(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属Mを基にする前記上層(12)の上に、セレン化及び/又は硫化によって光活性層(22)を形成する段階を含み、金属Mを基にする前記上層(12)を変換する前記段階を前記光活性層(22)の形成の前又は形成の間に行い、好ましくは形成の間に行う、請求項10記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、製造原価が比較的安い、モリブデンを基礎材料とする新規な導電性基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明が対象とするものは、詳しく言えば、支持基材と該支持基材上に形成された電極被覆物とを含む、光電池のための導電性基材であって、当該電極被覆物が、
・支持基材上に形成されたモリブデンに基づく主層、
・モリブデンに基づく主層上に形成されたセレン化に対するバリア層であって、厚さが50nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の、セレン化に対するバリア層、及び、
・セレン化に対するバリア層上の、硫化及び/又はセレン化後に光活性半導体材料とのオーミックコンタクト層を形成することができる金属Mに基づく上層、
を含む、光電池のための導電性基材である。
【0009】
このような導電性基材は、電極被覆物がただ1つのモリブデン層から構成された導電性基材と同等のシート抵抗を、削減されたモリブデンの厚さで得るのを可能にするという利点を示す。
【0010】
上記の導電性基材によって、光電池(又は光電池モジュール)を製造するための方法は、その上特に信頼性がある。これは、セレン化に対するバリア層が、上層の全体(例えばその厚さが10nmと50nmの間の場合)の変換によって、Mo(S,Se)
2が存在することとその量とを保証するとともに、伝導特性が保持されたモリブデンに基づく主層が存在することとその均一な厚さとを保証するのを可能にするからである。モリブデンに基づく主層の特性とその厚さの均一性との保持は、材料の量を最小限まで減らすことを可能にする。
【0011】
セレン化及び/又は硫化後に上層によって形成されたオーミックコンタクト層の均一性は、太陽電池の効率にとって更に有益である。
【0012】
国際公開第2005/088731号パンフレットには、TiN又はZrNの層を備えた導電性基材の反射係数を向上させることが記載されている。しかしながら、本発明のために試験した吸収層はこの効果のためには厚すぎて、性能に影響を及ぼすことができなかった。その上、ここで試験したTiON層も、薄すぎて反射係数を有意に増大させることができなかった。
【0013】
具体的な実施形態によれば、導電性基材は、次に掲げる特徴の1つ以上を、独立して又は技術的に可能な全ての組み合わせに従って、含む。
・セレン化に対するバリア層は、金属窒化物又は酸窒化物を基礎材料とし、金属Mはチタン、モリブデン、ジルコニウム又はタンタルから選ばれ、該窒化物又は酸窒化物の酸素の含有率x=O/(O+N)であって、xは0又は0<x<1である。
・セレン化に対するバリア層は、金属酸窒化物を基礎材料とし、金属Mはチタン、モリブデン、ジルコニウム又はタンタルから選ばれ、該酸窒化物の酸素の含有率x=O/(O+N)であって、0<x<1であり、例えば0.05<x<0.95、例えば0.1<x<0.9である。
・セレン化に対するバリア層は、200μΩ・cmと500μΩ・cmの間の抵抗率を有する。
・セレン化に対するバリア層は、モリブデンを基礎材料とし酸素及び/又は窒素の含有率が高い化合物である。
・セレン化に対するバリア層は、20μΩ・cmと50μΩ・cmの間の抵抗率を有する。
・前記金属Mは、電荷キャリアの濃度が10
16/cm
3以上、仕事関数が4.5eV以上のp型半導体の硫化物及び/又はセレン化物タイプの化合物を生成することができる。
・金属Mを基礎材料とする前記上層は、モリブデンを基礎材料とし及び/又はタングステンを基礎材料とする。
・金属Mを基礎材料とする前記上層は、10nm以上、好ましくは20nm以上、及び100nm以下、好ましくは50nm以下の厚さを有する。
・セレン化に対するバリア層は、3nm以上、好ましくは5nm以上の厚さを有する。
・モリブデンに基づく主層は、400nm以下、例えば300nm以下、例えば250nm以下の厚さを有する。
・モリブデンに基づく主層は、40nm以上、好ましくは150nm以上の厚さを有する。
・モリブデンに基づく主層は均一な厚さを有し、その厚さは好ましくは、平均値に対して±10%の範囲内にとどまる。
・電極被覆物は、2Ω/□以下、好ましくは1Ω/□以下のシート抵抗を有する。
・金属Mを基礎材料とする上層は、セレン化に対するバリア層上に直接形成される。
・セレン化に対するバリア層は、モリブデンに基づく主層上に直接形成される。
・支持基材はアルカリ金属を含む材料で作製され、導電性基材は、支持基材の上且つモリブデンに基づく主層の下に形成されたアルカリ金属に対する1以上のバリア層を含み、アルカリ金属に対するバリア層(単数又は複数)は、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムから選ばれる材料のうちの1つを基礎材料とする。
・支持基材はガラス板である。
【0014】
本発明が対象とするもう一つは、支持基材と該支持基材上に形成された電極被覆物とを含む半導体デバイスであって、前記電極被覆物が、
・モリブデンに基づく主層、
・モリブデンに基づく前記主層上に形成された、セレン化に対するバリア層、
・銅とセレン及び/又はイオウのカルコパイライトを基礎材料とする光活性半導体材料、例えばCu(In,Ga)(S,Se)
2タイプの材料、特にCIS又はCIGS、あるいはまたCu
2(Zn,Sn)(S,Se)
4タイプの材料、で作製され、前記セレン化に対するバリア層上に形成されている光活性層、及び、
・前記セレン化に対するバリア層と前記光活性層との間の、金属Mの硫化物及び/又はセレン化物からなるタイプの化合物を基礎材料とするオーミックコンタクト層、
を含む半導体デバイスである。
【0015】
具体的な実施形態によれば、この半導体デバイスは、次に掲げる特徴の1つ以上を、独立して又は技術的に可能な全ての組み合わせに従って、含む。
・オーミックコンタクト層の材料は、電荷キャリアの濃度が10
16/cm
3以上、仕事関数が4.5eV以上のp型の半導体材料である。
・オーミックコンタクト層は、モリブデン及び/又はタングステンの硫化物及び/又はセレン化物タイプの化合物を基礎材料とする。
【0016】
本発明が対象とするもう一つは、上述のとおりの半導体デバイスと前記光活性層の上に形成した透明な電極被覆物とを含む光電池である。
【0017】
本発明が対象とするもう一つは、互いに直列に接続されていて全てが同じ基材上に形成されている複数の光電池を含み、該光電池が上述のとおりのものである光電池モジュールである。
【0018】
本発明が対象とするもう一つは、光電池のための導電性基材を製造するための方法であって、
・支持基材上にモリブデンに基づく主層を被着する段階、
・モリブデンに基づく前記主層上にセレン化に対するバリア層を被着する段階、
・セレン化に対する前記バリア層上に、硫化及び/又はセレン化後に光活性半導体材料とのオーミックコンタクト層を形成できる金属Mを基にする上層を被着する段階、及び、
・金属Mを基にする前記上層を該金属Mの硫化物及び/又はセレン化物に変換する段階、
を含む、光電池のための導電性基材製造方法である。
【0019】
具体的な実施形態によれば、この方法は、次に掲げる特徴の1つ以上を、独立して又は技術的に可能な全ての組み合わせに従って、示す。
・該方法は、金属Mを基にする前記上層の上に、セレン化及び/又は硫化によって光活性層を形成する段階を含み、金属Mを基にする前記上層を変換する段階は前記光活性層の形成の前又は形成の間に、好ましくは形成の間に、行われる。
・硫化及び/又はセレン化後は、前記上層は、電荷キャリアの濃度が10
16/cm
3以上、仕事関数が4.5eV以上のp型半導体を基礎材料とする。
・硫化及び/又はセレン化後は、前記上層は、モリブデン及び/又はタングステンの硫化物及び/又はセレン化物を基礎材料とする化合物である。
・光活性層を形成する段階は、300℃以上の温度でのセレン化及び/又は硫化の段階を含む。
【0020】
本発明は、添付の図面を参照し単に一例として示す以下の説明を読むことによってよりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1と
図2は、特に支持基材と被着した層との厚さの差が著しく、例えば500倍程度であるので、明確に表現するため、原寸に比例はしていない。
【0023】
図1は、
・ガラス製の支持基材2、
・基材2の上に形成した、アルカリ金属に対するバリア層4、及び、
・アルカリ金属に対するバリア層4の上に形成した、モリブデンを基礎材料とする電極被覆物6、
を含む、光電池のための導電性基材1を図示している。
【0024】
本明細書の全体を通して、「層Bの上に形成した(又は被着した)層A」という表現は、層Bの上に直接形成され従って層Bと接触している層A、あるいは層Aと層Bとの間に1以上の層を介在させて層Bの上に形成した層Aを意味するものと理解される。
【0025】
本明細書全体を通し、「電極被覆物」という用語は、電子を伝導する、すなわち電子の可動性によってもたらされる導電性を有する、少なくとも1つの層を含む、電流供給被覆物を意味するものと理解される、ということに注目すべきである。
【0026】
更に、本明細書全体を通し、「層を含む」という表現は、言うまでもなく、「少なくとも1つの層を含む」と理解されるべきである。
【0027】
図示した電極被覆物6は、
・アルカリ金属に対するバリア層4の上に直接形成したモリブデンに基づく主層8、
・モリブデンに基づく主層8の上に直接形成した、セレン化に対する薄いバリア層10、及び、
・セレン化に対するバリア層10の上に直接形成した金属Mに基づく上層12、
で構成される。
【0028】
このような導電性基材1は、ナトリウムを添加した光活性材料(ナトリウムはCIS又はCIGSタイプの光活性材料の性能を向上させることが知られている)の製造を目的とするものである。アルカリ金属に対するバリア層4は、光活性材料へのナトリウムの添加をよりよく制御するために、ガラス製基材2からのナトリウムイオンのマイグレーションを防止する。
【0029】
基材がアルカリ金属イオンを含まない場合は、アルカリ金属に対するバリア層4は省くことができる。
【0030】
光活性材料を製造するためのもう一つの手法は、ガラス製支持基材からのナトリウムイオンのマイグレーションを光活性材料を作るために利用するものである。この場合は、導電性基材1はアルカリ金属に対するバリア層4を有さず、そしてモリブデンの主層8は、例えば、支持基材2の上に直接形成される。
【0031】
別の形態でも、電極被覆物6は1以上の挿入層を含む。
【0032】
例えば、一般に、導電性基材1は支持基材2と、
・支持基材2の上に形成したモリブデンに基づく主層8、
・モリブデンに基づく主層8の上に形成したセレン化に対するバリア層10、及び、
・セレン化に対するバリア層10の上に形成した金属Mに基づく上層12、
を含む電極被覆物6とを含む。
【0033】
金属Mは、硫化及び/又はセレン化後に、光活性半導体材料との、特に、銅とセレン及び/又はイオウのカルコパイライトを基礎材料とする光活性半導体材料、例えばCu(In,Ga)(S,Se)
2タイプの材料、特にCIS又はCIGS、あるいはまたCu
2(Zn,Sn)(S,Se)
4タイプの材料との、オーミックコンタクト層を形成することができる。
【0034】
「オーミックコンタクト層」という用語は、コンタクトの電流/電圧特性が非整流型で且つ線形であるような材料の層を意味するものと理解される。
【0035】
好ましくは、上層12は電極被覆物6の最終の上層であり、すなわち電極被覆物6は層12より上に別の層を有さない。
【0036】
やはり好ましくは、電極被覆物6はただ1つのモリブデンに基づく主層8、ただ1つのセレン化に対するバリア層10、及びただ1つの層12を含む。
【0037】
本明細書全体を通して、「ただ1つの層」というのは、同一材料の層を意味するものと理解されることに注目すべきである。とは言え、この単一の層は、国際公開第2009/080931号パンフレットに記載された特性を示すことが可能である界面が間に存在する、同一材料の複数の層を重ね合わせることにより得ることができる。
【0038】
一般的に、マグネトロン被着チャンバーでは、同一材料の、すなわちモリブデンの、ただ1つの層を最終的に形成するために、同一材料の複数の層が複数のターゲットによって支持基材上に連続して形成される。
【0039】
「モリブデンに基づく」という用語は、実質的量のモリブデンで構成された材料、すなわちモリブデンだけで構成された材料、あるいは主としてモリブデンを含む合金、あるいは主としてモリブデンを含むが所定含有量の、例えば20μΩ・cmの以上の抵抗率をもたらす含有量の、酸素及び/又は窒素を含む化合物、を意味するものと理解すべきである。
【0040】
層12は、セレン化及び/又は硫化によってMo(S,Se)
2に完全に変換されることを意図するものであって、この材料は一方において「モリブデンに基づく」材料とは見なされず、二硫化モリブデンに基づく、二セレン化モリブデンに基づく、又は二硫化モリブデンと二セレン化モリブデンの混合物に基づく材料である。
【0041】
標準的に、(S,Se)という表記は、これがS
xSe
1-x(この式中、0≦x≦1)の組み合わせに関係することを示している。
【0042】
図1に図示し上で説明した基材は、光電池モジュールの製造における中間製品であることに注目すべきである。この中間製品はその後、光活性材料を製造するための方法の結果として変換される。上述の導電性基材1は、保管しそしてモジュールの製造のため他の製造現場へ送り出すことができる、変換させる前の中間製品であると理解される。
【0043】
上層12は、Mo(S,Se)
2に変換されるとオーミックコンタクトとして働くように、例えば、10nm以上100nm以下の、好ましくは30nmと50nmの間の、厚さを有する。大きな厚さは必要ない。
【0044】
前記金属Mは、モリブデンを基にする及び/又はタングステンを基にすることが有利である。
【0045】
二硫化モリブデン及び/又は二セレン化モリブデンMo(S,Se)
2は、オーミックコンタクト層として実績のある証明された有効性を持つ材料である。タングステン(W)は、同様の化学的性質を有する材料である。それはまたカルコゲニド半導体WS
2及びWSe
2を生成する。Mo(S,Se)
2とW(S,Se)
2はともに、10
16/cm
3以上のp型ドーピング剤を含みおよそ5eVの仕事関数を有するp型の半導体として作ることができる。一般に、それは、電荷キャリア濃度が10
16/cm
3以上で仕事関数が4.5eV以上のp型の半導体硫化物及び/又はセレン化物タイプの化合物を生成することができる金属Mを基にした材料に関係することができる。更にもっと一般的に言えば、それは、硫化及び/又はセレン化後に、光活性半導体材料との、より詳しく言えば銅とセレン及び/又はイオウのカルコパイライトを基礎材料とする光活性材料との、オーミックコンタクト層を形成できる任意のタイプの金属Mに関する。
【0046】
セレン化に対するバリア層10は、モリブデンに基づく主層8を起こり得るセレン化及び/又は硫化から保護する。セレン化から保護する層は硫化からも保護することに注目すべきである。
【0047】
「セレン化に対するバリア層」という用語は、セレン化及び/又は硫化によって生成される半導体材料の層をセレン化に対するバリア層上に被着する間にセレン化に対するバリア層に覆われた層のセレン化を防ぎあるいは減らすことができる任意のタイプの材料の層を意味するものと理解される。本発明の目的の範囲内のセレン化に対するバリア層は、3nmの厚さでも証明された有効性を示す。
【0048】
材料がセレン化に対するバリアとしての役割に適しているかいないかを調べるための考えられる試験は、金属Mに基づく上層12と主層8との間にあるこの材料の5nmの層を有する及び有さないサンプルを比較して、このサンプルを、例えば100%のセレン雰囲気中において520℃で加熱して、セレン化に付すことである。主層8のセレン化が減少しあるいは防止されて上層が全体にセレン化される場合は、材料は有効である。
【0049】
セレン化に対するバリア層10の材料は、例えば、金属窒化物、例えば窒化チタン、窒化モリブデン、窒化ジルコニウム又は窒化タンタルなど、に基づき、あるいはこれらの材料の組み合わせに基づく。それはまた酸窒化物に関係してもよい。
【0050】
一般に、それは、モリブデンに基づく主層8を起こり得るセレン化又は硫化から保護するのに好適な任意のタイプの材料に関係する。
【0051】
この材料はまた、金属酸化物、例えば酸化モリブデン、酸化チタン又はモリブデンとチタンの混合酸化物、に基づくこともできる。
【0052】
とは言え、窒化物が酸化物よりも好ましい。
【0053】
より好ましくは、それは金属酸窒化物に基づく材料に関係し、Mはチタン、モリブデン、ジルコニウム又はタンタルから選ばれ、該酸窒化物の酸素の含有率x=O/(O+N)であって、0<x<1であり、例えば0.05<x<0.95、例えば0.1<x<0.9である。
【0054】
上記の窒化物、酸化物及び酸窒化物は、窒素と酸素がそれぞれ化学量論的量より少なくても、化学量論的量であっても、あるいは化学量論的量より多くてもよいことに注目すべきである。
【0055】
別の実施形態においては、それはモリブデンに基づく層、より具体的には酸素及び/又は窒素の含有率が高いモリブデンに基づく化合物に関係する。酸素及び/又は窒素の含有率は、例えば、20μΩ・cm以上の抵抗率をもたらせば十分である。
【0056】
一般的には、それはこのように、酸素及び/又は窒素の含有率が高いモリブデンに基づく層に関係し、あるいはモリブデンに基づく主層8を起こり得るセレン化又は硫化から保護するのに好適な金属窒化物、酸化物又は酸窒化物に基づく材料に関係する。
【0057】
セレン化に対するバリア層10は、厚さが小さい。その厚さは50nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは15nm以下である。
【0058】
セレン化に対するバリア層10が非常に薄い場合には、それにもはや有意の効果がないという危険性がある。従って、それは例えば、3nm以上、好ましくは5nm以上の厚さを有する。これは、驚くべきことに、そのように非常に小さい厚さのセレン化に対するバリア層10に有意の効果のあることが分かったからである。
【0059】
セレン化に対するバリア層10は、モリブデンに基づく主層8よりも小さい導電率を有する。例えば、それは、金属酸化物、窒化物又は酸窒化物を基礎材料とする層の場合は200μΩ・cmと500μΩ・cmの間の抵抗率を有し、窒素及び/又は酸素の含有率が高いモリブデンに基づく材料の場合は20μΩ・cmと50μΩ・cmの間の抵抗率を有する。
【0060】
セレン化に対するバリア層10の厚さが非常に小さいことの結果として、高い抵抗率が電池の性能にとって有害にならず、電流は横断方向に進む。
【0061】
セレン化に対するバリア層10は更に、支持基材2に向かってのナトリウムイオンの後方拡散、すなわち上層12の最上部から上層12を通り抜けて支持基材2へと向かうナトリウムイオンの拡散を制限できることが好ましい。
【0062】
この特性は、いくつかの点で有利である。
それは、例えば二セレン化ナトリウムを電極被覆物6の上層12の上に被着させることによる、あるいは例えば米国特許第5626688号明細書に記載されたようにナトリウム又はその他のアルカリ金属を含むターゲットを使用し、光活性材料を被着する間にナトリウムを添加することによる、光活性材料を生成するためにアルカリ金属を加えるものである製造方法をより信頼できるものにする。
【0063】
モリブデンに基づく主層8は、電極被覆物6が上述のセレン化試験後に2Ω/□以下、好ましくは1Ω/□以下のシート抵抗を持つのに十分な厚さを有する。金属Mに基づく上層12とセレン化に対するバリア層10とが存在することが、このような性能を獲得するのを可能にする。
【0064】
電極被覆物6がモリブデンに基づく主層8、セレン化に対するバリア層10及び金属Mに基づく上層12以外の導電性層を含まないことを仮定すると、モリブデンに基づく主層8は、十分な効果を奏するために、40nm以上、好ましくは150nm以上の厚さを有することが好ましい。しかし、モリブデンに基づく主層8は、例えば、400nm以下、例えば300nm以下、例えば250nm以下、の厚さを有する。
【0065】
モリブデンに基づく主層8の厚さを低下させることには利点があり、すなわちこの比較的薄い層を、厚い層で直面することがある層間剥離の問題なしに、非常に制約を受ける層をもたらすことになる被着パラメーターを用いる陰極スパッタリングにより被着することを可能にする。
【0066】
モリブデンに基づく主層8は、例えば、モリブデンで、すなわちモリブデンだけを含むもので、構成される。
【0067】
次に、支持基材2とアルカリ金属に対するバリア層4を説明する。
【0068】
2つの場合、すなわち光活性材料の層にドープするために基材からのアルカリ金属イオンのマイグレーションが所望される場合と、このマイグレーションが所望されない場合を区別すべきである。
【0069】
2番目の場合には、特に、フロート法で得られるソーダ−石灰−シリカタイプのガラスの板、この種の材料において知られている全ての特性、例えば透明性、水不透過性、硬さなどを示す比較的低コストのガラスの板を、基材として使用するのを可能にするため、アルカリ金属に対するバリア層4を1つ以上備えた基材を使用する。
【0070】
この場合、基材2のアルカリ金属イオンの含有量は不都合であり、これをアルカリ金属に対するバリア層が最小限に抑える。
【0071】
アルカリ金属に対するバリア層4は、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムから選ばれる材料の1つを基礎材料とする。
【0072】
別の実施形態において、やはり2番目の場合、支持基材2は、任意の適切なタイプの材料、例えば、ホウケイ酸ガラスなどのアルカリ金属を含まないシリカベースのガラスの板、又はプラスチック製あるいは更に金属製の板である。
【0073】
1番目の場合には、支持基材2は任意の適切なタイプのものであって、アルカリ金属、例えばナトリウムイオン及びカリウムイオンを含む。この基材は、例えば、ソーダ−石灰−シリカガラスである。アルカリ金属に対するバリア層は存在しない。
【0074】
どちらの場合とも、支持基材2は、光活性モジュールにおいてバックコンタクトとして働くことを意図しており、透明である必要はない。
【0075】
支持基材2を構成する板は、平らであっても丸味を帯びていてもよく、そして任意のタイプの寸法、特に1mより大きい少なくとも1つの寸法、を示すことができる。
【0076】
本発明が対象とするもう一つは、上述の導電性基材1を製造するための方法である。
【0077】
この方法は、
・支持基材2の上にモリブデンに基づく主層8を被着し、所望によりその前にアルカリ金属に対するバリア層4を被着させる段階、
・モリブデンに基づく主層8の上に、例えば直接その上に、セレン化に対するバリア層10を被着させる段階、
・セレン化に対するバリア層10の上に金属Mに基づく上層12を被着させる段階、及び、
・前記金属Mに基づく層を金属Mの硫化物及び/又はセレン化物に変換する段階、
を含む。この変換の段階は、CIS、CGS又はCZTS半導体層を形成する前の別個の段階であってもよく、あるいは、CIS、CGS又はCZTS半導体層のセレン化及び/又は硫化が前記半導体層の被着中に行われようとあるいは半導体層の前駆物質となる前記金属成分の被着後に行われようと、このセレン化及び/又は硫化の進行中に行う段階であってもよい。
【0078】
各種の層の被着は、例えばマグネトロン陰極スパッタリングで行われるが、別の実施形態においては、任意の適切なタイプの別の方法が考えられる。
【0079】
本発明が対象とするもう一つは、その上に1以上の光活性層22、24を形成するために上述の導電性基材1を使用する半導体デバイス20(
図2)である。
【0080】
第1の光活性層22は、一般的には、例えば銅Cu、インジウムIn、セレンSe及び/又はイオウSのカルコパイライトを基にした、p型のドープされた層である。それは、例えば、先に説明したように、CIS、CGS又はCZTSであることができる。
【0081】
第2の光活性層24は、n型のドープされたものであり、バッファーとして説明される。それは、例えば、CdS(硫化カドミウム)で構成され、そして第1の光活性層22の上に直接形成される。
【0082】
別の実施形態において、バッファー層24は、例えば、In
xS
y、Zn(O,S)又はZnMgOを基礎材料とし、あるいは任意の適切なタイプの別の材料で製作される。やはり別の実施形態において、電池はバッファー層を含まず、第1の光活性層22だけでp−nホモ接合を形成することが可能である。
【0083】
一般に、第1の光活性層22は、p型の層であり、あるいはアルカリ金属元素の添加により得られるp−nホモ接合を有する層である。
【0084】
光活性層の被着は、下記でより詳しく説明するように、セレン化及び/又は硫化の段階を含む。この被着は、元素Cu、In、Ga及びSe(又はCu、Sn、Zn、S)の蒸着によって行うことができる。これらのセレン化及び/又は硫化段階の最中に、金属Mに基づく上層12がM(S,Se)
2に基づく層12’に変換される。この変換は、例えば、上層12の全体に関係する。
【0085】
このように、半導体デバイス20は、
・支持基材2と、この支持基材上に形成した電極被覆物であってその上層12’が変換されている電極被覆物6’、
を含む。
【0086】
電極被覆物6’は、
・モリブデンに基づく主層8、
・モリブデンに基づく主層8の上に形成したセレン化に対するバリア層10、及び、
・セレン化に対するバリア層10の上に形成したM(S,Se)
2に基づく上層オーミックコンタクト層12’、
を含む。この半導体デバイスは、オーミックコンタクト層12’の上に且つそれと接触して、1又は複数の光活性半導体層14、16を含む。
【0087】
本発明が対象とするもう一つは、上述の半導体デバイス20を含む光電池30である。
【0088】
この電池は、例えば
図2に示したように、
・層8、10、12’、22及び24により形成された半導体デバイス20、及び、
・第1の光活性層22の上且つバッファー層24の上に形成された、例えばZnO:Al製の、透明な電極被覆物32、
を含み、バッファー層24が存在する場合には、透明な電極被覆物32と半導体デバイス20との間に、例えば固有のZnO又は固有のZnMgOの、パッシベーティング層34が任意選択的に介在する。
【0089】
透明電極被覆物32は、別の実施形態においては、ガリウム又はホウ素をドープした酸化亜鉛の層を含み、あるいはまたITO層を含む。
【0090】
一般に、それは任意の適切なタイプの透明導電性材料(TCO)である。
【0091】
良好な電気的接続と良好な伝導性のために、金属グリッド(
図2には示していない)をその後任意選択的に透明電極被覆物32の上に,例えばマスクを介し、例えば電子ビームにより被着させる。それは、例えば、厚さが例えばおよそ2μmの、Al(アルミニウム)グリッドであり、その上にそのAl層を保護することを目的に、厚さが例えばおよそ50nmのNi(ニッケル)グリッドが被着される。
【0092】
電池30はその後、外部からの攻撃から保護される。それは、この目的達成のために、例えば、熱可塑性物質製の積層中間層(図示せず)を介して前方電極被覆物32を覆い支持基材2に積層されるカウンター基材(図示せず)を含む。それは、例えば、EVA、PU又はPVBのシートである。
【0093】
本発明が対象とするもう一つは、同一の基材2の上に形成した複数の光電池を含む光電池モジュールであり、これらの電池は互いに直列に接続されており、そして半導体デバイス20の層のマイグレーションによって得られる。
【0094】
本発明が対象とするもう一つは、上記の半導体デバイス20と光電池30を製造するための方法であり、この方法はセレン化及び/又は硫化によって光活性層を形成する段階を含む。
【0095】
Cu(In,Ga)(S,Se)
2タイプの光活性層を製造するための方法については、多数の公知の方法が存在する。光活性層22は、例えば、次のようにして形成されるCIGS層である。
【0096】
第1の段階において、層の前駆物質を電極被覆物6の上に被着させる。
【0097】
例えばCuGaとInタイプの層が交互になったものから構成される金属積重体を、周囲温度でのマグネトロン陰極スパッタリングによって電極被覆物6の上に被着させる。続いて、セレンの層を周囲温度で金属積重体の上に直接、例えば熱蒸着によって、被着させる。
【0098】
別の実施形態では、金属積重体は、例えば、Cu/In/Ga/Cu/In/Ga…タイプの多層構造を有する。
【0099】
第2の段階において、例えばS又はH
2Sをベースとする、気体のイオウで例えば構成される雰囲気中において、例えばおよそ520℃で、基材にRTP(「高速熱処理」)と呼ばれる高温での熱処理を施し、こうしてCuIn
xGa
1-x(S,Se)
2の層を形成する。
【0100】
この方法の1つの利点は、外部のセレン蒸気源を必要としないことである。加熱する間のセレンの一部分の損失は、金属積重体上にセレンを過剰に被着することによって補償される。セレン化に必要なセレンは、被着したセレンの層により供給される。
【0101】
別の実施形態においては、セレン化は、セレンの層を被着させることなく、イオウに富む雰囲気にさらす前に、例えばSe又はH
2Seをベースとする、気体のセレンを含む雰囲気によってなされる。
【0102】
硫化の段階は、バッファー層なしに、例えばCdSのバッファー層なしに、任意選択的に行うことを可能にする。
【0103】
先に説明したように、アルカリ金属に基づく、例えばナトリウムに基づく、層を被着することが、光活性層中のナトリウムを正確に測定するため有利な場合がある。
【0104】
CuGaとInの金属積重体を被着する前に、アルカリ金属を例えば、1cm
2当たり例えばおよそ2×10
15個のナトリウム原子を導入するように、モリブデンに基づく犠牲層12の上にセレン化ナトリウムの層又はナトリウムを含む化合物の層を被着することによって、導入する。金属積重体は、セレン化ナトリウムのこの層の上に直接被着させる。
【0105】
CI(G)S又はCZTS層を形成するためには多数の可能な別の形態が存在し、それらの別の形態には、例えば、上述の元素の同時の蒸着、金属、セレン化物又はカルコパイライトの化学気相成長、電気化学的被着、H
2Se又はH
2Sの存在下での金属又はセレン化物の反応性スパッタリングが含まれる、ということに注目すべきである。
【0106】
一般に、光活性層22の製造方法は任意の適切なタイプの方法である。
【0107】
CIS又はCZTSタイプの層を製造するための全ての方法は、蒸気状態の又は液体状態のセレン及び/又はイオウの存在下において高温で加熱する段階を使用する。
【実施例】
【0108】
モリブデンに基づく種々の電極被覆物を取り入れた光電池の性能を、首尾よく試験した。
【0109】
全ての実験において、厚さ3mmのソーダ−石灰−シリカガラス製の支持基材2を、このガラス製支持基材2の上に直接被着した厚さが140nmのSi
3N
4で構成されたアルカリ金属に対するバリア層とともに使用した。
【0110】
Cu(In,Ga)(S,Se)
2を2段階で生成して、光電池を製造した。Cu、Ga、In及びNaを含む前駆物質の積重体を、上述したようにしてマグネトロンスパッタリングにより被着させた。
【0111】
続いて、セレンの層を熱蒸着により被着させた。
【0112】
次に、前駆物質の積重体をイオウを含む雰囲気中での高速熱処理RTPによってCu(In,Ga)(S,Se)
2へ変換した。
【0113】
その後、CdSの層24を被着させ、続いてZnO:Alの層32を被着させた。ZnO:Al層の上にグリッドを被着させて、開口部の表面積が1.4cm
2の光電池を製作した。モノリシック相互接続を行うことで、寸法が30×30cmのモジュールを製造した。
【0114】
図3aと3bは、セレン化に対するバリア層の効果を説明するものである。
図3bでは、高温と高いセレン分圧のために、生成したMo(S,Se)
2化合物の厚さが数百nmとなり、非常に薄い金属Moしか残っていない。
図3aでは、セレン化に対するバリア層がモリブデン層のセレン化を防いでおり、それを保護している。
【0115】
同じように、
図4は、処理前の、3mmのガラス基材、130nmの窒化ケイ素に基づくアルカリ金属に対するバリア層、30nmの窒化チタンの層、及び25nmのモリブデンの層を示す電子顕微鏡画像である。
図5は、光活性層の被着とセレン化後の
図4と同じ基材を、その一部分として示している。Mo(S,Se)
2層とセレン化に対するバリア層とを含めた背後電極の総厚さは、460nmと480nmの間であり、その一部としてのMo(S,Se)
2層の厚さは70nmと80nmの間である。
【0116】
図6と
図7は、使用した種々の導電性基材に応じて得られたエネルギー変換係数を示している。
【0117】
図6は、TiON又はMoONで製作したセレン化に対するバリア層の厚さが異なる光電池(例1〜6)について得られた実験結果を示しており、これらの結果を、セレン化に対するバリア層がない導電性基材と厚いモリブデン層を用いた光電池(例7)と比較している。
電池の出力を縦軸に%で示している。
【0118】
これらの例は、モリブデンに基づく背後電極被覆物6だけが異なっている。
【0119】
〔例1(MoON 05)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/MoON(5nm)/Mo(30nm)
【0120】
〔例2(MoON 15)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/MoON(15nm)/Mo(30nm)
【0121】
〔例3(MoON 30)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/MoON(30nm)/Mo(30nm)
【0122】
〔例4(TiON 05)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/TiON(5nm)/Mo(30nm)
【0123】
〔例5(TiON 15)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/TiON(15nm)/Mo(30nm)
【0124】
〔例6(TiON 30)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/TiON(30nm)/Mo(30nm)
【0125】
〔例7(V1209)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(425nm)
【0126】
例1〜6は、MoONに基づくバリア層よりもTiONに基づくバリア層を用いる方が有利であることを示している。
【0127】
TiON又はMoONは、0<x<1の酸窒化物(x=O/(O+N))を意味しており、OとNは言うまでもなく原子比率であることに注目すべきである。
【0128】
MoONの場合、厚さ5nmで最良の結果が得られた。
【0129】
TiONの場合、最適な厚さはおよそ15nmであった。
【0130】
更に、例1〜6の結果を例7と比較すると、230nmのMo、すなわち例7よりも195nm薄いMoだけを組み合わせた、すなわち材料の実質的な節約となる、電極被覆物で、同等の性能を得ることが可能なことが示される。
【0131】
図7は、次のようにおのおのが40個の電池から構成され、Moの厚さの異なる標準的なガラス/Si
3N
4(140nm)/Mo導電性基材を使用する完成モジュールについて、
図4と同じタイプの結果(すなわち%で示すエネルギー出力)を示している。
【0132】
〔例8(TiON10)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(350nm)/TiON(10nm)/Mo(30nm)
【0133】
〔例9(TiON30)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(350nm)/TiON(30nm)/Mo(30nm)
【0134】
〔例10(V1209)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(425nm)
【0135】
2回の実験を行った(3919及び3920)。
【0136】
別々の電池を画定する目的で行うマイグレーションのために、より厚いモリブデンを選択した。総モリブデン厚さが参照モジュールに対して45nm薄いにもかかわらず、モジュールは同等の性能を示す。
【0137】
図8は、種々の電極被覆物でのセレン化試験の結果を示している。電極被覆物をセレン化した電極被覆物の厚さを縦軸に表している。これらの試験については、電極被覆物をセレンを含む雰囲気下において520℃でアニールした。以下のサンプルを分析した。
【0138】
〔例11(MoON 05)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/MoON(5nm)/Mo(30nm)
【0139】
〔例12(MoON 15)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/MoON(15nm)/Mo(30nm)
【0140】
〔例13(MoON 30)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/MoON(30nm)/Mo(30nm)
【0141】
〔例14(TiON 05)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/TiON(5nm)/Mo(30nm)
【0142】
〔例15(TiON 15)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/TiON(15nm)/Mo(30nm)
【0143】
〔例16(TiON 30)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(200nm)/TiON(30nm)/Mo(30nm)
【0144】
〔例17(V1209)〕
ガラス(3mm)/Si
3N
4(140nm)/Mo(425nm)
【0145】
図8に示したように、材料がTiONであれあるいはMoONであれ、セレン化に対するバリア層は、5nmでも、モリブデンに基づく主層8のセレン化に対して保護する効果がある。全ての実験において、モリブデンに基づく上層12は完全にMoSe
2に変換された。