前記出力電圧操作部が、前記三相交流電動機の電気角または磁極位相に応じて該三相交流電動機に配置された前記PTCサーミスタの接続を切り替える接続切替指令部及び前記過熱判定部の過熱アラームレベルを切り替える過熱アラームレベル切替部を有することを特徴とする請求項1に記載の電動機の過熱検出装置。
前記出力電圧操作部が、前記三相交流電動機の電気角または磁極位相に応じて該三相交流電動機に配置された前記PTCサーミスタの接続を切り替える接続切替指令部を有することを特徴とする請求項1に記載の電動機の過熱検出装置。
【背景技術】
【0002】
従来の電動機の熱保護は、常温ではほぼ一定の抵抗値を示すが特定の温度(キュリー点)を超えると抵抗値が指数関数的に上昇する、正の抵抗温度特性を持つ感温抵抗素子であるPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタを利用して行われていた。具体的には、電動機内部の構成部材のうち、発熱の顕著な箇所またはその近傍にPTCサーミスタを配置する。このPTCサーミスタの出力信号の振幅を監視し、出力信号が予め設定されたレベルを超えた時点で過熱アラームを発生し、電動機の励磁をオフするというものである。
【0003】
PTCサーミスタ出力信号は、電圧のような電気的信号として取り出すことが望ましい。そこでPTCサーミスタが示す抵抗を電圧に変換するため、適当な固定抵抗とPTCサーミスタを含む電気回路を作成し、電気回路に一定の直流電圧を印加してPTCサーミスタに掛かる分圧を測定する。そうすることで、抵抗値に相当する電圧を取り出すことが可能となり、電圧を変量として過熱判定を行うことができる。
【0004】
特に三相コイルを有する電動機においては、各相のコイルの表面にPTCサーミスタを貼り付けてこれらを直列に結線していた。PTCサーミスタを1入力、1出力で接続し、入出力の端子数を最小限にするためである。
図1に従来のPTCサーミスタ実装電動機を示し、
図2に従来のPTCサーミスタ実装電動機内のPTCサーミスタ取付状態を示す。コア1001にU相コイル1021、V相コイル1022、及びW相コイル1023が設けられ、これら三相のコイルのそれぞれの表面に、U相用PTCサーミスタ1011、V相用PTCサーミスタ1012、及びW相用PTCサーミスタ1013が設けられている。また、3つのPTCサーミスタ1011〜1013は配線1003により一定の抵抗を示す分圧抵抗(図示せず)とともに直列接続されており、端子1004から所定の電圧を印加する。
【0005】
図3に従来の電動機の過熱検出のシステム構成例を示す。コイルが過熱するとPTCサーミスタ1011〜1013の抵抗が急激に増大し、電圧降下が増大するため、PTCサーミスタの出力電圧が増大する。従って、直列接続されたPTCサーミスタ1011〜1013の出力電圧の総和が予め設定された所定の電圧レベルを超過した場合に、3つのコイルのうちの少なくとも1つは過熱していることが過熱判定部50により検知され、電動機200の制御装置が過熱アラームを発する。
【0006】
また、PTCサーミスタを直列ではなく並列に結線し、並列回路を形成して同様の過熱検出を実現する方法も知られている(例えば、特許文献1)。この方法によれば、ほぼ同等の効果を期待できるものの、並列回路の中に断線箇所が存在している場合、断線部に設置しているPTCサーミスタは出力電圧を発生しないこととなる。
【0007】
しかしながら、断線していない個所のPTCサーミスタからの出力電圧も過熱検出装置は受け取るため、過熱検出装置は断線の有無を検出することができない。その結果、電動機が過熱に到っているのにも関わらず、過熱アラームを発することができない恐れが生じ、並列回路を用いた過熱検出は完全な対策とは言えない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来のPTCサーミスタ実装電動機を示す図である。
【
図2】従来のPTCサーミスタ実装電動機内のPTCサーミスタ取付状態の一例を示す図である。
【
図3】従来の電動機の過熱検出のシステム構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2に係る過熱検出装置の過熱検出チャート図である。
【
図7】本発明の実施例3に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例3に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例3に係る過熱検出装置の過熱検出チャート図である。
【
図10】本発明の実施例4に係る電動機の過熱検出のシステム構成例である。
【
図11】本発明の実施例4に係る電動機の過熱検出のシステム構成例である。
【
図12】本発明の実施例3及び4に係る過熱検出装置について、スイッチング素子を有するPTCサーミスタ回路において、電動機の電気角が固定されており、且ついずれか1相のコイルに電流が集中的に通電されている場合の回路構成を示す図である。
【
図13】本発明の実施例2〜4に係る過熱検出装置について、スイッチング素子を有するPTCサーミスタ回路において電動機の電気角が上記以外の場合の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る電動機の過熱検出装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
[実施例1]
まず、本発明の実施例1に係る電動機の過熱検出装置について、図面を用いて説明する。
図4に本発明の実施例1に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す。本発明の実施例1に係る電動機の過熱検出装置101は、三相交流電動機20の各相のコイルに取り付けられ、それぞれが直列に接続されたPTCサーミスタ1と、該PTCサーミスタの直列接続回路の出力電圧からコイルの過熱を判定する過熱判定部5と、三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて、該PTCサーミスタ1の出力電圧を操作する出力電圧操作部4と、を有することを特徴とする。
【0016】
三相交流電動機20(以下、単に「電動機」ともいう。)は、U相、V相、及びW相のコイル(図示せず)を有しており、各コイルの表面にU相用PTCサーミスタ、V相用PTCサーミスタ、及びW相用PTCサーミスタが設置されている。3つのPTCサーミスタは、
図3に示すように、配線により直列接続されて、直列に配置されたPTCサーミスタ1を構成している。電動機20は、電動機駆動装置21により駆動される。
【0017】
直列に配置されたPTCサーミスタ1には、分圧抵抗(図示せず)が直列に接続されて閉回路を構成しており、出力電圧操作部4により、所定の電圧V
0が印加される。本実施例において使用されるPTCサーミスタは常温では低い抵抗R
Lを示し、高温では高い抵抗R
Hを示す。また、分圧抵抗の抵抗値R
Dは、これらの両者の抵抗値の間の値を有することが好ましい。
【0018】
電動機20の近傍には検出器2が設置されており、電動機20の電気角または電動機20の磁極位相を検出することができる。検出器2としてレゾルバを用いることができる。ただし、レゾルバには限らず、一例として、光学式エンコーダでも磁気エンコーダでも用いることができる。
【0019】
出力電圧操作部4は、直列に配置されたPTCサーミスタ1に印加される総出力電圧V
Totalを検出する。ここで、U相、V相、及びW相のコイルが全て正常に動作しており過熱状態にない場合には、3つのPTCサーミスタはいずれも低い抵抗R
LU、R
LV、R
LWを示し、直列に配置されたサーミスタ1の抵抗(R
LU+R
LV+R
LW)は、分圧抵抗の抵抗値R
Dより十分小さい(R
LU+R
LV+R
LW≪R
D)ため、出力電圧操作部4が検出する直列に配置されたPTCサーミスタ1の全体に印加される総出力電圧V
Totalは、出力電圧操作部4により印加される電圧V
0よりも十分小さい(V
Total≪V
0)。
【0020】
一方、U相、V相、及びW相のコイルのうちの少なくとも1つが過熱している場合には、過熱しているコイルに設置されたPTCサーミスタが高抵抗R
Hを示す。例えば、1つのコイルのみが過熱している場合、1つのPTCサーミスタのみが高抵抗R
Hとなり、R
H≫R
Lであるので、直列に配置されたサーミスタ1の抵抗はほぼR
Hに等しくなる。さらに、このR
Hは分圧抵抗の抵抗値R
Dより十分大きい(R
H≫R
D)ため、出力電圧操作部4が検出する直列に配置されたPTCサーミスタ1に印加される総出力電圧V
Totalは、出力電圧操作部4により印加される電圧V
0と同等か、それに近いレベルとなる。従って、直列に配置されたPTCサーミスタ1に印加される総出力電圧V
Totalを検出することにより、少なくとも1つのコイルが過熱状態にあるか否かを検出することができる。本発明では、後述するように、直列に配置されたPTCサーミスタ1に印加される総出力電圧V
Totalから、U相、V相、及びW相のうちのいずれのコイルが過熱状態にあるかを特定することができる。さらに、直列に配置されたPTCサーミスタ1に印加される総出力電圧V
Totalが0[V]となった場合には、3つのPTCサーミスタのうちの少なくとも1つが故障または断線状態にあることを検出することができる。
【0021】
以上のようにして、過熱判定部5は、PTCサーミスタの直列接続回路の出力電圧からコイルの過熱を判定することができる。
【0022】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2に係る電動機の過熱検出装置について説明する。
図5に本発明の実施例2に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す。実施例2に係る電動機の過熱検出装置102が、実施例1に係る電動機の過熱検出装置101と異なっている点は、出力電圧操作部4が、三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じてPTCサーミスタの出力電圧を増幅する点である。
図5にはPTCサーミスタ出力電圧増幅器(以下、単に「増幅器」ともいう)31を出力電圧操作部4内に設ける例を示したが、これには限られず、別置でも良い。実施例2に係る電動機の過熱検出装置102のその他の構成は、実施例1に係る電動機の過熱検出装置101の構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0023】
増幅器31は、検出器2によって検出された三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて、過熱アラーム発生レベルV
OHを過熱アラーム発生レベルV
OHの定数α(α≧1)倍に増幅させるものである。
【0024】
次に、本発明の実施例2に係る電動機の過熱検出装置の動作手順について説明する。
図6は、本発明の実施例2に係る過熱検出装置の過熱検出チャート図である。まず、ステップS101において電動機の通電を開始する。
【0025】
次に、ステップS102において、電動機の電気角がU相、V相、あるいはW相のコイルに電流が集中する位相で固定されているか否かを判断する。例えば、電動機の電気角がU相のコイルに電流が集中する位相で固定されている場合には、U相のコイルで過熱が生じているものと判断することができる。電動機の電気角がU相、V相、あるいはW相のコイルに電流が集中する位相で固定されている場合には、ステップS103において、PTCサーミスタ出力電圧を、PTCサーミスタ出力電圧増幅器31によってV
OH×αに変更する。ここで、αは1以上の定数であって、過熱アラーム発生レベルの電圧に対して実質1相分のPTCサーミスタ出力電圧でも問題なく過熱アラームを発生することが可能となる。
【0026】
その後に、ステップS104において、過熱アラームが発生しているか否かを判断する。過熱アラームが発生していない場合には、ステップS102に戻ってコイルの過熱の有無の検出を継続する。一方、過熱アラームが発生している場合には、ステップS105において通電を終了する。
【0027】
以上のように、実施例2に係る電動機の過熱検出装置によれば、電流集中の有無によりPTCサーミスタ出力電圧を適正な値に設定することにより、コイルの過熱の有無を迅速に検出することができる。
【0028】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3に係る電動機の過熱検出装置について説明する。
図7及び8に本発明の実施例3に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す。実施例3に係る電動機の過熱検出装置103が、実施例1に係る電動機の過熱検出装置101と異なっている点は、出力電圧操作部4が、三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて該三相交流電動機に配置されたPTCサーミスタの接続を切り替える接続切替指令部8及び過熱判定部5の過熱アラームレベルを切り替える過熱アラームレベル切替部9を有する点である。実施例3に係る電動機の過熱検出装置103のその他の構成は、実施例1に係る電動機の過熱検出装置101の構成と同様であるので詳細な説明は省略する。なお、
図8は実施例3に係る電動機の過熱検出のシステムの変形例を示しており、接続切替指令部8を電動機の過熱検出装置103´の外部に設けた例を示している。
【0029】
実施例1に示したPTCサーミスタにおいては、直列接続されていたために、各PTCサーミスタの個別出力電圧を直接測定することはできなかった。そこで、実施例3に係る過熱検出装置においては、3つのPTCサーミスタのうちの特定のPTCサーミスタのみの個別出力電圧を得るために、複数のスイッチSW1〜SW4を設けている。
図8に示すように、SW1はU相用サーミスタ11の一方の端子とV相用サーミスタ12の一方の端子との間に設けられている。SW2はV相用サーミスタ12の一方の端子とW相用サーミスタ13の一方の端子との間に設けられている。SW3はU相用サーミスタ11の他方の端子とV相用サーミスタ12の他方の端子との間に設けられている。SW4はV相用サーミスタ12の他方の端子とW相用サーミスタ13の他方の端子との間に設けられている。
【0030】
接続切替指令部8は、検出器2によって検出された三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて、特定のPTCサーミスタのみの個別出力電圧を得るように、複数のスイッチSW1〜SW4を切り替えるための指令を出力する。
【0031】
過熱アラーム発生レベル切替部(単に、「アラームレベル切替部」ともいう)9は、接続切替指令部8からの指令に従って、検出された三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて、過熱判定部5の過熱アラーム発生レベルを切り替える。
【0032】
次に、実施例3に係る電動機の過熱検出装置の動作手順について、
図9に示したフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS201において、電動機の通電を開始する。次に、ステップS202において、検出器2によって検出された電気角または磁極位相に基づいて、電動機20の電気角がU相、V相、あるいはW相コイルに電流が集中する位相で固定されているか否かを判断する。電動機20の電気角がU相、V相、あるいはW相コイルに電流が集中する位相で固定されている場合には、ステップS203において、電流集中はU相コイルで生じているか否かを判断する。
【0033】
電流集中はU相コイルで生じていると判断した場合には、ステップS204において、モード1のスイッチングを開始する。モード1では、
図12(a)のようにSW1及びSW2を「閉」とし、SW3及びSW4を「開」とする。このようにすることで、U相用のPTCサーミスタ11のみの出力電圧を検出することができる。
【0034】
一方、ステップS203において、電流集中がU相コイルで生じていない場合には、ステップS205において、電流集中がV相コイルで生じているか否かを判断する。電流集中がV相コイルで生じている場合には、ステップS206において、モード2のスイッチングを開始する。モード2では、
図12(b)のようにSW2及びSW3を「閉」とし、SW1及びSW4を「開」とする。このようにすることで、V相用のPTCサーミスタ12のみの出力電圧を検出することができる。
【0035】
一方、ステップS205において、電流集中がV相コイルで生じているのではない場合には、電流集中はW相コイルで生じているため、ステップS207において、モード3のスイッチングを開始する。モード3では、
図12(c)のようにSW3及びSW4を「閉」とし、SW1及びSW2を「開」とする。このようにすることで、W相用のPTCサーミスタ13のみの出力電圧を検出することができる。
【0036】
次に、ステップS208において、過熱アラーム発生レベルをVaveに設定し、ステップS211で過熱アラームが発生しているか否かを判断する。過熱アラームが発生していると判断した場合にはステップS212において通電を終了し、過熱アラームが発生していないと判断した場合には、ステップS202に戻って過熱の有無の検出を継続する。
【0037】
一方、ステップS202において、電動機20の電気角がU相、V相、あるいはW相コイルに電流が集中する位相で固定されていない場合には、ステップS209において、モード4のスイッチングを開始する。モード4では、
図13のようにSW1及びSW4を「閉」とし、SW2及びSW3を「開」とする。このようにすることで、U相、V相、及びW相用のPTCサーミスタ11〜13が直列接続され、3つのPTCサーミスタ11〜13の総出力電圧を検出することができる。次に、ステップS210において、過熱アラーム発生レベルをV
OHに設定し、ステップS211で過熱アラームが発生しているか否かを判断する。過熱アラームが発生していると判断した場合にはステップS212において通電を終了し、過熱アラームが発生していないと判断した場合には、ステップS202に戻って過熱の有無の検出を継続する。
【0038】
以上のようにして、電流集中がU相、V相、及びW相のいずれで生じているかに応じて、電圧検出部3が検出する電圧をU相、V相、またはW相の各PTCサーミスタ11〜13の各出力電圧V
u,V
v,V
wを直接検出することができる。また、このようにそれぞれの出力電圧の測定時には過熱アラーム発生レベルをVaveに設定しているため、コイルにおける過熱の有無を適切に検出することができる。
【0039】
一方、電流集中がいずれのコイルでも生じていない場合には、U相、V相、及びW相の3つのPTCサーミスタを直列接続することにより、U相、V相、及びW相のコイルを常時監視することができ、3つのPTCサーミスタのうちのいずれかで過熱が生じた場合であっても迅速に過熱を検出することができる。また、このように3つのサーミスタの総出力電圧の測定時には過熱アラーム発生レベルをV
OHに設定しているため、コイルにおける過熱の有無を適切に検出することができる。
【0040】
[実施例4]
次に、本発明の実施例4に係る電動機の過熱検出装置について説明する。
図10及び11に本発明の実施例4に係る電動機の過熱検出のシステム構成例を示す。実施例4に係る電動機の過熱検出装置104が、実施例2に係る電動機の過熱検出装置102と異なっている点は、出力電圧操作部4が、三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて該三相交流電動機に配置されたPTCサーミスタ11〜13の接続を切り替える接続切替指令部8を有する点である。実施例4に係る電動機の過熱検出装置104のその他の構成は、実施例2に係る電動機の過熱検出装置102の構成と同様であるので詳細な説明は省略する。なお、
図11は実施例4に係る電動機の過熱検出のシステムの変形例を示しており、接続切替指令部8を電動機の過熱検出装置104´の外部に設けた例を示している。
【0041】
実施例2に示したPTCサーミスタにおいては、直列接続されていたために、各PTCサーミスタの個別出力電圧を直接測定することはできなかった。そこで、実施例4に係る過熱検出装置においては、3つのPTCサーミスタのうちの特定のPTCサーミスタのみの出力電圧を得るために、複数のスイッチSW1〜SW4を設けている。
図11に示すように、SW1はU相用サーミスタ11の一方の端子とV相用サーミスタ12の一方の端子との間に設けられている。SW2はV相用サーミスタ12の一方の端子とW相用サーミスタ13の一方の端子との間に設けられている。SW3はU相用サーミスタ11の他方の端子とV相用サーミスタ12の他方の端子との間に設けられている。SW4はV相用サーミスタ12の他方の端子とW相用サーミスタ13の他方の端子との間に設けられている。
【0042】
接続切替指令部8は、検出器2によって検出された三相交流電動機20の電気角または磁極位相に応じて、特定のPTCサーミスタのみの個別出力電圧を得るように、複数のスイッチSW1〜SW4を切り替えるための指令を出力する。
【0043】
実施例4に係る電動機の過熱検出装置によれば、実施例3と同様に、スイッチSW1〜SW4を適切に閉/開とすることより、U相、V相、及びW相のサーミスタの各出力電圧を直接検出することができる。そのため、コイルの過熱の有無を正確かつ迅速に判断することができる。
【0044】
本発明では直列回路を用いているので、過熱検出モードとは別に断線検出モードを設け、電動機起動時または運転時に定期的に、全てのPTCサーミスタを通る直列回路に回路動作電圧を通電すれば、断線が生じている場合は0[V]の電圧が帰ってくるため、過熱検出装置は断線有無を検出できる。