(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光構造を含む半導体エピタキシャル層と、前記半導体エピタキシャル層を支持し、前記半導体エピタキシャル層の発する光を透過しない素子基板と、前記半導体エピタキシャル層の上面および側面を覆うように前記素子基板上に配置された蛍光体含有樹脂層と、前記蛍光体含有樹脂層の上に配置された透光性の板状部材とを有し、
前記半導体エピタキシャル層および前記板状部材は、前記素子基板の上面よりも小さく、前記蛍光体含有樹脂層は、前記素子基板の端部と前記板状部材の側面とを結ぶ傾斜した側面を有し、
前記蛍光体含有樹脂層の前記傾斜した側面は、散乱材含有樹脂層で覆われ、
前記散乱材含有樹脂層の上面は、前記素子基板からの高さが、前記板状部材の側面と接する位置においては前記板状部材の上面と同じであり、前記板状部材から離れるにつれ徐々に下がっており、
前記散乱材含有樹脂層は、前記蛍光体含有樹脂層の傾斜した側面から入射する光の一部を後方散乱して前記蛍光体含有樹脂層に戻しつつ、他の光を前方散乱しながら透過させて前記散乱材含有樹脂層の前記上面から外部に出射することを特徴とする半導体発光装置。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子を、蛍光体を含有した樹脂層で被覆することにより、半導体発光素子から発せられた光の一部を蛍光体で波長変換し、残りの光と混合して出射する発光装置が、特許文献1および特許文献2等により広く知られている。特許文献2の技術では、蛍光体を含有した樹脂層が、半導体発光素子の上面および側面を覆い、外形が角錐台(断面が台形)となるように形成されている。蛍光体含有樹脂層を角錐台に形成することにより、発光素子から水平方向、斜め上方向、および、上方向に発せられる光がそれぞれ蛍光体含有樹脂層を通過する距離をほぼ等しくでき、発光面の色むらを低減できる。
【0003】
上記特許文献1および2に記載の発光装置は、半導体発光素子の素子基板および活性層等の素子全体を蛍光体含有樹脂層で被覆する構成であり、素子基板の側面から出射された光も蛍光体含有樹脂層で波長変換する構成である。このため、半導体発光素子を搭載する支持基板の上面に、蛍光体含有樹脂層の側面から発せられた光の一部が到達して反射されるため、半導体発光装置の正面輝度分布が、周辺部において急峻に立ち上がらない。
【0004】
この正面輝度分布の立ち上がりの問題を解決するために、特許文献3には、半導体発光素子の素子基板として光を透過しないものを用い、その上面に一回り小さい半導体エピタキシャル層を配置し、素子基板の上面にドーム状の蛍光体含有樹脂層を盛り上げ、半導体エピタキシャル層のみを蛍光体含有樹脂層で被覆する構造とした半導体発光装置が提案されている。この構成により、素子基板の側面からは光が発せられず、半導体発光素子を支持する支持基板の上面で光が反射されないため、正面輝度分布が周辺部において急峻に立ち上がった配向パターンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態の半導体発光装置について具体的に説明する。
【0013】
図1(a)、(b)に本実施形態の半導体発光装置の断面図と上面図をそれぞれ示す。本実施形態の半導体発光装置は、発光構造を含む半導体エピタキシャル層2と、半導体エピタキシャル層2を支持する素子基板1と、半導体エピタキシャル層2を覆うように素子基板1上に配置された蛍光体含有樹脂層3と、蛍光体含有樹脂層3上に配置された透光性の板状部材4とを備えて構成される。素子基板1は、半導体エピタキシャル層2の発する光を透過しない構造である。素子基板1は、接着層10により実装基板7に搭載されている。
【0014】
半導体エピタキシャル層2および板状部材4は、素子基板1の上面よりも小さく、蛍光体含有樹脂層3の側面8は、素子基板1の端部と板状部材4の側面とを結ぶように傾斜している。この蛍光体含有樹脂層3の傾斜した側面8は、散乱材含有樹脂で覆われている。
【0015】
また、半導体エピタキシャル層2に電圧を印加するための電極11、12が、半導体エピタキシャル層2の上部と素子基板1の下面に配置されている。上面電極11が配置されている領域は、板状部材4は切り欠かれている。上面電極11は、素子基板1を搭載する実装基板7上の電極パッド(不図示)にボンディングワイヤ12により接続されている。ボンディングワイヤ12は、蛍光体含有樹脂3および散乱材含有樹脂5の側面から引き出されている。下面電極9は、導電性の接着層10により実装基板7上の配線に接続されている。
【0016】
蛍光体含有樹脂層3は、半導体エピタキシャル層2の発する光に対して透明な樹脂に蛍光体を分散した材料により構成されている。散乱材含有樹脂5は、半導体エピタキシャル層2の発する光および蛍光体含有樹脂層3の蛍光体の発する蛍光に対して透明な樹脂に、光散乱材を分散した材料により構成されている。
【0017】
図2を用いて、
図1の構成の半導体発光装置の発する光について説明する。素子基板1は、半導体エピタキシャル層2の発する光を透過しない材料で構成されているため、半導体エピタキシャル層2は、上面および側面から光を発する。
【0018】
半導体エピタキシャル層2の上面から上方に発せられた光21は、蛍光体含有樹脂層3に入射し、一部が蛍光体に吸収される。蛍光体は、励起されて蛍光を発する。蛍光体に吸収されなかった光と、蛍光体の発した蛍光は、これらの光に対して透明な板状部材4に達し、ほとんどは板状部材4を透過して上方に出射される。よって、透明な板状部材4からは、半導体エピタキシャル層2の発した光と、蛍光体含有樹脂層3の発した蛍光との混合光が出射される。
【0019】
このとき、蛍光体含有樹脂層3が板状部材4と半導体エピタキシャル層2によって上下から挟まれた領域、すなわち、板状部材4と半導体エピタキシャル層2が対向している領域25においては、蛍光体含有樹脂層3の厚さが一様であるため、この領域の半導体エピタキシャル層2の上面から発せられた光は、厚さが一様な蛍光体含有樹脂層3を通過する。よって、板状部材4と半導体エピタキシャル層2に挟まれた領域25で生じる蛍光の量は一様であり、板状部材4からは、色むらのない一様な光が出射される。
【0020】
一方、半導体エピタキシャル層2の上面から斜め方向に出射された光22および半導体エピタキシャル層2の側面から出射された光24は、蛍光体含有樹脂層3を通過して、蛍光体含有樹脂層3の傾斜した側面8に到達する。このとき、蛍光体含有樹脂層3の側面8と半導体エピタキシャル層2との距離は、半導体エピタキシャル層2の上面の蛍光体含有樹脂層3よりも短いため、側面8に到達する光は、半導体エピタキシャル層2の上面よりも蛍光の割合が少なくなる。樹脂量の調整などで、領域25の蛍光の割合に近づけるのは困難である。しかしながら、本実施形態では、側面8に到達した光は、散乱材含有樹脂層5の光散乱材によりその一部が後方散乱する。後方散乱した光は、再び蛍光体含有樹脂層3に戻され、一部が蛍光体を励起し、蛍光27に変換され、半導体エピタキシャル層2や蛍光体によって反射されて、再び側面8に到達する。側面8に再到達した光の一部は、散乱材含有樹脂層5により再び後方散乱されて蛍光体含有樹脂層3に戻され、蛍光に変換される。また、側面8に到達した光の一部は、散乱材含有樹脂層5により前方散乱され、もしくは、散乱材含有樹脂層5を透過して、外部に出射される。
【0021】
このように、散乱材含有樹脂層5を配置したことにより、光散乱材による後方散乱によって蛍光体含有樹脂層3に1回以上戻される光が生じるため、蛍光体含有樹脂層3の側面8と半導体エピタキシャル層2との距離が短くても、散乱材含有樹脂層5から出射される蛍光の割合を増加させることができる。後方散乱する光の量は、散乱材含有樹脂層5に含まれる光散乱材の種類、粒径、形状および量に依存する。
【0022】
したがって、半導体エピタキシャル層2の側面と蛍光体含有樹脂層3の側面8との距離、散乱材含有樹脂層5の厚さ、光散乱材の種類、粒径および濃度を調整することにより、半導体含有樹脂層3の側面方向に出射される光の色を、板状部材4から上方に出射する光の色と同じにすることができる。
【0023】
また、散乱材含有樹脂層5では光が散乱されるため、一様な光を側方および上方に出射することができるという効果もある。
【0024】
散乱材含有樹脂層5は、
図1および
図2のように、板状部材4の側面も覆っていることが望ましい。板状部材4の内部においては、蛍光体含有樹脂層3から入射した光(蛍光および半導体エピタキシャル層2の出射光)の一部が導波するため、導波光が板状部材4の側面から出射される。散乱材含有樹脂層5は、この導波光を散乱し、一様に分散して出射する。
【0025】
このように、本実施形態の半導体発光素子は、上面の色むらがなく、しかも側面方向にも上面と同様の色の光を散乱して出射できるため、発光色の角度依存性も少なくすることができる。
【0026】
図3のように、板状部材4の大きさは、半導体エピタキシャル層2と同等(W=0)もしくは、小さい(W>0)ことが望ましい。これにより、板状部材4の全面が半導体エピタキシャル層2と対向するため、板状部材4から出射される光に含まれる蛍光と半導体エピタキシャル層2の混合割合を主平面方向で一様にすることができ、色むらを低減できる。
【0027】
また、蛍光体含有樹脂層3は、板状部材4の側面を覆わない方が望ましい。蛍光体含有樹脂層3が板状部材4の側面を覆うと、板状部材4の外側に位置する蛍光体含有樹脂層3の厚さ(容積)が大きくなるため、蛍光体含有樹脂層3の側面方向に出射される蛍光の割合が大きくなる。このため、散乱材含有樹脂層5を側面に配置しても、板状部材4の上面方向と同様の色の光を出射させるのが難しくなり、発光色の角度依存性を抑制困難になる。
【0028】
また、
図4のように、蛍光体含有樹脂層3の側面8は、半導体エピタキシャル層2に向かって凸に湾曲していることが望ましい。これにより、蛍光体含有樹脂層3の形成する際に、未硬化の蛍光体含有樹脂が板状部材4の側面を這い上がって、板状部材4の側面を覆ってしまうのを防止できる。
【0029】
また、
図5のように、散乱材含有樹脂層5の上面は、外向きに凸に湾曲していることが望ましい。すなわち、板状部材4の側面上端と素子基板1の端部とを結ぶ平面よりも、散乱材含有樹脂層5の上面が上方に位置することが望ましい。このような湾曲形状にすることにより、板状部材4を導波した光を、散乱材含有樹脂層5を通過させて外部にとりだす効率を高めることができるため、出射される光束量を増加させることができる。
【0030】
つぎに、本実施形態の半導体発光装置の各部の材質について説明する。
【0031】
素子基板1としては、例えば、シリコンやゲルマニウムを用いる。半導体エピタキシャル層2としては、所望の光を発光できるものであればどのよう構造であってもよい。例えば、InGaN系の青色光を発する半導体エピタキシャル層を用いる。
【0032】
蛍光体含有樹脂層3に含有される蛍光体は、半導体エピタキシャル層2が発する光で励起され、所望の蛍光を発するものであればどのようなものでもよい。例えば、半導体エピタキシャル層2が青色光を発する場合には、蛍光体として黄色蛍光を発するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット),TAG(テルビウム・ アルミニウム・ガーネット)、サイアロン、BOS(バリウム・オルソシリケート)などを用いることにより、青色光と黄色蛍光が混合された白色光を発する半導体発光装置を提供できる。また、緑色蛍光を発する蛍光体や赤色蛍光を発する蛍光体を用いることにより、発光スペクトルがブロードな演色性の優れた白色光を得ることができる。
【0033】
蛍光体含有樹脂層3の基材樹脂としては、蛍光および半導体エピタキシャル層2の発する光に透明なものであればよく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。シリコーン樹脂は、長期信頼性が高く、好ましい。なお、樹脂に限らず、蛍光体を分散させて、塗布や滴下した後硬化させることができるものであれば、無機化合物を用いることも可能である。
【0034】
蛍光体含有樹脂層3の蛍光体の含有量、粒径、ならびに、膜厚は、所望の発光色が得られるように調整する。
【0035】
板状部材4としては、蛍光体含有樹脂層3の蛍光および半導体エピタキシャル層2の発する光に透明なものであればよい。例えば、ガラスプレートや石英プレートや樹脂プレートを用いることができる。ガラスプレートの場合、無アルカリガラス、低アルカリガラスを用いることが好ましい。なお、板状部材4として、透明材料に蛍光体粒子が分散したものを用いることも可能である。また、板状部材4として、蛍光体ガラスや蛍光セラミックを用いることも可能である。
【0036】
散乱材含有樹脂5の基材としては、蛍光体含有樹脂層3の蛍光および半導体エピタキシャル層2の発する光に対して透明なものを用いる。例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。なお、樹脂に限らず、散乱材を分散させて、滴下(塗布)および硬化させることができるものであれば、無機化合物を用いることも可能である。
【0037】
散乱材含有樹脂5の基材に分散させる光散乱材としては、半導体エピタキシャル層2が発する光の一部を後方散乱するものであればどのようなものでもよい。例えば、Al
2O
3、TiO
2、非発光YAG等を用いることができる。光散乱材の粒径、粒子形状および濃度ならびに散乱材含有樹脂5の厚さ等は、蛍光体含有樹脂層3の側面部の厚さや蛍光体濃度等との兼ね合いにより、板状部材4の上面と同様の色の光を散乱材含有樹脂層5から出射することができるように調整する。
【0038】
実装基板7としては、セラミック基板、金属基板、ガラエポ基板等を用いることができる。実装基板7には、半導体エピタキシャル層2へ電圧供給のための電極パッドや配線等を予め形成しておく。
【0039】
次に、
図6(a)〜(c)を用いて、本実施形態の半導体発光装置の製造方法について説明する。
【0040】
まず、半導体エピタキシャル層2が予め搭載された素子基板1を用意し、実装基板7上にダイボンディングする。例えば、素子基板1がSiまたはGe、半導体エピタキシャル層2がInGaN系半導体で形成された、メタルボンディング素子(MB素子)である場合、AuSnペーストにより接着層10を形成し、AuSn共晶で実装する。これにより、素子基板1の下面電極9は、AuSn共晶の接着層10により実装基板7上の配線に電気的に接続される。
【0041】
次に、ボンディングワイヤ12として、例えばAuワイヤーを用いて、半導体エピタキシャル層2の上面または素子基板1上の上面電極11と、実装基板7上のボンディングパッドとをワイヤーボンディングする。
【0042】
さらに、蛍光体を分散させた樹脂(蛍光体含有樹脂)30をディスペンサー61等を用いて、素子基板1の上面に塗布する(
図6(a))。塗布量は、形成すべき蛍光体含有樹脂層3の厚さに応じて調整する。蛍光体を分散させた樹脂は、塗布の前に予め攪拌、脱泡しておく。ディスペンサー61のノズル径は、詰まり防止のため、蛍光体の最大粒径より大きいものを用いる。
【0043】
板状部材4をガラスマウンター62で保持し、未硬化の蛍光体含有樹脂30の上に搭載し位置決めする。板状部材4は、蛍光体含有樹脂30の上に表面張力によって浮いている。上と横から撮像し、画像認識技術を使用することで位置決め精度を向上させることができる。未硬化の蛍光体含有樹脂30の濡れ広がりを確認し、板状部材4の下面全体に蛍光体含有樹脂30が濡れ広がり、表面張力により、板状部材4の側面の下端から素子基板1の端部まで蛍光体含有樹脂30の傾斜した側面が形成されるようにする(
図6(b))。
図4のように、蛍光体含有樹脂30(蛍光体含有樹脂層3)の側面8を半導体エピタキシャル層2に向かって凸に湾曲させるためには、
図6(a)の工程で塗布する蛍光体含有樹脂層30の量を調節する。板状部材4は、未硬化の蛍光体含有樹脂30の内部に押し込まないようにする。押し込んだ場合、蛍光体含有樹脂30が板状部材4の側面に這い上がるためである。また、板状部材4がエピタキシャル層2に接触しないようにする。
図6(b)のように蛍光体含有樹脂30が濡れ広がったならば、加熱等により仮硬化させ、形状を維持する。蛍光体含有樹脂30の基材がシリコーン樹脂の場合、一例としては、150℃で例えば2h〜4h程度加熱し、仮硬化させる。蛍光体含有樹脂30の形状が維持できればよいので、硬化時間を15分〜30分程度に短縮することも可能である。また、仮硬化ではなく、完全に硬化させてもよい。
【0044】
次に、散乱材を分散させた樹脂(散乱材含有樹脂)50をディスペンサー等を用いて、仮硬化させた蛍光体含有樹脂層30の傾斜した側面に塗布する(
図6(c))。散乱材を分散させた樹脂は、予め攪拌、脱泡しておく。素子基板1の端部と板状部材4の側面との表面張力によって散乱材含有樹脂50は保持される。塗布量を調整し、散乱材含有樹脂50が所望の外側に凸の湾曲形状になるように調整する。
【0045】
最後に、蛍光体含有樹脂30および散乱材含有樹脂50を硬化させ、蛍光体含有樹脂層3および散乱材含有樹脂5を形成する。例えば、高温槽やホットプレートで、所定の時間加熱し、硬化させる。一例としては、150℃で2h〜4h加熱する。
【0046】
このように本実施形態の半導体発光装置は、未硬化の蛍光体含有樹脂30の上に、素子基板1よりも小さい板状部材4をのせることにより、傾斜した側面8をもつ蛍光体含有樹脂層3を容易に形成することができる。よって、成形のための型などを用いることなく、傾斜した側面8をもつ所望形状の蛍光体含有樹脂層3によって微細な半導体エピタキシャル層2を覆うことができる。また、その側面8を散乱材含有樹脂5を容易に覆うことができる。このとき、側面8が傾斜しているため、散乱材含有樹脂5が流れ落ちにくく、塗布法により容易に形成できる。
【0047】
本発明の半導体発光装置では、
図1で示すように、素子基板1の上面よりも小さい板状部材4を用いることにより、断面が略台形状の傾斜した側面8を有する蛍光体含有樹脂層3を容易に形成することができる。よって、半導体エピタキシャル層2の上面の蛍光体含有樹脂層5を一様な膜厚にできるため、板状部材4の上面における色むらを防ぐことができる。また、蛍光体含有樹脂層3の側面8においては、散乱材含有樹脂5により後方散乱を生じさせて、蛍光体含有樹脂層5に光を戻すことにより、蛍光の割合を増加させることができ、板状部材4の上部と同様な色味の光を出射させることができる。
【0048】
また、本発明の半導体発光装置は、素子基板1の側面から光が出射されず、素子基板1の上面からのみ光が出射されるため、発光面積が小さく、光束密度が大きく、配光パターンの配光領域と非配光領域との境界の光束密度の変化も急峻である。よって、光学系によって所望の配光パターンに加工するのが容易な、良好な光源を提供できる。
【0049】
このように、本実施形態では蛍光体含有樹脂層の厚さ(光路長)の違いにより、出射光の色味に角度依存性(指向角による色味が異なる現象)が生じるのを改善することができる。さらに板状部材4内を導波する光も、板状部材4側面に配置された散乱材により散乱できるため、角度依存性を改善できる。以上により半導体発光装置を上面から見た場合の色むら、および、角度依存性の両方を改善でき、均一な発光を得られる。
【0050】
本発明の半導体発光装置では、板状部材4および蛍光体含有樹脂層3の側面部にのみ散乱材含有樹脂を配置するため、上面方向への光束が散乱材によって散乱されず、半導体発光装置全体の光束量の低下を防ぐことができる。
【0051】
本発明の半導体発光装置は、車載用光源(ヘッドランプ、リアコンビランプ、室内照明、ターンランプ)や照明装置(蛍光灯の代用品)として用いることができる。