特許第6097064号(P6097064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097064ジッパーテープ付被装着物およびジッパーテープ付袋体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097064
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】ジッパーテープ付被装着物およびジッパーテープ付袋体
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/16 20060101AFI20170306BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20170306BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20170306BHJP
   B65D 65/08 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   A44B19/16
   B65D33/25 A
   B65D33/00 C
   B65D65/08
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-268698(P2012-268698)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-113263(P2014-113263A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】音渕 昌
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】田中 研一
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−255596(JP,A)
【文献】 特開2004−276925(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/165453(WO,A1)
【文献】 特開2005−008231(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/023631(WO,A1)
【文献】 特開2006−008211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/16
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムからなる被装着物と、前記被装着物にシールされたジッパーテープと、を備えたジッパーテープ付被装着物であって、
前記ジッパーテープは、雄側咬合部およびこれに連接する雄側帯状基部を有する雄部材と、前記雄側咬合部に咬合可能な雌側咬合部およびこれに連接する雌側帯状基部を有する雌部材とを備え、
前記雄側帯状基部および前記雌側帯状基部のうち一方の帯状基部が、前記一方の帯状基部の長手方向と厚み方向とにそれぞれ直交する幅方向のうちの一端側に延びて幅広とされた幅広部を有し、
前記幅広部は、前記幅広部に設けられたシール部を介して、前記被装着物にシールされ、
方の帯状基部の前記咬合部と反対側の表面であって、前記咬合部より前記一方の帯状基部の幅広部がある側と対向する、前記他方の帯状基部から剥離可能な引裂テープ部が積層されているとともに、前記幅広部がシールされる前記被装着物の面に前記引裂テープ部を介してシールされている
ことを特徴とするジッパーテープ付被装着物
【請求項2】
請求項1に記載のジッパーテープ付被装着物において、
前記他方の帯状基部は、前記咬合部より前記一方の帯状基部の幅広部がある側と対向する側とは反対側がシール部を介して前記被装着物にシールされている
ことを特徴とするジッパーテープ付被装着物
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のジッパーテープ付被装着物を用いて製造された袋体であり、
前記袋体は、前記ジッパーテープ付被装着物である1枚のフィルムからなり、
前記袋体が背貼り構造となるように、前記フィルムがシールされてなる
ことを特徴とするジッパーテープ付袋体
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のジッパーテープ付被装着物を用いて製造された袋体であり、
前記袋体は、前記ジッパーテープ付被装着物であるフィルムと他のフィルムの2枚のフィルムからなり、
前記2枚のフィルムの対向面の一方に対して前記ジッパーテープがシールされた
ことを特徴とするジッパーテープ付袋体
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のジッパーテープ付袋体において、
前記被装着物であるフィルムおよび前記ジッパーテープのうち少なくともいずれかには、持ち手部が設けられている
ことを特徴とするジッパーテープ付袋体
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載のジッパーテープ付袋体において、
前記袋体の側面には、前記引裂テープ部の端部と連続する位置に、タブ状に切り抜かれた切込部が設けられている
ことを特徴とするジッパーテープ付袋体。
【請求項7】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載のジッパーテープ付袋体において、
前記袋体は、ガゼット袋である
ことを特徴とするジッパーテープ付袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる片面リクローザブル型(包材の片面のみにジッパーテープが設けられ、これにより包装袋の内面の一方に再開封可能な開封口が形成される型のことをいう)のジッパーテープ付被装着物およびジッパーテープ付袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
食料品、医薬品、電子部品、事務用品などの各種物品を密封包装するための包装袋として、ジッパーテープを備えた袋(ジッパーテープ付包装袋)が広く使用されている。このようなジッパーテープ付包装袋としては、包装袋の内面の両方に雌雄のジッパーテープがそれぞれ設けられるものの他に、いわゆる片面リクローザブル型のジッパーテープ付包装袋が提案されている。
例えば、一対の包材における対向面の一方に対してジッパーテープがシールされ、雄雌ジッパーテープの2つのシール部の間に切取部が設けられたジッパーテープ付包装袋が提案されている(特許文献1)。また、一対の対向面を有する包材の一方の表面に対してジッパーテープがシールされ、ジッパーテープの帯状基部同士がシールされたジッパーテープ付包装袋が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−56248号公報
【特許文献2】米国特許第6481891号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のジッパーテープ付包装袋では、包材に予め切取部が設けられており、この切取部を設けることが必要となる。また、この切取部を設けるために、余分なシールが必要となる。また、特許文献2に記載のジッパーテープ付包装袋では、包材に設けられたミシン目から開封する構成となっており、密閉圧力などの観点から、ジッパーテープの帯状基部同士がシールされている。その結果、ジッパーテープの帯状基部同士がシールされる際に、包材表面にシワが生じやすく、包装袋の外観不良が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、余分なシール箇所を省略し、被装着物表面にシワが生じにくく、被装着物の外観を良好にできるジッパーテープ付被装着物およびジッパーテープ付袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決すべく、本発明は、以下のようなジッパーテープ付被装着物およびジッパーテープ付袋体を提供するものである。
本発明のジッパーテープ付被装着物は、フィルムからなる被装着物と、前記被装着物にシールされたジッパーテープと、を備えたジッパーテープ付被装着物であって、前記ジッパーテープは、雄側咬合部およびこれに連接する雄側帯状基部を有する雄部材と、前記雄側咬合部に咬合可能な雌側咬合部およびこれに連接する雌側帯状基部を有する雌部材とを備え、前記雄側帯状基部および前記雌側帯状基部のうち一方の帯状基部が、前記一方の帯状基部の長手方向と厚み方向とにそれぞれ直交する幅方向のうちの一端側に延びて幅広とされた幅広部を有し、前記幅広部は、前記幅広部に設けられたシール部を介して、前記被装着物にシールされ、他方の帯状基部の前記咬合部と反対側の表面であって、前記咬合部より前記一方の帯状基部の幅広部がある側と対向する、前記他方の帯状基部から剥離可能な引裂テープ部が積層されているとともに、前記幅広部がシールされる前記被装着物の面に前記引裂テープ部を介してシールされていることを特徴とするものである。
【0007】
この発明によれば、被装着物にジッパーテープをシールすることで、被装着物に引裂テープ部を設けることができる。そのため、別途に引裂テープなどを設けるといった従来のジッパーテープ付包装袋と比較して、余分なシール箇所を省略でき、シンプルな形状とできる。そして、余分なシール箇所を省略したことで、被装着物表面にシワが生じにくく、被装着物の外観を良好にできる。また、この発明によれば、引裂テープ部が咬合部より被装着物の開口部側に設けられていることで、開封時に咬合部が邪魔にならないため、開封感の安定性が期待できる。
【0008】
本発明のジッパーテープ付被装着物においては、前記他方の帯状基部は、前記咬合部より前記一方の帯状基部の幅広部がある側と対向する側とは反対側がシール部を介して前記被装着物にシールされていることが好ましい。
この発明によれば、ジッパーテープ付被装着物を開封し、その後再封した場合に、次のような作用が期待できる。すなわち、他方の帯状基部には、咬合部より一方の帯状基部の幅広部がある側と対向する側とは反対側がシール部を介して被装着物にシールされていることで、得られるジッパーテープ付被装着物における上端を持った場合に、咬合部の上端に力がかかるようになる。そのため、このジッパーテープ付被装着物が不用意に開封しないことや、重量物を入れても開かないことが期待できる。
【0011】
本発明のジッパーテープ付被装着物は、特に限定されるものではないが、袋体とすることで、本発明のジッパーテープの効果を期待できる。
当該袋体は1枚のフィルムから形成されていてもよく、2枚のフィルムから形成されていてもよい。
すなわち、本発明のジッパーテープ付袋体は、前記ジッパーテープ付被装着物を用いて製造された袋体であり、前記袋体は、前記ジッパーテープ付被装着物である1枚のフィルムからなり、前記袋体が背貼り構造となるように、前記フィルムがシールされてなるものでもよく、あるいは、ジッパーテープ付被装着物を用いて製造された袋体であり、前記袋体は、前記ジッパーテープ付被装着物であるフィルムと他のフィルムの2枚のフィルムからなり、前記2枚のフィルムの対向面の一方に対して前記ジッパーテープがシールされたものでもよい。
1枚のフィルムから形成される場合、例えば、袋体を当該1枚のフィルムの略中央部で折り曲げて端同士を貼り合せる合掌貼りの構造とすることが考えられる。合掌貼りの形態としては、特に限定されるものでもないが、例えば、背貼り構造とする形態が考えられる。
2枚のフィルムから形成される場合、例えば、当該2枚のフィルムの上端、下端、右側面および左側面がシールする構造とすることが考えられる。
本発明のジッパーテープ付被装着物を背貼り構造とする場合、1枚のフィルムを円筒状にして、フィルムの両端同士が合掌貼りとなるように重ねながらシール(背貼りシール)して筒状体とする。その後、筒状体の上端および下端をシールすれば、フィルムの周縁は全てシールされることになり、袋体となる。そのため、この場合におけるフィルムの周縁とは、背貼りシールで重ねられる部分、並びに、筒状体の上端および下端である。被装着物が上記のような袋体である場合には、例えば、上記のような様々なシール方法で得られる袋体に、前記本発明のジッパーテープを適用することができる。
【0012】
本発明のジッパーテープ付被装着物を当該2枚のフィルムの上端、下端、右側面および左側面がシールする構造とする場合には、例えば、2枚のフィルムの四方(上端、下端、右側面および左側面)をシールするような、様々なシール方法で得られる袋体に、前記本発明のジッパーテープを適用することができる。
【0013】
ジッパーテープ付袋体には、引裂テープ部により開封する際に把持可能な部分である切込部が設けられる。
すなわち、本発明のジッパーテープ付袋体は、前記袋体の側面には、前記引裂テープ部の端部と連続する位置に、タブ状に切り抜かれた切込部が設けられているものでもよい。
この切込部は、引裂テープ部の端部の少なくとも一方に設けられればよく、その形態は特に限定されない。例えば、この切込部は、タブ状に切り抜かれた形態であってもよく、被装着物の側面まで一組の切込みが入れられた形態であってもよい。前記タブの形状は把持可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば、引裂テープ部よりも幅広の構造とすることが考えられる。
切込部は、部分的にシールされている部分(部分シール部)に設けられることが好ましい。この部分シール部とは、被装着物の側面の少なくとも一部分に設けられていればよく、前記切込部の少なくとも3方を囲む様に設けられていることが好ましい。部分シール部の形状は特に限定されず、例えば、四角形状などの多角形状や円弧形状などであってもよい。この切込部がタブ状に切り抜かれた形態である場合、引裂テープ部による開封において、被装着物のジッパーテープがシールされていない面の一部を切断することになる。そこで、このような場合、被装着物のジッパーテープがシールされていない面には、引裂テープ部と切込部とが連続する部分に、引裂テープ部と接する部分を横断するように(より好ましくは引裂テープ部の長手方向と直交する方向に)、ノッチが設けられていることが好ましい。このノッチが設けられていることにより、引裂テープ部により被装着物を開封する際に、ジッパーテープがシールされていない面の一部を選択的に切断できる。
さらに、本発明のジッパーテープ付袋体は、前記袋体は、ガゼット袋であるものでもよい。
【0014】
本発明のジッパーテープ付袋体においては、前記被装着物を構成するフィルムおよび前記ジッパーテープのうちの少なくともいずれかには、持ち手部が設けられていることが好ましい。
本発明のジッパーテープ付被装着物における、ジッパーテープを開封するための持ち手部とは、開封時にジッパーテープ付被装着物と手との間の摩擦を向上させる機能を持ったものであれば特に限定されず、例えば、被装着物および前記ジッパーテープのうちの少なくともいずれかに、隆起された突起が設けられていれば、好適にジッパーテープを開封することが期待できる。当該突起の形状は、特に限定されるものではないが、円形状や多角形状がジッパーテープの長手方向と同方向に一体となって、一箇所以上設けられていてもよく、円錐状、多角錐、円柱または多角柱の突起が複数設けられていてもよい。
被装着物が袋体である場合には、引裂テープ部によって袋体を切断した後において、ジッパーテープの咬合部の咬合を外す際に、この持ち手部を利用できる。
本発明のジッパーテープ付包材は、フィルムと、前記フィルムにシールされたジッパーテープと、を備えたジッパーテープ付包材であって、前記ジッパーテープは、雄側咬合部およびこれに連接する雄側帯状基部を有する雄部材と、前記雄側咬合部に咬合可能な雌側咬合部およびこれに連接する雌側帯状基部を有する雌部材とを備え、前記雄側帯状基部および前記雌側帯状基部のうち一方の帯状基部が、前記一方の帯状基部の長手方向と厚み方向とにそれぞれ直交する幅方向のうちの一端側に延びて幅広とされた幅広部を有し、前記幅広部は、前記幅広部に設けられたシール部を介して、前記フィルムにシールされ、他方の帯状基部の前記咬合部と反対側の表面であって、前記咬合部より前記一方の帯状基部の幅広部がある側と対向する側は、前記他方の帯状基部から剥離可能な引裂テープ部が積層されているとともに、前記フィルムに前記引裂テープ部を介してシールされていることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態におけるジッパーテープ付被装着物の密封状態を示す正面図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3】実施形態のジッパーテープを被装着物に融着する前の状態を示す断面図である。
図4図1のIV−IV断面図であって、ジッパーテープを被装着物に融着して密封した状態を示す断面図である。
図5】実施形態におけるジッパーテープ付包材を示す斜視図である。
図6】実施形態で用いた製袋装置の一部を示す斜視図である。
図7】他の実施形態におけるジッパーテープ付被装着物の密封状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ジッパーテープ付包装袋の構成)
本発明の実施形態におけるジッパーテープ付被装着物(ジッパーテープ付包装袋1)は、図1に示すように、袋体2と、ジッパーテープ3と、を備えている。袋体2は、図2に示すように、背貼り構造のものであり、図1に示すように、第一正面部21、第二正面部22、底部23および開口部24を有している。なお、本実施形態では、ジッパーテープ付被装着物として、ジッパーテープ付包装袋1を例に挙げて説明するが、被装着物は包装袋に限定されるわけではない。
【0017】
(ジッパーテープの構成)
ジッパーテープ3は、図3に示すように、一対の雄部材31および雌部材32を備えている。そして、雄部材31および雌部材32は、これらの一部である雄側咬合部31Bおよび雌側咬合部32Bにおいて咬合している。
雄部材31は、袋体2の第二正面部22に対してシールされる雄側帯状基部31Aと、断面が略鏃(やじり)形状の雄側咬合部31Bと、これら雄側帯状基部31Aおよび雄側咬合部31Bを連結する連結部31Cと、を備えている。雌部材32は、雄部材31と同様に、袋体2の第二正面部22に対してシールされる雌側帯状基部32Aと、この雌側帯状基部32Aと連結して形成され、雄部材31の雄側咬合部31Bと係脱可能な、断面が凹状の雌側咬合部32Bと、を備えている。
ジッパーテープ3は、雄部材31の雄側咬合部31Bと雌部材32の雌側咬合部32Bとが離れたり咬合したりすることにより、開封または再封が行われることとなる。
【0018】
このジッパーテープ3においては、図3に示すように、雌側帯状基部32Aが雄側帯状基部31Aより袋体2の開口部24側に向かって幅広とされた幅広部321を有している。
また、雄側帯状基部31Aにおける雄側咬合部31Bと反対側の表面には、ジッパーテープ3の長手方向と平行に、引裂テープ部33が積層されている。この引裂テープ部33は、雄側咬合部31Bより袋体2の開口部24側に、積層されている。
この引裂テープ部33は、雄側帯状基部31Aから剥離できる易剥離部331と、袋体2の第二正面部22にシールされる融着部332と、を備えている。引裂テープ部33は、雄側帯状基部31Aから剥離でき、かつ、袋体2の第二正面部22にシールされるものである。
また、雄側帯状基部31Aにおける雄側咬合部31B側の表面には、雄側咬合部31Bより袋体2の開口部24側に、持ち手部34が設けられている。さらに、幅広部321における雌側咬合部32B側の表面には、持ち手部34が設けられている。
この持ち手部34の形状は、三角形状であるがこれに限定されず、円形状や多角形状であってもよい。また、この持ち手部34は、ジッパーテープ3の長手方向のわたり設けられているがこれに限定されず、長手方向における一箇所に設けられていてもよく、所定の間隔を空けつつ複数箇所に設けられていてもよい。
【0019】
ジッパーテープ3は、図4に示すように、引裂テープ部33が袋体2の第二正面部22と対向するようにして、袋体2の内面のうち第二正面部22の開口部24側の表面にシールされている。シール部Sは、図1および図4に示すように、ジッパーテープ3の長手方向と平行となるように、雄側帯状基部31A、引裂テープ部33および幅広部321に、合計3箇所設けられている。ここで、雄側帯状基部31Aにおけるシール部Sは、雄側咬合部31Bより袋体2の開口部24の反対側に設けられる。
【0020】
(袋体の構成)
袋体2は、図2に示すように、第一正面部21、および、この第一正面部21と対向する第二正面部22を備えている。また、袋体2は、図1に示すように、底部23および開口部24を有している。さらに、袋体2は、図1および図2に示すように、フィルムを背シール部25で接合されてなり、背シール部25は、合掌貼りで形成されている。また、袋体2の内面のうち第二正面部22の開口部24側の表面には、ジッパーテープ3がシールされている。
また、袋体2の右側面で、かつジッパーテープ3がシールされている部分の近傍には、図1に示すように、部分シール部PSが設けられている。そして、この部分シール部PSには、ジッパーテープ3の引裂テープ部33の端部と連続するように、タブ状に切り抜かれた切込部26が形成されている。さらに、第一正面部21における引裂テープ部33と切込部26とが連続する部分の任意の箇所には、引裂テープ部33の長手方向と直交する方向に、ノッチNが設けられている。
【0021】
(ジッパーテープおよび袋体を構成する材料)
ジッパーテープ3の雄部材31および雌部材32としては、一般的に使用されているポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いて形成したものを用いることができる。このようなポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、およびブロックポリプロピレン(BPP)などが挙げられる。他のポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体、およびポリオレフィン系特殊軟質樹脂(TPO樹脂。例えばプライムポリマーTPO)などが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は一種を単独で使用してもよく、また二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、引裂テープ部33の易剥離部331は、例えば延伸したポリエチレンテレフタレート(OPET)、延伸したポリプロピレン(OPP)、および延伸した高密度ポリエチレン(HDPE)などの雄部材31および雌部材32とは異質かつ非相溶性の樹脂で形成される。さらに、引裂テープ部33の融着部332は、引裂テープ部33を袋体2に融着するために設けられ、メタロセンLLDPEなどで形成することが望ましい。
【0022】
袋体2を構成するフィルムとしては、熱可塑性樹脂にて形成されたフィルムを使用できる。熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、およびブロックポリプロピレン(BPP)などが挙げられる。このようなフィルムは、単層フィルムでもよいが共押出による多層フィルムでもよい。
また、これらの熱可塑性樹脂により形成された単層フィルムまたは共押出多層フィルムに対して、アルミニウムを蒸着したり、アルミニウム箔を積層したりしてもよい。このようにすることにより、フィルムに対してガスバリアー性、遮光性などの諸特性を付与することができる。
【0023】
(ジッパーテープ付包装袋の作製方法)
ジッパーテープ付包装袋1は、例えば、図5に示すようなジッパーテープ付包材を用いて、以下説明するようにして作製することができる。
ジッパーテープ付包材としては、図5に示すように、袋体2を構成するフィルム20と、このフィルム20の一方の表面にシールされた複数のジッパーテープ3と、を備えるものを用いる。ここで、複数のジッパーテープ3は、このフィルム20から形成されるジッパーテープ付包装袋ごとに、それぞれ設けられるよう、所定間隔で設けられている。
そして、図6に示すような製袋装置を用いて、以下のようにしてジッパーテープ付包装袋1を作製できる。
すなわち、図6に示すように、複数のジッパーテープ3を備えるフィルム20が、製袋装置4の円筒フォーマ41に巻かれつつ、送りベルト42によって下方に送られる。ここで、フィルム20の両端同士が合掌貼りとなるように重ねられて送られる。そして、シールバー43より背シール部25が形成されて円筒状の袋体2となる。
次いで、図10に示すように、袋体2の底部23をシールバー44によりシールし、その後、円筒フォーマ61の内部空間を通して内容物の充填を行った後、袋体2の開口部24をシールバー44によりシールし、適宜切断してジッパーテープ付包装袋1を得ることができる。なお、ジッパーテープ付包装袋1には、図1に示すように、ジッパーテープ3の右側面に部分シール部PSが設けられ、この部分シール部PSには、タブ状に切り抜かれた切込部26が形成される。さらに、第一正面部21における引裂テープ部33と切込部26とが連続する部分の任意の箇所には、引裂テープ部33の長手方向と直交する方向に、ノッチNが設けられる。
【0024】
(ジッパーテープ付包装袋の開封方法および再封方法)
次に、図1および図4を用いて本実施形態のジッパーテープ付包装袋1の開封方法を説明する。
図1に示すように、ジッパーテープ3の引裂テープ部33の端部には、引裂テープ部33と連続するように切込部26が形成されている。
開封するときは、これらの切込部26によって把持可能となった引裂テープ部33の端部と、引裂テープ部33と重なっている袋体2の一部を把持する。そして、そのまま引裂テープ部33が袋体2から離れる方向に引くことで、先ずはノッチNから袋体2の第一正面部21の一部が切断され、次いで袋体2の第二正面部22の一部が切断され、開封することができる。なお、開封時には、ジッパーテープ3の雄側帯状基部31Aと引裂テープ部33との間で剥離する。
引裂テープ部33によって切断した後は、ジッパーテープ3の雄側咬合部31Bと雌側咬合部32Bとの咬合を外すことによって、ジッパーテープ付包装袋1を開封することができる。一方、ジッパーテープ付包装袋1を再封する場合には、雄側咬合部31Bと雌側咬合部32Bとを咬合させて、咬合状態とすればよい。
【0025】
(実施形態の効果)
前記したような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)袋体2にジッパーテープ3をシールすることで、袋体2に引裂テープ部33を設けることができる。そのため、別途に引裂テープなどを設けるといった従来のジッパーテープ付包装袋と比較して、余分なシール箇所を省略でき、シンプルな形状とできる。また、余分なシール箇所を省略したことで、包材表面にシワが生じにくく、ジッパーテープ付包装袋1の外観を良好にできる。
(2)引裂テープ部33が雄側咬合部31Bより袋体2の開口部24側に設けられていることで、開封時に雄側咬合部31Bおよび雌側咬合部32Bが邪魔にならないため、開封感の安定性が期待できる。
(3)ジッパーテープ付包装袋1を開封し、その後再封した場合に、次のような作用が期待できる。すなわち、雄側帯状基部31Aには、雄側咬合部31Bより袋体2の開口部24の反対側にシール部Sが設けられていることで、得られるジッパーテープ付包装袋1における上端を持った場合に、雄側咬合部31Bの上端に力がかかるようになる。そのため、このジッパーテープ付包装袋1が不用意に開封しないことや、重量物を入れても開かないことが期待できる。
(4)引裂テープ部33によって袋体2を切断した後において、ジッパーテープ3の雄側咬合部31Bおよび雌側咬合部32Bの咬合を外す際に、この持ち手部34を利用できる。
(5)ジッパーテープ3が袋体2の内面のうち一方のみ(第二正面部22)に設けられている。このような構成であれば、ジッパーテープが袋体の両内面に設けられている場合と異なり、ジッパーテープの咬合部が袋体の内面に露出しないので、内容物を収納する際に邪魔となりにくい。そのため、袋体2に図示しない内容物を収納する場合、袋体2の底部23からだけでなく、開口部24からも内容物を収納できる。
【0026】
[実施形態の変形]
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
【0027】
例えば、本実施形態のジッパーテープ付包装袋1を製造する方法は、特に前記方法に限定されず、適宜公知の方法によって製造してもよい。例えば、袋体2は、図7に示すように、2枚のフィルムからなり、前記2枚のフィルムの上端(開口部24)、下端(底部23)、右側面27および左側面28がシールされてなる、いわゆる四方製袋式で製造してもよい。このように、本実施形態のジッパーテープ3は、様々なシール方法で得られる袋体2に適用することができる。また、図7に示すように、切込部26がタブ状に切り抜かれた形態である場合、引裂テープ部33による開封において、袋体2のジッパーテープ3がシールされていない面(第一正面部21)の一部を切断することになる。そこで、このような場合、第一正面部21における引裂テープ部33と切込部26とが連続する部分の任意の箇所には、図7に示すように、引裂テープ部33の長手方向と直交する方向に、ノッチNが設けられていることが好ましい。このノッチNが設けられていることにより、引裂テープ部33により袋体2を開封する際に、第一正面部21の一部を選択的に切断でき、このノッチNからの引裂テープ部33による開封ができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、例えば、食品、薬品、医療品、化粧品、および雑貨などの各種物品を包装するための包装袋として、ガゼット袋、ピロー袋などの形状を問わず広く利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…ジッパーテープ付包装袋
2…袋体
21…第一正面部
22…第二正面部
23…底部
24…開口部
25…背シール部
26…切込部
3…ジッパーテープ
31…雄部材
31A…雄側帯状基部
31B…雄側咬合部
32…雌部材
32A…雌側帯状基部
32B…雌側咬合部
321…幅広部
33…引裂テープ部
S…シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7