特許第6096720号(P6096720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096720
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】電熱器具
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/00 20060101AFI20170306BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20170306BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20170306BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20170306BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   F24C7/00 A
   F24C1/00 340Z
   F24C7/04 301
   A47J27/00 109Z
   F24C7/02 355H
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-132504(P2014-132504)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-11763(P2016-11763A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2015年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】加古 英徳
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−265308(JP,A)
【文献】 特開2003−142247(JP,A)
【文献】 特開平09−042674(JP,A)
【文献】 特開平03−067929(JP,A)
【文献】 特開2006−166936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/00
A47J 27/00
F24C 1/00
F24C 7/02
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントからの電力供給を受けて動作する電熱器具であって、
複数の加熱手段として、調理庫内の空間を加熱する第一のヒータと、前記調理庫内に赤外線を放射して加熱する第二のヒータと、前記調理庫内に蒸気を供給するスチーマとを備え、
前記第一のヒータの消費電力は、最大で前記コンセントの定格電力と同等以下で、そこから半値程度にまで可変可能に構成され、
前記第二のヒータと前記スチーマの各消費電力は、何れも最大で前記コンセントの定格電力と同等以下で、前記調理庫内の温度を設定温度に維持するように、前記第一のヒータの消費電力を低減させて、前記第一のヒータをオンオフ制御したときに、前記第二のヒータや前記スチーマの最大消費電力の値から、前記第一のヒータの消費電力を減じた値以下に可変可能、または固定して設定された状態で、前記第二のヒータまたは前記スチーマが通電される構成としたことを特徴とする電熱器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば炊飯器、オーブン、魚焼き器、電子レンジ、オーブンレンジ、アイロン、ホットプレートなどの、複数の通電可能な加熱手段を備えた電熱器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の屋内配線は、分電盤から幾つかの回路に分岐して、各部屋に設置したコンセントに電力を供給する。この分岐回路の安全を守るのが配線用遮断器(分岐ブレーカ)であり、1つの分岐回路に流すことができる電流は20Aで、コンセントの定格は100Vで15Aが主流となっている。このため、コンセントからの電力供給を受ける民生用の各種電熱機器は、コンセントの定格以下の100Vで1500W以下の定格電力で自ずと構成される。
【0003】
こうした電力供給側の実情を考慮して、例えば特許文献1では、加熱手段として消費電力が1500Wの加熱ヒータと、消費電力が900Wの蒸気発生ヒータとを備えた加熱調理器において、第1期間では加熱ヒータをオンオフさせる一方で、蒸気発生ヒータをオフにし、別な第2期間では蒸気発生ヒータをオンオフさせる一方で、加熱ヒータをオフにすることで、加熱調理器の消費電力がコンセントの定格電力(1500W)を終始超えないように制御する考えが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−241942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、コンセントからの電力供給を受けて動作する加熱調理器のような電熱機器では、その定格電力が1500W以下に抑えられてしまうため、入力電圧が200V以上の電熱機器や、ガス機器に比べて加熱量が低く、大きな加熱量で調理などの加熱性能を確保する上で、マイナス要因となっていた。
【0006】
具体的には、例えばオーブンレンジの場合は、熱風オーブン(1400W)、過熱水蒸気(1200W)、グリル(1100W)、レンジ入力(1400W)の4種類の加熱手段を具備している。オーブン調理に使用する熱風オーブンのヒータ(熱風ヒータ)は、20L〜31Lクラスの庫内スペースを、冷時から短時間で昇温させるために必要な熱量で設定され、例えば庫内温度が250℃に到達した後には、温度検出手段で200℃〜230℃を維持するために、熱風ヒータのオンオフ制御を行なっている。
【0007】
このときの通電率は環境温度にもよるが、約50%であるとすると、実質的な消費電力は1400×50%=700Wとなって、定格電力に対して残り800Wの余裕がある。ところが、熱風ヒータのオン時には消費電力が1400Wに達しているため、オフのタイミングで別な加熱手段をオンさせることはできるものの、オフ期間は本来、別の加熱手段を通電するのに設けられたものではないため、調理などの加熱に有効活用できない欠点があった。
【0008】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、コンセントの定格電力で制限された範囲内で、複数の加熱手段を効率的に使用して、加熱性能を向上させることが可能な電熱器具を提供することを第1の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項の発明は、前記第1の目的を達成するために、コンセントからの電力供給を受けて動作する電熱器具であって、複数の加熱手段として、調理庫内の空間を加熱する第一のヒータと、前記調理庫内に赤外線を放射して加熱する第二のヒータと、前記調理庫内に蒸気を供給するスチーマとを備え、前記第一のヒータの消費電力は、最大で前記コンセントの定格電力と同等以下で、そこから半値程度にまで可変可能に構成され、前記第二のヒータと前記スチーマの各消費電力は、何れも最大で前記コンセントの定格電力と同等以下で、前記調理庫内の温度を設定温度に維持するように、前記第一のヒータの消費電力を低減させて、前記第一のヒータをオンオフ制御したときに、前記第二のヒータや前記スチーマの最大消費電力の値から、前記第一のヒータの消費電力を減じた値以下に可変可能、または固定して設定された状態で、前記第二のヒータまたは前記スチーマが通電される構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項の発明によれば、複数の加熱手段の中で、例えば第一のヒータをコンセントの定格電力とほぼ一致した最大の消費電力に調節して、調理庫内を急速に加熱する予熱を行ない、予熱後は第一のヒータの消費電力を半値にまで低減して、調理庫内を高温に維持しながら、第一のヒータをオンオフ制御し、別な第二のヒータの消費電力を、コンセントの定格電力から第一のヒータの消費電力を差し引いた値に可変または予め固定して、第二のヒータを通電することで、調理庫内の被加熱物に素早く焦げ目をつけたり、パリッと焼き上げたりすることが可能になる。また、第二のヒータの代わりにスチーマを併用通電して、調理庫内を高温に維持しながら、調理庫内に蒸気を供給することで、調理庫内の被加熱物をしっとりと焼き上げることができる。そのため、コンセントの定格電力で制限された範囲内で、複数の加熱手段を効率的に使用して、加熱性能を向上させることが可能になると共に、調理メニューに応じた最適な加熱構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施例の電熱器具として、オーブンレンジの外観を示す正面図である。
図2】同上、扉を取り除いた状態の内部構造を示す正面図である。
図3】同上、オーブンレンジの電気的構成を示すブロック図である。
図4】同上、オーブン調理時における熱風ヒータの動作状態を示すタイミングチャートである。
図5】同上、オーブン調理とグリル調理の併用時における庫内温度を示すグラフと、熱風ヒータやグリルヒータの動作状態を示すタイミングチャートである。
図6】同上、オーブンレンジの扉を取り除いた状態の別な内部構造を示す正面図である。
図7】同上、調理庫内部の温度と時間の関係を示すグラフである。
図8】従来品と本変形例における角皿の温度変化を示すグラフと、本変形例における加熱手段の通断電の様子を示すタイミングチャートである。
図9】本発明の第2実施例の電熱器具として、ハイパワー調理器と電力システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の電熱器具に関する好ましい実施例について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【実施例1】
【0017】
図1図8は、本発明の電熱器具をオーブンレンジに適用した第1実施例を示している。先ず、オーブンレンジの外観構成を図1に基づいて説明すると、1は矩形箱状に形成される本体であり、本体1の内部には、被加熱物を収容して加熱調理する調理庫2が形成される。この調理庫2は、左右方向に幅広とし、その大きな前面開口を開閉するための扉3が設けられる。従って、扉3は本体1の前面のほぼ全体を覆うように設けられ、その下端部が回動自在に軸支される。
【0018】
扉3の上部には、扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、操作手段7として、調理に関する加熱条件を設定するための第1加熱条件設定手段8および第2加熱条件設定手段9や、加熱の開始を指示する加熱開始指示手段10や、設定を取消したり調理を中止したりするための取消指示手段11を備えて構成される。操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板(図示せず)が配置される。
【0019】
第1加熱条件設定手段8は、電子式のタッチキーであり、調理の時間や温度の設定が不要な自動調理のための調理メニューの選択を行なう「のみもの」キーや「ゆで物」キーの他に、調理の時間や温度または出力の設定が必要な手動調理の選択を行なう「レンジ」キーや、「オーブン」キーや、「スチーム」キーからなり、これらの複数の押釦式キーを並設して構成される。また第2加熱条件設定手段9は、手動調理における調理の時間や温度を設定する他に、自動調理において「のみもの」や「ゆで物」以外の調理メニューを選択するために、回転を検知するエンコーダで構成される回動自在なダイヤルである。加熱開始指示手段10は、第1加熱条件設定手段8や第2加熱条件設定手段9で加熱条件を設定した後に、調理庫2内の被加熱物に対する加熱を開始するためのキーで、取消指示手段11は、加熱条件の取消しや加熱調理を中止するためのキーである。これらの加熱開始指示手段10や取消指示手段11は、メカ式のキー(タクタイルスイッチ)である。
【0020】
表示手段6は、例えば調理メニューの番号や、温度や、時間や、出力などを表示する液晶表示手段14と、調理の進行状況に応じて点滅や点灯表示するLED表示手段15とにより構成される。また本体1には、図示しない屋内配線のコンセントに着脱可能なプラグ付きコード16が配設される。このプラグ付きコード16は、屋内の任意箇所に設置されたコンセントに接続することにより、屋内配線から本体1への電力供給を可能にする接続手段に相当する。
【0021】
図2は、オーブンレンジの内部構造を示した図である。同図において、17は調理庫2内で被加熱物を載置するための角皿である。角皿17は外形が矩形浅皿状で、調理庫2の前面開口より出し入れ可能に設けられ、調理庫2の左右内壁に突出して形成した棚支え(図示せず)に載置される。角皿17を棚支えに載置した状態では、調理庫2内の空間18として、上部空間18Aと下部空間18Bがそれぞれ区画形成される。
【0022】
本体1の内部には、調理庫2の後方に位置して、熱風を発生する熱風ファンユニット21が設けられる。この熱風ファンユニット21は、調理庫2内の被加熱物を加熱する加熱ユニットとして、調理庫2を形成する庫内壁面22の奥側に配置され、空気を加熱する熱風ヒータ23と、その加熱された空気を調理庫2内に送るための熱風ファン24と、熱風ファン24を回転させるための熱風モータ25とを主な構成要素にしている。
【0023】
特に本実施例の熱風ヒータ23は、熱風オーブン用の加熱手段として、調理庫2内の上部空間18Aに臨んで配置される上熱風ヒータ23Aと、下部空間18Bに臨んで配置される下熱風ヒータ23Bと、を備えて構成される。これらの発熱体である上熱風ヒータ23Aや下熱風ヒータ23Bは、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。また熱風ファン24は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられている。室内壁面22の適所には、熱風ファンユニット21と調理庫2内の空間18との間で、空気(熱風)の流通を可能にする複数の孔26が設けられる。
【0024】
熱風ファンユニット21とは別に、ここでは調理庫2の上面から被加熱物に遠赤外線を含む赤外線を放射して加熱するグリルヒータ27が、グリル用の加熱手段として設けられる。本実施例のグリルヒータ27は、発熱体となる平面ヒータとして2個のグリル用ヒータ27A,27Bを本体1の上部に備えて構成される。また28は、過熱水蒸気による加熱調理を可能とする水蒸気発生手段であり、この水蒸気発生手段28は、過熱水蒸気用の加熱手段として、2個のスチーム発生用ヒータ29A,29Bからなるスチームヒータ29を備えている。これらの発熱体となるスチーム発生用ヒータ29A,29Bは、調理庫2の左右側面にそれぞれ設けられる。さらに、調理庫2の下側には、レンジ入力用の加熱手段として、調理庫2内の空間18にマイクロ波エネルギーを放射して被加熱物をレンジ加熱するために、マグネトロンやアンテナなどを含むマイクロ波供給手段31が設けられる。
【0025】
図3は、上述したオーブンレンジの電気的構成を示している。41は加熱制御手段に相当するマイクロコンピュータ(マイコン)であり、これは演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、入出力デバイスなどを備えている。マイコン41の入力ポートには、前述した操作手段7や、第1加熱条件設定手段8や、第2加熱条件設定手段9や、加熱開始指示手段10や、取消指示手段11の他に、調理庫2内の温度を検出するサーミスタなどの庫内温度検出手段42や、調理庫2内全体の温度分布を検出することで、そこに収容された被加熱物の温度を検出可能にする庫内温度分布検出手段43や、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段44や、プラグ付きコード16を通して本体1に流れ込む入力電流を検出する電流検出手段45などが、それぞれ電気的に接続される。
【0026】
また、マイコン41の出力ポートには、加熱手段の電力を各々単独で調節可能にする電力調節手段として、マイクロ波供給手段31から放射されるマイクロ波の出力を可変調節するレンジ駆動手段46と、上熱風ヒータ23Aおよび下熱風ヒータ23Bを個別にオンオフして、熱風ヒータ23の出力を可変調節する熱風ヒータ駆動手段47と、グリル用ヒータ27A,27Bを個別にオンオフして、グリルヒータ27の出力を可変調節するグリルヒータ駆動手段48と、スチーム発生用ヒータ29A,29Bを個別にオンオフして、スチームヒータ29の出力を可変調節するスチームヒータ駆動手段49が、それぞれ電気的に接続される。その他、マイコン41の出力ポートには、表示手段6や、熱風モータ25への駆動信号を生成するモータ駆動手段50が、それぞれ電気的に接続される。
【0027】
そしてマイコン41は、庫内温度検出手段42や、庫内温度分布検出手段43や、扉開閉検出手段44や、電流検出手段45からの各検出信号と、第1加熱条件設定手段8や、第2加熱条件設定手段9や、加熱開始指示手段10や、取消指示手段11からの各操作信号を受けて、レンジ駆動手段46や、熱風ヒータ駆動手段47や、グリルヒータ駆動手段48や、スチームヒータ駆動手段49や、モータ駆動手段50に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。
【0028】
マイコン41は、第1加熱条件設定手段8や、第2加熱条件設定手段9や、加熱開始指示手段10からの押動操作に伴う操作信号を受け取ると、その操作信号に応じた制御信号を、レンジ駆動手段46や、熱風ヒータ駆動手段47や、グリルヒータ駆動手段48や、スチームヒータ駆動手段49や、モータ駆動手段50に送出して、対応するマイクロ波供給手段31や、熱風ヒータ23や、グリルヒータ27や、スチームヒータ29や、熱風モータ25をそれぞれ制御し、調理庫2内に収容した被加熱物に対する種々の加熱調理を行なう。その制御時には、調理庫2内の温度を検出する庫内温度検出手段42からの検出信号や、調理庫2内の温度分布を検出する庫内温度分布検出手段43からの検出信号を参照にして、調理庫2内の温度を所定の値に制御する。
【0029】
本実施例では、マイコン41からモータ駆動手段50への制御信号を受けて、熱風モータ25に駆動電圧が印加され、熱風ファンユニット21の内部空間で熱風ファン24が回転すると、調理庫2の奥側の中心部分に位置する孔26を通して、熱風ファン24に向けて空気が吸い込まれ、この空気が熱風ファンユニット21の内部空間で、熱風ヒータ駆動手段47により通電した熱風ヒータ23を通過することで加熱される。そして、加熱された空気は庫内壁面22に配置された別な孔26から排出され、調理庫2内の全体を循環して、そこに収納された被加熱物をオーブン調理する構成となっている。
【0030】
こうしたオーブン調理とは別に、或いはオーブン調理と併用して、マイコン41からグリルヒータ駆動手段48に制御信号が送出され、グリルヒータ27が通電すると、調理庫2の上面から調理庫2内への輻射加熱により、被加熱物がグリル調理される。代わりに、マイコン41からスチームヒータ駆動手段49に制御信号が送出され、スチームヒータ29が通電すると、タンク(図示せず)から水蒸気発生手段28に運ばれた水が加熱して過熱水蒸気となり、蒸気発生手段28から調理庫2内に供給されることにより、被加熱物がスチーム調理される構成となっている。さらに、マイコン41からレンジ駆動手段46に制御信号を送出した場合は、その制御信号に応じた出力で、マイクロ波供給手段31から調理庫2内にマイクロ波が放射され、被加熱物がレンジ調理される構成になっている。
【0031】
一例として、ここでの熱風ヒータ23の電力(消費電力)は、上熱風ヒータ23Aが700W、下熱風ヒータ23Bが700Wで、同時に通電した場合には最大で1400Wの電力で加熱することが可能な構成としている。同様に、グリルヒータ27の電力は、グリル用ヒータ27A,27Bがそれぞれ700Wとしており、スチームヒータ29の電力も、スチーム発生用ヒータ29A,29Bがそれぞれ700Wとしている。さらに、レンジ入力に相当するマイクロ波供給手段31への入力電力は、レンジ駆動手段46からの駆動信号により、900Wから1400Wの範囲となる構成としている。つまり、熱風ヒータ23や、グリルヒータ27や、スチームヒータ29や、マイクロ波供給手段31を単独で動作させたときの最大消費電力は、コンセントの定格電力である1500W(100V−15A)よりも僅かに低く設定される。
【0032】
マイコン41は、これらの加熱手段の全てまたは一部を同時に通電したときの合計消費電力が、コンセントの定格電力である1500W(100V−15A)を超えないような制御信号を、駆動手段であるレンジ駆動手段46や、熱風ヒータ駆動手段47や、グリルヒータ駆動手段48や、スチームヒータ駆動手段49や、モータ駆動手段50に送出する加熱制御手段としての機能を備えている。特に本実施例のマイコン41は、電流検出手段45からの検出信号を参照にして、本体1への入力電流がコンセントの定格電流である例えば15Aを超えないように、マイクロ波供給手段31や、熱風ヒータ23や、グリルヒータ27や、スチームヒータ29をそれぞれ制御する構成となっている。
【0033】
本実施例の熱風ヒータ駆動手段47は、上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bのそれぞれに接続するリレーを用いて実現することができる。この場合、上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bは、マイコン41からの制御信号を受けて、それぞれ別個に独立して通断電制御される。
【0034】
次に、上記オーブンレンジの構成について、図4図5を参照しながら、その作用を詳しく説明する。
【0035】
図4は、オーブン調理時における熱風ヒータ27の動作タイミングを示したものである。同図において、横軸は加熱開始からの経過時間を示し、縦軸は熱風ヒータ27への入力電力、すなわち熱風ヒータ27の消費電力を示している。また、「熱風オーブン(上)」
の枠で囲まれた領域は、上熱風ヒータ23Aの通電期間に相当し、「熱風オーブン(下)」の枠で囲まれた領域は、下熱風ヒータ23Aの通電期間に相当する。
【0036】
マイコン41は操作手段7からの操作信号を受けて、オーブン調理の開始が指示されたと判断すると、加熱開始初期に上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bの両方を同時に連続通電するように、熱風ヒータ駆動手段47に制御信号を送出する。これにより、調理庫2内を素早く加熱し、調理庫2内の温度を上昇させることができる。その後、庫内温度検出手段42からの検出信号を取り込み、調理庫2内の温度が設定温度に達するまでの予熱時間は、上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bの最大消費電力を合計した1400Wで加熱し続ける。
【0037】
調理庫2内の温度が設定温度に達すると予熱が終了し、マイコン41は熱風ヒータ27を構成する片側のヒータとして、例えば上熱風ヒータ23Aを繰り返しオンオフさせ、それ以外の下熱風ヒータ23Bをオフにして、庫内温度検出手段42からの検出信号に基づき、調理庫2内の温度を一定に維持するように、上熱風ヒータ23Aの通電率を可変制御する。このときの制御は、熱風ヒータ駆動手段47としてリレーを使用し、そのリレーをオンオフすることによって実現可能である。
【0038】
図4に示すように、予熱が終了した後は、電力を700Wしか使用しない状態を実現できるので、コンセントの定格電流である1500Wに対して、800Wの余裕がある。そこで、操作手段7からの操作信号を受けて、マイコン41がオーブン調理とグリル調理を併用して行なう場合には、予熱終了後に上熱風ヒータ23Aを繰り返しオンオフさせながら、グリルヒータ27の中の一方のグリル用ヒータ27Aだけを連続的にオンして、調理庫2内の被加熱物を加熱する。このときの調理庫2内の温度、すなわち庫内温度と、熱風ヒータ23やグリルヒータ27の動作状態を図5に示す。
【0039】
同図中、Kは予熱後の設定温度で、マイコン41は調理庫2内の温度が設定温度である例えば250℃に達するまで、上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bの両方を同時に連続通電させる予熱を行ない、予熱が終了すると、引き続き調理庫2内の温度を設定温度Kである例えば200℃乃至230℃に維持するように、今度は上熱風ヒータ23Aだけをオンオフ制御する。予熱後は、コンセントの定格電力を超えないように、出力が700Wの上熱風ヒータ23Aを繰り返しオンオフすることに加えて、出力が700Wのグリル用ヒータ27Aを連続的にオンする。これにより、コンセントの定格電力である1500W以下の制約条件で、被加熱物である調理食品の表面を素早く焼いて焼き色を付けたり、カリッと仕上げたりすることが可能となる。
【0040】
また、操作手段7からの操作信号を受けて、マイコン41がオーブン調理とスチーム調理を併用して行なう場合には、前述のグリルヒータ27に代えてスチームヒータ29を使用することもできる。この場合、予熱終了後に上熱風ヒータ23Aを繰り返しオンオフさせながら、スチームヒータ29の中の一方のスチーム発生用ヒータ29Aだけを連続的にオンする。これにより、コンセントの定格電力である1500W以下の制約条件で、水蒸気発生手段28から調理庫2内にスチームを効率的に供給することができ、過熱水蒸気を利用した加熱によるオーブン料理やスチーム料理が短時間で上手に実現可能となる。
【0041】
以上のように上記実施例では、コンセントからの電力供給を受けて動作する例えばオーブンレンジなどの電熱器具であって、被加熱物を収容する調理庫2と、複数の加熱手段として、熱風ヒータ23や、グリルヒータ27や、スチームヒータ29や、マイクロ波供給手段31を備え、これらの加熱手段の電力を各々単独で調節可能にする電力調節手段として、熱風ヒータ駆動手段47や、グリルヒータ駆動手段48や、スチームヒータ駆動手段49や、レンジ駆動手段46を備えている。そして、これらの加熱手段を少なくとも2つ以上同時に通電したときの合計消費電力が、コンセントの定格電力である例えば1500Wを超えないように制限する加熱制御手段を、マイコン41に備えている。
【0042】
この場合、複数の加熱手段の中で、例えば第一の加熱手段である例えば熱風ヒータ23を、マイコン41の加熱制御手段からの制御信号によりオンオフ制御する際に、調理庫2に対する実質的な加熱量が損なわれない程度に、熱風ヒータ23の消費電力を熱風ヒータ駆動手段47により低下させる一方で、コンセントの定格電力から熱風ヒータ23の消費電力を差し引いた電力を上限として、別な第二の加熱手段として、例えばグリルヒータ27やスチームヒータ29の消費電力を、対応するグリルヒータ駆動手段48やスチームヒータ駆動手段49により適切に調節して通電することで、熱風ヒータ23とグリルヒータ27またはスチームヒータ29の双方で同時に加熱を行なうことができる。そのため、コンセントの定格電力で制限された範囲内で、複数の加熱手段を効率的に使用して、加熱性能を向上させた電熱器具を提供できる。
【0043】
また上記実施例では、コンセントから本体1に流れ込む入力電流を検出可能な電流検出手段45を備え、マイコン41の加熱制御手段は、そのコンセントからの入力電流がコンセントの定格電流を超えないように、複数の加熱手段をそれぞれ制御する構成を有している。
【0044】
この場合、電流検出手段45を備えることにより、電熱器具への入力電流がコンセントの定格電流を超えた場合に、例えば電熱器具が動作しないように確実に停止させることが可能となり、電熱器具を安全に使用できる効果が得られる。
【0045】
さらに上記実施例では、前記加熱手段の中の第一の加熱手段である熱風ヒータ23が、複数の電熱ヒータとして上熱風ヒータ23Aや下熱風ヒータ23Bを含んでおり、加熱手段は熱風ヒータ23とは別な第二の加熱手段であるグリルヒータ27やスチームヒータ29を有し、マイコン41の加熱制御手段は、上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bを同時に通電したときの合計消費電力が、コンセントの定格電力以下となるだけでなく、調理庫2内の温度を設定温度に維持するように、電熱ヒータの一部である上熱風ヒータ23Aをオンオフ制御すると共に、グリルヒータ27の一部であるグリル用ヒータ27Aまたはスチームヒータ29の一部であるスチーム発生用ヒータ29Aを連続的にオンして、上熱風ヒータ23Aと、グリル用ヒータ27Aやスチーム発生用ヒータ29Aと、を同時に加熱したときの合計消費電力も、同じくコンセントの定格電力以下となるように、複数の加熱手段をそれぞれ制御する構成を有している。
【0046】
このようにすると、例えば加熱開始初期に上熱風ヒータ23Aと下熱風ヒータ23Bを同時に通電し、その合計消費電力がコンセントの定格電力付近に達するようにして加熱を行ない、例えば調理庫2の内部が設定温度に到達したら、複数の電熱ヒータの中の一部の電熱ヒータである上熱風ヒータ23Aと、電熱ヒータ以外の第二の加熱手段である例えばグリル用ヒータ27Aまたはスチーム発生用ヒータ29Aと、を同時に動作させて、その合計消費電力がコンセントの定格電力付近に達するようにして加熱を行なうことが可能になる。そのため電熱器具として、複数の電熱ヒータと、電熱ヒータ以外の第二の加熱手段とを組み合わせて、加熱性能をより向上できる効果が得られる。
【0047】
次に、上記実施例の第1変形例を説明する。ここでは加熱手段として、最大消費電力が1400Wの熱風ヒータ23と、最大消費電力が1100Wのグリルヒータ27と、最大消費電力が1200Wのスチームヒータ29と、最大入力電力が1400Wのマイクロ波供給手段31を具備した構成で、特に前述の熱風ヒータ駆動手段47は、熱風ヒータ23の電力を可変可能な電力可変調節手段として設けられている。
【0048】
具体的には、熱風ヒータ駆動手段47は、マイコン41からの制御信号を受けて、交流入力電圧を別な交流出力電圧に変換するAC−AC電圧インバータを使用している。この場合、入力がAC100Vの印加電圧に対して、例えば出力がAC70Vの電圧を熱風ヒータ23に供給することができ、制御信号に応じて熱風ヒータ23の電力を段階的にではなく、連続的に可変することが可能になる。また、AC−AC電圧インバータの代わりにAC−DCコンバータを用いることも可能であり、その場合は入力がAC100Vの印加電圧に対して、例えば出力がDC70Vの電圧を熱風ヒータ23に供給することが可能となり、同様のヒータ加熱を実現できる。こうした構成は、熱風ヒータ駆動手段47に限らず、グリルヒータ駆動手段48やスチームヒータ駆動手段49にも適用できる。
【0049】
本変形例のように、熱風ヒータ駆動手段47としてAC−AC電圧インバータやAC−DCコンバータを用いた場合は、熱風ヒータ23の電力を例えば1400W〜700Wの範囲に連続して可変でき、また前記実施例のように、熱風ヒータ駆動手段47としてリレーを用いた場合には、熱風ヒータ23の電力を例えば1400Wと700Wの2段階に可変できる。何れの場合も、熱風ヒータ23の消費電力は、最大でコンセントの定格電力である1500W(100V−15A)よりも僅かに低い1400Wに設定され、そこから半値にまで可変できる。
【0050】
また、グリルヒータ駆動手段48やスチームヒータ駆動手段49にも、上述のAC−AC電圧インバータやAC−DCコンバータを用いた場合は、グリルヒータ27やスチームヒータ29の電力を、例えば1100W乃至1200W〜800Wの範囲にそれぞれ連続して可変できる。つまりグリルヒータ27の消費電力や、スチームヒータ29の消費電力も、最大でコンセントの定格電力よりも僅かに低い1400Wに設定され、熱風ヒータ23の消費電力を最大の1400Wから半値の700Wにまで低減させたときに、コンセントの定格電力である1500Wから熱風ヒータ23の消費電力を減じた値である700W以下の、800Wにまで可変可能に設定される。
【0051】
代わりに、熱風ヒータ23の電力に拘らず、グリルヒータ27やスチームヒータ29の電力を、熱風ヒータ23の電力を低減した時の値を減じた値以下の、例えば800Wに固定してもよい。この場合、グリルヒータ27やスチームヒータ29の電力を可変制御する必要がなく、電熱器具としての構成を簡素化できる。その他の構成は、上記実施例で説明した通りである。
【0052】
本変形例でも、操作手段7からの操作信号を受けて、マイコン41がオーブン調理とグリル調理を併用して行なう場合に、先ず予熱で熱風ヒータ23を最大の消費電力である1400Wで通電して、被加熱物を収容した調理庫2内を急速加熱する。そして、庫内温度検出手段42からの検出信号に基づき、調理庫2内の温度が設定温度である例えば250℃に達すると予熱が終了し、その後マイコン41は、熱風ヒータ23の電力を700Wに半減させ、庫内温度検出手段42からの検出信号に基づき、調理庫2内の温度を例えば200℃乃至230℃に維持するように、熱風ヒータ23を繰り返しオンオフさせ、且つ熱風ヒータ23の通電率を可変制御する。その状態で、マイコン41はグリルヒータ27の電力を800Wで通電して、調理庫2の上面から赤外線による輻射熱で被加熱物をグリル調理する。これにより、コンセントの定格電力である1500W以下の制約条件で、例えば被加熱物であるグラタンの表面に素早く焦げ目をつけたり、ピザをパリッと焼き上げたりすることができる。
【0053】
また、操作手段7からの操作信号を受けて、マイコン41がオーブン調理とスチーム調理を併用して行なう場合は、予熱後にグリルヒータ27に代えてスチームヒータ29の電力を800Wで通電して、水蒸気発生手段28からのスチームで被加熱物をスチーム調理する。これにより、コンセントの定格電力である1500W以下の制約条件で、例えば被加熱物であるパンを焼くときに、調理庫2内で高温を維持しながら、水蒸気発生手段28からの過熱水蒸気で水分を供給してしっとりと焼き上げることが可能になり、調理メニューに応じた最適な加熱構成を実現できる。
【0054】
そしてこれは、グリルヒータ27やスチームヒータ29以外の各種加熱手段にも幅広く適用できることから、コンセントの定格電力による制限の中で、複数の加熱手段を有効に活用したコンビネーション加熱を実現できる。
【0055】
以上のように本変形例では、コンセントからの電力供給を受けて動作する例えばオーブンレンジなどの電熱器具であって、複数の加熱手段として、調理庫2内の空間18を加熱する第一のヒータとしての熱風ヒータ23と、調理庫2内に赤外線を放射して加熱する第二のヒータとしてのグリルヒータ27と、調理庫2内に蒸気を供給するスチーマとしてのスチームヒータ29とを備え、熱風ヒータ23の消費電力は、最大でコンセントの定格電力である例えば1500Wと同等以下の1400Wで、そこから半値程度の700Wにまで可変可能に構成される。そして、グリルヒータ27やスチームヒータ29の各消費電力は、何れも最大でコンセントの定格電力と同等以下で、調理庫2内の温度を設定温度に維持するように、前記熱風ヒータ23の消費電力を低減させて、熱風ヒータ23をオンオフ制御したときに、グリルヒータ27やスチームヒータ29の最大消費電力の値から、熱風ヒータ23の消費電力を減じた値以下に、グリルヒータ27やスチームヒータ29の各消費電力を可変することができ、或いは固定して設定される構成となっている。
【0056】
この場合、複数の加熱手段の中で、例えば熱風ヒータ23をコンセントの定格電力とほぼ一致した最大の消費電力に調節して、調理庫2内を急速に加熱する予熱を行ない、予熱後は熱風ヒータ23の消費電力を半値にまで低減して、調理庫2内を高温に維持しながら、熱風ヒータ23をオンオフ制御し、別なグリルヒータ27の消費電力を、コンセントの定格電力から熱風ヒータ23の消費電力を差し引いた値に可変または予め固定して、グリルヒータ27を通電することで、調理庫2内の被加熱物に素早く焦げ目をつけたり、パリッと焼き上げたりすることが可能になる。また、グリルヒータ27の代わりにスチームヒータ29を併用通電して、調理庫2内を高温に維持しながら、調理庫2内に過熱水蒸気で水分を供給することで、調理庫2内の被加熱物をしっとりと焼き上げることができる。そのため、コンセントの定格電力で制限された範囲内で、複数の加熱手段を効率的に使用して、加熱性能を向上させることが可能になると共に、調理メニューに応じた最適な加熱構成を実現できる。
【0057】
なお、オーブンレンジに組み込まれる加熱手段として、図6に示すような構成配置も可能である。ここでは、最大消費電力が1000Wの熱風ヒータ23と、最大消費電力が1450Wのグリルヒータ27と、最大消費電力が450Wのスチームヒータ29と、最大入力電力が1450Wのマイクロ波供給手段31とを具備し、特にグリルヒータ27は、調理庫2の上面から輻射加熱を行なう最大消費電力が1000Wの上グリル用ヒータ27Cと、調理庫2の下面から輻射加熱を行なう最大消費電力が450Wの下グリル用ヒータ27Dとにより構成される。
【0058】
図6に示すオーブンレンジも、調理に最適な熱源として、複数の加熱手段の中から特定の加熱手段を選択すると共に、各加熱手段の電力を個々に制御し、複数の加熱手段を同時にオンしたコンビネーション加熱が実現できる。
【0059】
例えば、グリル調理とスチーム調理とを併用して行なう場合、グリルヒータ27の中で上グリル用ヒータ27Cだけを選択して通断電し、併せてスチームヒータ29を選択して通断電することで、コンセントの定格電力の制限内で、最大1450Wの消費電力にて、調理庫2内の被加熱物である例えば茶碗蒸しと焼き魚を同時に調理加熱できる。この場合、調理庫2内に挿入した前述の角皿17に魚を載せ、調理庫2内の下面に茶碗蒸しを載せるのが好ましく、上グリル用ヒータ27Cからの輻射熱が魚に集中的に供給され、水蒸気発生手段28からのスチームが茶碗蒸しに集中的に供給される。
【0060】
図7は、上グリル用ヒータ27Cとスチームヒータ29を通断電した場合に、角皿17の中心部の温度(実線)と、茶碗蒸しとなる卵液の温度(破線)が、時間の経過に伴いどのように変化するのかをグラフで示している。上グリル用ヒータ27Cを利用したグリル調理では、100℃以上の状態で16分加熱が続いており、角皿17に載せた焼き魚がしっかり焼けていることが判る。スチームヒータ29を使用したスチーム調理では、茶碗に投入した卵液が80度まで到達しており、しっかりと固まっている。従来はグリル調理とスチーム調理を別々に行なうので、40分の調理時間を要していたが、本例の二品同時調理では調理時間が25分になる(15分短縮)。
【0061】
また、オーブン調理とスチーム調理とを併用して行なう場合、加熱手段の中で熱風ヒータ23を選択して通断電し、併せてスチームヒータ29を選択して通断電することで、コンセントの定格電力の制限内で、最大1450Wの消費電力にて、調理庫2内の被加熱物である例えばパンをしっとりと柔らかく調理加熱できる。この場合、調理庫2内に挿入した角皿17にパン生地を載せて調理を行なう。
【0062】
図8は、従来のような熱風ヒータ23だけをオンオフした場合(破線)と、本例のような熱風ヒータ23とスチームヒータ29を通断電した場合(実線)に、角皿17の温度が、時間の経過に伴いどのように変化するのかをグラフで示している。またこの図8には、熱風ヒータ23とスチームヒータ29の通断電の様子をタイミングチャートで示している。
【0063】
従来は熱風ヒータ23がオンオフするのに伴い、角皿17の温度の振れ幅が大きくなっているのが判る。これに対して、本例の熱風ヒータ23とスチームヒータ29とによるコンビネーション加熱では、調理庫2内にスチームを充満させることで、角皿17の温度が滑らかに立ち上がり、角皿17の温度の振れ幅も小さい。そのため、オーブン調理とスチーム調理とによるコンビネーション加熱で、角皿17に載置した調理庫2内のパンをしっとりと柔らかく焼き上げることが可能になる。
【実施例2】
【0064】
図9は、本発明の電熱器具をハイパワー調理器61に適用した第2実施例を示している。先ず、ハイパワー調理器61に電力を供給する電力システムSの構成から説明すると、71は屋外に設置された電柱、72は電柱71から引込まれる引込み線、73は家屋Aの軒先に取付けた電気メータであり、各家屋Aでは、電力会社からの供給電力が引込み線72と電気メータ73を順に通過して屋内に導かれる。
【0065】
屋内側は、電力会社との契約電流のみを流通させるための契約ブレーカ74と、契約ブレーカ74から分岐した複数の屋内配線75と、一つの屋内配線75毎に接続される個別ブレーカ76と、各屋内配線75の端部に接続する複数のコンセント77A,77Bがそれぞれ設置される。各コンセント77A,77Bの定格電力は100V−15Aの1500Wであり、契約ブレーカ74を介して入力された電流が、複数に分岐して各屋内配線75に分配され、各屋内配線75に規定以上の電流(本実施例では20A)が流れた場合に、その屋内配線75の流通を遮断するように、個別ブレーカ76が構成される。
【0066】
次に、ハイパワー調理器61の構成を説明すると、81は箱状の本体、82A,82Bは本体81に設けたプラグ付きコードであり、各々のプラグ付きコード82A,82Bは、任意のコンセント77A,77Bに着脱可能に接続される。図9では、一方のプラグ付きコード82Aをコンセント77Aに装着し、他方のプラグ付きコード82Bを、コンセント77Aと同じ屋内配線75に接続したコンセント77Bに装着する形態を示しているが、各プラグ付きコード82A,82Bは、家屋A内の異なるどのコンセントに接続しても構わない。
【0067】
本体81の内部には、被調理物を収容する調理庫85と、調理庫85の下部に配置した第1ヒータ86と、調理庫85の上部に配置した第2ヒータ87と、第1ヒータ86と直列に接続する開閉可能なリレーの接点88と、第2ヒータ87と直列に接続する開閉可能なリレーの接点89と、プラグ付きコード82Bに流れる電流や印加さる電圧などを検出する通電検出装置90と、マイコンを含む制御装置91がそれぞれ配設される。また本体81の下部には、第1ヒータ86や第2ヒータ87を選択的に使用したり、加熱時間や調理コースなどを設定したりする操作ボタン93や、加熱時間や現在時刻などを表示する表示器94がそれぞれ配設される。第1ヒータ86を通電したときの消費電力は1450Wであり、第2ヒータ87を通電したときの消費電力は450Wである。
【0068】
制御装置91は、操作ボタン93からの操作信号と、通電検出装置90からの検出信号を受けて、第1ヒータ86の電力調節手段であるリレーの接点88と、第2ヒータ87の電力調整手段であるリレーの接点89に各々制御信号を送出し、第1ヒータ86と第2ヒータ87の通断電をそれぞれ制御する。接点88を閉じた状態では、第1ヒータ86が一方のプラグ付きコード82Aからの電力を得て、調理庫85の下面から1450Wの消費電力で被調理物を加熱する。また、別な接点89を閉じた状態では、第2ヒータ87が他方のプラグ付きコード82Bからの電力を得て、調理庫85の上面から450Wの消費電力で被調理物を加熱する。特に制御装置は、任意の例えばコンセント77Bにプラグ付きコード82Bが接続されたのを通電検出装置90で検出すると、両方の接点88,89を閉じるような制御信号を送出して、第1ヒータ86と第2ヒータ87を同時に通電させ、合計で1900Wの加熱電力と、個別ブレーカ76の定格電力である2000W(100V−10A)を超えないハイパワー専用の調理制御で、調理庫2内の被調理物を加熱調理する加熱制御手段としての構成を備えている。
【0069】
上記構成において、本実施例のハイパワー調理器61で被調理物を調理する場合は、一方のプラグ付きコード82Aを例えばコンセント77Aに接続し、他方のプラグ付きコード82Bを別なコンセント77Bに接続して、操作ボタン93により第1ヒータ86と第2ヒータ87を同時に通電する調理コースを選択する。これを受けて制御装置91は、リレーの接点88を閉じる制御信号を送出して第1ヒータ86を通電状態にし、調理庫85の下面から1450Wの消費電力で被調理物を加熱する。それと共に、コンセント77Bにプラグ付きコード82Bが接続されたのを通電検出装置90が検出した場合は、その通電検出装置90からの検出信号を受けて、制御装置91からリレーの接点89を閉じる制御信号が送出され、第2ヒータ87を通電状態にする。これにより、第1ヒータ86からの加熱に加えて、第2ヒータ87による450Wの消費電力で、調理庫85の上面から被調理物を同時に加熱することができる。
【0070】
このように、本実施例のハイパワー調理器61では、定格電力が1500Wのコンセント77A,77Bを端部に接続した一般家庭の屋内配線75で、その定格電力を超えた大加熱量を得ることが可能になり、例えば電子レンジの場合は、レンジ調理時におけるレンジ出力として、マイクロ波供給手段31の出力を1000Wから1100W乃至1200W(1400Wから1500W乃至1600Wの入力電力が必要)にアップさせることで、被調理物の温めスピードを速くできる。オーブン調理の場合は、予熱時間の短縮や、オーブン調理と過熱水蒸気によるスチーム調理との組み合わせや、オーブン調理とグリル調理との組み合わせなど、コンセント77A,77Bの定格電力を超えて、複数の加熱手段の同時加熱が可能となり、調理時間の短縮と過熱パターンの組み合わせにより、調理の目的に合わせた加熱構成が実現できる。
【0071】
また、別な炊飯器の場合は、容器を加熱する加熱手段を複数設け、炊飯の加熱開始から沸騰までの間に、複数の加熱手段を同時に通電して一時的に1900Wの合計消費電力で容器内の被調理物を加熱する、こうして、短時間で被調理物を沸騰させることで、炊飯時間の短縮と炊きむらの低減を図ることができる。さらにアイロンの場合は、掛け面であるベースに複数の加熱手段を埋設し、ベースが設定した適温に達するまでは、複数の加熱手段を同時に通電する。これにより、コンセント77A,77Bの定格電力を超えた合計消費電力でベースを加熱し、ベースの昇温スピードを速めることで、待ち時間を少なくして実用性を向上することが可能になる。
【0072】
このように本実施例では、コンセント77A,77Bからの電力供給を受けて動作する電熱器具としてのハイパワー調理器61であって、複数の加熱手段として第1ヒータ86と第2ヒータ87をそれぞれ備え、第1ヒータ86と第2ヒータ87の電力を各々単独で調節可能にする電力調節手段として、制御信号を受けて開閉するリレーの接点88,89を備えている、そして、第1ヒータ86と第2ヒータ87を同時に通電したときの合計消費電力が、コンセント77A,77Bの定格電力を超える電力に調節できるようにする加熱制御手段を、制御装置91に備えている。
【0073】
この場合、複数の加熱手段の中で、幾つかの加熱手段である第1ヒータ86と第2ヒータ87とを選択的に同時に通電し、コンセントの定格電力を超えた合計消費電力に加熱量を調節して、加熱を行なうことが可能となる。そのため、コンセントの定格電力以上の加熱量を付加することで、より加熱性能を向上させることが可能な電熱器具を提供できる。
【0074】
また本実施例では、複数のコンセント77A,77Bに接続可能な接続手段として、プラグ付きコード82A,82Bを有し、制御装置91の加熱制御手段は、第1ヒータ86と第2ヒータ87を同時に通電したときの合計消費電力を、複数のコンセント77A,77Bに共通して接続する配線用遮断器となる個別ブレーカ76の定格電力以下に制限するように、第1ヒータ86と第2ヒータ87を制御する構成を有している。
【0075】
この場合、屋内配線75の一回路に流すことができる個別ブレーカ76の定格電力以下に、電熱器具であるハイパワー調理器61の消費電力を制限することで、近接した複数のコンセント77A,77Bから、個々のコンセント77A,77Bの定格電力を超える電力を、屋内配線75のオーバーロードなしに安全に確保し、ハイパワー調理器61に得ることが可能になる。
【0076】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本発明でいう「電熱器具」は、少なくともコンセントからの電力供給を受けて、複数の加熱手段を通電することができるあらゆる民生用の電気機器を含み、「複数の加熱手段」や「複数の電熱ヒータ」の種類や数は、上述したものに限定されない。また、上述したコンセントの定格電力や各加熱手段の最大消費電力の数値などは、あくまでも一例に過ぎない。
【符号の説明】
【0077】
2 調理庫
23 熱風ヒータ(加熱手段,第一のヒータ
7 グリルヒータ(加熱手段,第二のヒータ)
29 スチームヒータ(加熱手段,スチーマ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9