特許第6096683号(P6096683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096683
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】ハニカム触媒体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20170306BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   B01J35/04 301F
   B01D53/86ZAB
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-8968(P2014-8968)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-140842(P2014-140842A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/755,621
(32)【優先日】2013年1月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】坂下 俊
(72)【発明者】
【氏名】脇田 倫弘
(72)【発明者】
【氏名】金 理俊
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−290699(JP,A)
【文献】 特開2004−025139(JP,A)
【文献】 特開2011−194318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/73
B01D 53/86−90
B01D 53/94−96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となり流体が流入する一方の端面から流体が流出する他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有する筒状のハニカム基材と、前記隔壁に担持された触媒とを備え、
前記ハニカム基材に、前記ハニカム基材の側面に開口し且つ前記ハニカム基材の内部を貫通するスリットが少なくとも1本形成され、
前記スリットは、前記ハニカム基材の前記側面の一の部位に開口した第一の開口部から、前記側面の前記一の部位以外の他の部位に開口した第二の開口部まで、前記ハニカム基材の前記セルの延びる方向に直交する断面において前記ハニカム基材の内部を貫通するように形成されたものであり、前記スリットの幅方向が、前記セルの延びる方向と略同じ方向であり、
前記スリットの、前記ハニカム基材の前記セルの延びる方向における幅が1.0〜10.0mmであるハニカム触媒体。
【請求項2】
前記スリットの幅が2.5〜10.0mmである請求項1に記載のハニカム触媒体。
【請求項3】
前記ハニカム基材の中の前記スリットにより切断された部分の面積であるスリット面積の合計が、前記ハニカム基材の、前記セルの延びる方向に直交する断面の面積の0.4倍以上、11.0倍未満である請求項1に記載のハニカム触媒体。
【請求項4】
前記流体が流入する一方の端面から前記セルの延びる方向における中央部までの領域に形成された前記スリットのスリット面積が、全ての前記スリットの前記スリット面積を合計した値の2/3以上である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム触媒体。
【請求項5】
前記流体が流出する他方の端面から前記セルの延びる方向における中央部までの領域に形成された前記スリットのスリット面積が、全ての前記スリットのスリット面積を合計した値の2/3以上である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム触媒体。
【請求項6】
前記ハニカム基材に、前記スリットが少なくとも2本形成され、少なくとも2本の前記スリットは、前記ハニカム基材の中心軸方向から見たときに、一の前記スリットの前記第一の開口部から前記第二の開口部への延伸方向と、他の前記スリットの前記第一の開口部から前記第二の開口部への延伸方向とが90°で交叉するように形成されている請求項1〜のいずれかに記載のハニカム触媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム触媒体に関する。更に詳しくは、浄化性能に優れるハニカム触媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種エンジン等から排出される排気ガスを浄化するために、ハニカム構造体に触媒を担持したハニカム触媒体が用いられている。
【0003】
また、担体にスリットを形成し、排ガスの流れの一部に乱流を発生させて、触媒と排ガスとの接触効率を向上させようとするハニカム触媒体が検討されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−179110号公報
【特許文献2】特開2004−25139号公報
【特許文献3】特許第4239469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
担体にスリットが形成されたハニカム触媒体も、必ずしも十分な浄化性能を得られるものではないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。すなわち、浄化性能に優れるハニカム触媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 流体の流路となり流体が流入する一方の端面から流体が流出する他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有する筒状のハニカム基材と、前記隔壁に担持された触媒とを備え、前記ハニカム基材に、前記ハニカム基材の側面に開口し且つ前記ハニカム基材の内部を貫通するスリットが少なくとも1本形成され、前記スリットは、前記ハニカム基材の前記側面の一の部位に開口した第一の開口部から、前記側面の前記一の部位以外の他の部位に開口した第二の開口部まで、前記ハニカム基材の前記セルの延びる方向に直交する断面において前記ハニカム基材の内部を貫通するように形成されたものであり、前記スリットの幅方向が、前記セルの延びる方向と略同じ方向であり、前記スリットの、前記ハニカム基材の前記セルの延びる方向における幅が1.0〜10.0mmであるハニカム触媒体。
【0008】
[2] 前記スリットの幅が2.5〜10.0mmである[1]に記載のハニカム触媒体。
【0009】
[3] 前記ハニカム基材の中の前記スリットにより切断された部分の面積であるスリット面積の合計が、前記ハニカム基材の、前記セルの延びる方向に直交する断面の面積の0.4倍以上、11.0倍未満である[1]又は[2]に記載のハニカム触媒体。
【0010】
[4] 前記流体が流入する一方の端面から前記セルの延びる方向における中央部までの領域に形成されたスリットのスリット面積が、全ての前記スリットの前記スリット面積を合計した値の2/3以上である[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム触媒体。
【0011】
[5] 前記流体が流出する他方の端面から前記セルの延びる方向における中央部までの領域に形成された前記スリットのスリット面積が、全ての前記スリットのスリット面積を合計した値の2/3以上である[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム触媒体。
[6] 前記ハニカム基材に、前記スリットが少なくとも2本形成され、少なくとも2本の前記スリットは、前記ハニカム基材の中心軸方向から見たときに、一の前記スリットの前記第一の開口部から前記第二の開口部への延伸方向と、他の前記スリットの前記第一の開口部から前記第二の開口部への延伸方向とが90°で交叉するように形成されている[1]〜[]のいずれかに記載のハニカム触媒体。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハニカム触媒体は、ハニカム基材に幅1.0〜10.0mmのスリットが形成されているため、浄化性能に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明のハニカム触媒体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図3】本発明のハニカム触媒体の一実施形態の、セルの延びる方向に直交する平面でスリットの部分を切断した、模式的な断面図である。
図4】本発明のハニカム触媒体の一実施形態の、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0015】
(1)ハニカム触媒体:
本発明のハニカム触媒体の一の実施形態は、図1図4に示されるように、筒状のハニカム基材4と触媒とを備えるものである。筒状のハニカム基材4は、流体の流路となり流体が流入する一方の端面(流入端面)11から流体が流出する他方の端面(流出端面)12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1を有するものである。触媒は、隔壁1に担持されたものである。更に、本実施形態のハニカム触媒体100は、ハニカム基材4に、ハニカム基材4の側面6に開口するスリット5(a)、5(b)が形成されている。スリット5は、2本形成されているが、少なくとも1本形成されていればよい。更に、スリット5の幅Tが1.0〜10.0mmである。本実施形態のハニカム触媒体100は、最外周に外周壁3を有している。また、ハニカム触媒体100が外周壁3を有する場合、側面6は、外周壁3の表面である。図1は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態の、セル2の延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図3は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態の、セルの延びる方向に直交する平面でスリット5(5a)の部分を切断した、模式的な断面図である。図4は、本発明のハニカム触媒体の一実施形態の、平面図である。尚、図3図4において、セル及び隔壁は、省略されている。
【0016】
このように、本実施形態のハニカム触媒体100は、ハニカム基材4に、幅Tが1.0〜10.0mmのスリットが形成されているため、浄化性能に優れたものである。幅Tが1.0mmより薄いと、スリット5が触媒によって塞がれるため好ましくない。幅Tが10.0mmより厚いと、スリット5の体積が大きくなり、触媒が担持される隔壁1の面積が小さくなるため好ましくない。スリット5の幅Tは、2.5〜10.0mmが好ましい。幅Tを2.5mm以上とすることにより、更に浄化性能に優れたハニカム触媒体となる。尚、スリット5内に触媒が担持されている場合には、「スリット5の幅T」は、触媒が担持された状態におけるスリット5の空間部分の幅である。
【0017】
本実施形態のハニカム触媒体100は、ハニカム基材4の中のスリット5により切断された部分の面積であるスリット面積の合計が、ハニカム基材4の、セル2の延びる方向に直交する断面の面積の0.4倍以上、11.0倍未満であることが好ましい。ここで、「スリット面積」は、ハニカム基材4におけるスリット5内に露出する、流体が流入する側の面(スリット内端面)の面積であり、図3におけるスリット内端面Fで示された部分の面積である。スリット内端面Fは、スリット5内に面する端面であり、スリット5内における、「流出端面12」側に位置する面である。
【0018】
本実施形態のハニカム触媒体100は、流体が流入する一方の端面11からセル2の延びる方向における中央部Cまでの領域に形成されたスリット5のスリット面積が、全てのスリット5のスリット面積を合計した値の2/3以上であることが好ましい。また、本実施形態のハニカム触媒体100においては、流体が流出する他方の端面12からセル2の延びる方向における中央部Cまでの領域に形成されたスリット5のスリット面積が、全てのスリット5のスリット面積を合計した値の2/3以上であってもよい。
【0019】
本実施形態のハニカム触媒体100においては、ハニカム基材4の材質はセラミックであることが好ましい。ハニカム基材4の大きさ、形状は特に限定されない。また、隔壁厚さ、セル密度、隔壁の気孔率、隔壁の平均細孔径は特に限定されない。
【0020】
本実施形態のハニカム触媒体100においては、ハニカム基材4に担持される触媒は特に限定されない。例えば、酸化触媒、還元触媒、三元触媒(TWC)、NO吸蔵触媒、SCR(選択触媒還元)触媒等を挙げることができる。これらは、併用されてもよい。
【0021】
(2)ハニカム触媒体の製造方法:
本発明のハニカム触媒体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0022】
まず、セラミック原料を含有する成形原料を混練して柱状の坏土を調製することが好ましい。このとき、セラミック原料としては、例えば、以下の「原料群」から選択される少なくとも一種のセラミックが好ましい。「原料群」とは、「炭化珪素、珪素−炭化珪素複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、及びアルミニウムチタネートからなる群」である。
【0023】
また、成形原料は、上記セラミック原料に、水、造孔材、バインダ、分散剤、界面活性剤等を混合して調製することが好ましい。混合の順序は特に限定されない。
【0024】
造孔材、バインダ、分散剤、界面活性剤等については、排ガス浄化用のセラミックハニカム構造体(ハニカムフィルタ、ハニカム触媒体)の製造に、通常用いられるものを用いることができる。
【0025】
成形原料を混練して、円柱状等の柱状の坏土を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0026】
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成することが好ましい。坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、真空土練機、ラム式押出成形機、2軸スクリュー式連続押出成形機等の装置を用いて形成することができる。また、押出成形に用いる装置に、所望の隔壁厚さ、セル密度、セル形状等のハニカム成形体となるような口金を装着して、押出成形を行うことが好ましい。
【0027】
ハニカム成形体を成形した後には、得られたハニカム成形体を乾燥することが好ましい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。これらのなかでも、ハニカム成形体全体を、迅速且つ均一に乾燥することができることから、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件は、乾燥方法によって適宜決定することができる。
【0028】
次に、ハニカム成形体を焼成して「スリット形成前のハニカム基材」を作成することが好ましい。焼成条件は、各材料に適した条件とすることが好ましい。また、焼成前に、仮焼することが好ましい。仮焼は、脱脂のために行うものである。その方法は、特に限定されるものではなく、ハニカム成形体中の有機物(バインダ、分散剤、造孔材等)を除去することができればよい。
【0029】
次に、「スリット形成前のハニカム基材」にスリットを形成してハニカム基材を形成することが好ましい。スリットの形成方法は、特に限定されないが、例えば超音波カッター等を用いることが好ましい。スリットの形成条件は、上記本発明のハニカム触媒体におけるスリットの条件と同じである。
【0030】
次に、ハニカム基材に触媒を担持してハニカム触媒体を作成することが好ましい。触媒をハニカム基材に担持する方法としては、触媒液を、ハニカム基材にウォッシュコートした後、スリット内の触媒液を空気で吹き飛ばし、その後、熱処理して焼き付ける方法が好ましい。ただし、これに限定されるものではない。触媒としては、上記本発明のハニカム触媒体において好ましいとされた触媒が好ましい。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
コージェライト化原料に、造孔材、有機バインダ及び水を添加して成形原料とした。成形原料を、混合、混練して円柱状の坏土を調製した。有機バインダとしては、メチルセルロースを用い、コージェライト化原料100質量部に対して5.0質量部添加した。水は分散媒として添加し、成形原料全体に対して37質量%となるように添加した。コージェライト化原料は、焼成によりコージェライトとなる原料である。具体的には、シリカ(SiO)が42〜56質量%、アルミナ(Al)が30〜45質量%、マグネシア(MgO)が12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように「所定の原料」が混合されたセラミック原料である。「所定の原料」は、タルク、カオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びシリカのうちから選択された原料である。
【0032】
次に、所定の口金を用いて坏土を押出成形し、複数のセルを区画形成する隔壁と、外周壁とを備えるハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は、セル形状(セルの延びる方向に直交する断面におけるセルの形状)が正方形で、全体形状が円筒形であった。
【0033】
次に、得られたハニカム成形体を、120℃で1時間乾燥させ、その後、1400〜1430℃で10時間焼成してスリット形成前のハニカム基材を作製した。
【0034】
次に、得られた「スリット形成前のハニカム基材」にスリットを3本形成して、ハニカム基材を得た。スリットは、超音波カッターを用いて形成した。また、スリットは、等間隔で配置し、スリットの幅は、3mmとした。また、スリットは、ハニカム基材の中心軸方向から見たときに、それぞれが90°で交叉するように形成した。また、スリットは、ハニカム基材の端面に平行に(スリットの幅方向が、ハニカム基材のセルの延びる方向と同じ方向となるように)形成した。
【0035】
次に、得られたハニカム基材に、触媒を担持して、ハニカム触媒体を作製した。触媒としては、TWC(三元触媒)を用いた。触媒をハニカム基材に担持する方法は、触媒液を、ハニカム基材にウォッシュコートした後、スリット内の触媒液を空気で吹き飛ばし、その後、550℃で熱処理して焼き付ける方法とした。
【0036】
得られたハニカム触媒体の、気孔率は35%であった。気孔率及び平均細孔径は水銀ポロシメータで測定した値である。また、スリットの幅は、3mmであった。また、触媒の担持量は、200g/リットルであった。また、隔壁厚さは88.9μmであり、セル密度は93セル/cmであった。また、得られたハニカム触媒体は、底面の直径が106mm、セルの延びる方向における長さが114mmの円筒形であった。「ハニカム基材の中のスリットにより切断された部分の面積」である「スリット面積」の合計が、ハニカム基材の、「セルの延びる方向に直交する断面」の面積の1.3倍であった。
【0037】
得られたハニカム触媒体について、以下の方法で、「耐久性」及び「浄化性能」を測定した。結果を表1に示す。表1において、「セル構造」の欄は、「隔壁厚さ(μm)/セル密度(セル/cm)」を示す。「サイズ」の欄における「φ」は、「ハニカム触媒体の底面の直径(mm)」を意味する。また、「サイズ」の欄における「L」は、「ハニカム触媒体のセルの延びる方向における長さ(mm)」を示す。「スリット位置」の欄は、スリットが形成されている位置(スリットの配置)を示す。「スリット位置」の欄における「等間隔」は、ハニカム触媒体のセルの延びる方向において、ハニカム触媒体を等分するようにセルが配置されていることを意味する。また「スリット位置」の欄における「流入側集中」は、「ハニカム触媒体における、流体が流入する一方の端面からセルの延びる方向における中央部までの領域に、全てのスリットが形成された」状態を意味する。また、「スリット位置」の欄における「流出側集中」は、「ハニカム触媒体における、流体が流出する他方の端面からセルの延びる方向における中央部までの領域に、全てのスリットが形成された」状態を意味する。「セル形状」の欄は、セルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状を示す。「セル形状」の欄において、「八角+四角」は、面積の大きな八角形セルと、面積の小さな四角形セルとが交互に並んでいる状態を示す。「触媒」の欄における「TWC」は、三元触媒を意味する。また、「触媒」の欄における「NO吸蔵触媒+TWC」は、NO吸蔵触媒と三元触媒とを混合して担持していることを意味する。また、「気孔率」の欄は、隔壁の気孔率を示す。「「スリット面積」/「基材断面積」」の欄は、「スリット面積」の合計が、「ハニカム基材のセルの延びる方向に直交する断面の面積」の何倍であるかを示す。
【0038】
(浄化性能)
走行モード「LA−4mode」での炭化水素浄化率を測定し、浄化性能を求めた。具体的には、「ハニカム触媒体に流入する前の炭化水素濃度」及び「ハニカム触媒体から流出した炭化水素濃度」を測定した。そして、炭化水素の浄化率を求めた。そして、浄化率が、基準値に対して、35%(基準値の35%)より大きく向上した場合を「AA」評価とした。また、浄化率が、基準値に対して、20%超、35%以下の向上であった場合を「A」評価とした。また、浄化率が、基準値に対して、5%超、20%以下の向上であった場合を「B」評価とした。また、浄化率が、基準値に対して、5%以下の向上であった場合を「C」評価とした。「C」評価を不合格とした。また、「AA」評価が最も良い評価であり、「A」評価が次に良い評価であり、「B」評価が「A」評価の次に良い評価とした。
【0039】
実施例1〜14及び比較例2,3の浄化性能の評価においては、比較例1の浄化率を上記「基準値」とした。実施例15〜22のそれぞれの浄化性能の評価においては、順次、比較例4〜11のそれぞれの浄化率を上記「基準値」とした。例えば、実施例15の浄化性能の評価における「基準値」は、比較例4の浄化率とした。
【0040】
(耐久性)
ホットバイブレーション試験を行って破損の有無を確認し、耐久性試験とした。具体的には、「1000℃の温度条件で20分間、ハニカム触媒体に30Gの振動を与え、その後、500℃の温度条件で20分間、ハニカム触媒体に30Gの振動を与える操作」を、「繰り返し単位」とし、この「繰り返し単位」を100時間繰り返した。この試験によって、破損が無かった場合を「OK」とし、破損が有った場合を「NG」とした。「OK」は合格、「NG」は不合格とした。
【0041】
【表1】
【0042】
(実施例2〜22、比較例1〜11)
各条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ハニカム触媒体を作製した。実施例1と同様にして、「耐久性」及び「浄化性能」を測定した。結果を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のハニカム触媒体は、各種エンジン等から排出される排気ガスの浄化に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム基材、5,5(a),5(b):スリット、11:一方の端面、12:他方の端面、100:ハニカム触媒体、T:幅(スリットの幅)、F:スリット内端面、C:中央部。
図1
図2
図3
図4