特許第6096971号(P6096971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ムサシノ機器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6096971-高位液面警報装置 図000002
  • 特許6096971-高位液面警報装置 図000003
  • 特許6096971-高位液面警報装置 図000004
  • 特許6096971-高位液面警報装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6096971
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】高位液面警報装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   G01F23/284
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-164541(P2016-164541)
(22)【出願日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391014631
【氏名又は名称】ムサシノ機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】木瀬 昌之
(72)【発明者】
【氏名】村石 明裕
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−536737(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097036(WO,A1)
【文献】 特表2011−521257(JP,A)
【文献】 特開昭61−079113(JP,A)
【文献】 実開昭62−166507(JP,U)
【文献】 特開2006−257457(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0179584(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0085130(US,A1)
【文献】 特表2016−507728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/00−25/00
G01S 7/00−17/95
H01H35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの筺体に複数の液面警報ユニットを備える高位液面警報装置であって、
前記複数の液面警報ユニットは1つの液面を監視するものであり、
前記複数の液面警報ユニットそれぞれが警報を発する前記液面の高さは異なり、
前記液面警報ユニットのそれぞれは、電波を検知する電波検知部を有し、電波を検知していないときに電波を発信して所定の液面に達したか否かの判定動作を行い、
1つの前記液面警報装置が前記判定動作を行っているとき、他の前記液面警報装置は前記判定動作を行わない、高位液面警報装置。
【請求項2】
前記液面警報ユニットは、高位警報ユニットと溢位警報ユニットを含む、請求項1記載の高位液面警報装置。
【請求項3】
前記各液面警報ユニットは、他の前記液面警報ユニットが電波を発信していないときに電波を発信するように、前記電波を発信するタイミングがあらかじめ定められている、請求項1又は2記載の高位液面警報装置。
【請求項4】
複数の前記液面警報ユニットは、共通のアンテナに接続され、前記アンテナにより前記電波を送受信する、請求項1乃至3のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項5】
前記各液面警報ユニットは、他の前記液面警報ユニットから発信される電波の受信状態から他の前記液面警報ユニットが正しく動作しているか否かを判断する、請求項1乃至4のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項6】
前記他の液面警報ユニットが正しく動作していないとき、前記液面警報ユニットは、前記他の液面警報ユニットが警報を発する液面の高さにおいて警報を発する、請求項5記載の高位液面警報装置。
【請求項7】
前記複数の液面警報ユニットのそれぞれは、同じ回路構成である、請求項1乃至6のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項8】
前記液面警報ユニットが警報を発する液面の高さは、前記液面警報ユニットに接続される制御装置に記憶されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項9】
前記液面警報ユニットが警報を発する液面の高さは、ソフトウェア的に変更可能である、請求項1乃至8のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項10】
前記液面警報ユニットが警報を発する液面の高さは、自動で変更可能である、請求項1乃至9のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項11】
前記液面警報ユニットは、前記警報を発する液面の高さを自動で変更することにより前記高位警報ユニットの警報点に達する前に予告警報を発報する、請求項2記載の高位液面警報装置。
【請求項12】
基準位置に設置された被測定物を有し、
前記被測定物の位置を定期的に判定し、
前記被測定物の位置と前記基準位置が異なる場合、前記被測定物の位置と前記基準位置に基づいて前記判定動作の判定結果を校正する、
請求項1乃至10のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項13】
前記複数の液面警報ユニットのそれぞれが発信する電波の周波数は異なる、
請求項1乃至12のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【請求項14】
前記液面警報ユニットは2個であり、2個の前記液面警報ユニットは交互に前記判定動作を行う、請求項1乃至13のいずれかに記載の高位液面警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高位液面警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体等を貯蔵するタンクの液面がタンク内の所定の高さに到達したことを検知して、警報を通知する高位液面警報装置が知られている。
【0003】
従来、警報を発する必要がある高さが複数存在する場合、センサを収容する筺体以外の構成要素をすべて複数備えた構造にする必要があった。
【0004】
特許文献1には、センサをタンク内の所定の高さ位置に固定し本体に接続する垂直棒体を有し、センサが液面位を検知することによって警報を発する高位液面警報装置が開示されている。また、特許文献2には、発信素子と受信素子を備える金属製の垂直な棒体等の垂直棒体の下端に、アースされた連結棒を介して絶縁板を設けてなる高液位検出装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、検出可能な各チャネルの特徴によって相互に区別可能な関連する波が、少なくとも一つの別のレーダ測定チャネルによって一つの同じアンテナを介して送信される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4818144号
【特許文献2】特開平8−159842号
【特許文献3】特表2003−503724号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、液体等を貯蔵するタンクの液面監視において、簡易な構成で複数の警報点を監視可能な高位液面警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる高位液面警報装置は、1つの筺体に複数の液面警報ユニットを備える高位液面警報装置であって、複数の液面警報ユニットは1つの液面を監視するものであり、複数の液面警報ユニットそれぞれが警報を発する液面の高さは異なり、液面警報ユニットのそれぞれは電波を検知する電波検知部を有し、電波を検知していないときに電波を発信して所定の液面に達したか否かの判定動作を行い、1つの液面警報装置が判定動作を行っているとき、他の液面警報装置は判定動作を行わない
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液体等を貯蔵するタンクの液面監視において、簡易な構成で複数の警報点を監視可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる高位液面警報装置の実施の形態を示す構成図である。
図2】上記高位液面警報装置の機能ブロック図である。
図3】上記高位液面警報装置が備える液面警報ユニットの動作を示すフローチャートである。
図4】上記高位液面警報装置が備える2つの液面警報ユニットの動作の様子を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
●高位液面警報装置
以下、本発明にかかる高位液面警報装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
●高位液面警報装置の概要
高位液面警報装置1は、電波方式により液体等を貯蔵するタンク内の液面の高さを判定し、液面が所定の高さにある場合に警報を発する装置である。
【0013】
●高位液面警報装置の構成
図1に示すように、高位液面警報装置1は、筺体10と、第1液面警報ユニット11と、第2液面警報ユニット21と、アンテナ12と、上位制御装置13と、を備える。第1液面警報ユニット11、第2液面警報ユニット21およびアンテナ12は、1つの筺体10の中に配置されている。
【0014】
第1および第2液面警報ユニット11、21は、共通の送受信用アンテナ12に接続されている。第1および第2液面警報ユニット11、21は、アンテナ12から液面に向かって電波を発信し、液面により反射した反射波を受信することでタンク内の液面が所定の高さ、すなわち警報点に達しているかどうかを判定する。液面が警報点に達している場合、第1および第2液面警報ユニット11、21は、図2に示すユーザインタフェース2(以下、「UI2」という。)にその旨を表示する。使用者は、UI2を通じて、タンク内の液面の高さを把握することができる。
【0015】
第1液面警報ユニット11と第2液面警報ユニット21は、異なる液位を警報点として監視することが可能である。例えば、第1液面警報ユニット11は高位液面警報ユニットとして、第2液面警報ユニット21は溢位警報ユニットとして設定することができる。高位液面警報ユニットとは、タンク内の液体が所定量を超えていることを予備的に警報するユニットである。溢位警報ユニットとは、高位液面警報ユニットの警報点を超えて、タンク内の液体の液面が溢れ出る限界にまで達していることを警報するユニットである。
【0016】
上述のように、高位液面警報装置1は、1つのアンテナ12を用いて2点の警報点を監視することができる。
【0017】
本実施の形態において、高位液面警報装置1が備える液面警報ユニットは2個であったが、3個以上であってもよい。
【0018】
高位液面警報装置1は、タンク内部に電波により基準位置を判定可能な被測定物を設置し、運用上常に基準位置と判定位置を比較校正する機能を有していてもよい。具体的には、高位液面警報装置1に対する位置があらかじめ定められている被測定物がタンク内部に設置されている。被測定物は、例えば高位液面警報装置1の測定方向に直交する反射板を持つ平板状の突起であるが、その形状は任意である。高位液面警報装置1に対する被測定物の位置、すなわち基準位置は、上位制御装置13等に記憶されている。高位液面警報装置1は、高位液面警報装置1の被測定物に対する実際の位置を定期的に判定し、基準位置と比較する。判定位置と基準位置が異なる場合、高位液面警報装置1は、判定位置と基準位置に基づいて液面判定の判定結果を校正する。判定位置と基準位置が大きく異なる場合、高位液面警報装置1は、UI2を通じてアラームを発報し、高位液面警報装置1が正しく動作していない可能性があることを使用者に通知する。
【0019】
●液面警報ユニットの構成
図2に示すように、第1液面警報ユニット11は、電波検知部111と、電波発信部112と、電波受信部113と、高位液面判定部114と、を備える。また、第2液面警報ユニット21は、第1液面警報ユニットと同様に、電波検知部211と、電波発信部212と、電波受信部213と、高位液面判定部214と、を備える。すなわち、第1液面警報ユニット11と第2液面警報ユニット21の機能ブロックは、同一である。言い換えれば、第1液面警報ユニット11と第2液面警報ユニット21の回路構成は同一である。
【0020】
各高位液面判定部114、214は、UI2に接続されている。各高位液面判定部114、214は、液面が警報点に達していることを、UI2を通じて使用者に通知する。
【0021】
第1液面警報ユニット11と第2液面警報ユニット21の警報点は、ソフトウェア的に書き換え可能である。第1液面警報ユニット11および第2液面警報ユニット21は、それぞれの警報点を記憶した上位制御装置13に接続されている。上位制御装置13に記憶された警報点を書き換えることにより、物理的な設計変更を行うことなく各液面警報ユニット11、21の警報点を変更することができる。この構成により、警報を発する距離に応じて製品の大きさを決める必要がない。すなわち、装置の大量生産性が大幅に向上する。
【0022】
第1液面警報ユニット11と第2液面警報ユニット21の警報点は、上述のように上位制御装置13に記憶されていてもよいし、各液面警報ユニット11、21に記憶されていてもよい。
【0023】
第1液面警報ユニット11と第2液面警報ユニット21の警報点は、上述のように使用者により手動で書き換えられてもよいし、上位制御装置13により自動的に変更されるように構成してもよい。例えば、後述する高位液面判定処理S4は一定時間ごとに繰り返されるから、高位液面判定処理S4を行う度に監視する警報点を周期的に変更してもよい。具体的には、1回目の高位液面判定処理S4においては液位A、2回目の高位液面判定処理S4においては液位Aとは異なる液位B、3回目の高位液面判定処理S4においては液位Aおよび液位Bとは異なる液位Cを警報点として液面判定を行い、4回目以降はこれを繰り返す。この場合、1つの液面警報ユニットで液位A、BおよびCの監視が可能である。
【0024】
このように、警報点が自動的に変更される構成により、1つの液面警報ユニットで複数の警報点を監視可能である。警報の種類は、高位液面警報および溢位警報に加えて、高位液面警報の警報点よりも液位の低い予告警報としてもよい。予告警報を発報可能とすることで、液位の監視をより確実に行うことができる。
【0025】
また、警報点が自動的に変更される構成により、一方の液面警報ユニットが故障した場合にも、故障したユニットが監視すべき警報点を他方の液面警報ユニットにより監視することができる。例えば、第1液面警報ユニット11が故障したことを検知して、第2液面警報ユニット21は、一定時間ごとに繰り返される高位液面判定処理S4において第1液面警報ユニット11の警報点と第2液面警報ユニット21の警報点とを交互に判定する。同様に、第2液面警報ユニット21が故障した場合は、第1液面警報ユニット11が第1および第2液面警報ユニット11、21の警報点を交互に判定することができる。すなわち、2つの液面警報ユニット11、21は、一方が他方の予備機として動作することができる。
【0026】
●液面警報ユニットのフローチャート
図3を用いて、第1液面警報ユニット11および第2液面警報ユニット21の動作について説明する。ここではまず、第1液面警報ユニット11の動作として説明する。
【0027】
第1液面警報ユニット11は、初期化(S0)の後、電波検知部111により電波検知処理を行う(S1)。電波検知部111が第2液面警報ユニット21の電波を検知した場合、第1液面警報ユニット11は電波を発信せず、一定時間の後、再度電波検知処理S1を行う。電波検知部111が第2液面警報ユニット21の電波を検知しない場合、第1液面警報ユニット11は液面に向けて電波を発信する電波発信処理を行う(S2)。すなわち、第1液面警報ユニット11は、第2液面警報ユニット21が電波を発信しているかどうかを電波検知処理S1により判定する。
【0028】
次いで、第1液面警報ユニット11は、液面により反射した電波を検知する反射波検知処理を行う(S3)。第1液面警報ユニット11は、反射波検知処理S3により検知した反射波の情報に基づいて、液面の高さが警報点に達しているかどうかを判定する高位液面判定処理を行う(S4)。液面の高さが警報点に達している場合は、UI2を通じて使用者にアラームを通知する(S5)。第1液面警報ユニット11は、これらの一連の処理を一定時間ごとに繰り返す。
【0029】
上述した一連の処理は、第2液面警報ユニット21でも同様である。第2液面警報ユニット21は、電波検知処理S1において、第1液面警報ユニット11が発信する電波の有無を検知する。
【0030】
●第1および第2液面警報ユニットのタイムチャート
図4に示すように、第1および第2液面警報ユニット11、21は、それぞれ一定の時間間隔で高位判定のための電波を発信する。各液面警報ユニットは、図3で示したように、電波検知部111、211により他の液面警報ユニットが電波を発信しているか否かを検知し、他の液面警報ユニットが電波を発信しているときには電波を発信しない。したがって、第1および第2液面警報ユニット11、21は、電波を交互に液面に向けて発信する。言い換えれば、第1および第2液面警報ユニット11、21は、時分割制御により1つのアンテナで2点の警報点を監視している。
【0031】
このように、第1液面警報ユニット11、21と第2液面警報ユニット11、21は、同じ回路構成でありながら交互に電波を発信することができる。同じ回路構成のユニットを使用することで、装置の構成を簡単にすることができる。
【0032】
第1および第2液面警報ユニット11、21は、それぞれ他方の液面警報ユニットから発信される電波の受信状態から他方の前記液面警報ユニットが正しく動作しているか否かを判断する機能を有していてもよい。この機能は、例えば、電波検知部により他方の液面警報ユニットから発信される電波を監視しておき、電波を所定の時間受信しなかった場合に液面警報とは異なるアラームをUI2に表示するようにして実現してもよい。
【0033】
第1、第2の液面警報ユニット11、21は、他方の液面警報ユニットが電波を発信していないときに電波を発信するように、前記電波を発信するタイミングがあらかじめ定められていてもよい。このとき、各液面警報ユニットは、他方の液面警報ユニットが電波を発信しているかどうかを判定する検知処理機能を備える。この検知処理は、複数実装された液面警報ユニット相互間における通信手段によって実現させる。具体的には、フォトカプラ等を用いた光学的結合方式、または絶縁トランスを用いた電磁的な結合方式により、他の液面警報ユニットが電波を発信しているかどうか判定する。
【0034】
第1および第2液面警報ユニット11、21は、周波数分割制御により1つのアンテナ12で2点の警報点を監視してもよい。すなわち、第1液面警報ユニット11によりアンテナ12から発信された電波の周波数と、第2液面警報ユニット21によりアンテナ12から発信された電波の周波数が異なるように構成してもよい。この場合、第1および第2液面警報ユニット11、21により発信される電波は互いに干渉しないため、2つの液面警報ユニットは異なる警報点を同時に監視することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 高位液面警報装置
10 筺体
11 第1液面警報ユニット
21 第2液面警報ユニット
111 電波検知部
211 電波検知部
【要約】
【課題】 液体等を貯蔵するタンクの液面監視において、簡易な構成で複数の警報点を監視可能な高位液面警報装置を提供する。
【解決手段】 1つの筺体10に複数の液面警報ユニット11、21を備える高位液面警報装置1であって、複数の液面警報ユニット11、21それぞれが警報を発する液面の高さは異なり、液面警報ユニット11、21のそれぞれは電波を検知する電波検知部111、211を有し、電波を検知していないときに電波を発信して所定の液面に達したか否かの判定動作を行う、高位液面警報装置1。
【選択図】図1
図2
図3
図4
図1