(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097070
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】排気ガス排気システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20170306BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
F01N3/24 T
F02B37/00 301G
F02B37/00 301H
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-281708(P2012-281708)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-43853(P2014-43853A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0094402
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 天 淳
【審査官】
田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−179406(JP,A)
【文献】
特開平09−280046(JP,A)
【文献】
特開平09−280044(JP,A)
【文献】
特開平06−280557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00− 3/38
F01N 13/00−13/20
F02B 37/00−37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスによって作動するターボチャージャーと、
前記ターボチャージャーの下流側に配置された触媒コンバータと、
両端部に入口部及び出口部それぞれが形成され、前記ターボチャージャーから排出される排気ガスを前記触媒コンバータに移送する連結パイプと、
を含み、
前記連結パイプは、
ターボチャージャーと連結される前記入口部の内径が小さく、触媒コンバータに連結される前記出口部の内径が大きいコーン形状であり、
一端に前記入口部が形成され、他端に前記出口部の一部を形成する第1出口部が形成された第1部材と、
前記第1部材に接合されて前記第1出口部と一緒になって前記出口部を形成する第2出口部が形成された第2部材と、を含み、
前記第1部材は、前記入口部に接合され、前記ターボチャージャーの出口部と締結されるフランジを更に含み、第1部材の外側周りに沿って前記フランジと溶接されて溶接部を形成し、
前記フランジは、ステンレス鋼の鋳造であり、全体的な熱変形を均一にして排気ガスのリークを減らすために、前記ターボチャージャーの出口部と同一の材質とすることを特徴とする排気ガス排気システム。
【請求項2】
前記第1部材の前記第1出口部と、前記第2部材の前記第2出口部と、は相互に接合されて一つの閉曲線形状の前記出口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス排気システム。
【請求項3】
前記第1部材の前記入口部は円形であり、
前記第1部材の第1出口部と、前記第2部材の第2出口部と、は相互に対応する半円形を有し、相互に接合されて円形の前記出口部を形成することを特徴とする請求項2に記載の排気ガス排気システム。
【請求項4】
前記第2部材は、前記連結パイプの内部から外部に通じるセンサーホールが少なくとも一つ形成されたことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス排気システム。
【請求項5】
前記第1部材及び前記第2部材はステンレス鋼をプレス成型することによって形成され、これを接合することによって前記連結パイプが製造されることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス排気システム。
【請求項6】
排気ガスによって作動するターボチャージャーと、
前記ターボチャージャーの下流側に配置された触媒コンバータと、
両端部に入口部及び出口部それぞれが形成され、前記ターボチャージャーから排出される排気ガスを前記触媒コンバータに移送する連結パイプと、
を含み、
前記連結パイプは、
ターボチャージャーと連結される前記入口部の内径が小さく、触媒コンバータに連結される前記出口部の内径が大きいコーン形状であり、
一端に前記入口部が形成され、他端に前記出口部の一部を形成する第1出口部が形成された第1部材と、
前記第1部材に接合されて前記第1出口部と一緒になって前記出口部を形成する第2出口部が形成された第2部材と、を含み、
前記第1部材は、前記入口部に接合され、前記ターボチャージャーの出口部と締結されるフランジを更に含み、第1部材の外側周りに沿って前記フランジと溶接されて溶接部を形成し、
前記フランジは、ステンレス鋼の鋳造であり、全体的な熱変形を均一にして排気ガスのリークを減らすために、前記ターボチャージャーの出口部と同一の材質であり、
前記連結パイプの前記入口部が、前記ターボチャージャーから排気ガスの供給を受ける閉曲線形状に形成され、
前記連結パイプの前記出口部が、前記第1出口部から前記入口部に近接した部位まで切開部が形成された第1部材に形成された第1出口部と、前記第1部材の前記切開部と対応する対応切開部が形成された第2部材に形成され、前記第1部材の前記第1出口部と一緒になって前記出口部を形成する第2出口部と、が前記切開部と前記対応切開部が互いに接合されることによって閉曲線形状に形成されたことを特徴とする排気ガス排気システム。
【請求項7】
前記切開部は、前記第1出口部と前記第2出口部が接合される地点から、前記入口部に近接した部位まで形成されることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気ガス排気システムに係り、より詳しくは、エンジンから排出される排気ガスを外部に排出する排気ラインに設けられるターボチャージャーとウォームアップ触媒コンバータとを連結するコーン型の連結パイプを備えた排気ガス排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ターボチャージャーとウォームアップ触媒コンバータの間には、フランジとコーン型の連結パイプが配置される。また、フランジと連結パイプを溶接することにより、排気ラインの内部に溶接部位が多くなる。
また、コーン型の連結パイプが鋳物によって形成され、全体的な重量が増加する。
【0003】
更に、溶接部位が高温の排気ガスによって材質が変化し、排気ガスが漏れたり耐久性が減少したりすることがある。
特に、ターボチャージャーを備えたエンジンの場合は、一般的なマルチポイントインジェクション(Multi Point Injection:MPI)又はガソリン直噴射(Gasoline Direct Injection:GDI)エンジンに比較して、振動と温度変化が大きいため、ターボチャージャーとウォームアップ触媒コンバータを連結するコーン型の連結パイプの構造改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−47078号公報
【特許文献2】特開2004−162699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる課題を解決するための本発明の目的は、排気ガスによる溶接部位の材質の特性の変化を最少化して排気ガスが漏れるのを防止し、耐久性を向上させ、連結パイプの重量を軽減した排気ガス排気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による排気ガス排気システムは、排気ガスによって作動するターボチャージャーと、ターボチャージャーの下流側に配置された触媒コンバータと、両端部に入口部及び出口部それぞれが形成され、ターボチャージャーから排出される排気ガスを触媒コンバータに移送する連結パイプと、を含み、
連結パイプが、一端に入口部が形成され、他端に出口部の一部を形成する第1出口部が形成された第1部材と、第1部材に接合されて第1出口部と一緒になって出口部を形成する第2出口部が形成された第2部材と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、第1部材の第1出口部と第2部材の第2出口部とは相互に接合され、一つの閉曲線形状の出口部を形成することができる。
また、第1部材の入口部は円形であり、第1部材の第1出口部と、第2部材の第2出口部と、は相互に対応する半円形を有し、相互に接合されて円形の出口部を形成することができる。
【0008】
また、第2部材は、連結パイプの内部から外部に通じるセンサーホールを少なくとも一つ形成することができる。
また、第1部材は、入口部に接合されターボチャージャーの出口部と締結されるフランジを更に含み、第1部材が、外側周りに沿ってフランジと溶接されて溶接部を形成することができる。
【0009】
また、フランジは、ターボチャージャーの出口部と同一の材質であるステンレス鋼の鋳造で作ることができる。
また、第1部材及び第2部材はステンレス鋼をプレス成型することによって形成され、これらを接合することによって連結パイプを製造することができる。
【0010】
更に、本発明の実施形態による排気ガス排気システムは、排気ガスによって作動するターボチャージャーと、ターボチャージャーの下流側に配置された触媒コンバータと、両端部に入口部及び出口部それぞれが形成され、ターボチャージャーから排出される排気ガスを触媒コンバータに移送する連結パイプと、を含み、
連結パイプの入口部は、ターボチャージャーから排気ガスの供給を受ける閉曲線形状に形成され、連結パイプの出口部は、その内部から外部に通じるように第1出口部から入口部に近接した部位まで切開部が形成された第1部材に形成された第1出口部と、第1部材の切開部と対応する対応切開部が形成された第2部材に形成され、第1部材の第1出口部と一緒になって出口部を形成する第2出口部と、が切開部と対応切開部が互いに接合されることによって閉曲線形状に形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、切開部は、第1出口部と第2出口部が接合される地点から、入口部に近接した部位まで形成できる。
【発明の効果】
【0012】
前述のように、本発明の実施形態による排気ガス排気システムは、ターボチャージャーとウォームアップ触媒コンバータとを連結する連結パイプを鋳物材質で作る場合に比較し、ステンレス鋼をプレス成型することによって、重量を減少させ、かつ原価を節減することができる。
【0013】
また、ターボチャージャーの出口部の材質と同一のステンレス鋼の鋳造フランジを使用することによって、全体的な熱変形が減少し、排気ガスが漏れるのを防止することができる。
また、連結パイプの入口部を一体に形成し、これを溶接を通じてフランジに接合させることによって隙間がなくなり、また排気流路上に溶接部が無くなることによって排気ガスが漏れることを防止し、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による排気ガス排気システムの全体的な斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの側面図である。
【
図4】本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの分解側面図である。
【
図5】本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの入口部と出口部の形状を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態による排気ガス排気システムの全体的な斜視図である。
図1に示すように、排気ガス排気システムは、エンジン110、ターボチャージャー100、フランジ142、連結パイプ140、ウォームアップ触媒コンバータ130、及びマフラー120を含む。
【0016】
エンジン110から排出された排気ガスは、排気マニホールドを通じてターボチャージャー100に流入され、ターボチャージャー100の出口から排出された排気ガスは、連結パイプ140を通じてウォームアップ触媒コンバータ130に移送される。
【0017】
ウォームアップ触媒コンバータ130から排出された排気ガスは、マフラー120を通じて外部に排出される。ウォームアップ触媒コンバータ130の機能は、公知技術であるので、詳細な説明は省略する。
ターボチャージャー100と連結パイプ140とは、フランジ142を通じて連結される。ここで、フランジ142は、連結パイプ140の外側に沿って溶接される。従って、フランジ142は、排気流路の熱変形を防止し、リークを減少させ、耐久性を向上させる。
【0018】
フランジ142はステンレス鋼の鋳造であり、ターボチャージャー100の出口部と同一の材質を使用することによって全体的な熱変形が均一になり排気ガスのリークを減らすことができる。
連結パイプ140は、ステンレス鋼をプレス成型した第1部材200及び第2部材210(
図2参照)を互いに接合させることによって、全体的な部品の重量を節減させることができる。
【0019】
以下に、
図2〜4を参照して、連結パイプ140についてより詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの側面図であり、
図4は本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの分解側面図である。
【0020】
図2及び
図3に示すように、連結パイプ140は第1部材200及び第2部材210を含み、第1部材200と第2部材210が互いに接合されてパイプ型の連結パイプ140を形成する。
【0021】
連結パイプ140は、ターボチャージャー100と連結される入口部400の内径が小さく、ウォームアップ触媒コンバータ130に連結される出口部440の内径が大きいコーン形状である。
第2部材210は、二つのセンサーホール220が形成され、センサーホール220を通じて排気ガスの特性を検知するセンサー(図示せず)が挿入されて装着される。なお、センサーホールの個数は任意に変更できる。
【0022】
更に、フランジ142と連結パイプ140の入口部400とは互いに溶接によって接合され、連結パイプ140の外側に沿ってフランジ142と接合される溶接部230が形成される。
【0023】
図4に例示するように、連結パイプ140の第1部材200の一側には入口部400が形成される。入口部400全体がフランジ142と溶接されて、溶接部230が形成される。
【0024】
第1部材200の一端には入口部400が形成され、他端には第1出口部410が形成される。第1出口部410は、ウォームアップ触媒コンバータ130の入口の一部と連結される。
【0025】
第1部材200には切開部430が形成され、切開部430は、出口部440から入口部400に近接した部位まで形成される。第2部材210には、切開部430と対応する形状の対応切開部432が形成される。ここで、切開部430と対応切開部432が接合されて連結パイプ140が完成される。
【0026】
更に、第1出口部410と対応して、第2出口部420が形成される。第2出口部420は、ウォームアップ触媒コンバータ130の入口の残りと接合される。つまり、第1出口部410と第2出口部420が一つの出口部440を形成する(
図5を参照)。
【0027】
本発明の実施形態で、連結パイプ140は、全体として設定された角度で折れた構造を有し、入口部400と出口部440とが互いに垂直に配置される。
前記切開部430は、前記折れた構造の内部から外部に通じるように形成される。
【0028】
図5は、本発明の実施形態による排気ガス排気システムに適用される連結パイプの入口部と出口部との形状を概略的に示す図である。
図5に示すように、第1部材200の入口部400は、円形の閉曲線に沿って形成される。本発明の実施形態は、入口部400が円形でない他の多様な閉曲線に沿って形成することができる。フランジ142の中心部には、入口部400と対応する排気ガス通路が形成される。
【0029】
また、第1部材200の第1出口部410は、半円形の曲線に沿って形成され、第2部材210の第2出口部420は、第1出口部410と対称の半円形の曲線に沿って形成される。
【0030】
本発明の実施形態で、第1出口部410と第2出口部420とが全て互いに対称的な半円形の曲線を成すように形成される例を説明したが、これは例示に過ぎず、第1、2出口部440は、一つの閉曲線を形成するいずれの形状にも変形して実施することができる。
【0031】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0032】
100 ターボチャージャー
110 エンジン
120 マフラー
130 ウォームアップ触媒コンバータ
140 連結パイプ
142 フランジ
200 第1部材
210 第2部材
220 センサーホール
230 溶接部
400 入口部
410 第1出口部
420 第2出口部
430 切開部
432 対応切開部
440 出口部