(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096724
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】水流スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/40 20060101AFI20170306BHJP
G01F 1/00 20060101ALI20170306BHJP
G01F 1/38 20060101ALI20170306BHJP
F24H 9/20 20060101ALN20170306BHJP
F24D 17/00 20060101ALN20170306BHJP
【FI】
H01H35/40 E
G01F1/00 U
G01F1/38
!F24H9/20 B
!F24D17/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-167096(P2014-167096)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-45990(P2016-45990A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】松枝 和輝
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−188235(JP,U)
【文献】
実開昭63−002116(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/40
G01F 1/00
G01F 1/38
F24D 17/00
F24H 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水口と、出水口と、入水口と出水口とを結ぶ通水路と、通水路の途中のレバー収納室とを有する本体ケースと、入水口からの水流が当たる受圧部を有し、受圧部に作用する水流による力で基端側の支軸を支点に揺動する、レバー収納室に配置した水流応動レバーと、水流応動レバーの揺動を検知する検知スイッチとを備える水流スイッチにおいて、
入水口とレバー収納室との間の通水路の部分の断面積を可変する絞り部材を備え、絞り部材は、入水口とレバー収納室との間の通水路の部分に、水流応動レバーの基端側から進入するように構成され、絞り部材の操作部を本体ケースの外部から操作自在とすることを特徴とする水流スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等で通水時にバーナに点火し通水停止時にバーナを消火するために使用する水流の有無を検知する水流スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水流スイッチとして、入水口と、出水口と、入水口と出水口とを結ぶ通水路と、通水路の途中のレバー収納室とを有する本体ケースと、入水口からの水流が当たる受圧部を有し、受圧部に作用する水流による力で基端側の支軸を支点に自重に抗して上方に揺動する、レバー収納室に配置した水流応動レバーと、水流応動レバーの上方への揺動を検知する検知スイッチとを備えるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1記載のものでは、水流応動レバーにウエート用のプレートを取付け、このプレートとして適切な重量のものを用いることで、実際の作動流量(検知スイッチが水流応動レバーの揺動を検知してオン・オフするときの流量)が目標流量になるように調整している。
【0004】
然し、作動流量は、部品寸法のばらつき等で変化し、目標流量からずれてしまうことがある。この場合、上記従来例では、水流スイッチを分解して、水流応動レバーに別のウエート用プレートを付け替えることが必要になり、手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−78760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、スイッチを分解することなく簡便に作動流量を調整できるようにした水流スイッチを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、入水口と、出水口と、入水口と出水口とを結ぶ通水路と、通水路の途中のレバー収納室とを有する本体ケースと、入水口からの水流が当たる受圧部を有し、受圧部に作用する水流による力で基端側の支軸を支点に揺動する、レバー収納室に配置した水流応動レバーと、水流応動レバーの揺動を検知する検知スイッチとを備える水流スイッチにおいて、
入水口とレバー収納室との間の通水路の部分の断面積を可変する絞り部材を備え、
絞り部材は、入水口とレバー収納室との間の通水路の部分に、水流応動レバーの基端側から進入するように構成され、絞り部材の操作部を本体ケースの外部から操作自在とすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、絞り部材により通水路の一部の断面積を変化させることで、水流の流速が変化して、受圧部に作用する水流による力が変化し、この変化に伴い作動流量も変化する。従って、本体ケースの外部から操作部を操作するだけで、水流スイッチを分解することなく簡便に作動流量を調整できる。
【0009】
尚、絞り部材でレバー収納室と出水口との間の通水路の部分の断面積を変化させても、作動流量を多少は変化させることができるが、
本発明の如く、入水口とレバー収納室との間の通水路の部分の断面積を絞り部材で可変すれば、作動水量をより大きく変化させることができ、有利である。
【0010】
更に、
本発明によれば、入水口とレバー収納室との間の通水路の部分の面積を狭めるため、この部分に水流応動レバーの基端側から絞り部材をより深く進入させると、水流が水流応動レバーの受圧部の支軸から離れた部分に集中的に当たって、水流応動レバーが押し上げられやすくなり、作動流量が効果的に減少する。従って、調整可能な作動流量の下限値を下げて、作動流量を広範囲に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)本発明の実施形態の水流スイッチの切断側面図、(b)通水路断面積を狭めた状態での実施形態の水流スイッチの切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、
図2を参照して、1は、本発明の実施形態の水流スイッチを構成する本体ケースを示している。本体ケース1は、下端の入水口11と、上端の出水口12と、入水口11と出水口12とを結ぶ通水路13と、通水路13の途中のレバー収納室14とを有し、レバー収納室14に、水流応動レバー2が配置されている。
【0013】
水流応動レバー2は、入水口11からの水流が当たる受圧部21を有し、受圧部21の後側(
図1の右方)たる基端側の支軸22支点にして揺動自在である。そして、通水時に受圧部21に作用する水流による力で、
図1に仮想線で示す如く、水流応動レバー2が支軸22を支点に自重に抗して上方に揺動する。
【0014】
尚、本実施形態では、本体ケース1の前面に、レバー収納室14に臨む開口15を形成し、この開口15を通してレバー収納室14に前方から挿入自在なレバー保持枠23を設けている。レバー保持枠23は、その上下両面が開放され、前部には開口15を閉塞する蓋部23aが設けられ、後部下方に支軸22が設けられている。そして、保持枠23と一緒に水流応動レバー2を本体ケース1に脱着できるようにしている。
【0015】
また、水流スイッチは、水流応動レバー2の上方への揺動を検知する検知スイッチ3を備えている。本実施形態では、水流応動レバー2にマグネット24を取付けると共に、検知スイッチ3を本体ケース1の後面上部に取付けたリードスイッチで構成し、水流応動レバー2の上方への揺動でマグネット24が検知スイッチ3に接近したときに、検知スイッチ3がオンするようにしている。
【0016】
水流スイッチは、更に、通水路13の一部の断面積を可変する絞り部材4を備えている。本実施形態では、入水口11とレバー収納室14との間の通水路13の部分(以下、上流側通水路部と記す)13aの断面積を可変するように、絞り部材4を、上流側通水路部13aに水流応動レバー2の基端側たる後側から進入するように構成している。具体的に説明すれば、本体ケース1の後面下部に、上流側通水路部13aに臨む透孔16を形成して、この透孔16に円柱状の絞り部材4を挿入し、上流側通水路部13aに透孔16を通して後側から絞り部材4が進入するようにしている。
【0017】
また、透孔16の後部に雌ネジ16aを形成すると共に、絞り部材4の後部外周に、雌ネジ16aに螺合する雄ネジを形成している。そして、雄ネジを形成した絞り部材4の後部を操作部41として、この操作部41をケース本体1の外部から回動操作することにより、絞り部材4を回動させて前後方向に螺進退させ、この螺進退で上流側通水路部13aの断面積が可変されるようにしている。
【0018】
ここで、絞り部材4により上流側通水路部13aの断面積を狭めると、水流応動レバー2の受圧部21に当たる水流の流速が速くなり、受圧部21に作用する水流による力が増加し、これに伴い作動流量が減少する。従って、絞り部材4の操作部4aを本体ケース1の外部から操作するだけで、水流スイッチを分解することなく簡便に作動流量を調整できる。
【0019】
また、上流側通水路部13aの断面積を狭めるため、
図1(b)に示す如く、上流側通水路部13aに後側から絞り部材4をより深く進入させると、水流が水流応動レバー2の受圧部21の支軸22から離れた部分に集中的に当たって、水流応動レバー2が押し上げられやすくなり、作動流量が効果的に減少する。従って、調整可能な作動流量の下限値を下げて、作動流量を広範囲に調整することができる。
【0020】
次に、
図3に示す他の実施形態について説明する。この実施形態では、上流側通水路部13aの断面積を可変する上記実施形態と同様の第1の絞り部材4に加えて、レバー収納室14と出水口12との間の通水路の部分(以下、下流側通水路部と記す)13bの断面積を可変する第2の絞り部材4´を設けている。この絞り部材4´は、本体ケース1の前面上部に形成に形成した下流側通水路部13bに臨む透孔17に挿入されており、透孔17の前部に形成した雌ネジ17aに螺合する雄ネジを絞り部材4´の前部外周に形成している。そして、絞り部材4´の前部を操作部41´として、この操作部41´をケース本体1の外部から回動操作することにより、絞り部材4´を回動させて前後方向に螺進退させ、この螺進退で下流側通水路部13bの断面積が可変されるようにしている。
【0021】
このように下流側通水路部13bの断面積を変化させた場合も、水流応動レバー2の受圧部21に当たる水流の流速が多少は変化する。従って、第1の絞り部材4による上流側通水路部13aの断面積の変化で作動流量を大まかに調整した後、第2の絞り部材4´による下流側通水路部13bの断面積の変化で作動流量を微調整することができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記
図3の実施形態において、第1の絞り部材4を省略し、下流側通水路部13bの断面積のみを第2の絞り部材4´で可変することも可能である。また上記実施形態では、絞り部材4、4´を円柱状としているが、板状のものとしてもよい。この場合、操作部は、本体ケースの外部から操作自在で絞り部材に相対回転自在に連結される、本体ケースに螺入した送りネジで構成することができる。
【0023】
また、水流応動レバーを定位置にバネで付勢保持し、受圧部に作用する水流による力で水流応動レバーがバネの付勢力に抗して揺動するようにした水流スイッチにも同様に本発明を適用できる。尚、この場合、水流応動レバーの揺動方向は、任意の方向に設定できる。
【符号の説明】
【0024】
1…本体ケース、11…入水口、12…出水口、13…通水路、14…レバー収納室、2…水流応動レバー、21…受圧部、22…支軸、3…検知スイッチ、4,4´…絞り部材、41,41´…操作部。