特許第6096772号(P6096772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096772
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】包装材料のタイリング生産
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20170306BHJP
   B31B 50/00 20170101ALI20170306BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   B31B1/00 301
【請求項の数】20
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-522899(P2014-522899)
(86)(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公表番号】特表2014-529115(P2014-529115A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012047562
(87)【国際公開番号】WO2013016176
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月6日
(31)【優先権主張番号】61/510,894
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511117392
【氏名又は名称】パックサイズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ペッターソン,ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】オスターハウト,ライアン
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0020916(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0081753(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/091043(WO,A1)
【文献】 特表2008−545017(JP,A)
【文献】 特表2012−516823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B31B 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子包装システムが包装システム特性を有し、この包装システム特性の一部がときの経過と共に変化し、前記電子包装システムが1つ以上の包装材生産機械を含み、各包装材生産機械が、包装機械特性 (packaging machine characteristics) を有し、包装機械特性の一部がときの経過と共に変化し、各包装材生産機械には、箱を生産するための包装材料が装填される、前記電子包装システムにおいて、1対の箱の生産をタイリングする方法であって、
包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスする動作と、
前記複数の品目の各々について包装要件を判定する動作と、
前記包装材生産機械におけるタイリング生産のために1対の箱サイズを選択する動作であって、前記1対の箱サイズが、前記複数の品目における第1の1つ以上の品目を包装するための第1の箱サイズを含み、更に前記複数の品目における第2の1つ以上の品目を包装するための第2の箱サイズを含み、前記1対の箱サイズが、前記第1の1つ以上の品目および第2の1つ以上の品目に対する前記包装要件を満たし、前記包装材生産機械が、前記1つ以上の包装材生産機械の中から選択され、前記選択する動作が、
指定された時点において、(a)前記複数の品目の各々についての前記包装要件と、(b)前記梱包システム特性と、(c)前記1つ以上の包装材生産機械の各々についての前記包装機械特性とを集合的に分析する動作と、
前記集合的分析に基づいて、ある時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割り当てるか決定する動作とを含み、前記決定する動作が、
前記集合的分析に基づいて、前記1つ以上の包装材生産機械から、前記1対の箱サイズを生じさせる包装材生産機械を選択する動作を含む、動作と、
前記選択に応答して、箱生産命令を生成する動作であって、前記箱生産命令が、前記包装材生産機械において前記第1の箱サイズの箱と前記第2の箱サイズの箱との生産をどのようにタイリングするかを示す、動作と、
前記箱生産命令を前記包装材生産機械に送る動作と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、包装材生産機械におけるタイリング生産のために1対の箱サイズを選択する前記動作が、1対の箱サイズを選択する動作を含み、前記第1の箱サイズおよび前記第2の箱サイズが同じ箱形である、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、包装材生産機械におけるタイリング生産のために1対の箱サイズを選択する前記動作が、1対の箱サイズを選択する動作を含み、前記第1の箱サイズおよび前記第2の箱サイズが同じ箱形であり、前記箱サイズおよび前記第2の箱サイズが同じサイズである、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、包装材生産機械におけるタイリング生産のために1対の箱サイズを選択する前記動作が、1対の箱サイズを選択する動作を含み、前記第1の箱サイズおよび前記第2の箱サイズが異なる箱形である、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、箱生産命令を前記包装材生産機械に送る前記動作が、前記第1の箱および前記第2の箱において糊付きフラップを含ませるための箱生産命令を送る動作を含む、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記第1の箱および前記第2の箱上において糊付きフラップを含ませるための箱生産命令を送る動作が、前記第1の箱および前記第2の箱を横並びで生産する箱生産命令を送る動作を含み、前記第1の箱上における前記糊付きフラップのエッジが、前記第2の箱上における前記糊付きフラップのエッジと一直線状になる、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、ある時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割り当てるか決定する前記動作が、
前記第1の箱の第1包装材半加工品の長さと、前記第2の箱の第2包装材半加工品の長さとを決定する動作と、
前記第1包装材半加工品の長さおよび前記第2包装材半加工品の長さが、互いに指定された閾値以内であることを計算する動作と、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、ある時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割り当てるか決定する前記動作が、
前記第1の箱の第1包装材半加工品の長さと、前記第2の箱の第2包装材半加工品の長さとを決定する動作と、
前記第1包装材半加工品の長さおよび前記第2包装材半加工品の長さが、指定された閾値よりも多く異なることを計算する動作と、
前記第1包装材半加工品の長さおよび前記第2包装材半加工品の長さが互いに前記指定された閾値以内になるように、前記第1および第2の箱の少なくとも1つの図案を修正する動作と、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記集合的分析に基づいて包装材生産機械を選択する動作が、
前記包装材生産機械において装填される前記包装材料が、前記1対の箱の生産をタイリングするのに十分なサイズであることを判断する動作と、
前記包装材生産機械における前記1対の箱のタイリング生産から生ずる無駄が容認可能であると判断する動作と、
前記包装材生産機械に対する生産負荷が、前記1対の箱のタイリング生産を扱うことができると判断する動作と、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、箱生産命令を前記包装材生産機械に送る前記動作が、1つ以上のヌナタブを前記第1の箱と前記第2の箱との間の界面に配するための箱生産命令を送る動作を含む、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、1つ以上のヌナタブを前記第1の箱と前記第2の箱との間の界面に配する箱生産命令を送る前記動作が、糊付きフラップに近接してヌナタブを配するための箱生産命令を送る動作を含む、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスする前記動作が、品目データのストリームまたは品目データのバッチの内一方にアクセスする動作を含む、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、更に、
他の包装材生産機械におけるタイリング生産のために第2対の箱サイズを選択する動作であって、前記第2対の箱サイズが、前記複数の品目における第3の1つ以上の品目を包装するための第3の箱サイズと、前記複数の品目における第4の1つ以上の品目を包装するための第4の箱サイズとを含み、前記第2対の箱サイズが、前記第3の1つ以上の項目および前記第4の1つ以上の項目に対する包装要件を満たし、前記他の包装材生産機械が、前記1つ以上の包装材生産機械の中から選択される、動作であって、前記選択する動作が、
第2の指定時点において、更に、(a)前記複数の品目の各々に対する前記包装要件と、(b)前記梱包システム特性と、(c)前記1つ以上の包装材生産機械の各々についての前記包装機械特性とを分析する動作と、
前記更なる分析に基づいて、第2の時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械にどのように箱生産を割りあてるか決定する動作とを含み、前記決定する動作が、
前記更なる分析に基づいて、前記1つ以上の包装材生産機械から、前記第2対の箱サイズを生じさせる包装材生産機械を選択する動作を含む、動作と、
前記第2対の選択に応答して、他の箱生産命令を生成する動作であって、前記他の箱生産命令が、前記他の包装材生産機械における前記第3の箱サイズの箱と前記第4の箱サイズの箱との生産をどのようにタイリングするか指示する、動作と、
前記箱生産命令を前記他の包装材生産機械に送る動作と、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記他の包装材生産機械が、前記包装材生産機械である、方法。
【請求項15】
電子包装システムであって、当該電子包装システムが包装システム特性を有し、包装システム特性の一部がときの経過と共に変化し、前記電子包装システムが、
1つ以上の包装材生産機械であって、各包装材生産機械が包装機械特性を有し、この包装機械特性の一部がときの経過と共に変化し、各包装材生産機械に、箱を生産するための包装材料が装填される、包装材生産機械と、
生産エンジンを表すコンピュータ実行可能命令が格納されている1つ以上のコンピュータ記憶デバイスと、
を備えており、前記生産エンジンが、
前記1つ以上の包装材生産機械と通信し、
包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスし、
前記複数の品目の各々について包装要件を判定し、
前記包装材生産機械におけるタイリング生産のために1対の箱サイズを選択し、前記1対の箱サイズが、前記複数の品目における第1の1つ以上の品目を包装するための第1の箱サイズを含み、更に前記複数の品目における第2の1つ以上の品目を包装するための第2の箱サイズを含み、前記1対の箱サイズが、前記第1の1つ以上の品目および第2の1つ以上の品目に対する前記包装要件を満たし、前記包装材生産機械が、前記1つ以上の包装材生産機械の中から選択され、
指定された時点において、(a)前記複数の品目の各々についての前記包装要件と、(b)前記梱包システム特性と、(c)前記1つ以上の包装材生産機械の各々についての前記包装機械特性とを集合的に分析し、
前記集合的分析に基づいて、ある時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割り当てるか決定し、
前記決定が、前記集合的分析に基づいて、前記1つ以上の包装材生産機械から、前記1対の箱サイズを生じさせる包装材生産機械を選択することを含み、
前記選択に応答して、箱生産命令を生成し、前記箱生産命令が、前記包装材生産機械において前記第1の箱サイズの箱と前記第2の箱サイズの箱との生産をどのようにタイリングするかを示し、
前記箱生産命令を前記包装材生産機械に送る、
ように構成され、
前記1つ以上の包装材生産機械の各々が、
前記生産エンジンから箱生産命令を受信し、
前記受信した箱生産命令にしたがって、1つ以上の箱を生産し、1対の箱のタイリング生産を行うように指示されたときには、これを行うことを含むように構成される、電子包装システム。
【請求項16】
請求項15記載の電子包装システムにおいて、包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスするように構成される前記生産エンジンが、包装しようとする複数の品目を識別する品目データに、先入れ先出しに基づいてアクセスするように構成される生産エンジンを含む、電子包装システム。
【請求項17】
請求項16記載の電子包装システムにおいて、前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割りあてるか決定するように構成される前記生産エンジンが、前記先入れ先出し基準を変更すると生産性上昇(efficiency gain)が可能であることを前記集合的分析が示すときに、前記先入れ先出し基準を変更するように構成される、電子包装システム。
【請求項18】
電子包装システムにおいて、包装システム特性を有し、この包装システム特性の一部がときの経過と共に変化し、前記電子包装システムが1つ以上の包装材生産機械を含み、各包装材生産機械が、包装材機械(packaging machine)特性を有し、包装機械特性の一部がときの経過と共に変化し、各包装材生産機械には、箱を生産するための包装材料が装填され、1つ以上の品目の複数のグループのために箱を生産する方法であって、
包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスする動作と、
前記複数の品目の各々について包装要件を判定する動作と、
前記包装材生産機械におけるタイリング生産のために1群の箱サイズを選択する動作であって、前記1群の箱サイズが、(a)前記複数の品目における第1の1つ以上の品目を包装するための第1の箱サイズと、(b)前記複数の品目における第2の1つ以上の品目を包装するための第2の箱サイズと、(b)前記複数の品目における第3の1つ以上の品目を包装するための第3の箱サイズとを少なくとも含み、前記1群の箱サイズが、前記第1の1つ以上の品目、前記第2の1つ以上の品目、および前記第3の1つ以上の品目に対する前記包装要件を満たし、前記包装材生産機械が、前記1つ以上の包装材生産機械の中から選択され、前記選択する動作が、
指定された時点において、(a)前記複数の品目の各々についての前記包装要件と、(b)前記梱包システム特性と、(c)前記1つ以上の包装材生産機械の各々についての前記包装機械特性とを集合的に分析する動作と、
前記集合的分析に基づいて、ある時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割り当てるか決定する動作とを含み、前記決定する動作が、
前記集合的分析に基づいて、前記1つ以上の包装材生産機械から、前記1群の箱サイズを生じさせる包装材生産機械を選択する動作を含み、
前記選択に応答して、箱生産命令を生成する動作であって、前記箱生産命令が、前記包装材生産機械において前記第1の箱サイズの箱、前記第2の箱サイズの箱、および前記第3の箱サイズの箱の生産をどのようにタイリングするかを示す、動作と、
前記箱生産命令を前記包装材生産機械に送る動作と、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記集合的分析に基づいて包装材生産機械を選択する動作が、
前記包装材生産機械において装填される前記包装材料が、前記1群の箱の生産をタイリングするのに十分なサイズであると判断する動作と、
前記包装材生産機械における前記1群の箱のタイリング生産から生ずる無駄が容認可能であると判断する動作と、
前記包装材生産機械に対する生産負荷が、前記1群の箱のタイリング生産を扱うことができると判断する動作と、
を含む、方法。
【請求項20】
電子包装システムにおいて、包装システム特性を有し、この包装システム特性の一部がときの経過と共に変化し、前記電子包装システムが1つ以上の包装材生産機械を含み、各包装材生産機械が、包装機械特性を有し、包装機械特性の一部がときの経過と共に変化し、各包装材生産機械には、箱を生産するための包装材料が装填され、複数の箱の生産をタイリングする方法であって、
包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスする動作と、
前記複数の品目の各々について包装要件を判定する動作と、
前記複数の品目における第1の1つ以上の品目を包装するための第1の箱サイズと、前記複数の品目における第2の1つ以上の品目を包装するための第2の箱サイズとを決定する動作であって、前記第1および第2の箱サイズが、包装材生産機械におけるタイリング生産のためであり、前記第1および第2の箱サイズが、前記第1の1つ以上の品目および第2の1つ以上の品目に対する前記包装要件を満たし、前記包装材生産機械が、前記1つ以上の包装材生産機械の中から選択され、前記選択する動作が、
指定された時点において、(a)前記複数の品目の各々についての前記包装要件と、(b)前記梱包システム特性と、(c)前記1つ以上の包装材生産機械の各々についての前記包装機械特性とを集合的に分析する動作と、
前記集合的分析に基づいて、ある時間期間において前記1つ以上の包装材生産機械に箱の生産をどのように割り当てるか決定する動作と、を含み、前記決定する動作が、
前記集合的分析に基づいて、前記1つ以上の包装材生産機械から、前記第1および第2の箱サイズを生じさせる包装材生産機械を選択する動作を含み、
前記選択に応答して、箱生産命令を生成する動作であって、前記箱生産命令が、前記包装材生産機械において前記第1の箱サイズの箱と前記第2の箱サイズの箱との生産をどのようにタイリングするかを示す、動作と、
前記箱生産命令を前記包装材生産機械に送る動作と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、"TILING PRODUCTION OF PACKAGING MATERIAL"(包装材のタイリング生産)と題し、2011年7月22日に出願した米国仮特許出願第61/510,894号に対する優先権を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
[0002] 1.背景および関連技術
[0003] 商品、製品、およびその他の品目が、原産地だけでなく世界規模の市場を通じて増々入手可能になっているので、このような資材を出荷および配達のために適正に包装する必要性が増々重要になりつつある。幸い、現在入手可能な包装システムは、段ボールのような包装材料から事実上あらゆる様式の包装材を生産するために用いることができる。
【0003】
[0004] 恐らく、製品に合わせた包装材を生産する際における最も大きな1つの要素は、中に収容する製品にできるだけぴったりと沿うように包装材を立案する(design)ことである。ぴったりと沿う程、収容される品目または製品は、損傷を受けにくくなるだけでなく、充填材(inner packaging)の必要性も減るか、または不要になる可能性もある。具体的には、段ボールのような包装材料を用いて箱またはその他の包装材の図案(design)を作成するとき、これらの素材に折り目を付け、できるだけ直角に近く折り曲げる。直角に折り目を付けて折り曲げると、包装材の強度特性が(本質的に指数的に)増加することによって、結果的に得られる箱を積み重ねるときに、損傷に対する耐久力が対応して高くなる。
【0004】
[0005] しかしながら、指定された寸法上の制約を満たすために、多くの異なる様式の箱が生産される場合がある。異なる様式の箱は、各々、異なる利点または欠点を有する可能性がある。例えば、ある様式の箱は、他よりも見た目が綺麗であることがあり、他の箱は、一層生産に適した特徴(feature)を備えていることもある。更に他の箱の様式では、生産および/または組立を一層迅速化することができ、他の箱の様式は、生産に必要な材料を削減すること、あるいは箱の型板(template)の組立、閉鎖(closing)、またはその他の作業(manipulation)に必要な材料も削減することができる。
【発明の概要】
【0005】
[0006] 生産される箱の形式およびその他の包装材料(packaging material)は膨大な数になり、各々がそれら自体のプラスの特徴およびマイナスの特徴があるので、箱の個々の様式に疎い人にとって、所与の様式をいつ使えばよいか特定することは、非常に難しいであろう。様式の種類についての情報が提供されても、箱を生産するまたは組み立てる人にとって、利用可能な各選択肢を検討し、好ましい選択肢を選択することは、難しくおよび/または時間がかかる可能性がある。更に、状況によっては、リアル・タイム生産要素が、いつ特定の箱を使うべきかに影響を及ぼすこともある。例えば、生産受注残がある場合、生産される箱の見た目が劣っても、または保護能力が低下しても、あるいはより多くの生産または組立材料が必要になっても、生産時間が短い箱を生産することによって、スループットを高めることが望ましい場合もある。他の場合では、過剰な容量があるので、他の考慮すべき事項にもっと高い優先順位が与えられることを、リアル・タイム情報が示す場合もある。
【0006】
[0007] 本発明は、タイリング式箱型板(tiled box template)を生産することによって、包装材製品の生産を最適化する方法、機械、システム、およびコンピュータ・プログラム生産物に及ぶ。
【0007】
[0008] 1つ以上の実施形態において、コンピュータ・システムは、包装しようとする品目を識別する品目データにアクセスし、これらの品目の各々について包装要件を決定する。次いで、コンピュータ・システムは、包装材生産機械におけるタイリング生産(tiled production)のために、1対の箱サイズを選択する。この1対の箱サイズは、識別された品目に対する包装要件を満たし、第1品目を包装するための第1箱サイズと、第2品目を包装するための第2箱サイズとを含む。
【0008】
[0009] また、コンピュータ・システムは、(i)品目毎の包装要件、梱包システム(packing system)の特性、および1つ以上の包装材生産機械の各々についての包装機械特性を集合的に分析し、(ii)この集合的分析に基づいて、ある時間期間に1つ以上の包装材生産機械に箱生産をどのように割りあてるか決定することによって、1つ以上の包装材生産機械(packaging production machine)の中から、包装材生産機械を選択する。次いで、1対の箱サイズを包装材生産機械に合わせる(match)。
【0009】
[0010] 1対の箱サイズを選択した後、コンピュータ・システムは、箱生産命令を生成する。この箱生産命令は、包装材生産機械において、どのようにして第1箱サイズの箱および第2箱サイズの箱の生産をタイリング(tile)するかについて示す。次いで、コンピュータ・システムは箱生産命令を包装材生産機械に送る。
【0010】
[0011] この摘要は、詳細な説明の章において以下で更に説明する概念から選択したものを簡略化された形式で紹介するために設けられている。この摘要は、特許請求する主題の主要な特徴や必須の特徴を特定することを意図するのではなく、特許請求する主題の範囲を判断する際に補助として使用されることを意図するのでもない。
【0011】
[0012] 本発明の更に他の特徴および利点は、以下に続く説明において明記されており、一部はその説明から自明であり、または本発明の実施によって習得することもできる。本発明の特徴および利点は、添付した特許請求の範囲に特定して指摘した手段(instruments)および組み合わせによって、判明し習得することができる。本発明のこれらおよびその他の特徴は、以下の説明および添付した特許請求の範囲から一層明白となり、以下に明記する本発明の実施によって習得することができる。
【0012】
[0013] 本発明の以上で引用したそしてその他の利点および特徴を得ることができる態様を説明するために、添付図面に示す具体的な実施形態を参照して、以上で端的に説明した本発明の更に特定的な説明を行う。これらの図面は本発明の典型的な実施形態を描画するに過ぎないこと、したがってその範囲を限定であると考えてはならないことを理解した上で、添付図面の使用を通じて、更に具体的にそして詳細に、本発明について記載し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、包装材製品(packaging product)の生産を最適化するのに役立つ生産アーキテクチャの一例を示す。
図2図2は、包装材製品の生産を最適化する方法例のフロー・チャートを示す。
図3図3は、包装材情報表の一例を示す。
図4図4は、包装材生産情報を受け入れるユーザ・インターフェースの一例を示す。
図5A図5Aは、包装材材料表の一例を示す。
図5B図5Bは、機械データ表の一例を示す。
図6図6は、包装材製品の図案を選択する方法例のフロー・チャートを示す。
図7図7は、包装材図案を提示するユーザ・インターフェースの一例を示す。
図8図8は、原生産材料(source production material)内においてタイリング式型板を生成するように構成された生産トラック(production track)の一例を示す。
図9A図9Aは、1対の箱のタイリング生産(tiling production)方法の一例のフロー・チャートを示す。
図9B図9Bは、1対の箱のタイリング生産(tiling production)方法の一例のフロー・チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0024] 本発明は、タイリング式箱型板(tiled box template)を生産することによって、包装材製品の生産を最適化する方法、機械、システム、およびコンピュータ・プログラム生産物に及ぶ。
【0015】
[0025] 1つ以上の実施形態において、コンピュータ・システムは、包装しようとする品目を識別する品目データにアクセスし、これらの品目の各々について包装要件を決定する。次いで、コンピュータ・システムは、包装材生産機械におけるタイリング生産のために、1対の箱サイズを選択する。この1対の箱サイズは、識別された品目に対する包装要件を満たし、第1品目を包装するための第1箱サイズと、第2品目を包装するための第2箱サイズとを含む。
【0016】
[0026] また、コンピュータ・システムは、(i)品目毎の包装要件、梱包システム(packing system)の特性、および1つ以上の包装材生産機械の各々についての包装機械特性を集合的に分析し、(ii)この集合的分析に基づいて、ある時間期間に1つ以上の包装材生産機械に箱生産をどのように割りあてるか決定することによって、1つ以上の包装材生産機械(packaging production machine)の中から、包装材生産機械(package production machine)を選択する。次いで、1対の箱サイズを包装材生産機械に合わせる(match)。
【0017】
[0027] 1対の箱サイズを選択した後、コンピュータ・システムは、箱生産命令を生成する。この箱生産命令は、包装材生産機械において、どのようにして第1箱サイズの箱および第2箱サイズの箱の生産をタイリング(tile)するかを示す。次いで、コンピュータ・システムは箱生産命令を包装材生産機械に送る。
【0018】
[0028] 本発明の実施形態は、特殊目的コンピュータまたは汎用コンピュータを備えること、あるいは利用することができる。このコンピュータは、例えば、1つ以上のプロセッサおよびシステム・メモリというような、コンピュータ・ハードウェアを含む。これについては、以下で更に詳しく論ずる。また、本発明の範囲に該当する実施形態は、コンピュータ実行可能命令および/またはデータ構造を支持または格納する物理的およびその他のコンピュータ読み取り可能媒体も含む。このようなコンピュータ読み取り可能媒体は、汎用コンピュータ・システムまたは特殊目的コンピュータ・システムによってアクセスすることができる入手可能な媒体であればいずれでも可能である。コンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ記憶媒体(デバイス)である。コンピュータ実行可能命令を搬送するコンピュータ読み取り可能媒体は、伝送媒体である。つまり、一例としてそして限定ではなく、本発明の実施形態は少なくとも2つの別個の種類のコンピュータ読み取り可能媒体、即ち、コンピュータ記憶媒体(デバイス)および伝送媒体を備えることができる。
【0019】
[0029] コンピュータ記憶媒体(デバイス)は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、ソリッド・ステート・ドライブ(「SSD」)(例えば、RAMに基づく)、フラッシュ・メモリ、位相変化メモリ(「PCM」)、他のタイプのメモリ、他の光ディスク・ストレージ、磁気ディスク・ストレージまたは他の磁気記憶デバイス、あるいはコンピュータ実行可能命令の形態で所望のプログラム・コード手段またはデータ構造を格納するために用いることができ、更に汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータによってアクセスすることができるその他のあらゆる媒体を含む。
【0020】
[0030] 「ネットワーク」は、コンピュータ・システムおよび/またはモジュールおよび/または他の電子デバイス間における電子データの伝送を可能にする1つ以上のデータ・リンクとして定義する。情報をネットワークまたは他の通信接続(ハードワイヤ接続、ワイヤレス、あるいはハードワイヤ接続またはワイヤレスの組み合わせ)を通じてコンピュータに転送するとき、このコンピュータは接続を当然伝送媒体として見なす。伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令の形態とした所望のプログラム・コード手段またはデータ構造を搬送するために用いることができ、更に汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータによってアクセスすることができるネットワークおよび/またはデータ・リンクを含むことができる。以上の組み合わせも、コンピュータ読み取り可能媒体の範囲内に含まれてしかるべきである。
【0021】
[0031] 更に、種々のコンピュータ・システムのコンポーネントに到達すると、コンピュータ実行可能命令の形態としたプログラム・コード手段またはデータ構造を自動的に伝送媒体からコンピュータ記憶媒体(デバイス)に転送する(またはその逆)ことができる。例えば、ネットワークまたはデータ・リンクを通じて受信したコンピュータ実行可能命令またはデータ構造は、ネットワーク・インターフェース・モジュール(例えば、「NIC」)の中にあるRAMにバッファすることができ、その後最終的にコンピュータ・システムのRAMに転送すること、および/またはコンピュータ・システムにおいて揮発性でない(less volatile)コンピュータ記憶媒体(デバイス)に転送することができる。つまり、コンピュータ記憶媒体(デバイス)は、同様に伝送媒体を利用する(または主に利用するのであっても)コンピュータ・システムのコンポーネントに含むことができる。
【0022】
[0032] コンピュータ実行可能命令は、例えば、命令およびデータを含む。コンピュータ実行可能命令をプロセッサにおいて実行すると、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または特殊目的処理デバイスに、ある種の機能または機能の集合体を実行させる。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリー、アセンブリ言語のような中間フォーマット命令、またはソース・コードであってもよい。本主題について、構造的特徴および/または方法論的動作に特定的な言葉で説明したが、添付した特許請求の範囲に定義した本主題は、必ずしも先に記載した特徴や動作には限定されないことは言うまでもない。逆に、記載した特徴および動作は、特許請求の範囲を実現する(implement)形態例として開示するまでである。
【0023】
[0033] 尚、本発明は、多くのタイプのコンピュータ・システム構成を有するネットワーク計算環境において実施する(practice)ことができることは、当業者には認められよう。多くのタイプのコンピュータ・システム構成には、パーソナル・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、メッセージ・プロセッサ、ハンドヘルド・デバイス、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサに基づくまたはプログラマブルな消費者用電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、移動体電話機、PDA、ページャ、ルータ、スイッチ、パッケージ生産機械等が含まれる。また、本発明は、分散型システム環境においても実施することができる。分散型システム環境では、ネットワークを通じてリンクされている(ハードワイヤ接続したデータ・リンク、ワイヤレス・データ・リンク、またはハードワイヤ接続およびワイヤレス・データ/リンクのいずれかによって)ローカルおよびリモート・コンピュータ・システムの双方が、タスクを実行する。分散型システム環境では、プログラム・モジュールは、ローカルおよびリモート双方のメモリ記憶デバイスに配置することができる。
【0024】
[0034] 本発明の実施形態は、効率的および自動的に、例えば、箱の型板のような、包装材製品を生産するために最適な包装材図案を決定および選択することができる。包装材図案の決定および選択は、包装材製品情報および定義された包装材図案に基づくことができ、実施形態によっては、生産機械データ、包装材料データ、および生産環境のリアル・タイムで考慮すべき事項の内1つ以上と共に行うことができる。次いで、包装材生産機械に、選択した包装材図案にしたがって、包装材製品を生産することを命令することができる。
【0025】
[0035] また、本発明の実施形態は、原包装材料内において箱型板の最適な配置も判定することができ、これによって、箱生産速度および原包装材料の効率的な使用の双方を最適化することができる。例えば、本発明の実施形態は、原包装材料内において箱型板をタイリングすることができ、1つの生産デバイスが多数の箱を並列に生産しつつ、無駄を最小限に抑えることを可能にする。原包装材内において箱型板の配列を最適化することは、最適な包装材図案を決定および選択することと共に行うことができ、または別個のプロセスにおいて行うことができる。
【0026】
[0036] 図1は、包装材製品の生産最適化を促進する生産アーキテクチャの一例100を示す。図1を参照すると、生産アーキテクチャ100は、生産機械102、コンピュータ・システム104、およびデータ・ストア106を含む。図示したコンポーネントおよび機械の各々は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、更にはインターネットというようなネットワーク(またはその一部)を通じて、互いに接続されている。したがって、図示したコンピュータ・システムの各々、ならびに他の接続されているコンピュータ・システムのいずれか、機械、およびそのコンポーネントは、メッセージ関連データを作成し、ネットワークを通じてメッセージ関連データ(例えば、インターネット・プロトコル(「IP」)データグラム、および伝送制御プロトコル(「TCP」)、ハイパーテキスト・トランスファ・プロトコル(「HTTP」)、シンプル・メール転送プロトコル(「SMTP」)等のような、IPデータグラムを利用する他の上位レイヤ・プロトコル)を交換することができる。
【0027】
[0037] 包装材生産機械102は、図示する生産トラック102A、102B、および102Cのような、1つ以上の生産トラックを含む。生産トラック102A、102B、および102Cには、例えば、折りたたみ連続紙または巻段ボール(rolled corrugated board)というような、包装材原料を装填することができる。図示のように、生産トラック102A、102B、および102Cの各々は、原料に対して異なる最大幅を有する。生産トラック102A、102B、および102Cが包装材製品(例えば、箱の型板)を生産するに連れて、包装材生産機械102は、使用データのローカル・ストアを維持する。包装材生産機械102は、ネットワーク通信のためにNICに含むことができる。時折または所望の間隔で、包装材生産機械102は、NICを用いて、使用データをローカル・ストアからコンピュータ・システム104および/またはデータ・ストア106に伝達することができる。包装材生産機械102の上下にある縦方向の省略記号は、1つ以上の追加の包装材生産機械を生産アーキテクチャ100に含めることができることを表す。
【0028】
[0038] 一般に、データ・ストア106は、包装材製品の生産を最適化するための異なるタイプの情報を格納することができる。例えば、データ・ストア106は、例えば、包装材生産機械102のような、1つ以上の包装材生産機械についての情報を格納することができる。包装材生産機械について格納する情報は、包装材生産機械の形式、包装材生産機械を作動させるコスト、包装材生産機械において入手可能な原料の種類、および包装材生産機械において包装材生産を最適化するために用いられる図案群を含むことができる。生産アーキテクチャ100の中に示すように、データ・ストア106は、更に具体的には、包装材図案表301、包装材料表501、および機械データ表502を含む。
【0029】
[0039] コンピュータ・システム104は、最適化モジュール112を含む。一般に、最適化モジュール112は、包装材製品の生産を最適化するように構成されている。実施形態の中には、最適化モジュール112がリアル・タイム包装材製品設計機能を含む場合もある。包装材製品を生産しようとするとき、最適化モジュール112はデータ・ストア106を参照して、どのように包装材製品の生産を最適化するか決定することができる。最適化が決定すると、最適化モジュール112は命令を包装材生産機械に送ることができる。この命令は、決定した最適化にしたがって包装材製品を生産することを包装材生産機械に命令する。
【0030】
[0040] 実施形態の中には、コンピュータ・システム104および/または包装材生産機械102が、データ・ストア106からの情報の全部または一部を利用して、どのタイプおよび/またはサイズの包装材型板を、生産機械102によって作るとよいかについて最適化する場合もある。実施形態の中には、コンピュータ・システム104および/または包装材生産機械102が、包装材製品を生産するためには、どの包装材料のトラックを用いるべきかについても最適化する場合もある。
【0031】
[0041] 更に、包装材生産機械102、コンピュータ・システム104、およびデータ・ストア106を別個に図示しているが、生産機械102、コンピュータ・システム104、およびデータ・ストア106に示すコンポーネントならびにデータを組み合わせることもできる。例えば、コンピュータ・システム104を物理的に包装材生産機械102に統合するのでもよい。同様に、データ・ストア106をコンピュータ・システム104および/または包装材生産機械102に物理的に統合することもできる。
【0032】
[0042] 実施形態の中には、包装材製品が箱の型板である場合もある。この箱の型板に更に細工して、(例えば、折り曲げて、縁同士を繋ぎ合わせて)、箱を形成することができる。異なる製品には、異なる種類の箱または他の包装材を使用してもよく、または望ましい場合もある。箱のサイズは、その箱の中に密閉しようとしているものに基づいて、様々にすることができる。個々の使用または用途にはどの種類および/またはサイズの箱が望ましいか判断する際に、他の種類の特徴も考慮することができる。重い物体または脆い物体を密閉する場合、例えば、ある種の材料の箱を用いること、または保護特性(例えば、糊がついたフラップ(glue flap)、一体角保護材、原寸大のフラップ(full size flap)等)を向上させた箱を用いることが要求されることがある。
【0033】
[0043] つまり、一般的に記載したが、生産アーキテクチャ100のコンポーネントは、多数の異なる特徴または考慮すべき事項のいずれに基づいてでも、包装材製品の生産を最適化するために用いることができる。ある目的に適した包装材を特定する際に生産アーキテクチャ100の使用を促進するために、多数の異なる包装材の図案または種類のいずれでも考慮することができる。包装材の各種類または図案は、異なる形状、様式、または他の特徴を有すると考えられる。例えば、1つの箱の図案が、最終的な箱の幅の約半分である上面フラップおよび/または下面フラップを有することもある。他の箱の図案では、上面フラップおよび/または下面フラップが、箱の全長まででもよいものもある。これらおよび他の種類の箱も、組立のために糊付きフラップまたは固定(staple)フラップを含んでもよく、上面フラップおよび/または下面フラップに角保護材が一体化して組み込まれていてもよく、あるいは他の特徴またはそのあらゆる組み合わせを有してもよい。
【0034】
図2は、包装材製品の生産を最適化する方法の一例200のフロー・チャートを示す。方法200は、コンピュータ・アーキテクチャ100のコンポーネントおよびデータに関して説明する。方法200の説明の間、図3図4図5A、および図5Bも参照する。
【0035】
[0045] 方法200は、包装材製品を生産するための包装材生産情報を受信する動作(act)を含む。包装材生産情報は、少なくとも包装材製品のサイズを定める(動作201)。例えば、コンピュータ・システム104は包装材生産情報111を受信することができる。包装材生産情報111は、包装材製品(例えば、箱)のサイズを定めることができる。包装材生産情報111は、また、最適化モジュール112が包装材製品の生産をどのように最適化するか決定するために用いることができる他の情報も含むことができる。例えば、他の情報には、生産する箱の個数、選択した図案群(design group)、生産条件、利用可能な包装材生産機械、および生産時間コストを含むことができる。
【0036】
[0046] 実施形態の中には、包装材生産情報111を、他のコンピュータ・システムにおいて、またはコンピュータ・システム104の他のモジュール内においてでも、自動的に定式化する場合もある。他の実施形態では、人のユーザが包装材生産情報111を、例えば、コンピュータ・システム104または他のいずれかのネットワーク位置に設けられているユーザ・インターフェースを通じて入力する。端的に図4を参照すると、ユーザ・インターフェース401は、包装材生産情報を入力するための異なるユーザ・インターフェース制御部を示す。操作者または他のユーザがユーザ・インターフェース401を用いて、箱の寸法、生産する箱の個数、図案群の選択を入力し、生産条件を示し、利用可能な生産機械を選択し、生産時間コストを示すことができる。例えば、ユーザ・インターフェース401によって、ユーザは図案群302aを選択し、包装材生産機械102が利用可能であることを示すことができる。ユーザ・インターフェース401を通じて入力された包装材生産情報は、包装材生産情報111に含めることができる。
【0037】
[0047] 方法200は、複数の異なる包装材図案にアクセスする動作を含み、複数の包装材図案の各々は、包装材生産特性の組み合わせに対する値を示し、包装材生産特性の組み合わせに対して示された値は、包装材図案にしたがって包装材製品を生産するときに用いられる(動作202)。例えば、コンピュータ・システム104は包装材図案表301にアクセスすることができる。これより図3を参照すると、包装材図案表301は、図案群302、図案の特徴310、選好度得点311、選択肢312、制約308、および記述314を示す列を有する。
【0038】
[0048] 図案群302は、多数の図案群302a、302b、302c、302d、302e、302f等を含む。各図案群は、1つ以上の主要図案を含むことができる。例えば、図案群302aは、主要図案304を含む。各主要図案は、指定されたアルゴリズムに関係することができ、あるいは対応する図案群における他の主要図案に対して採点、評価、またはそれ以外で関係付けることができる他の図案に関係することができる。
【0039】
[0049] 図案群内において、階層を確立することができる。例えば、主要図案304aは、その中に多数の包装材図案306が定義されている。包装材図案306の各々は、それが一部をなす主要図案304aに関係付けられる。しかしながら、包装材図案306の各々は、他の包装材図案306からそれを差別化する、少なくとも1つの異なる値または異なる選択肢を、図案の特徴310、選好度得点311、選択肢312、および/または制約308に含む。例えば、異なる包装材図案306が、長さ、幅、および高さの寸法を交換し(interchanged)、図案の中にトレイおよびセパレータを追加した同じ主要図案に関係があってもよく、あるいは主要図案に共通な他の特徴または様相(aspect)に関係があってもよい。
【0040】
[0050] 実施形態の中には、主要図案304aが異なる種類の箱に対応できる場合もある。例えば、主要図案304aは、一定溝付き箱紙(「RSC」:regular slotted carton)構造、原寸フラップ箱(full flap box)、角保護材一体箱(integral corner protection box)、底が別体となっている底蓋構造箱(bottom lid construction box)、および蓋構成材(lid component)を有する箱に対応することができる。他の主要図案304は、他の種類の包装材図案に対応する。各包装材図案には、その図案を形成するために用いることができる1つ以上の公式(formula)を関連付けることができる。例えば、主要図案が矩形の箱を生産するために用いられる場合、組み立てられた箱について、所望の長さ、幅、および高さを求める公式であるとよい。主要図案に基づいて、箱型板を生産する。箱型板を折り曲げて、特定の長さ、幅、および高さの箱を生産することができ、更に、特定の主要図案の他の特性または特徴も提供する。
【0041】
[0051] このように、種々の包装材図案306を、主要図案304a内部の下位図案として考慮することができる。包装材図案306の各々は、同様の公式または本質的に同じ公式を、何らかの変更を加えて、用いることができる。
【0042】
[0052] しかるべきときには、コンピュータ・システム104は、1つ以上の包装材料表501および機械データ表502にもアクセスすることができる。図5Aを参照すると、包装材料表501は、生産アーキテクチャ100内において入手可能な1つ以上の包装材料の様相(aspect)を示し、その一部は、包装材生産機械102において入手可能であるとよい。例えば、包装材料表501は、例えば、名称、種類、幅、厚さ、量、およびコストというような、包装材料の様相を示す。
【0043】
[0053] 図5Bを参照すると、機械データ表502は、包装材生産機械102を含む、生産アーキテクチャ100における1つ以上の包装材生産機械の様相を示す。例えば、機械データ表502は、名称、付随する動作コスト(例えば、包装材製品を生産するために必要とされる、秒毎の相対的コスト)、異なる包装材料の利用可能性等を含む、包装材生産機械を示す。
【0044】
[0054] 方法200は、包装材製品を生産するために、複数の異なる包装材図案の中から1つの包装材図案を選択する動作を含む。この選択は、包装材製品情報にしたがって包装材製品を生産するために選択した包装材図案の適性に基づく(動作203)。例えば、最適化モジュール106は、包装材製品情報111にしたがって包装材製品(例えば、箱の型板)を生産するための包装材製品図案306aの適性に基づいて、包装材図案306aを選択することができる。包装材料表501および/または機械データ表502の内容は、包装材図案306aを選択するときにも考慮することができる。包装材図案の選択には、包装材図案表301を考慮するあらゆる数の異なるアルゴリズム、ならびに包装材料表501および機械データ表502の1つ以上を用いることができる。
【0045】
[0055] 実施形態の中には、アルゴリズムが、包装材図案表301からの1つ以上の値および/または選択肢、ならびに包装材料表501および/または機械データ表502からの1つ以上の値および/または選択肢を処理して、異なる包装材図案毎に得点値を生成する場合もある。生成した得点値に基づいて、最適化モジュール112は包装材図案を選択することができる。
【0046】
[0056] 方法200は、包装材製品を生産する命令を包装材生産機械に送る動作を含み、この命令は、包装材生産機械に、定められたサイズに十分な利用可能な原料を、選択した包装材図案にしたがって用いることを命令する(動作204)。例えばコンピュータ・システム104は、生産命令114を包装材生産機械102に送ることができる。包装材生産命令114は、包装材生産情報において定められているサイズの包装材製品を作成するのに十分な原料を用いて、包装材図案306aにしたがって包装材製品を作成することを、包装材生産機械102に命令する。
【0047】
[0057] 本発明の他の実施形態は、包装情報を確立し、次いでこの確立した包装情報を用いて包装材図案を選択する動作を含む。図6は、包装材製品に対して図案を選択する方法の一例600のフロー・チャートを示す。方法600について、図3図4図5A図5B、および図7に関して説明する。
【0048】
[0058] 方法600は、図案群を定義する動作(動作601)を含む。例えば、図3を参照すると、図案群302を定義することができる。図案群302は、総合的に、異なる重量、選好度、制約、およびその他の考慮すべき事項、あるいは以上の組み合わせを1組とした、複数の組に関係し、ユーザ、操作者、顧客、あるいは他の人またはエンティティが、これらを特定の図案に加味する(place)ことができる。例えば、異なる製品、異なる種類の製品(例えば、脆い製品と脆くない製品、高価な製品と安価な製品等)、異なる顧客等と用いるために、異なる図案群を考案することができる。
【0049】
[0059] 方法600は、図案群内における階層を設定する動作(動作602)を含む。例えば、各図案群302には、1つ以上の異なる主要図案304を設定することができる。各主要図案304は、特定のアルゴリズムに関連を有することができ、あるいは図案群302内における他の主要図案304に対して採点、評価、またはそれ以外で関係付けることができる他の図案に関連を有することもできる。また、各主要図案304には1つ以上の包装材図案を設定することができる。例えば、主要図案304aは包装材図案306を含む。
【0050】
[0060] 図案群内部で階層を設定するには、包装材図案毎に、図案の特徴310、選好度得点311、選択肢312、制約308、および記述314の内1つ以上に値を指定する動作を含むことができる。つまり、各包装材図案306は、主要図案304aに関係付けられるが、種々の異なる選択肢を含む。したがって、種々の包装材図案306を主要図案304a内部の下位図案として考慮することができ、何らかの変更を含むが、同じ公式、または本質的に同じ公式を用いることができる。例えば、異なる包装材図案306は、長さ、幅、および高さの寸法を交換し、図案の中にトレイおよびセパレータを追加した同じ主要図案に関係があってもよく、あるいは主要図案304aに共通な他の特徴または様相に関係があってもよい。
【0051】
[0061] 実施形態の中には、階層を設定するときに、異なる種類の箱に対応する主要図案を確立することを含む場合もある。例えば、主要図案304の一部は、RSC構造、原寸フラップ箱(full flap box)、角保護材一体箱(integral corner protection box)、底が別体となっている底蓋構造箱(bottom lid construction box)、および蓋構成材(lid component)を有する箱に対応することができる。他の主要図案304は、他の種類の包装材図案に対応する。各包装材図案には、その図案を形成するために用いることができる1つ以上の公式を関連付けることができる。例えば、主要図案が矩形の箱を生産するために用いられる場合、公式が、組み立てられる箱について、所望の長さ、幅、および高さを求める、次いで箱型板を生産する。この箱型板を折り曲げて、特定の長さ、幅、および高さの箱を生産することができ、更に、特定の主要図案の他の特性または特徴も提供する。
【0052】
[0062] 実施形態の中には、所望の箱の所望の長さ、高さ、および幅を用いることによって、1種類の包装材を生産してもよい場合もある。しかしながら、長さ、幅、および高さの値を単に変更するだけで、6通りまでの異なる組み合わせを得ることができる。つまり、ユーザが長さ、高さ、および幅の値を入力すると、種々の包装材図案306が異なる組み合わせに関係することができる(例えば、長さを高さとして、高さを幅として、そして幅を長さとして用いる)。ユーザは、1つの方法でこれらの寸法を入力することができ、次いで最適化モジュール106が6つの異なる組み合わせにおける寸法を評価することができる。例えば、ある箱が、以下の寸法を有するとする。
【0053】
寸法1:12インチ
寸法2:18インチ
寸法3:14インチ
[0063] また、この同じ箱は、以下の表記法のいずれでも記述することができる。
【0054】
長さ/幅/高さ
−A:12インチ×17インチ×14インチ
−B:12インチ×14インチ×18インチ
−C:18インチ×12インチ×14インチ
−D:18インチ×14インチ×12インチ
−E:14インチ×12インチ×18インチ
−F:14インチ×18インチ×12インチ
[0064] 最終的に、同じ寸法のこれらの組み合わせの内いずれでも、同じ全体的な寸法(即ち、12インチ×18インチ×14インチ)を有する箱を生産するために用いることができる。しかしながら、これらの寸法を公式に特定の形態で入力すると、指定されたサイズの箱を生産するために折り曲げることができる二次元型板のサイズおよび形状は様々となり得る。場合によっては、この型板の幅および長さが、長さ/幅/高さ寸法の特定の組み合わせに基づいて、変化する可能性がある。特に、包装材生産機械が、限られた1組の種類の材料(例えば、連続用紙、または特定幅の巻段ボール)しか入手する機会がない場合、型板のサイズが、この箱を生産する全体的なコストに差を生じさせる可能性がある。また、これらの異なる寸法の組み合わせは、箱を組み立てるまたは閉じるために用いられる材料の量、箱を組み立てる時間、箱を組み立てる難易度等にも影響を及ぼす可能性もある。例えば、異なる寸法の箱は、異なる量の糊または他の接着材、ホッチキス、荷造り帯、あるいは箱を用意し、直立させ、印を入れ、および/または閉じるために用いられる他の材料を必要とするかもしれない。
【0055】
[0065] 例示のために、第1の箱型板について入力した寸法は、幅が約50インチ、そして長さが約64インチとすることができる。第2の箱型板について入力した寸法は、幅が約80インチ、そして長さが約40インチとすることができる。つまり、第1の箱型板および第2の箱型板双方の総面積は、3200平方インチとなる。包装材生産機械は、幅が55インチおよび幅が100インチの連続紙または巻段ボールを入手する機会を得ることができる。つまり、総面積は同じであっても、第2の箱型板を生産するためには、より多くの包装材料が必要となることもある。
【0056】
[0066] 例えば、第2の箱型板を100インチ幅の材料から生産する場合、第2の箱型板を生産するために、4000平方インチ(即ち、100インチ×40インチ)の生産材料を用いる。第2の箱型板を回転させ、55インチ幅の連続用紙から生産する場合、第2の箱型板を生産するために、4400平方インチ(即ち、55インチ×80インチ)の生産材料を使用する。対照的に、第1の箱型板は55インチ幅の材料から生産することができ、用いられる総材料は3520平方インチ(即ち、55インチ×64インチ)となる。
【0057】
[0067] したがって、同じ種類の箱を生産するために寸法を入力するやり方を変更すると、その箱、または箱を生産するコストに影響を及ぼすことがある。また、入力した寸法が、包装材生産の他の面に影響を及ぼす可能性もある。例えば、箱の構造的強度も変化する可能性があり(例えば、糊/固定フラップの長さを変更することにより)、組立の難易度が上がる可能性があり、箱の全体的な美的外観が変化する可能性があり、あるいは、例えば、どの寸法を長さ、幅、または高さに用いるかに基づくだけでも、多数の他の特性または特徴が変化する可能性がある。更に、主要図案304に対する他の変更も、下位図案の中で取り組むことができる(例えば、インサート(insert)または仕切り板をトレイにまたは箱内部に追加する)。
【0058】
[0068] 図案群内に階層を設定するとき、例えば、美的感覚(aesthetics)、労働(labor)、生産能力、組立/材料コスト、および包装材図案毎の保護というような、1つ以上の図案の特徴310を指定することを含むことができる。また、階層を設定するとき、包装材図案毎に、選好度の得点311も指定することを含むことができる。
【0059】
[0069] また、図案群内に階層を設定するとき、包装材図案毎に選択肢312を指定することを含むこともできる。例えば、図案を回転させてもよいか、左右を逆にしてもよいか(mirror)、特定の包装材図案306または主要図案304に対して多数の出力を有してもよいか否かについて示すように、選択肢312を指定することができる。一般に、主要図案(または特定の包装材図案)の回転バージョンまたは左右逆バージョンは、通常、対応する図案と同じ全体的な二次元型板寸法を有すると考えられる。図案を回転させると利点を得ることができる。例えば、包装材料(例えば、連続紙または巻段ボール)が一定の幅でしか入手できない場合もある。このため、幅60インチ×長さ40インチの型板を75インチ幅の連続紙材料によって生産してもよい。しかしながら、この型板を回転させることによって、同じ図案を、42インチ幅の連続紙材料を用いて生産することもでき、これによって、型板の生産における全体的な材料使用を削減することができる。
【0060】
[0070] 多数の出力(out)を可能にする包装材図案306(例えば、図3に示すような、PD1、PD2、PD3、PD5、およびPD7)では、生産材料内において多数の型板を横に並べて生産することができる(即ち、「タイル状に並べる」)。即ち、生産材料の全体的な幅(例えば、連続段ボール)を用いて、本質的にまたは全体的に並列な複数の(例えば、2つ)包装材製品(例えば、箱型板)を生産することができる。多数の出力を可能にすることによって、多数の同じ図案を、横に並べて生産することが可能になり、あるいは異なる図案を横にならべて生産することも可能になることもある。
【0061】
[0071] 包装材製品を並列に生産するための包装材製品のタイリング(tiling)は、包装材製品を生産する速度および効率を著しく高めることができ、制限される包装材生産機械のハードウェアの利用を最大限高めるのに役立つことができる。更に、生産材料の幅全体を実質的に使用することによって、生産材料の無駄を大幅に減らすことができ、潜在的には根絶することができる。多数の型板を横に並べて生産することについて、少なくとも図8および図9を参照して、更に詳しく論ずる。
【0062】
[0072] 以上の説明では、連続材料または他の包装材料のサイズ、および/または包装材および/または包装型板の寸法について特定的に述べた。尚、これらの寸法は例に過ぎず、異なる様々の図案を用いることができる状況の例を例示するために提示したことは認められてしかるべきである。包装材図案表301では、図案群302、主要図案304、そして包装材図案306にも寸法が含まれていない。これは単に任意選択であるが、寸法を入れないことによって、より広い範囲の包装材を考慮することが可能になると考える。
【0063】
[0073] 例えば、製品サイズ毎または可能な包装材のサイズ毎に図案群を定義する代わりに、包装材図案表における定義に似た定義の方が確実(robust)であり、製品種類を図案群302毎に指定することを可能にする。各主要図案304および包装材図案下位群306は、広範囲の包装材のサイズを評価できるように、包装型板のサイズを計算する公式を有するとよい。更に、実施形態の中には、1つの図案群が他の図案群の階層の中に入ることもある。例えば、1つの図案群を選択することにより、1つ以上の他の図案群、ならびにその中にある主要および/または包装材図案304、306も考慮することができる。
【0064】
[0074] 実施形態の中には、ユーザまたはコンピュータ・システムが、図案群に対する制約(restriction)308に値を指定する場合もある。方法600は、制約(restriction)/制限(constraint)を指定する動作(動作603)を含む。包装材図案表301において、主要図案304または包装材図案306は、制約および/または制限(例えば、制約308)を指定することができる。例えば、包装材図案には、サイズの制約を指定することができる(例えば、最大寸法は34インチ未満でなければならない)。この特定的な例では、包装材図案は、いずれの寸法も指定された値まで許容することができる。寸法が指定された値を超過した場合、所望の包装材生産機械によって型板を生産できないかもしれない可能性があり、生産されても望ましくない折り目線が入る可能性があり、あるいは他の何らかの特徴またはその組み合わせが入る可能性もある。
【0065】
[0075] いずれの種類の制限または制約でも指定することができる。例えば、絶対サイズまたは寸法上の制約を適用することができ、相対的サイズまたは寸法上の制約を適用することができる(例えば、長さ対幅の比は、7:1未満でなければならない)。制約または制限は、特定の包装材生産機械を、その図案を生産するために用いることに限定すること、またはそのように要求することもあり、あるいは特定の品質の連続紙材料を用いることに限定すること、またはそのように要求することもある。勿論、制約または制限を特定するには、他の考慮すべき事項も用いることができる。つまり、制約または制限が存在する場合、特定の図案を他の考慮すべき事項または使用から除外する条件を指定するために用いることができる。
【0066】
[0076] 実施形態の中には、ユーザまたはコンピュータ・システムが、選好度(preference)の得点311の値、あるいは図案群についての他の優先順位(priority)またはコストの値を指定する場合もある。方法600は、選好度/優先順位/コストを指定する動作(動作604)を含む。選好度または優先順位は、多数の異なるカテゴリのいずれでも指定することができる。例えば、包装材図案表301では、選好度または優先順位を図案の特徴310に対して指定することができる。選好度、優先順位、コスト等を指定するときに用いることができる図案の特徴の例には、美的外観(aesthetic appearance)、労働時間、生産能力、組立/閉鎖材料コスト、保護能力、またはその他の選好度、あるいはその組み合わせが含まれる。
【0067】
[0077] 図案310に関する特徴に対する値の1つ以上(全ても可能)の組み合わせに重み付けすることができる。値に自動的に重み付けし指定することができ、あるいは技術者または他のユーザ、操作者、あるいは本明細書において記載するシステムを知ることができる人によって指定することができる。例えば、異なる図案の特徴には各々異なる重み付けをすることができる。特定の図案群302が脆い物体または重い物体と共に用いられそうな場合、箱の保護能力が特に重要になると考えられる。一方、図案群302が高価な製品または高級な顧客のために用いられようとする場合、美的外観が特に重要になると考えられる。大量の製品には、労働時間、生産能力、組立材料コスト等を高く評価することができる。
【0068】
[0078] したがって、多数の異なるやり方のいずれでも、異なる図案に関係する特徴310に重み付けすることによって、各図案群302を考慮することができる。更に、異なる図案群302には、異なる種類の主要図案304および包装材図案306が考慮される可能性がある。例えば、図案群302の中には、一体角保護材のある箱を考慮しなくてもよいこともあり(例えば、追加の保護を全く必要としない製品、または奇妙な形状をした製品)、一方、一部の図案群302だけに、2つ以上の別個の部品で生産される型板を考慮すればよい(例えば、大型製品用の図案群302)こともある。つまり、各図案群302は、特徴310を評価し重み付けするやり方でカスタム化するだけでなく、どの主要図案304および/または包装材図案306が特定の図案群302内において選択肢として含まれるかにしたがって、カスタム化することができる。
【0069】
[0079] 多数の異なる図案の特徴310および選好度の得点311が、包装材図案表301において明示的に示されている。包装材図案の中には、図案の特徴310の各々および/または選好度の得点311に対する値が指定されないものもある。実施形態の中には、図案の特徴310のいずれにも値を指定しない場合もある。つまり、選好度の得点311に対する値は、個々の図案に指定される1つの値でよい。選好度の得点311に対する値は、その図案群にとって重要であると見なされる図案に関する特徴の個々の組み合わせに基づくことができる。選好度の値は、数値(例えば、0から100までの目盛り上)、文字値(例えば、AおよびFの間の値)、コスト値(例えば、図案係数310に基づく箱を生産するのに伴うコスト)、または他のいずれかの種類の値、あるいはその組み合わせとすることができる。
【0070】
[0080] 方法600は、追加情報を設定する動作(動作605)を含む。例えば、ここで図5Aおよび図5Bを参照すると、包装材料表501および機械データ表502も設定することができる。包装材料表501は、生産アーキテクチャ100内部で入手可能な1つ以上の包装材料の様相を記述するために設定することができる。例えば、包装材料表501は、入手可能な連続紙生産材料の幅、このような連続紙材料の入手可能な量、および各種類の材料のコストというような、包装材料の様相を記述する。機械データ表502は、生産アーキテクチャ100内部で入手可能な1つ以上の包装材生産機械の様相を記述するために設定することができる。例えば、機械データ表502は、秒当たりの運転コスト(運転コスト)および異なる包装材料サイズの入手可能性(access)というような、包装材生産機械の様相を記述する。
【0071】
[0081] 本発明の実施形態は、1つ以上の最適な包装材図案を選択または特定するために利用可能な情報を用いるリアル・タイム図案最適化システムを含む。図案情報、包装材料情報、および包装材生産機械情報に基づいて、包装材製品の図案を選択することができる。また、リアル・タイム図案最適化システムは、別のユーザが入力したジョブ特定情報(例えば、操作者から)も、図案選択を容易にするために考慮することができる。
【0072】
[0082] 方法600は、ジョブ特定情報を入力する動作(動作606)を含む。例えば、手短に図4に再度戻ると、リアル・タイム図案最適化システムは、ユーザ・インターフェース401を通じて入力されたジョブ特定情報を考慮することができる。ジョブ特定情報は、1つの箱、多数の同じ箱、または多数の異なる箱に対するジョブを示すことができる。ユーザ・インターフェース401において情報を入力するとき、操作者または他のユーザは、用いようとしている図案群というような、情報を入力することができる。先に注記したように、各図案群は異なる種類の包装材図案を含むことができる。
【0073】
[0083] 加えて、または代わりに、各図案群は、異なる図案に関する特徴に、異なるやり方で重み付けすることもできる。例えば、ユーザ・インターフェース401に図示されているように、1つ以上の図案群302が、その図案群の基本的記述と共に特定される。この記述は、サイズ、重量、製品カテゴリ、または操作者がどの図案群を考慮すればよいか識別するために用いることができる他の情報を含むことができる。実施形態の中には、多数の図案群を考慮のためにユーザが選択する場合もある。
【0074】
[0084] 方法600は、情報を更新する動作(動作607)を含む。例えば、ユーザ・インターフェース401は、ユーザが寸法情報を入力できる種々の欄を示す。操作者は、例えば、所望の箱が寸法A、B、およびCを有することを知ることができる。この場合、このような寸法は、ユーザ・インターフェース401のしかるべき欄に入力することができる。寸法情報は、多数の異なる単位でも同様に入力することができる。例えば、本システムは、インチ、フィート、センチメートル、メートル、または他の寸法単位で寸法を要求することができる。また、指定された値を入力する単位を、ユーザが指定できるのでもよい。例えば、ドロップ・ダウン・ボックス(drop-down box)によって、単位をセンチメートルではなくインチで示すことを、ユーザが指定できるようにしてもよい。
【0075】
[0085] 他の情報も入力することができる。例えば、ユーザ・インターフェース401において、操作者または他のユーザが、生産条件についての情報を入力することができる。事故が起きて生産が遅延または停止した場合、この状態を入力することができる。生産が停止または遅延したことを示すために、チェック・ボックスまたは他の入力メカニズムを用いることができる。また、ユーザ・インターフェース401は、時間コスト(time cost)を入力するために用いることができる。生産が停止または遅延する程時間コストを増大することができる。前述のように、時間コストは、生産時間を評価するために用いることができる。生産コストが高い場合、リアル・タイム最適システムは、生産時間を短縮する解決策を探すことができる。追加の情報も入力することができる。例えば、連続紙または他の生産材料の入手可能性(availability)についての情報、停止中の生産機械の識別、またはその他の情報、あるいはその組み合わせも指定することができる。
【0076】
[0086] 方法600は、承認された図案の最終候補(solution)を特定する動作(動作608)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、指定された図案群における各主要図案を評価するために、寸法情報、および図案制約に関してユーザが指定した他の情報を考慮することができる。ユーザが図案制約に関して入力した情報を満たす図案を、承認された図案の最終候補として特定する。承認された最終候補のリストをユーザに表示すること、および/または格納すること(例えば、データ・ストア106に)ができる。
【0077】
[0087] リアル・タイム図案最適化システムは、図案群におけるいずれかの図案に対して指定された制約またはその他の制限を評価することができる。例えば、ある図案に制約があり、この制約が満たされない場合(例えば、サイズの制約、寸法上の制約、包装材生産機械の制限、材料品質の制限等)、この図案を、利用可能な最終候補のリストから除外することができる。他の制約または制限も評価することができる。例えば、連続紙または生産機械の利用可能性(例えば、特定の機械上でなければ生産できない)、時間コスト(例えば、時間コストがある値よりも低い場合またはある値の間にある場合にのみ用いる)に関する追加の制約があってもよく、あるいは他の要素、または以上のあらゆる組み合わせに基づく追加の制約があってもよい。
【0078】
[0088] 方法600は、材料コストを計算する動作(動作609)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、包装材生産機械において(例えば、包装材生産機械102において)利用可能な連続紙の幅を特定することができる。承認された最終候補毎に、リアル・タイム図案最適化システムは、図案を生産するために用いられる連続紙材料の量を計算することができる。用いられる連続紙材料の量は、包装材型板の底面積(footprint)だけでなく、連続紙の幅に基づく連続紙材料の全体的な使用にも基づくことができる。
【0079】
[0089] したがって、幅が50インチで長さが30インチの包装材型板は、1500平方インチの面積を有すればよい。しかしながら、60インチの幅がある連続紙から包装材型板を生産する場合、全体的な材料の使用は1800平方インチになると考えられる。同じ図案を回転させたバージョンであれば、潜在的に幅が32インチある連続紙から生産することができ、回転させたバージョンは、約1600平方インチの連続紙材料を用いて生産することもできる。つまり、材料コストの計算には、包装材生産機械に利用可能な入手可能な材料を考慮することも含むとよく、それらの異なるサイズ、品質、および量が含まれる。
【0080】
[0090] 連続紙材料の使用が分かっていれば、コストを計算することができる。例えば、0.03ドル/平方フィートのコストを有する連続紙材料については、1600平方インチの連続紙材料の全体的コストは、約0.33ドルになるであろう。そして、1800平方インチの連続紙材料の全体的コストは、約0.38ドルになるであろう。したがって、異なる幅の入手可能な連続紙材料、ならびに図案群302内における種々の主要図案304および下位図案306に基づいて、連続紙材料について、多数の異なるコストを得ることができる。更に、連続紙材料の幅が異なれば、異なるコストが伴うこともある。例えば、連続紙の品質は様々であり、1つの連続紙材料のコストが他のものと比較して高くなることもある(例えば、平方フィート毎のコストが、異なる連続紙毎に様々となる)。他の実施形態では、生産者が特定の幅の連続紙を大売り出しして(close-out)、このような連続紙材料にはより低いコストを指定できるようにしたい場合もある。
【0081】
[0091] ある図案を生産するために用いられる材料の量、つまり箱またはその他のパッケージの材料コストは、どのような箱を生産すべきか決定する際の1つの要素(factor)になり得る。しかしながら、他の要素も考慮することができる。例えば、前述のように、図案群302内にある各主要図案または包装材図案304、306には、図案に関する特徴310に基づいて、特定の値または選好度が指定されていてもよい。したがって、リアル・タイム図案最適化システムは、最適な図案を特定する前に、多数の図案に関する特徴を考慮することができる。
【0082】
[0092] 例えば、より低い材料コストで箱型板を生産しても、コストがかかる組立/閉鎖材料、または高い労務コストが、この箱の組立に伴うこともあり得る。これらおよびその他の要素が、より低い材料コストよりも勝る可能性があり、その結果、代わりの図案を選択することになる。他の実施形態では、材料コストが低い図案が、乏しい美的感覚または保護能力を有することもあり得る。その結果、リアル・タイム図案最適化システムが種々の様相を評価するとき、美的品質および/または保護品質に高い重みまたは選好度がある図案群が、1つの図案が他の図案よりも相対的に材料コストが低いことに勝る場合もある。
【0083】
[0093] 方法600は、選好度の得点を指定する動作(動作610)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、動作608からの承認された最終候補毎に、選好度の得点を指定することができる。方法600は、選好度の得点および材料コストを組み合わせる動作(動作611)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、動作609によって計算した材料コストを、動作610によって割り当てた選好度の得点と組み合わせることができる。
【0084】
[0094] 選好度の得点および材料コストを組み合わせる、またはそれ以外で得点値を求めるのに望ましいアルゴリズムであれば、いずれでも用いることができる。例えば、1組の承認された図案選択肢は、表1に示すような、以下の値および材料コスト値を含むことができる。
【0085】
【表1】
【0086】
[0095] 次に、図案毎の選好度の値および材料コストの値を、総合的な得点を得るように組み合わせることができる。一例によれば、選好度の値および材料コストの値を正規化して、選好度の得点を計算するときに、等しい重みを与えるとよい。例えば、図案毎の選好度の値は、各値を最大の選好度の値で除算することによって正規化することができる。つまり、図案5は1.00の正規化された選好度の値を有することができる。
【0087】
[0096] 材料コストの値も正規化することができる。例えば、図案毎の材料コストの値は、各値を最小の材料コストの値で除算することによって正規化することができる。つまり、図案2は、1.00の正規化された材料コストの値を得ることができる。図案2の2倍のコストを有する値が0.00の正規化された値を有すると仮定すると、正規化された値は、次の式で得ることができる。
【0088】
NMCV=MCV*(−1)/MMCV−2
ここで、NMCVは、正規化された最小材料コストの値、
MVCは、材料コストの値、そして
MMCVは、最小材料コストの値である。
【0089】
[0097] 次いで、正規化選好度値および材料コスト値に等しく重み付けし、合計することができる。得点値によって並び替えられた図案によって、表2は表1からの図案に対する得点値を示す。
【0090】
【表2】
【0091】
[0098] したがって、表2では、選択された図案群において指定された材料コストおよび選好度値の特定の組み合わせにしたがって、図案4が最も高い得点値を有することが分かる。用いた選好度値は、異なる重み、選好度、または優先順位を異なる図案の特徴310に付ける1つ以上のアルゴリズムまたは考慮すべき事項に基づくとよい。更に、記載した正規化方法は、選好度値および材料コストに基づいて得点値を計算する単なる1つのメカニズムに過ぎない。
【0092】
[0099] 他の実施形態では、選好度および/または材料コストを、他のやり方で正規化する、重み付けする、またはそれ以外で用いる、あるいは以上の組み合わせとしてもよい。例えば、選好度値を直接コストに変換し、これを材料コストに加算して、材料コストを正規化する必要をなくすようにしてもよい。他の実施形態では、最小材料コストではなく、材料コストを、最大および最小コスト間の差に基づいて正規化する。更に他の実施形態では、異なる計算、アルゴリズム、正規化、および/または他の要素、ならびにその組み合わせも考慮することができる。
【0093】
[00100] 方法600は、上位の最終候補を特定する動作(動作612)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、上位の最終候補を表2から特定することができる。つまり、表2からの得点値を用いて、追加のまたは最終的な考慮すべき事項に対する最終候補の数を限定する。更に、図案群302は、多数の異なる主要図案304および多数の包装材図案306を、主要図案302内における下位図案として含むことがある。実際に、採点および考慮するとよい可能な選択肢は、数百や数千にはならないまでも、数十には容易になり得る。このため、得点値を用いて、例えば、上位10個の最終候補というような、最上位にある1組の最終候補を特定する。表2から、上位7つの最終候補を特定することができるが、7つまたは10個よりも多いあるいは少ない最終候補も、上位の最終候補として特定することができる。
【0094】
[00101] 多数の上位最終候補を特定するか否かには関係なく、リアル・タイム図案最適化システムは、次に、包装材製品を生産するために用いる1つの図案を選択することができる。実施形態の中には、選択される図案が、得点値のみに基づいて選定されることもある。他の実施形態では、上位最終候補を操作者にユーザ・インターフェースを通じて提示し、選択された図案をユーザに選択させてもよい。また、ユーザ・インターフェースは、相対的得点値を示すこともでき、更には計算または得点値計算の根拠も潜在的に示すことができる。
【0095】
[00102] 更に他の実施形態では、特定した上位最終候補を更に処理して、上位最終候補のリストを更に厳密に求める。例えば、生産時間に基づいて、上位最終候補を更に評価することができる。本明細書において注記したように、生産時間は、ある業界および/またはある生産時点では特に重要になることがある。稼働中の生産システムでは、包装材生産機械が隘路になることもあり、生産時間の短縮によってスループットを向上させることができる。他の時間では、生産遅延または生産停止が生産の未処理残を生ずる場合もあり、生産時間の重要性が増大する。更に他の場合では、生産機械が過剰な利用可能容量を有し、生産時間が殆どまたは全く懸念にならない場合もある。
【0096】
[00103] 方法600は、生産時間をシミュレートする動作(動作613)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、動作612において特定した上位最終候補について生産時間をシミュレートすることができる。実施形態の中には、生産時間のシミュレーションが、1つ以上の生産機械についてリアル・タイム図案最適化システムが維持している知識に基づく場合もある。生産時間は、対応する計算に対するリソースの必要性に基づいて、上位最終候補または全ての最終候補についてシミュレートすることができる。
【0097】
[00104] 表3に示すように、既に特定されている10個の図案から、生産時間をシミュレートすることにより、処理のために上位の7つを選択した。以下の表は生産時間を含むが、付随するコストを付加的にまたは代わりに用いてもよい。例えば、異なる機械を用い、異なるコストが付随する場合、生産値は、図案型板を生産する特定の機械に付随するコスト値であるのでもよい。
【0098】
【表3】
【0099】
[00105] 方法600は、生産時間を選好度得点および材料コストと組み合わせる動作(動作614)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、動作613からの生産時間を、動作610からの選好度得点および動作609からの材料コストと組み合わせることができる。生産時間は、材料コストを正規化するために先に示したのと同様のやり方で正規化することができる(即ち、図案7が1.00の値を有し、生産に2倍の長さを要する図案が0.00の正規化値を有するように)。表4は、表1からの上位7つの図案について総合得点を示す。総合得点は、選好度値、材料コスト、および生産時間に等しく重み付けすることができる。
【0100】
【表4】
【0101】
[00106] 表4に示すように、図案4には最も高い総合得点が与えられており、一方これら上位図案の内、図案3の総合得点が最も低い。得点に得られる値は、正規化値の合計に基づくことができる。しかしながら、平均得点、コスト値、重み付け合計、あるいは総合得点を計算する他のアルゴリズムまたはやり方も用いることができる。
【0102】
[00107] 方法600は、重複(doublet)を排除する動作(動作615)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、表4における図案から重複を排除することができる。リアル・タイム図案最適化システムは、更に採点および図案を厳密に求めおよび/または処理して、全ての重要な面(aspect)で少なくとも大部分が類似しており、潜在的に同様である(alike)図案を特定することができる。例えば、いくつかの図案が同一のまたは非常に似ている選好度値、材料コスト、および/または生産時間を有する場合、このような同様の図案(即ち、重複)は、1つを除いて全て排除することができる。加えて、または代わりに、排除のための重複の検討は、図案の種類(例えば、RSC全長フラップ、一体角保護材、底蓋等)または他の様相を含む、他の様相を評価することも含むことができる。
【0103】
[00108] 方法600は、上位最終候補を特定する動作(動作616)を含む。例えば、リアル・タイム最適化システムは、表4から上位最終候補を特定することができる(重複の排除を行ってまたは行わずに)。例えば、最も高い得点を得た図案を選択し、生産のために転送することができる。あるいは、ある数の上位図案(例えば、上位5つの図案)を選択することもできる。上位のある数の図案を選択する場合、いずれの数値でも用いることができる。例えば、5つよりも多いまたは少ない図案を、上位図案の数として選択するのでもよい。
【0104】
[00109] 方法600は、生産のために図案を選択する動作(動作617)を含む。例えば、リアル・タイム図案最適化システムは、包装材生産機械102における生産のために図案を選択することができる。実施形態の中には、リアル・タイム図案最適化システムが自動的に、上位に採点された図案を生産のために自動的に転送する場合もある。しかしながら、他の実施形態では、操作者に上位の図案の数、あるいは任意に全ての図案または他の何らかの数の図案を知らせることもできる。例えば、図7を参照すると、ユーザ・インターフェース701が操作者または他のユーザに、上位の図案から1つの図案を選ぶ選択肢を与える。
【0105】
[00110] 上位3つの図案を操作者に提示する場合、操作者は何もしないことを選択することができ、これによって最上位に採点された図案が生産のために転送されることになる。操作者は、操作者がこの選択を無効にしないことを積極的に選択することができ、または操作者が選択しないまま指定時間が過ぎた後、最上位の図案を処理のために包装材生産機械に転送することができる。あるいは、操作者が異なる図案を生産のために転送することを望む場合、操作者は他の選択肢(例えば、上位2番目から5番目に格付けされた図案)の図案から1つを選択することができる。更に他の代替案では、操作者がいずれの最終候補も望まないことを示してもよく、操作者は異なる利用可能な図案(例えば、以前に採点したが、上位ではない図案の1つ)を選択することができる。
【0106】
[00111] 更にユーザ・インターフェース701に示すように、組み立てられた箱の写真、箱の型板、または他の何らかの画像を用いて、種々の入手可能な箱を図式的に示すこともできる。他の実施形態では、情報または名称だけで箱を特定する。したがって、箱や型板の画像を操作者に提示する必要がないことは認められてしかるべきである。
【0107】
[00112] したがって、本発明の実施形態は、格納されている情報および/またはリアル・タイムの情報に基づいて、包装材製品の生産を自動的に最適化することを含む。実施形態の中には、包装材製品の要求を受けて、リアル・タイム図案最適化システムが、1つ以上の図案群についての情報にアクセスする場合もある。1つ以上の図案群は、多数の図案の選択肢を含む。多数の図案選択肢に対して、格納されている規準および/またはリアル・タイムの規準に基づいて採点を付ける。この採点に基づいて、本システムの操作者による生産および/または選択のために、1つ以上の上位の図案を特定する。
【0108】
[00113] 既に述べたように、本発明の実施形態は、原生産材料内において多数の型板(例えば、箱の型板)を横並びで(side-by-side)(またはタイル状に)生産することも含む。即ち、生産アーキテクチャ100は、各生産トラック(例えば、生産トラック102A、102B、および102C)上において実質的に並列な2つ以上の型板の生産を容易にすることができる。生産中における型板のタイリング(tiling)は、先に論じたように、格納されている情報および/またはリアル・タイム情報に基づいて、包装材製品の生産を自動的に最適化する一部として実行することができる。例えば、包装材図案表301、または別のデータ構造は、図案群302の可能な組み合わせおよび配列、主要な図案304、および/または一緒にタイリングすることができる包装材図案306についての情報を収容することができる。この情報は、適した包装材図案を選択するときに、最適化モジュール112によって用いることができる。あるいは、生産中における型板のタイリングは、別個のプロセスとして実行することもできる。
【0109】
[00114] 図8は、1つ以上の実施形態にしたがって、原生産材料内においてタイリング型板を生産するように構成された生産トラック800の一実施形態を示す。生産トラック800は、例えば、図1の生産トラック102A、102B、102Cの内1つ以上を表すことができる。
【0110】
[00115] 図示のように、生産トラック800は、材料装填トレイ802、型板生産デバイス804(例えば、構成設定可能な切断または打ち抜き加工装置)、および材料排出トレイ806を含む。生産トラック800は、原包装材料808aを材料装填トレイ802において受け取り、この原包装材料808aを型板生産デバイス804に供給するように構成される。原包装材料808は、通例、連続用紙または巻段ボールであるが、プラスチック、ビニール、または包装材製品を作成するのに適した他の材料というような、他の包装材料も含むことができる。
【0111】
[00116] 型板生産デバイス804は、命令(例えば、コンピュータ・システム104によって生成されるような生産命令114)に従って、包装材製品(例えば、箱)用型板を打ち抜きおよび/または切断して、原包装材料808aを得るように構成される。例えば、生産トラック800は、材料排出トレイ806上に、処理された包装材料808bを出力したように図示されている。包装材料808bは、タイリング構成即ち横並び構成となっている2つの包装材型板809aおよび809bを含む。このようにするときに、生産トラック800は、図示する実施形態では、2つの箱型板を並列に生産しながら、同じサイズの1つの箱型板を生産するとしたら生じていた無駄の量を大幅に低減する。
【0112】
[00117] 尚、本発明に限って、原包装材料808aを生産トラック800に装填するメカニズム、および処理された包装材料808bを生産トラック800から降ろすメカニズムは、図示した材料装填トレイ802および材料排出トレイ806による以外の方法でも遂行できることは言うまでもない。例えば、1つ以上の実施形態は、コンベヤ・プラットフォーム(conveyer platform)を利用し、またはトレイやプラットフォームを使用せずに動作することもある。
【0113】
[00118] 生産トラック800は、2つの同一のタイリング型板808aおよび809bを生産したことが図示されているが、本発明の実施形態は、種々の異なる型板の種類、形状、サイズ、および向きのいずれでも生産することができ、これらの異なる型板は、しかるべきタイリング構成であればいずれでも構成される。このように、生産トラック800は、並列タイリング様式で複数の型板を生産することができ、各型板は異なる箱形、形状、サイズを有する。更に、生産トラック800は、2つの型板809aおよび809bを並列タイリング様式で生産したことが図示されているが、生産トラック800は、いずれの数の型板でも、並列タイリング様式で生産することもできる(たとえば、3つ以上)。
【0114】
[00119] 生産トラック800は、いずれの数の特性を有する箱であってもそれに合わせて型板を生産することができる。前述のように、異なる種類の箱または他の包装材が、異なる包装計画に合わせて使用されることが望ましい場合、または異なる包装計画のために望ましいことがあり得る。箱のサイズおよび箱に含まれる付加的な特徴は、その箱の中に入れられるものに基づいて、様々である可能性がある。たとえば、重い物体または脆い物体を入れるときには、ある種の材料の箱を使用すること、あるいは保護または構造特性を高めた箱(例えば、糊がついたフラップ(glue flap)、一体角保護材、原寸大のフラップ(full size flap)、ヌナタブ(nunatabs)等)を使用することが必要になる。生産トラック800は、これらの特徴を有する箱を、並列タイリング様式で生産するように構成することができる。例えば、生産トラック800は、糊付きフラップを有する箱を生産することができ、そうするときに、箱をタイリングするには、第1の箱の糊付きフラップのエッジが、第2の箱の糊付きフラップのエッジと同一線上に来るように、箱型板をタイリングすることを伴うことができる。更に、生産トラック800は、ヌナタブによって繋がれて対になった箱を生産することもできる。例えば、ヌナタブは、糊帯(glue strip)に近接して位置付けられるとよい。
【0115】
[00120] 図9は、1対の箱についてのタイリング生産方法の一例900のフロー・チャートを示す。方法900は、コンピュータ・アーキテクチャ100および生産トラック800のコンポーネントおよびデータに関して説明する。
【0116】
[00121] 方法900は、包装しようとする複数の品目を識別する品目データにアクセスする動作(動作901)を含む。例えば、コンピュータ・システム104は、2つ以上の品目を包装することを示す情報を、ユーザ入力によってまたはデータ・ストア(例えば、データ・ストア106)におけるデータによって受け取ることができる。この情報は、例えば、物体の種類、物体の寸法、耐久特性等を含むことができる。実施形態の中には、動作901が、先入れ先出し(FIFO)待ち行列、後入れ先出し(LIFO)スタック等というような、包装しようとする品目の待ち行列にアクセスすることを含むことができる場合もある。
【0117】
[00122] また、方法900は、複数の品目の各々について、包装要件を判定する動作も含む(動作902)。例えば、コンピュータ・システム104は、これまでに説明した実施形態を利用して、複数の品目の各々について包装要件を自動的に(または実質的に自動的に)判定することができる。包装要件を判定するには、データ・ストア106における情報を用いて、潜在的に可能な包装材図案および潜在的に可能な包装材料を選択することを含むことができる。つまり、しかるべきときには、コンピュータ・システム104は、包装材表501または機械データ表502の内1つ以上にもアクセスすることができる。例えば、図5Aを参照すると、包装材表501は、生産アーキテクチャ100内において入手可能な包装材を示し、その一部が包装材生産機械102において入手可能であると考えられる。例えば、包装材表501は、包装材料の名称、種類、幅、厚さ、量、およびコストというような情報を含む。更に、図5Bを参照すると、機械データ表502は、生産アーキテクチャ100における包装材生産機械についての情報を含む。例えば、機械データ表502は、包装材生産機械についての情報を含み、名称、付随する動作コスト(例えば、包装材製品を生産するために必要とされる秒毎の相対的コスト)、機械における異なる包装材料の入手可能性などを含む。したがって、動作902は、1つ以上の実施形態では、複数の品目の各々について包装要件を判定するときに、少なくとも図2(即ち、包装材製品の生産を最適化する方法200)および/または図6(包装材製品の図案を選択する方法600)に関連付けて既に説明した1つ以上の動作を利用することができる。
【0118】
[00123] あるいは、コンピュータ・システム104は、包装要件を提示する早急な入力をユーザに促すこと、品目種別を包装要件とマッピングするデータベースを調べること、または包装要件を判定する他のいずれかの適したメカニズムを使用することもできる。
【0119】
[00124] 方法900は、包装材生産機械においてタイリング生産のために1対の箱サイズを選択する動作を含む。この1対の箱サイズは、複数の品目の内第1の1つ以上の品目を包装するための第1の箱サイズを含み、更に複数の品目の内第2の1つ以上の品目を包装するための第2の箱サイズを含み、これら1対の箱サイズは、第1の1つ以上の品目および第2の1つ以上の品目に対する包装要件を満たし、包装材生産機械は、1つ以上の包装材生産機械の中から選択される(動作903)。例えば、コンピュータ・システム104における最適化モジュール112は、包装要件に基づいて、複数の品目の各々について最適化された箱サイズを決定することができる。最適化された箱サイズは、品目毎の各箱サイズの適性、一緒にしてタイリングできる箱サイズ、利用可能な生産機械の種類および/または寸法、コストについての考慮事項、ユーザの選好度、あるいは包装材製品の生産を最適化することに関して本開示において説明した他のあらゆる要素の内1つ以上に基づいて選択することができる。尚、1対の箱サイズを選択することは、品目毎に同じ箱サイズを選択すること、または異なる品目に異なる箱サイズを選択することを伴うことができることは認められよう。状況によっては、同一品目に異なる箱サイズを選択することもあり得る(例えば、生産の利用可能性、タイリングできる箱サイズ等というような要素に基づいて)。
【0120】
[00125] 1対の箱サイズを選択し、1つ以上の包装材生産機械の中から包装材生産機械を選択することに関連して、動作903は、指定された時点において、(a)複数の品目の各々についての包装要件、(b)梱包システムの特性、および(c)1つ以上の包装材生産機械の各々についての包装機械特性を集合的に分析する動作を含む(動作904)。例えば、動作904は、包装材生産機械102(および他のあらゆる生産機械)の分析、およびこれらの機械におけるあらゆる生産トラックの分析を、包装要件に鑑みて、伴うことができる。この分析は、包装材生産機械(1つまたは複数)の現在および今後の作業負荷、各機械を動作させるコスト、各機械における原材料の入手可能性、各生産トラックの最大幅等を考慮に入れることを含むことができる。
【0121】
[00126] また、動作903は、集合的分析に基づいて、ある時間期間に箱生産を1つ以上の包装材生産機械にどのように割り当てるか決定する動作も含む(動作905)。例えば、前述の動作904の分析に基づいて、所与の現在における機械および材料の入手可能性を仮定して、所与の時間期間中に特定の生産機械の特定の生産トラックにおいて、第1および第2の箱をタイリング配置で生産することによって、品目に対する特定の包装要件が最良に満たされると判断することができる。また、箱生産をどのように割り当てるかについての決定は、タイリングしようとする箱型板または半加工品(blank)の寸法を比較し、型板/半加工品毎に寸法が互いに指定された閾値以内であることを確認することも含むことができる。寸法が互いに指定された閾値以内でない場合、動作905は、箱型板または半加工品が指定された閾値内に入るように、これらの内1つ以上の図案を修正することを含むことができる。
【0122】
[00127] 動作905は、集合的分析に基づいて、1対の箱サイズを包装材生産機械に合わせる動作を含む(動作906)。例えば、1対の箱サイズを、包装材生産機械102に合わせることができる。動作906は、生産機械に装填される包装材料が、要求された箱の生産をタイリングできるだけ十分に大きいと判断することを含むことができる。また、動作906は、1対の箱を生産することによって生ずる可能性があるあらゆる無駄を判別し、この無駄が容認できる許容範囲以内であることを確保することを含むこともできる。また、動作906は、生産機械が要求された負荷を扱うことができると判断することも含むことができる。
【0123】
[00128] また、方法900は、選択に応答して箱生産命令を生成する動作も含み、この箱生産命令は、包装材生産機械において第1の箱サイズの箱と第2の箱サイズの箱との生産をどのようにタイリングするか指示することも含むことができる(動作907)。例えば、コンピュータ・システム104は、生産機械102における生産トラック(例えば、生産トラック102A、102B、または102Cの内1つ)に、原材料(raw material)を使用して複数のタイル状包装生産物を作成することを命令する生産命令114を生成することができる。
【0124】
[00129] 加えて、方法900は、箱生産命令を包装材生産機械に送る動作も含む(動作908)。例えば、コンピュータ・システム104は、タイリング並列様式で箱を生成するために、生産機械102に生産命令114を送ることができる。
【0125】
[00130] 以上、1対の箱を並列に生産するというコンテキストにおいて方法900について説明したが、方法900は、いずれの数の箱であってもいずれのタイリング構成で生産する場合にも適用可能である。例えば、方法900は、3通りのサイズの箱を一緒にしてタイリングすること、4通りのサイズの箱を一緒にしてタイリングすること、5通りのサイズの箱を一緒にしてタイリングすること等を含むこともできる。
【0126】
[0131] 4つのサイズの箱をタイリングするとき、方法900は、タイリング生産のために第2対の箱サイズを選択することを含めばよい。第2対の箱サイズには、複数の品目の内第3の1つ以上の品目を包装するための第3の箱サイズと、複数の品目の内第4の1つ以上の品目を包装するための第4の箱サイズとを含む。次いで、更なる分析に基づいて、第3および第4の箱サイズを、他の箱サイズと、いずれかのしかるべき構成でタイリングすることができる。実施形態の中には、例えば、第3または第4の箱の一方または双方を、第1または第2の箱の一方または双方と並列に、少なくとも部分的に、生産できる場合もある。
【0127】
[00132] したがって、本発明の実施形態は、箱型板または 半加工品を並列タイリング様式で生産することも含む。このようにすることにより、箱を作成する速度および効率を向上させることができ、生産ハードウェアの最適な使用を行うことができ、無駄を減らすのに役立つことができる。
【0128】
[00133] 本発明は、その主旨や本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定的な形態でも実現することができる。記載した実施形態は、あらゆる観点において、例示であり限定ではないと考えることとする。したがって、本発明の範囲は、以上の説明ではなく、添付した特許請求の範囲によって示されるものとする。特許請求の範囲の均等の意味および範囲に該当する全ての変更は、それらの範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B