum Green(538)、Alexa-430(541)、ATTO520(545)、ATTO532(553)、Cas Y(554)、Alexa-532(554)、DY-500XL(555)、DY-485XL(560)、Alexa-555(565)、HiLyte Plus 555(552/567)、DyLight549(568)、HiLyte Fluor555(568)、Cy3(565)、Dylight547(570)、Rhodamine(570)、TRITC(570)、DY548(572)、DY-554(572)、DY-555(572)、Alexa Fluor 546(573)、DY-556(573)、NorthernLights557(574)、Oyster550(574)、5-TAMRA(574)、DY-505-X5(574)、DY-547(574)、Oyster 556(575)、DY-549(575)、Alexa-546(575)、ATTO550(576)、PE(578)、B-PE(578)、R-PE(578)、DY-560(578)、TAMRA(580)、Tetramethyl rhodamine(578)、RITC/TMR(580)、MFP555(585)、Spectrum Orange(588)、DY-510XL(590)、Rhodamine B(590)、ATTO565(592)、Cy3.5(596)、ROX(Rhodamine Red X)(599)、DY-590(599)、5-ROX(602)、Alexa-568(603)、BODIPY 580/605(605)、Spectrum Red(612)、ECD(613)、Texas Red(615)、DyLight594(618)、Alexa Flour594(619)、HiLyte Fluor TR(622)、ATTO590(624)、MFP590(624)、DY-610(630)、DY480XL(630)、ATTO610(634)、DY-615(641)、C-Phycocyanin(647)、ATTO620(643)、Alexa-633(647)、Phycocianin(650)、DY-481XL(650)、ATTO633(657)、DY-630(657)、DY-632(657)、DY-633(657)、MFP631(658)、DyLight633(658)、NorthernLights637(658)、DY-631(658)、DY-634(658)、APC(Allophycocyanin)(660)、APC-XL(660)、DY-520XL(664)、Alexa-647(668)、Cy5(667)、DY-521XL(668)、Oyster645(669)、Quantum Red(670)、DY-635(671)、DY-636(671)、DY-647(673)、DyLight647(673)、HiLyte Fluor(647)、DyLight649(674)、HiLyte Plus647(674)、Oyster650(674)、DY-648(674)、DY-650(674)、PerCP(675)、DY-652(675)、DY-649(676)、DY-651(678)、Oyster656(679)、ATTO655(684)、Alexa-660(690)、Cy5.5(694)、DY-677(694)、DY-678(698)、HiLyte Fluor680(699)、DY-675(699)、DY-676(699)、IRDye700DX(700)、Alexa-680(702)、DY-681(708)、DY-680(709)、DY-682(709)、DyLight680(715)、Alexa Fluor700(723)、DY-700(730)、DY-701(731)、DY-730(758)、DY-732(759)、DY-734(759)、DY-731(760)、DY-752(772)、DY-750(776)、DyLight750(778)、HiLyte Fluor750(778)、DY-749(778)、HiLyte Plus750(779)、APC7(779)、DY-751(779)、DyLight800(794)、IRDye800CW(800)、DY-780(800)、DY-781(800)、DY-782(800)、DY-776(801)、DY-777(801)、IRDye800(806)等。
希土類錯体
ATBTA-EU
3+(616)等。
蛍光タンパク質
Sirius(424)、CFP(505)、AcGFP(505)、EGFP(509)、EYFP(527)、YFP(527)、ZsYellow(539)、mOrange(562)、DsRed2(582)、AsRed2(592)、mRFP1(607)、mCherry(610)、HcRed(618)、mRasberry(625)、mPlum(649)等。
【0026】
例えば、可視域着色粒子として青色のポリスチレンラテックス粒子を用いる場合、青色ポリスチレンラテックス粒子は600〜700nm付近に吸収のピークを有するので、例えば、これよりも低い波長域、例えば、450〜550nm付近、好ましくは500nm付近に蛍光波長を有する蛍光色素を用いればよい。このような蛍光色素として、例えば、蛍光波長が521nmのフルオレセインが挙げられる。また、可視域着色粒子として赤色のポリスチレンラテックス粒子を用いる場合、赤色ポリスチレンラテックス粒子は500〜550nm付近に吸収のピークを有するので、例えば、これよりも高い波長域、例えば、600〜700nm付近に蛍光波長を有する蛍光色素を用いればよい。このような蛍光色素として、例えば、蛍光波長が616nmのATBTA-EU
3+が挙げられる。
【0027】
本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子は、ヒトの目で色を認識することができ、かつ蛍光色素から蛍光を発する。不溶性担体粒子をイムノアッセイに用いる場合、不溶性担体粒子に抗原または抗体を結合させ、被験体試料中の抗体または抗原を結合させ、抗原と抗体の複合体が形成された不溶性担体粒子を回収あるいは集積させ、不溶性担体粒子の存在の有無により、被験体試料中の抗体または抗原の存在を測定する。本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子をイムノアッセイに用いた場合、色を目視で確認する目視判定により抗体または抗原の存在を測定することもでき、また不溶性担体から発せられる蛍光を蛍光検出装置により測定することによっても、抗体または抗原の存在を測定することができる。
【0028】
抗原または抗体を蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子に結合させるには、不溶性担体粒子に蛍光色素を結合させる方法と同様の方法で、不溶性担体粒子の官能基と抗原または抗体の官能基を結合させればよい。また、抗原または抗体を不溶性担体粒子に物理的吸着により結合させることもできる。
【0029】
本発明は、上記の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を調製する方法も包含し、該調製方法は、(i) 可視域着色不溶性担体粒子の吸光スペクトルを測定する工程、(ii) 該可視域着色不溶性担体粒子の吸収が少ない波長域を決定する工程、(iii) 該波長域の蛍光を発する蛍光色素を選択する工程、および(iv) 選択した蛍光色素で前記可視域着色不溶性担体粒子を標識する工程、を含む。
【0030】
本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を利用するイムノアッセイは限定されず、イムノクロマト法、凝集法等が挙げられるが、イムノクロマト法が好ましい。イムノクロマト法は公知のイムノクロマト法用デバイスを用いて公知の方法で行うことができる。本発明は、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を利用するイムノアッセイ方法も包含する。該方法は、測定しようとする抗原または抗体を含む抗原抗体複合体に、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を結合させ、不溶性担体粒子の着色を目視で観察するか、および/または不溶性担体粒子から発せられる蛍光を測定することにより抗原抗体複合体の存在を決定することを含む。すなわち、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子の色または蛍光に基づいて、抗原または抗体を測定する。測定は、定性的測定も定量的測定も含む。
【0031】
例えば、被験体試料中の抗原を検出するイムノクロマト法においては、ニトロセルロース膜等の適当な固相支持体上の所定の位置(検出部位)に被検出物質である抗原と特異的に結合し得る抗体を固相化し、該固相支持体に毛管現象を利用して、本発明の蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子であって、検出しようとする抗体が特異的に結合する抗原を結合させた不溶性担体粒子と被検出物質の複合体を固相支持体上を展開移動させる。この際、不溶性担体粒子と被検出物質を混合した後に、固相支持体上の所定の位置(試料添加部位)に混合物を添加してもよいし、予め固相支持体上に不溶性担体粒子を固相化しておき(標識部位)、添加した試料液体により不溶性担体粒子を溶解させ、不溶性担体粒子を被検出物質の複合体を形成させてもよい。この結果、固相化した抗原-被検出物質である抗体-蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子の複合体が固相支持体上の検出部位に形成される。検出部位における蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子の存在を目視または蛍光検出装置により測定することにより、被検出物質を検出することができる。被験体試料中の抗体を測定する場合は、固相支持体に、測定しようとする抗体が特異的に結合する抗原を固相化し、かつ蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子に該抗原を結合させればよい。
【0032】
本発明の方法における被検出物質は限定されず、例えば、HIV、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス等のウイルス、黄色ぶどう球菌、肺炎双球菌、腸管出血性大腸菌等の細菌などが挙げられる。試料も限定されず、被験体から採取した咽頭若しくは鼻腔ぬぐい液、咽頭若しくは鼻腔洗浄液、鼻腔吸引液、唾液、血清、血漿、便、便懸濁液、尿、あるいは培養液等を用いることができる。
【0033】
さらに、本発明は、被検出物質の抗原または抗体を結合させた、蛍光色素で標識された可視域着色不溶性担体粒子を含む検出用イムノアッセイキットをも包含する。該キットは、さらに、イムノクロマト法用のデバイス、ブロッシャー等を含む。
【実施例】
【0034】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例の記載において、%は重量%を示す。
実施例1 官能基としてカルボキシル基を持つ着色ポリスチレン粒子を用いた蛍光色素で標識された可視域着色蛍光粒子の調製
【0035】
1.ユウロピウムキレート蛍光標識剤の結合
10mM HEPES(pH7.0)緩衝液で官能基としてカルボキシル基をもつ複数色の着色ポリスチレン粒子(表1および
図1〜3参照)を0.1%になるように希釈し、これにユウロピウムキレート蛍光標識剤であるATBTA-Eu
3+(東京化成工業株式会社製)を0.1mg/mLになるように加えた。攪拌後、カルボジイミドを1%になるように加え攪拌し、室温で、1時間反応させた。7000g、30分間遠心後、上清を取り除き、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAに再浮遊した。
【0036】
2.アミノフルオレセイン蛍光標識剤の結合
10mM HEPES(pH7.0)緩衝液で官能基としてカルボキシル基をもつ数色の着色ポリスチレン粒子(表1および
図1〜3参照)を0.1%になるように希釈し、これに6-アミノフルオレセイン(東京化成工業株式会社製)を0.1mg/mLになるように加えた。攪拌後、カルボジイミドを1%になるように加え攪拌し、室温で、1時間反応させた。7000g、30分間遠心後、上清を取り除き、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAに再浮遊した。
【0037】
用いた可視域着色ポリスチレンラテックス粒子を表1に、各粒子の吸光スペクトルを
図1〜3に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
3.ユウロピウムキレート蛍光標識剤結合ポリスチレン粒子の蛍光強度の測定
1.で調製したユウロピウムキレート蛍光標識剤結合ポリスチレン粒子を0.01%になるように50mM Tris(pH9.0)、3%BSAで希釈し、100μLを96ウェルのフルオロヌンクプレートのウェルに加え、蛍光プレートリーダー(MTP-650FA;コロナ電気株式会社製)を用いて、340nm ex/615nm emで蛍光強度を測定した。対照として、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAのみ、ユウロピウムキレート蛍光標識剤を結合していない可視域着色ポリスチレン粒子も同時に測定を行った。
【0040】
この結果、ユウロピウムキレート蛍光標識剤を結合していない可視域着色ポリスチレン粒子は、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAの蛍光強度と比較してほぼ同等か非常に低い強度を示した。ユウロピウムキレート蛍光標識剤を結合した可視域着色ポリスチレン粒子においては、吸光スペクトルにおいて615nm付近の吸収の小さい赤色ポリスチレン粒子、黄色ポリスチレン粒子1種において300以上の蛍光強度を示し、次に緑色ポリスチレン粒子が160程度の強度を示し、615nm付近に強い吸収を示した青色ポリスチレン粒子2種については、100以下の強度を示し、低かった。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
4.フルオレセイン蛍光標識剤結合ポリスチレン粒子の蛍光強度の測定
2.で調製したフルオレセイン蛍光標識剤結合ポリスチレン粒子を0.05%になるように50mM Tris(pH9.0)、3%BSAで希釈し、100μLを96ウェルのフルオロヌンクプレートのウェルに加え、蛍光プレートリーダー(MTP-650FA;コロナ電気株式会社製)を用いて、490nm ex/530nm emで蛍光強度を測定した。対照として、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAのみ、フルオレセイン蛍光標識剤を結合していない可視域着色ポリスチレン粒子も同時に測定を行った。
【0043】
この結果、フルオレセイン蛍光標識剤を結合していない可視域着色ポリスチレン粒子は、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAの蛍光強度と比較してほぼ同等か非常に低い強度を示した。フルオレセイン蛍光標識剤を結合した可視域着色ポリスチレン粒子においては、吸光スペクトルにおいて530nm付近の吸収の小さい黄色ポリスチレン粒子1種で500以上の強度となり、次に吸収の小さい緑色ポリスチレン粒子1種で170の強度、次に吸収の小さい青色ポリスチレン粒子2種では70以上となり、530nm付近に強い吸収を示す赤色ポリスチレン粒子で強度が低かった。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
以上のユウロピウムキレート蛍光標識剤およびアミノフルオレセイン蛍光標識剤を結合した着色ポリスチレン粒子の吸光スペクトルと蛍光強度の結果から、不溶性担体粒子に結合して効率よく蛍光を検出できるのは、結合する蛍光物質の蛍光波長の吸収が小さい不溶性担体粒子に蛍光標識剤を結合させる場合であり、強い吸収を持つ不溶性担体粒子では効率よく蛍光を測定できないことが明らかであった。
【0046】
実施例2 官能基としてカルボキシル基をもつ可視域着色ポリスチレン粒子への抗A型インフルエンザウイルスNP抗体および蛍光標識剤の結合とそれを用いたイムノクロマト法によるA型インフルエンザウイルスNP抗原の検出
実施例2においては、可視域着色ポリスチレン粒子を見比べ、視認性の高かった赤色ポリスチレン粒子および青色ポリスチレン粒子Iを材料として検証を実施した。
【0047】
1.抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体の作製
A型インフルエンザウイルス抗原をBALB/cマウスに免疫し、一定期間飼育したマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、A型インフルエンザウイルスNP抗原を固相したプレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。
【0048】
得られた腹水からプロティンAカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィー法により、それぞれIgGを精製し、2種類の精製抗A型インフルエンザウイルスNP抗体を得た。
【0049】
2.抗A型インフルエンザウイルスNP抗体のニトロセルロースメンブレンへの固定化
精製した抗A型インフルエンザウイルスNP抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈した液をPETフィルムで裏打ちされたニトロセルロースメンブレン(Unisart CN 95;Sartorius Stedim Biotech社製)の所定の位置に線状に塗布し、45℃、30分間乾燥させ、抗A型インフルエンザウイルスNP抗体固定化メンブレンを得た(以下、抗体固定化メンブレンとする)。
【0050】
3.抗A型インフルエンザウイルスNP抗体と蛍光標識物質の可視域着色ポリスチレン粒子への固定化
ニトロセルロースメンブレンへの固定化に使用しなかったもう一つの精製した抗A型インフルエンザウイルスNP抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈し、これに赤色ポリスチレン粒子または青色ポリスチレン粒子Iを0.1%になるように加え、攪拌後、さらに赤色ポリスチレン粒子と抗体の混合液には、ユウロピウムキレート蛍光標識剤であるATBTA-Eu
3+(東京化成工業株式会社製)を0.1mg/mLになるように加えた。一方、青色ポリスチレン粒子Iと抗体の混合液には、6-アミノフルオレセイン(東京化成工業株式会社製)を0.1mg/mLになるように加え、攪拌した。それぞれにカルボジイミドを1%になるように加え、さらに攪拌した。室温で、1時間反応させた。7000g、30分間遠心後、上清を取り除き、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAに再浮遊し、抗A型インフルエンザウイルスNP抗体+ユウロピウムキレート結合赤色ポリスチレン粒子および抗A型インフルエンザウイルス抗体+フルオレセイン結合青色ポリスチレン粒子を得た。
【0051】
4.A型インフルエンザウイルスNP抗原のイムノクロマト法による検出
2.で得た抗体固定化メンブレンをバッキングシート、吸収帯、コンジュゲートパッド、サンプルパッドを貼り合せて、試験片とした。
【0052】
3.で得た抗A型インフルエンザウイルスNP抗体+ユウロピウムキレート結合赤色ポリスチレン粒子および抗A型インフルエンザウイルス抗体+フルオレセイン結合青色ポリスチレン粒子を0.1%になるように50mM Tris(pH9.0)、3%BSAで希釈し、希釈赤色粒子および希釈青色粒子とした。
【0053】
A型インフルエンザウイルスNP抗原を検体浮遊液(10mM Tris(pH7.0)、3%BSA、0.2%Triton X-100)を用いて希釈した抗原希釈液を調製した。
【0054】
上記の抗原希釈液100μLと希釈赤色粒子5μLまたは希釈青色粒子5μLを混合し、それぞれ試験片のサンプルパッドに全量を滴下した。15分間静置後、目視により、テストラインの有無を確認し、さらにUVトランスイルミネーター(Benchtop 2UV transilluminator;UVP社製)上で、蛍光を目視により、確認した。希釈赤色粒子では抗A型インフルエンザウイルスNP抗体のみを結合した赤色ポリスチレン粒子を対照として、検出限界の比較検討を行った。
【0055】
この結果、抗原を含まない検体浮遊液で試験した試験片では、目視、UVトランスイルミネーターによる蛍光ともにテストラインは確認できず、抗原を含む検体浮遊液で試験した試験片では、目視により着色のテストラインを確認でき、さらにUVトランスイルミネーターによる蛍光のテストラインを確認できた。結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
さらに、抗A型インフルエンザウイルスNP抗体のみを結合した赤色ポリスチレン粒子と希釈赤色粒子を使った検出限界の比較検討の結果、着色目視判定による検出限界は変わらず、蛍光目視判定において、2倍高い感度を得ることが出来た。結果を表5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】
以上の結果から、本法で調製した蛍光物質結合着色粒子をイムノクロマト法に使うことで、目視による着色テストラインの判定と装置を使った蛍光テストラインの測定が可能であることが明らかとなった。さらに、本実施例では蛍光を目視で判定しているが、装置を使って検出することでより高感度に検出できると考えられる。