特許第6096883号(P6096883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サフラン・エアクラフト・エンジンズの特許一覧

特許6096883エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段
<>
  • 特許6096883-エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段 図000002
  • 特許6096883-エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段 図000003
  • 特許6096883-エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段 図000004
  • 特許6096883-エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段 図000005
  • 特許6096883-エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段 図000006
  • 特許6096883-エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096883
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】エンジンコアへのアクセスを可能にするノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備えるランチャ段
(51)【国際特許分類】
   B64G 5/00 20060101AFI20170306BHJP
   F02K 9/62 20060101ALI20170306BHJP
   F02K 9/96 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   B64G5/00
   F02K9/62
   F02K9/96
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-505010(P2015-505010)
(86)(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公表番号】特表2015-519242(P2015-519242A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】FR2013050796
(87)【国際公開番号】WO2013153340
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】1253431
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンダミネ,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ルコント,ギー
(72)【発明者】
【氏名】マチュラ,フィリップ
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第2622931(FR,A1)
【文献】 特表2001−507099(JP,A)
【文献】 特開昭57−76248(JP,A)
【文献】 特開2004−286031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0067052(US,A1)
【文献】 特開昭63−93700(JP,A)
【文献】 米国特許第6418710(US,B1)
【文献】 米国特許第4387564(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0016179(US,A1)
【文献】 米国特許第4727959(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 5/00
F02K 9/62
F02K 9/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立姿勢で、エンジンコア(2)と、エンジンコアの上に固定されたタンク(6)と、エンジンコアの下に固定された第1の伸展可能ノズルセクション(8a)とを備え、前記伸展可能ノズル(4)はさらに第2のセクション(8b)を備え、第2のセクションは第3のセクション(8c)と共に伸展を可能にする構造体(10)によって支承され、前記第1、第2、および第3のノズルセクションは、ノズルが伸展推進形態の時に互いから伸びた状態になり、第2のセクション(8b)は第1のセクション(8a)から伸び、第3のセクション(8c)は第3のセクション(8c)を支承する第2のセクション(8b)から伸びる、スペースランチャ(100)の段(1)であって、
前記段(1)はさらに、ノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体(14)を備え、一時的支持構造体(14)は前記タンク(6)に取り付けられ、第1のセクション(8a)の少なくとも一部が第2のセクション(8b)の中に入り込み、第2のセクション(8b)の少なくとも一部が第3のセクション(8c)の中に入り込み、その下端が前記一時的支持構造体(14)の下方支持部(18)に当接した状態であるエンジンコアにアクセスできる形態にノズル(4)を変化させるのに適することを特徴とする、段(1)。
【請求項2】
前記エンジンコアにアクセスできる形態では、前記第2のノズルセクション(8b)の下端も同様に、前記温度支持構造体(14)の下方支持部(18)に当接することを特徴とする、請求項1に記載の段。
【請求項3】
前記エンジンコアにアクセスできる形態では、第2および第3のノズルセクション(8b、8c)それぞれの上端はエンジンコアに接続される第1のセクション(8a)の上端の高さもしくはそれより下に位置することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の段。
【請求項4】
前記一時的支持構造体(14)が、下方支持部(18)をタンク(6)に接続するロッド(16)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の段。
【請求項5】
前記下方支持部(18)が、リングの形状であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の段。
【請求項6】
前記一時的支持構造体(14)がさらに、エンジンコアにアクセスできる形態で第2および第3のノズルセクション(8b、8c)それぞれの上端より上に位置する上方支持部(20)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の段。
【請求項7】
前記一時的支持構造体(14)がさらに、上方および下方支持部(20、18)間の接続フレーム(22、24)を備え、このフレームは第3のセクション(8c)の周囲に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の段。
【請求項8】
前記一時的支持構造体(14)がさらに、アクセスステップからの少なくとも1つの要素と工具収納部とを備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の段。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの段(1)を備える、スペースランチャ(100)。
【請求項10】
主段(50)と請求項1から8のいずれか一項に記載の上段(1)とを備えるスペースランチャ(100)の製造方法であって、 ノズル(4)をエンジンコアにアクセスできる形態に変化させることにより上段(1)を形成するステップと、
ノズルがエンジンコアにアクセスできる形態で、前記上段(1)を発射台に輸送するステップと、
発射台において、ノズル(4)がエンジンコアにアクセスできる形態で、上段(1)を主段(50)の上に取り付けるステップとを含む、製造方法。
【請求項11】
発射の前に、
第2のセクション(8b)がエンジンコア(2)の周囲に配置され、下端で前記第3のセクション(8c)を支承する発射形態でノズル(4)を配置するステップと、
一時的支持構造体(14)を取り外すステップとが行われる、請求項10に記載のランチャの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペースランチャの分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、射出ノズルが伸展可能である上段に接続された主段を備えたスペースランチャに関する。
【背景技術】
【0003】
Ariane5のようなランチャでは、複数の推進システムが配設される。これは、まず、離陸段階に使用される2つの側方粉体推進装置からなり、これらが推進力のほぼ90%を発生させる。これらの粉体推進装置が分離されてランチャが軽くなった後に、ランチャの主段のエンジンが地球大気圏を出るために機能を引き継ぐ。主段の予備燃料が消耗された後、主段は上段から分離され、ペイロードが軌道に乗るまで上段のエンジンが推進力を発生させる。
【0004】
上段は、通常、タンクを備え、その下にエンジンコアが取り付けられ、さらに下方に向かって噴射ノズルが延びる。このノズルは、「末広ノズル」とも呼ばれ、液体水素と酸素を燃焼させることによって発生した水蒸気を高速で噴射させることによって推進力を発生させる。
【0005】
したがって、ノズルは、ガスを加速させる上段の要素であり、燃焼室出口の要素である。真空中では、末広ノズルが長いほど、噴射ガスによって発生する推進力は大きくなる。したがって、できる限り長いノズルが想定される。しかしながら、ノズルが長いほど、ノズルのサイズが大きくなってしまう。これは、ランチャの全体質量が増加することを意味し、輸送されるペイロードの質量を増加することができるようにランチャを軽量化することを目的とした通常の原理に反する。
【0006】
上述の問題を解決するために、ノズルの軸方向に沿って互いに対して移動するのに適した3つのノズルセクションを備えた伸展可能なノズルが提案されている。このようにして、これらのノズルセクションは、2つの最下部セクションが引き上げられた、いわゆる「再伸展」発射形態から、前記セクションが互いに一直線上に位置することで最大長のノズルを形成する伸展推進形態まで移動可能になる。
【0007】
したがって、発射台では、発射の前に、ランチャの上段は、ノズルセクションの一部が収縮された発射形態で主段上に組み立てられる。このことにより、上段の長さを短くすることができ、ひいては、上段の全体質量およびランチャ全体の全体質量を低減することができるが、ノズルセクションの一部を上方位置で保持することで、前記ノズルセクションによって囲撓されているエンジンコアへのアクセスが妨げられる/複雑になる。
【0008】
しかしながら、主段上に上段を設置した後に、発射の前に、上段エンジンの主コア部においていくつかの作業を行う必要がある。
【0009】
これらの作業は、例えば、最終検査のような通常通りの作業からなるが、さらに、欠陥部品の交換のような通常通りでない作業からなる場合がある。
【0010】
いずれにしても、それぞれの作業では、まずノズルセクションを下方位置に移動させてオペレータが作業する必要があるエンジンコアを露出させ、その後、これらのセクションを再び組み立ててノズルを発射形態に戻すように、最初上方位置で保持されているノズルセクションにおける作業が必要である。
【0011】
これらのノズルセクションの操作により、ランチャを発射する前のランチャの使用サイクルの複雑さが大幅に増し、特に、これらのセクションが複合材料製であれば、これらのセクションが損傷するリスクが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、先行技術の実施形態に対して、上述の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明は、直立姿勢で、エンジンコアと、エンジンコアの上に固定されたタンクと、エンジンコアの下に固定された第1の伸展可能ノズルセクションとを備え、前記伸展可能ノズルはさらに第2のセクションを備え、第2のセクションは第3のセクションと共に伸展を可能にする構造体によって支承され、前記第1、第2、および第3のノズルセクションは、ノズルが伸展推進形態の時に互いから伸びた状態になり、第2のセクションは第1のセクションから伸び、第3のセクションは第3のセクションを支承する第2のセクションから伸びる、スペースランチャの段に関する。
【0014】
本発明によれば、前記段はさらに、ノズルセクションを一時的に支持する一時的支持構造体を備え、一時的支持構造体は、前記タンクに取り付けられ、第1のセクションの少なくとも一部が第2のセクションの中に入り込み、第2のセクションの少なくとも一部が第3のセクションの中に入り込み、第3のセクションの下端が前記一時支持構造体の下方支持部に当接した状態であるエンジンコアにアクセスできる形態にノズルを変化させるのに適している。
【0015】
本発明は、架台に相当する一時的支持構造体を追加することにより、発射台において発射の前に必要な作業を行うことができるようにノズルをエンジンコアへのアクセスを可能にする形態に変化させて保持するための簡単で満足できる解決策が得られるという点が注目に値する。したがって、この作業は、非常に確実な方法で行うことができる。
【0016】
このエンジンコアへのアクセスを可能にする形態は、さらに製造終了段階および発射台に段を輸送する際にも採用される。これらの条件下では、発射台において種々の段を組み立てた後、エンジンコアで作業をするオペレータは、前記コアにアクセスできるようにするためにノズルセクションにおける予備操作を行う必要がない。
【0017】
さらに、本発明は、特に第3のセクションが一時的支持構造体の下方支持部で支承されることにより、エンジンコアへのアクセスを可能にする形態で高い機械的強度を有するノズルを提供する。この利点は、ノズルセクションを損傷するリスクを大幅に減らすことができるので、特に、ランチャを発射台へと輸送する段階でメリットがある。
【0018】
最後に、一時的支持構造体は、オペレータがエンジンコア上で作業することができるようにするアクセスブリッジの機能を果たすことができる。したがって、オペレータは、構造体を使用して構造体の上を歩行し、および/または自身を構造体に固定して、事故のリスクを減らすことができる。
【0019】
好ましくは、前記エンジンコアにアクセスできる形態では、前記第2のノズルセクションの下端も前記一時的支持構造体の下方支持部に当接するが、本発明の範囲から逸脱せずに、それ以外の構造も可能である。この特定の特徴の利点は、2つのセクションが一時的支持構造体の下方支持部で支承されるので、ノズルの機械的強度が増すという点にある。あるいは、第2のノズルセクションは、この下方支持部に当接せず、伸展を可能にする上述の構造体によって担持されるだけでよい。
【0020】
好ましくは、前記エンジンコアにアクセスできる形態では、第2のノズルセクションおよび第3のノズルセクションそれぞれの上端がエンジンコアに接続される第1のセクションの上端の高さもしくはそれより下に位置する。そのことにより、エンジンコア内での必要な作業を行うためにエンジンコアへのアクセス性が非常に高くなる。
【0021】
好ましくは、前記一時的支持構造体は、タンクに下方支持部を接続するロッドを備える。これらのロッドを使用することにより、温度支持構造体の全体質量は低い状態で維持され、適当なサイズとなる。エンジンコアで作業するのに必要なアクセスがオペレータにとって容易になるように、これらのロッド間の空間を容易に適応させることができる。さらに、ロッドは、手動でおよび/または安全ベルトを使用してオペレータ自身を固定するために、オペレータによって使用されてもよい。
【0022】
好ましくは、前記下方支持部は、好ましくは、オペレータがその上を歩行することができるように設計されたリングの形状である。
【0023】
好ましくは、前記一時的支持構造体はさらに、エンジンコアにアクセスできる形態で第2のノズルセクションおよび第3のノズルセクションそれぞれの上端より上に位置する上方支持部を備える。さらに、この上方支持部は、オペレータがその上を歩行することができると同時に、エンジンコア上で作業することができるように設計されるのが好ましい。
【0024】
さらに、この上方支持部により、第2のセクションおよび第3のセクションの垂直方向上方への移動を制限することができる。このことは、ノズルセクションが一時的支持構造体によって優先的に軸方向および/または半径方向に保持される輸送時にメリットがある。
【0025】
最後に、上方支持部により、その下に位置するセクションへの衝撃、例えば、工具の落下による衝撃などを抑えることができる。
【0026】
好ましくは、前記一時的支持構造体はさらに、上方支持部と下方支持部との間の接続フレームを備え、このフレームは第3のセクションの周囲に配置される。
【0027】
このフレームは、ノズルセクションを、特に衝撃から保護するのに役立つ。このフレームはさらに、下方支持部および上方支持部と同様に、輸送段階でノズルセクションを保持するのに使用されてもよい。
【0028】
最後に、前記一時的支持構造体は、優先的に、アクセスステップからの少なくとも1つの要素と、工具収納部とをさらに備える。
【0029】
本発明はさらに、上述の少なくとも1つの段であって、ランチャ主段に組み立てられる上段を優先的に形成する段を備えるスペースランチャに関する。
【0030】
最後に、本発明は、主段と上述の上段とを備えるスペースランチャの製造方法であって、
ノズルをエンジンコアにアクセスできる形態に変化させることにより上段を形成するステップと、
ノズルがエンジンコアにアクセスできる形態で、前記上段を発射台に輸送するステップと、
発射台において、ノズルがエンジンコアにアクセスできる形態で、上段を主段の上に取り付けるステップとを含む方法に関する。
【0031】
これらの条件下では、発射台において種々の段を組み立てた後、エンジンコアで作業をするオペレータは、エンジンコアにアクセスできるようにするためにノズルセクションで行う予備作業がなく、そこで必要な作業を行う。明らかに、優先的に、エンジンコアにアクセスできる形態は、作業が必要とされ/可能である段階を通して維持される。
【0032】
好ましくは、その後、発射の前に、
第2のセクションがエンジンコアの周囲に配置され、その下端で前記第3のセクション支承する発射形態でノズルを配置するステップと、
一時的支持構造体を取り外すステップとが行われる。
【0033】
本発明のさらに別の利点および特徴は、以下の非限定的な詳細な説明で明らかになるであろう。
【0034】
以下の説明は、添付図面を参照しながら進める。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の好適な一実施形態のランチャの段の一部で、ノズルが発射形態であるランチャ段の一部を示した概略正面図である。
図1a図1に示されているランチャ段の一部の斜視図である。
図2】ノズルが伸展推進形態である図1のランチャ段の一部と同様の図である。
図3】ノズルがエンジンコアにアクセスできる形態である図2のランチャ段の一部を異なる角度で示した斜視図である。
図4】ノズルがエンジンコアにアクセスできる形態である図2のランチャ段の一部を異なる角度で示した斜視図である。
図5図3および図4に示されているランチャ段の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1図1a、および図2を参照すると、本発明の好適な実施形態のスペースランチャの上段の一部が示されている。ランチャは、Ariane5タイプのランチャである。
【0037】
直立姿勢で示されているランチャ段1は、特に燃焼室を含むエンジンコア2を備え、燃焼室では、液体水素と酸素とが反応して水蒸気を発生させ、水蒸気はエンジンコア2の下に位置するノズル4によって高速で噴射される。
【0038】
水素と酸素はエンジンコア2の上に配置されたタンク6内に含まれ、エンジンコア2とタンク6の2つの要素は、図1図1a、および図2に示されているように、円錐形のタンク底部を使用して機械的接合される。ランチャによって輸送されるペイロードは、タンク6より上方で、ランチャ上段上で支承される。
【0039】
質量およびサイズを低減するために、ノズル4は伸展可能な形状である。ノズル4は、ノズルの軸方向9(垂直方向に対応する)に沿って互いに対して移動するのに適した3つのセクション8a、8b、8cからなる。これらのセクションそれぞれは、まとまって末広ノズルを形成するように、略テーパ形状である。
【0040】
図1および図1aでは、ノズルは発射形態で示されているが、図2では、ノズルは伸展推進形態で示されている。これら2つの形態は、以下で詳細に説明するが、発射前に、ランチャの上段と主段とを分離した後のミッションの際に、発射台上でとられる形態である。
【0041】
図1および図1aに示されている発射形態では、第1のノズルセクション8aはエンジンコア2の下端に固定される。また、この接続は、ノズルがとる形態に関係なく維持される。したがって、第1のセクション8aは、エンジンコア2から下方に突出している。
【0042】
それに対して、第2のセクション8bと第3のセクション8cは、ノズル4の軸方向長さを短くするのに適した上昇位置にある。より詳細には、第2のセクション8bは、その下端がほぼ第1のセクション8aの上端の高さに位置するように引き上げられる。第2のセクション8bは、その軸方向移動を可能にする構造体10によって支承される。この構造体10は、当業者には周知であるが、垂直ラック12を支持する桁を使用して第1のセクション8aおよびタンク6および/またはエンジンコア2に固定され、第2のセクション8bは、垂直ラック12に沿って摺動自在に電気的に制御される。
【0043】
第3のセクション8cも同様に、上昇位置で保持されるが、第2のセクション8bによって支承される。より詳細には、これら2つのセクション8b、8cは、伸展推進形態の場合と同じ相対位置をとることによって、互いから伸びた状態になる。第3のセクション8cの上端と第2のセクション8bの下端との間は、当業者に周知である可逆的な機械的接続、例えば、ロック機構タイプの接続が行われる。
【0044】
このような発射台上でとられる発射形態では、第3のセクション8cは、ほぼ第1のセクション8aの下端の位置にある。
【0045】
第2のセクション8bは、引き上げられると、エンジンコア2の大部分を囲撓する。一方、図2に示されている伸展推進形態では、セクション8bおよび8cは、第1のセクション8aの下端と一直線上に位置するように引き下げられて、最大長の末広ノズルとも呼ばれるテーパノズルが形成される。この引き下げは、ラック12を使用して電気的に、かつ第3のセクション8cが第2のセクション8bにロックされた状態で行われる。
【0046】
図3および図4では、ノズル4を第3の形態もしくはエンジンコアにアクセスできる形態に変化させることができるようにセクションを一時的に支持する構造体を備えた本発明の特定の態様の1つが示されている。
【0047】
一時的支持構造体14は、複数(例えば、4本)の垂直ロッド16を備え、上端はタンク6の底部に固定される。エンジンコア2およびノズルセクション8a、8b、8cの周囲に配置されるこれらのロッドはさらに、リング状下方支持部18に固定的に支承する下端を有する。軸9を有するこのリング18は、第3のセクション8cを支承し、第3のセクション8cの下端を支持するものである。優先的には、この第3のセクション8cの下端の全周囲とリング18とが接触する。このようにして、この第3のセクション8cの全体質量はリング18によって支承されている。
【0048】
さらに、図3および図4に示されているように、同じことが第2のセクション8bにも言える。この場合、このセクション8bが常にラック12に機械的に接続された状態であっても、その質量はリング18によって完全にもしくはほぼ完全に支承される。
【0049】
この特定の形態では、セクションは互いの中に入り込む。より詳細には、第1のセクション8aの少なくとも一部が第2のセクション8bの中に入り込み、第2のセクション8bの少なくとも一部が第3のセクション8cの中に入り込む。さらにコンパクトにするために、図示されているように、3つのセクションは完全に重なり合って互いの中に挿入される、すなわち、それぞれのセクションの上端が実質的に同じ第1の高さになり、下端も実質的に同じ第2の高さになる。したがって、本発明の特定の形態では、短くなったノズルの長さは3つのノズルの1つのノズルの長さに等しくなる。上述したように、3つのセクション8a、8b、8cは、軸9に沿って実質的に同じ長さであるので、図3および図4に示されるように、互いの中に挿入された時に最もコンパクトなサイズとなる。
【0050】
一時的支持構造体14はさらに、ロッド16が横断することにより支承される上方支持部20を備え、この支持部20は下方リング18と同じ形状である。このリングは第2のセクション8bおよび第3のセクション8cの上端を覆うが、任意で、これらのセクションの機械的支持力を増すために接触される。2つのリング18、20間に、例えば、2つのリングを接続する短い垂直ロッド22の形の接続フレームと、長いロッド16と共に前記ロッド22を相互接続するリング24とが配設される。
【0051】
図示されていないが、アクセスステップおよび/または工具収納部がこの構造体14の中に設けられてもよいが、オペレータはエンジンコア2上で作業を行うためにこの構造体上で歩行するおよび/または自身を固定することができ、セクション8b、8cを引き下げることにより、エンジンコアの横からのアクセスが完全に自由になる。
【0052】
実際に、この形態では、全てのセクション8a、8b、8cがエンジンコア2の下に位置するので、発射台において通常通りの作業もしくは通常通りでない作業を行おうとするオペレータにとってはエンジンコア2全体がアクセスしやすくなる。
【0053】
この形態は、上段1の製造終了段階でとられ、上段1を輸送する時にも発射台に維持される。このようにして、セクション8a、8b、8cは、一時的支持構造体の1つまたは複数の要素によって、非常に満足のいく形で機械的に保持されることにより、これらのセクションが損傷するリスクを抑えることができる。
【0054】
次に、上段1は、この形態を維持しながら、図5に部分的に示されるように、発射台でランチャ100の主段50の上に取り付けられる。この時、下方支持部18は、主段50のタンク56に当接するもしくはタンク56の少し上にあり、エンジンコア2はセクションによって露出される。
【0055】
こうして、発射前の時間の間中、一時的支持構造体14上を移動するオペレータにとって容易にアクセスできるエンジンコア2上で作業が行われる。伸展可能なノズル4が図1および図1aに示されている発射形態に移動されるのは、図5に示されている段間の隙間がスカート部60で封止される前だけである。そのためには、セクション8bはセクション8cとロックされるまでラックと共に移動されて、その後、一時的支持構造体14が取り外されるのが好ましい。その後、スカート部60が設置されてもよい。
【0056】
優先的には、構造体全体は、オペレータが段と段との間にアクセスするための小さいサイズのフラップを介してアクセスできるように、十分に取り外し可能な構造体であることに留意されたい。
【0057】
当然、単に非限定的な例として本明細書に示されている本発明に対して、当業者によって種々の修正が行われてもよい。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5