(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096784
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】ろ過カートリッジ用のマニホールド
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20170306BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
B01D46/24 B
F02M35/024 501G
F02M35/024 501E
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-534003(P2014-534003)
(86)(22)【出願日】2012年9月17日
(65)【公表番号】特表2014-528833(P2014-528833A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】IB2012001896
(87)【国際公開番号】WO2013050848
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年6月25日
(31)【優先権主張番号】RE2011A000078
(32)【優先日】2011年10月5日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511259142
【氏名又は名称】ユーエフアイ フィルターズ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ ジロンディ
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−319855(JP,A)
【文献】
特開2005−125325(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第01367701(GB,A)
【文献】
特開2002−102630(JP,A)
【文献】
米国特許第06402798(US,B1)
【文献】
実開昭63−087259(JP,U)
【文献】
特表2003−514178(JP,A)
【文献】
特開平09−000839(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01839723(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/24
F02M 35/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容積(220)と、該内部容積に連通する複数のアクセスポート(225,230)と、を備えた成形シェル(215)と、を備え、
該成形シェル(215)の前記アクセスポート(225,230)は、複数の第1のアクセスポート(225)および少なくとも1つの第2のアクセスポート(230)を含み、
各前記第1のアクセスポート(225)が、各ろ過材料部材(205)と結合することにより、該ろ過材料部材(205)を支持し、該ろ過材料部材(205)によって塞がれるように構成され、
前記成形シェル(215)が、前記成形シェル(215)および、前記第1のアクセスポート(225)に結合された前記ろ過材料部材(205)を受けるように構成されたケーシング(105)内に設けられた対応する当接部材(160)との間において前記成形シェル(215)のスナップ結合を実現するように構成された結合手段(245)を更に有し、
前記結合手段が、前記第2のアクセスポート(230)の中心軸(Q)に対して直径方向の反対側に配置された一対の可撓性フィン(245)を備え、
各該可撓性フィン(245)が、径方向外方に突出する少なくとも1つの歯(260)を備え、前記中心軸(Q)に対して径方向に湾曲可能であるよう構成されているろ過カートリッジ(200)用のマニホールド(210)。
【請求項2】
前記可撓性フィン(245)および対応する突出した前記歯(260)が、事前設定された結合方向への相対移動後に前記当接部材(160)とのスナップ結合を可能とし、前記結合方向に対する直交方向への相対移動により前記結合の解除を可能とする請求項1に記載のマニホールド(210)。
【請求項3】
前記第2のアクセスポート(230)が、前記第1のアクセスポート(225)に対して前記成形シェル(215)の対向側に位置する請求項1または2に記載のマニホールド(210)。
【請求項4】
前記可撓性フィン(245)が、前記成形シェル(215)と一体的に作製され、平坦フランジ(235)の外周エッジからカンチレバー式に派生し、前記平坦フランジ(235)が、前記成形シェル(215)と一体構造で作製され、前記第2のアクセスポート(230)の前記中心軸(Q)に対して直交する平面内に位置する請求項1または3に記載のマニホールド(210)。
【請求項5】
各前記可撓性フィン(245)の前記歯(260)が、径方向外方に突出しており、前記平坦フランジ(235)に向かってテーパ状であり、各前記可撓性フィン(245)の自由端部に切り欠き(261)を画定する請求項4に記載のマニホールド(210)。
【請求項6】
前記歯(260)により画定される前記切り欠き(261)は、相互に実質的に同一平面に位置する請求項5に記載のマニホールド(210)。
【請求項7】
前記成形シェル(215)の前記第2のアクセスポート(230)が、前記第1のアクセスポート(225)の中心軸(Y)に対して傾斜した中心軸(X)を有する請求項1に記載のマニホールド(210)。
【請求項8】
前記第2のアクセスポート(230)を囲む環状ガスケット(240)を備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のマニホールド(210)。
【請求項9】
前記環状ガスケット(240)が、前記成形シェル(215)と一体構造で作製され、前記第2のアクセスポート(230)の前記中心軸(Q)に対して直交する平面内に位置する平坦フランジ(235)の外表面上に固定されている請求項8に記載のマニホールド(210)。
【請求項10】
前記環状ガスケット(240)が、前記成形シェル(215)と一体的に作製される請求項8に記載のマニホールド(210)。
【請求項11】
オペレータにより把持可能とされ、前記外方ケーシング(105)に対する取付けおよび取外しの際の前記ろ過カートリッジ(200)の取扱いを簡易化するハンドル(265)を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のマニホールド(210)。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のマニホールド(210)と、前記成形シェル(215)の各前記第1のアクセスポート(225)にそれぞれ結合されることにより前記第1のアクセスポート(225)をそれぞれが塞ぐ複数の前記ろ過材料部材(205)とを備えるろ過カートリッジ(200)。
【請求項13】
各前記ろ過材料部材(205)は、一端が閉じられた管状である請求項12に記載のろ過カートリッジ(200)。
【請求項14】
ろ過対象流体の入口(110)およびろ過済み流体の出口(115)を備える外方ケーシング(105)と、
該外方ケーシング(105)の内部容積を、ろ過対象流体の前記入口(110)と連通する第1のチャンバおよびろ過済み流体の前記出口(115)と連通する第2のチャンバの2つの別個のチャンバに区画するように構成された請求項12または請求項13に記載の前記ろ過カートリッジ(200)とを備えるろ過アセンブリ(100)。
【請求項15】
前記外方ケーシング(105)が、前記ろ過カートリッジ(200)を導入するおよび取り外すための脱着可能カバー(155)を備える請求項14に記載のろ過アセンブリ(100)。
【請求項16】
前記脱着可能カバーが、前記マニホールド(210)の前記可撓性フィン(245)を、前記ろ過アセンブリ(100)の前記外方ケーシング(105)内に設けられた対応する前記当接部材(160)と結合された状態に維持する安全手段(165)を備える請求項15に記載のろ過アセンブリ(100)。
【請求項17】
前記安全手段が、前記フック手段の各前記可撓性フィン(245)に隣接して位置決めされた少なくとも一対のロック本体(165)を備えることにより、各前記可撓性フィン(245)が前記成形シェル(215)の前記第2のアクセスポート(230)の前記中心軸(Q)の方向に曲がるのを防止する請求項16に記載のろ過アセンブリ(100)。
【請求項18】
前記マニホールドの前記可撓性フィン(245)および対応する突出した前記歯(260)が、事前設定された結合方向への相対移動後に前記ケーシング(105)の前記当接部材(160)とのスナップ結合を可能とし、前記結合方向に対する直交方向への相対移動により前記結合の解除を可能とする請求項14に記載のろ過アセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には流体のろ過に関し、詳細には、特に内燃機関により取り込まれた空気のろ過を含む、自動車流体のろ過に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関により取り込まれる空気は、典型的には様々なタイプの埃である浮遊状態の固体粒子を除去することによりそれらが機関燃焼室に到達するのを防止することを目的としたろ過ステージを通常経由する。このろ過ステージは、典型的には、内燃機関の吸気導管に沿って、吸気マニホールドの上流側に存在する場合のターボチャージャの上流側に位置決めされた特殊なろ過アセンブリによって実施される。
【0003】
ろ過アセンブリは、概略的には、ろ過対象空気の入口およびろ過済み空気の出口を備えるフィルタボックスと通常呼ばれる外方ケーシングと、入口から出口に向かって流れる空気をろ過するためのフィルタボックス内に受けられたろ過カートリッジとを備えている。ろ過カートリッジは、例えばセルロース材料またはポリマー材料などをベースとする少なくとも1つのろ過材料部材と、該ろ過材料部材を支持するための少なくとも1つのプレートとを備えている。
【0004】
この支持プレートは、ろ過材料部材がフィルタボックスの内部容積を、入口に連通する第1のチャンバおよび出口に連通する第2のチャンバの2つの個別のチャンバに区画して構成されるように、フィルタボックスに対して係合される。したがって、フィルタボックスの入口から出口に向かって流れる空気は、ろ過材料部材を越えるように付勢され、このろ過材料部材が、浮遊状態の固体粒子を制止する。固体粒子がろ過材料部材を徐々に詰まらせる場合には、一般的には、ろ過カートリッジをフィルタボックスから取り外して、ろ過材料部材が完全に詰まっている場合にはこれを交換するように規定されている。
【0005】
このタイプのろ過アセンブリに関連する主な目的の1つは、高い蓄積能力を有するろ過カートリッジ、すなわち、詰まるまでに大量の固体粒子を制止することが可能なろ過カートリッジを実現することにより、高い耐用寿命を保証し、したがって交換介入を低減させることである。
【0006】
これらの問題に対処するために、フィルタボックスの入口から出口に向かって流れる空気が平行に越えるように配置された、複数のろ過材料部材を備えるろ過カートリッジが提案された。同一のろ過材料の使用を考慮した場合に、これらのろ過カートリッジは、空気を通過させ得るろ過表面、および浮遊状態の固体粒子を蓄積し得るろ過表面を大幅に拡張させるという利点を実際に有する。
【0007】
しかし、この蓄積能力に関連する利点にもかかわらず、このタイプのろ過カートリッジは、取付けが非常に困難であり、非常にサイズの大きなものになるという欠点を有する。取付けの困難さは、詰まった際のろ過カートリッジの交換介入が困難かつ時間のかかるものとなり、したがってさらに交換介入のコストが上昇するという理由から、不利である。
【0008】
全体寸法が大きなことは、ろ過アセンブリの全体寸法が大きくなるという理由から、不利である。このろ過アセンブリの全体寸法は、逆に、一般的に小さいサイズであるべきであり、および/または車両機関コンパートメント内の全ての構成要素の大きさの配分に応じて車両製造業者により確立された厳密な寸法要件および形状要件を満たすべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡易、合理的、かつ安価な解決策により、従来の技術の既述の欠点を解消または少なくとも大幅に軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は、独立請求項に示される本発明の特徴により達成される。それらの独立請求項は、本発明の好ましいおよび/または特に有利な態様を概説する。
【0011】
特に、本発明の一実施形態は、ろ過カートリッジ用のマニホールドを提供する。このマニホールドは、内部容積と、内部容積と連通する複数のアクセスポートとを有する成形シェルを備えている。これらのアクセスポートには、複数の第1のアクセスポートと、少なくとも1つの第2のアクセスポートとが含まれている。第1のアクセスポートはそれぞれ、各ろ過材料部材と結合することにより、ろ過材料部材を支持し、ろ過材料部材により塞がれるように構成されている。
【0012】
流体がろ過材料部材を越えるように意図される方向によっては、マニホールドの第1のアクセスポートが、ろ過対象流体の入口としての役割を果たし、第2のアクセスポートが、ろ過済み流体の出口としての役割を果たし、またはその逆となる。
【0013】
したがって、上記に概説した特徴により、本発明は、ろ過材料部材を支持する機能と、ろ過カートリッジを越える流体を収集および搬送する機能との両方を果たすように構成された、ろ過カートリッジ用の構成要素を提供する。したがって、該構成要素は、1つの動作による全てのろ過材料部材の同時的な取付け/取外しを可能にし、さらにフィルタボックス内に得られる空間のより良好な利用を可能にする、共通支持体としての役割を果たすことにより、関連するフィルタボックスに対するろ過カートリッジの設置および取外しを簡易化する。
【0014】
実際に、ろ過材料部材の位置は、本発明によるマニホールドが、取付け具としての役割を果たすように形状設定され得る場合には、フィルタボックスの入口および出口の位置に対して厳格には拘束されない。
これに関連して、本発明の一態様は、成形シェルの第2のアクセスポートが、第1のアクセスポートの中心軸に対して傾斜した中心軸を有してもよく、場合によっては、これらの中心軸は、相互に対して平行であってもよいということを実現するものである。
【0015】
したがって、ろ過材料部材は、流体の入口および/または出口に対する配向の傾斜にしたがってフィルタボックス内に位置決めされてもよいため、得られる空間の最善な利用に寄与し、有利となる。
本発明の別の態様によれば、マニホールドは、第2のアクセスポートを囲む環状ガスケットを備えていてもよい。
【0016】
したがって、第2のアクセスポートがフィルタボックスの入口または出口と連結状態に配置されるにもかかわらず、環状ガスケットにより、上述の連結の気密封止が保証され、したがって全ての流体がろ過材料部材を越えるように付勢されるため、有利となる。さらに、環状ガスケットが、マニホールドに関連付けられる場合には、上述の解決策は、フィルタボックス内へのろ過カートリッジの取付けをより容易かつより迅速にし、また、ろ過カートリッジを交換する度に環状ガスケットが交換されるのを保証する。
【0017】
本発明の一態様は、環状ガスケットが、例えば一体成形プロセスなどにより成形シェルと一体的に作製され得るということを実現するものである。
この解決策は、マニホールド、したがってろ過カートリッジの組立時に取り付けられることが必要となる構成要素の個数を減少させる利点を有する。しかし、ガスケットは、成形シェルに対して別個の本体として作製することも可能である。
【0018】
本発明の別の態様によれば、成形シェルは、フック手段を備え、このフック手段は、関連するフィルタボックスすなわちろ過カートリッジを受けるように構成されたケーシングの中に設けられた対応する当接手段との間でスナップ係合結合するように構成される。
この解決策は、フィルタボックスに対するろ過カートリッジの設置および取外しの両方を特に容易かつ迅速なものにするという利点を有する。
【0019】
本発明の一態様は、特に、フック手段が、第2のアクセスポートの中心軸に対して直径方向に反対側に配置された少なくとも一対の可撓性フィンを備え、これらの対の可撓性フィンは、前記中心軸に対して径方向に湾曲可能であるように構成され、径方向外方に突出する少なくとも1つの歯を個別に備えることを実現するものである。
本発明のこの態様は、マニホールドと関連するフィルタボックスとの間のスナップ結合を実現するための特に簡易かつ信頼性の高い解決策をもたらすという利点を有する。
【0020】
本発明の別の態様は、可撓性フィンおよび対応する突出した歯が、事前設定された結合方向へのマニホールドに関連する移動の後の当接部材とのスナップ結合を可能にするように、結合方向に対する直交方向へのマニホールドの相対移動による結合の解除を可能にするように構成されることを実現するものである。
【0021】
本発明のさらなる一態様によれば、マニホールドは、ハンドルを備えていてもよい。
ハンドルは、オペレータにより把持されることにより、フィルタボックスへのろ過カートリッジの係合動作/フィルタボックスからのろ過カートリッジの取外し動作を容易化することが可能であるという点に利点を有する。
【0022】
さらに、本発明は、上記に概説したマニホールドと複数のろ過材料部材とを備えたろ過カートリッジを提供する。各ろ過材料部材は、成形シェルの各第1のアクセスポートに対して結合されてアクセスポートを塞ぐ。
本発明のこの実施形態により、上述の同一の利点が実質的に実現され、特に、ろ過カートリッジの取付けが簡易化され、フィルタボックス内の空間利用が改善される。
【0023】
本発明の一態様によれば、各ろ過材料部材は、閉端部を有する管状である。
ろ過材料部材のこの構成は、比較的小さな寸法の割には流体に対して大きなろ過表面が得られるという利点と、マニホールド以外にろ過部材を支持するために他の要素を必要とせず、ろ過カートリッジの取付けおよび関連するフィルタボックス内へのろ過カートリッジの設置が容易になるという利点とを有する。
【0024】
最後に、本発明は、ろ過対象流体の入口およびろ過済み流体の出口を備える外方ケーシング(フィルタボックス)と、上記に概説したケーシングの内部容積を、ろ過対象流体の入口と連通する第1のチャンバおよびろ過済み流体の出口と連通する第2のチャンバの2つの別個のチャンバへと区画するように構成されたろ過カートリッジとを備えるろ過アセンブリを提供する。
【0025】
また、本発明のこの実施形態は、上述の同一の利点を、特にろ過アセンブリの取付けを簡易化し、フィルタボックス内の空間利用を改善し、したがってろ過アセンブリの全体寸法の縮小を可能にするという利点を実質的に実現する。
【0026】
本発明の一態様によれば、外方ケーシングは、ろ過カートリッジを導入するおよび取り外すための脱着可能カバーを備えている。
この解決策は、ろ過アセンブリ全体を取り外す必要を伴わずに、ろ過カートリッジを交換可能にするという利点を有する。
【0027】
本発明の一態様によれば、脱着可能カバーは、マニホールドのフック手段を、ろ過アセンブリの外方ケーシング(フィルタボックス)内に設けられた対応する当接部材と結合された状態に維持する安全手段を備えている。
この解決策は、フック手段または各当接手段の摩耗により連結の所要の堅固さが保証されない場合でも、ろ過カートリッジの不慮の脱着を防止するという利点を有する。
【0028】
本発明の一態様は、特に、安全手段が、フック手段の各可撓性フィンに隣接してそれぞれ位置決めされた少なくとも一対のロック本体を備えることにより、成形シェルの第2のアクセスポートの中心軸の方向への可撓性フィンの曲げを防止し得るということを実現するものである。
本発明のこの態様は、係合解除防止用の安全手段を実現するための特に簡易かつ信頼性の高い解決策をもたらすという利点を有する。
【0029】
添付の図面に示される図を参照として非限定的な例として提示される以下の説明を読むことにより、本発明のさらなる特徴および利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るろ過アセンブリの斜視図である。
【
図2】上方カバーを伴わずに示した
図1のろ過アセンブリの上面図である。
【
図6】
図1のろ過アセンブリの外方ケーシングの分解図である。
【
図7】上方カバーを伴わずに示した
図6のケーシングの一部分の上面図である。
【
図8】
図7のVIII−VIII断面を示す図である。
【
図10】
図1のろ過アセンブリのろ過カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
浮遊状態で存在する可能性のある固体粒子を空気流から除去するように構成されたろ過アセンブリ100が、
図1に示される。より具体的には、ろ過アセンブリ100は、内燃機関の吸気導管に沿って位置決めすることにより、機関の燃焼室内に吸引される燃焼支援空気をろ過するように意図される。
【0032】
ろ過アセンブリ100は、一般的にはプラスチック材料から作製され得る、一般的にはフィルタボックスと呼ばれる外方ケーシング105を備える。外方ケーシング105は、内部容積を画定し、ろ過対象の空気用の入口110と、ろ過済み空気用の出口115とを備え、これらの入口110および出口115は、共に内部容積と連通する。入口110は、外部環境と連通するように意図され、出口115は、通常は吸気マニホールドを介して機関燃焼室と連通状態になるように構成される。
【0033】
外方ケーシング105は、略多面体形状であり、この場合は長尺多面体である。この多面体は、平行かつ共に四辺形である下方ベース120および上方ベース125を有し、これらは、4つのエッジにより連結される。これらの4つのエッジの中で、2つの側部エッジ130および135は、長さ方向に配向され、2つの端部エッジ140および145は、横方向に配向される。入口110は、端部エッジ140中に形成され、出口115は、対向側の端部エッジ145中に形成される。
【0034】
図6に示されるように、入口110は、端部エッジ140に対して直交する中心軸Xを有する実質的に矩形の断面を有する。出口115は、端部エッジ145に対して直交する中心軸Yを有する実質的に円形の断面を有する。
図2に示されるように、端部エッジ140および145は、相互に対して完全には平行でなく、したがって、出口115の中心軸Yは、入口110の中心軸Xに対して傾斜する。
【0035】
図6に戻ると、外方ケーシング105は、バット形状の下方本体150を備え、この下方本体150は、下方ベース120と、4つのエッジ130,135,140,および145とを画定する。下方本体150は、上方ベース125を画定する上方カバー155により閉じられる。上方カバー155は、脱着可能な固定手段により、この場合には取付けシステムにより、下方本体150に対して固定される。したがって、上方カバー155は、外方ケーシング105の内部容積へのアクセスを可能にするために、下方本体150により分離され得る。
【0036】
図7から
図9に図示されるように、出口115の付近では、下方本体150は、薄い平型ブラケット160により内的に形成される。これらの平型ブラケット160は、それぞれ、各側部エッジ130および135の内方表面から派生および突出し、一連のリブにより補剛される。ブラケット160は、相互に対して同一平面内に位置し、出口115が形成された端部エッジ145に対して平行である。
【0037】
再び
図6に戻ると、上方カバー155は、上方カバー155の内面から派生および突出する一対の軸部165を有する。上方カバー155が、下方本体150に対して固定されると、軸部165は、ブラケット160に対して平行に、外方ケーシング105の内部容積内に延在する(
図5も参照)。
【0038】
図4に示すように、軸部165は、実質的にL字型断面を有し、ブラケット160に実質的に位置合わせされた状態で、平面図ではブラケット160同士の間に配置される。より具体的には、各軸部165は、各ブラケット160の脇に位置決めされる。さらに、各軸部165は、隣接するブラケット160により、および端部エッジ145により、適切に離間される。
【0039】
ろ過アセンブリ100は、
図10に示されるように、外方ケーシング105内に設置するように構成されたろ過カートリッジ200をさらに備えている。ろ過カートリッジ200は、概略的には、複数のろ過部材205と、該ろ過部材205を支持するように一般的には構成されるマニホールド210とを備えている。
【0040】
ろ過部材205は、略円筒状の本体として構成される。図示する例においては、各ろ過部材205は、一方の端部においては閉じられ、対向側の端部においては開いた、円筒管状本体として構成されている。一般的には、ろ過部材205は、空気に対しては透過性であるが、浮遊状態の固体粒子を制止することが可能な、任意の多孔性材料から作製される。図示する例においては、各ろ過部材205は、ポリマー繊維の不織布を使用して作製されている。
【0041】
マニホールド210は、成形シェル215を備え、この成形シェル215は、例えば成形方法などによりプラスチック材料から作製され得る。成形シェル215は、内部容積220を区画し、内部容積220と連通する複数のアクセスポートを備える。これらのアクセスポートの中には、4つの入口ポート225と、1つの出口ポート230とが含まれる(
図11から
図14をさらに参照)。
【0042】
各入口ポート225は、円筒状スリーブとして実質的に構成され、各ろ過部材205の開端部が、この円筒状スリーブと同軸状に熱固定される。したがって、各入口ポート225は、関連するろ過部材205により塞がれ、またそれらのろ過部材205の支持体としての役割を果たす。
【0043】
ろ過部材205の開端部は、接着剤、熱溶接方法、または連結部の気密封止を保証し得る任意の他のシステムにより、入口ポート225に対して安定的に固定され得る。場合によっては、ろ過部材205の開端部は、関連する入口ポート225を画定するスリーブに部分的に取り付けることが可能である。
【0044】
図示する例においては、入口ポート225は、その全てが成形シェル215の同一側に設けられ、相互に対して平行な中心軸Zを有することにより、ろ過部材205もまた、相互に対して平行となり、相互に隣接する。特に、入口ポート225は、対の形態で、重ねられかつ若干ずらして配置される(
図12を参照)ことにより、ろ過部材205のアセンブリを可能な限りコンパクトなものに維持する。
【0045】
出口ポート230は、入口ポート225に対して成形シェル215の対向側に実質的に形成され、この場合には、出口ポート230は、入口ポート225の中心軸Zに対して傾斜する中心軸Qを有する円形断面を有する。出口ポート230の直径は、入口ポート225の直径よりも大きく、外方ケーシング105の出口115の直径と実質的に同等である。
【0046】
出口ポート230は、平坦環状フランジ235により画定され、この平坦環状フランジ235は、成形シェル215と一体構造(monolithic body)で作製され、出口ポート230の中心軸Qに対して直交する平面内に位置する。平坦フランジ235の外表面上には、出口ポート230を完全に囲む環状ガスケット240が固定されている。
【0047】
環状ガスケット240は、好ましくは、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)を使用して作製されるが、ゴムの特徴をほぼ有する他の材料を使用して作製することも可能である。環状ガスケット240は、別個の構成要素として作製することが可能であり、結合、形状結合、または任意の他の適切なシステムにより、フランジ235に対して固定され得る。代替的には、環状ガスケット240は、例えば一体成形方法などにより、成形シェル215と一体的(single piece)に作製され得る。
【0048】
マニホールド210は、一対のフックフィン245をさらに備える。これらのフックフィン245は、成形シェル215と一体的(single body)に作製され、平坦フランジ235の外周エッジからカンチレバー式に派生する。フックフィン245は、相互に同一であり、出口ポート230の中心軸Qに対して直径方向に両側に対称的に配置される。特に、各フックフィン245は、平坦フランジ235に対して直交方向に配向され、平坦フランジ235から入口ポート225の方向へと展開する。この構成により、フックフィン245は、出口ポート230の中心軸Qに対して径方向に弾性的に曲がることによって相互に接近するように構成される。
【0049】
また、各フックフィンは、径方向外方に突出する歯260を備える。歯260は、平坦フランジ235に向かってテーパ状であり、各フックフィン245の自由端部に切り欠きを画定する。歯260により画定される切り欠きは、相互に対して実質的に同一平面に位置する。出口ポート230の中心軸Qの方向に測定された、環状ガスケット240の頂部からの切り欠きの距離は、ブラケット160から外方ケーシング105の端部面145を分離させる距離よりも大きくなっている。
【0050】
さらにより詳細には、各フックフィン245および対応する突出した歯260は、直線状角柱の形状を実質的に有する本体により全体的に画定され、この本体は直線状の長手軸方向に沿っておよび出力ポート230の中心軸Qに対して垂直に展開する。実際には、各フックフィン245および対応する突出した歯260の各長手軸方向に対する横断面は、全長にわたり実質的に一定であり、平坦側部面を有する。各フックフィン245および対応する突出した歯260の長手軸方向は、他のフックフィン245および対応する突出した歯260の長手軸方向に対して平行であり、これらの長手軸方向は共に、出力ポート230の中心軸Qに対して垂直となる。
【0051】
図15に示されるように、各歯260は、ベース平坦表面261および平坦側部表面262を備えるウェッジを形成するように実質的に形状設定される。ベース表面261は、出力ポート230の中心軸Qに対して垂直であり、ろ過部材205の方向に向けられるが、側部表面262は、外側に向かって横方向に向けられ、ベース表面261の外部エッジから始まりフランジ235に向かっておよび出力ポート230の中心軸Qに向かって傾斜する。
【0052】
各歯260のベース表面261は、他の歯260のベース表面261に対して実質的に同一平面内に位置する。図示する例においては、各歯260のベース表面261は、ろ過部材205の方向に突出する関連するフィン245の延長部の平坦表面263からカンチレバー式に突出する。平坦表面263は、出力ポート230の中心軸Qに対して平行であり、径方向外方に向けられる。各フックフィン245の平坦表面263は、他のフックフィン245の平坦表面263に対して平行である。
【0053】
したがって、各ベース表面261および関連する平坦表面263は、相互に対して垂直であり、これらは、上述の切り欠きを画定する二面角を画定する。上述の二面角は、完全に開いており、すなわち、ベース表面261および平坦表面263のみによって画定される一方で、全ての他の側面においては開いている。
【0054】
最後に、マニホールド210は、成形シェル215と一体的に作製された平坦フランジ235の外周エッジから派生するハンドル265を備えている。ハンドル265は、オペレータにより把持されることにより、ろ過アセンブリ100の外方ケーシング105に対する取付けおよび取外しの際のろ過カートリッジ200の取扱いを簡易化することが可能である。
【0055】
これに関連して、ろ過カートリッジ200の取付けは、外方ケーシング105の上方カバー155の取外し、下方本体150へろ過カートリッジ200を挿入することを実現するものである。ろ過カートリッジ200は、マニホールド210の出口ポート230が外方ケーシング105の出口115と位置合わせされ、平坦フランジ235が端部エッジ145に対面し、各フックフィン245が各ブラケット160に対して位置合わせされるように、配向される。
【0056】
マニホールド210の出口ポート230の中心軸Qと入口ポート225の中心軸Zとの間の傾斜は、ろ過カートリッジ200が上述の位置に位置する場合に、ろ過部材205が入口110の中心軸Xに対して平行に配向され、したがって外方ケーシング105内に得られる空間内において最適に位置するように、選択されるようになっている。
【0057】
この位置決めステージ後に、ろ過カートリッジ200は、マニホールド210の平坦フランジ235を外方ケーシング105の端部エッジ145に漸進的に接近させるように、変位される。上述の接近は、実際には、出力ポート230の中心軸Qにより規定される方向に沿って行われる。この接近時に、フックフィン245の突出歯260は、ブラケット160と接触状態にあり、したがって、突出歯260は、ブラケット160により出口ポート230の中心軸Qに向かって漸進的に押されて、弾性的に曲がる。
【0058】
特に、フックフィン245は、ブラケット160の自由エッジが突出歯260の傾斜側部表面262と接触する位置において摺動することにより、中心軸Qに向かって径方向に曲がる。突出歯260が、ブラケット160を越えると、フックフィン245は、その非変形構成へとスナップ式に復帰し、したがってろ過カートリッジ200が後退するのを防止する。
【0059】
特に、各平型ブラケット160の自由エッジは、各フックフィン245の平坦表面261および263により画定される二面角または切り欠き内に受けられる。したがって、平坦表面261は、ブラケット160の平坦表面に向けられ、ブラケット160の平坦表面は、外部ケーシング105の端部エッジ145の方向に向けられ、それにより、ろ過カートリッジ200が軸Qの方向に後退するのを防止する。
【0060】
端部エッジ145とブラケット160との間の距離が、突出歯260により画定される切り欠き(すなわち表面261)と環状ガスケット240との間の距離よりも短い場合には、このスナップ固定の達成時に、ろ過カートリッジ200は、外方ケーシング105に対して完全にロックされ、環状ガスケット240は、平坦フランジ235と端部面145との間で圧迫され、このようにして、マニホールド210の出口ポート230と外方ケーシング105の出口115との間の連結部の気密封止が保証される。
【0061】
このステージの完了後に、外方ケーシング105の下方本体150は、上方カバー155により閉じられる。
図4および
図5に示されるように、上方カバー155を適用することにより、各軸部165は、各フックフィン245の背後に取り付け、すなわち、各フックフィン245は、隣接するブラケット160と上方カバー155の各軸部165との間に設けられる。
【0062】
したがって、上方カバー155が閉じられた状態に維持される限りは、軸部165は、安全手段として機能して、フックフィン245が曲がることと、ろ過カートリッジ200と外方ケーシング105との間の係合の解除とを防止する。これに関連して、軸部165は、対応するフックフィン245と直接接触状態になるように、または突出歯260により画定される切り欠きの寸法未満の量だけこの対応するフックフィン245から離間されるように、位置決めおよび寸法設定されるようになっている。
【0063】
また、軸部165は、平坦フランジ235から常に少なくとも若干離間されるように位置決めおよび寸法設定される。したがって、環状ガスケット240は、軸部165によって端部エッジ145に対して押し付けられないが、ブラケット160に当接して静置されたフックフィン245のみによって押し付けられる。
【0064】
上述の組立の完了後に、ろ過カートリッジ200は、外方ケーシング105の内部容積を2つの別個のチャンバに区画する。これらのチャンバの中で、ろ過部材205の外部に画定される第1のチャンバは、入口110と連通状態にあり、ろ過部材205および成形シェル215の内部に画定される第2のチャンバは、出口ポート230を介して出口115と連通状態にある。したがって、入口110から出口115に向かって流れる空気は、ろ過部材205を通過するように付勢され、このろ過部材205は、浮遊状態で搬送される可能性のある固体粒子を制止する。
【0065】
ろ過部材205が、完全に詰まった場合には、ろ過カートリッジ200は、取り外し、新たなものと交換することが可能である。このろ過カートリッジ200の取外しは、外方ケーシング105の上方カバー155の取外しにより、軸部165もまた同時に取り外され、その後ハンドル265を把持して、ろ過カートリッジ200を引き出すことにより、出口ポート230の中心軸Qに対して垂直方向にろ過カートリッジ200を移動させる。
すなわち、フックフィン245が上方から滑脱するまでブラケット160上にフックフィン245を摺動させることによって移動させるということを非常に簡易に実現するものである。
【0066】
この側方滑脱は、フックフィン245の表面261および263が開二面角を画定し、この開二面角がブラケット160の面上におけるろ過カートリッジ200の摺動を妨げないことにより、可能となる。さらに、ブラケット160の直線状エッジに対面するフックフィン245の表面263は、結合の解除およびろ過カートリッジ200の引き出しを可能にする方向にのみ上述の摺動を案内するという利点をさらに有する。
【0067】
最後に、ろ過アセンブリ100の設置は、上述の内容の逆も可能である。換言すれば、出口115は、ろ過対象空気の入口として使用することが可能であり、入口110は、ろ過済み空気の出口として使用することが可能である。この場合には、マニホールド210の出口ポート230は、入口ポートになり、入口ポート225は、出口ポートになる。したがって、空気は、内外径方向にろ過部材205を通過するように付勢される。
【0068】
自明ではあるが、ろ過アセンブリ100、ろ過カートリッジ200、およびマニホールド210は、以下において特許請求されるような本発明の保護範囲から逸脱することなく、当業者により適宜、技術的/適用上の変更を受け得る。
【符号の説明】
【0069】
100 ろ過アセンブリ
105 外方ケーシング
110 入口
115 出口
120 下方ベース
125 上方ベース
130 側部エッジ
135 側部エッジ
140 端部エッジ
145 端部エッジ
150 下方本体
155 上方カバー
160 ブラケット
165 軸部
200 ろ過カートリッジ
205 ろ過部材
210 マニホールド
215 成形シェル
220 内部容積
225 入口ポート
230 出口ポート
235 平坦フランジ
240 環状ガスケット
245 フックフィン
260 突出歯
261 ベース表面
262 側部表面
263 平坦表面
265 ハンドル
X 入口中心軸
Y 出口中心軸
Z 入口ポート中心軸
Q 出口ポート中心軸