(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097208
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】間仕切りパネル
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
E04B2/74 501U
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-244200(P2013-244200)
(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公開番号】特開2015-101901(P2015-101901A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】301042505
【氏名又は名称】コバヤシ産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597001394
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】小林 武則
(72)【発明者】
【氏名】福原 伸治
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−118007(JP,U)
【文献】
実開平02−043311(JP,U)
【文献】
実開昭49−149519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数を側部同士で接合して連結具により連結可能な間仕切りパネルであって、
矩形平板状のパネル本体と、
前記パネル本体の一方側面を窪ませるように形成された凹面部と、
前記パネル本体の他方側面から側方に膨出するように形成された柱状部とを備え、
前記柱状部は、前記パネル本体の厚みよりも大きく且つ前記凹面部の曲率に対応する直径を有する円柱状の形状部分を有し、
前記パネル本体の両側部の上部には、鉤状の連結具の両端部がそれぞれ挿入される第1の係合部および第2の係合部を有しており、
前記第1の係合部は、前記連結具の直径と同じ大きさの直径を有する孔部からなり、
前記柱状部は、中空円筒状に形成され、円筒状の内径が前記連結具の直径よりも大きくなるように形成されており、前記連結具の中間部が収容される複数の溝部が前記柱状部の上部に放射状に配置され、
前記第2の係合部は、前記柱状部の内周面からなる間仕切りパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切りパネルに関し、より詳しくは、複数を連結して室内空間の間仕切りを行うことができる間仕切りパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
建物や施設等の室内空間における間仕切りや目隠しを行うため、パーテーション、スクリーン、衝立等の間仕切りパネルを複数連結して設置することが、従来から行われている。例えば、
図9に示すように、特許文献1に開示されたローパーテーション50は、本体51の両側に縦フレーム52,52を備えており、ローパーテーション50を複数並設して、隣接する縦フレーム52,52の間を連結具53により連結することができる。
【0003】
縦フレーム52は、
図10(a)に平面図で示すように、主連結孔54を中心とする半円状に形成されており、外周に沿って複数の補助連結孔55が形成されている。主連結孔54には、連結具53の挿通孔を介してボルト56が挿入され、補助連結孔55のいずれかには、連結具53のピン57が挿入されて、ローパーテーション50,50同士が連結される。ローパーテーション50,50の連結角度は、
図10(b)に示すように、異なる補助連結孔55にピン57を挿入することで変更可能であり、3つ以上のローパーテーション50を連結することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−60933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した従来のローパーテーション50は、連結作業は容易に行えるものの、半円状の凸面同士が接触して連結されることから両者の間で滑りが生じ易くなり、軽い衝撃で連結が外れるおそれがあった。一方、イベント会場、ショールーム、オフィス等のように、期間を定めて間仕切りパネルを使用するような場合では、間仕切りパネルのレイアウトの自由度を高めるだけでなく、間仕切りパネルの運送、搬出入、設置等の作業を迅速容易に行うことのニーズが高まっていた。
【0006】
そこで、本発明は、設置現場における所望の配置を容易且つ確実に行うことができる間仕切りパネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、複数を側部同士で接合して連結具により連結可能な間仕切りパネルであって、矩形平板状のパネル本体と、前記パネル本体の一方側面を窪ませるように形成された凹面部と、前記パネル本体の他方側面から側方に膨出するように形成された柱状部とを備え、前記柱状部は、前記パネル本体の厚みよりも大きく且つ前記凹面部の曲率に対応する直径を有する円柱状の形状部分を有
し、前記パネル本体の両側部の上部には、鉤状の連結具の両端部がそれぞれ挿入される第1の係合部および第2の係合部を有しており、 前記第1の係合部は、前記連結具の直径と同じ大きさの直径を有する孔部からなり、前記柱状部は、中空円筒状に形成され、円筒状の内径が前記連結具の直径よりも大きくなるように形成されており、前記連結具の中間部が収容される複数の溝部が前記柱状部の上部に放射状に配置され、前記第2の係合部は、前記柱状部の内周面からなる間仕切りパネルにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設置現場における所望の配置を容易且つ確実に行うことができる間仕切りパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る間仕切りパネルを複数配置した状態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す間仕切りパネルの連結方法を説明するための要部斜視図である。
【
図3】
図2の連結後の状態を示す要部平面図である。
【
図4】
図2の連結後の状態を示す要部正面図である。
【
図5】
図1に示す間仕切りパネルの他の連結状態を示す要部平面図である。
【
図6】
図1に示す間仕切りパネルの更に他の連結状態を示す要部平面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る間仕切りパネルを複数配置した状態の一例を示す要部平面図である。
【
図8】
図1に示す間仕切りパネルの他の要部を示す分解斜視図である。
【
図9】従来の間仕切りパネルを複数連結した状態を示す正面図である。
【
図10】
図9に示す間仕切りパネルの連結状態の変形例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る間仕切りパネルを複数配置した状態の一例を示す斜視図である。間仕切りパネル1は、公知のパネル材11の左右両側に縦フレーム20および支柱フレーム30をそれぞれ備え、パネル材11の上下に横フレーム12,12をそれぞれ備えて構成された、矩形平板状のパネル本体10を備えている。このパネル本体10において、縦フレーム20は、側面を断面視円弧状に窪ませて形成された凹面部22を備え、支柱フレーム30は、側面から側方に膨出するように形成された中空円筒状の柱状部32を備えている。柱状部32は、外周面が凹面部22の略全体と接触するように、凹面部22の曲率に対応する直径を有しており、この直径は、パネル本体10の厚みよりも大きくなるように形成されている。柱状部32の下部には、脚体38が取り付けられている。
【0013】
本実施形態の間仕切りパネル1は、複数を予め用意し、それぞれの凹面部22と柱状部32とを順次当接させることにより、後述する連結具で連結することができ、脚体38によって床面に起立させることができる。凹面部22には、上下方向に間隔をあけて複数のマグネット221が配置されており、支柱フレーム30を磁性材料により形成することで、凹面部22と柱状部32との当接を容易にすることができる。連結する間仕切りパネル1の数に特に制限はないが、最後に連結する間仕切りパネル1は凹面部22が露出した状態になるため、支柱フレーム30と同様の構成を備える円柱状の支柱42を別途用意し、凹面部22に支柱42の外周面を当接させることで、間仕切りパネル1の連結体を安定して支持することができる。
【0014】
図2は、
図1に示す間仕切りパネル1の連結方法を説明するための要部斜視図である。
図2に示すように、縦フレーム20の上部には第1の係合部24が形成され、支柱フレーム30の上部には第2の係合部34が形成されている。第1の係合部24および第2の係合部34は、鉤状に形成された連結具40の両端部40a,40bとそれぞれ係合可能に形成されており、第1の係合部24は、連結具40の直径と略同じ大きさの直径を有する孔部からなる。一方、第2の係合部34は、中空円筒状に形成された柱状部32の内周面からなる。柱状部32は、円筒状の内径が連結具40の直径よりも大きくなるように形成されており、上部に複数の溝部36が放射状に配置されている。
【0015】
図3および
図4は、それぞれ
図2の連結後の状態を示す要部平面図および要部正面図である。連結具40は、一方端部40aが第1の係合部24に挿入され、他方端部40bが第2の係合部34である円筒状の内周面の一部に接触して係止される。また、連結具40の中間部は、溝部36に収容される。
【0016】
上述した本実施形態の間仕切りパネル1は、パネル本体10の一方側に柱状部32を備えるので、複数の間仕切りパネル1を連結する際に、新たに支柱を用意して介在させる必要がない。したがって、運送、搬出入、設置などの各作業を迅速容易に行うことが可能であり、レンタル等の用途に特に好適に使用することができる。
【0017】
また、柱状部32が、凹面部22の曲率に対応する直径を有しているので、凹面部22の略全体に柱状部32の一部を収容した状態で、間仕切りパネル1同士を連結することができる。したがって、凹面部22と柱状部32との当接状態を維持し易く、間仕切りパネル1が衝撃を受けた場合にも、連結が容易に外れるのを防止することができる。柱状部32の曲率中心は、パネル本体10の中心線上にあることが好ましい。
【0018】
間仕切りパネル1の柱状部32に連結される他の間仕切りパネル1は、必ずしも単一に限られるものではなく、複数の間仕切りパネル1を連結することも可能である。例えば、
図5に示すように1つの柱状部32に対して2つの間仕切りパネル1を連結することが可能であり、或いは、
図6に示すように1つの柱状部32に対して3つの間仕切りパネル1を連結することが可能である。いずれの場合も、第2の係合部34を複数の連結具40の端部が係合可能な大きさに設定することで、連結具40は同じ形状のものを使用することが可能であり、現場での作業性を高めることができる。
【0019】
第2の係合部34は、柱状部32の外周と同心円となるように形成することで、柱状部32に対する間仕切りパネル1の連結角度を変えた場合でも、凹面部22との接触状態を良好に維持したまま、連結具40の端部を第2の係合部34となる内周面に確実に係止させることができる。したがって、間仕切りパネル1のレイアウトに拘わらず、良好な連結状態を得ることができる。柱状部32に連結する間仕切りパネル1の数を更に増加させる場合には、柱状部32の直径をより大きくすることで容易に対応可能である。
【0020】
第2の係合部34は、本実施形態では円筒状の内周面により形成しているが、柱状部32の外周と同心状に形成されていれば、他の構成であってもよい。例えば、
図7に示すように、第2の係合部34を、柱状部32の外周との同心円に沿って配置された複数の孔部により形成してもよく、この孔部をそれぞれ溝部36に対応するように放射状に配置することで、本実施形態の間仕切りパネル1と同様に使用することができる。或いは、第2の係合部34を、柱状部32の外周との同心円に沿って延びるように形成された円弧状のスリットにより構成することもできる。なお、
図7において、
図3等と同様の構成部分には同一の符号を付している。
【0021】
柱状部32の下部に取り付けられる脚体38は、柱状部32の支持高さの調整機構を備えることで、現場における間仕切りパネル1の設置作業をより容易にすることができる。
図8は、このような支持高さ調整機構の一例を示す要部分解斜視図である。
図8に示すように、脚体38は、床面に接する支持板381の上面から円筒部382が突出しており、円筒部382の側壁に上下方向に延びるスリット383,383が形成されている。円筒部382の内部には、両端部に張出部385,385を備えるねじりばね384が収容されており、張出部385,385がスリット383,383を介して円筒部382の外方に突出する。一方、柱状部32は、下部側壁に貫通孔321,321を有しており、円筒部382に外嵌されることにより、スリット383,383を介して突出する張出部385,385が貫通孔321,321と係合する。この構成によれば、張出部385,385をスリット383,383に沿って上下動させることができるので、張出部385,385と貫通孔321,321との係合により、柱状部32を上下動させることができる。そして、柱状部32を停止すると、円筒部382内で拡がるねじりばね384の付勢力によって、柱状部32の高さ位置を保持することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 間仕切りパネル
10 パネル本体
20 縦フレーム
22 凹面部
24 第1の係合部
30 支柱フレーム
32 柱状部
34 第2の係合部
36 溝部
38 脚体
40 連結具
42 支柱