特許第6096591号(P6096591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096591
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20170306BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20170306BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H05K7/20 G
   H05K1/18 D
   H05K1/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-110626(P2013-110626)
(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公開番号】特開2014-229853(P2014-229853A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐野 尚
(72)【発明者】
【氏名】上原 秀和
(72)【発明者】
【氏名】笠川 達也
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−027075(JP,U)
【文献】 実開昭55−040511(JP,U)
【文献】 実開昭49−027647(JP,U)
【文献】 特開平06−334296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 1/02,1/18
H01L 23/12−23/15
23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に通電で発熱する発熱電子部品が実装された回路基板であって、
発熱電子部品とプリント基板との間に発熱電子部品を支持するスペーサが介設され、発熱電子部品の長手方向両端から導出されるリード線が、プリント基板に設けられた接続部に半田付けされるものにおいて、
スペーサは、発熱電子部品の一部のみに当接するように配置され、スペーサから外れた発熱電子部品の部分に対向するプリント基板の部分に開口が形成されることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記スペーサは、前記発熱電子部品の長手方向中間部に当接するように配置され、発熱電子部品の少なくとも長手方向両端部分に対向するプリント基板の部分に前記開口が存在することを特徴とする請求項1記載の回路基板。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に通電で発熱する発熱電子部品が実装された回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一方の面に導体回路がプリントされた樹脂製等のプリント基板に、半導体(例えば、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ)、抵抗器やコンデンサ等の電子部品を当該電子部品の長手方向両端から導出されるリード線をプリント基板に設けられた接続部に半田付けして実装することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、プリント基板に実装される電子部品の中には通電により発熱するものがあり、このように発熱する電子部品(以下、「発熱電子部品」という)として抵抗器を例に説明すると、一般に定格電力が1W以上の抵抗器の場合、当該抵抗器をプリント基板に実装した回路基板における通電時の発熱量は1W以下の抵抗器を実装したものと比較して格段に大きい。このため、例えば、電子部品の自重でリード線に負荷がかかることを防止するために発熱電子部品をプリント基板表面で支持されるように配置したものでは、通電時に抵抗器で発生した熱が主としてリード線を介して及びプリント基板を介してリード線を接続部に半田付けした部分(以下、「半田接合部」という)に伝わることで、半田接合部が加熱される。このとき、非通電時の半田接合部の温度と通電時に加熱されたときの半田接合部の温度との温度差が大きいと、経年変化により半田接合部にクラックが発生し易くなり、接触不良を招来する。
【0004】
また、プリント基板に電子部品を実装するのに際して、電子部品とプリント基板との間に当該電子部品を支持するスペーサを介設されることも従来から知られている(例えば、特許文献2参照)。然し、この従来例のものでも、通電時に抵抗器で発生した熱が、スペーサを介して半田接合部に伝熱するため、半田接合部の温度上昇を効果的に抑制することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−114678号公報(例えば、従来技術の欄参照)
【特許文献2】特開平6−334296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、通電時の半田接合部の温度上昇を抑制して、経年変化による当該半田接合部におけるクラックの発生を抑制することができる耐久性の良い回路基板を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、プリント基板に通電で発熱する発熱電子部品が実装された本発明の回路基板は、発熱電子部品とプリント基板との間に発熱電子部品を支持するスペーサが介設され、発熱電子部品の長手方向両端から導出されるリード線が、プリント基板に設けられた接続部に半田付けされ、スペーサは、発熱電子部品の一部のみに当接するように配置され、スペーサから外れた発熱電子部品の部分に対向するプリント基板の部分に開口が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、プリント基板に開口を形成することで、通電時に発熱電子部品で発生した熱がスペーサ以外の部分から輻射熱としてプリント基板に伝わることが抑制される。その上、スペーサが発熱電子部品の一部のみに当接するため、スペーサからプリント基板へと伝わる熱量が減少し、輻射熱によるプリント基板への伝熱が抑制されることと相俟って、プリント基板から半田接合部への伝熱量も減少し、半田接合部の温度上昇が効果的に抑制される。その結果、通電時の半田接合部の温度上昇が抑制されて経年変化による当該半田接合部におけるクラックの発生を著しく抑制することができ、耐久性を向上することができる。なお、本発明では、スペーサは、熱容量が大きくて耐熱性及び電気絶縁性を有する部材、例えば、FRPやガラスエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0009】
本発明においては、前記スペーサは、前記発熱電子部品の長手方向中間部に当接するように配置され、発熱電子部品の少なくとも長手方向両端部分に対向するプリント基板の部分に前記開口が存在することが好ましい。これによれば、スペーサからプリント基板へと伝わった熱の半田接合部への伝熱経路が遮断されるため、半田接合部の温度上昇がより一層効果的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の発熱電子部品を実装した第1実施形態に係る回路基板の斜視図。
図2】本発明の発熱電子部品を実装した第2実施形態に係る回路基板の斜視図。
図3】本発明の発熱電子部品を実装した第3実施形態に係る回路基板の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、発熱電子部品を定格電力が1W以上の抵抗器とし、同一の抵抗器の複数個をプリント基板に実装した場合を例として本発明の回路基板の第1実施形態を説明する。以下においては、「上」、「下」といった方向を示す用語は図1を基準とし、また、プリント基板の長手方向をX方向、同一平面内でX方向に直交する、発熱電子部品の長手方向に一致する方向をY方向とする。
【0012】
図1を参照して、CBは、第1実施形態の回路基板である。回路基板CBは、上面に図示省略の導体回路がプリントされた樹脂製等のプリント基板1を備え、プリント基板1には6個の抵抗器2がX方向に所定間隔を存して実装されている。なお、プリント基板1自体は、公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、発熱電子部品としての抵抗器2も公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0013】
プリント基板1には、厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、貫通孔の表面に導体回路に電気的に接続する導体層が形成されて接続部11が形成されている。そして、プリント基板1と抵抗器2との間に各抵抗器2を夫々支持する一対のスペーサ3a,3bが介設され、抵抗器2の長手方向両端から導出されるリード線21,21を上記貫通孔に挿入した状態で例えば鉛−すず共晶合金からなる半田を流し込んで半田接合部4を形成し、これにより、リード線21,21がプリント基板1に半田付けされる。なお、半田接合部4の形成方法はこれに限定されるものではなく、公知の他の方法を用いることもできる。
【0014】
両スペーサ3a,3bは、各抵抗器2の一部のみに当接するように、即ち、各抵抗器2のY方向両端部を夫々支持するように、当該Y方向に所定間隔を存して配置されている。両スペーサ3a,3bは、例えば、FRPやガラスエポキシ樹脂のように、熱容量が大きくて耐熱性及び電気絶縁性を有する部材で構成されている。そして、両スペーサ3a,3bから外れた各抵抗器2の部分に対向するプリント基板1の部分には単一の開口5が形成されている。開口5は、スペーサ3a,3bの長さと同等の縦辺と、両スペーサ3a,3b間の間隔と同等の横辺とからなる長方形の輪郭を有する。なお、開口5の面積は、通電時に抵抗器2で発生する発熱量に応じて適宜設定され、また、開口5は、上記限定されるものではなく、例えば、円形としてもよく、また、複数の開口をスペーサ3a,3bの長手方向に沿って設けるようにしてもよい。
【0015】
上記第1実施形態によれば、プリント基板1に開口5を形成することで、通電時に抵抗器2で発生した熱がスペーサ3a,3b以外の部分から輻射熱としてプリント基板に伝わることが抑制される。その上、スペーサ3a,3bが抵抗器2の両端部で当接しているだけであるため、スペーサ3a,3bからプリント基板1へと伝わる熱量が減少し、輻射熱によるプリント基板1への伝熱が抑制されることと相俟って、プリント基板1から半田接合部4への伝熱量も減少し、半田接合部4の温度上昇が効果的に抑制される。その結果、通電時の半田接合部4の温度上昇が抑制されて経年変化による当該半田接合部におけるクラックの発生を著しく抑制することができ、耐久性を向上することができる。
【0016】
次に、図2を参照して、CBは、第2実施形態の回路基板である。なお、以下において、上記第1実施形態の回路基板CBの構成要素と同一のものについては、同一の符号を用いるものとし、詳細な説明は省略する。第2実施形態の回路基板CBでは、プリント基板1の中央部にX方向にのびる1本のスペーサ30が配置され、抵抗器2の中間部がスベーサ30で夫々支持されるように実装されている。この場合、スペーサ30のY方向の幅は、抵抗器2を安定して支持できるように設定されている。そして、スペーサ30の両側には、半田接合部4の近傍までのびる横幅で矩形の輪郭を有する開口50a,50bが夫々形成され、抵抗器2の少なくともY方向両端部分に対向するプリント基板1の部分に開口50a,50bが存在するようにしている。
【0017】
上記第2実施形態によれば、スペーサ30からプリント基板1へと伝わった熱の半田接合部4への伝熱経路が遮断されるため、半田接合部4の温度上昇がより一層効果的に抑制され、更に耐久性を向上することが可能となる。
【0018】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記各実施形態では、通電時に発熱する電子部品として抵抗器を例に説明したが、半導体(例えば、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ)やコンデンサ等の電子部品をプリント基板1に実装する場合にも本発明は適用可能である。また、上記第1及び第2の各実施形態では、プリント基板1の片面に抵抗器2を実装する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0019】
即ち、図3を参照して、第3実施形態の回路基板CBでは、プリント基板1表裏の中央部にX方向にのびる1本のスペーサ30がプリント基板1の上面及び下面に夫々配置され、抵抗器2の中間部が両スベーサ30で夫々支持されるようにしてプリント基板1の両面に抵抗器2が実装される。この場合、一方の面に設けた抵抗器2が、他方の面に設けた抵抗器2の中間部に位置するようにすることが好ましい。そして、スペーサ30の両側に、半田接合部4の近傍までのびる横幅で矩形の輪郭を有する開口(図示せず)が夫々形成されている。
【0020】
上記第3実施形態によれば、プリント基板1に実装すべき抵抗器2の数を同等とした場合における各抵抗器2相互の間隔を上記第1及び第2の各実施形態のものと比較して大きくすることができるため、通電時に抵抗器2で発生した熱が分散され易くなり、有利である。
【符号の説明】
【0021】
CB…回路基板、1…プリント基板、11…接続部、2…抵抗器(発熱電子部品)、21…リード線、3a,3b,30…スペーサ、4…半田接合部、5,50a,50b…開口。
図1
図2
図3