(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る壁面診断結果記録システム、壁面診断結果記録方法、及び壁面診断結果記録プログラムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0029】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る壁面診断結果記録システム、壁面診断結果記録方法、及び壁面診断結果記録プログラムは、壁面における診断対象部に対する診断結果を記録するシステム、方法、及びプログラムである。
【0030】
ここで、診断の対象となる「壁面」とは、所定の建物や工作物の表面の事であり、具体的な構成は任意であるが、各実施の形態では、建物の壁面であって、上下左右に沿って並設された複数のタイルによって表層が構成された壁面であるものとして説明する。なお、その他の壁面として、例えば、建物の躯体の外面にモルタルを敷設し、そのモルタルのさらに外面に塗装を行うことによる外壁仕上げが施された壁面であっても良い。また、「診断対象部」とは、壁面において診断員が診断を行う対象のことであり、各実施の形態では、壁面を構成する複数のタイルの各々を診断対象部とする。また、「診断」とは、例えば目視や打診等によって診断員が診断対象部の壁面の状態を判定することであるが、各実施の形態では、診断員が、壁面を打診棒によって打診することによって、壁面の状態を判定することを示す。この「壁面の状態」としては、「汚損」、「剥離」、「亀裂」等の有無を判定するものとして説明するが、これ以外の状態(例えば、ひび割れと浮きとの関連性、あるいは、シール切れとエフロレッセンスとの関連性等)を含めてもよい。また、「診断結果」とは、診断員が壁面を診断することにより判定した壁面の状態のことである。
【0031】
各実施の形態において、概略的には、診断員による診断結果を取得し、カメラにて撮影した壁面画像であって、少なくとも診断対象部を含む壁面画像を取得し、この取得した診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録する。診断員による診断結果の取得は、壁面に沿って移動可能となるように構成された架台を用いて、診断員が壁面に沿って移動しながら診断を行い、この診断結果を所定手段を介して取得することにより行う。診断対象部を含む壁面画像の取得は、架台に設置したカメラを介して行う。診断結果の記録については後述する。
【0032】
このようにカメラで壁面画像の取得を行うことに関して、壁面全体の画像を漏れや重複が生じないように取得するため、撮影範囲と画像処理の工夫を施している。「撮影範囲」とは、カメラによって撮影することが可能な範囲である(各実施の形態においては、後述するようにカメラを2台使用しているため、これら2台のカメラによって撮影することが可能な範囲を撮影範囲と称する)。ここで、カメラの解像度の関係上、及び、カメラと壁面との間に位置する障害物等の関係上、壁面全体を遠方から1度に撮影することは現実的には困難である。そのため、カメラを壁面に沿って移動させることにより、撮影範囲を順次移動させながら撮影を行う。このような撮影にて取得した多数の撮影範囲の画像に基づいて、画像処理を行うことによって壁面全体の画像を生成する。このため、撮影範囲は互いに重複するように設定し、この重複部分を目印として複数の壁面画像を統合(モザイキング)することにより、単一の壁面画像を生成する。なお、2台のカメラは、撮影範囲の全てが互いに重複するのではなく、壁面における互いに重複しない部分を少なくとも含む範囲を撮影するものとし、このことによって、1台のカメラのみで撮影を行う場合に比べて、より広い撮影範囲を確保することが可能となる。
【0033】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0034】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。実施の形態1は、携帯端末1に設けられたタッチパネル11に対して診断結果を入力することによってデータ記録部14に診断結果を記録することを可能とした形態である。
【0035】
(構成)
最初に、本実施の形態1に係る壁面診断結果記録システムを用いて壁面診断を行うための構成について説明する。
図1は、壁面の診断を行う診断員を示す斜視図である。この
図1に示すように、実施の形態1においては、架台2に搭乗した診断員が打診棒4と携帯端末1とを所持した状態において壁面の診断を行う。この架台2は、架台移動機構(図示省略)によって上下方向及び左右方向に移動可能となっている。この架台2は、カメラ3とレーザーポインタ5とを備えている。以下では、架台移動機構、架台2、カメラ3、打診棒4、及びレーザーポインタ5について説明した後、壁面診断結果記録システムとして機能する携帯端末1の具体的な構成について詳細に説明する。
【0036】
(構成−架台移動機構)
架台移動機構は、架台2を上下方向及び左右方向に移動可能とする架台移動手段である。この架台移動機構は、ワイヤー、昇降装置、レールを備えて構成されている。ワイヤーは、診断の対象となる建物の壁面の前方において、屋上等から地上等に架けて上下方向に沿って架設されており、このワイヤーに上述した架台2が設置されている。昇降装置は、建物の屋上に配置されており、ワイヤーの巻取り又は巻き出しを行う。このことによって、架台2が上下方向に沿って昇降可能となっている。レールは、建物の屋上において、壁面に沿った左右方向に敷設されており、このレールを昇降装置が移動することで、架台2が設置されたワイヤーが左右方向に沿って移動可能となっている。例えば、診断員は、架台2に設けられた座席2aに搭乗した状態において、昇降装置をリモコン等により操作することで、上下方向に沿って昇降可能かつ左右方向に沿って移動することができ、壁面の全面を移動することができる。この際の具体的な移動方向は任意であるが、本実施の形態においては、壁面を上から下に掛けて移動した後、左右のいずれか一方に移動し、壁面を下から上に掛けて移動し、左右の同じ方向に移動し、以降同様に、上下方向への移動と、左右方向への移動を繰り返すものとする。なお、これら上下方向及び左右方向への移動は、上述のように撮影範囲を相互に重複させるように行う。ここで、このように撮影範囲を相互に重複するように架台2を移動させる方法は任意であるが、本実施の形態では、リモコンは架台2を上下左右方向に移動させるためのスイッチをそれぞれ一つずつ備え、これらのいずれかのスイッチを診断員が押圧することによって、架台2は、定められた方向に一定距離だけ移動した後、自動的に停止する。この際における「一定距離」とは、移動前の撮影範囲と、移動後の撮影範囲とが、少なくとも相互に重複する範囲を有する距離であるものとして説明する。
【0037】
(構成−架台)
架台2は、
図1に示すように、診断員が搭乗するための座席2aと、後述するカメラ3を架台2に対して固定するためのカメラ固定台2bと、風などの影響によって架台2が揺れ動いてしまうことを防止するための架台揺動防止手段(図示省略)と、カメラ3の揺動を防止するためのカメラ揺動防止手段(図示省略)を備えて構成される。このうち、カメラ固定台2bは、座席2aの後方に設けられており、上下方向に沿って配置した棒状体の上端部に、他の棒状体を左右方向に沿って配置し、これらの棒状体同士を相互に接合することにより形成された、略T字形状の部材である。そして、このカメラ固定台2bにおける左右方向に沿って配置された棒状体の両側端には、後述するカメラ3が固定されている。また、架台揺動防止手段は、例えば、架台2と壁面との間に介在して架台2を壁面に真空吸着させることにより固定する吸盤や、架台2の背面に設けられて壁面から離れる方向に空気を排出する送風機であって、排出する空気の風圧によって架台2を壁面に押し当てる送風機などによって構成することができる。
【0038】
カメラ揺動防止手段は、例えば、架台2の揺れを自動で感知して、カメラ3を水平に維持することを可能とする公知のジャイロスタビライザーとして形成することができる。なお、このようなカメラ揺動防止手段を設置する位置は任意であり、例えば、カメラ3と、カメラ3が設置されたカメラ固定台2bとの間に設けて、カメラ3の揺動を防止する構成としても良いし、座席2aとカメラ固定台2bとの間に設けて、カメラ固定台2b自体の揺動を防止する構成としても良い。あるいは、カメラ揺動防止手段は、架台2のカメラ固定台2bにおける左右方向に沿って形成された棒状体に対して、空気ダンパーや金属バネを組み合わせたサスペンションを介して台座を吊り下げ、その台座にカメラ3を固定した、公知の出前品運搬機の如き構造として形成しても良い。
【0039】
(構成−カメラ)
カメラ3は、壁面画像を撮影する撮影手段である。このカメラ3としては、例えばCCDカメラの如き公知のカメラを使用することができる。なお、
図1に示すように、このカメラ3は、上述したように、カメラ固定台2bの両側端に設置されており、この2つのカメラ3の其々は、撮影した壁面画像を、有線又は無線によって携帯端末1に送信する。なお、「壁面画像」とは、静止画と動画の両方を含む概念であるが、以下では特記しない限り、壁面画像は静止画であるものとして説明する。なお、これら2つのカメラ3によって撮影することが可能な範囲を撮影範囲と必要に応じて称して説明する。
【0040】
(構成−打診棒)
打診棒4は、診断員が壁面を打診する際に用いる打診手段である。打診手段の具体的な形状等については任意であるが、本実施の形態1では、打診棒4は、診断員が診断対象部を叩くためのハンマー等として形成され、診断員は、この打診棒4によって壁面を叩いた際に発せられる打診音に基づいて診断対象部の診断結果(例えば、亀裂、及び剥離等)を判定する。なお、その他の打診手段として、棒状体の先端部に小さな鉄球を付した公知の打診手段を用いても良い。
【0041】
(構成−レーザーポインタ)
レーザーポインタ5は、診断員が、壁面における診断対象部の位置と、壁面画像における診断対象部の位置との相互間の位置関係を容易に把握するための目印を壁面に投光する投光手段である。また、壁面画像を正対化するための目印を壁面に投光するための投光手段である。このレーザーポインタ5としては、例えば半導体レーザーを利用した公知のレーザーポインタ5を使用することができる。レーザーポインタ5を設置する位置や数は任意であり、例えば、本実施の形態1では、架台2における、上述した2つのカメラ3のそれぞれの下方に固定的に設置されている。そして、各レーザーポインタ5からは2本のレーザーが照射されており、それぞれのレーザーは、カメラ3の撮影範囲の外枠の四隅の近傍の地点であり、かつカメラ3の撮影範囲に含まれる地点を照射する。なお、このレーザーポインタ5によりレーザーが照射された壁面の地点を、以下では必要に応じて照射点と称して説明する。
【0042】
(構成−携帯端末)
続いて、携帯端末1の具体的な構成について説明する。この携帯端末1は、壁面診断結果記録システムとして機能するものであって、例えばタブレットPCのような公知の携帯情報端末として構成されている。
図2は、本実施の形態1に係る携帯端末1を例示するブロック図である。この携帯端末1は、概略的に、タッチパネル11、ディスプレイ12、制御部13、及びデータ記録部14を備えて構成される。以下では、携帯端末1を構成するこれらの構成要素について具体的に説明する。
【0043】
(構成−携帯端末−タッチパネル)
タッチパネル11は、診断員の指等で押圧されることにより、当該診断員から各種手動入力を受け付ける入力受付手段である。このタッチパネル11は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ12の前面において当該ディスプレイ12の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル11としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネル11を使用することができる。
【0044】
(構成−携帯端末−ディスプレイ)
ディスプレイ12は、制御部13の制御に基づいて各種情報を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ12の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0045】
(構成−携帯端末−制御部)
制御部13は、壁面診断結果記録システムを制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態1に係る壁面診断結果記録プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して壁面診断結果記録システムにインストールされることで、制御部13の各部を実質的に構成する。
【0046】
この制御部13は、機能概念的に、診断結果取得部13a、壁面画像取得部13b、対応付け部13c、正対化部13d、及び統合部13eを備える。診断結果取得部13aは、診断員による診断結果を取得する診断結果取得手段である。壁面画像取得部13bは、カメラ3にて撮影した壁面画像であって、少なくとも診断対象部を含む壁面画像を取得する壁面画像取得手段である。対応付け部13cは、診断結果取得部13aにより取得した診断結果を、壁面画像取得部13bにより取得した壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて、データ記録部14に記録する対応付け手段である。正対化部13dは、壁面画像を正対化する壁面画像正対化手段である。統合部13eは、複数の壁面画像を統合(モザイキング)することにより単一の壁面画像を生成する壁面画像統合手段である。なお、これらの制御部13の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0047】
(構成−携帯端末−データ記録部)
データ記録部14は、壁面診断結果記録システムの動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、壁面診断結果記録システムとしてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0048】
このデータ記録部14は、判別記号テーブル14aと、診断結果データベース(以下、データベースを「DB」と称する)14bとを備えている。
【0049】
判別記号テーブル14aは、壁面状態を判別するための判別記号を格納する。
図6は、判別記号テーブル14aに格納されている情報を例示した表である。
図6に示すように、判別記号テーブル14aには、項目「診断結果情報」、及び「判別記号情報」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「診断結果情報」に対応して格納される情報は、診断結果を示す情報であり、例えば「汚損」、「剥離」、「亀裂」のような壁面の状態を示す情報である。項目「判別記号情報」に対応して格納される情報は、診断結果を特定するための判別記号を示す情報であり、診断結果に対応する任意の記号(例えば、丸、四角、三角など)を示す情報である。これらの情報を判別記号テーブル14aに格納するタイミングは任意で、例えばユーザがタッチパネル11を操作して入力することにより、任意の情報を判別記号テーブル14aに格納することができる。
【0050】
(処理)
次に、このように構成される壁面診断結果記録システムによって実行される壁面診断結果記録処理について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る壁面診断結果記録処理のフローチャートである(以下の処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この壁面診断結果記録処理は、壁面に対する診断結果の記録を行うための処理であり、例えば壁面診断結果記録システムへの電源投入後に所定周期にて繰り返し実行される。以下の処理の説明において、制御主体を特記しない処理については、壁面診断結果記録システムの制御部13にて実行されるものとし、情報の取得元や取得経路を特記しない場合については、公知のタイミング及び公知の方法にて、壁面診断結果記録システムのデータ記録部14に予め格納されており、あるいは、壁面診断結果記録システムのタッチパネル11を介してユーザ等によって入力されるものとする。
【0051】
まず、壁面診断結果記録処理が起動されると、壁面画像取得部13bは、カメラ3により撮影した壁面画像を取得する(SA1)。そして、正対化部13dは、SA1において取得した壁面画像を正対化する(SA2)。ここで、壁面画像を正対化する方法としては、公知の方法を採用することが可能であり、例えば、レーザーポインタ5により壁面に投光された複数の照射点を、正対化を行う上での目印として用いることにより、壁面画像を正対化することが可能である。具体的には、壁面画像における各照射点を結ぶことにより形成される四角形の縦横比が、壁面における各照射点を結ぶことにより形成される四角形の縦横比と近似するように、壁面画像を修正することによって、壁面画像を正対化することが可能である。
【0052】
続いて、統合部13eは、架台2に備えられた2つのカメラ3によって撮影された壁面画像を統合する(SA3)。2つの壁面画像を統合する方法は任意であり、例えば、両方の画像に共通する特徴点(重複部分における特徴点)を抽出してその特徴点を元に2つの壁面画像を統合する公知のモザイキング法により壁面画像を統合する。このように2つのカメラ3によって広い範囲の壁面を撮影し、取得した壁面画像を統合して単一の壁面画像を生成することによって、一度に広い範囲の壁面画像を取得することが可能となるため、診断員の作業効率を向上させることが可能となる。なお、このSA3や、後述するSA15において壁面画像を統合する度に、統合した壁面画像を診断結果DB14bに上書きして記録する。
【0053】
ここで、壁面画像の記録態様は任意であるが、本実施の形態1では、統合した壁面画像を、予め診断結果DB14bに記録された建物のCAD図における壁面に貼り付けて記録する。具体的には、対応付け部13cは、建物の形状を概略的に表すCAD図(窓や塗装といった細部まで表現したものである必要はなく、建物の形状が認識可能な程度の簡易なCAD図で構わない)から建物を構成する複数の壁面を抽出し、これら複数の壁面のうち診断員が選択した壁面の座標に、壁面画像を合わせて、壁面画像を合成して記録する。あるいは、壁面画像を、壁面と同一の位置に、異なるレイヤーとして記録する。
【0054】
ここで、診断員がどのような方法により任意の壁面を選択するかは様々な方法があり、例えば壁面診断結果記録処理の起動時に、ディスプレイ12に上述した建物のCAD図を表示し、診断員が、壁面画像を貼り付ける壁面を指等で押圧して選択する事としても良い。なお、この際には、CAD図をディスプレイ12上で自在に回転可能とすることで、裏側の壁面も選択することが可能となる。あるいは、ディスプレイ12に「東面」、「西面」、「南面」、「北面」、等を表示し、診断員がこれらのいずれかを指等で押圧することにより選択しても良い。
【0055】
ここで、壁面画像と、CAD図において選択された壁面との位置関係を対応させる方法としては様々な方法が考えられる。例えば、架台移動機構に架台2の上下方向及び左右方向の位置を特定するための位置特定手段を設け、この位置特定手段にて特定された位置に基づいて、位置関係を対応させてもよい。具体的には、架台2の上下方向の位置は、昇降装置におけるモーターの回転量を計測することによって特定してもよい。また、架台2の左右方向の位置は、レールを移動する際の昇降装置の車輪の回転量を計測することによって特定してもよい。このように特定した各位置を、架台移動機構から携帯端末1に送信することによって、携帯端末1は、架台2の上下方向及び左右方向の位置を特定し、この架台2の位置に基づいてカメラ3の撮影位置を特定し、当該位置において取得した壁面画像をCAD図における対応する位置に記録することができる。
【0056】
次に、SA3において統合した壁面画像をディスプレイ12に表示する(SA4)。
図5は、壁面画像を表示したディスプレイ12を示す図であり、
図5(a)は、診断対象部の位置の入力操作を概略的に示す図であり、
図5(b)は、診断結果の入力操作を概略的に示す図であり、
図5(c)は、判別記号を表示したディスプレイ12を概略的に示す図である。これら
図5の各図に示すように、各カメラ3が撮影した壁面画像を統合することにより生成した単一の壁面画像がディスプレイ12に表示される。
【0057】
次に、制御部13は、タッチパネル11への入力が有るか否かを判定する(SA5)。具体的には、
図5(a)に示すように、診断員が、ディスプレイ12に表示された壁面画像における診断対象部を示す位置を、指等で押圧することにより、診断対象部の位置の入力があったものと判定される。ここで、本実施の形態1のように、同一形状の複数のタイルによって壁面が構成されている場合等においては、各タイルの見分けが付き難く、診断員は、壁面画像における診断対象部の位置を特定することが困難である。しかし、
図5(a)に示すように、レーザーポインタ5により壁面に照射された4つの照射点を含む壁面画像をディスプレイ12に表示することによって、診断員は、壁面の照射点の位置と、壁面画像に表示された照射点の位置とを見比べることで、壁面における診断対象部の位置と、壁面画像における診断対象部の位置との相互間の位置関係を容易に把握することが可能となる。
【0058】
そして、タッチパネル11への入力が有ると判定した場合には(SA5、Yes)、制御部13は、診断対象部の位置を特定する(SA6)。具体的には、本実施の形態1においては、
図5(a)に示すように、壁面画像における、診断員が指等で押圧した位置を診断対象部の位置として特定する。次に、
図5(b)に示すように、診断結果のパターンをディスプレイ12に表示する(SA7)。ここで、このSA7において表示する診断結果のパターンとしては、
図6における項目「診断結果情報」に格納された情報を用いる。次に、診断結果取得部13aは、診断結果の入力が有るか否かを判定し(SA8)、診断結果の入力が有るまで待機する(SA8、No)。具体的には、
図5(b)に示すように、診断員が、SA7においてディスプレイ12に表示された診断結果のパターンを示す位置を、指等で押圧することにより、診断結果取得部13aは、診断結果の入力が有ったものと判定する。例えば本実施の形態1のように、診断員が、診断対象部であるタイルを診断し、このタイルが「亀裂」状態であると判定した場合には、タッチパネル11における「亀裂」と表示された部分を指等で押圧することにより、この診断対象部の診断結果が「亀裂」であることを入力することが可能である。
【0059】
そして、診断結果取得部13aは、診断結果の入力が有ると判定した場合(SA8、Yes)、制御部13は、
図5(c)に示すように、ディスプレイ12における診断対象部の位置に判別記号を表示する(SA9)。ここで、SA9においてディスプレイ12に表示する判別記号は、SA8において入力された診断結果と対応する判別記号である。具体的には、
図6における項目「診断結果情報」に格納された情報のうちSA8において入力された診断結果情報と相互に関連付けて格納された、項目「判別記号情報」に格納された判別記号である。例えば、SA8において、診断員が「亀裂」を入力した場合には、「亀裂」の項目に関連付けて格納された「三角」の判別記号が、SA5において入力した診断対象部の位置に表示される。このように、既に診断を行った箇所にはディスプレイ12上に判別記号を表示することによって、同じ箇所を重複して診断してしまうことを防止することが可能であり、診断員の作業効率を向上させることが可能である。
【0060】
また、このようにディスプレイ12に表示された所定の項目の中から診断結果を選択することに加えて、あるいは、このように診断結果を選択することに代えて、診断結果に関連する任意のテキスト情報(コメント)を入力する構成としても良い。具体的には、SA7において、ディスプレイ12に「コメント入力」の項目を表示し、診断員がこのコメント入力と表示された位置を、指等で押圧することにより、携帯端末1に設けられたキーボード等(図示省略)を介して任意のテキストを入力可能とする。このような構成によれば、診断結果に限らずより詳細な情報についても入力することが可能となる。
【0061】
続いて、対応付け部13cは、対応付け処理を行う(SA10)。
図4は、対応付け処理のフローチャートである。
図4に示すように、まず、対応付け部13cは、SA6において特定した診断対象部の位置を診断結果DB14bに記録する(SB1)。ここで、診断対象部の位置をどのような態様において記録するかは任意であり、例えば、建物のCAD図に壁面画像を貼り付けた際における診断対象部の位置を、CAD図上の位置座標に変換して、数値として記録しても良い。
【0062】
次に、SA8において入力された診断結果を、SB1において記録された診断対象部の位置に対応付けて、記録する(SB2)。ここで、診断結果をどのような態様において記録するかは任意であり、例えば、SB1において診断結果DB14bに記録した各診断対象部の位置座標の数値に、それぞれの診断結果(例えば、「汚損」、「剥離」、及び「亀裂」など)を紐付けて記録しても良い。
【0063】
なお、本実施の形態1における対応付け処理では、SB1とSB2を同時に行う。具体的には、SA3において壁面画像を貼り付けた建物のCAD図における診断対象部に、それぞれの診断結果に対応する判別記号を貼り付ける。ここで、
図7は、壁面全体の診断結果を診断結果DB14bに記録していく工程を概念的に表す概略図である。SA3においてCAD図に貼り付けられた壁面画像(
図7(a))に対して、本処理においてさらに診断結果に対応する判別記号を貼り付ける(
図7(b))。
【0064】
図3に戻り、判定部は、タッチパネル11への入力が無いと判定した場合には(SA5、No)、架台2の移動が検知されたか否かを判定する(SA11)。ここで、架台2の移動を検知する方法は任意の方法を採用することが可能であり、例えば、架台2に設置された公知の移動検知センサー(図示省略)などによって、架台2が移動しているか否かを判定することができる。あるいは、カメラ3の撮影範囲を解析し、撮影範囲が異なるものとなった場合に、架台2が移動したと判定しても良い。なお、架台2を移動させるタイミングは任意であり、例えば本実施の形態1では、診断員が、カメラ3の撮影範囲に含まれる全てのタイルの打診を終えた際に、他のタイルの打診を行うために架台2を移動させる。そして、制御部13が、架台2の移動がないと判定した場合(SA11、No)、壁面診断記録処理の終了指示を取得するまでSA5〜SA16を繰り返し行い、壁面診断記録処理の終了指示を取得した場合には、これにて壁面診断記録処理を終了する。また、制御部13は、架台2の移動が有ると判定した場合(SA11、Yes)、架台2が停止するまで待機し(SA12、No)、架台2が停止した場合には(SA12、Yes)、未取得の壁面画像を含む範囲をカメラ3の撮影範囲としているか否かを判定する(SA13)。
【0065】
ここで、未取得の壁面画像を含む範囲をカメラ3の撮影範囲としているか否かを判定する方法は任意である。例えば、制御部13が、ワイヤーの巻き取り及び巻き出しを行うモーターの回転量や、レールを移動する際の昇降装置の車輪の回転量を常に記憶しておき、これらの回転量に基づいて、架台2停止時の撮影範囲が、未取得の壁面画像を含む撮影範囲であるか否かを判定することが可能である。
【0066】
なお、制御部13が終了指示を取得する方法は任意であり、例えば、ディスプレイ12に「診断終了」の文字を表示したアイコンを常に表示しておき、診断員がこのアイコンを指等で押圧した場合には、終了指示を取得したものと判定しても良い。
【0067】
そして、制御部13が、未取得の壁面画像を含む範囲をカメラ3の撮影範囲としていないと判定した場合(SA13、No)、壁面診断記録処理の終了指示を取得するまでSA5〜SA16を繰り返し行う。ここで、架台2が移動して(SA11、Yes)停止した(SA12、Yes)にも関らず、未取得の壁面画像を含む範囲をカメラ3の撮影範囲としていない場合(SA13、No)とは、例えば、既に壁面画像を取得して診断を行った壁面の方に架台2が移動した場合等が考えられる。この場合には、この壁面は既に撮影して壁面画像を記録しているため、改めて壁面画像を記録する必要がないため、後述するSA14〜SA16を行わない。
【0068】
また、制御部13が、未取得の壁面画像を含む範囲をカメラ3の撮影範囲としていると判定した場合(SA13、Yes)、正対化部13dは、その時点で取得した壁面画像を、上述したSA2と同様の方法によって正対化する(SA14)。なお、このように架台2が停止するまで壁面画像の取得を待機することにより、架台2の移動に伴う振動によって壁面画像がぶれてしまうことを防止することが可能である。そして、統合部13eは、2つのカメラ3により撮影された2つの壁面画像を相互に統合して単一の壁面画像を生成し、また、このようにして生成された単一の壁面画像と、既に診断結果DB14bに記録されている他の壁面画像(例えば、SA3において診断結果DB14bに記録された壁面画像)とを統合し(SA15)、単一の壁面画像を生成する。そして、このようにして生成された壁面画像を診断結果DB14bに上書きして記録する。
【0069】
そして、制御部13は、SA15において統合した単一の壁面画像をディスプレイ12に表示する(SA16)。ここで、表示の仕方は任意であり、例えば、統合した壁面画像の全体をディスプレイ12に表示し、診断員がタッチパネル11を操作することにより、必要に応じてディスプレイ12に表示された壁面画像を拡大することが可能となるように表示しても良い。あるいは、カメラ3が撮影している壁面を表示する壁面画像のみをディスプレイ12に表示しても良い。そして、再度SA5を行う。
【0070】
上記のように、終了指示を取得するまで、SA5〜SA16は繰り返され、概略的に、診断対象部の特定、診断結果の記録、未取得の壁面画像を取得、壁面画像の統合、及び壁面画像の記録が繰り返し行われる。このことによって、
図7に示すように、診断の対象となる建物の壁面全体における診断対象部の診断結果を、その診断対象部に対応付けて記録していくことができる。そして、架台2に搭乗した診断員が壁面を上下に架けて診断していき、その列の診断が終了した後、隣の列に移って上記と同様の方法により診断を行い、これを繰り返すことによって、壁面全体の診断を行うことが可能となる。なお、これ以降の他の列に係る壁面診断結果記録処理において、壁面画像を統合して記録する際(SA3、SA15)には、隣合う列の壁面診断結果記録処理において診断結果DB14bに記録された壁面画像と統合して記録する。なお、この際に壁面画像を統合する方法としては、SA3やSA15と同様の方法により行うことが可能であるため、その詳細な説明を省略する。このようにして壁面全体の壁面画像を生成することができる。
【0071】
そして、制御部13は、診断結果DB14bに記録された壁面全体の診断結果を自動積算する事により、壁面における不具合の種類毎の総量を導出しても良い。例えば、壁面全体において、「汚損」の診断結果、「剥離」の診断結果、「亀裂」の診断結果、及びこれらの合計の診断結果が幾つ記録されているかをそれぞれ算出することにより、壁面全体の改修に必要なタイルの数等を容易に導出することが可能となり、壁面の補修に要する費用や時間について容易に目安を付けることが可能となる。
【0072】
最後に、制御部13は、診断結果DB14bに記録された壁面全体の診断結果に基づいて、この診断結果を診断依頼者等に報告するための所定形式の診断結果レポート6を作成しても良い。
図8は、診断結果レポート6を例示する図である。診断結果レポート6に表示する内容は任意であり、例えば、この
図8に示すように、左半分に診断結果を反映させた壁面画像を表示し、右半分には、診断年月日、診断員の氏名、選択壁面、診断結果のID、不具合の種類毎の総量、診断結果の位置座標、全種類の不具合の総量、入力されたコメントなどを表示する。ここで、診断結果のIDは、診断結果の入力を行った順番に0001、0002・・・といったように通し番号を振り分けたものである。また、入力されたコメントは、左半分の壁面画像における診断対象部に表示した吹き出しのマークを診断員が押圧することにより初めてディスプレイ12上に表示するものとしても良いし、右半分の表のコメントの欄に表示しても良い。なお、この診断結果レポート6は、診断結果DB14bにデータとして記録しておき、診断員が必要に応じて呼び出して閲覧できるものとしても良いし、あるいは紙媒体などに印刷して打ち出すものであっても良い。
【0073】
このような診断結果レポート6の作成を所定周期毎(例えば1年毎)に実行することによって、壁面の劣化進行の状態を容易に確認することができる。このように所定周期毎のデータを蓄積していくことにより、前回以前の診断結果レポート6と今回の診断結果レポート6とを比較することにより、更なる診断精度の向上を図ることができる。例えば、前回以前に「亀裂」と判定されていた診断対象部が、今回の診断では「亀裂」と判定されていない場合には、今回の診断においては、診断員による記録の漏れ等があったことが推認できる。なお、変形例において後述するように、壁面画像を動画として音声と併せて記録しても良く、このように記録した場合には、診断結果として打診音等もデータとして残るため、前回以前の診断音と今回の診断音とを比較することも可能であり、診断精度をより一層向上させることが可能である。
【0074】
(本実施の形態1の効果)
このように本実施の形態1によれば、診断員による診断結果を記録することが可能であるため、壁面への固定が不安定である打診用機械によって診断を行うことにより不正確な診断結果が判定されることがなく、打診用機械による診断結果を記録する場合と比べてより正確な診断結果を得ることが可能である。また診断員の打診や触診によって壁面の診断を行うことが可能であるため、ひび割れと浮きとの関連性、あるいは、シール切れとエフロレッセンスとの関連性のように診断員によらなければ診断を行うことが困難な壁面状態についても診断を行うことが可能となり、より詳細な診断を行うことが可能となる。また、診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することが可能となり、従来のように、一度壁面に診断結果を記載してその診断結果を野帳に転記して記録する必要がないため、診断員の作業負荷の低減、壁面全体の診断時間の短縮、又は診断結果の正確性の向上を図ることが可能となる。
【0075】
また、従来より、壁面における代表的な劣化損傷部位については診断員が持参したカメラを用いて写真撮影し、調査報告書等に当該撮影した写真を貼付することによって、調査報告書の説得力の向上を図る取り組みも行われていた。このような場合には、撮影を行う代表的な劣化損傷部位の選定は専ら診断員の判断に委ねられるため、撮影を要しない程度の劣化損傷部位を撮影してしまう可能性や、あるいは診断員が代表的な劣化損傷部位を撮影し忘れてしまう可能性があった。したがって、診断員の判断力次第によっては、撮影を行う劣化損傷部位が大きく異なってしまい、作成される調査報告書の内容にもばらつきが生じてしまった。また、複数の劣化損傷部位をそれぞれ別々に撮影するため、複数の劣化損傷部位の相互間における損傷の因果関係等を把握することが困難であった。
【0076】
このような問題に対して、従来技術にあるような自動打診機による診断に加えて、このような自動打診機自体に、あるいは、壁面の遠方に、カメラ3を設置して壁面を撮影し、カメラ3により撮影された壁面の画像に基づいて壁面状態の診断を行う診断方法が提案されている。このような診断方法によれば、調査端末機に取り付けたカメラ3等によって壁面の全体を撮影することが可能である。そのため、診断員の判断に委ねて壁面の一部のみを撮影する従来の診断方法とは異なり、壁面全体を撮影するため、当該壁面全体の画像を吟味した上で調査報告書等に貼付するのに必要な部分(代表的な劣化損傷部位)の壁面画像を抽出することが可能である。また、壁面全体の画像を取得することが可能であるため、複数の劣化損傷部位の相互間における損傷の因果関係等を容易に把握することが可能である。
【0077】
しかし、実際には、自動打診機自体にカメラ3を設置した場合であっても、上述したように、調査端末機を壁面に対して安定的に位置させることが現実的には困難であるため、カメラ3により撮影された壁面の画像の画質は、当該壁面の画像に基づいて壁面状態の診断を行うに耐え得るものではなかった。また、壁面の遠方にカメラ3を設置した場合であっても、遠方から壁面を高画質に撮影するためには大掛かりな望遠レンズが必要となり、さらに、カメラ3と壁面との間に樹木等の障害物が存在する場合には壁面を撮影することができないため、実用性に耐え得ないものであった。
【0078】
しかし、本実施の形態1のように、壁面から所定距離離れた位置に架台2を配置することによって、壁面に位置する庇やバルコニー、出窓、柱型などの凹凸の影響を受けずに架台2を上下方向に沿って移動させることが可能となる。このことによって、カメラ3が壁面に設けられた凹凸の影響を受けることなく、高画質な壁面画像を取得することが可能となるため、上述した代表的な劣化損傷部位の壁面画像の抽出や、損傷の因果関係等の把握がより一層容易になる。また、壁面の凹凸に合わせて診断員が架台2やカメラ3の位置を調節することにより、高画質な壁面画像をより安定的に取得することが可能となる。
【0079】
また、壁面画像を表示するディスプレイ12に重畳するようにタッチパネル11を設け、壁面画像における診断対象部の位置を押圧するのみで、容易に壁面画像における診断対象部の位置を特定することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
【0080】
また、レーザーポインタ5により壁面に投光した目印が、壁面と壁面画像との両方に写し出されるため、壁面の診断対象部の位置と壁面画像の診断対象部の位置との相互間の位置関係が明確となり、診断員がディスプレイ12上に表示された壁面画像にタッチパネル11を介して診断結果を入力する際に容易に壁面画像の診断対象部の位置を把握することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
【0081】
また、壁面の上下方向に沿って判定された診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することができ、広範囲の壁面に対する診断結果を記録することができる。
【0082】
また、複数のカメラ3によって壁面における互いに重複しない部分を少なくとも含む範囲を撮影することによって、より広範囲に亘って壁面を撮影することが可能であり、診断員が小まめに移動することなく広範囲の壁面を一度に診断することが可能であるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
【0083】
また、データ記録部14に記録された診断結果に基づいて、壁面における不具合の種類毎の総量を導出することにより、不具合を数値として表すことが可能となるため、壁面の補修に要する費用や時間について容易に目安を付けることが可能となる。
【0084】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、打診棒30に設けられた入力部31によって診断員が診断結果を入力することにより、データ記録部14に診断結果を記録する形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0085】
(構成)
最初に、本実施の形態2に係る壁面診断結果記録システムとして機能する携帯端末20の構成について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末20を例示するブロック図である。この
図9に示すように、本実施の形態2に係る打診棒30は入力部31を備えており、制御部21は、入力診断結果取得部21aを備えている。
【0086】
(構成−打診棒−入力部)
入力部31は、打診棒30に設けられた入力手段である。この入力部31は、複数のスイッチによって構成されており、打診棒30の持ち手等に設けられている。そして、打診棒30は、診断員がこの入力部31を介して入力した情報を、制御部21に有線又は無線により送信する。ここで、これらの各スイッチは、それぞれ判別記号テーブル14aの項目「診断結果情報」に格納された情報(例えば「汚損」、「剥離」、「亀裂」など)に対応するスイッチである。すなわち、「亀裂」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、「亀裂」の診断結果が制御部21に対して送信される。
【0087】
(構成−制御部−入力診断結果取得部)
入力診断結果取得部21aは、打診棒30に設けられた入力部31を介して診断員により入力された診断結果を取得する入力診断結果取得手段である。なお、入力診断結果取得部21aによって実行される処理の詳細については後述する。
【0088】
(処理)
次に、このように構成される壁面診断結果記録システムによって実行される壁面診断結果記録処理について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る壁面診断結果記録処理のフローチャートである。
【0089】
まず、壁面診断結果記録処理が起動されると、壁面画像取得部13bは、カメラ3により撮影した壁面画像を取得する(SC1)。なお、SC1〜SC4については実施の形態1におけるSA1〜SA4と同様に行うことが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0090】
続いて、制御部21は、入力部31に診断結果の入力が有るか否かを判定する(SC5)。そして、制御部21は、入力部31に診断結果の入力が有ると判定した場合(SC5、Yes)、診断対象部の位置を特定する(SC6)。ここで、診断対象部の位置を特定する方法としては、任意の方法を採用することが可能である。例えば、SC5において、診断員が入力部31に診断結果を入力する際に、打診棒30の先端を診断対象部に宛がった状態において入力部31に診断結果の入力を行う。そして、制御部21は、入力部31に診断結果の入力が有ると判定した際にカメラ3により撮影している打診棒30の先端の位置を、診断対象部の位置と特定する。このようにして、診断対象部の位置を特定することが可能となる。あるいは、診断員が打診を行う際の打診棒30の動きをカメラ3で撮影し、撮影された打診棒30の動きを解析し、診断対象部の位置を推測して特定しても良い。
【0091】
続いて、入力診断結果取得部21aは、入力部31に入力された情報に基づいて、診断結果を取得する(SC7)。ここで、例えば診断員が診断対象部の診断結果を「亀裂」と判定し、入力部31の「亀裂」の情報を示すスイッチを押圧した場合、入力診断結果取得部21aが「亀裂」の情報を取得する。そして、制御部21がこの情報を解析することによって、診断員による「亀裂」の診断結果を取得することができる。
【0092】
続いて、制御部21は、実施の形態1におけるSA9と同様に(
図5(c)に示すように)、ディスプレイ12における診断対象部の位置に判別記号を表示する(SC8)。この際に表示する診断対象部の位置は、SC6において特定した位置であり、この際に表示される判別記号は、SC7において取得した診断結果と対応する判別記号である。そして、対応付け部13cは、実施の形態1におけるSA10と同様に対応付け処理を行う(SC9)。なお、以降のSC10〜SC15については実施の形態1のSA11〜SA16と同様に行うことが可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0093】
(本実施の形態2の効果)
このように本実施の形態2によれば、打診棒30に設けられた入力部31に対して入力された診断結果を入力診断結果取得部21aにより取得することによって、診断員が、打診棒30を診断対象部に宛がった状態において診断結果を入力部31に入力し、この打診棒30を診断対象部に宛がった状態においてカメラ3により打診棒30を含む診断対象部の撮影を行うことによって、壁面の診断対象部と壁面画像の診断対象部とを見比べて互いの位置関係を把握することなく診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
【0094】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、打診棒50に設けられた表示灯の点灯状態に基づいて診断結果を取得することにより、データ記録部14に診断結果を記録する形態である。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1及び2の構成と略同一であり、実施の形態1及び2の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1及び2で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0095】
(構成)
最初に、実施の形態3に係る壁面診断結果記録システムとして機能する携帯端末40の構成について説明する。
図11は、本発明の実施の形態3に係る携帯端末40を例示するブロック図である。この
図11に示すように、実施の形態3に係る打診棒50は、表示灯51を備えており、制御部41は、点灯診断結果取得部41aを備えている。以下ではこれらの具体的な構成について詳細に説明する。
【0096】
(構成−打診棒−表示灯)
表示灯51は、打診棒50に設けられた点灯手段であって、診断員が診断結果に応じて点灯させる点灯手段である。この表示灯51は、打診棒50における、少なくともカメラ3によって撮影される位置に設けられており、例えば本実施の形態3では、金槌形状として形成された打診棒50の先端に設けられた円筒形状の金属部における打診面と反対側の面に設けられている。そして、この表示灯51は、例えば蛍光灯、あるいはLED(Light Emitting Diode)の如き光源として形成されている。ここで、打診棒50には、押圧することにより表示灯51を点灯させることが可能な複数のスイッチ(図示省略)が設けられている。そして、これらの各スイッチは、それぞれ異なる点灯状態において表示灯51を点灯させることが可能である。
【0097】
具体的には、これらの各スイッチは、それぞれ判別記号テーブル14aの項目「診断結果情報」に格納された情報(例えば「汚損」、「剥離」、「亀裂」など)に対応するスイッチである。ここで、各スイッチを押圧した際の表示灯51の点灯状態をどのように設定するかは任意であり、例えば本実施の形態3では、「汚損」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、表示灯51は0.3秒周期で点灯し、「剥離」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、表示灯51は0.5秒周期で点灯し、「亀裂」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、表示灯51は0.7秒周期で点灯する。このように、診断員が診断結果に応じたスイッチを選択して押圧し、表示灯51の点灯周期を変化させることが可能である。
【0098】
(構成−制御部−点灯診断結果取得部)
点灯診断結果取得部41aは、壁面画像に含まれる表示灯51の点灯状態に基づいて診断結果を取得する点灯診断結果取得手段である。具体的には、任意のタイミングにより動画として壁面画像を取得し、この動画に含まれる表示灯51の点灯状態に基づいて診断結果を取得する。なお、点灯診断結果取得部41aによって実行される処理の詳細については後述する。
【0099】
(処理)
次に、このように構成される壁面診断結果記録システムによって実行される壁面診断結果記録処理について説明する。
図12は、本発明の実施の形態3に係る壁面診断結果記録処理のフローチャートである。
【0100】
まず、壁面診断結果記録処理が起動されると、壁面画像取得部13bは、壁面画像を取得する(SD1)。なお、SD1〜SD4については実施の形態1におけるSA1〜SA4と同様に行うことが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0101】
続いて、制御部41は、表示灯51の点灯が有るか否かを判定する(SD5)。点灯の有無を判定する方法は任意であり、例えば、架台2に設けた光センサー(図示省略)により点灯の有無を判定しても良い。そして、制御部41は、表示灯51の点灯が有ると判定した場合(SD5、Yes)、診断対象部の位置を特定する(SD6)。ここで、診断対象部の位置を特定する方法としては、任意の方法を採用することが可能である。例えば本実施の形態3では、SD5において、診断員が表示灯51を点灯させることにより診断結果を入力する際に、打診棒50の打診面を診断対象部に宛がった状態において表示灯51を点灯させる。このことにより、診断対象部、打診棒50の打診面、及び表示灯51が、壁面画像における同軸上に位置して重畳する。そして、制御部41は、表示灯51の点灯が有ると判定した際における表示灯51の位置を診断対象部の位置と特定することができる。
【0102】
続いて、点灯診断結果取得部41aは、表示灯51の点灯状態に基づいて、診断結果を取得する(SD7)。ここで、診断結果を取得する方法としては、任意の方法を採用することが可能である。例えば、本実施の形態3では、カメラ3によって表示灯51を含む壁面画像(動画)を取得し、表示灯51の点灯周期を解析し、対応する診断結果を取得する。具体的には、表示灯51の点灯周期を解析することにより、表示灯51が0.7秒周期で点灯していると判定した場合には、診断結果を「亀裂」と判定し、診断結果「亀裂」を取得する。
【0103】
続いて、制御部41は、実施の形態1におけるSA9と同様に(
図5(c)に示すように)、ディスプレイ12における診断対象部の位置に判別記号を表示する(SD8)。この際に表示する診断対象部の位置は、SD6において特定した位置であり、この際に表示される判別記号は、SD7において取得した診断結果と対応する判別記号である。そして、対応付け部13cは、実施の形態1におけるSA10と同様に対応付け処理を行う(SD9)。なお、以降のSD10〜SD15についても実施の形態1のSA11〜SA16と同様に行うことが可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0104】
(本実施の形態3の効果)
このように本実施の形態3によれば、打診棒50に設けられた表示灯51の点灯状態に基づいて診断結果を取得することによって、診断員が、打診棒50を診断対象部に宛がった状態において診断結果に応じて表示灯51を点灯させ、この打診棒50を診断対象部に宛がった状態においてカメラ3により表示灯51を含む診断対象部の撮影を行うことによって、壁面の診断対象部と壁面画像の診断対象部とを見比べて互いの位置関係を把握することなく診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
【0105】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この形態は、三次元位置測定器70によって診断対象部の位置を特定する形態である。なお、実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0106】
(構成)
最初に、実施の形態4に係る壁面診断結果記録システムとして機能する携帯端末60の構成について説明する。
図13は、本発明の本実施の形態4に係る携帯端末60を例示するブロック図である。また、
図14は、壁面の診断を行う診断員を示す斜視図である。この
図13及び
図14に示すように、本実施の形態4においては、架台2は、三次元位置測定器70を備えている。以下では、これらの具体的な構成について詳細に説明する。
【0107】
(構成−三次元位置測定器)
三次元位置測定器70は、診断対象部の位置を特定するための、診断対象部位置特定手段である。この三次元位置測定器70は、公知の多関節アーム型測定器として形成され、架台2に対して固定的に設置されている。そして、診断員がこの三次元位置測定器70に設けられた測定開始スイッチ71を押圧することにより、アームの先端に設けられた触針の位置を三次元的に測定し、その測定結果を携帯端末60に送信する。
【0108】
(処理)
次に、このように構成される壁面診断結果記録システムによって実行される壁面診断結果記録処理について説明する。
図15は、本発明の実施の形態4に係る壁面診断結果記録処理のフローチャートである。
【0109】
壁面診断結果記録処理が起動されると、壁面画像取得部13bは、カメラ3により撮影した壁面画像を取得する(SE1)。なお、SE1〜SE4については実施の形態1におけるSA1〜SA4と同様に行うことが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0110】
次に、制御部13は、三次元位置測定器70に設けられた測定開始スイッチ71の押圧が有るか否かを判定する(SE5)。具体的には、診断員が、三次元位置測定器70のアームの先端に配置された触針を診断対象部に当接させた状態において、測定開始スイッチ71を押圧することによって、三次元位置測定器70の測定結果が制御部13に送信される。そして、制御部13にこの測定結果が送信された場合には、制御部13は、測定開始スイッチ71の押圧が有ると判定する。
【0111】
そして、測定開始スイッチ71の入力が有ると判定した場合には(SE5、Yes)、診断対象部の位置を特定する(SE6)。具体的には、まず、架台移動機構に設けられた位置特定手段が、実施の形態1と同様の方法により、架台2の上下方向及び左右方向の位置を特定し、次に、この架台2に設けられた三次元位置測定器70による測定結果を取得して架台2に対する診断対象部の相対的な位置を特定する。最後に、これらの位置に関する情報に基づいて、診断対象部の絶対的な位置を特定する。
【0112】
続いて、ディスプレイ12に表示された壁面画像における、SE6において特定した診断対象部の位置に、診断結果のパターンを表示する(SE7)。なお、以降のSE8〜SE16についても実施の形態1のSA8〜SA16と同様に行うことが可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0113】
(本実施の形態4の効果)
このように本実施の形態4によれば、壁面画像に基づいて診断対象部の位置を特定しないため、壁面にモザイキングを行うための特徴点が存在しないために壁面画像の統合が正確に行われず、適切な壁面画像を取得することができなかった場合であっても、極めて正確な診断対象部の位置をデータ記録部14に記録することが可能であり、より正確な診断を行うことが可能となる。
【0114】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0115】
(各実施の形態の相互関係)
各実施の形態に示した特徴は、相互に入れ替えたり、一方の特徴を他方に追加してもよい。
【0116】
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した架台移動機構、架台2、カメラ3、打診棒4、30、50、レーザーポインタ5、携帯端末1、20、40、60、三次元位置測定器70の各部の寸法、形状、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、比率等とすることができる。また、各部を構成する材料については、金属や樹脂を含む任意の材料を用いることができる。
【0117】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
また、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0118】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散や統合して構成できる。例えば、壁面診断結果記録システムの各構成要素を、分散配置した上でネットワークを介して相互に接続してもよい。
【0119】
(壁面について)
上記各実施の形態では、壁面は、上下左右に沿って配置された複数のタイルによって構成されているものとして説明したが、例えば塗装仕上げが施された塗装面であるものとしても良い。この場合にも同様の構成により、塗装面の「汚損」、「剥離」、「亀裂」等の診断結果を記録することが可能である。
【0120】
(打診棒について)
上記実施の形態2では、打診棒30に設けられた入力部31を押圧することにより、診断結果に係る信号を携帯端末20に送信するものとして説明したが、制御部21が診断結果を特定することが可能な構成であれば、このような構成に限られない。すなわち、打診棒30から発せられた所定の音声に基づいて診断結果を特定しても良い。具体的には、打診棒30に、診断結果に対応する複数のスイッチを設け、これらのスイッチを押圧することにより、打診棒30のスピーカから診断結果に対応する所定の音声を発する。そして、携帯端末20に設けられたマイク(図示省略)によって、この打診棒30のスピーカから発せられた音声を取得して解析し、この解析結果に基づいて診断結果を特定しても良い。例えば、打診棒30の「汚損」のスイッチを押圧することにより、打診棒30に設けられたスピーカから「汚損です」等の電子音声が出力される。そして、携帯端末20のマイクがその電子音声を取得して解析することにより診断結果が「汚損」であると特定する構成としても良い。このような診断結果を音声出力する構成によれば、診断結果に対応しないスイッチを誤って押圧してしまった場合に、自ら意図した音声とは異なる音声が出力されるため、入力ミスを容易に認識することが可能となる。
【0121】
あるいは、このようなスピーカから発せられた音声を取得して解析するのではなく、診断員から発せられた音声を取得して解析することとしても良い。具体的には、診断員が診断対象部の診断を行った後に、診断結果を発する(例えば、診断結果が「汚損」である場合には、診断員が「汚損」と発する)。そして、携帯端末20に設けられたマイク(図示省略)によって、診断員から発せられた音声を取得して解析し、この解析結果に基づいて診断結果を特定しても良い。
【0122】
(診断結果について)
上記各実施の形態では、診断結果として「汚損」、「剥離」、「亀裂」を上げて説明したが、その他の診断結果を適宜設定することが可能である。また、診断結果としては、「汚損」、「剥離」、「亀裂」といった不具合の具体的な内容だけではなく、壁面の不具合の度合い(例えば「1」から「5」で段階的に表す)も同時に診断結果として記録しても良い。
【0123】
(表示灯の点灯状態について)
上記実施の形態3では、表示灯51の点灯の周期に応じて対応する診断結果を取得することとして説明したが、その他の点灯状態に応じて対応する診断結果を取得しても良い。例えば、「汚損」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、表示灯51を赤色に点灯させ、「剥離」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、表示灯51を青色に点灯させ、「亀裂」の情報を示すスイッチを押圧した場合には、表示灯51を黄色に点灯させる。そして、制御部41が表示灯51の点灯の色を判別することにより、診断結果を取得しても良い。
【0124】
あるいは、表示灯51の輝度に応じて対応する診断結果を取得しても良い(例えば、輝度が低い場合には「汚損」の情報を示し、輝度が高い場合には「剥離」の情報を示す等)。また、表示灯51の点灯回数に応じて対応する診断結果を取得しても良い(例えば、点灯回数が1回の場合には「汚損」の情報を示し、点灯回数が1回の場合には「剥離」の情報を示す等)。また、表示灯51の点灯パターンに応じて対応する診断結果を取得しても良い(例えば、長点灯、短点灯、短点灯のパターンで点灯させた場合には「汚損」の情報を示し、長点灯、長点灯、短点灯のパターンで点灯させた場合には「剥離」の情報を示す等)。
【0125】
(壁面画像の正対化について)
上記各実施の形態では、レーザーポインタ5の照射点に基づいて壁面画像を正対化したが、他の方法により壁面画像を正対化しても良い。例えば、壁面画像に表示されたタイルの縦横比が、実際の壁面のタイルの縦横比と近似するように壁面画像を修正することにより、壁面画像を正対化することができる。このように壁面画像におけるタイルの縦横比を求める際には、適応二値化処理を行い、壁面画像において、壁面を構成するタイルと、タイルの相互間に敷き詰めれられた目地とを分離することによって、壁面画像におけるタイルの形状を特定することが可能であり、このことによって壁面画像におけるタイルの縦横比を容易に求めることが可能である。
【0126】
(レーザーポインタについて)
上記各実施の形態では、レーザーポインタ5は壁面に4点の照射点を照射することとしたが、その他の数の照射点を照射することとしても良い。具体的には、レーザーポインタ5の照射点に基づいて壁面画像を修正するためには、少なくとも3点以上の照射点を照射することにより足りる。また、点として照射するのではなく、特定の形状の目印を壁面に照射しても良い。例えば、カメラ3により撮影される範囲を示す枠を線としてレーザーポインタ5により照射しても良い。このように、特定の形状の目印を壁面に照射することにより、壁面画像の目印の形状が、実際の壁面に照射された目印の形状と近似するように壁面画像を修正することにより、壁面画像を正対化することができる。
【0127】
また、上記実施の形態1では、壁面における診断対象部の位置と、ディスプレイ12に表示された壁面画像における診断対象部の位置との位置関係の把握を容易にするためにレーザーポインタ5により壁面に目印を照射したが、レーザーポインタ5は設けなくても良い。すなわち、レーザーポインタ5により壁面に目印を照射せずとも、壁面における診断対象部の位置と、ディスプレイ12に表示された壁面画像における診断対象部の位置との位置関係の把握を容易に行うことが可能な場合等(例えば、壁面が特徴的な形状や図柄を有しており、その形状や図柄を目印として、ディスプレイ12に表示された壁面画像の診断対象部を容易に特定することが可能な場合など)は、レーザーポインタ5は設けなくても良い。
【0128】
(タッチパネルの入力について)
上記実施の形態1では、診断対象部の位置を入力する際に、タッチパネル11の一点を押圧することとして説明したが、診断対象部が広範囲に亘る際には、タッチパネル11の広範囲を一度に入力することが可能としても良い。例えば、タッチパネル11を指で押圧した状態において指をスライドさせて特定の範囲を囲むことにより、この囲まれた特定の範囲を診断対象部として特定することが出来ることとしても良い。
【0129】
(カメラについて)
上記各実施の形態では、2つのカメラ3を設置するものとしたが、カメラ3の設置台数に限定はなく、1台のカメラ3のみを架台2に設置しても良い。また、3つ以上のカメラ3を架台2に設置しても良い。
【0130】
(壁面画像の統合について)
上記各実施の形態では、最初に、2つのカメラ3により撮影された壁面画像同士を統合し、その後に、統合された壁面画像を、診断結果DB14bに記録された上下位置の壁面画像に対して統合するという統合の順序で説明したが、このような順序に限定されない。例えば、最初に2つのカメラ3により撮影された壁面画像同士を統合せずに、まずは、それぞれのカメラ3が上下方向に沿って移動することにより撮影された上下方向に沿った壁面画像を統合する。そして次に、このように統合された上下方向に沿った壁面画像同士を統合する、といった順序であっても良い。
【0131】
また、上記各実施の形態では、架台2が移動して停止する度に、その時点でカメラ3が取得した静止画を正対化、統合、及び記録するものとして説明したが、このような構成に限定されない。すなわち、架台2を動かし続け、カメラ3は壁面画像を連続画像(ビデオ動画)として取得し続けるものとし、このように取得した連続画像を順次正対化、統合、及び記録するものとしても良い。
【0132】
以下では、このように壁面画像を連続画像として取得し続ける構成について、
図3を参照にしつつ説明する。なお、本変形例の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0133】
まず、上記実施の形態1と同様に、架台2は上下方向への移動と、左右方向への移動を繰り返し行う。ここで、架台2は一定の速度でこのような上下方向への移動と、左右方向への移動を繰り返すものとする。そして、この架台2に搭乗した診断員が、架台2の移動に伴って壁面の打診を行う。すなわち、架台2の移動速度は、診断員が壁面を診断する速度に適応した速度であることが好ましい。あるいは、診断員がリモコン等により架台2の移動速度を所望の速度に変更することを可能としても良い。そして、架台2の移動開始と同時にカメラ3は壁面画像を連続画像として取得し続ける(SA1)。なお、SA2からSA4については上記実施の形態1と同様に行う。ここで、本変形例においては、架台2は常に移動し続けるため、架台2の移動検知(SA11)や、停止検知(SA12)を行わない。そして、終了指示を取得するまで、架台2の移動に伴って取得される連続画像を順次正対化し(SA14)、統合し(SA15)、記録し(SA16)続ける。このように架台2の移動に伴って壁面画像が記録されていく過程で、診断員によるタッチパネル11の入力を受け付ける度に(SA5、Yes)、SA6からSA10のステップを行い、壁面画像に診断結果を対応付けて、CAD図での不具合位置を特定する。
【0134】
このように、診断員が診断対象部を打診する様子を動画で撮影した場合には、その動画(又は静止画)に映し出された壁面の様子を視聴することにより診断員による診断に誤診が無かったか否かを確認することが可能である。また、カメラ3により診断員が壁面の打診を行う様子を動画で撮影すると共に、打診時の音声を所定のマイク等により取得して記録した場合には、動画と併せて記録された打診音を聴取することにより、診断員による診断に誤診が無かったか否かを確認することが可能である。このように、記録された動画、静止画、又は音声を、診断が適切に行われたか否かの証拠として用いることが可能である。
【0135】
(壁面画像を取得するタイミングについて)
上記各実施の形態では、架台2が動いて停止するごとに壁面画像を取得するものとして説明したが、例えば架台2の上下位置を常に測定し続け、この架台2の上下位置からカメラ3の撮影範囲を特定し、カメラ3の撮影範囲が、未取得の壁面画像を含む範囲を撮影すると判定した場合に、架台2の停止を待たずに壁面画像の取得を行っても良い。
【0136】
(架台移動機構について)
また、上記各実施の形態では、架台移動機構の昇降装置は建物の屋上に配置されているものとして説明したが、昇降装置は、架台2に対して接続されているものであって、ワイヤーの巻取り又は巻き出しを行うことによって架台を上下方向に沿って昇降可能とするものであっても良い。また、架台2を左右方向に移動させる方法は任意であり、上記各実施の形態では、建物の屋上において壁面に沿った左右方向に敷設されたレール上を昇降装置が移動することによって、架台2が左右方向に移動するものとして説明したが、このような構成に限定されない。例えば、レールを有さない構成であっても良い。このようなレールを有さない構成においては、ワイヤーを建物の屋上において固定し、ワイヤーの固定位置を左右いずれかの方向にずらすことにより、架台2を左右方向に移動させることが可能である。
【0137】
(架台について)
上記各実施の形態では、診断員は上下方向に沿って昇降可能な架台2に搭乗した状態において、診断を行うものとして説明したが、架台2に搭乗しなくても診断員の手の届く範囲に診断対象部が位置するのであれば、診断員は架台2に搭乗する必要はない。
【0138】
また、上記各実施の形態では、架台は、一つの座席を備え、この一つの座席に対して一人の診断員が座って搭乗することを可能としたいわゆるチェア型ゴンドラであるものとして説明したが、このような構成に限定されない。例えば、複数人の診断員が同時に起立した状態において搭乗することを可能としたいわゆるデッキ型(箱型)ゴンドラであっても良い。
【0139】
(架台の位置の特定方法について)
本実施の形態1では、架台2の上下方向の位置は、昇降装置におけるモーターの回転量を計測することによって特定し、架台2の左右方向の位置は、レールを移動する際の昇降装置の車輪の回転量を計測することによって特定するものとして説明したが、その他の方法により架台2の位置を特定しても良い。例えば、架台2を移動させるためのリモコンに設けられた上下左右の移動を行うための各スイッチが押圧された回数に基づいて架台2の位置を特定しても良い。
【0140】
(対応付け処理について)
上記各実施の形態では、診断結果を入力する毎に対応付け処理を行い診断結果を診断結果DB14bに記録するものとしたが、対応付け処理を行うタイミングは適宜変更することが可能である。例えば、診断員が壁面の上下方向に沿って一列の診断を終えて、壁面診断結果記録処理の終了指示を取得した後に、診断員が入力した全ての診断結果をまとめて診断結果DB14bに記録しても良い。
(付記)
付記1の壁面診断結果記録システムは、壁面における診断対象部に対する診断結果を記録する壁面診断結果記録システムであって、診断員による前記診断結果を取得する診断結果取得手段と、撮影手段にて撮影した壁面画像であって、少なくとも前記診断対象部を含む壁面画像を取得する壁面画像取得手段と、前記診断結果取得手段により取得した前記診断結果を、前記壁面画像取得手段により取得した前記壁面画像における前記診断対象部の位置に対応付けて、所定の記録手段に記録する対応付け手段とを備える。
付記2の壁面診断結果記録システムは、付記1に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記壁面画像取得手段により取得した前記壁面画像を表示面に表示するディスプレイを備え、前記診断結果取得手段は、前記ディスプレイの前面において当該ディスプレイの表示面と重畳するように設けられたタッチパネルである。
付記3の壁面診断結果記録システムは、付記1に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記診断結果取得手段は、打診手段に設けられた入力手段を介して診断員により入力された診断結果を取得する入力診断結果取得手段である。
付記4の壁面診断結果記録システムは、付記1に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記壁面画像取得手段は、打診手段に設けられた表示灯であって、診断員が診断結果に応じて点灯させる表示灯を含む前記壁面画像を取得し、前記診断結果取得手段は、前記壁面画像に含まれる前記表示灯の点灯状態に基づいて前記診断結果を取得する点灯診断結果取得手段である。
付記5の壁面診断結果記録システムは、付記2に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記壁面画像取得手段は、投光手段により前記壁面に投光された目印を含む前記壁面画像を取得する。
付記6の壁面診断結果記録システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記診断結果取得手段は、前記壁面を上下方向に沿って移動しながら診断を行う診断員による診断結果を取得し、前記壁面画像取得手段は、前記壁面を上下方向に沿って移動しながら撮影を行う撮影手段にて撮影した前記壁面画像を取得する。
付記7の壁面診断結果記録システムは、付記1から6のいずれか一項に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記壁面画像取得手段は、前記壁面における互いに重複しない部分を少なくとも含む範囲を撮影する複数の前記撮影手段にて撮影した前記壁面画像を取得する。
付記8の壁面診断結果記録システムは、付記1から7のいずれか一項に記載の壁面診断結果記録システムにおいて、前記記録手段に記録された診断結果に基づいて、壁面における不具合の種類毎の総量を導出する。
付記9の壁面診断結果記録方法は、壁面における診断対象部に対する診断結果を記録する壁面診断結果記録方法であって、診断員による前記診断結果を取得する診断結果取得ステップと、撮影手段にて撮影した壁面画像であって、少なくとも前記診断対象部を含む壁面画像を取得する壁面画像取得ステップと、前記診断結果取得ステップにおいて取得した前記診断結果を、前記壁面画像取得ステップにおいて取得した前記壁面画像における前記診断対象部の位置に対応付けて、所定の記録手段に記録する対応付けステップとを含む。
付記10の壁面診断結果記録プログラムは、付記9に記載の方法をコンピュータに実行させる。
(付記の効果)
付記1に記載の壁面診断結果記録システム、付記9に記載の壁面診断結果記録方法、及び付記10に記載の壁面診断結果記録プログラムによれば、診断員による診断結果を記録することが可能であるため、壁面への固定が不安定である打診用機械によって診断を行うことにより不正確な診断結果が判定されることがなく、打診用機械による診断結果を記録する場合と比べてより正確な診断結果を得ることが可能である。また診断員の打診や触診によって壁面の診断を行うことが可能であるため、ひび割れと浮きとの関連性、あるいは、シール切れとエフロレッセンスとの関連性のように診断員によらなければ診断を行うことが困難な壁面状態についても診断を行うことが可能となり、より詳細な診断を行うことが可能となる。また、診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することが可能となり、従来のように、一度壁面に診断結果を記載してその診断結果を野帳に転記して記録する必要がないため、診断員の作業負荷の低減、壁面全体の診断時間の短縮、又は診断結果の正確性の向上を図ることが可能となる。
また、付記2に記載の壁面診断結果記録システムによれば、壁面画像を表示するディスプレイに重畳するようにタッチパネルを設け、壁面画像における診断対象部の位置を押圧するのみで、容易に壁面画像における診断対象部の位置を特定することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
また、付記3に記載の壁面診断結果記録システムによれば、打診手段に設けられた入力手段に対して入力された診断結果を診断結果取得手段により取得することによって、診断員が、打診手段を診断対象部に宛がった状態において診断結果を入力手段に入力し、この打診手段を診断対象部に宛がった状態において撮影手段により打診手段を含む診断対象部の撮影を行うことによって、壁面の診断対象部と壁面画像の診断対象部とを見比べて互いの位置関係を把握することなく診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
また、付記4に記載の壁面診断結果記録システムによれば、打診手段に設けられた表示灯の点灯状態に基づいて診断結果を取得することによって、診断員が、打診手段を診断対象部に宛がった状態において診断結果に応じて表示灯を点灯させ、この打診手段を診断対象部に宛がった状態において撮影手段により表示灯を含む診断対象部の撮影を行うことによって、壁面の診断対象部と壁面画像の診断対象部とを見比べて互いの位置関係を把握することなく診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
また、付記5に記載の壁面診断結果記録システムによれば、投光手段により壁面に投光した目印が、壁面と壁面画像との両方に写し出されるため、壁面の診断対象部の位置と壁面画像の診断対象部の位置との相互間の位置関係が明確となり、診断員がディスプレイ上に表示された壁面画像にタッチパネルを介して診断結果を入力する際に容易に壁面画像の診断対象部の位置を把握することが可能となるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
また、付記6に記載の壁面診断結果記録システムによれば、壁面の上下方向に沿って導出された診断結果を壁面画像における診断対象部の位置に対応付けて記録することができ、広範囲の壁面に対する診断結果を記録することが可能となる。
また、付記7に記載の壁面診断結果記録システムによれば、複数の撮影手段によって壁面における互いに重複しない部分を少なくとも含む範囲を撮影することによって、より広範囲に亘って壁面を撮影することが可能であり、診断員が小まめに移動することなく広範囲の壁面を一度に診断することが可能であるため、診断員の作業負荷の低減を図ることが可能となる。
また、付記8に記載の壁面診断結果記録システムによれば、記録手段に記録された診断結果に基づいて、壁面における不具合の種類毎の総量を導出することにより、不具合を数値として表すことが可能となるため、壁面の補修に要する費用や時間について容易に目安を付けることが可能となる。