(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097218
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】構造部品及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20170306BHJP
B21D 7/06 20060101ALI20170306BHJP
B21D 11/02 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
B23K20/12 G
B23K20/12 D
B21D7/06 P
B21D11/02
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-535131(P2013-535131)
(86)(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公表番号】特表2013-544651(P2013-544651A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2011057375
(87)【国際公開番号】WO2012054889
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年10月3日
(31)【優先権主張番号】61/405,914
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508133400
【氏名又は名称】シリル バス カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】ハウストン トーマス サンディ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンス ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ポレン ラリー エー.
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−011731(JP,A)
【文献】
特表2009−514679(JP,A)
【文献】
特開2008−307605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
B21D 5/00 − 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部品の製造方法であって、
基材が少なくとも2つの側壁とその間の空間とを備えるように前記基材を成形することと、
前記基材が所定の曲線形状を成すように前記基材を熱間ストレッチ成形することと、
少なくとも1つの補強部材が前記少なくとも2つの側壁の間の前記空間内に少なくとも部分的に配置されるように、前記少なくとも1つの補強部材を前記少なくとも2つの側壁へ線形摩擦溶接することと、
を含むとともに、
前記基材の前記少なくとも2つの側壁における前記少なくとも1つの補強部材が線形摩擦溶接される部分は、前記少なくとも1つの補強部材が線形摩擦溶接される前は残留応力を有しない方法。
【請求項2】
前記基材と補強部材のうちの少なくとも1つはチタンまたはチタン合金で形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材と補強部材のうちの少なくとも1つはアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基材と補強部材は同一材料で形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基材と補強部材は異なる材料で形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構造部品の製造方法であって、
少なくとも2つの側壁とその間の空間から成る形材を、ダイが配置されている断熱筐体中に、前記形材が前記ダイの成形距離にあるように配置することと、
形材中に電流を流すことにより前記形材を加工温度にまで抵抗加熱することと、
形材が前記加工温度にある間に前記形材と前記ダイを互いに相対的に移動して、熱間ストレッチを用いて、少なくとも2つの側壁とその間の空間とを備え、所定の曲線形状を有する基材を成形することと、
前記曲線形状の基材を取付アセンブリ上に取り付けることと、
補強部材が前記少なくとも2つの側壁の間の前記空間内に少なくとも部分的に配置されるように、線形摩擦溶接を利用して前記補強部材を前記少なくとも2つの側壁へ貼り付けることと、
を含むとともに、
前記基材の前記少なくとも2つの側壁における前記少なくとも1つの補強部材が線形摩擦溶接される部分は、前記少なくとも1つの補強部材が線形摩擦溶接される前は残留応力を有しない方法。
【請求項7】
前記貼り付けのステップが、
前記補強部材と第1の側壁との間の第1の界面と、前記補強部材と第2の側壁との間の第2の界面とを画定するよう、前記補強部材を前記基材と接触させて配置することと、
前記第1の界面に対してある角度で所定の大きさの第1の圧接荷重を、前記第2の界面に対してある角度で所定の大きさの第2の圧接荷重を印加することと、
前記補強部材と前記基材とを加熱するよう、前記補強部材を所定の振動振幅で振動させることと、
前記振動振幅を零まで減少させることと、
前記第1と第2の圧接荷重を所定の設定点にまで上昇させて所定の時間保持することと、
前記第1と第2の圧接荷重を零に減少させることと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基材と補強部材のうちの少なくとも1つはチタンまたはチタン合金で形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記基材と前記補強部材のうちの少なくとも1つはアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記基材と補強部材は同一材料で形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記基材と補強部材は異なる材料で形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つの側壁とその間の空間とから成る熱間ストレッチされた基材であって、所定の曲線形状を有する基材と、
前記少なくとも2つの側壁の間の前記空間内に少なくとも部分的に配置されるように、線形摩擦溶接によって少なくとも前記2つの側壁に取り付けられた少なくとも1つの補強部材と、
を備え、
前記基材の前記少なくとも2つの側壁における前記少なくとも1つの補強部材が線形摩擦溶接によって取り付けられた部分は残留応力を有しない
構造部品。
【請求項13】
前記基材と前記補強部材のうちの少なくとも1つはチタンまたはチタン合金で形成されている、請求項12に記載の構造部品。
【請求項14】
前記基材と前記補強部材のうちの少なくとも1つはアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている、請求項12に記載の構造部品。
【請求項15】
前記基材と補強部材は同一材料で形成されている、請求項12に記載の構造部品。
【請求項16】
前記基材と補強部材は異なる材料で形成されている、請求項12に記載の構造部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に構造部品の分野に関し、特に本発明の実施形態は、基材とそこに貼り付けられた少なくとも1つの補強材から成る改良された構造部品と、そのための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機産業を含む種々の産業では、相対的に残留応力がなく、破損なく加工できる複雑な構造部品への要求がある。特に、一般的にL字型またはU字型断面形状を持ち、すみ板、フィン、タブなどの部品の断面形状を長さ方向に一定としない種々の形体を含む、曲線的な機械仕上げ部品に対する要求がある。残念なことに、L字型またはU字型の部材を曲線状の部品に成形し、鍛造、レーザ溶接、融接やその他の既知の方法による従来方法ですみ板やフィンやタブを付加すると、成形及び製造工程中にその部品が受ける不均一な変形を主たる要因として、許容限度を超える残留応力を部品中に有する完成部品になってしまう。部品に残留応力があると、その後の機械加工または使用において破損及び/又は形状変化をもたらし易く、また、基材片と結合要素との間の結合力が推奨されるものよりも弱くなる。これらの欠点のために、これらの部品は先ず部品片の全長に亘って付加部分を含む形状に押し出し成形または圧延を行い、そこから必要に応じて材料を除去して所望の形状を画定する、という形で成形しなければならない。この方法は、部品製造に要する原材料の重量及びコストを大幅に増大させるばかりでなく、最終加工工程において残りの断面から不要材料を取り除くことが、比較的高価な機械設備と熟練とを要する時間のかかる工程であることから、部品製造に要する時間が大幅に増大する。従って、所要の原材料の量とそれに続く加工作業の両方を低減する、改良された構造部品と構造部品の製造方法に対する必要性が未だにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は構造部品と関連する製造方法を提供する。一実施形態によれば、構造部品の製造方法が、少なくとも2つの側壁とその間の空間とを備えるように基材を成形することを含む。基材は、基材が所定の曲線形状を成すように熱間ストレッチ成形される。少なくとも1つの補強部材が、少なくとも2つの側壁へ線形摩擦溶接されて、補強部材が少なくとも2つの側壁の間の空間内に少なくとも部分的に配置される。
【0004】
本発明の別の実施形態によれば、構造部品の製造方法が、少なくとも2つの側壁とその間の空間とから成る形材をダイが配置されている断熱筐体中に、形材がダイの成形距離にあるように配置することを含む。形材中に電流を流すことにより形材を加工温度にまで抵抗加熱する。形材が加工温度にある間に形材とダイを互いに相対的に移動して、所定の曲線形状を有する基材を成形する。曲線状基材は取付アセンブリ上に取り付けられる。補強部材が少なくとも2つの側壁の間の空間内に少なくとも部分的に配置されるように、線形摩擦溶接を利用して補強部材を少なくとも2つの側壁へ貼り付ける。一実施形態において貼り付けのステップは、補強部材と第1の側壁との間の第1の界面と、補強部材と第2の側壁との間の第2の界面とを画定するよう、補強部材を基材と接触させて配置することと、第1の溶接界面に対してある角度で所定の大きさの第1の圧接荷重を、第2の溶接界面に対してある角度で所定の大きさの第2の圧接荷重を印加することと、補強部材と基材とを加熱するよう、補強部材を所定の振動振幅で振動させることと、振動振幅を零まで減少させることと、第1と第2の圧接荷重を所定の設定点にまで上昇させて所定の時間保持することと、そして第1と第2の圧接荷重を零に減少させることと、を含む。
【0005】
本明細書で開示する方法の一実施形態によると、基材と補強部材のうちの少なくとも1つはチタンまたはチタン合金で形成されている。本明細書で開示する方法の別の実施形態によると、基材と補強部材のうちの少なくとも1つはアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。本明細書で開示する方法の別の実施形態によると、基材と補強部材は同一材料で形成されている。本明細書で開示する方法のさらに別の実施形態によると、基材と補強部材は異なる材料で形成されている。
【0006】
本発明の一実施形態によると、構造部品が少なくとも2つの側壁とその間の空間とから成る基材を備え、この基材が、熱間ストレッチ成形を利用して成形された所定の曲線形状を有する。この構造部品はさらに、少なくとも2つの側壁の間の空間内に少なくとも部分的に配置された、少なくとも2つの側壁へ線形摩擦溶接された少なくとも1つの補強部材を備える。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、構造部品が基材を備え、この基材は、少なくとも2つの側壁とその間の空間とから成る形材をダイが配置されている断熱筐体中に形材がダイの成形距離にあるように配置し、形材中に電流を流すことにより形材を加工温度にまで抵抗加熱し、形材が加工温度にある間に形材とダイを互いに相対的に移動させる、ことにより成形される。この構造部品は基材に貼り付けられた少なくとも1つの補強部材を備え、その補強部材は、補強部材と第1の側壁との間の第1の界面と補強部材と第2の側壁との間の第2の界面とを画定するよう補強部材を基材と接触させて配置し、第1の溶接界面に対してある角度で所定の大きさの第1の圧接荷重を、第2の溶接界面に対してある角度で所定の大きさの第2の圧接荷重を印加し、補強部材と基材とを加熱するよう補強部材を所定の振動振幅で振動させ、振動振幅を零まで減少させ、第1と第2の圧接荷重を所定の設定点にまで上昇させて所定の時間保持し、そして第1と第2の圧接荷重を零に減少させる、ことによって貼り付けられる。
【0008】
本発明の一実施形態によると、基材と補強部材のうちの少なくとも1つはチタンまたはチタン合金で形成されている。本発明の別の実施形態によると、基材と補強部材のうちの少なくとも1つはアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。本発明の別の実施形態によると、基材と補強部材は同一材料で形成されている。本発明のさらに別の実施形態によると、基材と補強部材は異なる材料で形成されている。
【0009】
このように、所要の原材料の量とそれに続く加工作業の両方を低減する、改良された構造部品および構造部品の製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による構造部品を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による形材を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、
図2の形材を成形するのに利用できるストレッチ成形装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、
図3のストレッチ成形装置のダイ筐体内部に配置されたダイを示す部分切欠図である。
【
図5】本発明の一実施形態による線形摩擦溶接装置を示す斜視図である。
【
図6】
図1の線形摩擦溶接装置を示す斜視図である。
【
図7】先に成形された形材に直角に溶接される補強部材に対して掛けられる圧接荷重を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を、そのすべてではないが一部を示している添付の図面を参照してより詳細に説明する。実際に、本発明は多くの異なる形態で具現化することが可能であり、本明細書で提示する実施形態に限定されると考えるべきではない。むしろこれらの実施形態は、適用される法的要件を本開示が充たすために提供されるものである。全体を通じて同じ番号は同じ要素を示す。
【0012】
図1を参照すると、本発明の実施形態による構造部品10が示されている。いくつかの実施形態によると、
図1に示されているように、構造部品10は基材12と少なくとも1つの補強部材14とを備えている。いくつかの実施形態において、構造部品10は複数の補強部材14を備えている。いくつかの実施形態において、構造部品10は金属でできている。例えば、基材12及び/又は少なくとも1つの補強部材14は、チタンまたはチタン合金を含んでいいてもよい。別の実施形態では、基材12及び/又は少なくとも1つの補強部材14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでいてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、基材12は底壁16と、1つまたは複数の側壁18とから成り、基材12の断面形状がL字型、U字型、C字型、T字型や、そのほかの形状であって基材12に補強部材14が貼り付けられる開放領域を画定する任意の形状であってよい。本明細書において、「底壁」、「側壁」という用語は基材12の部分を指すように使用されているが、これらの用語は基材に対して特定の方向を表わすものではない。すなわち、「底壁」及び/又は「側壁」のそれぞれは総称的な「側壁」を構成し、基材が所期の動作環境及び方向に実装された場合に、側部の壁、または上部の壁、または底部の壁を含み得る。いくつかの実施形態によると、
図1に示すように、基材12は曲線形状を持っていて、基材12が底壁16の面に垂直な1つまたは複数の軸について曲がっている。ここで底壁16は実質的に平面のままである。いくつかの実施形態では、構造部品10はさらに、1つまたは複数のタブ22またはフィン24やそのほかの突起を備えていてもよい。そのようなタブ22とフィン24あるいは突起は基材12と一体的に成形されるか、もしくは以下で詳細を述べるように基材12に貼り付けられてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態によると、基材12は、形材20すなわち金属などの材料片にストレッチ成形処理を行なって成形される。形材20は、押出加工、ロール鍛造法やそのほかの製造工程により成形されてもよい。こうしていくつかの実施形態において、底壁16と1つまたは複数の側壁18で画定される、基材12の所望の断面形状をした形材から基材12が成形される。
図2に示すように、成形前は形材20が実質的に直線的な形状をしている。基材12の曲線形状を実現するために、形材20はストレッチ成形装置内で加熱され、成形される。ストレッチ成形の概論に関しては、Polenらの米国特許第7,669,452号を参照されたい。引用によりその全体を本明細書に援用する。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、
図3に示すようにストレッチ成形装置30は主フレーム32とダイ取付面34と第1と第2の対向する旋回アーム36A、36B(本明細書においては旋回アーム36とも称する)を備えている。旋回アーム36は主フレーム32に枢動可能に取り付けられ、油圧成形シリンダ38A、38B、すなわち38に結合されて、油圧引張シリンダ40A、40B(本明細書においては引張シリンダ40とも称す)を支える。そしてこの引張シリンダ40A、40Bそれぞれには、そこに取り付けられた油圧で作動可能な相対向する顎アセンブリ42A、42B(本明細書においては顎42とも称する)がある。加圧された油圧用流体を成形シリンダ38と引張シリンダ40と顎42A、42Bへ供給するために、適当なポンプ、バルブ機構、及び制御部品が設けられてもよい。前述の部品に加えて、断熱されたダイ筐体44が顎アセンブリ42Aと42Bの間のダイ取付面34に取り付けられている。いくつかの実施形態において、ダイ筐体44は、形材20の両端を収納するように構成された、整列して相対向する第1と第2の開口を備えている。さらに、ダイ筐体44は開放して形材20をそこへ配置し、そこから取り出すことができる。ただし、閉じている時には、形材20の両端のための2つの開口を除き、完全に囲まれている。
図4を参照するといくつかの実施形態においては、ダイ46がダイ筐体44の内部に配置されている。ダイ46は比較的重量のある構造体であり、その作用面48はダイ46のまわりで折り曲げられる形材20に選択された曲線が付与されるような形状をしている。その詳細を後で説明する。いくつかの実施形態によれば、作用面48の断面は、概して形材20の断面形状に合致しており、形材20がダイ46の作用面48に対して同一平面上に配置されるようになっていてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、ストレッチ成形装置30を用いて形材20から構造部品10の基材12を成形するために、形材20がダイ筐体44中にダイ46の作用面48から成形距離にあるように配置される。形材20の両端がダイ筐体44の第1と第2の開口をそれぞれ貫通し、形材20の残りの部分がダイ筐体44の内部に実質的に完全に取り囲まれるように、形材20がダイ筐体44内に配置される。次に顎42が、ダイ筐体44の開口から突き出ている形材20の反対側の両端のそれぞれに対してクランプされる。いくつかの実施形態によると、形材20は、顎42及びダイ46を含む、アセンブリ30の部品から電気的に絶縁されている。例えば、ダイ46は溶融シリカのようなセラミック材料の複数片からできていてもよい。ダイ46は他の耐熱材料でできていてもよいし、または非絶縁性材料でできていて、絶縁層で被覆ないしは包み込まれていてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、形材20がアセンブリ内に配置されて両端が顎42でクランプされると、形材20に電流が流されて抵抗加熱が行われる。抵抗加熱するために、電源からのコネクタが形材20の各端部に配置されてもよい。別の実施形態において、前述したように、顎42を通して直接に加熱電流が接続されてもよい。熱電対またはそのほかの測温デバイスを利用することによって、温度フィードバック信号を利用して、電流源はプログラマブル論理制御装置(PLC)で制御可能である。これにより、急速でありながら均一な加熱のためにランプ速度を適切にすることが可能であり、形材20が目標温度に到達した後の電流の抑制も可能となる。既知の種類の比例積分微分(PID)制御ループを備えることにより、成形サイクル中の形材20の温度変化に対して自動調整が可能となる。成形サイクル中にこの制御はアクティヴでありプログラム可能であってもよい。こうして、熱電対やそのほかの温度センサからのフィードバックを利用して形材20の加熱を閉ループ制御して継続し、所望の作業温度設定点に到達させる。設定点までの形材20の加熱速度は、関連する熱電対からのフィードバックとともに、形材20の断面積と長さを考慮して決定される。ストレッチ成形作業を行う間、形材20は約538℃(約1000°F)かそれ以上にまで加熱される。
【0018】
作業温度に到達すると、形材20を基材12へ成形を開始することができる。いくつかの実施形態によると、引張シリンダ40が形材20を長手方向の所望の点まで引き伸ばし、成形シリンダ38が旋回アーム36を内側へ枢動させて形材20をダイ46に巻き付ける。この間作業温度は必要に応じて制御される。こうして、ダイ46が基材12に曲線形状を付与する。引張速度、さまざまな位置での保持時間、及び温度変化は、成形工程の間、制御システムへのフィードバックを介して制御可能である。旋回アーム36からの位置のフィードバックで、形材20が最終位置に到達したことが分かると、制御システムは、形材20が開放できる時までその位置及び/又は張力を維持する。その設定点に至るまでは、制御システムが形材20の加熱とダイ周りでの成形を継続する。必要に応じて温度制御した状態で、選択された保持時間の間、形材20をダイ46に押し付けたままにして、クリープ成形を行ってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によると、形材20は、電流源を介した補助加熱を加えながら、自然冷却よりもゆっくり冷却される。この温度の下降速度はプログラムされていて、温度フィードバックでモニタしながら形材20を冷却することが可能である。温度が最終設定点に到達すると、形材20にかかる力が解除され、電流源からの電流が停止される。形材20から力が除去された後、顎42が開放され、すべての電気接続が取り外される。そして、完全に成形された基材12がアセンブリ30から取り外される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態においては、成形前に形材20の加熱を含まないストレッチ成形工程を利用して形材20から基材12が成形されてもよいことを理解されたい。実際にいくつかの実施形態において、上記の加熱、冷却プロセスが基材12の成形に用いられなくてもよい。具体的にはいくつかの実施形態によると、ストレッチ成形装置30による抵抗加熱かその他のものかに拘らず、形材20は加熱されない。そうして形材20をダイ46に押し付けて、最低作業温度に到達することもまたはそのほかに形材20を温度制御することもなしに基材12が成形される。このように、これらの実施形態においては、形材20からの基材12の成形が、ストレッチ成形装置30の場所での気温において行われる。ただし、加熱及び/又は冷却プロセスを用いるかどうかに拘らず、得られる基材12が好ましくは、それに限定するものではないが基材表面上の引張残留応力も含めて、実質的に残留応力を持たない。
【0021】
上記のプロセスを利用して構造部品10の基材12が成形されると、1つまたは複数の補強部材14が基材12に貼り付けられる。いくつかの実施形態によると、補強部材14のそれぞれは線形摩擦溶接を利用して基材12に貼り付けられる。別の実施形態によると、単一圧接軸または二軸圧接軸の線形摩擦溶接プロセスが利用されてもよい。この溶接プロセスでは、2片の金属が、一方向または二方向から印加される圧接力とともに、その2片間の振動する線形運動により生じる摩擦による局所的な加熱によって接合可能となる。二軸圧接軸の線形摩擦溶接の概論に関しては、Alessiらの米国特許第7,624,907号を参照されたい。引用によりその全体を本明細書に援用する。
【0022】
いくつかの実施形態によると、線形摩擦溶接機械は、線形摩擦溶接プロセスを実行するために利用されてもよい。いくつかの実施形態において、線形摩擦溶接機械は、振動と一軸または二軸の圧接荷重力とを与えるように運転可能な溶接ヘッドを備え、これが溶接を行って補強部材14を基材12に貼り付ける。
図5と6に示すように、二軸圧接軸線形摩擦溶接機械の溶接ヘッド50は他の部品を支持するための振動ブロック52を含んでいる。いくつかの実施形態によれば、2つのY軸振動静圧軸受アクチュエータ54が、振動ブロック52の対向する両側面に備えられてその中に支持され、4つのZ軸圧接静圧軸受アクチュエータ56が振動ブロック52の上面に備えられ、第1の圧接軸であるZ軸に沿って圧接荷重を提供する。2つのX軸静圧圧接アクチュエータ58が振動ブロック52の1つの側面に備えられ、第2の圧接軸であるX軸に沿って圧接荷重を提供する。2つのX軸カウンタ荷重静圧軸受アクチュエータ60が2つのX軸静圧圧接アクチュエータ58に対向し、X軸圧接アクチュエータ58の圧接荷重に対抗する。4つのZ軸カウンタ荷重浮動シリンダ62が振動ブロック52の各コーナに配置され、Z軸圧接アクチュエータ56の荷重に対抗する。振動ブロック52はさらに、振動のために補強部材14を固定するクランプツール64の取付面を備える。振動ブロック52はY軸静圧振動アクチュエータ54と、X方向の静圧圧接アクチュエータ58とカウンタ荷重アクチュエータ60と、Z方向の静圧圧接アクチュエータ56とカウンタ荷重シリンダ62との間に保持されている。複数の静圧アクチュエータのそれぞれが好ましくは、作動のためのサーボ弁と、圧力と位置のフィードバックセンサとを装備している。静圧振動アクチュエータが好ましくは速度のフィードバック用の加速度計を備えている。
【0023】
いくつかの実施形態によると、補強部材14を基材へ貼り付けて構造部品10を形成するために、各補強部材14が溶接ヘッド50にクランプされ、基材12の底壁16と側壁18に接触して配置される。基材はしっかりと固定されて、溶接ヘッド50内の補強部材14を受けられるようになっている。
図7に示すように、補強部材14は、底壁16と側壁18の各内面によって画定される面に沿って、基材12へ直角に溶接される。具体的には、X軸圧接アクチュエータ58がX軸の圧接軸方向に沿う圧接荷重を与える。X軸カウンタ荷重静圧軸受アクチュエータ60が、X軸方向の静圧軸受上に所望の予荷重が生じるようにカウンタ荷重力を与える。この構成により、溶接ヘッド50に荷重をかけることなしに、圧接アクチュエータ58がX方向に位置取りして制御維持を可能とした状態で、振動ブロック52をX軸に拘束する。
【0024】
Z軸圧接アクチュエータ56がZ軸の圧接軸方向の圧接荷重を与える。ここで再び、静圧アクチュエータと一体になった静圧軸受に予荷重が必要である。振動ブロック52が溶接ヘッドのハウジング内に保持されるために、Z軸カウンタ荷重シリンダ62が、振動ブロックの重量と静圧圧接アクチュエータの予荷重に対抗する力を提供する。この構成により、溶接ヘッド50に荷重をかけることなしに、静圧圧接アクチュエータがZ軸方向に位置制御することが可能となる。任意の2組のアクチュエータの連結運動が1つの面運動を提供する。直交する3組のアクチュエータが、溶接ヘッドの3面の運動をもたらす。静圧振動アクチュエータがY軸方向のヘッドの高周波往復運動を提供する。
【0025】
振動ブロックが運動する2軸圧接の溶接プロセスを一般的に考慮すると、予め設定された(調整用の)圧接荷重がZ軸とX軸方向に、溶接界面に対して0から90度まで、好ましくは実質的に垂直に印加される。振動運動と印加された荷重とで、生じる摩擦が溶接界面を加熱して材料を塑性状態にする。材料が溶接界面から押し出され、それによって溶接面が清浄化される。各圧接軸の移動量が制御システムによってモニタされて、清浄化プロセス中に移動した材料、つまり消耗された材料の量を判定する。清浄化による移動量が予め設定した値に到達すると、振動振幅を減少させてゼロにして、部品を最終的な圧接運動位置に配置する。ゼロまたはゼロ付近の振動において、予め設定された最終圧接荷重がZ方向とX方向に印加される。印加された圧接荷重が部品同士を強制的に押し付ける。いくつかの実施形態によると、圧接荷重の大きさは溶接する長さに依存する。例えば、側壁への溶接が底壁への溶接の3倍長い場合には、側壁への圧接軸に沿って必要な荷重は、底壁への圧接軸に沿って必要な荷重よりも約3倍大きな強度が必要となる。圧接荷重を印加した時に、圧接荷重圧力を相対的に一定に保持する。圧接による移動がモニタされて記録されてもよい。材料が冷えて固化すると、圧接移動が止まる。圧接荷重は圧接移動が止まった後も予め設定された時間だけ維持して、部品位置と溶接品質を確実なものとする。最終の溶接ヘッド位置が記録されてもよい。圧接圧力をゼロに下げ、部品のクランプを外して、溶接ヘッドを後退させる。こうして溶接サイクルが完了する。このように、今述べた二軸圧接線形摩擦溶接プロセスを利用して、補強部材14が基材12へ貼り付けられて構造部品10が形成される。
【0026】
他の実施形態において、一軸圧接線形摩擦溶接プロセスを利用して補強部材14を基材12に貼り付けて、構造部品10を形成してもよい。実際にいくつかの実施形態によると、補強部材14、タブ22、及び/又はフィン24のいずれも、二軸圧接線形摩擦溶接または一軸圧接線形摩擦溶接のいずれかを利用して基材12へ貼り付けてもよい。例えば、補強部材14は二軸圧接線形摩擦溶接を用いて基材12に貼り付け、所望のタブ22とフィン24は一軸圧接線形摩擦溶接を用いて基材12に貼り付けてもよい。タブ22及び/又はフィン24は、基材12の底壁16と側壁18の間の空間に直角に溶接されるよりもむしろ、底壁16または側壁18の端部が画定する単一面上へ溶接される。従って、そのようなタブ22及び/又はフィン24の溶接には一軸圧接線形摩擦溶接が適切な選択となる。
【0027】
一軸圧接線形摩擦溶接は、既に説明した二軸圧接線形摩擦溶接と類似の方法で行うことができる。異なるのは、溶接ヘッド60によりX軸とZ軸の両方に2つの荷重がかけられるのではなく、一方向に単一の圧接荷重のみが印加される点である。例えば、Z方向に単一の圧接荷重が掛けられてもよい。このような実施形態において、溶接ヘッド60にはX軸圧接アクチュエータ58やX軸カウンタ荷重静圧軸受アクチュエータ60が装備されていなくてもよい。貼り付け予定の部品の振動はこの場合においても、Y軸静圧振動アクチュエータ54を利用してY軸方向に発生し、振動振幅も同じように、予め設定した清浄化移動が達成されるとゼロに向けて低減されて部品を最終圧接運動に備えて位置取りする。ゼロまたはゼロ付近の振動において、予め設定された最終圧接荷重がZ方向のみに印加されて、部品を基材12上に押し付ける。圧接荷重をZ軸方向に印加する時、圧接荷重の圧力を圧接移動が停止した後の予め設定した時間の間一定に維持して、部品の位置と溶接の品質を確実なものとする。このように、一軸圧接線形摩擦溶接を本明細書で説明した二軸圧接線形摩擦溶接の代替としてあるいはその補完物として利用して、1つまたは複数の補強部材14、タブ22、フィン24を基材12に貼り付けてもよい。
【0028】
有利には、基材12に貼り付けられる補強部材14とタブ22とフィン24は、さまざまな金属及び金属合金で形成されていてもよい。この点に関して、補強部材14とタブ22とフィン24と基材12は、同一または異種の金属及び金属合金で形成されていてもよい。一実施形態においては、基材12と基材12に貼り付けられる部材はそれぞれ“溶接不能”の材料で形成されている。これは伝導度が高く溶接の接合点から熱が急速に放散する材料であるか、及び/又は熱膨張による応力の結果として溶接接合点に沿ってクラックが生じるような材料である。溶接不能の材料は、従来の溶融溶接プロセスを用いて溶接した場合、相対的に弱い溶接接合点を形成する。従って、例えば航空機産業などのような高性能な構造体への応用に係わる設計者には大部分が利用不可である。そのような材料として、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金、及びチタンのある種の合金、特にTi−6A1−4V合金、AA2000シリーズ合金、AA7000シリーズ合金などがある。有利には、これらの材料の多くが特定の用途、特に航空機産業に望ましい腐食、疲労、強度または延性に関する特別の特性を有している。
【0029】
補強部材14と基材12(あるいは該当する場合にはタブ22、またはフィン24)との間の振動は、十分な摩擦熱を発生して接触領域に隣接する各部材部分の温度を、約700°Fと、補強部材14と基材12を形成する金属の固相線直下の温度との間の温度にまで上昇させる。線形摩擦溶接は激しい変形を起こすが、溶接界面に実質的に残留応力のない、非常に微細化された粒状構造をもたらす。さらに線形摩擦溶接は、いかなる溶融溶接プロセスに比べても熱影響域の範囲がより狭く、従来の溶接に適する特性を持つ特定の合金に限定されない。線形摩擦溶接は、従来の溶接に関する数々の欠陥を取り除く。たとえば、マイクロクラック、低延性、溶融不足、気孔率などであり、最も重要な点は接合された部品部材の形状と公差に対して逆効果を及ぼす歪みを最小化することである。
【0030】
このように、所要の原材料の量とそれに続く加工作業の両方を低減する、改良された構造部品および構造部品の製造方法が提供された。有利には、基材とそれから得られる構造部品の実施形態は、実質的な残留応力なしで形成される。従って、従来の構造部品にみられる、後続の機械加工または使用時において破損及び/又は形状変化を受けやすいこと、及び/又は基材片と結合要素間の結合強度が推奨されるよりも低いこと、などの従来構造部品の不利な点を持たない。
【0031】
本発明をここに特定の実施形態で説明した。本明細書で説明した本発明に関して、前述の説明に示された教示及び関連する図面の利益を有する多くの変形及び他の実施形態を、本発明に関連する当業者は思い付くであろう。従って、本発明は開示した特定の実施形態に限定されないこと、及び変形や他の実施形態及び複数の実施形態の組合せは、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書において特定の用語を使用したが、それらは一般的かつ記述的意味においてのみ使用されており、限定を目的とするものではない。