(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の可溶導体と、上記第1の可溶導体を溶融させる第1の発熱体とを備え、上記第1の発熱体を発熱させることにより上記第1の可溶導体を溶融させ、該溶融導体によって開放電極間を短絡させる短絡部と、
通電電極間に配設された第2の可溶導体と、上記第2の可溶導体を溶融させる第2の発熱体とを備え、上記第2の発熱体を発熱させることにより上記第2の可溶導体を溶融させ、上記通電電極間を開放する開放部と、
上記第1の発熱体への給電を制御する第1の電流制御素子と、
上記第2の発熱体への給電を制御する第2の電流制御素子とを有し、
上記短絡部の上記開放電極と上記開放部の上記通電電極とが直列に接続されたスイッチ回路。
第1の可溶導体と、上記第1の可溶導体を溶融させる第1の発熱体とを備え、上記第1の発熱体を発熱させることにより上記第1の可溶導体を溶融させ、該溶融導体によって開放電極間を短絡させる短絡部と、
通電電極間に配設された第2の可溶導体と、上記第2の可溶導体を溶融させる第2の発熱体とを備え、上記第2の発熱体を発熱させることにより上記第2の可溶導体を溶融させ、上記通電電極間を開放する開放部と、
上記第1の発熱体への給電を制御する第1の電流制御素子と、
上記第2の発熱体への給電を制御する第2の電流制御素子とを有し、
上記短絡部の上記開放電極と上記開放部の上記通電電極とが並列に接続されたスイッチ回路。
第1の可溶導体と、上記第1の可溶導体を溶融させる第1の発熱体とを備え、上記第1の発熱体を発熱させることにより上記第1の可溶導体を溶融させ、該溶融導体によって開放電極間を短絡させる短絡部と、
通電電極間に配設された第2の可溶導体と、上記第2の可溶導体を溶融させる第2の発熱体とを備え、上記第2の発熱体を発熱させることにより上記第2の可溶導体を溶融させ、上記通電電極間を開放する開放部と、
上記第1の発熱体への給電を制御する第1の電流制御素子と、
上記第2の発熱体への給電を制御する第2の電流制御素子とを有し、
上記短絡部の上記開放電極と上記開放部の上記通電電極とが直列に接続され、
上記第1の電流制御素子により上記短絡部の上記開放電極間を短絡させ、回路全体を遮断状態から通電状態へ切り替え、
上記第2の電流制御素子により上記開放部の上記通電電極間を開放させ、回路全体を通電状態から再度遮断状態へ切り替えるスイッチ制御方法。
第1の可溶導体と、上記第1の可溶導体を溶融させる第1の発熱体とを備え、上記第1の発熱体を発熱させることにより上記第1の可溶導体を溶融させ、該溶融導体によって開放電極間を短絡させる短絡部と、
通電電極間に配設された第2の可溶導体と、上記第2の可溶導体を溶融させる第2の発熱体とを備え、上記第2の発熱体を発熱させることにより上記第2の可溶導体を溶融させ、上記通電電極間を開放する開放部と、
上記第1の発熱体への給電を制御する第1の電流制御素子と、
上記第2の発熱体への給電を制御する第2の電流制御素子とを有し、
上記短絡部の上記開放電極と上記開放部の上記通電電極とが並列に接続され、
上記第2の電流制御素子により上記開放部の上記通電電極間を開放させ、回路全体を通電状態から遮断状態へ切り替え、
上記第1の電流制御素子により上記短絡部の上記開放電極間を短絡させ、回路全体を遮断状態から再度通電状態へ切り替えるスイッチ制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用されたスイッチ回路、及びこれを用いたスイッチ制御方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
本発明が適用された第1のスイッチ回路1は、デバイスの機能をオフ状態からオン状態に切り替え、再度オフ状態に切り替えるものである。また、本発明が適用された第2のスイッチ回路2は、デバイスの機能をオン状態からオフ状態に切り替え、再度オン状態に切り替えるものである。第1、第2のスイッチ回路1,2は、いずれも開放電極間を短絡させる短絡部と、通電電極間を開放させる開放部とを備え、適用するアプリケーションに応じて短絡部と開放部とを直列又は並列に接続したものである。また、第1、第2のスイッチ回路1,2の短絡部及び開放部は、可溶導体を溶断させることにより、物理的に、開放電極間を短絡させ、又は通電電極間を開放させる。したがって、第1、第2のスイッチ回路1,2は、不可逆的に当該アプリケーションの機能を切り替えることができる。以下、詳述する。
【0016】
[第1のスイッチ回路]
第1のスイッチ回路1は、
図1に示すように、第1、第2の開放電極11,12間を短絡させる短絡部10と、第1、第2の通電電極21,22を開放させる開放部20とを有し、短絡部10と開放部20とが直列に接続されている。第1のスイッチ回路1は、開放部20が、第1のスイッチ回路1によって機能のオンとオフが制御されるデバイスの電源3と接続され、短絡部10が当該デバイスの機能回路4と接続されている。また、第1のスイッチ回路1は、短絡信号を受けて短絡部10を第1、第2の開放電極11,12間が短絡するように電流を制御する第1の電流制御素子13と、開放信号を受けて開放部20を第1、第2の通電電極21,22間が開放するように制御する第2の電流制御素子23とを有する。
【0017】
具体的に、第1のスイッチ回路1は、
図2に示すように、短絡部10を構成する短絡素子10Aと、開放部20を構成する開放素子20Aとを直列に接続することによって構成することができる。
【0018】
[短絡素子]
短絡素子10Aは、初期段階において開放されている第1、第2の開放電極11,12と、第1の可溶導体14と、第1の可溶導体14を溶融させる第1の発熱体15とを備える。そして短絡素子10Aは、第1の発熱体15を発熱させることにより第1の可溶導体14を溶融させ、この溶融導体によって第1、第2の開放電極11,12間を短絡させるスイッチ16を構成する。また、短絡素子10Aは、第1の開放電極11が開放素子20Aの第2の通電電極22と接続され、第2の開放電極12が、デバイスの機能回路4と接続されている。
【0019】
第1の可溶導体14は、一端を第1の開放電極11と接続され、他端を第1の発熱体15と接続されている。第1の発熱体15は、発熱体電極17を介して第1の電流制御素子13と接続されている。第1の電流制御素子13は、第1の発熱体15への給電を制御するものであり、例えば電界効果トランジスタ(以下、FETと呼ぶ。)により構成され、図示しない検出回路からの信号に応じて作動する。
【0020】
第1の可溶導体14と第1の発熱体15とは直列に接続され、第1の電流制御素子13が作動すると、電源3から第1の可溶導体14を介して第1の発熱体15へ給電される。第1の発熱体15が発熱することにより、第1の可溶導体14が溶融し、この溶融導体によって第1、第2の開放電極11,12間が短絡する。これによりスイッチ16がオンの状態となり、電源3の電力が機能回路4へ供給され、当該デバイスの機能がオンの状態となる。また、第1の可溶導体14が溶融することにより、第1の発熱体15への給電経路が遮断され、第1の発熱体15の発熱が停止する。
【0021】
[開放素子]
開放素子20Aは、通電電極21,22間に配設された第2の可溶導体24と、第2の可溶導体24を溶融させる第2の発熱体25とを備え、第2の発熱体25を発熱させることにより第2の可溶導体24を溶融させ、第1、第2の通電電極21,22間を開放させる。また、開放素子20Aは、第1の通電電極21がデバイスの電源3と接続され、第2の通電電極22が短絡素子10Aの第1の開放電極11と接続されている。
【0022】
第2の可溶導体24は、第1の通電電極21と第2の通電電極22との間に配設されている。開放素子20Aは、これにより第1、第2の通電電極21,22間が通電されている。第2の発熱体25は、一端が第2の可溶導体24を介して電源3と接続され、他端が発熱体電極26を介して第2の電流制御素子23と接続されている。第2の電流制御素子23は、第2の発熱体25への給電を制御するものであり、例えばFETにより構成され、図示しない検出回路からの信号に応じて作動する。
【0023】
第2の第2の電流制御素子23が作動すると、電源3から第2の可溶導体24を介して第2の発熱体25へ給電される。第2の発熱体15が発熱することにより、第2の可溶導体24が溶断し、第1、第2の通電電極21,22間が開放される。これにより、電源3から機能回路4への給電経路が遮断され、当該デバイスの機能がオフの状態となる。また、第2の可溶導体24が溶融することにより、第2の発熱体25への給電経路が遮断され、第2の発熱体25の発熱が停止する。
【0024】
[第1のスイッチ制御方法]
第1のスイッチ回路1は、初期においては、
図2に示すように、短絡部10の第1、第2の開放電極11,12間が開放され、開放部20の第1、第2の通電電極21,22間が第2の可溶導体24を介して短絡されている。また、第1のスイッチ回路1は、第1、第2の電流制御素子13,23によって、第1、第2の発熱体15,25への給電が停止されている。これにより、第1のスイッチ回路1は、電源3から機能回路4への給電経路が遮断され、デバイスの機能の一部又は全部が使用不能とされている。
【0025】
当該デバイスのアクティベーションを行う場合、先ず、第1の電流制御素子13へ検出回路から短絡信号が供給され、第1の電流制御素子13が作動する。すると、電源3の電力が第1の発熱体15に供給され、第1の発熱体15が発熱を開始する。第1の可溶導体14は、第1の発熱体15の熱が伝達されることにより溶断される。
【0026】
これにより、
図3に示すように、第1の可溶導体14の溶融導体が開放されていた第1、第2の開放電極11,12間が短絡され、スイッチ16がオンとなり、電源3から機能回路4への給電経路が接続されてデバイスの機能が使用可能となる。また、第1の可溶導体14が溶融することにより、第1の発熱体15への給電経路が遮断され、第1の発熱体15の発熱が停止する。
【0027】
ライセンス条件に応じて、例えば一定期間が経過した後や、所定回数使用した後、あるいは当該デバイスを廃棄する場合等、当該デバイスやソフトウェアの機能を制限する必要が生じた場合、第2の電流制御素子23へ検出回路から開放信号が供給され、第2の電流制御素子23が作動する。すると、電源3の電力が第2の発熱体25に供給され、第2の発熱体25が発熱を開始する。第2の可溶導体24は、第2の発熱体15の熱が伝達されることにより溶断される。
【0028】
これにより、
図4に示すように、第2の可溶導体24によって短絡されていた第1、第2の通電電極21,22間が遮断され、電源3から機能回路4への給電経路が遮断されて、デバイスの機能が使用不可能となる。また、第2の可溶導体24が溶融することにより、第2の発熱体25への給電経路が遮断され、第2の発熱体25の発熱が停止する。
【0029】
このように、第1のスイッチ回路1によれば、第1、第2の可溶導体14,24を順次溶融させることにより、電源3と機能回路4との電流経路の接続、及び遮断を行い、機能のオフ状態からオン状態へ切り替え、再度オフ状態へ切り替えることができる。このとき、第1のスイッチ回路1によれば、第1、第2の可溶導体14,24を溶融することにより電源3と機能回路4との電流経路の接続、及び遮断を行うことから、物理的、不可逆的に機能のオン・オフを制御することができる。したがって、ソフトウェアによって機能のオン・オフを制御する場合と異なり、不正コピーやハッキング、クラッキング等による不正使用に対する脆弱性を改善することができる。
【0030】
なお、上述した第1のスイッチ回路1においては、回路構成上、開放素子20Aの第2の可溶導体24を一つとしたが、
図5に示すように、第2の可溶導体24a、24bの二つ備えていてもよい。
【0031】
[第2のスイッチ回路]
次いで、第2のスイッチ回路2について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1のスイッチ回路1と同一の構成については、同一の符号を付してその詳細を省略する。第2のスイッチ回路2は、
図6に示すように、短絡部10と開放部20とを有し、短絡部10と開放部20とが、電源3と機能回路4の間で並列に接続されている。また、第2のスイッチ回路2は、短絡信号を受けて短絡部10を第1、第2の開放電極11,12間が短絡するように電流を制御する第1の電流制御素子13と、開放信号を受けて開放部20を第1、第2の通電電極21,22間が開放するように制御する第2の電流制御素子23とを有する。
【0032】
具体的に、第2のスイッチ回路2は、
図7に示すように、短絡部10を構成する短絡素子10Aと、開放部20を構成する開放素子20Aとを並列に接続することによって構成することができる。
【0033】
[短絡素子]
第2のスイッチ回路2において、短絡素子10Aは、第1の開放電極11が電源3と接続され、第2の開放電極12が、デバイスの機能回路4と接続されている。短絡素子10Aのその他の構成は、上述したとおりである。
【0034】
[開放素子]
第2のスイッチ回路2において、開放素子20Aは、第1の通電電極21がデバイスの電源3と接続され、第2の通電電極22がデバイスの機能回路4と接続されている。開放素子20Aのその他の構成は、上述したとおりである。
【0035】
[第2のスイッチ制御方法]
第2のスイッチ回路2は、初期においては、
図7に示すように、短絡部10の第1、第2の開放電極11,12間が開放され、開放部20の第1、第2の通電電極21,22間が第2の可溶導体24を介して短絡されている。また、第2のスイッチ回路2は、第1、第2の電流制御素子13,23によって、第1、第2の発熱体15,25への給電が停止されている。これにより、第2のスイッチ回路2は、開放部20を介して、電源3から機能回路4への給電経路が確保され、デバイスの機能が使用可能とされている。
【0036】
ライセンス条件に応じて、例えば初期の無料使用期間が経過した後や、初期の無料使用回数を使用した等、当該デバイスやソフトウェアの機能を制限する必要が生じた場合、第2の電流制御素子23へ検出回路から開放信号が供給され、第2の電流制御素子23が作動する。すると、電源3の電力が第2の発熱体25に供給され、第2の発熱体25が発熱を開始する。第2の可溶導体24は、第2の発熱体15の熱が伝達されることにより溶断される。
【0037】
これにより、
図8に示すように、第2の可溶導体24によって短絡されていた第1、第2の通電電極21,22間が遮断され、電源3から機能回路4への給電経路が遮断されて、デバイスの機能が使用不可能となる。また、第2の可溶導体24が溶融することにより、第2の発熱体25への給電経路が遮断され、第2の発熱体25の発熱が停止する。
【0038】
ユーザがライセンス契約手続きを行い、当該デバイスのアクティベーションを行う場合、先ず、第1の電流制御素子13へ検出回路から短絡信号が供給され、第1の電流制御素子13が作動する。すると、電源3の電力が第1の発熱体15に供給され、第1の発熱体15が発熱を開始する。第1の可溶導体14は、第1の発熱体15の熱が伝達されることにより溶断される。
【0039】
これにより、
図9に示すように、第1の可溶導体14の溶融導体が開放されていた第1、第2の開放電極11,12間が短絡され、電源3から機能回路4への給電経路が接続されてデバイスの機能が使用可能となる。また、第1の可溶導体14が溶融することにより、第1の発熱体15への給電経路が遮断され、第1の発熱体15の発熱が停止する。
【0040】
このように、第2のスイッチ回路2によれば、第1、第2の可溶導体14,24を順次溶融させることにより、電源3と機能回路4との電流経路の遮断、及び再接続を行い、機能のオン状態からオフ状態へ切り替え、再度オン状態へ切り替えることができる。このとき、第2のスイッチ回路2によれば、第1、第2の可溶導体14,24を溶融することにより電源3と機能回路4との電流経路の遮断、及び再接続を行うことから、物理的、不可逆的に機能のオン・オフを制御することができる。したがって、ソフトウェアによって機能のオン・オフを制御する場合と異なり、不正コピーやハッキング、クラッキング等による不正使用に対する脆弱性を改善することができる。
【0041】
なお、上述した第2のスイッチ回路2においては、回路構成上、開放素子20Aの第2の可溶導体24を一つとしたが、
図10に示すように、第2の可溶導体24a、24bの二つ備えていてもよい。
【0042】
[素子構成例]
[短絡素子]
次いで、短絡素子10Aの構成例について説明する。
図11(A)に、短絡素子10Aの平面図を示し、
図11(B)に、短絡素子10Aの断面図を示す。短絡素子10Aは、絶縁基板30と、絶縁基板30に設けられた第1の発熱体15と、絶縁基板30に、互いに隣接して設けられた第1の開放電極11及び第2の開放電極12と、第1の開放電極11と隣接して設けられるとともに、第1の発熱体15に電気的に接続された第3の電極31と、第2の開放電極12と隣接して設けられた第4の電極32と、第1の開放電極11と第3の電極31との間に亘って設けられることにより電流経路構成し、第1の発熱体15からの加熱により、第1の開放電極11と第3の電極31との間の電流経路を溶断するとともに第1、第2の開放電極11,12間を短絡させる第1の可溶導体14aと、第2の開放電極12と第4の電極32との間に亘って設けられ、第1の発熱体15からの加熱によって溶融し、第1、第2の開放電極11,12間を短絡させる第1の可溶導体14bとを備える。そして、短絡素子10Aは、絶縁基板30上に内部を保護するカバー部材33が取り付けられている。
【0043】
絶縁基板30は、たとえば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材を用いて略方形状に形成されている。絶縁基板30は、その他にも、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよいが、第1の可溶導体14a,14bの溶断時の温度に留意する必要がある。
【0044】
第1の発熱体15は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、たとえばW、Mo、Ru等からなる。第1の発熱体15は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板30上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。
【0045】
第1の発熱体15は、絶縁基板30上において絶縁層35に被覆されている。絶縁層35は、第1の発熱体15の熱を効率よく第1、第2の開放電極11,12や第3、第4の電極31,32へ伝えるとともに、第1の可溶導体14a、14bの溶融導体が第1、第2の開放電極11,12上に凝集させるために設けられ、例えばガラス層からなる。
【0046】
第1の発熱体15を被覆する絶縁層35上には、第1、第2の開放電極11,12、及び第3、第4の電極31,32が形成されている。第1の開放電極11は、一方側において第2の開放電極12と隣接して形成されるとともに、絶縁されている。第1の開放電極11の他方側には第3の電極31が形成されている。第1の開放電極11と第3の電極31とは、第1の可溶導体14aが搭載されることにより導通され、電源3から機能回路4への給電経路の一部を構成するとともに、第1の可溶導体14a,14bの溶断時における電流経路を構成する。また、第1の開放電極11は、絶縁基板30の側面に臨む導電スルーホール36を介して絶縁基板30の裏面に設けられた外部接続端子(図示せず)と接続され、この外部接続端子を介して開放素子20Aの第2の通電電極22(
図2)、あるいは電源3(
図7)と接続される。
【0047】
また、第3の電極31は、絶縁基板30に設けられた発熱体引出電極37を介して第1の発熱体15と接続されている。また、第1の発熱体15は、発熱体引出電極37を介して、絶縁基板30の側縁に臨む発熱体電極17と接続されている。発熱体電極17は、導電スルーホール36を介して、絶縁基板30の裏面に設けられた外部接続端子(図示せず)と接続され、この外部接続端子を介して第1の電流制御素子13と接続される。
【0048】
第2の開放電極12の第1の開放電極11と隣接する一方側と反対の他方側には、第4の電極32が形成されている。第2の開放電極12と第4の電極32とは、第1の可溶導体14が接続されている。また、第2の開放電極12は、絶縁基板30の側面に臨む導電スルーホール36を介して絶縁基板30の裏面に設けられた外部接続端子(図示せず)と接続され、この外部接続端子を介して機能回路4と接続される(
図2、
図7)。
【0049】
なお、第1、第2の開放電極11,12及び第3、第4の電極31,32は、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができるが、少なくとも第1、第2の開放電極11,12の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、公知のメッキ処理により形成されていることが好ましい。これにより、第1、第2の開放電極11,12の酸化を防止し、溶融導体を確実に保持させることができる。また、短絡素子10Aをリフロー実装する場合に、第1の可溶導体14を接続するハンダあるいは第1の可溶導体14の外層を形成する低融点金属が溶融することにより第1、第2の開放電極11,12を溶食(ハンダ食われ)して切断するのを防ぐことができる。
【0050】
[可溶導体]
第1の可溶導体14a,14bは、第1の発熱体15の発熱により速やかに溶断されるいずれの金属を用いることができ、例えば、Snを主成分とするPbフリーハンダ等の低融点金属を好適に用いることができる。
【0051】
また、第1の可溶導体14a,14bは、低融点金属と高融点金属とを含有してもよい。低融点金属としては、Pbフリーハンダなどのハンダを用いることが好ましく、高融点金属としては、Ag、Cu又はこれらを主成分とする合金などを用いることが好ましい。高融点金属と低融点金属とを含有することによって、短絡素子10Aをリフロー実装する場合に、リフロー温度が低融点金属の溶融温度を超えて、低融点金属が溶融しても、内層の低融点金属の外部への流出を抑制し、第1の可溶導体14a,14bの形状を維持することができる。また、溶断時も、低融点金属が溶融することにより、高融点金属を溶食(ハンダ食われ)することで、高融点金属の融点以下の温度で速やかに溶断することができる。
【0052】
第1の可溶導体14a,14bは、低融点金属層を内層とし、高融点金属層を外層として構成することができる。このような第1の可溶導体14a,14bは、低融点金属箔に、高融点金属層をメッキ技術を用いて成膜することによって形成することができ、あるいは、他の周知の積層技術、膜形成技術を用いて形成することもできる。また、第1の可溶導体14a,14bは、高融点金属層を内層とし、低融点金属層を外層として構成してもよく、また低融点金属層と高融点金属層とが交互に積層された4層以上の多層構造としてもよい。
【0053】
なお、第1の可溶導体14a,14bは、第1、第2の開放電極11,12上、及び第3、第4の電極31,32上へ、ハンダ等を用いて接続されている。
【0054】
なお、第1の可溶導体14a,14bの酸化防止、及び第1の可溶導体14a,14bの溶融時における濡れ性を向上させるために、第1の可溶導体14a,14bの上にはフラックス39が塗布されている。
【0055】
短絡素子10Aは、絶縁基板30がカバー部材33に覆われることによりその内部が保護されている。カバー部材33は、短絡素子10Aの側面を構成する側壁33aと、短絡素子10Aの上面を構成する天面部33bとを有し、側壁33aが絶縁基板30上に接続されることにより、短絡素子10Aの内部を閉塞する蓋体となる。このカバー部材33は、上記絶縁基板30と同様に、たとえば、熱可塑性プラスチック,セラミックス,ガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成されている。
【0056】
また、カバー部材33は、天面部33bの内面側に、カバー部電極33cが形成されても良い。カバー部電極33cは、第1、第2の開放電極11,12と重畳する位置に形成されている。このカバー部電極33cは、第1の発熱体15が発熱し、第1の可溶導体14a,14bが溶融されると、第1、第2の開放電極11,12上に凝集した溶融導体が接触して濡れ広がることにより、溶融導体を第1、第2の開放電極11,12間にわたって確実に保持させるとともに、保持する許容量を増加させることができる。
【0057】
そして、短絡素子10Aは、デバイスのアクティベーションが行われると、第1の電流制御素子13が短絡信号を受けて作動することにより、電源3と接続された第1の開放電極11側から第1の可溶導体14a、発熱体引出電極37及び第1の発熱体15を介して発熱体電極17へかけて電力が供給される。したがって、第1の発熱体15が通電することにより発熱する。この熱により第1の可溶導体14a,14bが溶融すると、溶融導体は、
図12(A)(B)に示すように、第1、第2の開放電極11,12上に凝集する。第1、第2の開放電極11,12は隣接して形成されているため、第1、第2の開放電極11,12上に凝集した溶融導体が結合し、これにより第1、第2の開放電極11,12が短絡する。すなわち、短絡素子10Aは、スイッチ16の両端子間が短絡される(
図3、
図9)。
【0058】
なお、第1の発熱体15への通電は、第1の可溶導体14aが溶断することにより第1の開放電極11と第3の電極31間が遮断されるため、停止される。
【0059】
[開放素子]
次いで、開放素子20Aの構成例について説明する。開放素子20Aは、
図13(A)に示すように、絶縁基板50と、絶縁基板50に積層され、絶縁部材51に覆われた第2の発熱体25と、絶縁基板50の両端に形成された第1の通電電極21及び第2の通電電極22と、絶縁部材51上に第2の発熱体25と重畳するように積層された発熱体引出電極52と、両端が第1、第2の通電電極21,22にそれぞれ接続され、中央部が発熱体引出電極52に接続された第2の可溶導体24とを備える。
【0060】
絶縁基板50、第2の発熱体25、及び第2の可溶導体24は、短絡素子10Aに用いた絶縁基板30、第1の発熱体15、及び第1の可溶導体14と同様であるため、詳細は省略する。
【0061】
開放素子20Aは、発熱体14を覆うように絶縁部材51が配置され、この絶縁部材15を介して第2の発熱体25に対向するように発熱体引出電極52が配置される。第2の発熱体25の熱を効率良く第2の可溶導体24に伝えるために、第2の発熱体25と絶縁基板50の間にも絶縁部材51を積層しても良い。絶縁部材51としては、例えばガラスを用いることができる。
【0062】
発熱体引出電極52の一端は、第1の発熱体電極26aに接続され、この第1の発熱体電極26Aを介して第2の発熱体25の一端と連続される。また、第2の発熱体25の他端は、第2の発熱体電極26bに接続される。また、第2の発熱体電極26bは、絶縁基板50に形成された導電スルーホール55を介して絶縁基板50の裏面に形成された外部接続端子(図示せず)と接続されている。第2の発熱体25は、第2の発熱体電極26b、及び外部接続端子を介して第2の電流制御素子23と接続される。
【0063】
第2の可溶導体24は、発熱体引出電極52及び第1、第2の通電電極21,22へ、ハンダ等により接続されている。第2の可溶導体24は、リフローはんだ付けによって容易に接続することができる。
【0064】
図13に示すように、絶縁基板50の両側縁に形成され、第2の可溶導体24によって接続されている第1の通電電極21、第2の通電電極22は、それぞれ、スルーホール55を介して、絶縁基板50の裏面に設けられた外部接続端子(図示せず)と接続されている。第1の通電電極21は、外部接続端子を介して電源3と接続される(
図2、
図7)。また第2の通電電極22は、外部接続端子を介して、短絡素子10Aの第1の開放電極11(
図2)、あるいは機能回路4(
図7)と接続される。
【0065】
なお、第1、第2の通電電極21、22、及び発熱体引出電極52も、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができ、第1、第2の通電電極21、22、及び発熱体引出電極52の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、公知のメッキ処理により形成されていることが好ましい。これにより、第1、第2の通電電極21、22、及び発熱体引出電極52の酸化を防止し、溶融導体を確実に保持させることができる。また、開放素子20Aをリフロー実装する場合に、第2の可溶導体24を接続するハンダあるいは第2の可溶導体24の外層を形成する低融点金属が溶融することにより第1、第2の通電電極21、22、及び発熱体引出電極52を溶食(ハンダ食われ)して切断するのを防ぐことができる。
【0066】
なお、開放素子20Aは、第2の可溶導体24の酸化防止、及び第2の可溶導体24の溶融時における濡れ性を向上させるために、第2の可溶導体24上のほぼ全面にフラックス57が塗布されている。また、開放素子20Aにおいても、内部を保護するために、絶縁基板50上にカバー部材58が設けられている。
【0067】
そして、開放素子20Aは、デバイスの機能を遮断する場合、第2の電流制御素子23が開放信号を受けて作動することにより、電源3側から電力が供給され、第2の発熱体25が通電することにより発熱する。この熱により第2の可溶導体24が溶融すると、溶融導体は、
図14(A)(B)に示すように、発熱体引出電極52、第1、第2の通電電極21,22上に凝集する。これにより第1、第2の通電電極21,22間が開放され、電源3と機能回路4との間の電流経路が遮断される(
図4、
図8)。
【0068】
なお、第2の発熱体25への通電は、第2の可溶導体24が溶断することにより第1の通電電極21と第2の発熱体電極26b間が遮断されるため、停止される。