(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
畝(R)を跨いで移動可能な移動機体(T)と、この移動機体(T)に設けられていて植付駆動軸(30)の回動により周期的に上下動して畝(R)に突入して苗植付用穴(W1)を形成しながら苗(N)を植え付ける苗植付具(U1)を有する苗植付装置(U)と、この苗植付装置(U)の上方に配置されていて上昇位置の苗植付具(U1)へ苗(N)を供給する苗供給装置(K)とを備えており、
前記苗供給装置(K)は、縦軸(10)の上部に設けた装着体(20)と、この装着体(20)に載置されたターンテーブル(S)と、このターンテーブル(S)の周囲部に多数配置されていて苗(N)を収納しかつ落下可能な苗供給具(K1)と、苗植付具(U1)の上下動に同期して縦軸(10)を駆動する供給駆動機構(K2)とを備えており、
前記装着体(20)とターンテーブル(S)との間にターンテーブル(S)の回転方向の位相を調整する位相調整手段(21)を設けており、
前記苗供給具(K1)は、苗(N)を収納する供給カップ(34)を有し、
前記供給カップ(34)は、ターンテーブル(S)に取り付けられた供給外カップ(34a)と、この供給外カップ(34a)より内径が小さくて供給外カップ(34a)に着脱自在に嵌入される供給内カップ(34b)とを有しており、
前記供給内カップ(34b)の上下中途部の外周面に供給外カップ(34a)の上縁に外嵌する嵌合部(34c)を形成していることを特徴とする苗移植機。
前記位相調整手段(21)は、ターンテーブル(S)に縦軸(10)を曲率中心とする円弧形状に形成された周方向複数の円弧孔(21A)と、この各円弧孔(21A)を貫通して装着体(20)に螺合する締結具(21B)とを有することを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
前記供給駆動機構(K2)は、縦軸(10)に設けたウオームホイール(22)と、このウオームホイール(22)と噛合するウオームギヤ(23)と、このウオームギヤ(23)を設けた横軸(14)と、この横軸(14)を植付駆動軸(30)からの動力で回動する供給連動手段(13)とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機。
畝(R)を跨いで移動可能な移動機体(T)と、この移動機体(T)に設けられていて植付駆動軸(30)の回動により周期的に上下動して畝(R)に突入して苗植付用穴(W1)を形成しながら苗(N)を植え付ける苗植付具(U1)を有する苗植付装置(U)と、この苗植付装置(U)の上方に配置されていて上昇位置の苗植付具(U1)へ苗(N)を供給する苗供給装置(K)とを備えており、
前記苗供給装置(K)は、縦軸(10)の上部に設けた装着体(20)と、この装着体(20)に載置されたターンテーブル(S)と、このターンテーブル(S)の周囲部に多数配置されていて苗(N)を収納しかつ落下可能な苗供給具(K1)と、苗植付具(U1)の上下動に同期して縦軸(10)を駆動する供給駆動機構(K2)とを備えており、
前記装着体(20)とターンテーブル(S)との間にターンテーブル(S)の回転方向の位相を調整する位相調整手段(21)を設けており、
前記苗供給具(K1)は、苗(N)を収納する供給カップ(34)と、この供給カップ(34)の底で苗(N)を受持する開閉可能なシャッタ(35)と、このシャッタ(35)の下方に配置されていて、苗供給位置(P)から一周回って次に苗供給位置(P)に来るまでシャッタ(35)を開放姿勢から閉鎖しかつ苗供給位置(P)で閉鎖を解除するシャッタ閉鎖部材(36)とを有しており、
前記シャッタ閉鎖部材(36)は、縦軸(10)と略同芯の円弧形状でかつシャッタ(35)を苗供給位置(P)前方から苗供給位置(P)直前まで閉鎖姿勢にする中途閉鎖部(36b)と、苗供給位置(P)前方から上向き傾斜して中途閉鎖部(36b)に繋がりかつシャッタ(35)を開放姿勢から閉鎖する始端閉鎖部(36c)と、この始端閉鎖部(36c)に繋がっていて苗供給位置(P)で開放姿勢のシャッタ(35)の前側に位置する開放部(36a)と、この開放部(36a)と中途閉鎖部(36b)とを繋ぐ繋ぎ部(36d)とを有し、
前記繋ぎ部(36d)は前記中途閉鎖部(36b)の後端より手前で当該中途閉鎖部(36b)と連結されており、前記中途閉鎖部(36b)の後端は自由端とされていることを特徴とする苗移植機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4において、畝Rを跨いで長手方向に移動しながら、たばこ、野菜等のセル成形苗、ソイルブロック苗、ポット苗等と称される苗Nを所定間隔をおいて植え付けていく歩行型の苗移植機1を例示している。
この苗移植機1は大別して、走行可能な移動機体Tと、この移動機体Tの後部に設けられた苗植付装置Uと、この苗植付装置Uの後上方に設けられていて苗植付装置Uへ苗Nを供給する苗供給装置Kと、畝Rに拡大穴W2を形成する拡大穴掘り機構130と、移動機体Tの前上部に左右にわたって配置された予備苗台Yとを備えている。
【0017】
移動機体Tは、ミッションケースMから前方へ架台7が突出してその上部にエンジン(駆動源)Eを搭載し、ミッションケースMの後部にメインフレーム8を取り付け、これらによって機本体T1を構成し、機本体T1の後部、即ちメインフレーム8の後端に操縦ハンドルHを連結しており、ミッションケースM及び架台7によって前輪40Aを有する前走行装置40と後輪41Aを有する後走行装置41とを懸架している。
【0018】
前走行装置40はクローラ式であってもよいが、畝間溝を転動する左右一対のタイヤ輪の前輪40Aを有し、移動機体Tに対して左右位置調整自在である。後走行装置41はクローラ式であってもよいが、畝間溝を転動する左右一対のタイヤ輪の後輪41Aを有し、移動機体Tに対して左右位置調整自在である。
図1〜8、21、22において、ミッションケースMはエンジンEからの動力をベルト伝動手段52を介して入力され、その動力をクラッチ及び変速機構等を有する動力伝達機構53を介して変速し、走行出力軸54から走行動力を出力すると共に、移植出力軸55から作業動力を出力している。動力伝達機構53は移動機体Tの前進及び後進並びに苗植付装置Uの作動を切り換え可能にしている。
【0019】
走行出力軸54はミッションケースMを貫通して左右に突出しており、左右両端には伸縮伝動軸57が連結され、伸縮伝動軸57の先端に先端軸58が直結され、この伸縮伝動軸57及び先端軸58は車軸ケース59内に挿通され貫通支持されている。
車軸ケース59はミッションケースMの側面に固定された取付部材61と、この取付部材61に支持された外筒ケース59Aと、この外筒ケース59Aに挿入された内筒ケース59Bとを有する。
【0020】
図3〜6、22において、取付部材61は、内部に走行出力軸54が挿通され、外部に外筒ケース59Aが走行出力軸54廻り回動自在に支持されており、外筒ケース59Aには後連動アーム66が設けられている。内筒ケース59Bは角筒形状であって、外筒ケース59Aに対して一体回動自在にかつ左右方向位置調整可能に挿入されている。
この内筒ケース59Bの左右方向外端には後輪伝動ケース62の上部が連結され、この後輪伝動ケース62の上部には前記先端軸58が支持され、下部には後輪41Aを支持した車輪軸63が支持され、先端軸58と車輪軸63との間にチェーン伝動手段64が設けられている。
【0021】
前記走行出力軸54からの動力は、伸縮伝動軸57、先端軸58、チェーン伝動手段64及び車輪軸63を介して後輪41Aに伝達される。なお、車輪軸63に対して後輪41Aは左右方向位置変更可能になっている。
前記左右各後輪伝動ケース62は鋳造製であって、車軸ケース59に連結されかつ先端軸58を支持する基部ケース62Aと、後輪41Aの車輪軸63を支持する先端ケース62Bと、前記基部ケース62Aと先端ケース62Bとを連結しかつ先端軸58から車輪軸63へ動力を伝達する伝達手段64を収納する中間ケース62Cとを有している。
【0022】
移動機体Tは前走行装置40と後走行装置41の脚長の異なる機種を製作することがあり、その場合、後走行装置41の後輪伝動ケース62は、長さの異なる中間ケース62Cを他と共通の基部ケース62Aと先端ケース62Bと間に連結すればよい。前走行装置40の脚長変更には前輪支持アーム67の長さの異なるものを用意する。
図1〜3、5、6、21〜23において、前記左右前輪40Aはそれぞれ前輪支持アーム67の下部に前軸67aを介して回動自在にかつ左右位置調整自在に支持され、前輪支持アーム67の上部には角筒部67bが設けられ、前角軸68の角軸部分に左右方向位置変更可能かつ一体揺動自在に取り付けられている。
【0023】
左右各前角軸68の左右方向内端側は、架台7の前部に設けた前支持ブラケット69に前横軸69a廻り回動自在に支持されている。前角軸68の角軸部分には前連動アーム70が一体回動自在に装着され、この前連動アーム70の先端に連動杆71が連結されている。
連動杆71の後端は外筒ケース59Aの後連動アーム66と連結されており、外筒ケース59Aの回動が前角軸68に伝達されるようになっており、これらの回動により、外筒ケース59Aを中心とする後輪伝動ケース62の角度と前角軸68を中心とする前輪支持アーム67の角度とが同時に同一角度変更され、移動機体Tが水平姿勢で昇降できるようになっている。
【0024】
前記左右各前角軸68と左右各外筒ケース59Aとには、前後支持体72の前後部が相対回動自在に嵌合されており、この左右前後支持体72の後端部は、ミッションケースMの底面に固定のパイプ製の支持部材73と連結されており、これら前後支持体72及び支持部材73によって、前角軸68と外筒ケース59Aとは移動機体Tから突出している外端部が回動可能に支持されている。
【0025】
図2、5、23において、前記架台7の前部には、前角軸68及び前連動アーム70よりも前方に突出したバンパ47を設けており、このバンパ47の前上部には、苗移植機1をトラックに搭載して運搬するときに、ロープを引っ掛けて固定するための前ロープフック47Aを設けている。後ロープフック48は、
図2、7に示すように、操縦ハンドルHに設けられている。
【0026】
図2〜6において、移動機体Tの架台7と後輪伝動ケース62との間には、昇降機構42が設けられている。前記架台7には、移動機体T昇降用の昇降シリンダ75と、この昇降シリンダ75によって前後に押し引き移動される軸サポート76が設けられ、この軸サポート76にローリング軸77が回動自在に支持されている。
ローリング軸77には昇降レバー77a、77bとローリングアーム77cとが固定されている。昇降レバー77a、77bはローリング軸77の左右両端に直径方向で互いに反対方向に突出し、外筒ケース59Aに設けた連動部材78と連動リンク79を介して連結されており、ローリングアーム77cの先端には軸サポート76に支持されたローリングシリンダ74が連結されている。
【0027】
前記ローリングシリンダ74の伸縮作動で、ローリングアーム77cを介してローリング軸77を回動し、昇降レバー77a、77bを反対向きに揺動し、連動部材78及び連動リンク79を介して左右外筒ケース59Aを逆向きに回動して、移動機体Tの左右一方を上昇しかつ他方を下降させて左右傾動させる。これらによって昇降機構42のローリング手段が構成されている。
【0028】
前記昇降シリンダ75の伸縮作動で、軸サポート76、ローリング軸77及び昇降レバー77a、77bは一体的に前後移動し、連動部材78と連動リンク79を介して左右外
筒ケース59Aを同方向に回動して、移動機体Tを昇降させる。これらによって昇降機構42の昇降手段が構成されている。
前記昇降機構42は、ローリングアーム77c及びローリングシリンダ74等のローリング手段を割愛して、昇降シリンダ75で移動機体Tに昇降動作を行わせる昇降手段のみで構成してもよい。
【0029】
図7、8、11、12、21において、ミッションケースMの後部にはメインフレーム8が取り付けられ、このメインフレーム8の下側に植付フレーム82が装着され、この植付フレーム82の左右一側(左側)に作業伝動ケース83が装着されている。
前記植付フレーム82は、ミッションケースMの後部及びメインフレーム8の前部に固定の左右板材82Aと、この左右板材82Aの後部に連結された平面視コ字状の補助板82Bと、この補助板82Bの後部をメインフレーム8の前後中途部に連結する連結部材82Cとから構成されている。
【0030】
作業伝動ケース83の前部はミッションケースMの側面に位置し、移植出力軸55と直結された前軸84を支持しており、作業伝動ケース83の後部は原動軸85を支持し、前軸84と原動軸85との間にチェーン伝動手段が設けられ、前記原動軸85が苗植付装置Uと苗供給装置Kの共通の動力伝達軸となっている。
原動軸85は植付フレーム82に枢支された同芯の左右短軸85aと、両短軸85aの内端に設けられたアーム85bと、左右アーム85bに架設されたリンク軸85cとを有し、
図8、12の平面視で略クランク形状になっており、前記左短軸85aとリンク軸85cが苗植付装置Uの駆動を司る植付駆動軸30を構成し、右短軸85aが苗供給装置Kの駆動を司っている。
【0031】
図7〜12、21において、前記苗供給装置Kは、縦軸10廻り間欠回転自在なターンテーブルSと、このターンテーブルSの周囲部に多数配置されていて苗Nを収納しかつ落下可能な苗供給具K1と、苗植付具U1の上下動に同期してターンテーブルSを駆動する供給駆動機構K2とを備えている。
前記原動軸85の右短軸85aは供給駆動機構K2の供給連動手段13の伝動始端であり、この右短軸85aにはブレーキディスク86が固定され、このブレーキディスク86には外周に凹部が形成されていて、ブレーキアーム87のローラ87aがスプリング87bによって弾圧されていて、右短軸85aが一定位置で停止するように、ブレーキディスク86で制動するようになっている。
【0032】
メインフレーム8には支持部材19が立設されており、この支持部材19にはターンテーブルSを回転自在に支持する縦軸10を取り付けた縦軸支持部19aと、横軸14を回転自在に支持する横軸支持部19bと、周囲支持部19cとが設けられている。
ターンテーブルSは、円盤の周囲部に苗供給具K1が周方向等間隔に多数配置されている。この苗供給具K1は、供給外カップ34a及びその中に挿入されていて実質的に苗Nを収納する供給内カップ(スリーブ)34bを有する供給カップ34と、供給外カップ34aの底口の下方にヒンジ35aを介して開閉自在に設けられていて苗Nを受持するシャッタ35と、このシャッタ35を開放方向に付勢する付勢手段(スプリング)37とを有している。
【0033】
供給外カップ34aと供給内カップ34bとは共に下側から上側へ内径が拡大したラッパ形状であり、
図7、9、21においては、内径の異なる3種類の供給内カップ34bを例示しており、苗Nの大きさ、種類等に応じて使い分けられ、同時には1種類のものが使用される。
各種供給内カップ34bの下部は、供給外カップ34aより内径が小さくて供給外カップ34aに着脱自在に嵌入されており、その上下中途部の外周面に供給外カップ34aの上縁に外嵌する環状の嵌合部34cを形成している。
【0034】
前記供給内カップ34bは嵌合部34cを有することにより、供給外カップ34aに対して傾きのない適正姿勢に装着できる。
前記苗供給具K1は14個設けられている。苗供給具K1は7、8個でもよいが、12ないし17個配置するのが好ましく、個数を倍増することにより移植速度を倍増して、移
植作業をすることができる。14個の供給カップ34は1つおきに目印を付し、2人の伴走作業者が交互に苗Nを供給するようにしている。
【0035】
ターンテーブルSの円盤は板金製であり、縦軸10の上部に設けたディスク形状の装着体20の上面に載置装着されている。この装着体20とターンテーブルSとの間には、ターンテーブルSの回転方向の位相を調整する位相調整手段21を設けている。
前記位相調整手段21は、ターンテーブルSに縦軸10を曲率中心とする円弧形状に形成された周方向複数(3カ所)の円弧孔21Aと、この各円弧孔21Aを貫通して装着体20に螺合する締結具21Bとを有し、締結具21Bを緩めることにより、ターンテーブルSは縦軸10を中心として回動でき、苗供給具K1の回動方向の位置を微妙に調整できる。
【0036】
前記縦軸10は、支持部材19の縦軸支持部19aに支持されており、下部にウオームホイール22を有し、このウオームホイール22と噛合するウオームギヤ23は横軸支持部19bに支持された横軸14に設けられ、この横軸14は供給連動手段13を介して植付駆動軸30(右短軸85a)からの動力で間欠駆動される。
ターンテーブルSの下方には、シャッタ35を開閉するシャッタ閉鎖部材36が支持部材19の周囲支持部19cに受持されている。このシャッタ閉鎖部材36は棒材を平面視環状に形成しており、苗供給具K1のシャッタ35の下面に近接して配置されている。
【0037】
前記ターンテーブルSは
図3、8において時計廻りに回動し、その上の苗供給具K1は、メインフレーム8の左右方向中央に移動した位置がシャッタ35を開放して苗Nを落下供給する苗供給位置Pとなる。
前記シャッタ閉鎖部材36は、環状の前部が前側に突出していてその前部位が苗供給位置Pに対応しており、ターンテーブルSの回転方向において、この苗供給位置P以外の苗供給位置P前方から苗供給位置P直前までは、シャッタ35を開放姿勢から閉鎖しており、苗供給位置Pではシャッタ閉鎖部材36の後端が自由端になっていることによりシャッタ35の閉鎖が解除される。
【0038】
環状のシャッタ閉鎖部材36は、縦軸10及びターンテーブルSと略同芯の円弧形状でかつシャッタ35を苗供給位置P前方から苗供給位置P直前まで閉鎖姿勢にする中途閉鎖部36bと、苗供給位置P前方から上向き傾斜して中途閉鎖部36bに繋がりかつシャッタ35を開放姿勢から閉鎖する始端閉鎖部36cと、この始端閉鎖部36cに繋がっていて苗供給位置Pで開放姿勢のシャッタ35の前側に位置する開放部36aと、この開放部36aと中途閉鎖部36bとを繋ぐ繋ぎ部36dとを有している。
【0039】
シャッタ閉鎖部材36の始端閉鎖部36cは直線形状であって、円弧形状の中途閉鎖部36bの始端から平面視で前側へかつ左右中央側に傾斜し、側面視で下向きに傾斜している。
開放部36aは始端閉鎖部36cの始端から平面視でターンテーブルSの回転方向と反対側に円弧状に延設され、ターンテーブルSの外周部の円弧に沿っており、側面視でターンテーブルSの外周部から下方に離れていて、付勢手段37によって開放されるシャッタ35を、
図7、9に示すように、略垂直姿勢で受け付けることができるようになっている。
【0040】
シャッタ閉鎖部材36の繋ぎ部36dは、開放部36aの始端側と中途閉鎖部36bの後部とを繋いでいるが、中途閉鎖部36bの後端を自由端として残しており、中途閉鎖部36bの後端より手前で連結し、シャッタ閉鎖部材36を切れ目のない環形状にして保形強度を向上している。
前記中途閉鎖部36bの後端が繋ぎ部36dと連結されない自由端となっていることにより、シャッタ35は中途閉鎖部36bの自由端と当接している間は閉鎖され、自由端を通過することにより、付勢手段37によって急激かつ確実に開放され、開放部36aに当接することになる。
【0041】
前記供給駆動機構K2は、ターンテーブルSの縦軸10、横軸14及び供給連動手段13等によって構成され、供給連動手段13は、原動軸85の右短軸85a、ブレーキディスク86等によって構成されている。
供給駆動機構K2が苗植付具U1を駆動する原動軸85と連結されていて、この原動軸85から動力が伝達されることにより、苗植付具U1と昇降動作と同期しており、原動軸85の1回転毎に1個の苗供給具K1を苗供給位置Pへ間欠移動し、苗植付具U1を1回昇降する。
【0042】
図2〜4、7、8、11、12、17〜20において、前記苗植付装置Uは、移動機体Tの植付フレーム82の左右板材82aの前上部に枢支された一対の第1リンク26と、この一対の第1リンク26に設けられた植付揺動体27と、この植付揺動体27に枢支されていて後上方へ延びる一対の第2リンク28と、この一対の第2リンク28の先端に開閉自在に支持された苗植付具U1と、一対の第2リンク28の一方とリンク軸85cを介して連結された回転アーム29(アーム85b)と、この回転アーム29を駆動する植付駆動軸30(短軸85a)と、放出手段95とを有しており、また、植付深さ調整機構44、拡大穴掘り機構130等も備えている。
【0043】
前記植付駆動軸30と回転アーム29とは、前記原動軸85の左側の短軸85aとアーム85bとであり、短軸85aが1回転することによりアーム85bを介してリンク軸85cが公転し、一対の第2リンク28の前後中途部を円形に回転することにより、一対の第1リンク26の揺動に拘束されながら、第2リンク28の先端の苗植付具U1が上下に長い略楕円形状の軌跡L(
図18に示す)を移動する。
【0044】
苗植付具U1は内部空洞の側面視略嘴形状であり、一対の第2リンク28の先端に装着された支持体96と、この支持体96に上側から苗Nが供給できるように開放したガイド部材97と、支持体96に枢支されていて下部が畝Rに突き刺し可能な尖端形状の前後一対の嘴部材98とを有している。
一対の嘴部材98は上部で枢支して下部を開閉自在とし、周期的(間欠的)な上下動により畝Rに突入して苗植付用穴W1を形成しながら、内部に保持した苗Nを下方に放出できるように構成されている。
【0045】
前記放出手段95は、植付揺動体27に枢支した支持腕95aと、この支持腕95aと一方の嘴部材98とを連結するロッド95bと、一方の嘴部材98と連動して他方の嘴部材98を反対揺動させる連動ピン95cと、支持腕95aを上下揺動させるカム95dとを有している。
カム95dはリンク軸85cに設けられていて、短軸85aの周囲を公転し、支持腕95aの中途部と当接してこれを上下揺動させ、苗植付具U1が上下移動範囲の下死点付近まで下降したときに、一方の嘴部材98が放出手段95のロッド95b及び支持腕95aによって外方へ揺動し、一方の嘴部材98の揺動が連動ピン95cによって他方の嘴部材98を反対方向に揺動を生じ、これにより一対の嘴部材98は開放されるようになる(
図17の状態)。
【0046】
苗植付具U1は上下移動範囲の上死点において一対の嘴部材98が閉じた状態であって、苗供給位置PのターンテーブルSの苗供給具K1の直下に位置し、苗供給具K1から苗Nの供給を受け、上死点から前下向きに移動し、その途中から畝Rに突入し、下死点に近づくにつれて一対の嘴部材98を開放して苗植付用穴W1を形成すると同時に苗Nを放出し、苗放出後に一対の嘴部材98を閉じながら後上向きに移動する。
【0047】
苗植付具U1の略楕円軌跡Lにおける前後移動は、移動機体Tが前進しているので相殺され、苗植付具U1は畝Rに対して垂直に近い姿勢で突入しかつ略垂直に近い姿勢で抜け出し、苗Nを略直立姿勢にして植付ける。
前記苗植付具U1の上部には加振手段148が設けられている。加振手段148は、苗植付具U1に連結される第2リンク28の枢支ピンにハンドルを装着して構成している。苗植付具U1は植付作業をしていないとき上昇位置にあるので、加振手段148のハンドルを持って振動させることができ、苗植付具U1に振動を与えて付着している土を落下させることができる。この加振手段148は予備苗台Yより後方位置に配置されているので、伴走空間G側から容易に操作できる。
【0048】
図2〜8、13〜15において、前記苗植付具U1の前方には畝R上面を検出しかつ整地するために接地転動する接地体43が配置されている。この接地体43は畝上面に対す
る移動機体T及び苗植付具U1の高さを調整しかつ苗植付具U1の植付深さを設定する植付深さ調整機構44を構成しており、植付深さ調整機構44は操縦ハンドルHに設けた調整レバー45によって調整される。
【0049】
接地体43は畝上面の苗Nを植付ける予定の位置を広幅にわたって転動する円筒形状(又は略鼓形状)であり、支持枠105の後部に支持軸106を介して横軸廻り回転自在に支持されている。支持枠105の左右前部はミッションケースMの下部に固定の支持部材73にブラケット73a及び支軸107を介して上下揺動自在に枢支されている。
左側の支軸107には筒材111が嵌装されており、この筒材111に第1センサアーム108が設けられ、この第1センサアーム108の上端は第2センサアーム109を介して昇降バルブ110と連動連結されており、この昇降バルブ110はミッションケースMの上部に配置されていて昇降シリンダ75を制御するものである。
【0050】
また、筒材111には2又アーム112が設けられており、この2又アーム112の第1腕112aと支持枠105との間に接地体43を畝R側に付勢するスプリング113が設けられ、2又アーム112の第2腕112bには調整レバー45と連結するためのボーデンケーブル114のアウタケーブル114aの前端が連結されている。
前記調整レバー45はメインフレーム8の後部に枢軸を介して枢支され、この調整レバー45と一体回動するケーブルアームと支持枠105とがボーデンケーブル114のインナケーブル114bで連結されており、インナケーブル114bの先端は支持枠105に掛止されている。
【0051】
調整レバー45を前後操作することにより、ボーデンケーブル114を介して支持枠105と第1センサアーム108との挟角が変化し、支持枠105が上下揺動して接地体43の高さが変更され、接地体43に対する移動機体T及び苗植付具U1の相対高さが調整される。昇降バルブ110を中立状態にしているときの接地体43の高さで苗植付具U1の上下動の下死点が決まり、畝Rの上面からの突っ込み深さが決定されるので、苗植付具U1の植付深さが設定される。
【0052】
前記接地体43を設定高さで畝Rに接地させると昇降バルブ110は中立状態にあり、移動機体Tは昇降しないが、接地している畝Rの高さが変化すると、例えば、畝Rが高くなると、接地体43及び支持枠105が上向き揺動し、筒材111及び2又アーム112を介して第1センサアーム108を下動させ、これにより昇降バルブ110を作動し、昇降シリンダ75を伸張させて前後輪40A、41Aを押し下げ、相対的に移動機体Tを上昇させ、苗植付具U1を畝R上面から設定高さに調整する。
【0053】
調整レバー45は前方へ揺動すると、インナケーブル114bを介して支持枠105が下動し、接地体43が移動機体Tから下方へ離れ、第1センサアーム108及び第2センサアーム109が上動して昇降バルブ110を作動し、昇降シリンダ75を上昇側に制御する。従って、畝上面から移動機体T及び苗植付具U1の高さが高くなり、苗植付具U1による植付深さが浅く、即ち、苗植付具U1の下死点の高さが浅くなる。
【0054】
逆に、調整レバー45を後方へ揺動すると、支持枠105が上動して第1センサアーム108、第2センサアーム109及び昇降バルブ110を介して昇降シリンダ75を下降側に制御し、接地体43が移動機体Tに近づき、畝上面から移動機体T及び苗植付具U1の高さが低くなり、苗植付具U1による植付深さが深くなる。
操縦ハンドルHには調整レバー45の前後揺動を案内するガイド部材120が設けられており、このガイド部材120及び調整レバー45はターンテーブルSの側方に配置されており、調整レバー45は操縦ハンドルHの把持部の前方でかつターンテーブルSの左右側方であって、ターンテーブルSの苗供給具K1と略同一高さに配置されている。
【0055】
図1〜3において、前記操縦ハンドルHの把持部より前方でかつターンテーブルSの左右両側方は、苗供給具K1へ苗Nを供給する作業者が、苗移植機1と伴走可能な伴走空間Gとなっており、左側の伴走空間G内の作業者は、苗供給具K1へ苗Nを供給しながら、そのままの姿勢で調整レバー45を操作できる。
図1〜3、21、22において、移動機体Tの前上部には苗Nを載置する予備苗台Yが配置されている。左右それぞれの前角軸68と車軸ケース59とに前後支持体72の前後
部を相対回動自在に嵌合し、この前後支持体72とメインフレーム8とに亘って支持部材123の前後脚部123F、123Rを連結し、左右の支持部材123に予備苗台Yを装着している。
【0056】
前記予備苗台Yは、左右支持部材123を連結する台枠Y1と底板Y2とを有し、台枠Y1はアングル材(又は帯板)を矩形に組み、左右中途部に2本の板材Y1aで前後アングル材を連結し、前後中途部に1本の板材Y1aで左右アングル材を連結し、前記左右2本の板材Y1aを左右の支持部材123に連結するように構成され、前記底板Y2は多孔板で形成されていて多数の排水用の孔Yaを有している。
【0057】
この予備苗台Yは、エンジンEを覆うボンネットBの上方で移動機体Tから左右方向に突出しており、かつ後部から前部へ上向き傾斜姿勢になっており、伴走空間G内の作業者が苗Nを取り出し易くしている。
苗供給具K1に供給される苗Nは、セルトレイ(育苗トレイ)に入れた状態で育成されており、予備苗台Yにはセルトレイごと載置され、セルトレイから苗Nを取り出して苗供給具K1へ供給される。
【0058】
前記操縦ハンドルHには、走行クラッチレバー部124、植付クラッチレバー115、機体昇降レバー126等が設けられており、走行クラッチレバー部124は操縦ハンドルHの左側部に配置され、調整レバー45の後方であって、調整レバー45と同様に左伴走空間Gを歩く作業者が操作できる位置に配置されている。
図2、3、7、8において、前記植付クラッチレバー115は下部がメインフレーム8の後部に固定のブラケット117に貫通支持しており、その下部に回動体118を固定し、この回動体118に操作連動部材116を連結し、この操作連動部材116で動力伝達機構53の切り換え操作するようになっている。
【0059】
前記ブラケット117には平面視V字状の板材117Aが固定され、この板材117Aに2本の調整ボルト117Bが螺合されており、この2本の調整ボルト117Bは回動体118が時計方向又は反時計方向に回動したときに当接する。
前記2本の調整ボルト117Bは、植付クラッチレバー115の下部とメインフレーム8との間で植付クラッチレバー115の回動角度を設定する位置決め手段121を構成している。
【0060】
前記動力伝達機構53はミッションケースM内に配置され、移動機体Tの前進及び後進並びに苗植付装置Uの作動を切り換え可能に動力を伝達する。位置決め手段121は植付クラッチレバー115の切り換え位置を適正にするために回動角度が調整される。
植付クラッチレバー115は、ブラケット117から略真上に立ち上がり、操作パネル122を貫通した上部で略直角に屈曲されている。植付クラッチレバー115は直立姿勢であり、位置決め手段121の略真上に操作パネル122が位置するので、切り換え回動操作がやり易く、切り換え位置も見易くなっている。
【0061】
図2、4、21、23において、移動機体Tの前後下部には、長時間の停止やメンテナンスのために持ち上げ保持する前スタンド127と後スタンド128とが進退自在に設けられている。
前スタンド127は、架台7に枢支されていてスタンディング姿勢と退避姿勢とに姿勢変更可能であって、架台7の前部に上部が揺動可能に連結された左右一対の支柱部127aと、左右支柱部127aの下部を連結しかつ左右支柱部127aから左右外方へ突出する横杆部127bとを有している。
【0062】
後スタンド128は、メインフレーム8の後部又は連結部材82Cに上部が枢支されていてスタンディング姿勢と退避姿勢とに姿勢変更可能であって、揺動可能に連結された左右一対の支柱部128aと、左右支柱部128aの下部を連結する横杆部128bとを有し、背面視コ字状になっている。
図21に示す如く、この後スタンド128のスタンド高さは前スタンド127のスタンド高さより高く設定されており、前輪40A及び後輪41Aが接地した状態から、前スタンド127及び後スタンド128を立てて接地させるスタンディング姿勢にすると、移動機体Tは前下向き傾斜状になる。
【0063】
このようなスタンディング姿勢では、前輪40Aを接地させても、後輪41Aを浮き上がらせた状態にできる。これにより左右後輪41Aの左右位置調整、即ち、輪距調整が容易にできる。
図2〜8、13〜20において、前記苗植付具U1の直前には接地体43の後方に拡大穴W2を形成する拡大穴掘り機構130が配置されている。この拡大穴掘り機構130は、苗植付装置Uの第1リンク26、植付揺動体27及び第2リンク28の下方に位置されている。
【0064】
前記拡大穴掘り機構130は、その前部が移動機体Tに枢支されかつ苗植付具U1の上下動と連動して上下動する支持杆132と、この支持杆132の後部に設けられていて支持杆132の下動で畝Rに突入して苗植付用穴W1の形成予定位置の後方から前方まで拡大穴W2を形成する鍬部材131と、前記支持杆132の前後方向中途部を上方へ付勢する付勢部材133と、支持杆132の前後方向中途部に連動連結されかつ植付駆動軸30の回動により下動して支持杆132を下降させる作動部材134とを有している。
【0065】
支持杆132は、前後方向に長く配置され、前端に筒体132Aとストッパ132Bとを有し、後端に平面視V字形状の取付体132Cを有しており、筒体132AがミッションケースMに固定の支持部材73に支持された支軸107に嵌合して支持されており、ストッパ132Bは支持杆132が最上昇位置まで上昇したときに支持部材73と当接してその上昇を規制するようになっている。
【0066】
前記鍬部材131は、板材を屈曲して形成したもので、畝Rに突入して畝土を中央側から左右に押動する左右翼部131L、131Rと、この左右翼部131L、131Rの下部に設けられていて畝土を掬い上げる掬い部131Sとを有している。
この鍬部材131は、左右翼部131L、131Rの中央部を支持杆132の後端の取付体132Cに高さ調整自在にボルト締結されており、左右両端から中央部にかけて上下幅が次第に広く形成され、かつ掬い部131Sの下縁が正面視碗底形状になっている。
【0067】
また、鍬部材131は、左右両端から中央部にかけて上下幅が次第に広く形成され、左右翼部131L、131Rが左右両端より中央部が先行となる左右傾斜面を形成し、掬い部131Sが左右翼部131L、131Rの下縁から前下向きに突出して前上向きの傾斜面を形成し、かつ掬い部131Sの下縁が正面視碗底形状になっている。
そして、鍬部材131は、上昇待機姿勢時に左右翼部131L、131Rの後部が苗植付動作開始時の苗植付具U1と前後方向でオーバラップする近接した位置に配置している。
【0068】
前記鍬部材131は、畝Rの上面に苗植付用穴W1の形成予定位置の手前から突入して、畝土を中央側から左右に押動しながら掘り、形成予定位置で最も深くなり、形成予定位置から上昇して前方まで穴を掘る。鍬部材131は、穴掘り全行程で、掬い部131Sが畝土を掬い上げて掘って行くので、畝土から受ける抵抗は少なく、終期の残土が少なくなり、苗植付用穴W1より浅くかつ大きく、しかも苗植付用穴W1の形成予定位置で底になる椀形状の拡大穴W2を形成できる。
【0069】
前記鍬部材131は側面視において、
図17に示すように、拡大穴W2の掘り始め後から終了手前まで僅かに後傾姿勢になり、
図13に示すように、上昇して待機しているとき前傾姿勢になる。また、支持杆132の前支点が鍬部材131から前方へ遠く離れた位置にあるので、鍬部材131は可及的に垂直方向に上下動する。
前記支持杆132は、前後方向の中途部は接地体43との干渉を回避しかつ植付駆動軸30に近づくように上側に屈曲されており、この中途上部に当て板132aと、棒材132bと、ガイドピン132cとが固着されている。
【0070】
支持杆132の棒材132bに付勢部材133としての引っ張りスプリングの下端が掛止され、この引っ張りスプリングの上端はメインフレーム8に設けた調整ロッド(図示せず)に連結され、調整ロッドの上下位置調整で支持杆132を引き上げる付勢力が調整される。
図13〜20において、前記植付駆動軸30は回転動力が伝達される短軸85aに回動アーム29(アーム85b)を介してリンク軸85cを支持しており、このリンク軸85
cに揺動アーム135の基部を枢支し、この揺動アーム135の先端に作動部材134を枢支している。短軸85aの回転により、アーム85bを介してリンク軸85cは円軌跡Jを描いて公転する。
【0071】
前記作動部材134は、円筒状のボス部材に4本脚形状の板材を固着した形状であり、ボス部材が揺動アーム135に揺動軸137を介して連結され、
図16で上側に位置する脚部に規制部134aを形成し、前上側に位置する脚部に小軸140を固定してコロ141を嵌合して押し下げ部134bを形成し、前下側に位置する脚部にガイドピン132cに嵌合する長孔142を設けて揺動案内部134cを形成し、後上側に位置する脚部にストッパ部134dを形成している。
【0072】
作動部材134の押し下げ部134bは、コロ141が当て板132aと当接可能になっており、押し下げ部134bが下動することにより支持杆132の前後中途部を押し下げる。
作動部材134の規制部134aは、作動部材134が揺動軸137廻りに回動するとき、揺動アーム135の基部と当接して上向き回動を規制することができる。
【0073】
揺動案内部134cの長孔142はガイドピン132cに嵌合しており、支持杆132は付勢部材133によって常に上方向に付勢されているので、ガイドピン132cが長孔142の上端にあるとき、作動部材134には上向きの付勢力が加わり、規制部134aを揺動アーム135の基部と当接する方向に付勢しており、ガイドピン132cが長孔142を下方へ移動するのを許容している。
【0074】
前記ストッパ部134dは揺動アーム135の基部に当接可能であり、作動部材134が揺動軸137廻りに、
図18で反時計方向に一定角度以上回動するのを規制している。
規制部134aが支持杆132からの付勢力によって上向き回動が規制されて揺動アーム135と当接していると、作動部材134は揺動アーム135と一体となって回動アーム29に押し下げられながら短軸85aの廻りを回動することになり、リンク軸85cの下向き回動に伴って作動部材134が下動し、この回動により押し下げ部134bのコロ141が支持杆132の当て板132aと当接し、支持杆132を下降させる。
【0075】
短軸85aの下方でリンク軸85cと揺動軸137が直線状に配列、即ち、回動アーム29と揺動アーム135とが直線状になったときが鍬部材131を最も下降するときであり、その状態を越えてリンク軸85cが公転すると、支持杆132からの付勢力によって揺動アーム135は反対方向に回動し、作動部材134は規制部134aが揺動アーム135の基部から一旦離れる。このとき、揺動アーム135に当接して作動部材134の揺動軸137廻り反時計方向の回動を規制する。
【0076】
そして、さらにリンク軸85cが公転して上向きに移動すると、規制部134aは揺動アーム135に再び当接し、作動部材134はリンク軸85cの上動と共に上動する。
図13は苗植付具U1及び鍬部材131が略上死点にある状態を示し、
図18は苗植付装置Uの苗植付動作開始直後を示し、
図19、20は苗植付装置Uの苗植付動作中を示し、
図17は拡大穴掘り機構130の穴掘り動作後半を示している。
【0077】
図13、16〜20において、短軸85aの回転によって、リンク軸85cは短軸85aを中心とする円軌跡Jを描いて公転し、第2リンク28を前後動させながら上下動させ、苗植付具U1に軌跡Lを描くように上下移動させ、この苗植付具U1の軌跡Lの下半分の移動と連動して、リンク軸85cの公転により鍬部材131を上下動させる。
図18において、回動アーム29は中心線Qが略水平姿勢(クランク角約1°)にあり、苗植付具U1の先端は軌跡Lの上下方向略中央に位置し、鍬部材131は畝Rに食い込みを開始して拡大穴W2を形成し始める。
【0078】
このとき、作動部材134の規制部134aは揺動アーム135と当接して上向き回動が規制され、押し下げ部134bのコロ141が支持杆132の当て板132aと当接し、支持杆132を押し下げる動作を開始する。
図19において、短軸85aが回転して回動アーム29は中心線Qが前下向き姿勢(クランク角約30°)になると、鍬部材131は次第に畝Rに食い込んでいき、同時に、この頃から嘴部材98の先端は鍬部材131が形成する拡大穴W2の上面から畝Rに食い込
んでいき、
図20のクランク角60°付近になると、さらに鍬部材131の畝Rへの食い込みが深くなり、嘴部材98による苗植付用穴W1の形成も急速に行われる。
【0079】
前記状態からさらに短軸85aの回転が進み、短軸85aの略直下にリンク軸85cが移動するまでに、カム95dによって放出手段95が作動を開始し、苗植付具U1の嘴部材98が開放して苗植付用穴W1を形成すると同時に、収納していた苗Nを落下して植え付ける。
短軸85aの略直下にリンク軸85cが移動したときが、嘴部材98が最も大きく開放されるときであり、回動アーム29と揺動アーム135とが直線状になったときが、鍬部材131が最も下降されるときであり、苗植付用穴W1の形成予定位置で椀形状の拡大穴W2の最も低い底を形成する。
【0080】
揺動アーム135は回動アーム29との直線状態を通過すると、作動部材134の長孔142がガイドピン132cと連携されていることにより、揺動アーム135がリンク軸85c廻りに回動し、作動部材134はストッパ部134dが揺動アーム135の基部に当接するまで反時計方向に回動する。
この状態では、嘴部材98が最も大きく開放されるが、支持杆132は付勢部材133によって引き上げられ、この支持杆132の引き上げによって作動部材134が上移動している。
【0081】
短軸85aによって回動アーム29がさらに回動するとき、揺動アーム135は後上方へ引っ張られる状態となり、作動部材134はガイドピン132cと連携により回動して、規制部134aが揺動アーム135と当接するが、支持杆132の上移動を許容し、畝Rへの鍬部材131の食い込みは次第に浅くなる。
そして
図17のクランク角180°に示す状態になると、嘴部材98は苗植付用穴W1から抜け出して閉鎖動作を開始し、鍬部材131も畝Rから上方へ抜け出していく。
【0082】
前記拡大穴W2は苗植付用穴W1より大きくかつ浅い椀形状であり、苗植付用穴W1とオーバラップしていて、側面視において苗植付用穴W1のところで最も深くなっており、また、正面視においては鍬部材131の下縁131aの円弧形状により苗植付用穴W1のところで最も深くなっており、拡大穴W2内に入った灌水は、最も深い苗植付用穴W1に集まり、苗Nに効果的に供給される。
【0083】
苗植付具U1の嘴部材98は、鍬部材131が拡大穴W2を掘り始める当初から畝Rに突入しても、その先端は尖端形状であるので抵抗は小さく、また、拡大穴W2を壊すこともない。先行して拡大穴W2を形成するので、後行の苗植付具U1は嘴部材98を拡大穴W2のない場合よりも小さい抵抗で深く突き刺すことができ、深い苗植付用穴W1を形成し、かつ苗Nを深く植え付けることができる。
【0084】
前記苗移植機1による移植作業を説明する。
苗移植機1を畝Rに沿って移動しながら、移動機体Tの進行に合わせて作業者が左側の後輪41Aの後方の伴走空間Gを歩き、予備苗台Yに載置されている育苗トレイのポット苗Nを各苗供給具K1に補給する。1人作業のときは苗Nを各苗供給具K1に連続して投入し、2人作業のときは各人が1つおきの苗供給具K1に投入する。
【0085】
ミッションケースMの走行駆動系から分岐した動力で、植付駆動軸30から苗植付装置Uの植付駆動機構U2へ動力を伝達して、苗植付具U1を上下に長い略楕円形の軌跡Lを描かせながら周期的な上下動をさせ、苗植付具U1の上下動に連動して拡大穴掘り機構130の鍬部材131を上下動し、かつ、植付駆動機構U2へ伝達される動力を植付駆動軸30から分岐して苗供給装置Kの供給駆動機構K2へ伝達し、ターンテーブルSを縦軸10廻りに間欠回転駆動する。
【0086】
ターンテーブルSの回転により多数の苗供給具K1が円軌道上を間欠的に移動する。苗植付具U1はシャッタ閉鎖部材36の中途閉鎖部36bによってシャッタ35が閉鎖されていて、その上に苗Nが供給され、苗植付具U1が苗供給位置Pに至る前に、シャッタ閉鎖部材36の後端を通過して苗植付具U1が苗供給位置Pに達したときにシャッタ35が付勢手段37によって瞬時に全面開放して苗Nが落下され、苗供給位置Pの直下の上死点に来ていた苗植付具U1へ供給する。
【0087】
苗植付装置Uの苗植付具U1は上死点付近で苗供給具K1から苗Nの供給を受け、移動機体Tの移動と共に下動し、下死点に至るまで畝Rに突き刺さりながら開放し、苗植付用穴W1を形成しながら、内部に収納していた苗Nを畝Rに放出し、上動しながら閉じる。この上下動及び開閉動作をターンテーブルSの回動と同期して周期的に行い、畝Rに一定間隔で苗Nを植え付けていく。
【0088】
畝Rの上面に対する苗植付具U1の侵入深さ、即ち、植付深さを調整したい場合は、左側の伴走空間Gにいる作業者が植付深さ調整機構44の調整レバー45を前後揺動し、接地体43の設定高さを変更する。
苗植付具U1の嘴部材98による苗植付用穴W1に先行して、鍬部材131が畝Rに突き刺さりながら次第に深くなり、苗植付用穴W1を形成する予定の位置で最大深さとなる椀形状の拡大穴W2を形成し、嘴部材98が苗植付用穴W1から離脱する頃に、鍬部材131も上移動して待機位置へ至る。
【0089】
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、
図1〜23に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、鍬部材131は、支持杆132の後端に直接固着したり、左右翼部131L、131Rを別個に形成してそれぞれを取付体132Cに固定したりしてもよい。
【0090】
ターンテーブルSは、装着体20にスタッドボルトを植設しておいて、そのスタッドボルトにターンテーブルSの円弧孔21Aを嵌合し、ナットで固定するようにしてもよい。
予備苗台Yは、それ自体から前後脚部123F、123Rを下方突出して、前後脚部123F、123Rを支持部材123としてもよい。
また、苗移植機1は、苗植付具U1より後側の植付フレーム82の後部側に、畝Rと当接する左右一対の鎮圧輪を高さ調整自在に配置して、畝R上面の苗Nの植付け位置の左右両側を転動させ、左右鎮圧輪で苗供給具K1で形成された苗植付用穴W1に投入された苗Nの左右両側の土を押圧して覆土するようにしてもよい。