(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、積雪・雪解けに伴う泥等によってヘッドランプ等のランプ表面が汚れることを考慮し、そのランプ表面を洗浄液で洗浄するためのランプクリーナ装置を搭載したものがある。この種のランプクリーナ装置としては、例えば特許文献1に示すように、洗浄液を収容するタンクと、タンク側壁の外側に固定保持されて、タンク内の洗浄液を吸い上げて圧送するモータポンプと、モータポンプによって圧送された洗浄液をランプに向けて噴射するノズル装置と、そのノズル装置とモータポンプとを繋ぐ洗浄液供給ホースとを備えた構成のものが提案されている。
【0003】
ところで、上記ランプクリーナ装置におけるノズル装置は、ランプ近辺において、バンパー等の取付け部材(取付け孔周縁部)に取付けられている。
具体的には、ノズル装置は、一般に、その頭部をなすノズルケース内にノズル本体の先端部を一体的に取付け、そのノズル本体の先端部(噴射孔)を、ノズルケースに形成された噴射開口を介して外部に臨ませたものとされており、そのノズル装置は、カラー部材(具体的には二股状のスペーサ)及びばね板(具体的には二股状の波板)を利用することにより取付け孔周縁部に取付けられている。すなわち、ノズル装置を取付け孔周縁部に取付けるに際しては、取付け部材の表面側から取付け孔にノズル装置のノズル本体を挿入することにより、ノズルケースを取付け孔周縁部に着座させ、その取付け孔に挿入されたノズル本体の基端側部分(具体的には他部よりも拡径されたばね受け部が形成されている)と取付け部材との間にカラー部材を介在させると共に、そのカラー部材とノズル本体の基端側部分との間にその両者を離間させる方向に付勢するばね板を介装することが行われる。
これにより、ばね板の付勢力に基づき、カラー部材が取付け部材の内面側に押し付けられる一方、ノズルケースが取付け部材の表面側に押し付けられることになり、ノズル装置は取付け部材に取付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記ノズル装置においては、取付け部材(取付け孔周縁部)に取付けるに際して、カラー部材及びばね板を用いてノズル装置を取付け部材に取付けなければならず、ノズル装置を取付け部材に取付けるためには、独立した取付け具として、少なくとも2部品(ばね板、ばね板が機能するための間隔調整部材(カラー部材)を用意しなければならない。しかも、取付け孔周縁部に対するノズル装置の組付けに際して、その複数の独立した取付け具を取り扱わなければならず、組付け作業性は必ずしも高くはない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、取付け孔周縁部に対する取付けに必要とされる独立した取付け具の部品点数の低減を図ると共に組付け作業性を向上させることができるランプクリーナ装置用ノズル装置を提供することにある。
第2の目的は、上記ランプクリーナ装置用ノズル装置を取付け孔周縁部に組付けるためのランプクリーナ装置用ノズル装置の組付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の目的を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
ランプ近辺の取付け孔の周縁部に取付けられて、該ランプに向けて洗浄液を噴射するランプクリーナ装置用ノズル装置であって、
ノズルケースと、該ノズルケース内に着脱可能に嵌合されるノズル本体と、が備えられ、
前記ノズルケースが、前記ノズル本体を嵌合するための筒体部と、該筒体部の軸心延び方向一端側に該筒体部の径よりも拡径された状態で延長されて該筒体部との間に係止段部が形成されている頭部と、を一体的に備える構成とされ、
前記筒体部に、前記ノズル本体が該筒体部内において正規の組付け位置にあるときに互いに係止関係となって該筒体部に対して該ノズル本体を抜け止め状態とする係止機構における一方の係止部と、該筒体部の径方向に撓み可能に設けられて前記取付け孔周縁部を前記係止段部と協働して挟持する一対の係止爪部と、が備えられ、
前記ノズル本体に、前記係止機構における他方の係止部が備えられ、
前記ノズル本体が、前記一方の係止部と前記他方の係止部とが係止関係となったとき、前記一対の係止爪部の背後に位置するように設定
され、
前記筒体部に、該筒体部の軸心延び方向他端から該筒体部の軸心延び方向一端側に向けて一定幅をもって延びるスリットが形成され、
前記ノズル本体の外周面に、前記スリットに摺動可能に嵌合される突部が設けられ、
前記一方の係止部が、前記筒体部上において、前記突部が前記スリットにより案内されて移動することに伴って移動する前記他方の係止部の移動領域上に配置されている構成とされて
いる。
また、前記第1の目的を達成するために本発明(請求項2に係る発明)にあっては、
ランプ近辺の取付け孔の周縁部に取付けられて、該ランプに向けて洗浄液を噴射するランプクリーナ装置用ノズル装置であって、
ノズルケースと、該ノズルケース内に着脱可能に嵌合されるノズル本体と、が備えられ、
前記ノズルケースが、前記ノズル本体を嵌合するための筒体部と、該筒体部の軸心延び方向一端側に該筒体部の径よりも拡径された状態で延長されて該筒体部との間に係止段部が形成されている頭部と、を一体的に備える構成とされ、
前記筒体部に、前記ノズル本体が該筒体部内において正規の組付け位置にあるときに互いに係止関係となって該筒体部に対して該ノズル本体を抜け止め状態とする係止機構における一方の係止部と、該筒体部の径方向に撓み可能に設けられて前記取付け孔周縁部を前記係止段部と協働して挟持する一対の係止爪部と、が備えられ、
前記ノズル本体に、前記係止機構における他方の係止部が備えられ、
前記ノズル本体が、前記一方の係止部と前記他方の係止部とが係止関係となったとき、前記一対の係止爪部の背後に位置するように設定され、
前記一方の係止部が、前記筒体部外周面に形成される係止孔又は係止爪の一方とされ、
前記他方の係止部が、基端部が前記ノズル本体の外周面に取付けられ該基端部よりも先端側が該ノズル本体に対して離間しつつ該ノズル本体の先端部側に延びる撓み片部と、該撓み片部の先端部に形成された前記係止孔又は係止爪の他方と、を備えている構成とされている。
この請求項1、2の好ましい態様としては、請求項3に記載の通りとなる。
【0008】
前記第2の目的を達成するために本発明(請求項
4に係る発明)にあっては、
請求項1に係るランプクリーナ装置用ノズル装置を用意し、
先ず、前記ノズルケースの筒体部を取付け孔に押し込んで、該ノズルケースにおける係止段部と該ノズルケースにおける一対の係止爪部とにより該取付け孔の周縁部を挟持し、
次に、前記ノズルケースにおける筒体部の他端開口から該ノズルケース内に前記ノズル本体を嵌合して、該ノズルケースにおける一方の係止部と該ノズル本体における他方の係止部との間で係止関係を成立させる、
ことを特徴とするランプクリーナ装置用ノズル装置の組付け方法とした構成としてある。
また、前記第2の目的を達成するために本発明(請求項5に係る発明)にあっては、
請求項2に係るランプクリーナ装置用ノズル装置を用意し、
先ず、前記ノズルケースの筒体部を取付け孔に押し込んで、該ノズルケースにおける係止段部と該ノズルケースにおける一対の係止爪部とにより該取付け孔の周縁部を挟持し、
次に、前記ノズルケースにおける筒体部の他端開口から該ノズルケース内に前記ノズル本体を嵌合して、該ノズルケースにおける一方の係止部と該ノズル本体における他方の係止部との間で係止関係を成立させる、
ことを特徴とするランプクリーナ装置用ノズル装置の組付け方法とした構成としてある。
この請求項
4、5の好ましい態様としては、請求項6に記載の通りとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、ノズルケースの筒体部を取付け孔に押し込んで、ノズルケースにおける係止段部とノズルケースにおける一対の係止爪部とにより取付け孔周縁部を挟持した上で、ノズルケースにおける筒体部の他端開口からノズルケース内にノズル本体を嵌合して、ノズルケースにおける一方の係止部とノズル本体における他方の係止部との間で係止関係を成立させることができ、これにより、ノズルケースとノズル本体とを一体化することができる(ノズルケースに対してノズル本体を抜け止め状態にすることができる)と共に、それに基づき、ノズル本体を一対の係止爪部の背後に位置固定させてその各係止爪部の背後側への撓みを規制することができる。このため、一対の係止爪部と係止段部とにより取付け孔周縁部を挟持し続けることができることになり、カラー部材、ばね板等の独立した取付け具を特別に用いなくても、取付け孔周縁部に対して当該ノズル装置を強固に取付けることができる。このように、二分割構造とすれば、その二分割構造を利用して取付け孔周縁部に対する取付け構造を形成できることに着目し、それに基づき具体的に、ノズル装置をノズルケースとノズル本体とに分割し、それらに対して取付け孔周縁部に対する取付け構造を形成したことから、独立した取付け具を不要にすることができる。
また、ノズル装置がノズルケースとノズル本体の二分割構造となるものの、複数の独立した取付け具を不要にして、その取り扱い工程を省くことができ、組付け作業性を向上させることができる。
したがって、当該ノズル装置においては、取付け孔周縁部に対する取付けに必要とされる独立した取付け具自体を不要にできると共に組付け作業性を向上させることができる。
さらに、筒体部に、該筒体部の軸心延び方向他端から該筒体部の軸心延び方向一端側に向けて一定幅をもって延びるスリットが形成され、ノズル本体の外周面に、スリットに摺動可能に嵌合される突部が設けられ、一方の係止部が、筒体部上において、突部が前記スリットにより案内されて移動することに伴って移動する他方の係止部の移動領域上に配置されていることから、ノズルケース内にノズル本体を嵌合させるに際して、突部とスリットとの案内作用を利用することにより、一方の係止部と他方の係止部との間の係止関係を確実に成立させることができる。
さらにまた、ノズルケースにおける筒体部のスリットにノズル本体の突部が嵌合することから、ノズルケースに対してノズル本体が筒体部の軸心を中心として相対回転することを規制できる。このため、ノズルケースに対してノズル本体を、常に正規の状態(噴射可能状態)で位置固定できる。
請求項2に係る発明によれば、一方の係止部が、筒体部外周面に形成される係止孔又は係止爪の一方とされ、他方の係止部が、基端部がノズル本体の外周面に取付けられ該基端部よりも先端側が該ノズル本体に対して離間しつつ該ノズル本体の先端部側に延びる撓み片部と、該撓み片部の先端部に形成された係止孔又は係止爪の他方と、を備えていることから、筒体部へのノズル本体の嵌合に伴い、撓み片部を筒体部の外側に位置させた状態で係止孔又は係止爪の一方と他方とを的確に係止させることができるだけでなく、筒体部に対してノズル本体が組付けられた状態において、撓み片にドライバー等の工具を作用させてその撓み片部を外に開くように撓ませることにより、係止孔又は係止爪の一方と他方との係止関係を容易に解除することができる。このため、ノズル本体をノズルケースから外してメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0010】
請求項
3に係る発明によれば、各係止爪部が、取付け孔周縁部を受け止める係止面として、頭部に向うに従って筒体部の径方向内方に向うように傾斜する傾斜面を有していることから、取付け孔が形成される取付け部材の肉厚や取付け孔に多少、寸法誤差が生じているとしても、係止面の傾斜と、その係止面を有する係止爪部の撓みとに基づき、その取付け孔周縁部を係合段部と係止爪部とで的確に挟持できる。このため、取付け部材の肉厚や取付け孔の寸法誤差を考慮した取付け具(カラー部材、ばね板等)を用いる必要性をなくすことができる。
【0011】
【0012】
【0013】
請求項
4に係る発明によれば、請求項1に係るランプクリーナ装置用ノズル装置を用意し、先ず、前記ノズルケースの筒体部を取付け孔に押し込んで、該ノズルケースにおける係止段部と該ノズルケースにおける一対の係止爪部とにより該取付け孔の周縁部を挟持し、次に、前記ノズルケースにおける筒体部の他端開口から該ノズルケース内に前記ノズル本体を嵌合して、該ノズルケースにおける一方の係止部と該ノズル本体における他方の係止部との間で係止関係を成立させることから、ノズルケースとノズル本体とを一体化することができる(ノズルケースに対してノズル本体を抜け止め状態にすることができる)と共に、それに基づき、ノズル本体を一対の係止爪部の背後に位置固定させてその各係止爪部の背後側への撓みを規制することができる。このため、一対の係止爪部と係止段部とにより取付け孔周縁部を強固に挟持し続けることができ、当該組付け方法を用いれば、前記請求項1に係るノズル装置を、カラー部材、ばね板等の独立した取付け具を特別に用いなくても、取付け孔に対して強固に組付けることができる。
請求項5に係る発明によれば、請求項2に係るランプクリーナ装置用ノズル装置を用意し、先ず、前記ノズルケースの筒体部を取付け孔に押し込んで、該ノズルケースにおける係止段部と該ノズルケースにおける一対の係止爪部とにより該取付け孔の周縁部を挟持し、次に、前記ノズルケースにおける筒体部の他端開口から該ノズルケース内に前記ノズル本体を嵌合して、該ノズルケースにおける一方の係止部と該ノズル本体における他方の係止部との間で係止関係を成立させることから、ノズルケースとノズル本体とを一体化することができる(ノズルケースに対してノズル本体を抜け止め状態にすることができる)と共に、それに基づき、ノズル本体を一対の係止爪部の背後に位置固定させてその各係止爪部の背後側への撓みを規制することができる。このため、一対の係止爪部と係止段部とにより取付け孔周縁部を強固に挟持し続けることができ、当該組付け方法を用いれば、前記請求項2に係るノズル装置を、カラー部材、ばね板等の独立した取付け具を特別に用いなくても、取付け孔に対して強固に組付けることができる。
【0014】
請求項6に係る発明によれば、ノズルケース内にノズル本体を嵌合する前に、予め、ノズル本体に、洗浄液を供給するための洗浄液供給ホースを接続しておくことから、当該ノズル装置がノズルケースとノズル本体の二分割構造とされて、ノズル本体を、取付け部材の内面側から該取付け部材に取付けられたノズルケースに組付けることができることを利用して、洗浄液供給ホースが予めノズル本体に接続されていても、その洗浄液供給ホースを取付け部材に干渉させることなく組付け作業を行うことができる。このため、ノズル本体に対して洗浄液供給ホースを予め接続しておくことにより、組付け作業を極めて迅速に終えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、ランプとしてのヘッドランプ(図示略)を洗浄するヘッドランプクリーナ装置1を示す。このヘッドランプクリーナ装置1においては、洗浄液を収容するタンク2と、タンク2側壁の外側に固定保持されて、タンク2内の洗浄液を吸い上げて圧送するモータポンプ3と、モータポンプ3から洗浄液供給ホース4を介して洗浄液を受け入れその洗浄液を車両の左右に配置されたヘッドランプに向けて噴射するノズル装置5,5と、が備えられている。符号6は、タンク2に洗浄水を注入するための注入口である。
【0017】
前記ヘッドランプクリーナ装置1における各要素2〜6のうち、前記ノズル装置5は、
図1〜
図4に示すように、取付け部材としての車体バンパ−7に取付けられている。
車体バンパ−7は、車幅方向両側における各ヘッドランプ近辺において、取付け孔8をそれぞれ有している(
図12参照)。各取付け孔8は、
図6に示すように、平面視略長孔として車体バンパー7に形成されており、その各取付け孔8は、その幅方向長さを略一定に維持しつつその長手方向を車幅方向に向けるようにされている。この取付け孔8の周縁部8Aのうち、その長手方向両側における周縁部8AAが、ノズル装置5を取付けるための取付け部分となる。
【0018】
前記ノズル装置5は、
図2〜
図5、
図7〜
図9に示すように、樹脂製ノズルケース9と、そのノズルケース9内に着脱可能に嵌合される樹脂製ノズル本体10と、を備えて、二分割構造とされている。
【0019】
前記ノズルケース9は、
図7〜
図9に示すように、円筒部11と、その円筒部11の軸心延び方向一端側(
図4〜
図6中、上端側)外方に延長した状態で設けられる頭部12と、を一体的に有する構成とされている。
頭部12は、その外径が円筒部11の外径よりも多少、拡径されており、この頭部12と円筒部11との間には、係止段部13が該頭部12の全周に亘って形成されている。この頭部12は、円筒部11内に連なる内部空間を有しており、その内部空間は、噴射開口24を介して外部に開放されている。尚、
図8,
図9に示すノズル装置5は、簡略化して記載されている。
【0020】
円筒部11は、その軸心延び方向他端側(
図7〜
図9中、下端側)開口からノズル本体10を嵌合できる内部空間を有していると共に、その円筒部11には、係止関係を成立させるための係止機構14の一方の係止部15Aと、前記取付け孔周縁部8AAを前記係止段部13と協働して挟持するための一対の係止爪部16と、ガイド作用を発揮するスリット22と、が備えられている。
【0021】
係止機構14は、
図7、
図9に示すように、ノズル本体10が円筒部11内において正規の組付け位置にあるときに互いが係止関係となって円筒部11に対してノズル本体10が抜け止め状態となるようにすべく、係止孔15aと、その係止孔15a(周縁部)に係止される係止爪15bとにより構成されており、円筒部11には、その軸心延び方向一方側寄りにおいて、一方の係止部15Aとして係止孔15aが形成されている。この場合、円筒部11の外周面には、一定の幅をもって円筒部11の軸心延び方向全長に亘って延びる平坦面17が形成されており、上記係止孔15aは、その平坦面17の領域内に配置されている。
【0022】
一対の係止爪部16は、
図2〜
図4、
図7〜
図9に示すように、円筒部11上において、上記係止孔15aを基準として、該円筒部11の周方向に90°だけそれぞれ離れるように位置されて、互いに対向配置されている。この各係止爪部16は、帯状の撓み片部18と、その撓み片部18の先端部に設けられる爪部19と、を一体的に有している。
撓み片部18は、円筒部11の周壁に切れ目20を入れることにより形成されており、撓み片部18の基端部は、円筒部11の軸心延び方向他端側において該円筒部11に連なった(連結された)状態とされている。このため、撓み片部18は、その基端部を中心として、その撓み片部18の基端部よりも先端側が、円筒部11の径方向に撓むことができることになっている。勿論この場合、撓み片部18の背面は、円筒部11の他の部分と協働して該円筒部11の内周面を構成すべく、該円筒部11における内周面の曲率の下で平坦面に形成されている(
図4、
図5参照)。
爪部19は、
図4、
図5に示すように、撓み片部18の先端よりも多少、基端部側寄りの位置において、その撓み片部18の全幅に亘って外方に張り出されており、その爪部19と撓み片部18の先端部外面とは、協働して係止面21を構成している。特に本実施形態においては、
図10、
図11に示すように、爪部19が、係止面21として、撓み片部18の先端よりも多少、基端側寄りの位置において外方に張り出す張り出し面19aの他に、その張り出し面19aの先端よりも多少、内方側の位置から、頭部12側に向うに従って円筒部11の径方向内方に向うように傾斜する傾斜面19bを有しており、この傾斜面19bは、後述する如く、取付け孔周縁部8AAを一対の各係止爪部16と係止段部13とにより挟持するに際して、車体バンパー7の肉厚等が正規寸法に対して寸法誤差を生じているとしても、その適正な挟持を可能とする。
【0023】
前記スリット22は、
図8に示すように、円筒部11において、前記一定幅の平坦面17に対向して形成されている。このスリット22は、円筒部11の軸心延び方向他端から該円筒部11の軸心延び方向一端側に向けて一定幅をもって延びており、このスリット22と後述のノズル本体10における突部27とは、協働してガイド作用を発揮することになっている。
【0024】
このようなノズルケース9は、
図2〜
図5に示すように、その頭部12における係止段部13と一対の係止爪部16とを利用することにより取付け孔周縁部8AAに取付けられている(後述の
図13も参照)。すなわち、ノズルケース9は、その頭部12における係止段部13が、車体バンパー7の表面側において取付け孔周縁部8AAに着座されている一方、一対の係止爪部16が、車体バンパー7の内面側において取付け孔周縁部8AAに係止されており、係止段部13と一対の係止爪部16とは、取付け孔周縁部8AAを挟持している。
この場合、車体バンパー7における肉厚が正規の寸法に対して多少、寸法誤差を生じているとしても、また、取付け孔8における幅方向長さが正規寸法に対して多少、寸法誤差を生じているとしても、それらは、係止面21としての傾斜面19bのどこかで受け止められると共に、その傾斜面19bに対する挟持時の取付け孔周縁部8AAによる作用力は、撓み片部18の撓み、撓み片部18及び爪部の変形(素材としての樹脂材の変形)によって吸収される。このため、車体バンパー7の肉厚、取付け孔8の幅方向長さに関し、正規寸法に対して多少、寸法誤差があるとしても、一対の各係止爪部16と頭部12の係止段部13とは、がたつきなく取付け孔周縁部8AAを挟持することになっている。
図11は、車体バンパー7の肉厚が正規寸法のもの(実線参照)に対して薄くなる場合(
図11中、仮想線参照)、取付け孔8における幅方向長さが正規寸法のものに対して長くなる場合(
図11中、仮想線参照)において、そのような取付け孔周縁部8AAを係止段部13と爪部19の傾斜面19bとが適正に挟持する状態を示している。
【0025】
前記ノズル本体10は、
図2〜
図5に示すように、車体バンパー7に取付けられたノズルケース9内に正規の組付け位置まで嵌合されている。
ノズル本体10は、
図7〜
図9に示すように、略円柱状に形成されており、その延び方向内方部分10aの外径がその延び方向両側部分10bの外径に比して縮径されている。ノズル本体10の一端部である先端部には、洗浄液を噴射するための洗浄液噴射部26が形成され、ノズル本体10の他端部である基端部には、洗浄液供給ホース4を接続するための接続口35が他の部分に比して拡径された状態をもって形成されている。この洗浄液噴射部26は、ノズルケース9における頭部12の噴射開口24を介して外部に臨み、接続口25は円筒部11の軸心延び方向他端側外方に配置されており、この洗浄液噴射部26と接続口25とは、ノズル本体10内部における連通路(図示略)を介して連通されている。このため、ノズル本体10の接続口25から洗浄液が供給された場合には、その洗浄液は、洗浄液噴射部26、噴射開口24を介してヘッドランプに向けて噴射される。
【0026】
前記ノズル本体10の外周面には、
図8に示すように、突部27が形成されている。突部27は、本実施形態においては、平面視略U字状に形成されたガイド壁により構成されており、その突部27は、円筒部11のスリット22に摺動可能に嵌合されている。このため、突部27は、スリット22により案内されつつスライドできると共に、スリット22への突部27の嵌合により、ノズルケースとノズル本体10とは相対回転が規制されることになっている。
【0027】
前記ノズル本体10には、
図2〜
図4、
図7、
図9に示すように、該ノズル本体10を挟んで前記突部27に対して対向する位置において、ストッパ部28と、前記係止機構14における他方の係止部15Bと、が備えられている。
ストッパ部28は、ノズル本体10の外周面上に、接続口25よりも多少、該ノズル本体10の軸心延び方向内方側において設けられている。このストッパ部28は、ノズルケース9における平坦面17の幅方向にその幅方向長さよりも多少長い長さをもって延びており、そのノズルケース9内へのノズル本体10の進入に伴うストッパ部28の移動領域には、円筒部11の軸心延び方向他端面により構成されるストッパ受け面29が臨んでいる。このような配置構成の下で、ノズルケース9内にノズル本体10が正規の組付け位置にまで嵌合されている状態においては、ストッパ部28がストッパ受け面29に当接され、ノズルケース9内へのノズル本体10のそれ以上の進入が規制されている。
【0028】
他方の係止部15Bは、撓み片部30と、係止爪15bと、を一体的に有する構成とされている。撓み片部30は、その基端部が上記ストッパ部28上に連結され、その基端部よりも先端部側部分は、ノズル本体10の先端側に折曲されて、該ノズル本体10に対して離間しつつ該ノズル本体10の先端部側に延ばされている。係止爪15bは、撓み片部30の先端部に形成されている。円筒部11におけるスリット22に突部27を嵌合させつつ円筒部11内にノズル本体10を進入させた場合には、円筒部11における係止孔15aにノズル本体10における係止爪15bが係止されるように設定されており、ノズルケース9内にノズル本体10が正規の組付け位置にまで嵌合されている状態においては、係止孔15aと係止爪15bとの間で係止関係が成立した状態となっていて、ノズル本体10は、円筒部11に対して抜け止め状態となっている。この場合、ストッパ部28とストッパ受け面29との当接は、係止孔15aと係止爪15bとが係止関係を成立させると同時に生じるように設定されている。
【0029】
前記ノズル本体10の外周面には、
図3〜
図5、
図7に示すように、前記延び方向内方部分10aにおいて、一対の摺動壁部32が一体的に設けられている。各摺動壁部32は、ノズル本体10の周方向において、突部27と他方の係止部15Bとの間に配置されており、両摺動壁部32は、ノズル本体10を間に挟んだ状態で対向配置されている。摺動壁部32は、ノズル本体10の延び方向内方部分10aにおいて、そのノズル本体10の延び方向に延びる第1摺動壁部32aと、その第1摺動壁部32aをその延び方向略中央において横切る第2摺動壁部32bと、を備えており、これらは、ノズルケース9内へのノズル本体10の進入時にその両者9,10ががたつかないようにすべく、円筒部11内周面に対して摺動するように設定されている。しかも、この摺動壁部32は、少なくとも係止孔15aと係止爪15bとの間で係止関係を成立したときには、前記一対の各係止爪部16の背後にそれぞれ位置するように設定されていて、各係止爪部16が背後に撓むことが規制されることになっている。ノズルケース9内にノズル本体10が正規の組付け位置にまで嵌合されている状態においては、前述の如く、少なくとも係止孔15aと係止爪15bとの間で係止関係が成立する状態となっており、これに伴い、一対の各係止爪部16は、その背後に撓むことが規制されている。
【0030】
したがって、このように車体バンパー7にノズル装置5が取付けられたヘッドランプクリーナ装置1においては、車体バンパー7にノズル装置5がしっかりと取付けられていることから、ヘッドランプ(図示略)に対して洗浄液を噴射してヘッドランプを洗浄することができる。この結果、泥などの付着によってヘッドランプの機能(配光)が低下していても、そのヘッドランプの機能を回復し、視認性を確保することができる。
【0031】
また、ノズル装置5をノズルケース9とノズル本体10とに分割し、それらに対して取付け孔周縁部8AAに対する取付け構造として、係止段部13、一対の係止爪部16、係止機構14(係止孔15a、係止爪15b)、摺動壁部32等を形成し、それらを、ノズルケース9内へのノズル本体10への進入に際して利用してノズル装置5を組み立てると共に車体バンパー7に対して取付けるようにしたことから、独立した取付け具を不要にすることができる。これに伴い、独立した取付け具の取り扱い工程を省くことができ、組付け作業性を向上させることができる。
【0032】
さらに、各係止爪部16における爪部19の係止面21として、傾斜面19bを有していることから、車体バンパー7の肉厚や取付け孔8に多少、寸法誤差が生じているとしても、傾斜面19bの傾斜、その傾斜面を有する係止爪部16の撓み等に基づき、その取付け孔周縁部8AAを係合段部13と係止爪部16とで的確に挟持できる。このため、車体バンパー7の肉厚や取付け孔8に関し、正規の寸法に対して寸法誤差があるとしても、その寸法誤差を考慮した取付け具(カラー部材、ばね板等)を用いる必要はなくなる。
さらにまた、他方の係止部15Bが、基端部がノズル本体10の外周面に取付けられ基端部よりも先端側がノズル本体10に対して離間しつつノズル本体10の先端部側に延びる撓み片部
30を備えていることから、円筒部11に対してノズル本体10が組付けられた状態において、撓み片部
30にドライバー等の工具を作用させてその撓み片部
30を外に開くように撓ませることにより、係止孔15a、係止爪15bとの係止関係を容易に解除することができる。このため、ノズル本体10をノズルケース9から外してメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0033】
次に、車体バンパー7に対する上記ノズル装置5の組付け方法について説明する。
先ず、ノズル装置5を構成するノズルケース9とノズル本体10とを用意し、そのうち、ノズルケース9の円筒部11を、
図12、
図13に示すように、車体バンパー7の表面側から取付け孔9に押し込んで、ノズルケース9の係止段部13を取付け孔周縁部8AAに着座させる。これにより、取付け孔8の周縁部8AAにより爪部19が円筒部11の径方向内方に押されて、撓み片部18はその方向に撓むことになり、この後、爪部19が取付け孔8を通過すると、撓み片部18は元の位置に復帰し、爪部19の係止面21と頭部12の係止段部13とは、ノズルケース9を車体バンパー7に対して仮留めすべく、取付け孔周縁部8AAを挟持する。
【0034】
次に、
図13に示すように、上記車体バンパー7に仮留めされたノズルケース9における円筒部11内にその軸心延び方向他端開口からノズル本体10を進入させて、円筒部11における係止孔15aにノズル本体10における係止爪15bを係止させると共に、円筒部11のストッパ受け面29にノズル本体10のストッパ部28を当接させる。これにより、ノズルケース9内において、そのノズルケース9に対してノズル本体10がその軸心方向に変位動不能となると共に、摺動壁部32が一対の係止爪部16の背後に位置してその各係止爪部16の背後への撓みを規制する。このため、
図2〜
図5に示すように、係止段部13と各係止爪部16とがしっかりと挟持し続けることになり、ノズル装置5は車体バンパー7に取付けられたことになる。
【0035】
本実施形態においては、ノズルケース9内にノズル本体10を進入させるに際して、ノズルケース9のスリット22にノズル本体10の突部27が嵌合され、その嵌合状態を保ちつつ、ノズルケース9内にノズル本体10が進入される。これにより、スリット22と突部27との案内作用に基づき、ノズルケース9の係止孔15aにノズル本体10の係止爪15bが確実に係止される。また、ノズルケース9の係止孔15aとノズル本体10の係止爪15bとの係止関係が成立した後においては、スリット22と突部27との嵌合関係に基づき、ノズルケース9に対してノズル本体10が相対回転することが規制され、洗浄液噴射部26を常にノズルケース9の噴射開口24に臨ませておくことができる。このため、このような二分割構造のノズル装置5を用い、それを車体バンパー7の取付け周縁部8AAに取付けても、洗浄液を適正且つ確実にヘッドランプに噴射できる。
【0036】
また、車体バンパー7の取付け孔8AAに仮留めされたノズルケース9内にノズル本体10を進入させるに際しては、
図14に示すように、予め、ノズル本体10に、洗浄液を供給するための洗浄液供給ホース4を接続しておくことが好ましい。
これにより、ノズル装置5がノズルケース9とノズル本体10の二分割構造とされて、ノズル本体10を、車体バンパー7の内面側から取付け孔周縁部8AAに仮留めされたノズルケース9に組付けることができ、洗浄液供給ホース4を予めノズル本体10に接続されていても、その洗浄液供給ホース4が車体バンパー7内面側に配設されるものであることから、組付け時にその洗浄液供給ホース4が車体バンパー7に干渉することはない。このため、ノズル本体10に対して洗浄液供給ホース4を予め接続した状態で組付け作業を行うことができ、組付け作業を極めて迅速に終えることができる。
尚、
図14中、符号33は、洗浄液供給ホース4とノズル本体10の接続口25を接続する接続具である。
【0037】
これに対して、従前のノズル装置5’は、その頭部12’をなすノズルケース9’内にノズル本体10’の先端部が一体的に取付けられている。このノズル装置5’を取付け孔周縁部に取付けるに際しては、先ず、
図15に示すように、車体バンパー7’の表面側から取付け孔にノズル装置5’のノズル本体10’を挿入して、ノズルケース9’(頭部12’)を取付け孔周縁部に着座させ、その取付け孔に挿入されたノズル本体10’の拡径された基端側部分40’と車体バンパー7’との間にカラー部材(具体的には二股状のスペーサ)41’を介在させる。続いて、
図16に示すように、そのカラー部材41’とノズル本体10’の基端側部分40’との間にその両者40’,41’を離間させる方向に付勢するばね板(具体的には二股状の波板)42’を介装する。
これにより、ばね板42’の付勢力に基づき、カラー部材41’が車体バンパー7’の内面側に押し付けられる一方、ノズルケース9’が車体バンパー7’の表面側に押し付けられることになり、ノズル装置5’は車体バンパー7’に取付けられるが、独立した取付け具として、少なくともばね板42’、カラー部材41’を用意しなければならなくなる。
【0038】
以上実施形態について説明したが、本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)ノズルケース9とそのノズルケース9内に嵌合されるノズル本体10とが、嵌合時に相対回転することを規制するために、ノズルケース9内の内周形状及びノズル本体10の外周形状を非円形とすること。
(2)一方の係止部15Aを係止爪とし、他方の係止部15Bを係止孔とすること。
(3)ストッパ部28とストッパ受け面29との当接を、係止孔15aと係止爪15bとの係止関係を確実に成立させる観点から、その係止関係の成立後、若干、ノズル本体10がノズルケース9内に進入した後に生じるように設定すること。