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特許6096987レーザー光源、波長変換光源、合成光源及び投影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6096987
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】レーザー光源、波長変換光源、合成光源及び投影システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170306BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20170306BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20170306BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20170306BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20170306BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20170306BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20170306BHJP
   F21V 9/16 20060101ALI20170306BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20170306BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20170306BHJP
【FI】
   F21S2/00 311
   G02B6/42
   G03B21/00 D
   G03B21/14 A
   H01S3/10 Z
   H01S3/00 A
   G02B19/00
   F21V9/16 100
   F21Y103:10
   F21Y115:30
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-513215(P2016-513215)
(86)(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公表番号】特表2016-526258(P2016-526258A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】CN2014076946
(87)【国際公開番号】WO2014183581
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】201310174987.4
(32)【優先日】2013年5月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515237430
【氏名又は名称】アポトロニクス チャイナ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】フー フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホウ ハイション
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−034351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 9/16
G02B 6/42
G02B 19/00
G03B 21/00
G03B 21/14
H01S 3/00
H01S 3/10
F21Y 103/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリメートされた1次レーザー光束アレイを発生させるための、レーザー素子アレイを有するレーザー光源アレイと、
前記レーザー光源アレイの後端に順次に配列されている集光光学素子およびコリメータ光学素子と、
2次レーザー光束アレイを受容すると共に均一化するための、コリメータ光学素子の後端に位置しているインテグレータロッドとを備え、
前記1次レーザー光束アレイは、集光光学素子およびコリメータ光学素子を順次に通過した後、コリメートされた2次レーザー光束アレイを形成し、2次レーザー光束アレイにおける2次レーザー光束のピッチは、1次レーザー光束アレイにおける1次レーザー光束のピッチより小さく、
前記レーザー素子アレイと前記インテグレータロッドとの間の光路上に、前記インテグレータロッドに入射する2次レーザー光束アレイのうち、各2次レーザー光束の光分布の、短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるように、前記2次レーザー光束アレイにおける光分布の短軸方向における発散角を大きくするための角度分布制御素子がさらに設置されていることを特徴とするレーザー光源。
【請求項2】
前記角度分布制御素子は、コリメータレンズアレイであり、各コリメータレンズは、それぞれ1つのレーザー素子に対応し、当該レーザー素子からのレーザーに対してコリメートを行い、
前記レーザー素子は、対応するコリメータレンズの光軸に位置していると共に当該コリメータレンズの焦点とずれており、当該コリメータレンズから出射される1次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角とその長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるようにすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源。
【請求項3】
前記角度分布制御素子は、少なくとも1つの柱面レンズであり、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置しており、各柱面レンズは、前記コリメータ光学素子から出射される2次レーザー光束アレイにおける少なくとも1列の2次レーザー光束に対応し、当該少なくとも1列の2次レーザー光束における各列の進行方向は、当該柱面レンズの母線に平行し、且つ各列の2次レーザー光束における各2次レーザー光束の光分布の長軸方向は、当該柱面レンズの母線に平行し、
各2次レーザー光束は、その対応する柱面レンズを通過した後、光分布の短軸方向における発散角とその長軸方向における発散角との比率が0.7以上であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源。
【請求項4】
前記角度分布制御素子は、光拡散シートであり、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置し、当該光拡散シートによる散乱後の2次レーザー光束アレイの短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるようにすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源。
【請求項5】
前記角度分布制御素子は、マイクロレンズアレイであり、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置し、各マイクロレンズは、長方形を成しており、
当該マイクロレンズアレイに入射する2次レーザー光束アレイの光分布の短軸方向は、各マイクロレンズの長辺方向に平行し、且つ当該マイクロレンズアレイから出射される2次レーザー光束アレイの光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源。
【請求項6】
前記レーザー光源アレイは、レーザー素子アレイおよびコリメータレンズアレイを備え、各コリメータレンズは、1つのレーザー素子に対応し、当該レーザー素子からのレーザーをコリメートし、且つ各レーザー素子は、その対応するコリメータレンズの光軸に位置していると共に当該コリメータレンズの焦点とずれており、
前記角度分布制御素子は、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置しており、入射される2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角を大きくし、または、入射される2次レーザー光束の光分布の長軸方向における発散角を小さくし、前記インテグレータロッドに入射される2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるようにすることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源。
【請求項7】
前記インテグレータロッドは、中実なものであり、且つ前記角度分布制御素子と前記インテグレータロッドは、一体成形されていることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のレーザー光源。
【請求項8】
コリメートされた1次レーザー光束アレイを発生させるためのレーザー光源アレイと、
前記レーザー光源アレイの後端に順次に配列されている集光光学素子およびコリメータ光学素子と、
2次レーザー光束アレイを受容すると共に均一化するための、コリメータ光学素子の後端に位置しているインテグレータロッドとを備え、
前記1次レーザー光束アレイは、集光光学素子およびコリメータ光学素子を順次に通過した後に、コリメートされた2次レーザー光束アレイを形成し、2次レーザー光束アレイにおける2次レーザー光束のピッチは、1次レーザー光束アレイにおける1次レーザー光束のピッチより小さく、
当該インテグレータロッドの光入口の面積は、その光出口の面積より大きく、
当該インテグレータロッドの光入口は、相互に直交する第1の辺および第2の辺を有し、光出口は、相互に直交する第1の辺および第2の辺を有し、光入口の第1の辺と光出口の第1の辺とは平行し、且つ光入口の第1の辺の長さと光出口の第1の辺の長さとの比率は、光入口の第2の辺の長さと光出口の第2の辺の長さとの比率より小さく、
前記2次レーザー光束アレイが前記インテグレータロッドに入射するとき、各2次レーザー光束の光分布の長軸方向は、当該インテグレータロッドの光入口の第1の辺に平行していることを特徴とするレーザー光源。
【請求項9】
前記インテグレータロッドの光入口の第1の辺の長さは、光出口の第1の辺の長さと等しいことを特徴とする請求項8に記載のレーザー光源。
【請求項10】
前記インテグレータロッドの光入口は、正方形を成していることを特徴とする請求項8に記載のレーザー光源。
【請求項11】
前記レーザー光源アレイと前記インテグレータロッドとの間の光路上に、角度分布制御素子がさらに設置され、前記角度分布制御素子は、前記2次レーザー光束アレイに対して整形を行い、前記インテグレータロッドに入射される2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を大きくすることを特徴とする請求項8に記載のレーザー光源。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のレーザー光源と、
前記レーザー光源からの光を受容して被励起光を発射する波長変換装置とを備えることを特徴とする波長変換光源。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のレーザー光源と、
励起光源及び当該励起光源からの励起光を吸収して被励起光を発射するための波長変換装置を備える波長変換光源と、
光合成装置とを備え、
前記レーザー光源から発射される光と前記波長変換光源から発射される被励起光は、異なる方向から光合成装置に入射して光合成装置によって一束の光に光合成され、出射することを特徴とする合成光源。
【請求項14】
請求項13に記載の合成光源と、
前記合成光源からの光束を受容すると共に変調を行うための空間光変調装置とを備えることを特徴とする投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明及び表示技術分野に関し、特にレーザー光源、波長変換光源、合成光源及び投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の発展に伴い、固体照明光源の優位は明らかになっている。レーザー光源は、高輝度、高精度視準の新規光源として、徐々に投影、照明などの分野に応用されていくものである。レーザー光源は、光学エタンデュ(エテンデュー)が小さいため、高輝度の光の出力を得られるが、一方で、その光に対する均一化はより難しくなる。
【0003】
図1は、従来技術において角棒を利用して光を均一化するレーザー光源であり、そのうち、11a〜11cはレーザーダイオード、12a〜12cはコリメータレンズ、13は集光レンズ、14は長方形角棒である。なお、コリメータレンズ12a〜12cは、球面または非球面のレンズアレイであり、レンズ毎に1つのレーザーダイオードが対応している。レーザーダイオード11a〜11cから発せられるレーザーは、最初にコリメータレンズ12a−12cを経由して平行光束にコリメートされ、そして、集光レンズ13を経由して1つの小さな光スポットに集光し、当該光スポットのサイズは、長方形角棒14の光入口のサイズと一致する。長方形角棒14は、中空または中実の導光棒であり、入力の光束を均一化するためのものである。しかしながら、実験によってこのような光均一化の効果はよくないことが分かった。角棒14からの出射光は、依然として離れたレーザードットを呈し、均一な面分布に混合できない。角棒14の長さを延長することによって角棒におけるレーザーの反射の回数を増やしても、著しく改善することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が主に解決しようとする技術的課題は、出射されるレーザー光束の均一程度を向上させるためのレーザー光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、一種のレーザー光源を提供し、コリメートされた1次レーザー光束アレイを発生させるための、レーザー素子アレイを有するレーザー光源アレイと、
前記レーザー光源アレイの後端に順次に配列されている集光光学素子およびコリメータ光学素子と、
2次レーザー光束アレイを受容すると共に均一化するための、コリメータ光学素子の後端に位置しているインテグレータロッドとを備え、
前記1次レーザー光束アレイは、集光光学素子およびコリメータ光学素子を順次に通過した後、コリメートされた2次レーザー光束アレイを形成し、2次レーザー光束アレイにおける2次レーザー光束のピッチは、1次レーザー光束アレイにおける1次レーザー光束のピッチより小さく、
前記レーザー素子アレイと前記インテグレータロッドとの間の光路上に、前記インテグレータロッドに入射する2次レーザー光束アレイのうち、各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるように、前記レーザー光束アレイの光分布の短軸方向の発散角を大きくするための角度分布制御素子がさらに設置されている。
【0006】
好ましくは、前記角度分布制御素子は、コリメータレンズアレイであり、各コリメータレンズは、それぞれ1つのレーザー素子に対応し、当該レーザー素子からのレーザーに対してコリメートを行い、
前記レーザー素子は、対応するコリメータレンズの光軸に位置していると共に当該コリメータレンズの焦点とずれており、当該コリメータレンズから出射される1次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角とその長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるようにする。
【0007】
好ましくは、前記角度分布制御素子は、少なくとも1つの柱面レンズであり、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置しており、そのうち、各柱面レンズは、前記コリメータ光学素子から出射される2次レーザー光束アレイにおける少なくとも1列の2次レーザー光束に対応し、当該少なくとも1列の2次レーザー光束における各列の進行方向は、当該柱面レンズの母線に平行し、且つ各列の2次レーザー光束における各2次レーザー光束の光分布の長軸方向は、当該柱面レンズの母線に平行し、
各2次レーザー光束がその対応する柱面レンズを通過した後、光分布の短軸方向における発散角とその長軸方向における発散角との比率は、0.7以上である。
【0008】
好ましくは、前記角度分布制御素子は、光拡散シートであり、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置し、当該光拡散シートによる散乱後の2次レーザー光束アレイの短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるようにする。
【0009】
好ましくは、前記角度分布制御素子は、マイクロレンズアレイであり、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置し、各マイクロレンズは、長方形を成しており、
当該マイクロレンズアレイに入射する2次レーザー光束アレイの光分布の短軸方向は、各マイクロレンズの長辺方向に平行し、且つ当該マイクロレンズアレイから出射される2次レーザー光束アレイの光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率は、0.7以上である。
【0010】
好ましくは、前記レーザー光源アレイは、レーザー素子アレイおよびコリメータレンズアレイを備え、そのうち、各コリメータレンズは、1つのレーザー素子に対応し、当該レーザー素子からのレーザーをコリメートし、且つ各レーザー素子は、その対応するコリメータレンズの光軸に位置していると共に当該コリメータレンズの焦点とずれており、
前記角度分布制御素子は、前記コリメータ光学素子と前記インテグレータロッドとの間に位置しており、入射される2次レーザー光束の光分布の短軸方向の発散角を大きくするために、または、入射される2次レーザー光束の光分布の長軸方向の発散角を小さくするために、前記インテグレータロッドに入射される2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向の発散角と長軸方向の発散角との比率が0.7以上になるようにする。
【0011】
好ましくは、前記インテグレータロッドは、中実なものであり、且つ前記角度分布制御素子と前記インテグレータロッドとは、一体成形されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、一種のレーザー光源をさらに提供し、コリメートされた1次レーザー光束アレイを発生させるためのレーザー光源アレイと、
前記レーザー光源アレイの後端に順次に配列されている集光光学素子およびコリメータ光学素子と、
2次レーザー光束アレイを受容すると共に均一化するための、コリメータ光学素子の後端に位置しているインテグレータロッドとを備え、
前記1次レーザー光束アレイは、集光光学素子およびコリメータ光学素子を順次に通過した後に、コリメートされた2次レーザー光束アレイを形成し、2次レーザー光束アレイにおける2次レーザー光束のピッチは、1次レーザー光束アレイにおける1次レーザー光束のピッチより小さく、
当該インテグレータロッドの光入口の面積は、その光出口の面積より大きく、
当該インテグレータロッドの光入口は、相互に直交する第1の辺および第2の辺を有し、光出口は、相互に直交する第1の辺および第2の辺を有し、そのうち、光入口の第1の辺と光出口の第1の辺とが平行し、且つ光入口の第1の辺の長さと光出口の第1の辺の長さとの比率が光入口の第2の辺の長さと光出口の第2の辺の長さとの比率より小さく、
前記2次レーザー光束アレイが前記インテグレータロッドに入射するとき、各2次レーザー光束の光分布の長軸方向は、当該インテグレータロッドの光入口の第1の辺に平行している。
【0013】
好ましくは、前記インテグレータロッドの光入口の第1の辺の長さは、光出口の第1の辺の長さと等しい。
【0014】
好ましくは、前記インテグレータロッドの光入口は、正方形を成している。
【0015】
好ましくは、前記レーザー素子アレイと前記インテグレータロッドとの間の光路上に、角度分布制御素子がさらに設置され、前記レーザー光束アレイに対して整形を行い、前記インテグレータロッドに入射される2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を大きくする。
【0016】
本発明の実施形態によれば、一種の波長変換光源をさらに提供し、
上記レーザー光源と、
前記レーザー光源からの光を受容して被励起光を発射する波長変換装置とを備える。
【0017】
本発明の実施形態によれば、一種の合成光源をさらに提供し、
上記レーザー光源と、
励起光源及び当該励起光源からの励起光を吸収して被励起光を発射するための波長変換装置を備える波長変換光源と、
光合成装置とを備え、
前記レーザー光源から発射される光と前記波長変換光源から発射される被励起光は、異なる方向から光合成装置に入射して、光合成装置によって一束の光に光合成され、出射する。
【0018】
本発明の実施形態によれば、一種の投影システムをさらに提供し、
上記合成光源と、
前記合成光源からの光束を受容すると共に変調を行うための空間光変調装置とを備える。
【0019】
従来技術と比べ、本発明は、以下のような有益な効果を得られる。
本発明において、集光光学素子及びコリメータ光学素子に作用された後、1次レーザー光束アレイの断面が圧縮されて2次レーザー光束アレイが形成され、2次レーザー光束の発散角は、1次レーザー光束の発散角より大きいので、2次レーザー光束がその後端に位置しているインテグレータロッドを通過した後、より均一な面分布を得られる。そして、レーザー光源アレイとインテグレータロッドとの間の光路上に角度分布制御素子が設置されて、上記レーザー光束アレイの光分布の短軸方向の発散角を大きくするために、インテグレータロッドに入射される2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の短軸方向の発散角と長軸方向の発散角との比率は、0.7以上になるようにする。2次レーザー光束アレイにおける短軸方向の光束をインテグレータロッド内に反射する回数を増加させることで、短軸方向と長軸方向の光束がインテグレータロッド内に反射される回数は近づき、さらに、2次レーザー光束がインテグレータロッドを通過した後の均一程度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術において角棒を利用して光を均一化するレーザー光源である。
図2】従来技術における長方形角棒の動作原理の模式図である。
図3A】本発明のレーザー光源の1つの実施形態の構成を示す模式図である。
図3B】レーザー素子からの発光の模式図である。
図3C】レーザー素子からの発光がコリメータレンズを経由した後の発光の模式図である。
図3D】本発明のレーザー光源におけるマイクロレンズアレイの構成を示す模式図である。
図4】レーザー素子がコリメータレンズの焦点に位置する構成および当該焦点とずれる構成を示す模式図である。
図5】本発明のレーザー光源のもう1つの実施形態の構成を示す模式図である。
図6図5に示すレーザー光源におけるインテグレータロッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示されているレーザー光源を均一な面分布にすることができないという課題に対して、発明者は、鋭意に研究を行った。発明者は、以下のことを発見した。普通の光束が角棒において均一化を実現できる理由は、当該光束の角度分布が連続であることがそのカギである。このように、角棒内に複数回反射された後、その面分布は、連続的且つ反射の回数が多いほど、面分布の均一性がよいということが図れる。
【0022】
しかしながら、集光レンズ13によって集光されたレーザー光束は、普通の光束と異なり、複数のレーザー光束を組み合わせてなるものであり、各レーザー光束は、いずれも1つのレーザーダイオードおよび対応するコリメータレンズからのものであるため、統合の光束の角度分布は、連続的ではなく、個々に独立したものである。これら独立したレーザービームの、角棒14における伝送過程を図2に示す。レーザービームL1は、入射角αで入射し、出射角αで出射するものであり、レーザービームL2は、入射角βで入射し、出射角βで出射するものである。両方とも各々の角度が小さいため、角棒において複数回反射しても、1本のかなり細い光線を維持している。そのため、角棒の出口で混合の効果、即ち均一な光分布を実現できない。
【0023】
以下、図面および実施形態を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0024】
実施形態1
図3Aは、本発明のレーザー光源の1つの実施形態の構成を示す模式図である。当該レーザー光源300は、レーザー光源アレイを含み、このレーザー光源アレイは、コリメートされた1次レーザー光束アレイ381を発生させるものである。なお、レーザー光源アレイは、レーザー素子アレイおよびコリメータレンズアレイを含み、レーザー素子アレイは、レーザー素子31a、31b、31cを含み、コリメータレンズアレイは、32a、32b、32cを含み、そして、コリメータレンズ毎に1つのレーザー素子が対応し、レーザー素子の発光位置は、対応するコリメータレンズの焦点に位置しているため、その発光は、コリメータレンズを経由した後、コリメートされるようになる。
【0025】
本実施形態において、レーザー素子は、レーザーダイオードであるが、実際上、レーザー素子は、その他のレーザーを発射する素子であってもよく、本発明に限定されるものではない。当然ながら、レーザー素子アレイおよびコリメータレンズアレイにおける素子の数も単に例であり、限定されるものではない。
【0026】
図3Bに示されるように、図3Bは、レーザー素子からの発光の模式図である。レーザー素子31の発光面は、長方形であり、当該長方形の長辺311を通過した断面における光の発散角はαであり、当該長方形の短辺312を通過した断面における光の発散角はβであり、αはβより小さい。一般的に、βは、αの5倍より大きい。即ち、レーザー光素子31の出射光の光分布の長軸313は、長方形の短辺312に平行し、出射光の光分布の短軸314は、長方形の長辺311に平行している。
【0027】
レーザー素子31からの発光がコリメータレンズを経由して得られた1次レーザー光束は、厳密的な平行光ではない。レーザー素子からの発光に対して、コリメートされたレーザー光束の発散角は小さくなるが、コリメートされたレーザー光束にも光分布の長軸方向および短軸方向が存在している。図3Cに示されるように、図3Cは、レーザー素子31からの発光がコリメータレンズ32を経由した後の発光の模式図である。注意すべきなのは、1次レーザー光束の光分布の長軸315は、レーザー素子31の発光面の長辺311に平行し、1次レーザー光束の光分布の短軸316は、レーザー素子31の発光面の短辺312に平行し、且つ長軸315の方向における発散角と短軸316の方向における発散角との比率が大きく、一般的に5より大きい。説明を明確にするために、以下の「長軸方向」および「短軸方向」はすべて光束の光分布上の長軸方向および短軸方向を指している。
【0028】
このように、各レーザー素子からの発光がコリメータレンズを経由してコリメートされて得られた1次レーザー光束アレイ381において,各1次レーザー光束の光軸は、それぞれ互いに平行しているが、各レーザー光束は、一定の発散角を有し、且つ光分布の長軸方向の発散角と短軸方向の発散角との比率は、依然として大きい。
【0029】
レーザー光源300は、レーザー光源アレイの後端に位置していると共に順次に並べている集光光学素子33とコリメート光学素子34とをさらに含み、1次レーザー光束アレイ381は、集光光学素子33とコリメート光学素子34とを順次に通過した後、コリメートされた2次レーザー光束アレイ382となっている。
【0030】
本実施形態において、集光光学素子は、凸レンズ33であり、コリメータ光学素子は、凹レンズ34であり、凸レンズ33および凹レンズ34の焦点は、重なっている。なお、凹レンズ34の焦点は、虚焦点であり、その虚焦点は、凹レンズ34の光路の後端に位置している。このように、1次レーザー光束アレイ381は、先ず凸レンズ33によって集光されて焦点に向けて集束され、凹レンズ34に入射するとき、その光束の断面積は、凸レンズ33に入射するときの光束の断面積より小さい。このとき当該レーザー光束は、凹レンズの焦点にも向けて集束されるため、凹レンズ34を通過した後再び平行光として出射し、即ちコリメートされた2次レーザー光束アレイ382を形成するようになる。ただし、レーザー光束の断面積が圧縮され、即ち2次レーザー光束アレイ382における各2次レーザー光束のピッチは、1次レーザー光束アレイにおける各1次レーザー光束のピッチより小さい。
【0031】
光学エタンデュ量の保存則に基づき、光束の断面積は圧縮され、その発散角は必ず増大する。即ち、
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、S1、θ1は、それぞれ、1次レーザー光束アレイの横断面積および発散半角であり、S2、θ2は、それぞれ、2次レーザー光束アレイの横断面積および発散半角である。ただし、S2<S1。そうすると、θ2は、必ずθ1より大きい。注意すべきなのは、式(1)における発散半角は、各レーザー光束の間の夾角ではなく、各レーザー光束そのものの発散角の半分である。
【0034】
実際の応用において、凸レンズ33および凹レンズ34の位置および曲率を制御することにより、2次レーザー光束アレイ382による1次レーザー光束アレイ381の断面積の圧縮比(近似的に、凸レンズ33と凹レンズ34との焦点距離の比は、光束の圧縮比である)を制御することができ、さらに、2次レーザー光束アレイにおける各レーザー光束の発散半角が1次レーザー光束アレイにおける各レーザー光束の発散半角より増大した程度を制御することができる。容易に理解できるのは、2次レーザー光束アレイにおける各レーザー光束の光分布上の長軸方向の発散角と短軸方向の発散角の増大程度が近似しているため、この2つの方向の発散角の比率は、依然として大きい。
【0035】
レーザー光源300は、2次レーザー光束アレイ382を受容して整形を行うための、コリメータ光学素子34の後端に位置している角度分布制御素子35をさらに含み、整形後の2次レーザー光アレイ382における各2次レーザー光束の、光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上となるようにする。
【0036】
具体的に、本実施形態において、角度分布制御素子35は、柱面レンズである。柱面レンズによって1次元のみで1束の光束の発散角を変更することができるので、柱面レンズを利用して長軸方向における発散角を変更せずにレーザー光束の短軸方向における発散角を大きくし、柱面レンズの柱面の曲率に対する設計により、各レーザー光束の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が0.7以上になるようにすることができる。以上の目的を実現するために、柱面レンズに入射する2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の長軸方向は、いずれもその柱面レンズの母線に平行している。
【0037】
レーザー光源300は、角度分布制御素子35によって整形された2次レーザー光束アレイ382を受容して均一化するための、角度分布制御素子35の後端に位置しているインテグレータロッド36をさらに含む。
【0038】
従来のインテグレータロッド(背景技術に記載の角棒およびテーパ棒はいずれもインテグレータロッドの1つである)に対する理解では、入射光は、1つの大きな角度範囲で入射しなければならず、そうすることで良好な光均一化効果を得られ、そうすることで光線がインテグレータロッドの内部に複数回反射され均一化されるからである。しかし、本発明に対する研究に基づきインテグレータロッドについての認識が深刻になり、即ち、レーザーの分野に応用しようとすれば、各束のレーザーを大きな角度範囲に集光させるだけで効かないと思われ、各レーザーの発散半角を増大しなければならない。各レーザーの発散半角を増大すれば、たとえ各束レーザーの間に平行な状態に近いとしても、インテグレータロッドを経由して良好な均一化効果を得られる。
【0039】
しかし、各束のレーザーの発散半角を増加させる過程において、各束のレーザーが光分布の長軸方向および短軸方向における発散角の増大の程度はほぼ同じなので、インテグレータロッドに入射するとき、各束のレーザーの発散半角は増大するが、各束のレーザーの短軸方向における発散角は、長軸方向における発散角より随分小さい。従って、この2つの方向において光束がインテグレータロッド内に反射される回数の差異も大きいので、各2次レーザー光束がインテグレータロッドの光出口が所在する面に形成した光スポットは、長軸方向において均一に混光され、短軸方向において光均一化効果がよくない。従って、本実施形態において、コリメータ光学素子とインテグレータロッドとの間に角度分布制御素子を設置することにより、インテグレータロッドに入射する各2次レーザー光束の、光分布の短軸方向と長軸方向における発散角の比率は、0.7以上であるようになり、さらに、各2次レーザー光束の短軸方向における光均一化効果を向上させる。
【0040】
本実施形態において、角度分布制御素子は、柱面レンズアレイであってもよい。柱面レンズアレイを設置することによって、各柱面レンズが少なくとも1列の2次レーザー光束に合わせて、各1列の2次レーザー光束の進行方向は、いずれもこの柱面レンズの母線に平行している。なお、上記少なくとも1列の2次レーザー光束のうち、各2次レーザー光束の光分布の長軸方向は、いずれも互いに平行し、且つこの柱面レンズの母線に平行している。1つの柱面レンズを利用する場合と比べ、柱面レンズアレイを利用することで、各2次レーザー光束がその光分布の短軸方向における発散角の増大は大きく、さらに長軸方向における発散角に近づいている。但し、1つの柱面レンズのみを利用すると、実際の加工に便利である。
【0041】
本実施形態において、レーザー素子そのものからのレーザービームのコリメート程度がよい場合、コリメータレンズを省略してもよい。但し、注意すべきなのは、レーザー光源アレイにコリメータレンズアレイを省略した後、1次レーザー光束アレイにおいて各1次レーザー光束の長軸方向と短軸方向とが90度回転する。従って、相応的に、柱面レンズの設置位置も以上の実施形態に記載の位置に対し、レーザー光束アレイの光軸に直交している平面内に90度回転する必要がある。
【0042】
当然ながら、本実施形態において、角度分布制御素子35は、柱面レンズアレイではなく、光拡散シートであってもよい。且つその光拡散シートによって、2次レーザー光束の短軸方向における散乱程度は、当該2次レーザー光束の長軸方向における散乱程度より大きく、または、当該2次レーザー光束の短軸方向のみに対して散乱させて当該レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を0.7以上にする。
【0043】
例えば、その光拡散シートの表面の散乱構成は、相互に緊密に配列している複数の光透過可能なマイクロ構成であり、なお、各マイクロ構成は、柱面構成であり、各マイクロ構成の母線は、相互に平行し、且つ入射される2次レーザー光束の光分布の長軸方向に平行している。又は、柱状若しくは柱状の一部を成している光透過散乱構成を1つの透明ベース内に組み込んでもよい。なお、当該散乱構成および当該ベースには屈折率の差が存在し、且つ各散乱構成の母線は、相互に平行又は概ね平行していると共に、入射される2次レーザー光束の光分布の長軸方向に平行している。又は、当該光拡散シートは、DOE(Diffraction Optical Element、回折光学素子)であってもよい。DOE上の各ドットの位相に対して設計することにより、当該DOEによって入射される2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角のみを増大させ、又は入射される2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角の増大を長軸方向における発散角の増大より大きくする。
【0044】
本実施形態において、角度分布制御素子35は、マイクロレンズアレイであってもよく、そのマイクロレンズアレイにおいて複数の長方形レンズを相互に接合してなる。図3Dに示されるように、図3Dは、本発明のレーザー光源におけるマイクロレンズアレイの構成を示す模式図である。各マイクロレンズ351は、長方形であり、両方の辺の長さは、それぞれ、D1およびD2である。ただし、D1<D2。一束の平行光束がマイクロレンズアレイに入射した後、長方形の両方の辺に沿う方向における発散角が異なる一束の光束が形成され、長辺方向に沿う発散角と短辺方向に沿う発散角との比率は、約D2:D1である。従って、マイクロレンズアレイに入射される2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向は、各マイクロレンズの長辺方向に平行するようになり、各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角の増大程度は、長軸方向における発散角の増大程度より大きくなる。そして、各マイクロレンズの両方の辺長の比及びマイクロレンズの表面の曲率に対して設計することにより、当該マイクロレンズアレイから出射する2次レーザー光束アレイの光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を0.7以上にする。
【0045】
本実施形態において、角度分布制御素子とインテグレータロッドとは、一体成形されてもよい。例えば、インテグレータロッドについて、中実なものを利用して、光入口で柱面構成を形成し、または光入口で光拡散シートと同じような散乱構成を設置してもよい。
【0046】
以上の実施形態において、角度分布制御素子35は、いずれもコリメータ光学素子とインテグレータロッドとの間に設置されている。実際の応用には、角度分布制御素子35をレーザー光源アレイとインテグレータロッドとの間における光路の任意の位置に設置してもよい。レーザー光源アレイから出射されるレーザー光束アレイのうち、各レーザー光束の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を0.7以上にすれば、本発明の目的を達成できる。
【0047】
本実施形態において、コリメータ光学素子は、凹レンズである。実際の応用には、コリメータ光学素子は、凸レンズを使用してもよい。集光光学素子33と当該凸レンズの焦点とが重なれば、その効果は、凹レンズを使用する場合と同様であり、ただ光伝送方向の長さが増えただけで、システム全体を少し大きくする。さらに一般的に、集光光学素子およびコリメータ光学素子は、本実施形態において使用される凸レンズまたは凹レンズに限定されるものではなく、例えば集光光学素子は、1つまたは複数の反射鏡であってもよく、複数束のレーザー光束を集光させ、コリメータ光学素子は、フレネルレンズであってもよい。すなわち、同様な機能を実現できれば、すべてが本特許の保護範囲に含まれる。
【0048】
実施形態2
実施形態1において、レーザー光源アレイとインテグレータロッドとの間に角度分布制御素子を設置することによって各レーザー光束の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を大きくすることを実現した。しかしながら、レーザー光源アレイとインテグレータロッドとの間に角度分布制御素子を設置しなくてもよく、レーザー光源アレイにおけるコリメータレンズアレイによってこの目的を達成する。本実施形態において、当該コリメータレンズアレイは、角度分布制御素子に相当する。
【0049】
説明を明確にするために、以下に記載の「アスペクト比」は、楕円の長軸と短軸との比を指している。図4に示されるように、レーザー素子41がちょうどコリメータレンズ42の焦点に位置している場合、このとき、コリメータレンズ42は、その光軸の位置Aに位置しており、コリメータレンズ42から出射するレーザー光束が集光レンズ(図示せず)によって目標面に集光された光スポットは、細い長形の楕円aである。レーザー素子41がコリメータレンズ42の光軸においてその焦点とずれた位置に設置されているとき、例えばコリメータレンズ42をレーザー素子41に近い位置Bに設置したとき、コリメータレンズ42から出射するレーザーが集光レンズによって目標面に集光された光スポットは、楕円bであり、bのアスペクト比は、aのアスペクト比より小さい。コリメータレンズ42をレーザー素子41により近い位置Aに設置すれば、コリメータレンズ42から出射するレーザーが集光レンズによって目標面に集光された光スポットは、楕円cであり、cのアスペクト比は、bのアスペクト比より小さい。
【0050】
実験結果の統計および論理的な分析を行った上、発明者は、以下の原因を発見した。デフォーカスのとき、レーザー素子からの発光の光分布の長軸方向にもっとも外縁にある光線とコリメータレンズの光軸との距離の増加は、短軸方向にもっとも外縁にある光線と光軸との距離の増加より速く、且つ何倍も速い。図3Bから分かるように、レーザー素子からの発光の光分布の長軸方向は、当該レーザー素子の発光面の短辺に平行し、光分布の短軸方向は、当該レーザー素子の発光面の長辺に平行している。従って、コリメータレンズから出射した光束において、当該レーザー素子の発光面の短辺に平行している方向における発散角の増大の速度は、当該レーザー素子の発光面の長辺に平行している方向における発散角の増大の速度よりかなり速い。
【0051】
図3Cから分かるように、コリメータレンズから出射した光束において、当該レーザー素子の発光面の短辺に平行している方向は、その光束の光分布の短軸方向であり、当該レーザー素子の発光面の長辺に平行している方向は、その光束の光分布の長軸方向である。従って、即ちコリメータレンズから出射した光束において光分布の短軸方向における発散角の増大の速度は、長軸方向における発散角の増大の速度より速く、且つ何倍も速い。このように、目標面上の楕円光スポットの短軸は、長軸より速く増大するため、楕円光スポットのアスペクト比は変わる。
【0052】
従って、実施形態1と異なるのは、本実施形態において、各レーザー素子は、対応するコリメータレンズの光軸に位置し、当該コリメータレンズの焦点とずれており(以下はデフォーカスと称する)、焦点とずれた程度は、そのコリメータレンズから出射した1次レーザー光束の短軸方向における発散角とその長軸方向における発散角との比率を0.7以上にする。
【0053】
実施形態1において光拡散シート若しくは柱面レンズを利用すると、いずれも一定の光損失、特に光拡散シートの場合に一定の光損失が発生する。しかし、本実施形態において、デフォーカスを利用すると、光損失を小さくし、効率をさらに向上させることができる。
【0054】
好ましくは、コリメータレンズの位置を理想的なコリメート位置(即ちレーザー素子をコリメータレンズの焦点に位置させる)からレーザー素子の方向へ移動させ、つまり、レーザー素子と対応するコリメータレンズとの距離を当該コリメータレンズの焦点距離より短くし、このときのコリメータレンズによる集光の角度はより大きく、光利用率は高い。コリメータレンズから出射した光束の発散角が大きくなりすぎることを避けるために、デフォーカスの距離が大きすぎることは好ましくない。好ましくは、デフォーカス後のコリメータレンズの位置と理想的なコリメート位置との間の距離は、0.05mm以下である。
【0055】
実際の応用には、実施形態1および実施形態2に記載の方法を組み合わせてもよく、即ちレーザー光源アレイにおいて各レーザー素子をその対応するコリメータレンズとデフォーカスさせると共に、レーザー光源アレイとインテグレータロッドとの間に角度分布制御素子を設置することにより、各レーザー光束がインテグレータロッドに入射するとき短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を0.7以上にする。
【0056】
実施形態3
以上の実施形態において、何れもインテグレータロッドの前の光路において各レーザー光束に対して整形を行うことにより、本発明の目的を達成する。しかしながら、インテグレータロッドの設置によって、短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率が小さいレーザー光束がインテグレータロッドを通過した後でも、上記2つの方向においていずれも均一な光を得られるようにする。以下、具体的に説明する。
【0057】
図5に示されるように、図5は本発明のレーザー光源のもう1つの実施形態の構成を示す模式図である。レーザー光源500は、レーザー光源アレイと、集光光学素子53と、コリメータ光学素子54と、インテグレータロッド56とを含む。
【0058】
以上の実施形態と異なるのは、以下のとおりである。
【0059】
本実施形態において、レーザー光源アレイは、1対1で対応するレーザー素子アレイ51およびコリメータレンズアレイ52を含み、コリメートされる1次レーザー光束アレイを発生させるためのものであり、そのうち、各レーザー素子は、その対応するコリメータレンズとデフォーカスしない。当然ながら、レーザー素子自身から発射したレーザービームのコリメート程度が良好な場合には、コリメータレンズアレイを利用しなくてもよい。
【0060】
1次レーザー光束アレイは、集光光学素子53により順次に集光され、コリメータ光学素子54によりコリメートされた後に、2次レーザー光束アレイが形成され、インテグレータロッド56まで直接的に入射する。
【0061】
図6に示されるように、図6は、図5に示されるレーザー光源におけるインテグレータロッドの斜視図である。インテグレータロッド56の光入口561の面積は、光出口562の面積より大きい。本実施形態において、光入口561および光出口562は、いずれも矩形を成している。好ましくは、後続の光路上の光変調装置における光バルブの形状に合わせるように、光出口562の長辺と短辺との比率は、16/9または4/3である。
【0062】
本実施形態において、光入口561の長辺561aは、第1の辺であり、短辺561bは、第2の辺である。光出口562の長辺562aは、第1の辺であり、短辺562bは、第2の辺である。光入口の長辺561aは、光出口の長辺562aに平行し、且つ光入口の第1の辺561aの長さと光出口の第1の辺562aの長さとの比率は、光入口の第2の辺561bの長さと光出口の第2の辺562bの長さとの比率より小さい。
【0063】
2次レーザー光束アレイがインテグレータロッド56の光入口561に入射するとき、各2次レーザー光束の長軸方向は、いずれも光入口561の第1の辺561aに平行しており、このように、各2次レーザー光束の短軸方向は、いずれも光入口561の第2の辺561bに平行または概ね平行している。インテグレータロッドの光入口の第1の辺561aの長さと光出口の第1の辺562aの長さとの比率は、光入口の第2の辺561bの長さと光出口の第2の辺562bの長さとの比率より小さい。従って、当該レーザー光束の短軸方向における光束がインテグレータロッド内に反射される回数は、長軸方向における光束より多く、2次レーザー光束アレイが光均一棒を通過した後の短軸方向における均一性を向上させる。
【0064】
本実施形態において、2次レーザー光束の光分布の長軸方向における発散角を大きくすることを避けるために、インテグレータロッドの光入口の第1の辺561aの長さと光出口の第1の辺562aの長さとの比率は、1であることが好ましい。
【0065】
好ましくは、より多くの2次レーザー光束をカップリングできるようにするため、インテグレータロッドの光入口561は、方形を成している。
【0066】
本実施形態において、実施形態1に記載の角度分布制御素子の利用および/または実施形態2に記載のデフォーカスを組み合わせることもでき、インテグレータロッドに入射する2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を大きくすることにより、インテグレータロッドによる光均一化後のレーザー光束の均一程度をさらに向上させる。容易に理解できるのは、本実施形態に記載のインテグレータロッドを利用すると同時に、角度分布制御素子および/またはレーザー素子をコリメータレンズとデフォーカスさせる方法を利用して、レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率を大きくするとき、この比率は、実施形態1および実施形態2に記載されるように厳しくはなくてもよい、この比率は、0.7より小さくてもよい。角度分布制御素子が設置されない場合および/またはデフォーカスを利用しない場合、インテグレータロッドに入射する2次レーザー光束アレイにおける各2次レーザー光束の光分布の短軸方向における発散角と長軸方向における発散角との比率より大きければよい。
【0067】
本明細書における各実施形態について、累進の形式で説明をした。各実施形態については、他の実施形態との違いを中心に説明したが、各実施形態における同様または類似の部分について、互いに参照すればよい。
【0068】
本発明の実施形態によれば、波長変換光源を提供する。当該波長変換光源は、レーザー光源を有し、当該レーザー光源は、上記各実施形態に記載の構成及び機能を有することができる。当該波長変換光源は、レーザー光源からの光を受容して被励起光を発射するための波長変換装置をさらに備える。
【0069】
本発明の実施形態によれば、さらに合成光源を提供する。当該合成光源は、レーザー光源を備え、当該レーザー光源は、上記各実施形態における構成及び機能を有することができる。当該合成光源は、波長変換光源をさらに備える。当該波長変換光源は、励起光源および波長変換装置を備え、その波長変換装置は、その励起光源からの励起光を吸収して被励起光を発射するためのものである。当該合成光源は、光合成装置をさらに備える。当該レーザー光源から発射される光と当該波長変換光源から発射される被励起光は、それぞれ異なる方向から光合成装置に入射して、光合成装置によって一束の光に光合成され、出射する。
【0070】
本発明の実施形態によれば、投影システムをさらに提供する。当該投影システムは、上記合成光源を備え、空間光変調装置をさらに備え、当該空間光変調装置は、当該合成光源からの光束を受容すると共に変調を行うためのものである。当該投影システムにおいて、各種の投影技術を採用することができ、例えば液晶ディスプレイ(LCD,Liquid Crystal Display)投影技術、デジタルライトプロセッサ(DLP,Digital Light Processor)投影技術が挙げられる。なお、上記合成光源は、照明システムにおいて応用することもでき、例えば、舞台灯照明が挙げられる。
【0071】
上述したのは、本発明の実施形態であり、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面の内容を用いて実現した等価構成又は等価変換フロー、又は他の関連する技術分野における直接又は間接運用は、全て同様に本発明の特許保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6