(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1柱状電極は、複数の構成部材を備え、前記複数の構成部材のうち、前記半導体デバイスの近傍の構成部材は、前記第1電極材料を備え、前記半導体デバイスの上側の構成部材は、前記第2電極材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1柱状電極は、複数の層電極を備え、前記複数の層電極のうち、前記半導体デバイスの近傍の層電極は、前記第1電極材料を備え、前記半導体デバイスの上側の層電極は、前記第2電極材料を備えることを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記セラミック基板はSiNを有して形成され、前記第1柱状電極は前記セラミック基板の反りを低減するように作用することを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1柱状電極は、逆台形形状、逆テーパー形状、若しくは逆ステップテーパー形状のいずれかを備えることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1半導体デバイスは表面上にソースパッド電極を備え、前記第1柱状電極と前記ソースパッド電極とは、融点が半田よりも高い金属により接合されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1パターン上に前記第1半導体デバイスに隣接して配置された第1ダイオードを備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1柱状電極上に配置され、かつ前記第1ダイオードのアノード電極に接続された第1上面板電極を備えることを特徴とする請求項14に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1銅プレート層の第2パターン上に配置された第2半導体デバイスを備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第2半導体デバイス上に配置され、前記第2半導体デバイスから離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる第2柱状電極上に配置され、かつ前記第2ダイオードのアノード電極に接続された第2上面板電極を備えることを特徴とする請求項18に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1パターンはドレイン端子電極に接続され、前記第2パターンは出力端子電極に接続され、前記第3パターンは、接地電位端子電極に接続されることを特徴とする請求項23に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1半導体デバイスは、裏面上にドレイン電極を備え、前記ドレイン電極と前記セラミック基板の表面上に配置された前記第1銅プレート層の間がドレイン固相拡散接合層を介して、融点が半田よりも高い金属により固相拡散接合されることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記セラミック基板を搭載するヒートシンクをさらに備え、前記セラミック基板の裏面上に配置された前記第2銅プレート層と前記ヒートシンクの間が、半田層を介して接合されることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記セラミック基板の表面上に配置され、前記第1半導体デバイスを駆動するゲートドライバを備えることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記ゲートドライバのパッケージ材は、線熱膨張係数調整用のエポキシ系樹脂もしくはシリコーン系樹脂で形成されたことを特徴とする請求項27に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1柱状電極および前記第2柱状電極は、いずれも、融点が半田よりも高い金属により接合される複数の層電極から形成されていることを特徴とする請求項30または31に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1柱状電極および前記第2柱状電極は、いずれも、融点が半田よりも高い金属により接合される複数の層電極から形成されていることを特徴とする請求項34または35に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記第1柱状電極は、逆台形形状、逆テーパー形状、若しくは逆ステップテーパー形状のいずれかを備え、前記第2柱状電極は、台形形状、テーパー形状、若しくはステップテーパー形状のいずれかを備えることを特徴とする請求項34または35に記載のパワーモジュール半導体装置。
前記半導体デバイスには、SiC系、GaN系、若しくはAlN系のいずれかのパワーデバイスであることを特徴とする請求項1〜37のいずれか1項に記載のパワーモジュール半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0024】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
[第1の実施の形態]
(パワーモジュール半導体装置の構成)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的平面パターン構成は、
図1に示すように表され、
図1のI−I線に沿う模式的断面構造は、
図2(a)に示すように表され、
図1のI−I線に沿う第1の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置の模式的断面構造は、
図2(b)に示すように表され、
図1のI−I線に沿う第1の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置の模式的断面構造は、
図2(c)に示すように表される。また、
図1〜
図2に対応するインバータの模式的回路構成は、
図3に示すように表される。
【0026】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1、
図2(a)および
図3に示すように、セラミック基板10と、セラミック基板10の表面上に配置された第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)と、第1パターンD(K1)上に配置された第1半導体デバイスQ1と、第1半導体デバイスQ1上に配置され、第1半導体デバイスQ1から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる第1柱状電極20
1とを備える。
【0027】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、半導体デバイスQ1・Q4は、例えば、SiCMOSトランジスタで形成され、ダイオードD1・4は、例えば、SiCショットキーバリアダイオード(SBD:Scottky Barrier Diode)で形成されている。
【0028】
また、第1柱状電極20
1は、複数の構成部材を備えていても良い。
【0029】
第1柱状電極20
1は、
図2(a)に示すように、複数の層電極を備える。ここで、複数の層電極は、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0030】
例えば、第1柱状電極20
1は、半導体デバイスQ1の近傍は、相対的に線熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)の低い第1電極材料、半導体デバイスQ1の上側では相対的に高熱伝導率で高電気伝導率の第2電極材料を備えていても良い。例えば、低CTEの第1電極材料はCuMo、高熱伝導率で高電気伝導率の第2電極材料はCuで形成可能である。
【0031】
また、第1柱状電極20
1は、半導体デバイスQ1の近傍は、CuMoのMoの含有量が相対的に多く、半導体デバイスQ1の上側ではCuMoのMoの含有量が相対的に低い電極材料で形成可能である。Moの含有量を調整する方法としては、Moコンパウンドの含有量を調整することで達成可能である。また、Moの含有量を相対的に徐々に変化させても良い。
【0032】
一方、第1柱状電極20
1は、均質の複数の構成部材を備えていても良い。すなわち、第1柱状電極20
1は、均質の複数層の層電極を備えていても良い。しかも均質の複数層の層電極は、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0033】
また、
図2(b)、
図2(c)さらに後述する
図7〜
図9に示すように、第1柱状電極20
1は、一体成型された形状を備えていても良い。この場合、一体成型された形状を備える第1柱状電極20
1の角部分は、R面若しくはC面加工された曲面形状を有していても良い。このような一体成型された形状を備える第1柱状電極20
1は、例えば、型押し加工によって形成可能である。
【0034】
また、第1柱状電極20
1は、
図2(b)、
図2(c)さらに後述する
図7〜
図9に示すように、逆台形形状、逆テーパー形状、若しくは逆ステップテーパー形状のいずれかを備えていても良い。
【0035】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1半導体デバイスQ1は表面上にソースパッド電極SPを備え、第1柱状電極20
1は、ソースパッド電極SPと固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0036】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図2に示すように、第1樹脂層12uと、第2銅プレート層10bと、第2樹脂層12dとを備える。ここで、第1樹脂層12uは、セラミック基板10の表面上に、第1銅プレート層10a、第1半導体デバイスQ1および第1柱状電極20
1を被覆して配置されている。第2銅プレート層10bは、セラミック基板10の裏面上に配置されている。第2樹脂層12dは、セラミック基板10の裏面上に配置されている。
【0037】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1パターンD(K1)上に第1半導体デバイスQ1に隣接して配置された第1ダイオードD1を備えていても良い。
【0038】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1柱状電極20
1上に配置され、かつ第1ダイオードD1のアノード電極A1に接続された第1上面板電極22
1を備えていても良い。ここで、アノード電極A1は、図示は省略されているが、第1ダイオードD1上に第1柱状電極20
1と同様に柱状電極構造で形成されており、第1柱状電極20
1と面一になるように柱の高さが調整されている。
【0039】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1銅プレート層10aの第2パターンD(K4)上に配置された第2半導体デバイスQ4を備えていても良い。
【0040】
ここで、第1柱状電極20
1と第1上面板電極22
1は、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0041】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第2パターンD(K4)上に第2半導体デバイスQ4に隣接して配置された第2ダイオードD4を備えていても良い。
【0042】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第2半導体デバイスQ4上に配置され、第2半導体デバイスQ4から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる第2柱状電極20
4を備えていても良い。
【0043】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第2柱状電極20
4上に配置され、かつ第2ダイオードD4のアノード電極A4に接続された第2上面板電極22
4を備えていても良い。ここで、アノード電極A4は、図示は省略されているが、第2ダイオードD4上に第1柱状電極20
4と同様に柱状電極構造で形成されており、第2柱状電極20
4と面一になるように柱の高さが調整されている。
【0044】
ここで、第2柱状電極20
4と第2上面板電極22
4は、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0045】
、第2パターンD(K4)上に配置され、配線兼CTE調整用の第3柱状電極18
1を備えていても良い。
【0046】
ここで、第1上面板電極22
1は、第3柱状電極18
1に接続されている。第1上面板電極22
1は、
図2に示すように、第1柱状電極20
1と面一になるように柱の高さが調整されている。
【0047】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1銅プレート層10aの第3パターンEP上に配置され、配線兼CTE調整用の第4柱状電極18
4を備えていても良い。
【0048】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図1〜
図3に示すように、第1パターンD(K1)はドレイン端子電極Pに接続され、第2パターンD(K4)は出力端子電極Oに接続され、第3パターンEPは、接地電位端子電極Nに接続される。
【0049】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1半導体デバイスQ1は、裏面上にドレイン電極36
1を備え、ドレイン電極36
1とセラミック基板10の表面上に配置された第1銅プレート層10aの間がドレイン固相拡散接合層SCD(
図7〜
図9参照)を介して固相拡散接合されていても良い。
【0050】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、後述する
図12(a)に示すように、セラミック基板10を搭載するヒートシンク200をさらに備え、セラミック基板10の裏面上に配置された第2銅プレート層10bとヒートシンク200の間が、半田層200cを介して接合されていても良い。また、後述する
図12(b)に示すように、モジュールの外側をネジ止めによってヒートシンク200に固定し、第2銅プレート層10bとヒートシンク200との隙間を熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。ここで、セラミック基板10の裏面上に配置された第2銅プレート層10bは、ヒートスプレッダと呼ばれる。また、ネジは、モジュールの外側の樹脂の部分を押さえるので、
図12(b)には示されていない。
【0051】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1樹脂層12uの厚さは、第2樹脂層12dの厚さよりも厚く形成されていても良い。
【0052】
また、セラミック基板10の表面上に配置された部材の線熱膨張係数CTEuは、セラミック基板10の裏面上に配置された部材の線熱膨張係数CTEdよりも低く形成されていても良い。セラミック基板10の表面上に配置された部材の発生応力と、セラミック基板10の裏面上に配置された部材の発生応力がバランスするように、セラミック基板10の表面上に配置された部材と裏面上に配置された部材のCTEを調整するためである。
【0053】
例えば、セラミック基板10は、SiN、AlSiN、若しくは少なくとも表面が絶縁性のSiCなどで形成されていても良い。
【0054】
また、第1柱状電極20
1は、CuMo、Cuなどで形成されていても良い。
【0055】
また、第1上面板電極22
1は、CuMo、Cuなどで形成されていても良い。
【0056】
また、第2柱状電極20
4は、CuMo、Cuなどで形成されていても良い。
【0057】
また、第1樹脂層12uおよび第2樹脂層12dは、トランスファーモールド樹脂で形成されていても良い。第1樹脂層12uおよび第2樹脂層12dは、エポキシ系樹脂若しくはシリコーン系樹脂で形成されていても良い。
【0058】
特に、第1樹脂層12uおよび第2樹脂層12dとして、シリコーン系樹脂を適用する場合には、第1柱状電極20
1・第1上面板電極22
1・第2柱状電極20
4には、コスト面および電気抵抗率の面から、Cuなどを適用しても良い。
【0059】
CTEの値が同等である同じ大きさの材料を比較すると、発生応力は、ヤング率の値が大きい材料の方が大きくなる。このため、ヤング率×CTEの数値が、より小さい材料を選定することによって、発生応力の値の小さな部材を達成することができる。このような理由から、CuMoが、適している。また、CuMoは、Cuには劣るが、電気抵抗率も相対的に低い。
【0060】
上面板電極22
1・22
4部分は、CTEの値が相対的に小さい電極材料、例えば、CuMo、Cuなどで形成されていても良い。
【0061】
第1柱状電極20
1・第2柱状電極20
4部分は、CTEの値が相対的に小さい電極材料、例えば、CuMo、Cuなどで形成されていても良い。
【0062】
ここで、表面に露出した上面板電極22
1・22
4間の表面に沿った離隔距離は、沿面距離と呼ばれる。沿面距離の値は、例えば、約6mmである。
【0063】
パワーモジュール半導体装置1の小型・軽量化のための第1の手段として、SiCパワーMOSFETを使用して、チップを小型化することができる。SiCパワーMOSFETでは、規格化オン抵抗がSiパワーMOSFETの約1/10である。このため、同じオン抵抗を有するデバイスを比較すると、SiCパワーMOSFETのチップ面積は、SiパワーMOSFETの約1/10となる。
【0064】
パワーモジュール半導体装置1の小型・軽量化のための第2の手段として、セラミック基板の薄型化を図ることができる。一般に使用されているセラミック基板としてAlNでは、曲げ強度が小さく、薄くすると割れてしまう。したがって、セラミック基板としてSiNを使用することが望ましい。SiNのメリットとして、曲げ強度が大きく、薄くしても割れにくいという特徴がある。一方、デメリットとして、SiNは熱伝導率がAlNよりも悪く、CTEがAlNよりも大きい。ここで、具体的な数値例をあげると、AlNの曲げ強度は、約400GPaであるのに対して、SiNの曲げ強度は、約850GPaである。一方、SiNの熱伝導率は、約35W/mKであるのに対して、AlNの熱伝導率は、約170W/mKである。また、SiNのCTEは、約850ppm/℃であるのに対して、AlNのCTEは、約5.7ppm/℃である。
【0065】
以上より、SiCパワーMOSFETをSiN系セラミック基板上に実装することによって、パワーモジュール半導体装置1の小型化を実現可能であるが、SiNのCTEが大きいために、パワーモジュールの反り量が抑制する必要がある。
【0066】
また、特に、SiCパワーMOSFETを使用する際、熱抵抗R
thの増加を抑制する必要がある。この点を以下に説明する。ここで、熱抵抗R
thは、以下の(1)式で表される。
【0067】
R
th=Σ(各部材の熱抵抗R
n)=Σ(各部材の熱抵抗率×厚さ/面積) …(1)
ここで、熱抵抗率は、熱伝導率χの逆数1/χで表される。例えば、Siの熱伝導率χは、約150W/mKであり、SiCの熱伝導率χは、約450W/mKである。SiCの熱伝導率χは、Siに比べて3倍であるため、熱抵抗率は1/3となるが、同じオン抵抗を有するデバイスを比較するために、SiCパワーMOSFETのチップ面積を、SiパワーMOSFETの約1/10とすると、熱抵抗R
thは、(10/3)倍となり、SiCを半導体材料として使用すると、SiCパワー半導体モジュールの熱抵抗R
thは増大する。一方、SiCは、高温動作可能であるため、熱抵抗R
thが増大したとしても使用可能ではあるが、熱破壊の限界は存在する。
【0068】
よって、SiCパワー半導体モジュールに適用する基板の薄型化などにより、SiCパワー半導体モジュール全体の熱抵抗R
thの低減を図ることが望ましい。SiCパワーMOSFETを使用する際、熱抵抗R
thの増加を抑制する必要があるからである。
【0069】
モジュール反り量の低減のための第1の方策として、セラミック基板材料としてCTEの低いものを選択するか、或いはセラミック基板の厚さを増加して同じ応力に対する変位量を低減することが可能である。しかしながら、例えば、セラミック材料としてAlNを使用すると、曲げ強度が小さく、薄くすると割れてしまう。
【0070】
モジュール反り量の第2の方策として、セラミック基板の上面側および下面側に配置される部材による発生応力のバランスを取ることが望ましい。すなわち、セラミック基板の上面側および下面側に配置される部材のCTEのバランスを取ることが可能である。ここで、セラミック基板の下面側に配置される部材の厚さを厚く形成すると、パワー半導体モジュールの熱抵抗R
thが増加するため、得策ではない。
【0071】
そこで、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、セラミック基板10の上面側に配置される第1部材として、CTEの低い材料を適用することによって、結果として、セラミック基板10の上面側に配置される第1部材のCTEを低減している。セラミック基板10の上面側に配置される第1部材の対象としては、金属柱・上面板、配線兼CTE調整用のCTE調整部材、CTEの調整用のためにのみ配置されるCTEダミー部材などである。ここで、金属柱・上面板、配線兼CTE調整用のCTE調整部材の材料としては、例えば、CuMo、Cuなどを適用可能である。また、CTEの調整のためにのみ配置されるCTEダミー部材としては、例えば、異なるCTEの値を有するエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などの配置構造、或いは異なるCTEの値を有する金属柱の延長・追加構造などである。ここで、金属柱の延長・追加構造の材料としては、例えば、CuMo、Cuなどを適用可能である。また、例えば、エポキシ系樹脂のCTEの値CTE(E)とシリコーン系樹脂のCTEの値CTE(S)を比較すると、CTE(E)<CTE(S)である。具体的な数値例は、CTE(E)は、約12ppm/℃であり、CTE(S)は、約44ppm/℃である。また、例えば、ガラス繊維材料を添加することによって、シリコーン系樹脂のCTEの値CTE(S)を調整することも可能である。
【0072】
さらに、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、柱構造を有するSiCパワーモジュール(トランスファーモールド型またはケース型)の半導体チップ上に配置された柱について、柱が複数の構成部材からなり、半導体チップから離隔した部材ほど面積が大きいため、熱抵抗を改善し、熱放散の点で良好となる。
【0073】
半導体デバイス100のソースパッド電極SP上に配置された柱状電極20は、柱状電極20がソースパッド電極SPと接する面積S
CHIPよりも逆側が大きい面積S
Dを備え、S
CHIP<S
Dが成立する。
【0074】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1によれば、半導体デバイス100の上面側の熱抵抗を低減することができる。一般的に、熱の伝達は、発熱体の面積から角度45°で広がりながら進むため、半導体デバイス100上の柱状電極20を、例えば、逆台形形状、逆テーパー形状、逆ステップテーパー形状にしておくことで、放熱に寄与できる面積を稼ぐことができる。
【0075】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1によれば、定格電流の値を向上させることができる。SiCパワーモジュールの定格電流は、許容損失によって制限されるため、発熱による温度上昇が抑えられることで、より大電流の導通を許容することができる。
【0076】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1によれば、今後更なる半導体デバイスの小チップ化に対しても対応することができる。デッドスペースであった高さ方向を利用しての熱抵抗改善技術であり、半導体デバイスがさらに小さくなっても、横方向熱拡がりの大きい部材を採用するなどの応用で、即時技術導入が可能である。
【0077】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1によれば、異なる材料で柱状電極を構成し、例えば、半導体デバイスの近傍は低CTEの電極材料・半導体デバイスの上側では高熱伝導率・高電気伝導率の電極材料を選定することによって、パワーモジュール半導体装置1の反り量を抑制し、高耐熱特性、低オン抵抗特性を実現することができる。ここで、低CTEの電極材料としては、例えば、CuMo、高熱伝導率・高電気伝導率の電極材料としては、例えば、Cuを選択可能である。
【0078】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1によれば、異種の材料を組み合わせて柱状電極を構成することによって、熱抵抗・電気抵抗の低減、発生応力の調整をすることができる。
【0079】
逆テーパー形状若しくは逆ステップテーパーの柱状電極構造は、型抜きで形成することは難しく、主としてワイヤカット技術を用いて形成可能である。したがって、量産化には適していない。
【0080】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、柱状電極を層電極の積層構造によって形成するには、材料同士を固相拡散接合技術を用いて接合すれば、接合剤による特性悪化を除くことができる。この場合、固相拡散接合技術に適した表面処理(表面メッキ)などをしていることも必要である。
【0081】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、半導体デバイスは、マルチチップ構成を採用していても良い。すなわち、例えば、約5mm角の半導体デバイスチップを電流容量に応じて、複数個配置しても良い。
【0082】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に搭載する半導体デバイス100の模式的平面パターン構成は、
図4に示すように表され、模式的鳥瞰構造は、
図5に示すように表され、
図4のII−II線に沿う模式的断面構造は、
図6に示すように表される。ここで、ソースコネクタ20とソースパッド電極SPは、固相拡散接合される。
【0083】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に搭載する半導体デバイス100は、
図4〜
図6に示すように、半導体基板26と、半導体基板26の表面に形成された層間絶縁膜44上に配置されたゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPと、ソースパッド電極SP上にソース固相拡散接合層SCSを介して配置されたソースコネクタ20と、半導体基板26の裏面に形成されたドレイン領域24上に配置されたドレイン電極36とを備える。ソースコネクタ20は、層電極20a・20b・20cの積層構造を備え、かつ逆ステップテーパー形状を有する。半導体デバイス100の詳細構造は、
図14〜
図15において詳述するため、
図5においては、詳細構造は図示を省略している。
【0084】
図4において、ソースパッド電極SPの表面上には、銀(Ag)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)などを形成しても良い。すなわち、半導体デバイス100の表面には、ソースパッド電極SP上に、Ag、Au、Ti、Niなどからなる金属層を、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術などを用いて形成し、ソースコネクタ20との間で、固相拡散接合層SCSを形成しても良い。
【0085】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1を搭載する基板は、後述する
図7〜
図12に示すように、セラミック基板10と、セラミック基板10上に配置された銅プレート層10a・10bを備える。
【0086】
第1の実施の形態の変形例1〜変形例3に係るパワーモジュール半導体装置1の半導体デバイスQ1部分の拡大された模式的断面構造は、それぞれ
図7〜
図9に示すように表される。
図7の例では、ソースコネクタ20が逆台形形状を有し、
図8の例では、ソースコネクタ20が逆テーパー形状を有し、
図9の例では、逆ステップテーパー形状を有する。
【0087】
図7〜
図9において、セラミック基板10上に配置された銅プレート層10aと半導体デバイスQ1のドレイン電極36
1間は、ドレイン固相拡散接合層SCDを介して固相拡散接合される。半導体デバイスQ1のソースパッド電極SP1とソースコネクタ20間は、ソース固相拡散接合層SCSを介して固相拡散接合される。ソースコネクタ20と上面板電極22間は、固相拡散接合層SCnを介して固相拡散接合される。
【0088】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の半導体デバイスQ1部分の拡大された模式的断面構造は、
図10に示すように表され、
図10のさらに詳細な模式的断面構造は、
図11に示すように表される。
図10のさらに詳細な模式的断面構造であり、かつヒートシンク200上に搭載した模式的断面構造は、
図12(a)に示すように表され、ヒートシンク200とヒートスプレッダ10bの隙間を熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めた構造例は、
図12(b)に示すように表される。
【0089】
図10〜
図12に示すように、ソースコネクタ20は、複数の層電極20a・20b・20cを備える。ここで、複数の層電極20a・20b・20cは、固相拡散接合層SC1・SC2を介して互いに固相拡散接合されている。
【0090】
例えば、複数の層電極20a・20b・20cは、半導体デバイスQ1の近傍は、相対的にCTEの低い第1電極材料、半導体デバイスQ1の上側では相対的に高熱伝導率で高電気伝導率の第2電極材料を備えていても良い。例えば、低CTEの第1電極材料はCuMo、高熱伝導率で高電気伝導率の第2電極材料はCuで形成可能である。したがって、例えば、層電極20a・20bをCuMo、層電極20cをCuで形成しても良い。あるいは、層電極20aをCuMo、層電極20b・20cをCuで形成しても良い。
【0091】
また、複数の層電極20a・20b・20cは、均質の構成部材を備えていても良い。例えば、層電極20a・20b・20cをCuMoで形成しても良い。
【0092】
また、
図10〜
図12に示すように、セラミック基板10上に配置された銅プレート層10aと半導体デバイスQ1のドレイン電極36
1間は、ドレイン固相拡散接合層SCDを介して固相拡散接合される。半導体デバイスQ1のソースパッド電極SP1と層電極20a間は、ソース固相拡散接合層SCSを介して固相拡散接合される。層電極20cと上面板電極22間は、固相拡散接合層SCnを介して固相拡散接合される。
【0093】
また、
図12(a)に示すように、セラミック基板10上に配置された銅プレート層10bとヒートシンク200間は、半田層200cを介して接合される。詳細には、ヒートシンク200の表面・裏面には、金属層200a・200bが配置されており、この金属層200aと銅プレート層10b(ヒートスプレッダ)とが、半田層200cを介して接合される。
【0094】
また、
図12(b)に示すように、モジュールの外側をネジ止めによってヒートシンク200に固定し、第2銅プレート層10bとヒートシンク200との隙間を熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。ネジは、モジュールの外側の樹脂の部分を押さえるので、
図12(b)には示されていない。
【0095】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の柱状電極構造例であって、
各層電極20a・20b・20cが、中心線Cより左側にせり出して配置された構造例は、
図13(a)に示すように表され、中心線C上にバランスして配置された構造例は、
図13(b)に示すように表され、中心線Cより右側にせり出して配置された構造例は、
図13(c)に示すように表され、中心線Cより右側にせり出して配置された別の構造例は、
図13(d)に示すように表される。このように、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、柱状電極を構成する層電極は、中心線C上にバランスして配置されていても、あるいはバランスして配置されていなくても良い。ただし、均等な加圧条件を得る上では、中心線C上にバランスして配置された構造例が望ましい。
【0096】
以上の説明において、一部若しくはすべての固相拡散接合層を同時に形成しても良い。また、一部若しくはすべての固相拡散接合層を同時に形成しても良い。すべての固相拡散接合層を同時に形成する際には、加熱工程と同時に加圧する。
【0097】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、半導体デバイス100のソースパッド電極SP、ドレイン電極36に固相拡散技術による固相拡散接合を形成する。
【0098】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、ゲートパッド電極GP上には、ゲートボンディングワイヤGW1・GW4などを形成するが、ゲートパッド電極GP上にも柱状電極構造のゲートコネクタを配置し、ゲートパッド電極GPとゲートコネクタとの間を固相拡散接合しても良い。
【0099】
ソース固相拡散接合層SCSおよびドレイン固相拡散接合層SCDは、Ag、Au、Ti、若しくはNiの組み合わせから選択されるいずれか単数若しくは複数の金属同士の固相拡散接合によって形成可能である。ここで、Ag、Au、Ti、若しくはNiの組み合わせから選択されるいずれか単数若しくは複数の金属は、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成可能である。
【0100】
また、ソースコネクタ20
1・20
4は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銅モリブデン(CuMo)合金、銅タングステン(CuW)合金、若しくはAl-SiCのいずれかで形成可能である。
【0101】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ソース固相拡散接合層SCS・ドレイン固相拡散接合層SCD・固相拡散接合層SC1・SC2・SCnなどを形成する際に、接合部に加圧する圧力は、約1MPa以上約100MPa以下であり、加熱温度は、約200℃以上約350℃以下であることが望ましい。
【0102】
(パワーモジュール半導体装置の製造方法)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法は、
図6に示すように、ソースコネクタ20とソースパッド電極SPを固相拡散接合して、ソース固相拡散接合層SCSを形成する工程を有する。
【0103】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法は、
図7〜
図9、
図11〜
図12に示すように、セラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10aとドレイン電極36を固相拡散接合して、ドレイン固相拡散接合層SCDを形成する工程を有していても良い。
【0104】
また、ドレイン固相拡散接合層SCDを形成する工程と、ソース固相拡散接合層SCSを形成する工程は、同時に実施しても良い。
【0105】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法は、
図12(a)に示すように、セラミック基板10の裏面上に配置された銅プレート層10b(ヒートスプレッダ)とヒートシンク200とを半田層200cを介して接合する工程を有していても良い。また、
図12(b)に示すように、モジュールの外側をネジ止めによってヒートシンク200に固定し、第2銅プレート層10bとヒートシンク200との隙間を熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋める工程を有していても良い。
【0106】
(ドレイン固相拡散接合)
半導体デバイス100のドレイン側表面上にAg、Au、Ti、Niなどを、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成する。例えば、ドレイン領域24に対して順次Ti/Ni/Au/Agが積層されたドレイン電極36の構造を形成しても良い。
【0107】
また、セラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10a上に、Ag、Au、Ti、Niなどを、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成する。
【0108】
半導体デバイス100のドレイン側表面上に形成されたTi/Ni/Au/Agと、セラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10a上に形成されたAg、Au、Ti、Niなどを接触させる。組み合わせは、基本的にはどのような組み合わせでも接合は可能である。また、基本的には半田などの接合材料は必要としないが、半導体デバイス100のドレイン側表面が粗い場合には、Agなどの半田や金属で構成されたインサート金属を半導体デバイス100のドレイン側表面上とセラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10aとの間に配置し、表面の接触を促進しても良い。
【0109】
この状態で、半導体デバイス100の上部およびセラミック基板10の下部から圧力を印加する。この圧力の値は、例えば、約1MPa以上約100MPa以下である。この圧力を印加する理由は、半導体デバイス100のドレイン側表面とセラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10aの接触を促進させるためである。接触が行われる過程でさらに圧力をかけ続けることで、それぞれの表面は塑性変形を起こし、接触面が界面に変化していく。このプロセス時には、圧力と同様に熱も与えている。この加熱温度は、約200℃〜約350℃である。この加熱工程によって、新しく接合面に形成された界面で起こる原子拡散を助長して、最終的には界面も消え、きれいな接合面が形成される。
【0110】
加熱温度(約200℃〜約350℃)の保持時間は約20分であり、加熱温度から常温までの冷却時間および常温から加熱温度まで昇温時間は合わせて約20分〜約40分であり、全体のプロセス時間としては、約1時間以内である。
【0111】
(ソース固相拡散接合)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法においては、まず
図5に示すように、ソースパッド電極SPに接合させるためのソースコネクタ20を用意する。ソースコネクタ20の材料は、基本的には、電気伝導度、熱伝導度の高い材料、さらに搭載する半導体デバイス100と熱膨張係数の近い材料が選択される。例えば、電気伝導度、熱伝導度の高い材料としては、Al、Cuなどの材料を選択可能である。或いは、搭載する半導体デバイス100と熱膨張係数の近い材料の観点からは、CuMoやCuW、さらにAl-SiCなどの材料を選択可能である。ソースコネクタ20の材料の表面上には、AgやAu、さらにTiやNiを、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成しても良い。
【0112】
ここで、金属層の材料は、これらに固体拡散接合するソースコネクタ20の材料によって変更可能である。例えば、ソースコネクタ20をAgめっき層で被覆する場合には、ソースパッド電極SP上は、Agからなる金属層をめっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成して、Ag同士で固相拡散接合を容易にすることも可能である。
【0113】
また、ソースパッド電極SPがAlで形成されている場合には、Alの酸化を防止するために、ソースコネクタ20にはNiめっきを行うと良い。Alは非常に柔らかい金属であるため、固相拡散接合工程において塑性変形が容易に生じやすいが、ソースコネクタ20にNiめっきを実施して、ある程度酸化膜が少ない状態を実現しておくことで、固相拡散接合を容易にすることができる。
【0114】
(ヒートシンク接合)
セラミック基板10の裏面の銅プレート層10b(ヒートスプレッダ)とヒートシンク200の表面を半田層200cを介して接合する。尚、ヒートシンク200の接合工程は、最後に実施される。すなわち、裏面に銅プレート層10b(ヒートスプレッダ)を有するセラミック基板10上に配置される上部電極の内部構造を作製し、その後モールディング成型後、半田層200cを介してヒートシンク200の接合を形成する。また、
図12(b)に示すように、モジュールの外側をネジ止めによってヒートシンク200に固定し、第2銅プレート層10bとヒートシンク200との隙間を熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。ネジは、モジュールの外側の樹脂の部分を押さえるので、
図12(b)には示されていない。
【0115】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造工程後の半導体デバイスQ1近傍の構成は、
図11〜
図12に示すように表される。
【0116】
図11に示すように、半導体デバイス100のドレイン電極36とセラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10a間にドレイン固相拡散接合層SCDが形成される。同様に、
図11に示すように、ソースコネクタ20とソースパッド電極SP間にソース固相拡散接合層SCSが形成される。また、
図11の例では、ソースコネクタ20は、層電極20a・20b・20cから形成され、各層電極20a・20b間には固相拡散接合層SC1、各層電極20b・20c間には固相拡散接合層SC2が形成される。また、層電極20cと上面板電極22間には、固相拡散接合層SC3が形成される。
【0117】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法において、半導体デバイス10のドレインパッド電極36とセラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10aとの間のドレイン固相拡散接合工程では、ドレイン電極36の表面が、例えば、Agで形成され、銅プレート層10aの表面には、例えば、Agめっきが施されて、Ag−Ag接合による固相拡散接合層SCDが形成される。この固相拡散接合層SCDの融解温度もAgの融点である約960℃となる。
【0118】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、約200℃〜約350℃の相対的に低い加熱工程によって、高融点の固相拡散接合層SCD・SCS・SC1・SC2・SC3を得ることができる。
【0119】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、ソースパッド電極SPをソースコネクタ20に固相拡散接合し、ドレイン電極36をセラミック基板10の表面上に配置された銅プレート層10aに固相拡散接合するため、ワイヤボンドレス化を実現すると共に、半導体デバイス100の両面冷却構造を実現することができる。
【0120】
さらに、セラミック基板10をヒートシンク200に半田層200cを介して接合することによって、半導体デバイス100の両面冷却性能をさらに向上することができる。また、モジュールの外側をネジ止めによってヒートシンク200に固定し、第2銅プレート層10bとヒートシンク200との隙間を熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めることによっても、半導体デバイス100の両面冷却性能をさらに向上することができる。
【0121】
尚、第1の実施の形態の変形例1〜3に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法についても実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0122】
(半導体デバイスの構成例)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用する半導体デバイス100(Q1・Q4)の例として、SiC・MOSFETの模式的断面構造は、
図14に示すように、n
-高抵抗層からなる半導体基板26と、半導体基板26の表面側に形成されたpベース領域28と、pベース領域28の表面に形成されたソース領域30と、pベース領域28間の半導体基板26の表面上に配置されたゲート絶縁膜32と、ゲート絶縁膜32上に配置されたゲート電極38と、ソース領域30およびpベース領域28に接続されたソース電極34と、半導体基板26の表面と反対側の裏面に配置されたn
+ドレイン領域24と、n
+ドレイン領域24に接続されたドレインパッド電極36とを備える。
【0123】
図14では、半導体デバイス100は、プレーナゲート型nチャネル縦型SiC・MOSFETで構成されているが、トレンチゲート型nチャネル縦型SiC・MOSFETなどで構成されていても良い。
【0124】
また、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用する半導体デバイス100(Q1・Q4)には、SiC・MOSFETの代わりに、GaN系FETなどを適用することもできる。
【0125】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用する半導体デバイス100には、SiC系、GaN系、若しくはAlN系のいずれかのパワーデバイスを適用可能である。
【0126】
更には、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用する半導体デバイス100には、バンドギャップエネルギーが、例えば、1.1eV〜8eVの半導体を用いることができる。
【0127】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1によれば、固相拡散接合層SCS・SCDとして、例えば、金属銀の融点が約960℃と高い耐熱性を備えているため、この固相拡散接合層SCS・SCDをSiC系FETやGaN系FETなどのパワーデバイスに適用することによって、パワーデバイスを高温で駆動することができる。
【0128】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用する半導体デバイス100の例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むSiC・MOSFETの模式的断面構造は、
図15に示すように表される。ゲートパッド電極GPは、ゲート絶縁膜32上に配置されたゲート電極38に接続され、ソースパッド電極SPは、ソース領域30に接続されたソース電極34に接続される。
【0129】
また、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPは、
図15に示すように、半導体デバイス100の表面を覆うパッシべーション用の層間絶縁膜44上に配置される。尚、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPの下方の半導体基板26内には、
図15の構成例では、図示を省略しているが、
図14或いは、
図15の中央部と同様に、微細構造のトランジスタ構造が形成されていても良い。
【0130】
さらに、
図15に示すように、中央部のトランジスタ構造においても、パッシべーション用の層間絶縁膜44上にソースパッド電極SPが延在して配置されていても良い。或いは、
図8の中央部のトランジスタ構造において、パッシべーション用の層間絶縁膜44上にゲートパッド電極GPが延在して配置されていても良い。
【0131】
(パワーモジュール半導体装置を適用した応用例)
次に、
図16を参照して、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1を用いて構成した3相交流インバータについて説明する。
【0132】
図16に示すように、3相交流インバータは、ゲートドライブ部50と、ゲートドライブ部50に接続されたパワーモジュール部52と、3相交流モータ部54とを備える。パワーモジュール部52は、3相交流モータ部54のU相、V相、W相に対応して、U相、V相、W相のインバータが接続されている。
【0133】
パワーモジュール部52は、蓄電池(E)46の接続されたコンバータ48が接続されたプラス端子(+)とマイナス端子(−)間に、インバータ構成のSiC・MOSFETQ1・Q4、Q2・Q5、およびQ3・Q6が接続されている。さらに、SiC・MOSFETQ1〜Q6のソース・ドレイン間には、ダイオードD1〜D6がそれぞれ逆並列に接続されている。
【0134】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1では、
図16のU相部分に対応する単相インバータの構造について説明されていたが、V相、W相に対応しても同様に形成して、3相パワーモジュール部52を形成することもできる。
【0135】
(固相拡散接合工程)
ソースコネクタ20の材料の表面上に、Ag、Au、Ti、Niなどを、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成し、かつソースパッド電極SPの表面上に、Ag、Au、Ti、Niなどを、めっき技術、スパッタリング技術若しくは真空蒸着技術を用いて形成した後、実際の固相拡散接合工程を実施する。
【0136】
固相拡散接合工程においては、プロセス時に大きな圧力(例えば、約10MPa〜約100MPa)と、例えば、約200℃〜約350℃程度の熱を与え、まず圧力により塑性変形を起こし接合させる材料の表面を接触させ、さらにそこに熱を与えることで原子拡散を起こし、2つの材料を接合させる。
【0137】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置の製造方法において、ドレインパッド電極36とセラミック基板10の表面上の第1銅プレート層10aとの接合も上記の固相拡散接合工程によって、実現可能である。
【0138】
半導体デバイス100の上部から、さらにセラミック基板10の下部から圧力を印加する。さらに同時に熱も与えることで固相拡散接合を行う。
【0139】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法に適用する固相拡散接合工程の説明であって、2つの金属材料M1・M2が互いに対向した様子を示す模式的断面構造は、
図17(a)に示すように表され、2つの金属材料M1・M2が互いに対向して接触し、高圧下で、接触界面BFが塑性変形した様子を示す模式的断面構造は、
図17(b)に示すように表され、接触界面BFが完全に消失し、1つの境界面BSのみが形成された様子を示す模式的断面構造は、
図17(c)に示すように表され、原子拡散によって、境界面BSが除去されてシームレスな固相拡散接合が形成された様子を示す模式的断面構造は、
図17(d)に示すように表される。
【0140】
(a)まず、
図17(a)に示すように、2つの金属材料M1・M2を互いに対向して近接させる。
【0141】
(b)次に、2つの金属材料M1・M2を互いに対向して接触させ、例えば、約1MPa以上約100MPa以下の高い圧力を印加すると、
図17(b)に示すように、接触界面BFが塑性変形する。
【0142】
(c)次に、上記の高圧下において、加熱工程を実施すると、
図17(c)に示すように、接触界面BFが完全に消失し、1つの境界面BSのみが形成される。このときの加熱温度は、例えば、約200℃以上約350℃以下である。
【0143】
(d)さらに上記の高圧下において、加熱工程を実施し続けると、
図17(d)に示すように、原子拡散によって、2つの金属材料M1・M2の境界面BSが除去されてシームレスな固相拡散接合が形成される。
【0144】
固相拡散接合工程における温度プロファイル例および圧力プロファイル例は、
図18に示すように表される。
図18の例では、初期状態において、圧力を約90MPa印加し、この圧力を保持したままで、約5分以内で、常温から350℃まで昇温する。その後、約20分間にわたり約90MPaの圧力と、約350℃の加熱温度を保持させる。その後、約25分間で、圧力を約90MPaから大気圧まで降下させると共に、加熱温度を約350℃から約200℃まで降下する。その後、約25分間で、加熱温度を約200℃から常温まで降下する。
図18から明らかなように、加圧・加熱プロセス時間は、約1時間で終了しており、プロセス時間の短縮化が実現されている。
【0145】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において適用される実装基板は、セラミック基板の表面および裏面に金属層を形成した構造を備えていても良い。ここで、金属層は、DBC(Direct Bonding Copper)基板、DBA(Direct Brazed Aluminum)若しくはAMB(Active Metal Brazed)基板などの実装基板の表面上のCu電極やAl電極で形成されていても良い。特に、AMB基板は、ロウ付けで形成されるため、クッション効果が大きく、温度変化による応力を吸収し易いため、高温動作に適している。
【0146】
ドレイン固相拡散接合を形成するためには、基板の平坦性が要求されるため、実装基板の代わりに、シリコンウェハなどの半導体基板も適用可能である。
【0147】
(ダイシェアー強度テスト)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、半導体デバイス100のドレインパッド電極36とドレインコネクタとの間のドレイン固相拡散接合について、ダイシェアー(Die Shear)強度テストを実施したところ、室温および300℃の環境下で、共に従来のPb半田接合と同程度、若しくは従来のPb半田接合より高強度接合の結果が得られた。
【0148】
(熱サイクルテスト)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、熱サイクルテストにおける温度プロファイル例は、
図19に示すように表される。熱サイクルテストは窒素雰囲気中で行われ、マイナス50℃〜プラス250℃の範囲で実施した。熱サイクルの1サイクルの周期は80分であり、その内訳は、マイナス50℃で30分、マイナス50℃からプラス250℃までの昇温時間10分、プラス250℃で30分、プラス250℃からマイナス50℃までの冷却時間10分である。100サイクル毎に順方向電圧降下Vf、逆方向耐圧Vrを測定したが、特性劣化は観測されていない。
【0149】
以上の熱サイクルテストの結果より、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の製造方法を用いて形成された固相拡散接合層の接合強度は、充分に確保されている。
【0150】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1樹脂層12uは、を備えていても良い。ここで、積層順序としては、例えば、セラミック基板10側の樹脂層を線熱膨張係数の小さいものを用いると良い。
【0151】
エポキシ系樹脂において、ガラスフィラーの含有量を調整することによって、CTE2<CTE1のように、樹脂1、樹脂2で異なるCTEを実現することができる。例えば、ガラスフィラーの含有量を増加すると、CTEを低くすることができる。
【0152】
上述の複数の樹脂層の積層構造は、ガラスフィラーの含有量の異なるエポキシ系樹脂で形成されていても良い。ここで、セラミック基板10側の樹脂層をガラスフィラーの含有量を多くなるように形成されていても良い。
【0153】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置によれば、固相拡散接合層が、AgやAuが固有に有する融点まで接合耐熱性を保持するため、この固相拡散接合層をSiC系やGaN系などのパワーデバイスに適用することによって、半導体デバイスを高温で駆動することができる。
【0154】
第1の実施の形態によれば、熱抵抗を改善したパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0155】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20に示すように、第1セラミック基板10
1と、第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)と、第1半導体デバイスQ1と、第1柱状電極20
1と、第2半導体デバイスQ4と、第2柱状電極20
4と、第2セラミック基板10
2とを備える。
【0156】
第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)は、第1セラミック基板10
1の表面上に配置されている。
【0157】
第1半導体デバイスQ1は、第1パターンD(K1)上に配置され、表面に第1ソースパッド電極SP1、裏面に第1ドレイン電極36
1を有する。
【0158】
また、第1柱状電極20
1は、第1半導体デバイスQ1の第1ソースパッド電極SP1上に配置され、第1半導体デバイスQ1から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第1柱状電極20
1は、ソースパッド電極SP1と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0159】
第2半導体デバイスQ4は、第1銅プレート層10aの第2パターンD(K4)上に配置され、表面に第2ソースパッド電極SP4、裏面に第2ドレイン電極36
4有する。
【0160】
また、第2柱状電極20
4は、第2半導体デバイスQ4の第2ソースパッド電極SP4上に配置され、第2半導体デバイスQ4から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第2柱状電極20
4は、ソースパッド電極SP4と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0161】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20に示すように、第1柱状電極20
1上に配置された第1上面板電極22
1を備えている。
【0162】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20に示すように、第2柱状電極20
4上に配置された第2上面板電極22
4を備えている。
【0163】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4は、
図20に示すように、いずれも固相拡散接合によって互いに接合される複数の層電極を備えている。
【0164】
ここで、第1柱状電極20
1と第1上面板電極22
1は、例えば、固相拡散接合によって互いに接合され、同様に、第2柱状電極20
4と第2上面板電極22
4も、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0165】
第2セラミック基板10
2は、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4上に配置されている。ここで、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4は、第2セラミック基板10
2の表面上に配置された第1銅プレート層10
1aのパターンで形成されていても良い。
【0166】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20に示すように、第2パターンD(K4)上に配置され、配線兼CTE調整用の第3柱状電極18
1を備えている。また、第1上面板電極22
1は横方向に延在されて、第3柱状電極18
1に接続されている。
【0167】
また、第1半導体デバイスQ1のゲートパッド電極GP1は、ゲートボンディングワイヤGW1を介してゲート信号端子電極G1に接続され、第2半導体デバイスQ4のゲートパッド電極GP4は、ゲートボンディングワイヤGW4を介してゲート信号端子電極G4に接続されている。ゲート信号端子電極G1・G4は、いずれも第1セラミック基板10
1上に配置されている。
【0168】
また、第1半導体デバイスQ1は、裏面上にドレイン電極36
1を備え、ドレイン電極36
1と第1セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10
1aの第1パターンD(K1)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合され、同様に、第2半導体デバイスQ4は、裏面上にドレイン電極36
4を備え、ドレイン電極36
4と第1セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10
1aの第2パターンD(K4)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合されていても良い。
【0169】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20に示すように、第1セラミック基板10
1を搭載する第1ヒートシンク200
1、および第2セラミック基板10
2上に搭載する第2ヒートシンク200
2を備えていても良い。
【0170】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、第1セラミック基板10
1の裏面上に配置された第2銅プレート層10
1bと第1ヒートシンク200
1の間が、半田層を介して接合され、第2セラミック基板10
2の裏面上に配置された第2銅プレート層10
2bと第2ヒートシンク200
2の間が、半田層を介して接合されていても良い。
【0171】
また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置において、第1セラミック基板10
1の裏面上に配置された第2銅プレート層10
1bと第1ヒートシンク200
1の隙間、および第2セラミック基板10
2の裏面上に配置された第2銅プレート層10
2bと第2ヒートシンク200
2の隙間を、熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。この場合、モジュールの外側をネジ止めによってヒートシンク200
1・200
2に固定し、半導体デバイス100の両面冷却性能をさらに向上することができる。
【0172】
以上の説明において、固相拡散接合層の形成条件は、第1に実施の形態と同様である。また、一部若しくはすべての固相拡散接合層を同時に形成しても良い。すべての固相拡散接合層を同時に形成する際には、加熱工程と同時に加圧する。
【0173】
第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、
図20に示すように、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4は互いに分離された領域として形成する必要がある。このため、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4間を絶縁距離だけ離隔する必要があり、第1半導体デバイスQ1・第2半導体デバイスQ4間の距離L1を十分に取る必要がある。また、第2の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、
図20に示すように、第1上面板電極22
1と第2パターンD(K4)間に第3柱状電極18
1を接続するため、第1半導体デバイスQ1のソース電極パターンS(A1)と第2半導体デバイスQ4のドレイン電極パターンD(K4)との間にある程度の距離があり、この分だけ寄生のインダクタンスが存在する。
【0174】
(変形例1)
第2の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図21に示すように、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4が逆台形形状を備えている。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0175】
(変形例2)
第2の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図22に示すように、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4が逆テーパー形状を備えている。
【0176】
尚、第2の実施の形態のさらに別の変形例に係るパワーモジュール半導体装置として、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4が、
図9に示されたような逆ステップテーパー形状を備えていても良い。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0177】
第2の実施の形態およびその変形例1〜2によれば、熱抵抗を改善したパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0178】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図23に示すように、第1セラミック基板10
1と、第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)と、第1半導体デバイスQ1と、第1柱状電極20
1と、第2半導体デバイスQ4と、第2柱状電極20
4と、第2セラミック基板10
2とを備える。
【0179】
第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)は、第1セラミック基板10
1の表面上に配置されている。
【0180】
第1半導体デバイスQ1は、第1パターンD(K1)上に配置され、表面に第1ソースパッド電極SP1、裏面に第1ドレイン電極36
1を有する。
【0181】
また、第1柱状電極20
1は、第1半導体デバイスQ1の第1ソースパッド電極SP1上に配置され、第1半導体デバイスQ1から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第1柱状電極20
1は、ソースパッド電極SP1と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0182】
また、第2柱状電極20
4は、第1銅プレート層10aの第2パターンS(A4)上に配置され、第2パターンS(A4)から離隔するにしたがって相対的に断面積が小さくなる。ここで、第2柱状電極20
4は、第1銅プレート層10aの第2パターンS(A4)と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0183】
第2半導体デバイスQ4は、第2柱状電極20
4上に配置され、裏面に第2ソースパッド電極SP4、表面に第2ドレイン電極36
4有する。
【0184】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図23に示すように、第1柱状電極20
1上に配置された第1上面板電極22
1を備えている。
【0185】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図23に示すように、第2半導体デバイスQ4上に配置された第2上面板電極22
4を備えている。ここで、第2上面板電極22
4は、第1上面板電極22
1と共通領域として形成可能であり、例えば、第2セラミック基板10
2の表面上に配置された第1銅プレート層10
2aの共通の電極パターンS(A1)・D(K4)として形成されていても良い。
【0186】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4は、
図23に示すように、いずれも固相拡散接合によって互いに接合される複数の層電極を備えている。
【0187】
ここで、第1柱状電極20
1と第1上面板電極22
1は、例えば、固相拡散接合によって互いに接合される。
【0188】
第2セラミック基板10
2は、第1上面板電極22
1および第1上面板電極22
1と共通の第2上面板電極22
4上に配置されている。
【0189】
また、第1半導体デバイスQ1のゲートパッド電極GP1は、ゲートボンディングワイヤGW1を介してゲート信号端子電極G1に接続され、第2半導体デバイスQ4のゲートパッド電極GP4は、ゲートボンディングワイヤGW4を介してゲート信号端子電極G4に接続されている。ここで、ゲート信号端子電極G1は、第2の実施の形態と同様に、第1セラミック基板10
1上に配置されているが、ゲート信号端子電極G4は、第2セラミック基板10
2に配置されている。
【0190】
また、第1半導体デバイスQ1は、裏面上にドレイン電極36
1を備え、ドレイン電極36
1と第1セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合され、同様に、第2半導体デバイスQ4は、裏面上にドレイン電極36
4を備え、ドレイン電極36
4と第2セラミック基板10
2表面上に配置された第1銅プレート層10aの第2パターンD(K4)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合されていても良い。
【0191】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図23に示すように、第1セラミック基板10
1を搭載する第1ヒートシンク200
1、および第2セラミック基板10
2上に搭載する第2ヒートシンク200
2を備えていても良い。1
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1セラミック基板10
1の裏面上に配置された第2銅プレート層10
1bと第1ヒートシンク200
1の間が、半田層を介して接合され、第2セラミック基板10
2の裏面上に配置された第2銅プレート層10
2bと第2ヒートシンク200
2の間が、半田層を介して接合されていても良い。
【0192】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1セラミック基板10
1の裏面上に配置された第2銅プレート層10
1bと第1ヒートシンク200
1の隙間、および第2セラミック基板10
2の裏面上に配置された第2銅プレート層10
2bと第2ヒートシンク200
2の隙間を、熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。
【0193】
以上の説明において、固相拡散接合層の形成条件は、第1に実施の形態と同様である。また、一部若しくはすべての固相拡散接合層を同時に形成しても良い。すべての固相拡散接合層を同時に形成する際には、加熱工程と同時に加圧する。
【0194】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においては、
図23に示すように、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4は共通領域として形成可能である。このため、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4間を離隔する必要が無い。このため、第1半導体デバイスQ1・第2半導体デバイスQ4間の距離L2をL1に比べて短縮可能である。したがって、第3の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置においては、第2の実施の形態に比べ、更に小型化が可能である。また、第1上面板電極22
1および第2上面板電極22
4は共通領域として形成可能であるため、第1半導体デバイスQ1のソース電極パターンS(A1)と第2半導体デバイスQ4のドレイン電極パターンD(K4)との間の距離を短縮可能である。したがって、
図3に示すようなインバータ回路において、第1半導体デバイスQ1のソース電極パターンS(A1)と第2半導体デバイスQ4のドレイン電極パターンD(K4)との間の寄生インダクタンスLpの値を低減することができ、この寄生インダクタンスLpによって発生する出力端子電極U上の電圧変動分Lpdi/dtを抑制することができる。
【0195】
(変形例1)
第3の実施の形態の変形例1に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図24に示すように、第1柱状電極20
1が逆台形形状を備え、第2柱状電極20
4が台形形状を備えている。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0196】
(変形例2)
第3の実施の形態の変形例2に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図25に示すように、第1柱状電極20
1が逆テーパー形状を備え、第2柱状電極20
4がテーパー形状を備えている。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0197】
尚、第3の実施の形態のさらに別の変形例に係るパワーモジュール半導体装置として、第1柱状電極が逆ステップテーパー形状を備え、第2柱状電極がステップテーパー形状を備えていても良い。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0198】
第3の実施の形態およびその変形例1〜2によれば、熱抵抗を改善したパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0199】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的平面パターン構成は、
図26に示すように表され、
図26のゲートドライバ端子GD1・GD4が延伸する方向に沿う模式的断面構造は、
図27に示すように表される。また、
図26〜
図27に対応するインバータの模式的回路構成は、
図29に示すように表される。
【0200】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図26〜
図27および
図29に示すように、セラミック基板10の表面上に配置され、第1半導体デバイスQ1を駆動するゲートドライバGDR1を備える。
【0201】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図26〜
図27および
図29に示すように、セラミック基板10の表面上に配置され、第2半導体デバイスQ4を駆動するゲートドライバGDR4を備える。
【0202】
ここで、ゲートドライバ端子GD1は、例えば、フィードバック端子FB、電源電圧端子Vcc、信号入力端子Vinおよび共通端子COMを備え、ゲートドライバ端子GD4は、エラー出力端子Fo、端子Gnd、コンデンサ入力端子Cin、信号入力端子Vinおよび電源電圧端子Vccを備えていても良く、ハーフブリッジ回路の動作制御に必要な別の機能を持つ端子に接続されていても良い。
【0203】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ゲートドライバGDR1・GDR4のパッケージ材は、CTE調整用のエポキシ系樹脂もしくはシリコーン系樹脂で形成されていても良い。
【0204】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においても、
図26〜
図27および
図29に示すように、第1柱状電極20
1は、第1半導体デバイスQ1の第1ソースパッド電極SP1上に配置され、第1半導体デバイスQ1から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第1柱状電極20
1は、ソースパッド電極SP1と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0205】
また、第2柱状電極20
4は、第2半導体デバイスQ4の第2ソースパッド電極SP4上に配置され、第2半導体デバイスQ4から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第2柱状電極20
4は、ソースパッド電極SP4と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0206】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4は、
図27に示すように、いずれも固相拡散接合によって互いに接合される複数の層電極を備えている。
【0207】
ここで、第1柱状電極20
1と第1上面板電極22
1は、例えば、固相拡散接合によって互いに接合され、同様に、第2柱状電極20
4と第2上面板電極22
4も、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0208】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図26〜
図27および
図29に示すように、第2パターンD(K4)上に配置され、配線兼CTE調整用の第3柱状電極18
1を備えている。また、第1上面板電極22
1は延在されて、第3柱状電極18
1に接続されている。
【0209】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図26〜
図27および
図29に示すように、接地パターンEP上に配置され、配線兼CTE調整用の第4柱状電極18
4を備えている。また、第2上面板電極22
4は延在されて、第4柱状電極18
4に接続されている。
【0210】
また、第1半導体デバイスQ1は、裏面上にドレイン電極36
1を備え、ドレイン電極36
1と第1セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合され、同様に、第2半導体デバイスQ4は、裏面上にドレイン電極36
4を備え、ドレイン電極36
4と第1セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10aの第2パターンD(K4)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合されていても良い。
【0211】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20と同様に、第1セラミック基板10
1を搭載するヒートシンク200を備えていても良い。
【0212】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1セラミック基板10の裏面上に配置された第2銅プレート層10b(ヒートスプレッダ)とヒートシンク200の間が、半田層を介して接合されていても良い。
【0213】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1セラミック基板10の裏面上に配置された第2銅プレート層10bとヒートシンク200の隙間を、熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。
【0214】
以上の説明において、固相拡散接合層の形成条件は、第1に実施の形態と同様である。また、一部若しくはすべての固相拡散接合層を同時に形成しても良い。すべての固相拡散接合層を同時に形成する際には、加熱工程と同時に加圧する。
【0215】
第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4が逆台形形状、逆テーパー形状若しくは逆ステップテーパー形状のいずれかの構成を備えていても良い。
【0216】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1樹脂層12uの厚さは、第2樹脂層12dの厚さよりも厚く形成されている。
【0217】
また、セラミック基板10の表面上に配置された部材の線熱膨張係数CTEuは、セラミック基板10の裏面上に配置された部材の線熱膨張係数CTEdよりも低く形成されている。セラミック基板10の表面上に配置された部材の発生応力と、セラミック基板10の裏面上に配置された部材の発生応力がバランスするように、セラミック基板10の表面上に配置された部材と裏面上に配置された部材のCTEを調整するためである。
【0218】
また、第4の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1樹脂層12uは、複数の樹脂層の積層構造で形成されていても良い。
【0219】
その他の構成は、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置と同様であるため、重複説明は省略する。
【0220】
第4の実施の形態によれば、熱抵抗を改善したパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0221】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の模式的平面パターン構成は、
図28に示すように表される。また、
図28に対応するインバータの模式的回路構成は、
図29と同様に表される。第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置は、第4の実施の形態とは異なる平面パターン構成を備える。
【0222】
第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図28および
図29に示すように、セラミック基板10の表面上に配置され、第1半導体デバイスQ1を駆動するゲートドライバGDR1を備える。
【0223】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図28および
図29に示すように、セラミック基板10の表面上に配置され、第2半導体デバイスQ4を駆動するゲートドライバGDR4を備える。
【0224】
ここで、ゲートドライバ端子GD1は、例えば、フィードバック端子FB、電源電圧端子Vcc、信号入力端子Vinおよび共通端子COMを備え、ゲートドライバ端子GD4は、エラー出力端子Fo、端子Gnd、コンデンサ入力端子Cin、信号入力端子Vinおよび電源電圧端子Vccを備えていても良く、ハーフブリッジ回路の動作制御に必要な別の機能を持つ端子に接続されていても良い。
【0225】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、ゲートドライバGDR1・GDR4のパッケージ材は、CTE調整用のエポキシ系樹脂もしくはシリコーン系樹脂で形成されていても良い。
【0226】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1においても、
図28〜
図29に示すように、第1柱状電極20
1は、第1半導体デバイスQ1の第1ソースパッド電極SP1上に配置され、第1半導体デバイスQ1から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第1柱状電極20
1は、ソースパッド電極SP1と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0227】
また、第2柱状電極20
4は、第2半導体デバイスQ4の第2ソースパッド電極SP4上に配置され、第2半導体デバイスQ4から離隔するにしたがって相対的に断面積が大きくなる。ここで、第2柱状電極20
4は、ソースパッド電極SP4と固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0228】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4は、いずれも固相拡散接合によって互いに接合される複数の層電極を備えていても良い。
【0229】
ここで、第1柱状電極20
1と第1上面板電極22
1は、例えば、固相拡散接合によって互いに接合され、同様に、第2柱状電極20
4と第2上面板電極22
4も、固相拡散接合によって互いに接合されていても良い。
【0230】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図28〜
図29に示すように、第2パターンD(K4)上に配置され、配線兼CTE調整用の第3柱状電極18
1を備えている。また、第1上面板電極22
1は延在されて、第3柱状電極18
1に接続されている。
【0231】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図28〜
図29に示すように、接地パターンEP上に配置され、配線兼CTE調整用の第4柱状電極18
4を備えている。また、第2上面板電極22
4は延在されて、第4柱状電極18
4に接続されている。
【0232】
また、第1半導体デバイスQ1は、裏面上にドレイン電極36
1を備え、ドレイン電極36
1と第1セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10aの第1パターンD(K1)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合され、同様に、第2半導体デバイスQ4は、裏面上にドレイン電極36
4を備え、ドレイン電極36
4と第2セラミック基板10
1の表面上に配置された第1銅プレート層10aの第2パターンD(K4)の間がドレイン固相拡散接合層を介して固相拡散接合されていても良い。
【0233】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1は、
図20と同様に、第1セラミック基板10
1を搭載するヒートシンク200を備えていても良い。
【0234】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1セラミック基板10の裏面上に配置された第2銅プレート層10bとヒートシンク200の間が、半田層を介して接合されていても良い。
【0235】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1セラミック基板10の裏面上に配置された第2銅プレート層10bとヒートシンク200の隙間を、熱伝導率の高いシリコングリース200dなどで埋めても良い。
【0236】
以上の説明において、固相拡散接合層の形成条件は、第1に実施の形態と同様である。また、一部若しくはすべての固相拡散接合層を同時に形成しても良い。すべての固相拡散接合層を同時に形成する際には、加熱工程と同時に加圧する。
【0237】
第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1柱状電極20
1および第2柱状電極20
4が逆台形形状、逆テーパー形状若しくは逆ステップテーパー形状のいずれかの構成を備えていても良い。
【0238】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1樹脂層12uの厚さは、第2樹脂層12dの厚さよりも厚く形成されている。
【0239】
また、セラミック基板10の表面上に配置された部材の線熱膨張係数CTEuは、セラミック基板10の裏面上に配置された部材の線熱膨張係数CTEdよりも低く形成されている。セラミック基板10の表面上に配置された部材の発生応力と、セラミック基板10の裏面上に配置された部材の発生応力がバランスするように、セラミック基板10の表面上に配置された部材と裏面上に配置された部材のCTEを調整するためである。
【0240】
また、第5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1において、第1樹脂層12uは、複数の樹脂層の積層構造で形成されていても良い。
【0241】
その他の構成は、第1の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置と同様であるため、重複説明は省略する。
【0242】
第5の実施の形態によれば、熱抵抗を改善したパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0243】
第1〜5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用可能な半導体デバイスの模式的平面パターン構成例1は、
図30(a)に示すように表され、
図30(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造は、
図30(b)に示すように表される。
【0244】
また、第1〜5の実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1に適用可能な別の半導体デバイスの模式的平面パターン構成例2、
図31(a)に示すように表され、
図31(a)のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、
図31(b)に示すように表される。
【0245】
図30の平面パターン構成例では、デバイス表面上において、2個のソースパッド電極SP1・SP2と、1個のゲートパッド電極GPと、2個のカレントセンスパッド電極CS1・CS2と、2個のソースセンスパッド電極SS1・SS2とを備え、周辺部および中央部には、ゲートフィンガー電極GFが配置されている。ソースパッド電極SP1・SP2・ゲートパッド電極GP・カレントセンスパッド電極CS1・CS2・ソースセンスパッド電極SS1・SS2の表面を除くデバイス表面上には、ポリイミド樹脂などで形成される表面保護膜PEが配置されている。また、III−III線に沿う方向のソースパッド電極SP1・SP2の幅は、W1・W1である。
【0246】
図31の平面パターン構成例では、デバイス表面上において、1個のソースパッド電極SPと、1個のゲートパッド電極GPと、2個のカレントセンスパッド電極CS1・CS2と、2個のソースセンスパッド電極SS1・SS2とを備え、周辺部および中央部には、ゲートフィンガー電極GFが配置されている。ソースパッド電極SP・ゲートパッド電極GP・カレントセンスパッド電極CS1・CS2・ソースセンスパッド電極SS1・SS2の表面を除くデバイス表面上には、ポリイミド樹脂などで形成される表面保護膜PEが配置されている。また、IV−IV線に沿う方向のソースパッド電極SPの幅は、W2・W3である。
【0247】
図30および
図31の平面パターン構成においては、カレントセンスパッド電極CS1・CS2、ソースセンスパッド電極SS1・SS2は、必ずしも2個ずつ必要なわけではない。しかしながら、2個ずつ配置した方が半導体チップをモジュール半導体装置上に左右対称に並べたときに、カレントセンスパッド電極CS1・CS2、ソースセンスパッド電極SS1・SS2に対するワイヤボンディング設計が容易となる。
【0248】
固相拡散接合技術などの接合方法では、半導体デバイスチップ上のゲートフィンガー電極GFやガードリングがあると、そこに圧力が加わる。このため、柱状電極20の半導体デバイスと接する表面に表面保護膜PEを避けるための構造を備える必要がある。
【0249】
柱状電極20の半導体デバイスと接する表面に表面保護膜PEを避けるための構造を備えることによって、柱状電極20をソースパッド電極SP1・SP2に対して固相拡散接合を形成し易い形状にすることができる。この結果として、実施の形態に係るパワーモジュール半導体装置1の熱抵抗を低減し、電気抵抗を低減することができる。
【0250】
図30に示された半導体デバイスに搭載可能な柱状電極20の模式的断面構造例1〜3は、
図32(a)〜(c)に示すように表される。
図32(a)の例では、デバイスパターン中央部に配置されるゲートフィンガー電極GFおよび表面保護膜PEを避けるために、柱状電極20の中央部に、底辺との角度θを有する三角形状の溝部を有する。ここで、角度θの値は、約45°程度もしくは45°よりも小さい角度であることが熱放散を有効に実施する上で望ましい。
図32(b)の例では、柱状電極20の中央部に半円形状の溝部を有する。
図32(c)の例では、柱状電極20の中央部に放物線形状の溝部を有する。
【0251】
図30に示された半導体デバイスに搭載可能な柱状電極20の模式的断面構造例4〜6は、
図33(a)〜(c)に示すように表される。
図33(a)の例では、デバイスパターン中央部に配置されるゲートフィンガー電極GFおよび表面保護膜PEを避けるために、柱状電極20の中央部に、底辺との角度θを有する台形形状の溝部を有する。ここで、角度θの値は、約45°程度もしくは45°よりも小さい角度であることが熱放散を有効に実施する上で望ましい。
図33(b)の例では、柱状電極20の中央部に三角形状の溝部を有すると共に、両側面において逆テーパー形状を有する。
図33(c)の例では、柱状電極20の中央部に三角形状の溝部を有すると共に、両側面において逆ステップテーパー形状を有する。ここで、
図33(b)および
図33(c)の両側面における逆テーパー形状の広がり角度も約45°程度もしくは45°よりも小さい角度であることが熱放散を有効に実施する上で望ましい。
【0252】
図30に示された半導体デバイスに搭載可能な柱状電極20の模式的断面構造例7〜8は、
図34〜
図35に示すように表される。
図34の例では、柱状電極20の中央部に逆ステップテーパー形状の溝部を有すると共に、両側面においても逆ステップテーパー形状を有する。ここで、
図34の中央部および両側面における逆テーパー形状の広がり角度も約45°程度もしくは45°よりも小さい角度であることが熱放散を有効に実施する上で望ましい。
【0253】
図34の例では、柱状電極20の中央部に逆ステップテーパー形状の溝部を有すると共に、両側面においても逆ステップテーパー形状を有する。
【0254】
図35の例では、柱状電極20は、複数の層電極20a・20b・20cの積層構造で形成され、かつ層電極20aは、20a1・20a2の2つに分割されている。分割された層電極20a1・20a2は、それぞれソースパッド電極SP1・SP2に接続される。複数の層電極20a・20b・20cの積層構造および層電極20a1・20a2とソースパッド電極SP1・SP2との接続においては、固相拡散接合技術を適用可能である。
【0255】
また、
図32〜
図34に示された構成例においても柱状電極20とソースパッド電極SP1・SP2との接続においては、固相拡散接合技術を適用可能である。
【0256】
また、
図32〜
図35に示された柱状電極20の構成は、
図30の平面パターン構成を有する半導体デバイスに適用可能であるが、
図31の平面パターン構成を有する半導体デバイスにおいても寸法W2・W3を適宜選択することによって、同様に適用可能である。
【0257】
以上説明したように、本発明によれば、熱抵抗を改善したパワーモジュール半導体装置を提供することができる。
【0258】
[その他の実施の形態]
上記のように、第1〜第5の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0259】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。