(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種の水溶性モリブデン化合物及び水溶性金属亜鉛化合物を含む、水中の金属前駆体溶液を提供するステップが、溶液中10wt.%未満のモリブデンの濃度を有する溶液を提供することを含むか、または、少なくとも1種の水溶性モリブデン化合物及び水溶性金属亜鉛化合物を含む、水中の金属前駆体溶液が、溶液中10wt.%未満の亜鉛の濃度を有する、請求項3に記載の方法。
重質油原料が、エマルジョンを硫化するために必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、エマルジョンが、in−situ硫化条件下で反応器内で重質油原料と混合される、請求項1又は3に記載の方法。
炭化水素希釈剤が、重質油原料を含み、重質油原料が硫化に必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、有機ニッケル錯体が、in−situ硫化条件下で重質油原料と混合される、請求項6に記載の方法。
in−situ硫化条件が、752°F(400℃)から1112°F(600℃)の温度及び1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力である、請求項2、5、7又は9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の用語は、本明細書全体を通して使用され、別段に指定されない限り、以下の意味を有する。
【0041】
「バルク触媒」という用語は、「スラリー触媒」又は「非担持触媒」又は「自己担持触媒」と交換可能に使用することができ、触媒組成物が、次いで含浸又は堆積(デポジション)触媒により金属が担持される、予め形成された成形触媒担体を有する従来の触媒形態ではないことを意味する。一実施形態において、バルク触媒は、沈殿により形成される。別の実施形態において、バルク触媒は、触媒組成物に組み込まれる結合剤を有する。さらに別の実施形態において、バルク触媒は、金属化合物から形成され、いかなる結合剤も有さない。一実施形態において、バルク触媒は、炭化水素油等の液体混合物中に分散した粒子を含む(「スラリー触媒」)。
【0042】
「重質油」供給物又は原料は、重質及び超重質原油を指し、残油、石炭、ビチューメン、タールサンド、廃棄物の熱分解から得られる油、ポリマー、バイオマス、コークス及び油頁岩起源の油等を含むが、それらに限定されない。重質油原料は、液体、半固体、及び/又は固体であってもよい。重質油原料の例は、カナダのタールサンド、ブラジルのサントス及びカンポス堆積盆地、エジプトのスエズ湾、チャド、ベネズエラのスリア、マレーシア、及びインドネシアのスマトラからの減圧残油を含むが、それらに限定されない。重質油原料の他の例は、「バレル残渣油」若しくは「残留油」(若しくは「残油」)、少なくとも650°F(343℃)の沸点を有する大気圧塔残渣油、又は少なくとも975°F(524℃)の沸点を有する真空塔残渣油、又は975°F(524℃)以上の沸点を有する「残油ピッチ」及び「真空残渣」を含む、精製プロセスから残った残留油を含む。
【0043】
重質油原料の特性は、少なくとも0.1、少なくとも0.3、又は少なくとも1のTAN;少なくとも10cStの粘度;一実施形態において最大15、別の実施形態において最大10のAPI度を含むが、それらに限定されない。一実施形態において、1グラムの重質油原料は、少なくとも0.0001グラムのNi/V/Fe;少なくとも0.005グラムのヘテロ原子;少なくとも0.01グラムの残渣;少なくとも0.04グラムのC5アスファルテン;原油1グラム当たり少なくとも0.002グラムのマイクロ残渣(MCR);少なくとも0.00001グラムの1種又は複数種の有機酸のアルカリ金属塩;及び少なくとも0.005グラムの硫黄を含有する。一実施形態において、重質油原料は、少なくとも5wt.%の硫黄含量及び−5から+5の範囲のAPI度を有する。アサバスカビチューメン(カナダ)等の重質油供給物は、典型的には、少なくとも50体積%の真空残渣を有する。ボスカン(ベネズエラ)重質油供給物は、少なくとも64体積%の真空残渣を含有し得る。ボレアリスカナダビチューメンは、約5%の硫黄、19%のアスファルテン及び1kg/トン未満の不溶性THF
1(テトラヒドロフラン)を含有し得る。
【0044】
「処理」、「処理された」、「改良」(“upgrade”)、「改良する」及び「改良された」は、重質油原料に関連して使用される場合、重質油原料の分子量が低減された、重質油原料の沸点範囲が低下された、アスファルテンの濃度が低下された、炭化水素フリーラジカルの濃度が低下された、並びに/又は、硫黄、窒素、酸素、ハロゲン化物、及び金属等の不純物の量が低減された、水素化処理に供されている、若しくは供された重質油原料、又は得られた材料若しくは粗生成物を示している。
【0045】
重質油原料の改良又は処理は、本明細書において、概して「水素化処理」(水素化分解、又は水素化変換(水素化転化))と呼ばれる。水素化処理は、水素の存在下で行われる任意のプロセスを意味し、水素化変換、水素化分解、水素化、水素処理、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属化、水素化脱芳香族化、水素化異性化、水素化脱ろう、及び選択的水素化分解を含む水素化分解を含むが、それらに限定されない。水素化処理の生成物は、改善された粘度、粘度指数、飽和物含量、低温特性、揮発性物質及び脱分極等を示し得る。
【0046】
水素は、水素、並びに/又は、重質油供給物及び触媒の存在下で反応して水素を生成する化合物(単数又は複数)を指す。
【0047】
「界面活性剤」という用語は、「表面活性剤」、「安定剤」、又は「表面改質剤」と交換可能に使用することができ、概して、液体の表面張力を低下させる、又は液滴径を低減するように作用して、分散した触媒粒子と炭化水素油との間の界面における濡れを改善する任意の材料を指す。
【0048】
「触媒前駆体」は、1種又は複数種の触媒活性金属を含有する化合物を指し、この化合物から最終的にスラリー触媒が形成され、またこの化合物は、水素化処理触媒として触媒活性であってもよい。一例は、炭化水素希釈剤による転化ステップの前の水系触媒であり、別の例は、硫化金属前駆体である。
【0049】
「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」は、X、Y及びZ又はX
1〜X
n、Y
1〜Y
n及びZ
1〜Z
n等のいくつかの要素又は要素のクラスの前に置かれて使用される場合、X又はY又はZから選択される単一の要素、同じ共通クラスから選択される要素の組合せ(例えばX
1及びX
2)、並びに異なるクラスから選択される要素の組合せ(例えばX
1、Y
2及びZ
n)を指すことが意図される。
【0050】
SCF/BBL(又はscf/bbl)は、ユニットが使用される場所に依存して、炭化水素供給物、又はスラリー触媒のバレル当たりのガス(N
2、H
2等)の標準立方フィートの単位を指す。
【0051】
本明細書において言及される周期表は、IUPAC及びU.S. National Bureau of Standardsにより承認された表であり、その一例は、2001年10月のLos Alamos National Laboratory’s Chemistry Divisionによる元素周期表である。
【0052】
「金属」は、元素、化合物、又はイオン形態の試薬を指す。「金属前駆体」は、プロセスへの金属化合物供給物を指す。単数形の「金属」又は「金属前駆体」という用語は、単一の金属又は金属前駆体、例えばVIB族又は助触媒金属に限定されず、金属の混合物の複数形の呼称も含む。「溶質状態で」は、金属成分がプロトン性液体形態であることを意味する。
【0053】
「VIB族金属」は、元素、化合物、又はイオン形態のクロム、モリブデン、タングステン、及びそれらの組合せを指す。
【0054】
「VIII族金属」は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、レニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金及びそれらの組合せを指す。
【0055】
「主金属」(“Primary metal”)は、VIB族(IUPAC命名法では6族)、VIII族金属(IUPAC命名法では8〜10族)、IIB族金属、及びそれらの組合せのいずれかから選択される、元素、化合物、又はイオン形態の金属を指し、その硫化形態において、水素化処理プロセスにおける触媒として機能する。主金属は、触媒中に他の金属よりも大量に存在する。
【0056】
「助触媒金属」(“Promoter metal”)は、IVB族(IUPAC命名法では4族)、VIB族、VIII族、IIB族金属(IUPAC命名法では12族)、及びそれらの組合せのいずれかから選択される、元素、化合物、又はイオン形態の金属を指し、主金属の触媒活性を増加させるために添加される。助触媒金属は、一実施形態において1〜50wt.%(助触媒金属対主金属)、第2の実施形態において2〜30wt.%の範囲内で、主金属より少量で存在する。
【0057】
「助触媒金属を含まない」又は「助触媒金属を実質的に含まない」は、触媒の作製において、元素、化合物、又はイオン形態の助触媒金属が添加されないことを意味する。主金属の1%(wt.%)未満の量の微量の助触媒金属が存在してもよい。
【0058】
1000°F+変換率(転化率)は、水素化変換プロセスにおける1000°F+を超える沸点を有する重質油原料から、1000°F(538℃)未満の沸点の材料への変換を指し、100%*(供給物中の1000°Fを超える沸点の材料のwt.%−生成物中の1000°Fを超える沸点の材料のwt.%)/供給物中の1000°Fを超える沸点の材料のwt.%)として計算される。
【0059】
「貴浸出溶液」(“pregnant leach solution”)、「貴浸出液」、又は「浸出液」としても知られる「加圧浸出溶液」又はPLSは、冶金廃棄物、鉱石及び/若しくは濃縮物、使用済電池、又は使用済触媒からの金属の回収から得られた組成物を指し、ある特定の金属成分(単数又は複数)を水相中に溶解させ、又はその浸出をもたらして、加圧浸出溶液を生成するために、圧力及び温度下での浸出ステップが使用される。
【0060】
「浸出スラリー」としても知られる「加圧浸出スラリー」は、使用済触媒からのVIB族金属、助触媒金属等の金属の溶解から得られるスラリーを指す。浸出スラリーが金属回収プロセス、例えば使用済スラリー触媒からの金属の回収からのものである一実施形態において、加圧浸出スラリーは1wt.%から20wt.%の量のコークスを含有し得る。
【0061】
「エマルジョン」としても知られる「分散液」は、一方の流体(例えば、触媒前駆体、金属前駆体等)が、連続相としての第2の流体相(例えば、重質油原料又は炭化水素希釈剤)中に液滴の形態で懸濁又は分散している、2種の非混和性の流体を指す。一実施形態において、液滴は、0.1μmから300μmの範囲内である。別の実施形態において、液滴は、1μmから10μmである。第3の実施形態において、液滴は、0.5μmから50μmの範囲内の径である。液滴は、後に合体して、より大きな径となってもよい。液滴径は、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれるInd. Eng. Chem. Res. 2010、49、1412〜1418に開示されているような、粒子ビデオ顕微鏡及び収束ビーム反射法を含む当技術分野において知られている方法により測定することができる。
【0062】
「再加工物」(“rework”)という用語は、「再加工材料」又は「触媒微粉末」と交換可能に使用することができ、担持触媒、自己担持触媒、及び触媒前駆体のいずれかの作製プロセスから得られた、1種又は複数種の触媒材料を含有する微粉末又は粉末材料まで径が低減された触媒生成物、スクラップ片、微粉末、又は不良材料を指す。触媒微粉末は、触媒生成物から、又は触媒生成物の作製プロセスにおいて生成された触媒材料を含有する不良材料/スクラップ片から生成することができる。触媒微粉末は、硫化されていてもよく、又は硫化されていなくてもよい。一実施形態において、再加工物は、非担持触媒前駆体の作製からのものであり、再加工物は、最終生成物、触媒微粉末、破片、スクラップ片等から、及び触媒前駆体が硫化される前に生成される。別の実施形態において、再加工物は、触媒前駆体の形成/成形プロセスから生成された微粉末、最終生成物、スクラップ片等から、及び硫化ステップの前に生成される。別の実施形態において、再加工物は、担持触媒又は非担持触媒を作製するプロセスにおいて生成された、担持触媒生成物、非担持触媒生成物、スクラップ片、微粉末、及びそれらの組合せのいずれかの粉砕から生成された微粉末の形態である。
【0063】
HDN、HDS及びHDMCR等の反応の反応速度定数(「k値」)は、プロセスの適切な関数、例えば反応物質の濃度、プロセス圧力、流量、及び他のプロセス固有の変数に対する、特定の留分(VGO、VR等)、又は供給物中の特定の化合物のクラス(硫黄含有又はHDS、窒素含有又はHDN)の変換の速度に関する比例定数を指す。本明細書において計算される場合、新鮮なVRストリームを含むシステム(LHSV)に対する全体積流量は、ガスホールドアップ(hold−up)の効果を考慮するように補正される。
【0064】
一実施形態において、孔隙率及び細孔径分布は、ASTM標準法D4284として設計された水銀圧入ポロシメトリー(mercury intrusion porosimetry)を使用して測定される。別段に指定されない限り、孔隙率は、窒素吸着法により測定される。
【0065】
一実施形態において、本発明は、高表面積及び高細孔容積を含むがそれらに限定されない、改善された特性を有するスラリー触媒を作製するための方法に関する。本発明はまた、一実施形態において少なくとも30%の1000°F+変換、別の実施形態において少なくとも50%の1000°F+変換を得るための条件下で操作される、改善されたスラリー触媒の存在下での改良プロセスに、重質油供給物を送ることによる、重質油の水素化変換又は改良のための方法に関する。
【0066】
金属前駆体(単数又は複数)供給物:一実施形態において、触媒は、少なくとも1種の主金属成分(例えばVIB族金属前駆体)及び少なくとも1種の助触媒金属前駆体(例えばVIII族金属前駆体、IIB族金属前駆体、又はNi等のVIII族金属前駆体、及びTi等のIVA族金属前駆体)から調製される。別の実施形態において、触媒は、少なくとも1種の主金属前駆体から調製され、助触媒金属は添加されない。さらに別の実施形態において、触媒は、主金属成分としてニッケル化合物等の少なくとも1種のVIII族金属から調製され、後に助触媒金属として他の金属が添加される、又は添加されない。さらに別の実施形態において、触媒は、少なくとも2種の異なる金属陽イオンを含有する複塩前駆体から調製され、例えば、少なくとも2種の異なる金属前駆体供給物から調製される。複数の助触媒金属前駆体が原料として使用されてもよく、例えば、Ni及びCo等の異なるVIII族金属前駆体が使用される。複数の主金属前駆体、例えばMo及びWが、共触媒として使用されてもよい。
【0067】
少なくとも1種の助触媒金属が添加される実施形態において、助触媒金属成分対主金属成分の重量比は、1%から90%の範囲内である。第2の実施形態において、比は、2%から50%の範囲である。第3の実施形態において、比は、5%から30%の範囲である。第4の実施形態において、比は、10%から20%の範囲である。
【0068】
一実施形態において、金属前駆体の少なくとも1種は、油溶性、油分散性、水溶性及び/又は水分散性であってもよい。金属前駆体は、元素金属として、又は金属化合物として提供されてもよい。金属前駆体は、固体状態で添加されてもよい。一実施形態において、金属前駆体の1種は、固体状態で添加されてもよく、第2の金属前駆体は、溶質状態で添加されてもよい。金属前駆体は、同じ又は異なっていてもよく、例えば、全て有機化合物、全て無機化合物、又は1つは有機化合物で1つは無機化合物であってもよい。一実施形態において、金属前駆体は、触媒活性であってもよく、例えば、試薬グレードの金属硫化物又は選鉱された鉱物であってもよい。
【0069】
一実施形態において、金属前駆体の少なくとも1種は、アクリル酸、及び2つ以上の炭素原子を含有する脂環式脂肪族カルボン酸等の有機酸の金属塩から選択される有機化合物である。限定されない例は、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、ナフテン酸塩及びオクタン酸塩を含む。別の実施形態において、金属前駆体は、有機アミンの塩から選択される。さらに別の実施形態において、金属前駆体は、有機金属化合物、例えば、1,3−ジケトン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、フタロシアニン及びそれらの混合物等のキレートから選択される。別の実施形態において、有機金属前駆体は、ジチオレート、ジチオカルバメート、及びそれらの混合物の塩から選択される。一例は、ジチオカルバメート錯体等のVIII族金属前駆体である。VIB族金属前駆体の別の例は、ジアルキルジチオリン酸モリブデン等の可溶性モリブデン含有有機ホスホロジチオエートである。金属前駆体はまた、硫黄含有有機化合物、例えばスルフヒドリルS−H等の配位原子としての硫黄を有するキレート化合物、又はオキシ硫化モリブデンジチオカルバメート錯体(Molyvan A)であってもよい。
【0070】
一実施形態において、VIB族金属前駆体(主金属又は助触媒金属として)は、有機溶媒、例えば直鎖アルカン、炭化水素、又は蒸留留分等の石油生成物中のモリブデンのアルカリ金属又はアンモニウムメタレートの群から選択され、モリブデン化合物は、後に、助触媒金属前駆体の添加前又は添加と同時に、圧力及び温度下で分解される。
【0071】
一実施形態において、VIB族金属前駆体供給物は、水溶性塩、例えばモリブデン酸塩、タングステン酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩等の酸化物及び多価陰イオンである。一実施形態において、VIB族金属前駆体は、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される。別の実施形態において、VIB族金属前駆体は、(二若しくは三)酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸(例えばH
2MoO
4)、又はそれらの混合物の群から選択される。さらに別の実施形態において、VIB族金属化合物は、有機金属錯体、例えば、ナフテン酸塩、ペンタンジオネート、オクタン酸塩、酢酸塩等から選択される、遷移金属及び有機酸の油溶性化合物又は錯体である。例は、ナフテン酸モリブデン及びモリブデンヘキサカルボニルを含む。
【0072】
一実施形態において、VIII族金属前駆体(助触媒金属又は主金属成分として)の少なくとも1種は、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫化物、オキシ硫化物、酸化物及び水和酸化物、アンモニウム塩、並びにそれらのヘテロポリ酸を含むがそれらに限定されない、無機化合物から選択される。一実施形態において、VIII族金属前駆体は、酢酸塩、炭酸塩、塩化物、硝酸塩、アセチルアセトン、クエン酸塩、硫酸塩、及びシュウ酸塩等の水溶性化合物、例えば硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル等、並びにそれらの混合物である。別の実施形態において、金属前駆体は、少なくとも部分的に固体状態である化合物、例えば、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、リン酸ニッケル、亜リン酸ニッケル、ギ酸ニッケル、硫化ニッケル、モリブデン酸ニッケル、タングステン酸ニッケル、酸化ニッケル、ニッケル合金、例えばニッケル−モリブデン合金、ラネーニッケル、又はそれらの混合物等の、水不溶性ニッケル化合物である。
【0073】
一実施形態において、亜鉛等のIIB族金属前駆体が、助触媒金属として使用される(VIII族金属前駆体の代わりに)。亜鉛は、ニッケル等の他の金属前駆体よりも安価な材料であり、より環境に優しい。例は、IIB族無機化合物、例えば硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、オキシ硫化亜鉛、酸化亜鉛及び水和酸化亜鉛、亜鉛アンモニウム塩、並びにそれらのヘテロポリ酸を含むが、それらに限定されない。助触媒金属前駆体としての亜鉛の他の例は、油溶性有機酸塩、例えば酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛及びオクタン酸亜鉛を含む。別の実施形態において、助触媒金属前駆体は、脂肪族アミン、芳香族アミン、第四級アンモニウム化合物、及びそれらの混合物等の有機アミンの亜鉛塩から選択される。さらに別の実施形態において、亜鉛金属前駆体は、有機金属化合物、例えば、チオール等の配位原子としての硫黄を有するキレート化合物、例えばジアルキルジチオホスフェート、チオ−又はジチオカルバメート、ホスホロチオエート、チオカーボネート、トリメルカプトトリアジン、チオフェネート、メルカプタン、チオールカルボン酸RC(O)SH、ジチオ酸RC(S)SH、及び関連化合物を含むキレートから選択される。
【0074】
有機溶媒供給物:金属前駆体として有機金属化合物を使用した一実施形態において、油に対する触媒前駆体の溶解度が増加され、これにより、特に触媒前駆体が重質油原料中で直接硫化される場合に、より高い分散及びより活性な触媒をもたらすことができる。有機金属化合物は、無機金属化合物と比較して高価となり得るが、無機金属前駆体は、油に可溶ではない。一実施形態において、無機金属前駆体と併せて、極性非プロトン性溶媒が前駆体供給物の調製に使用される。有機溶媒、例えば無機金属前駆体及び油原料の両方に適合する有機硫黄化合物は、無機金属前駆体を溶解する溶媒として機能する。有機溶媒の使用により、無機金属前駆体は重質油原料中に分散性となり、したがって、転化ステップの必要性を軽減する。重質油原料に対する無機金属前駆体の分散を補助するために有機溶媒を使用した一実施形態において、金属前駆体が、重質油原料中に本来存在している硫黄源で硫化され得るため、別個の硫化ステップが排除され得る。
【0075】
一実施形態において、有機溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ヘキサメチルホスホルトリアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、亜硫酸ジメチル、N−ニトロソジメチルアミン、γ−ブチロラクトン、N:Nジメチルホルムアミド、ジメチルカーボネート、ギ酸メチル、ギ酸ブチル及びそれらの混合物の群から選択される。有機溶媒は、原液として、又は水若しくはメタノール等の他の安価な溶媒と組み合わせて使用され得る。有機溶媒との使用のための無機金属前駆体の例は、一般式MoO
xS
y(式中、x≧0であり、y≧0である)の酸化、硫化、又はオキシ硫化モリブデンを含むが、それらに限定されない。一実施形態において、VIB族無機金属前駆体は、三酸化モリブデンである。別の実施形態において、無機金属前駆体は、ヘプタモリブデン酸アンモニウムである。
【0076】
一実施形態において、油溶性金属前駆体は、パラモリブデン酸アンモニウム等の前駆体の、高級アルコール、グリコール、及びアルキルサリチル酸との相互作用により形成される。一例において、パラモリブデン酸アンモニウムが、濃縮アンモニア、少なくとも1種の油溶性分散剤、及びトルエン又はキシレン等の芳香族溶媒に添加される。別の例において、油溶性金属前駆体は、無機金属前駆体を、ポリアミド、スクシンイミド及びスルホネートと反応させることにより調製され得る。別の例において、油溶性硫黄含有金属前駆体は、パラモリブデン酸アンモニウム及びスクシンイミドの混合物を、硫化水素で処理することにより調製される。別の実施形態において、無機塩から調製された油溶性金属前駆体は、Chevron Oronite社から入手可能なOLOA11007及びOLOA378、並びにRT Vanderbilt Companyから入手可能なMolyvan(商標)Aを含むがそれらに限定されない、市販の生成物である。一実施形態において、Molyvan(商標)A添加剤は、単独で、Moのみの触媒の調製に使用される。別の実施形態において、Molyvan(商標)A添加剤は、ナフテン酸ニッケルと併せて、Ni強化スラリー触媒の調製に使用される。
【0077】
一実施形態において、無機金属前駆体は、1:4から4:1の重量比で、第2の実施形態においては1:3から2:1の重量比で、第3の実施形態においては1:5から1:1の重量比で、有機溶媒中に溶解される。
【0078】
金属前駆体供給物としての加圧浸出溶液 さらなる実施形態において、金属回収プロセスからの加圧浸出溶液(PLS)が、金属前駆体原料又は金属前駆体原料の一部分として使用され得る。金属回収プロセスは、採鉱/選鉱作業、電気メッキ作業、又は使用済触媒からの金属回収等の一部であってもよい。PLS組成物は、水溶液中の単一金属前駆体、又はVIB族金属等の金属成分と少なくとも別の金属前駆体との混合物を含有してもよい。加圧浸出溶液(PLS)の例は、ヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)、硫酸ニッケル、硫酸ニッケルアミン、メタバナジン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム等のいずれかを含み得る。一態様において、50gpL(リットルあたりのグラム)から90gpLのモリブデン、3gpLから10gpLのニッケル、0.1gpLから1gpLのバナジウム、100gpLから500gpLの硫酸アンモニウム、及び5gpLから30gpLのスルファミン酸アンモニウムを含有するPLSストリームが、金属前駆体供給物として使用され得る。別の実施形態において、PLSストリームは、20gpL(リットルあたりのグラム)から100gpLのモリブデン、5gpLから20gpLのニッケル、0.10gpLから1.0gpLのバナジウム、100gpLから500gpLの硫酸アンモニウム、及び5gpLから20gpLのスルファミン酸アンモニウムを含有する。
【0079】
一実施形態において、加圧浸出溶液(PLS)のpHに依存して、PLS中の金属の一部が沈殿してPLSがスラリーの形態であってもよく、これがまたプロセスへの供給物として直接使用され得る。金属回収プロセス、並びに使用済触媒中の金属の回収からの浸出ストリーム組成物及び加圧浸出スラリー組成物に関する詳細は、米国特許第7837960号、米国特許第7846404号及び米国特許第7658895号、並びに米国特許出願シリアル番号第13/156,589号に見出すことができ、関連する開示は、参照により本明細書に含まれる。一実施形態において、スラリーの形態の加圧浸出溶液は、1〜20wt.%のコークス及び0.2〜4wt%の部分的に不溶性のメタバナジウム酸アンモニウムを含有し、これは、溶液が金属前駆体原料として使用可能となる前に濾過され得る。
【0080】
金属前駆体原料としての複塩:一実施形態において、単一金属前駆体供給物の代わりに、又はそれに追加して、金属前駆体の少なくとも1種は複塩前駆体である。複塩金属前駆体は、金属陽イオンの少なくとも1種が主金属陽イオンであり、少なくとも1種が助触媒金属陽イオンである、少なくとも2種の異なる金属陽イオンを分子構造内に有する金属前駆体、例えばモリブデン酸アンモニウムニッケル(モリブデン酸アンモニウム及び硫酸ニッケルから形成される)である。「複」(“double”)という用語は、2種の金属陽イオンに限定されないことに留意されたい。複塩前駆体は、少なくとも3種の異なる金属陽イオンから形成されてもよい。
【0081】
一実施形態において、複塩前駆体中の金属陽イオンの1種は、モリブデン等のVIB族陽イオンであり、他方の金属陽イオンは、ニッケル又は亜鉛等の異なる陽イオン金属である。別の実施形態では、複塩前駆体は、3種の異なる金属陽イオンを有することを特徴とし、金属陽イオンの2種は、モリブデン及びタングステン等の異なるVIB族金属陽イオンであり、第3の陽イオンは、ニッケル又は亜鉛等のVIII族金属陽イオンである。さらに別の実施形態において、複塩前駆体は、3種の異なる金属陽イオンを含み、金属陽イオンの2種は、ニッケル及びチタン等の異なる助触媒金属陽イオンであり、第3の陽イオンは、モリブデン等の主金属陽イオンである。特に結晶形態又はスラリーとしての濃縮形態の複塩を前駆体試薬として使用することにより、スラリー触媒を作製する場所への輸送の点で、コストが削減され得る。さらに、in−situ又は別個の硫化ステップにおいて複塩金属前駆体が硫化される際、主金属成分に近接して同じ分子構造内に助触媒金属(単数又は複数)が存在すると、より良好な触媒性能が可能となる。
【0082】
一実施形態において、複塩前駆体は、例えば、少なくとも1種のVIB族金属塩及びVIII族又はIIB族金属塩、例えばモリブデン酸アンモニウム及び硫酸ニッケル、モリブデン酸アンモニウム及び硫酸亜鉛、オクタモリブデン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムニッケルの複塩、モリブデン酸カリウム及び硫酸鉄、硫酸クロムカリウム及びパラモリブデン酸アンモニウム等の混合物の水溶液を結晶化することから調製される水溶性塩である。一実施形態において、塩混合物の水溶液のpHは、酸及び/又は塩基の添加により、複塩が溶液から結晶化するための事前に選択されたpHに調節される。多金属二金属化合物の溶解性に有利でない事前に選択されたpHでは、複塩が沈殿する。沈殿物の形成により、触媒前駆体を構成する異なる金属が、共に固相において良好に分散していることが確実となる。
【0083】
一実施形態において、複塩金属前駆体は、任意選択でpHの調節及び/又は水溶液形態での金属塩の添加を行って金属前駆体供給物としての使用のための複塩の沈殿物をもたらしながら、金属回収プロセスからの加圧浸出溶液又は浸出スラリーから調製される。
【0084】
一実施形態において、複塩は、少なくとも1種のVIII族金属前駆体又はIIB族金属前駆体と、少なくとも1種のVIB族有機金属錯体との反応により調製される、油溶性塩である。別の実施形態において、複塩は、油溶性モリブデン塩と油溶性遷移金属塩との反応により調製される。一実施形態において、油溶性複塩前駆体を形成するための反応は、水素等の強還元剤の存在下で行われる。一実施形態において、主金属油溶性化合物は、ナフテン酸塩、ペンタンジオネート、オクタン酸塩、酢酸塩、及びそれらの混合物から選択される。例は、ナフテン酸モリブデン及びモリブデンヘキサカルボニルを含むが、それらに限定されない。
【0085】
一実施形態において、油溶性複塩を形成するための反応は、少なくとも100℃の温度で、十分な長さの期間、例えば2時間から48時間の間の期間行われる。別の実施形態において、油溶性複塩薬剤を形成するための反応は、還元環境中で、及び不活性な水に非混和性の有機溶媒の存在下で行われる。有機溶媒の例は、脂肪族若しくは芳香族炭化水素又は塩素化炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジペンテン、テルペンチン、石油製品、例えばガソリン、ミネラルスピリット、灯油、鉱物油、燃料油、芳香族ナフサ、及びCCl
4、o−ジクロロベンゼン、モノクロロトルエン、二塩化エチレン、ペルクロロエチレンとしての塩素化炭化水素、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。
【0086】
一実施形態において、複塩前駆体を形成するための反応は、反応中に水が形成される際に水が除去されるように、水の沸点を超える条件下で行われる。水は、水蒸気として反応層から排出される。さらに別の実施形態において、塩化カルシウム等の化学的乾燥剤又は共沸剤を使用して反応生成物から水を除去し、油溶性複塩を形成することができるが、これは通常は必要ではない。また、濾過等の任意の知られている固体分離技術が使用されてもよい。
【0087】
一実施形態において、主金属前駆体原料及び/又は助触媒金属前駆体の少なくとも半分が、10wt.%未満の濃度の溶液であってもよく、適切な希釈剤、例えば、水溶性金属前駆体の場合には水、又は油系金属前駆体の場合にはオレフィン系希釈剤又はサイクル油等の炭化水素希釈剤が添加されて、金属前駆体溶液、懸濁液、又はエマルジョンを形成する。金属前駆体原料のための適切な希釈剤の選択において、希釈剤の引火点、金属前駆体が使用される触媒プロセスに関連するある特定の条件下での希釈剤の不活性な性質、適切な温度及び圧力で金属前駆体を流体状及び移動可能とする希釈剤の能力、並びに/又は後のプロセスにおいてある特定の処理上の利点を提供する希釈剤の能力を含むがそれらに限定されない、1つ又は複数の基準が使用されてもよい。例えば、標準的な保存及び輸送温度において金属前駆体と反応せず、金属前駆体/希釈剤組成物をさらに調製及び/又は使用してスラリー触媒を作製する施設まで、長距離にわたって保存又は運送され得る、金属前駆体の安定な溶液を提供する希釈剤を選択することが、有利となり得る。
【0088】
一実施形態において、溶液が少なくとも4のpHを有するために十分な量の希釈剤が金属前駆体原料に添加される。第2の実施形態において、前駆体原料は、少なくとも5のpHを有する。第3の実施形態において、前駆体原料は、少なくとも6のpHを有する。金属前駆体原料は、一実施形態において1〜5wt.%の間、別の実施形態において0.1〜10wt.%の間、第3の実施形態において0.1wt.%から2wt.%の間の金属の濃度を有する溶液である。一実施形態において、金属前駆体溶液の少なくとも1種における金属濃度は、5〜8wt.%の間である。別の実施形態において、金属前駆体原料の少なくとも1種は、少なくとも4のpH、及び5wt.%から8wt.%の金属濃度を有する溶液である。一実施形態において、金属前駆体は、0.25〜10wt.%の濃度を有する水溶液中少なくとも1種の主金属を含む。別の実施形態において、助触媒金属濃度もまた、水溶液中10wt.%未満の金属濃度である。さらに別の実施形態において、金属前駆体原料の少なくとも1種は、0.1wt.%から8wt.%の間の濃度の溶液である。
【0089】
金属前駆体原料としての再加工材料:一実施形態において、金属前駆体原料の少なくとも一部分は固体形態であり、より具体的には「再加工物」の形態である。例は、当技術分野において知られている水素化変換プロセスに使用される、担持及び非担時(VIII族及びVIB族金属の混合)触媒前駆体の作製において生成される再加工材料を含む。一実施形態において、再加工材料は、担持触媒、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニア、ゼオライト、シリカ−アルミネート、炭素、リン又はこれらの様々な組合せの1つ又は複数を含む多孔質耐火性基材(refractory base)(「キャリア」)上に付着した、金属酸化物又は金属水酸化物等の金属前駆体又は触媒前駆体から調製される。基材中のアルミナは、非晶質、アルファ、ガンマ、シータ、ベーマイト、擬ベーマイト、ギブサイト、ダイアスポア、バイヤライト、ノードストランダイト及びコランダムを含むいくつかの形態であってもよい。一実施形態において、アルミナは、ベーマイト又は擬ベーマイトである。別の実施形態において、再加工材料は、希釈剤又は結合剤材料(例えばセルロース)を使用した、又は使用しない、非担持又はバルク触媒、例えば金属酸化物又は金属水酸化物を含む金属前駆体から調製される。再加工材料となる担持触媒中に使用される金属は、周期表のVIB族金属若しくはVIII族金属、又はそれらの組合せから選択される、卑金属(base metals)又はそれらの化合物を含む。
【0090】
担持及び非担時触媒前駆体並びにそれらを作製するための方法の例は、米国特許第2,238,851号、米国特許第4,113,661号、米国特許第4,066,574号、米国特許第4,341,625号、米国特許第5,841,013号、米国特許第6,156,695号、米国特許第6,566,296号、米国特許第6,860,987号、米国特許第7,544,285号、米国特許第7,615,196号、米国特許第6,635,599号、米国特許第6,635,599号、米国特許第6,652,738号、米国特許第7,229,548号、米国特許第7,288,182号、米国特許第6,162,350号、米国特許第6,299,760号、米国特許第6,620,313号、米国特許第6,758,963号、米国特許第6,783,663号、米国特許第7,232,515号、米国特許第7,179,366号、米国特許第6,274,530号、米国特許第7803266号、米国特許第7185870号、米国特許第7449103号、米国特許第8024232号、米国特許第7618530号、米国特許第6589908号、米国特許第6667271号、米国特許第7642212号、米国特許第7560407号、米国特許第6030915号、米国特許第5980730号、米国特許第5968348号、米国特許第5498586号、並びに米国特許出願公開US2009/0112011A1、US2009/0112010A1、US2009/0111686A1、US2009/0111685A1、US2009/0111683A1、US2009/0111682A1、US2009/0107889A1、US2009/0107886A1、US2009/0107883A1、US2011/0226667、US2009/0310435、US2011/0306490A1、及びUS2007/090024に開示されている通りであり、関連する開示は、参照により本明細書に含まれる。
【0091】
一実施形態において、金属前駆体供給物としての使用のための再加工材料は、(未硫化)触媒/触媒前駆体の任意の調製ステップにおいて生成された、スクラップ/廃棄/未使用材料を含む。再加工物は、片又は粒子、例えば微粉末、粉末等の形態で、触媒/触媒前駆体の形成、乾燥、若しくは成形のいずれかから生成されてもよく、又は、触媒/触媒前駆体の破壊若しくは取り扱い時に形成されてもよい。例えば噴霧乾燥、ペレット化、ピル化、造粒、ビーズ化、打錠、ブリケッティング、押出し若しくは当技術分野において知られている他の手段での圧縮方法の使用により、又は湿潤混合物の凝集により、成形された触媒前駆体を形成する触媒前駆体を作製するプロセスにおいて、再加工材料が生成される。また、再加工材料は、300μm未満の径まで微細化された、Advanced Refining Technologies LLC製ICR(商標)担持触媒、Albermale社製Nebula(商標)バルク触媒、又はCriterion Catalyst & Technologies社製CRI(商標)NiMoアルミナ担持触媒等からの担持及び自己担持触媒を含む、市販の触媒生成物から生成され得る。一実施形態において、再加工材料は、本質的に、アルミナ、シリカアルミナ、セルロース等の希釈剤又は結合剤を使用して、又は使用せずに作製された未硫化触媒からなる。
【0092】
一実施形態において、再加工材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20110306490号に記載のような方法において調製される。例えばアルミナ、酸化鉄、シリカ、マグネシア、チタニア、ゼオライト等の担体材料が、まず、300μm未満の粒子に粉砕される。次いで、触媒材料、例えば複金属前駆体又は単一金属前駆体、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウム又は任意の可溶性形態のモリブデン等が、粉砕された基材上に堆積(含浸)される。含浸された基材は乾燥され、次いで1μmから300μmの粒径に粉砕される。一実施形態において、触媒材料の堆積に続いて、触媒材料が担体中の金属と焼結して担持をもたらすように、焼成が行われる。触媒材料の堆積は、触媒担持を最大限とするように2回以上行われてもよく、又は、多金属触媒微粉末の場合、異なる金属前駆体を粉砕された担体基材上に同時に、又は異なる層として堆積させることができる。
【0093】
一実施形態において、金属前駆体供給物としての使用のための再加工材料は、250μm未満及び1μm超の平均粒径を有する。第2の実施形態において、平均粒径は、75μm未満である。第3の実施形態において、平均粒径は、2μmから50μmの範囲内である。第4の実施形態において、平均粒径は、20μm未満である。第5の実施形態において、平均粒径は、10μm未満である。再加工材料は、当技術分野において知られている技術を使用して、例えば湿式粉砕又は乾式粉砕により、及びハンマーミル、ローラーミル、ボールミル、ジェットミル、磨砕ミル、粉砕ミル、媒体撹拌ミル等を含むがそれらに限定さない当技術分野において知られている機器を使用して、所望の粒径に粉砕又は破砕され得る。
【0094】
硫化剤成分:一実施形態において、硫化スラリー触媒は、少なくとも1種の硫化剤を無機金属前駆体に添加することで形成される。一実施形態において、硫化剤は、元素硫黄そのものである。別の実施形態において、硫化剤は、一般的な条件下で硫化水素H
2Sに分解可能な硫黄含有化合物である。さらなる第3の実施形態において、硫化剤は、単独又は炭化水素混合物中のH
2Sである
。別の実施形態において、硫化スラリー触媒は、金属前駆体供給物を、十分な条件下で硫化剤を放出して硫化スラリー触媒をin−situで生成する重質油原料と混合することにより、in−situで形成される。
【0095】
一実施形態において、硫化剤は、スラリー触媒を形成するのに必要な化学量論的量を超える量で存在する。別の実施形態において、金属前駆体成分に依存して(例えば、金属前駆体が硫黄含有有機化合物である)、硫黄含有化合物の総量は、概して、主金属、及び存在する場合には助触媒金属を、例えばCo
9S
8、MoS
2、WS
2、Ni
3S
2等に変換するのに必要な化学量論的硫黄量の約50〜300%、70〜200%、及び80〜150%のいずれかに対応するように選択される。さらに別の実施形態において、硫化剤の量は、金属前駆体(単数又は複数)から硫化触媒を生成するために、少なくとも1.5対1の硫黄対主金属のモル比に相当する。別の実施形態において、S対主金属のモル比は、少なくとも3対1である。
【0096】
一実施形態において、硫化剤は、硫化アンモニウムの水溶液である。溶液は、一般的な精製所のオフガスである、硫化水素及びアンモニアから合成され得る。別の実施形態において、処理後のサワー水が硫化源として使用される。サワー水は、精製所からの廃水として一般的及び安価に入手可能であり、1wt.%から50wt.%の間の二硫化アンモニウムを含有し得る。さらに別の実施形態において、プロセスストリームからのリサイクルH
2Sもまた、硫化プロセスに使用され得る。リサイクルH
2Sストリームは、まず、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロピルアミン(DIPA)、及びそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、当技術分野において知られているアミン処理ガスを使用して、ガス除去ユニット内で濃縮/処理される。別の実施形態において、リサイクルH
2Sは、SELEXOL(商標)プロセスにおいて処理/回収される。合成された硫化アンモニウム及び/又はサワー水は、使用前にタンク内に保存され得る。硫化アンモニウム溶液は残油よりも高密度であるため、反応後に沈降タンク内で容易に分離され得る。
【0097】
炭化水素転化媒体(希釈剤):重質油原料中の金属前駆体のin−situ硫化を用いた一部の実施形態において、スラリー触媒は、in−situ硫化により油系スラリー触媒に転化される。水系触媒を用いた(無機/水溶性金属前駆体出発供給物を用いた)他の実施形態において、硫化水系触媒(親水性)を油系活性触媒(疎水性)に転化するために、炭化水素転化媒体(「希釈剤」又は「キャリア」と交換可能に使用される)が使用される。
【0098】
炭化水素の性質は重要ではなく、通常の温度において液体である、非環式又は環式の、飽和又は非飽和の、非置換又は不活性置換の任意の炭化水素化合物、及びそれらの混合物を、概して含めることができる。
【0099】
一実施形態において、水系触媒対炭化水素希釈剤の重量比は、1:50から10:1の範囲である。第2の実施形態において、水系触媒対炭化水素希釈剤の重量比は、1:10から5:1の範囲である。第3の実施形態において、重量比は、1:5から1:1の範囲である。連続的転化ステップを用いた一実施形態において、触媒対炭化水素希釈剤の比は、2:1から5:1の範囲である。バッチ転化ステップを用いた別の実施形態において、比は、1:1から2:1の範囲である。
【0100】
一例において、炭化水素化合物は石油から得られ、バージンナフサ、分解ナフサ、フィッシャートロプシュナフサ、軽質触媒サイクル油、重質触媒サイクル油等として特徴付けられる石油炭化水素の混合物、典型的には約5個から30個の炭素原子を含有するものを含む。一実施形態において、炭化水素化合物は、真空軽油(VGO)である。さらに別の実施形態において、希釈剤は、重質油及びVGOの混合物である。別の実施形態において、希釈剤は、ガソリン、蒸留物、ナフサ、軽質サイクル油、ベンゼン、トルエン、キシレン等の群から選択される。一実施形態において、炭化水素化合物は、10℃において2cStから15cStの範囲の動粘度を有する。第2の実施形態において、炭化水素油は、10℃において少なくとも2cStの動粘度を有する。第3の実施形態において、炭化水素油は、10℃において5cStから8cStの動粘度を有する。炭化水素転化媒体の動粘度が10℃において2cSt未満である、又は10
0℃において約15cStを超える一実施形態において、触媒前駆体の転化は、凝集する、又は別様に混合しない触媒粒子をもたらす。
【0101】
任意選択的成分:一実施形態において、スラリー触媒は、任意選択で、想定される触媒用途に依存して、細孔形成剤、乳化剤、界面活性剤、硫黄添加剤、硫化剤、安定剤、結合材料、リン化合物、ホウ素化合物、追加的遷移金属、希土類金属又はそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、他の成分を含んでもよい。
【0102】
金属前駆体供給物、任意選択的成分、他の硫化剤、及び他の炭化水素転化媒体の説明に関する詳細は、米国特許出願公開第2010−0234212号、米国特許第7,754,645号及び米国特許第7,410,928号を含む、いくつかの特許出願及び特許に記載されており、関連する開示は、参照により本明細書に含まれる。
【0103】
任意選択的成分の性質及び所望の効果に依存して、スラリー触媒の作製における任意のプロセスステップにおいて、任意選択的成分が添加されてもよいことに留意されたい。一実施形態において、硫化の前に、結合剤が直接金属前駆体に添加される。乳化剤を使用した一実施形態において、硫化触媒を形成する金属前駆体の硫化後に、乳化剤が添加される。別の実施形態において、任意選択的成分は、硫化ステップに、例えば硫化剤に添加される。第3の実施形態において、例えば界面活性剤等の任意選択的成分が、転化ステップに添加されるか、又は、金属前駆体の硫化前に、金属前駆体又は希釈剤に直接添加される。さらに別の実施形態において、硫化ステップにおける硫黄の組み込みを増加させるために、リン含有助触媒等が、別個に、又は硫化剤及び金属前駆体との混合物として添加されてもよい。
【0104】
スラリー触媒を形成するための方法:一実施形態において、スラリー触媒は、少なくとも1種の主金属成分、例えばVIB族金属前駆体、及び少なくとも1種の助触媒金属前駆体から調製される。別の実施形態において、触媒は、意図的に助触媒金属が添加されずに、本質的に助触媒金属を含まず、例えば、VIB族金属前駆体試薬(単数又は複数)から調製される。別の実施形態において、スラリー触媒は、唯一の出発供給物として、硫酸ニッケル等の少なくとも1種のVIII族金属前駆体試薬から調製される。
【0105】
金属前駆体は、溶液、懸濁液又はそのようなものとして、反応混合物に添加され得る。可溶性塩がそのように添加される場合、可溶性塩は、反応混合物に溶解し、その後沈殿される。一実施形態において、溶液は、沈殿及び水の蒸発をもたらすために、任意選択的に真空下で加熱される。
【0106】
一実施形態において、アンモニア水溶液を、酸化モリブデン又は酸化タングステン等の少なくとも1種の主金属化合物と接触させ、モリブデン酸アンモニウム又はタングステン酸アンモニウム等の水溶性酸素含有化合物を形成させる。次のステップにおいて、任意選択的に、酸、塩基、又は、温度上昇後に、それぞれpHを上昇若しくは低下させて複塩金属前駆体の形成を促進する水酸化物イオン若しくはH
+イオンに分解する好適な化合物を添加することにより、pHを事前に選択されたpHに調節して、溶液中の主金属成分を、溶液中の少なくとも1種の助触媒金属成分と接触させる。一実施形態において、反応の開始時のpHが沈殿後の最終pHとは異なるように、pHが制御される。別の実施形態において、複塩金属前駆体の形成は、有機溶媒中、H
2含有ガス圧下での、油溶性主金属化合物及び助触媒金属化合物(単数又は複数)の反応によるものであり、有機溶媒は、アルカン及び芳香族化合物の炭化水素混合物である。
【0107】
複塩前駆体を形成する主金属及び助触媒金属成分の反応は、一実施形態において0.01:1から1:2、別の実施形態において0.05:1から0.3:1、さらに別の実施形態において0.10:1から0.25:1の助触媒金属対主金属の重量比で行われる。一実施形態において、主金属はVIB族金属であり、助触媒金属はVIII族金属であり、1wt.%から49wt.%の範囲の助触媒金属対主金属の重量比である。複塩金属前駆体が形成された後、濾過、遠心分離、デカンテーション、又はそれらの組合せ等の当技術分野において知られている方法を使用して、スラリー混合物が任意選択的に液体から単離される。複塩金属前駆体が形成された後、炭化水素供給物との接触後にin−situで、又は別個の硫化ステップにおいて、及びVGO等の炭化水素希釈剤との接触後の転化ステップの前に、硫化及び/又は油系触媒への転化が行われる。
【0108】
金属前駆体供給物(単数又は複数)の硫化は、様々な様式で行うことができる。一実施形態において、主金属成分がまず助触媒金属前駆体(硫化されていない)の添加前に硫化され、強化された硫化触媒前駆体を生成する。別の実施形態において、主金属前駆体(硫化されていない)を、硫化助触媒金属前駆体に接触させるが、触媒前駆体を形成するために、混合物が再び硫化されてもよく、又はされなくてもよい。第3の実施形態において、主金属前駆体が、同じステップにおいて助触媒金属前駆体と共硫化され、硫化触媒前駆体は、向上した硫化触媒前駆体のために、再び硫化されてもよく、又はされなくてもよい。さらに別の実施形態において、主金属前駆体及び助触媒金属前駆体(単数又は複数)は、別個に硫化されて組み合わされ、硫化(組み合わされた)触媒前駆体は、向上した硫化触媒前駆体のために再び硫化されてもよく、又はされなくてもよい。いかなる助触媒金属も用いない別の実施形態において、主金属前駆体供給物は、炭化水素希釈剤による転化前に硫化される。供給物として複塩金属前駆体(単数又は複数)を使用したさらに別の実施形態において、複塩金属前駆体供給物は硫化され、強化された硫化触媒前駆体を生成する。
【0109】
「向上した硫化」(“enhanced sulfiding”)は、改善された触媒性能を伴うS対主/助触媒金属(単数又は複数)の比較的高い比をもたらす向上した硫化スキームのために、少なくとも1種の硫化金属前駆体を含む金属前駆体(又はその混合物)を再び硫化することを指す。向上した硫化(又は「二重硫化」又は2段階硫化)の一実施形態において、主金属前駆体及び助触媒金属前駆体の少なくとも一方が、まず、少なくとも1.5対1の硫黄対金属モル比で硫化され、次いで、第2の金属前駆体(硫化されていない、又は硫化されている)と組み合わされる。次いで、混合物は、少なくとも1.5対1の硫黄対金属モル比で再び硫化され、強化された、及び向上した硫化触媒前駆体を生成する。硫化剤は、異なる硫化ステップにおいて、同じ又は異なっていてもよく、硫化剤の量(S対金属前駆体のモル比)は、第1の硫化ステップにおいて同じ又は異なっていてもよい。
【0110】
上述のような様々な構成において、主金属前駆体原料及び/又は助触媒金属前駆体供給物(存在する場合)は、一度にシステム内に供給されてもよく、又は、金属前駆体原料のいずれかが分割されて段階的に供給されてもよい。助触媒金属前駆体供給物を用いた一実施形態において、助触媒金属前駆体は、一度に、断続的に提供されてもよく、又はいくつかの部分に分割されて段階的に供給されてもよい。本明細書において使用される場合、部分とは、一実施形態において少なくとも10%、第2の実施形態において少なくとも20%、第3の実施形態において少なくとも40%、及び第3の実施形態において少なくとも60%を意味する。一実施形態において、供給物は、2つの部分に分割され、第1段階の供給対第2段階の供給の比は、1:10から10:1の範囲である。
【0111】
一実施形態において、助触媒金属前駆体(硫化されていない)の一部分(又は全て)の添加前に、まず主金属前駆体の一部分が硫化され、強化された硫化触媒前駆体を形成する。主金属前駆体の第2の投入物が、転化ステップの前又はその間に、強化された硫化触媒前駆体に添加される。一実施形態において、助触媒金属前駆体もまた分割され、助触媒金属前駆体供給物の一部分は、主金属前駆体との共硫化ステップのためのものであり、助触媒金属前駆体供給物の第2の投入物は、硫化ステップの後に添加され、助触媒金属前駆体供給物の別の投入は、炭化水素希釈剤による転化ステップにおいて行われる。助触媒金属前駆体は、VIII族金属の酢酸塩、炭酸塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、アセチルアセトン酸塩、クエン酸塩、及びシュウ酸塩から選択される少なくとも1種の助触媒金属塩を、1:30から5:1の助触媒金属対主金属の比で含む。
【0112】
一実施形態において、分割供給スキームは、スラリー触媒を作製するプロセスにおける堆積物の蓄積を低減する。共硫化実施形態の一実施形態において、主金属前駆体の一部分(又は全て)及び助触媒金属前駆体(単数又は複数)の一部分(又は全て)が組み合わされて一緒に共硫化され、金属前駆体供給物の残りは、後に共硫化触媒前駆体と組み合わされるか、又は転化ステップに投入されて、最終触媒を生成する。
【0113】
向上した硫化を用いた一実施形態において、主及び/又は助触媒金属前駆体供給物の一部分は、後の硫化ステップに添加される。別の実施形態において、主及び/又は助触媒金属前駆体供給物の一部分は、転化ステップにおいて炭化水素希釈剤と共に硫化触媒前駆体に添加され、水系触媒前駆体を、重質油改良のためのスラリー触媒に転化する。さらに別の実施形態において、助触媒金属前駆体の少なくとも30%が、主金属前駆体の全てと組み合わされ、複塩金属前駆体を形成し、助触媒金属前駆体(単数又は複数)の残りは、後の段階、例えば硫化ステップ及び/又は転化ステップに添加される。少なくとも1種の主金属及び少なくとも2種の助触媒金属による多金属スラリー触媒を用いた一実施形態において、主金属前駆体は、共硫化ステップにおいて、助触媒金属前駆体の1種と組み合わされる。次いで、第2の(残りの)助触媒金属前駆体が、後の(追加的)硫化ステップにおいて共硫化触媒前駆体と組み合わされるか、又は転化ステップにおいて炭化水素希釈剤と混合される。
【0114】
硫化ステップにおいて、硫化は、室温から760°Fの範囲の温度で、24時間までの期間行われ、硫化触媒前駆体を形成する。一実施形態において、硫化は、10分以内に完了する。一実施形態において、硫化は、50〜450°Fで行われる。さらに別の実施形態において、硫化は、50〜300°Fの間で行われる。別の実施形態において、硫化は、60〜150°Fの間で行われる。一実施形態において、硫化は、0〜3000psigで行われる。第2の実施形態において、硫化は、100〜1000psigの間で行われる。第3の実施形態において、硫化圧力は、500psig未満である。硫化温度が硫化剤の沸点未満である場合、例えば硫化アンモニウムの場合60〜70°Fである場合、プロセスは、概して大気圧で行われる。硫化剤/任意選択的成分の沸点を超えると、反応は、概して、例えばオートクレーブ内で増加した圧力で行われる。
【0115】
一実施形態において、硫化ステップは、任意選択で、硫化添加剤、任意選択的な金属硫化物粉末等を、触媒前駆体混合物中にブレンドして、触媒の活性をさらに向上させることを含む。硫化ステップが水系金属前駆体(単数又は複数)を用いて行われる一実施形態において、得られる硫化ステップの生成物は、水溶液中のスラリーである。一実施形態において、硫化ステップの触媒前駆体生成物は、水素化処理作業における使用に最適な形態ではないものの、触媒活性であることが、分析により示されている。
【0116】
一実施形態において、硫化後、触媒前駆体は、窒素、製油所ガス、酸素を有さない、又はほとんど有さないガス、及びそれらの混合物のいずれかを含む不活性雰囲気下で、乾燥、濾過、遠心分離、デカンテーション、又はそれらの組合せ等の当技術分野において知られている方法を使用して、任意選択で液体から単離される。別の実施形態において、硫化触媒前駆体は、周囲温度未満から周囲温度超の範囲の温度で、還元剤による還元に供される。還元温度は、一実施形態において周囲温度から200°F、第2の実施形態において500°F未満、第3の実施形態において70〜200°Fの範囲である。還元剤の例は、水素、硫化水素、一酸化炭素、微粉化炭素、コークス、硫黄等を含むが、それらに限定されない。還元ステップにおいて、活性金属は、より活性な状態に変換される。例えば、主金属としてMoを用いた一実施形態において、6+の酸化状態を有するMoS
3は、その酸化状態を、4+の酸化状態を有するMoS
2に変化させ、スラリーとなることができる。還元ステップにおいて、存在する任意の金属前駆体もまたその酸化状態を変化させ、例えば、Mo
6+及びMo
5+は、その酸化状態をMo
4+に変化させることができる。活性金属の還元された形態は、硫黄と化学結合していても、又はしていなくてもよい。還元ステップは、転化ステップの前若しくは後であってもよく、又は、還元条件下、及び還元剤(例えばH
2)の存在下で、転化において同時に生じてもよい。
【0117】
一実施形態において、硫化後、触媒前駆体は、転化ステップの前にアンモニア除去ステップに供される。別の実施形態において、アンモニアは転化において水と共に除去されるため、アンモニア除去は転化と同時である。一実施形態において、硫化ステップからの硫化水系スラリーは、スラリーストリームの冷却及び減圧による単純な水相アンモニア洗浄(flashing)ステップに供される。アンモニアは、任意の生成された硫化水素及びシステム内に存在する水素と共に洗浄され得る。
【0118】
一実施形態において、硫化触媒前駆体(原料としての水溶性金属前駆体から調製されるような)は、炭化水素化合物(希釈剤)と混合されて油系触媒に転化され、前駆体は親水性から油系活性触媒(疎水性)に転化される。転化ステップの一実施形態において、及びH
2等の還元剤の存在下で、モリブデン等の硫化主金属がその酸化状態を変化させるように還元もまた行われる。転化は、一実施形態において50〜760°Fの温度、第2の実施形態において100〜500°Fの温度、第3の実施形態において150〜450°Fの温度で行われる。転化ステップの圧力は、一実施形態において0〜3000psigの範囲、第2の実施形態において300〜500psigの間に維持される。第3の実施形態において、圧力は、1000〜2500psigである。第4の実施形態において、圧力は、2000psig未満である。一実施形態において、転化滞留時間は、30分から3時間の範囲である。別の実施形態において、転化滞留時間は、1時間から2時間の範囲である。さらに別の実施形態において、滞留時間は、1時間未満である。
【0119】
一実施形態において、転化/還元ステップにおけるプロセス条件は、最終スラリー触媒を形成するために十分である。一実施形態において、転化ステップの後、スラリー触媒は、一実施形態において5wt.%未満の水、別の実施形態において3wt.%未満の水、第3の実施形態において0.01wt.%から2.5wt.%の間の水、第4の実施形態において0.025wt.%から2wt.%の間の水を含有する。
【0120】
炭化水素転化媒体としてナフサ等の軽質油(水の沸点を超える沸点を有する)を使用した一実施形態において、高温で、例えば392°F(200℃)を超える温度で油を液体として維持するために、転化ステップは、約2,175psigから約2,900psigの範囲内の圧力で行われる。ナフサを使用することにより、転化ステップの後、濃縮されたスラリー触媒を得るために、軽質油は好都合に蒸発され得る。
【0121】
一実施形態において、転化は、窒素、製油所ガス、酸素を有さない、又はほとんど有さないガス、及びそれらの混合物のいずれかを含む不活性雰囲気下で行われる。別の実施形態において、混合は、H
2含有ガス圧下で行われる。別の実施形態において、炭化水素/触媒前駆体の混合が行われる反応器の前及び後に、水素ガスが添加される。一実施形態において、転化ステップへのH
2流量は、100SCFB(反応器への炭化水素化合物供給物の「バレル当たりの標準立方フィート」)から2000SCFBに維持される。第2の実施形態において、H
2流量は、300SCFBから1000SCFBの範囲である。第3の実施形態において、H
2流量は、200SCFBから500SCFBの範囲である。
【0122】
一実施形態において、油系スラリー触媒からのアンモニア/水の除去は、転化ステップの後に行われてもよい。一実施形態において、触媒ストリームは、アンモニア/水の減圧及び蒸発の前に加熱される。得られたスラリー混合物は、アンモニア/水の除去を必要とせずに直接水素化処理反応器に向かうことができるが、水の存在は、水素化処理反応器内の空間を不必要に占有する。一実施形態において、油系スラリー触媒混合物は、高圧分離器に通され、水素化処理反応器に進入する前に、スラリー触媒から水が除去される。スラリー触媒中の水及び残留H
2Sを洗浄するために、水素が、反応器の後に、又は高圧分離器内に直接添加されてもよい。
【0123】
一実施形態において、エマルジョンとして金属前駆体の少なくとも一部分を炭化水素中に分散させるために、高せん断速度及び水素圧力下で、金属前駆体(単数又は複数)を含有する溶液を、重質油原料、炭化水素希釈剤(キャリア)、又は炭化水素希釈剤/重質油原料混合物と直接混合することにより、ex−situ硫化及び/又は転化ステップ(単数又は複数)を排除することができる。一実施形態において、エマルジョン混合ステップは、少なくとも1種の硫化剤の添加と共に行われる。別の実施形態において、少なくとも1種の硫化剤は、高せん断混合の後にエマルジョンに添加される。金属前駆体供給物は、PLS供給物ストリーム、溶液中の複塩金属前駆体、溶液中の水溶性金属前駆体、又は溶液中の水溶性金属前駆体の混合物、例えばモリブデン酸塩溶液、硫化亜鉛溶液、モリブデン酸塩及び硫酸ニッケルの混合物等のいずれであってもよい。一実施形態において、エマルジョンは、疎水性の油分散触媒前駆体である。
【0124】
高せん断混合の一実施形態において、エマルジョン粒子は、ミクロンサイズ、例えば、一実施形態において0.1μmから300μm、第2の実施形態において少なくとも2μm、第3の実施形態において1μmから10μm、第4の実施形態において0.5μmから50μmの間の液滴として形成される。エマルジョンの構造及び液滴径は、プロセス性能要件及び作業コストに基づいて最適化することができる。ノズル、インライン静的混合器、羽根車、ターボレータ、流動化器等の当業者に知られている技術及び/又は高せん断機器を使用した、水−油エマルジョンを形成するためのいくつかの手法がある。界面活性剤又は他の添加剤、例えば乳化剤を添加して、所望の構造及び液滴径を有する安定なエマルジョンを形成してもよい。一実施形態において、水性金属/触媒前駆体の少なくとも一部分(例えば少なくとも30%)が、炭化水素希釈剤(媒体)中に分散した微細液滴として存在する。別の実施形態において、炭化水素希釈剤は、水性触媒前駆体中に分散した微細液滴として存在し、これが後に反転乳化に供されて、炭化水素希釈剤/重質油中の水性触媒前駆体の微細分散を形成する。
【0125】
一実施形態において、油分散触媒前駆体のエマルジョンは、重質油改良のための反応器に直接提供されてもよく、重質油原料との混合後のin−situ硫化によりスラリー触媒が形成される。重質油原料は硫化に利用可能な硫黄源を有するため、また脱硫/硫黄源(例えばH
2S)の放出の反応条件下において、エマルジョン触媒前駆体は、重質油原料によってin−situで硫化され得る。一実施形態において、in−situ硫化は、水素化処理条件下、例えば752°F(400℃)から1112°F(600℃)の範囲の温度、及び1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の範囲の圧力で生じる。
【0126】
一実施形態において、無機金属前駆体(単数又は複数)の少なくとも一部分が、炭化水素媒体中に分散してエマルジョンを形成した後に、乳化された混合物は、任意選択で、硫化水素等の硫化剤又は他の硫化剤を使用して硫化される。一実施形態において、水性硫化媒体がエマルジョン液滴径に干渉し得るため、硫化剤は、気体又は固体形態である。別の実施形態において、エマルジョンの硫化を開始させるために、高せん断混合プロセスの開始時に追加的な硫化剤が添加されてもよい。別の実施形態において、硫化剤は、高せん断混合プロセスに、連続的又は断続的に添加されてもよい。一実施形態において、硫化は、10分から1日を要する。別の実施形態において、硫化は、30分から4時間を要する。硫化ステップの後、水を除去/エマルジョンをスラリー触媒に転化するために、温度が上昇される。
【0127】
一実施形態において、重質油改良のための反応器内への注入前に、エマルジョン(硫化剤が添加された、又は添加されていない)に還元剤の存在下で還元ステップが行われる。さらに別の実施形態において、高せん断混合又は硫化ステップ(単数又は複数)の間又はその後に、水を除去するためにエマルジョンの温度が上昇される。水除去/転化は、水素圧力下、及び、一実施形態において50〜600°F、第2の実施形態において100〜500°F、第3の実施形態において150〜450°Fの温度で行われる。エマルジョン触媒は、エマルジョン触媒中の主金属100gに0.10ft
3H
2から2ft
3H
2の速度で水素源を添加しながら、3000psigまでの圧力で、連続的又はバッチ式に還元及び脱水され、少なくとも20%の水が除去され得る。また、一実施形態において、適切な機器内の内部構造を選択して、例えば羽根車を使用して、転化ステップ中に高せん断混合も使用される。
【0128】
油分散性金属前駆体の形成を用いた一実施形態において、ヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)等の無機金属前駆体を、15wt.%から50wt.%の金属前駆体の比で、有機溶媒と接触させる。一実施形態において、接触は、少なくとも140°F(60℃)の高温で行われる。有機溶媒が硫黄含有化合物、例えばDMSOである一実施形態において、硫化ステップは省略することができる。混合物は、200ppmから2wt.%のMo(重質油原料のwt.%として)の最終濃度のために、水素の存在下で、及び任意選択で硫化剤と共に、炭化水素希釈剤又は重質油原料と直接接触させることができ、硫化活性スラリー触媒が、重質油改良における使用のためにin−situで生成される。
【0129】
有機金属化合物、例えばナフテン酸モリブデン及びジチオカルバミン酸モリブデン等の油溶性有機モリブデン錯体を金属前駆体として使用した別の実施形態において、転化ステップは省略され得る。スラリー触媒は、油溶性有機金属化合物(助触媒あり、又はなし)を、直接重質油原料又は重質油原料及びVGO等の希釈剤の混合物に分散させることにより、金属前駆体から直接調製され得る。混合物は、有機金属錯体をin−situで熱分解するために、及び/又は重質油が硫化に必要なH
2Sを放出するために十分な条件下で浸漬され、金属前駆体は重質油中に微細に分散した硫化触媒に変換される。
【0130】
また、油溶性有機モリブデン錯体の硫化は、ex−situで行われてもよい。一実施形態において、硫化剤は、元素硫黄そのものである。別の実施形態において、硫化剤は、一般的な条件下で硫化水素に分解可能な硫黄含有化合物である。さらなる第3の実施形態において、硫化剤は、単独又はH
2中のH
2Sである。別の実施形態において、油溶性有機金属化合物(単数又は複数)は、(重質油原料の代わりに)VGO等の炭化水素希釈剤中に分散され、次いで、金属前駆体が熱分解して微細に分散した硫化触媒を形成するために十分な条件下で浸漬される。硫化触媒は、後に、改良のために重質油原料と混合され得る。
【0131】
一実施形態において、金属前駆体原料は、触媒分散及び硫化を高めるために十分な期間、例えば15分から4時間、任意選択で重質油原料中に「事前浸漬」され、変換率及び得られる塔頂生成物のAPIの点で、増加した触媒活性がもたらされる。一実施形態において、事前浸漬は、200°Fから800°Fの温度で行われる。第2の実施形態において、事前浸漬は、350°Fから750°Fの温度で行われる。一実施形態において、事前浸漬タンクは、重質油原料の改良のための水素化分解プロセスの圧力と同じ圧力に維持される。
【0132】
高硫黄供給物を使用した一実施形態において、供給物の脱硫から得られる反応ゾーンにおける硫化水素は、活性硫化触媒をin−situで形成する硫化のための好適な硫黄源として使用され得る。別の実施形態では、追加的硫黄化合物(元素硫黄を含む)が、in−situ触媒硫化を補助するために使用され得る。一実施形態において、3:1から100:1の範囲、別の実施形態において2:1から80:1の範囲の元素硫黄対主金属のモル比で、十分な量の元素硫黄が(エマルジョンの形態で)触媒前駆体に添加される。
【0133】
再加工材料を使用した一実施形態において、再加工材料は、追加的金属前駆体原料なしで単独で使用され得る。別の実施形態において、再加工材料は、触媒供給システムの一部として使用されてもよく、他の手段により形成されたスラリー触媒と組み合わされてもよい。一実施形態において、再加工材料は、炭化水素キャリア(希釈剤)と組み合わされて、後に重質油原料との接触後in−situで硫化され得る未硫化スラリー触媒を形成する。別の実施形態において、炭化水素希釈剤を使用する代わりに、再加工材料は、キャリアとしての水中でスラリー化される。別の実施形態において、硫化剤、例えばH
2S、元素硫黄、又は硫化アンモニウムが、スラリー触媒を形成するための硫化条件下で炭化水素キャリア中の再加工材料に添加される。さらに別の実施形態において、再加工材料は、スラリー触媒を形成する後のin−situ硫化のために、重質油原料、又は重質油原料及び炭化水素希釈剤の混合物中で直接スラリー化されてもよい。
【0134】
全ての実施形態において、十分な量の再加工材料が、スラリー触媒の形成に、及び重質油原料に対し20ppmから5000ppmの主金属(例えばMo)の触媒用量を提供するために十分な量の固体として使用される。一実施形態において、再加工材料(粉末形態として)の量は、炭化水素希釈剤及び/又は重質油原料の総重量の2wt.%から60wt.%の範囲である。第2の実施形態において、量は、5wt.%から40wt.%の範囲である。第3の実施形態において、十分な量の再加工材料は、重質油原料に対し20ppmから1000ppmの範囲の主金属の用量に使用される。別の実施形態において、十分な量の再加工材料は、重質油原料に対し5ppmから100ppmの主金属の用量に使用される。
【0135】
一実施形態において、スラリー(再加工)触媒は、水素化分解ユニット内で直接使用され得る。別の実施形態において、スラリー(再加工)触媒は、重質油改良の前に重質油原料と混合される。さらに別の実施形態において、スラリー(再加工)触媒は、新鮮な触媒、例えば金属前駆体供給物又は重質油改良のための水素化分解ユニットへの触媒供給物としてのPLS(再加工材料から作製されたものではない)から作製されたスラリー触媒と組み合わされてもよい。一実施形態において、スラリー(再加工)触媒の量は、重質油改良に必要な全スラリー触媒の5wt.%から100wt.%の範囲である。第2の実施形態において、スラリー(再加工)触媒の量は、10wt.%から70wt.%の範囲である。第3の実施形態において、スラリー(再加工)触媒の量は、15wt.%から45wt.%の範囲である。第4の実施形態において、スラリー(再加工)触媒は、スラリー触媒の総量の50wt.%未満を占める。重量比は、処理される重質油原料の種類、システムの動作条件、供給物の利用可能性(再加工材料の利用可能性)等を含む複数の因子に依存して変動し得る。
【0136】
原料としてPLSストリームを用いた一実施形態において、PLSストリームは、少なくとも別の金属前駆体原料と混合され、後の硫化ステップ/転化ステップのための前駆体混合物を形成してもよい。別の実施形態において、PLSは、唯一の原料として使用される。一実施形態において、PLSストリームは、硫化水系触媒前駆体を生成するための硫化条件下で、硫化剤、例えばH
2S、元素硫黄、又は硫化アンモニウム等と組み合わされ、次いで、後に炭化水素希釈剤との混合後に油系触媒に転化される。別の実施形態において、PLSは、水素源とのせん断混合条件下で炭化水素キャリアと組み合わされ、油分散エマルジョンを生成する。一実施形態において、油分散エマルジョンをスラリー触媒に変換するために、例えばH
2S、元素硫黄、又は硫化アンモニウム等の硫化剤が、2:1から4:1の範囲内の硫黄対主金属のモル比で任意選択で提供される。さらに別の実施形態において、油分散エマルジョンを生成するために、PLSは、重質油原料又は重質油及びVGO等の炭化水素キャリア(希釈剤)の混合物と、高せん断混合下で混合される。PLS対炭化水素希釈剤の体積比は、使用されるPLS及び炭化水素キャリア中の金属前駆体の濃度に依存して、1vol.%から50vol.%の範囲である。PLS原料により形成されたエマルジョン触媒(硫化されている、又は硫化されていない)は、重質油改良のための水素化処理システムに直接提供されてもよい。別の実施形態において、水を除去/エマルジョンを疎水性の油分散スラリー触媒に転化するために、エマルジョン触媒の温度が上昇される。
【0137】
任意選択的水素前処理:一実施形態において、重質油改良の前に、スラリー触媒は、任意選択で水素で処理される。一実施形態において、水素による飽和/事前浸漬は、触媒活性を改善し、改良プロセスにおけるコークスの形成を低減する。前処理は、スラリー触媒の表面を水素で富化し、そのようにして反応がより迅速に生じることを可能にすると思われ、したがってコークス形成を低減する。別の実施形態において、前処理は、触媒面積及びポロシメトリー(porosimetry)を向上させる。
【0138】
任意選択的水素前処理は、予混合槽及び/又は移送ラインにおいて行うことができる。一実施形態において、前処理プロセス中、水素と共に少量の水が予混合槽に注入されてもよい。一実施形態において、前処理(又は前調整)温度は、200°Fから800°Fの範囲である。第2の実施形態において、前処理(又は前調整)温度は、300°Fから750°Fの範囲である。第3の実施形態において、前処理(又は前調整)温度は、400°Fから600°Fの範囲である。前処理時間は、一実施形態において1分から20時間の範囲であり、別の実施形態において1時間から10時間の範囲であり、第3の実施形態において2時間から5時間の範囲である。水素の割合は、炭化水素希釈剤中のスラリー触媒のbbl当たり500scfから15,000scfの範囲である(標準立方フィート/バレル)。一実施形態において、前処理圧力は、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の範囲である。一実施形態において、炭化水素希釈剤は、少なくとも10wt.%の軽質油、例えばVGO、サイクル油、ガソリン、蒸留物、ナフサ、軽質サイクル油、ベンゼン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物を含有する。
【0139】
重質油原料を有する改良システムへの導入前に水素前処理することにより、触媒表面は水素で富化され、これがより迅速な反応及び低減されたコークス/沈積物形成のために触媒活性を改善すると考えられている。一実施形態において、水素前処理(又は前調整)されたスラリー触媒は、HDS(水素化脱硫)、HDN(水素化脱窒素)、及びHDMCR(水素化脱マイクロカーボン残油)の点で、水素前処理ステップなしのスラリー触媒と比較して、反応速度定数k値の少なくとも10%の増加を提供する。別の実施形態において、反応速度定数の増加は、少なくとも15%である。一実施形態において、水素前処理されたスラリー触媒は、表面積の点でポロシメトリー特性の改善を提供し、表面積及び全細孔容積(TPV)の増加は、水素前処理ステップなしのスラリー触媒と比較して、少なくとも10%である。別の実施形態において、表面積及びTPVの増加は、少なくとも15%である。
【0140】
プロセスステップのいずれも、連続的、バッチ様式、又はそれらの組合せのいずれかで操作され得ることに留意されたい。ステップは、バッチ、半バッチ、又は連続撹拌タンク式反応器(CSTR)のいずれかにおいて行うことができ、機械式撹拌器若しくは静的混合器を有する加熱手段を装備した槽、又は再循環ポンプを用いたものであってもよい。成分(供給物ストリーム)は、反応器又は槽に同時に、又は任意の順番で連続的に導入されてもよい。「供給物ストリーム」という用語は、連続処理及びバッチ処理されたものの両方を指す。一実施形態において、プロセスステップのいくつかは、バッチ様式で行われ、プロセスステップのいくつか、例えば硫化ステップは、連続様式で行われる。
【0141】
一実施形態において、硫化及び転化ステップの両方が、連続様式で行われる。別の実施形態において、硫化はバッチ様式であり、一方転化は連続様式である。連続操作は、原料の一部、特に慎重な取り扱いを必要とするもののためのタンクを確保する必要性を排除し得る。
【0142】
成分の混合は、連続撹拌タンク内で行われてもよく、又は、インライン静的混合器(例えば、複数の内部邪魔板若しくは他の要素を有する)、動的高せん断混合器(非常に高乱流、高せん断混合のためのプロペラを有する槽)、又は当技術分野において知られている乱流混合を確実とし得る任意のデバイスを含む、他の手段により行われてもよい。高活性触媒を達成するために、重質油原料に対する金属前駆体及び/又は硫化触媒前駆体の高度な分散を得ることが望ましい。高硫黄重質油原料を使用した実施形態において、供給物脱硫から、反応ゾーンにおいて硫化水素がin−situで生成される。生成されたH
2Sは、金属前駆体の硫化に好適な硫黄源として使用することができる。
【0143】
一実施形態において、使用される機器の種類に依存して、成分は、少なくとも2000のレイノルズ数での流れに十分な条件下で混合される。第2の実施形態において、混合は、少なくとも3000のレイノルズ数に十分である。第3の実施形態において、レイノルズ数は、3200から7200の範囲である。
【0144】
重質油改良のためのスラリー触媒を作製するための方法の異なる実施形態を概略的に示すブロック図を含む図を参照する。
【0145】
図1は、方法の一実施形態に関与するステップを示す。反応器10において、硫化剤12の添加と共に、ヘプタモリブデン酸アンモニウム等の少なくとも1種の主金属前駆体11が、水溶液中の硫酸ニッケル等の少なくとも1種の助触媒金属前駆体13と共硫化され、硫化触媒前駆体を形成する。任意選択で、一実施形態において、追加的助触媒金属前駆体13(共硫化ステップに添加された助触媒金属前駆体と同じ又は異なる)が、共硫化ステップ後に添加される。共硫化は、バッチ様式、連続様式、又は半バッチ様式であってもよい。一実施形態において、硫化は、より小型の機器及びより安定な動作を可能とするように、連続的である。
【0146】
一実施形態において、混合タンク10内の反応時間は、約1時間から10時間の範囲である。一実施形態において、温度は、100psigから3000psigの範囲の圧力で、30℃から100℃に維持される。一実施形態において、助触媒金属ニッケル(又はコバルト)対主金属前駆体、例えばモリブデン化合物等のVIB族前駆体の重量比は、約1:100から約1:2の範囲である。一実施形態において、助触媒金属前駆体を直接共硫化ステップ10に供給する代わりに、助触媒金属前駆体23は、硫化ステップ10の後に、硫化主金属前駆体に添加される。
【0147】
反応器10からの触媒前駆体は、次の反応器/混合タンク20に移動され、触媒前駆体は、5分から2時間の期間、及び室温から70℃の温度で、VGO21等のキャリア油の添加と共に転化される。水素22は、一実施形態において300SCFB(「バレル当たりの標準立方フィート」、炭化水素供給物のバレル当たりを意味する)から約2000SCFBの範囲で、混合物反応ゾーンに連続的に添加される。反応ゾーンの圧力は、概して、約0psigから約3000psigの範囲である。反応器の温度は、概して、150℃から300℃の範囲である。一実施形態において、反応器20は、反応器内の均質なスラリーを維持するために高せん断混合を備えるCSTRである。このステップにおいて形成される触媒前駆体への硫黄の組み込みを増加させるために、任意選択的成分(図示せず)が反応器20に添加されてもよい。油系スラリー触媒24は、貯蔵タンクに送られるか、又は直接水素化分解プロセスに送られる。洗浄された水、メタン、アンモニア、H
2S等を含む蒸気ストリーム24は、後のリサイクル/浄化のために回収される。
【0148】
図2は、出発供給物として複塩金属前駆体を用いた、触媒組成物を調製するための別の実施形態を示すブロック図である。反応器10において、pHを事前に選択されたレベルに調節して、複塩金属前駆体スラリー14の形成を促進するために、少なくとも1種の酸又は塩基24が、少なくとも1種の主金属(例えばVIB族)金属前駆体11、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液、及び助触媒金属前駆体13、例えば水溶液中の硫酸ニッケルに添加される。示されるような一実施形態において、当技術分野において知られている方法、例えばフィルタ40、デカンタ等を使用して、金属前駆体スラリー14から水が任意選択で除去され、結晶又は濃縮スラリー41が生成される。複塩金属前駆体結晶41は、例えば混合タンク、静的混合器41等において、高せん断混合下で炭化水素希釈剤又は重質油原料41と混合され、例えば水素化分解機内で重質油改良に直接使用され得るエマルジョン触媒が生成される。
【0149】
図3において、スラリー触媒を作製するために必要な金属前駆体を提供するために、加圧浸出溶液(PLS)又は浸出スラリー17が使用される。また、図示されていないが、PLSに加えて、ヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液、硫酸ニッケル等の追加的VIB族金属前駆体供給物が硫化ステップに添加されてもよい。一実施形態(図示せず)において、PLS原料はまた、in−situ硫化のために重質油原料に直接添加され、硫化スラリー触媒を生成してもよい。硫化剤16は、混合タンク30に添加される(連続的に、又はバッチ様式操作において)。硫化触媒前駆体は、転化ステップ60において、重質油供給物そのものであってもよい炭化水素転化媒体51の添加と共に油系硫化触媒に転化される。
【0150】
図4は、PLSを用いてスラリー触媒を作製するための別の実施形態を示す。この方法において、金属回収プロセス(例えば、使用済触媒からの金属回収)からの、様々な金属塩を含有する加圧浸出溶液17が、炭化水素キャリア、又は重質油原料51の添加と共に、高せん断混合下で、混合タンク30への供給物として使用される。任意選択で、追加的硫化剤16もまた添加されてもよい。一実施形態(図示せず)において、追加的金属前駆体もまたこのステップに添加されてもよく、後にエマルジョン触媒が重質油改良に送られる。
【0151】
図5において、溶液中の少なくとも1種の主金属前駆体11、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液等の無機モリブデン酸化合物又はニッケル化合物が、硫化剤16の添加と共に混合タンク30内で硫化される。硫化水系触媒は、転化ステップにおいて、重質油供給物そのものであってもよい炭化水素転化媒体51の添加と共に油系硫化触媒に転化される。次のステップ51において、重質油改良の前に、スラリー触媒に、水素飽和によるH
2処理が行われる。
【0152】
図6において、少なくとも1種のVIB族金属前駆体11、例えば有機モリブデン化合物又は無機モリブデン化合物、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液が、混合タンク30内で、直接助触媒金属前駆体13、例えば水溶液中の硫酸ニッケル、及び炭化水素希釈剤又は重質油原料51、並びに任意選択で硫化剤と混合されて、金属前駆体の硫化が生じ、硫化スラリー触媒が形成される。一実施形態において、混合は、高せん断混合機器の使用により、及び水素圧力下で行われ、エマルジョン触媒が形成される。一実施形態において、触媒は、インライン静的混合器60によりさらに均質化される。
【0153】
図7は、スラリー触媒を作製するための別の実施形態を示す。この方法において、AHM溶液17が、混合タンク30内でDMSO溶媒18及び任意選択で硫化剤16と混合される。ニッケル塩助触媒13が、任意選択で硫化剤16と共に、油分散性金属前駆体に添加され、硫化スラリー触媒が形成される。スラリー触媒は、重質油改良ステップの前に、重質油供給物51に添加され、インライン混合器60の使用によりエマルジョンが形成される。別の実施形態(図示せず)において、ニッケル強化触媒前駆体(硫化されていない、又は硫化されていない)に、還元剤、例えばH
2の存在下で還元ステップが行われ、硫化Moはその酸化状態を変化させる。
【0154】
図8は、別個の強化ステップを用い、また重質油改良ステップの前に活性スラリー触媒を形成するために、ステップ80において油分散性エマルジョンに炭化水素希釈剤又は重質油原料混合物81を添加する、
図7における実施形態の変形例を示す。
【0155】
図9は、
図7における実施形態のさらに別の変形例を示し、重質油改良ステップの前の硫化/スラリー触媒の形成のために、重質油原料/炭化水素転化媒体51が、無機金属前駆体のエマルジョン混合物、例えばAHM溶液11及びDMSO溶媒18に直接添加される。
【0156】
図10において、少なくとも1種のVIB族金属前駆体11、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液等の無機モリブデン化合物が、ステップ30において、炭化水素希釈剤19、例えばVGOと、高せん断混合下で混合され、油中水エマルジョンを形成する。図示されていないが、硫化タンク70内の温度は、後に硫化エマルジョン/スラリー触媒32を疎水性の油分散スラリー触媒に転化するために上昇される。スラリー触媒は、重質油改良ステップの前に、重質油原料51と混合される。
【0157】
図11は、事前硫化ステップを用いた、エマルジョン触媒を作製するための別の実施形態を示す。この方法において、少なくとも1種のVIB族金属前駆体11、例えばヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液等の無機モリブデン化合物が、ステップ30において、炭化水素希釈剤19、例えばVGOと、高せん断混合下で混合され、油中水エマルジョンを形成する。混合物は、任意選択で、硫化剤(H
2S又は元素硫黄)16の添加と共に硫化される。一実施形態において、スラリー触媒は、重質油改良ステップの前に、炭化水素希釈剤又は重質油原料51と混合される。
【0158】
図12は、事前硫化ステップを用いない、エマルジョン触媒を作製するための別の変形実施形態を示す。この方法において、炭化水素希釈剤、例えばVGO19中の無機金属前駆体(単数又は複数)11のエマルジョンが形成される。エマルジョン混合物は、重質油改良ステップの前に、適切な条件下で炭化水素希釈剤又は重質油原料/炭化水素希釈剤混合物51と直接混合される。図示されていないが、タンク70内の温度は、後に硫化エマルジョン/スラリー触媒32を疎水性の油分散スラリー触媒に転化するために、上昇される。一実施形態において、スラリー触媒は、重質油改良ステップの前に、重質油原料51と混合される。
【0159】
図13は、再加工材料又は粉砕された残留触媒微粉末を使用した、スラリー触媒を調製するための実施形態を示す。この方法において、粉砕された触媒材料(再加工物)11が、VGO希釈剤18中でスラリー化され、スラリー触媒前駆体が生成される。任意選択で、一実施形態において、硫化剤16は、スラリー前駆体を事前に硫化するためにプロセスに添加される。混合物は、後に、水素化分解器ユニットにおける改良のために、重質油原料51と混合されてもよい。
【0160】
図14は、油溶性有機金属化合物から強化されたスラリー触媒を調製するための実施形態を示す。ある量の有機金属前駆体11、ニッケル助触媒13、及び炭化水素希釈剤18のブレンドが、混合タンク30内で互いに混合される。混合物は、後に、タンク70内で熱分解され、硫化スラリー触媒を生成し、これが後に改良のために重質油原料と混合され得る。一実施形態では、追加的硫化剤が、任意選択でタンク70に添加されてもよい。
【0161】
図15において、有機金属金属前駆体11が、重質油原料51、及び任意選択で助触媒前駆体13と直接混合される。混合物は、in−situ硫化が生じるように水素化処理条件下で浸漬され、後の重質油改良のための硫化スラリー触媒が生成される。
【0162】
図16は、硫黄の量が向上したスラリー触媒のための少なくとも1つの追加的硫化ステップを有する実施形態を示す。一実施形態において、Mo、例えばモリブデン酸塩水溶液(2%から15%のMo濃度)等の主金属源11が、反応槽30に投入され、反応条件、例えば室温から300°Fの温度及び3000psigまでの圧力に供される。第1の硫化ステップのために硫化剤16が添加され(4:1未満のS/主金属のモル比)、水系オキシ硫化モリブデン触媒前駆体が生成される。硫化は、連続的又はバッチ式に行われてもよい。同じ(又は次の)ステップにおいて、触媒前駆体は、助触媒金属源13としての第2の/異なる金属、例えばVIII族金属で、1wt.%から49wt.%の助触媒対主金属の比で強化される。強化された水系触媒前駆体は、同じ又は異なる硫化剤供給物16の添加と共に、追加的硫化ステップに供される。追加的硫化ステップは、同じ又は異なる機器(混合タンク70)内で、及び第1の硫化ステップ(4:1未満のS/主金属のモル比)と同じ又は異なる硫化供給物比で行われてもよい。得られた硫黄向上水系触媒は、ステップ80において、1:10から10:1の範囲の油対水系触媒重量比で、炭化水素希釈剤51で乳化される。転化ステップは、バッチ式又は連続的に行われてもよく、また硫化ステップと同じ機器又は異なる機器内で行われてもよい。一実施形態(図示せず)において、硫化触媒は、後に、周囲温度から300°Fの温度及び3000psigまでの圧力で、触媒中の主金属100gに対し0.10ft
3H
2から2ft
3H
2の割合での水素源の添加と共に還元及び脱水され(連続的又はバッチ式に)、サワー水及び油系触媒が生成される。一実施形態において、スラリー触媒は、重質油改良ステップ60の前に、重質油原料51と混合される。
【0163】
図17は、助触媒としてTiを用いた、触媒を調製するための実施形態を示す。Mo、例えばモリブデン酸塩水溶液(2%から15%のMo濃度)等の主金属源11が、反応槽30内に投入され、反応条件に供される。硫化ステップのために、硫化剤16が添加される。触媒前駆体は、助触媒金属源13としての第2の異なる金属、例えばVIII族金属で強化される。強化された水系触媒前駆体は、混合タンク70内で、炭化水素希釈剤51の添加と共に転化ステップに供される。ナフテン酸チタン溶液等の十分な量のTi金属源85が転化触媒に添加され、重質油改良ステップ60における使用のためのTi−Ni−Moスラリー触媒が生成される。
【0164】
図18は、例えば単一金属としてニッケルを使用した、単一金属触媒を調製するための実施形態を示す。Ni前駆体11は、硫化アンモニウム溶液等の硫黄源で硫化される。水系触媒は、混合タンク60内で炭化水素希釈剤51により転化され、重質油改良ステップ80における使用のためのニッケル系スラリー触媒が生成される。
【0165】
図19は、Zn−Moスラリー触媒を調製するための実施形態を示す。Mo、例えばモリブデン酸塩水溶液等のMo源11が、Zn源、例えば硫酸亜鉛七水和物と共に、高せん断条件下及び水素圧力で反応槽30内に投入され、反応条件に供される。一実施形態において、強化触媒前駆体は、混合タンク70内で炭化水素希釈剤又は重質油原料51と直接混合される。別の実施形態において、硫化剤16が任意選択で添加され(点線)、水系触媒前駆体が生成され、これが後に炭化水素希釈剤51で転化され、後の重質油改良のためのエマルジョン触媒を形成してもよい。
【0166】
図20は、助触媒金属前駆体供給物の分割供給を用いた、スラリー触媒を調製するための実施形態を示す。一実施形態において、Mo、例えばモリブデン酸塩水溶液等の主金属源11が反応槽30内に投入され、助触媒金属源13の一部分、及び共硫化ステップのための硫化剤16の添加と共に反応条件に供され、水系触媒前駆体が生成される。硫化は、連続的又はバッチ式に行われてもよい。次のステップにおいて、追加的助触媒金属源14が、後強化ステップのために任意選択で添加され、助触媒金属源14は、助触媒金属源13と同じ若しくは異なってもよい(又は同じ若しくは異なる割合で供給されてもよい)。水系触媒前駆体は、後に、炭化水素希釈剤51によりスラリー触媒に転化される。
【0167】
別の実施形態において、主金属前駆体11がまず硫化され、次いで後に助触媒金属源14で強化される。さらに、助触媒金属前駆体15(助触媒金属源14と同じ又は異なっていてもよい)が、転化ステップにおいて、炭化水素希釈剤51と共に添加される。
【0168】
図21は、粉砕/再加工触媒からスラリー触媒を調製するための実施形態を示す。粉砕された市販の触媒11が、VGO中約250ppmから4.0wt.%のMoを有するスラリー化した触媒のために十分な量のVGOと混合される。スラリー化した触媒は、重質油改良のための水素化分解器における使用のために、重質油原料、及び任意選択で新鮮なスラリー触媒24と混合される。
【0169】
図中のプロセスステップのいずれも、バッチ様式及び/又は連続様式で行われてもよいことに留意されたい。一実施形態において、金属前駆体/触媒のいずれも沈降又は濃密ゲルを形成しないようにするために、高せん断混合が望ましい。
【0170】
スラリー触媒の特性決定:スラリー触媒は、炭化水素媒体中に分散した粒子の懸濁液を含む。炭化水素媒体は、重質油原料そのもの、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO若しくはHCO)、ジェット及び燃料油、並びにそれらの混合物等の炭化水素転化媒体、又は重質油原料及び炭化水素転化媒体の混合物であってもよい。別の実施形態において、炭化水素媒体は、炭化水素転化媒体である。少なくとも4のpHを有する少なくとも1種の金属前駆体を使用した一実施形態において、スラリー触媒は、特に重質油原料の改良に有用な、改善された形態及び分散特性を有するものとして特徴づけられる。
【0171】
一実施形態において、スラリー触媒は、油中の複数の懸濁又は分散した液滴を含み(「エマルジョン触媒」)、液滴は、0.1μmから300μmの平均径を有する。第2の実施形態において、分散した粒子又は液滴は、0.5μmから150μmの平均液滴径を有する。第3の実施形態において、分散した粒子又は液滴は、1μmから100μmの平均液滴径を有する。第4の実施形態において、分散した粒子又は液滴は、1μmから50μmの平均液滴径を有する。第5の実施形態において、液滴径は、20μm未満である。
【0172】
一実施形態において、スラリー触媒は、炭化水素媒体中の複数の分散した粒子を含み、分散した粒子は、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する。別の実施形態において、粒子は、2μmから150μmの範囲の平均粒径を有する。さらに別の実施形態において、粒子は、少なくとも5μmの平均粒径を有する。第4の実施形態において、粒子は、50μm未満の平均粒径を有する。
【0173】
一実施形態において、スラリー触媒は、少なくとも第1のモード(mode:峰)が、直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内の、細孔径の少なくとも約80%を有し、第2のモード(峰)が、直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内の、細孔径の少なくとも約70%を有し、第3のモード(峰)が、少なくとも直径100オングストロームの、細孔径の少なくとも20%を有する、多峰細孔分布(polymodal pore distribution:多峰)を有することを特徴とする。本明細書において使用される場合、多モード(多峰)は、2つ以上のモード(峰)を含む。一実施形態において、細孔径の少なくとも30%が、直径100オングストロームを超える。別の実施形態において、少なくとも40%が、直径100オングストロームを超える。別の実施形態において、細孔径の少なくとも70%が、直径100オングストロームを超える。一実施形態において、少なくとも50%が、直径50オングストロームから5,000オングストロームの範囲内である。別の実施形態において、細孔容積の少なくとも75%が、100オングストロームから1000オングストロームの範囲である。
【0174】
スラリー触媒は、一実施形態において少なくとも0.4cc/g(固体形態の触媒のグラム当たり)、第2の実施形態において少なくとも0.6cc/g、第3の実施形態において少なくとも0.8cc/g、第4の実施形態において少なくとも1cc/g、第5の実施形態において3cc/g未満の全細孔容積(TPV)を有する。
【0175】
一実施形態において、スラリー触媒は、窒素BET法により測定される、少なくとも100m
2/gの比較的高い全表面積を有することを特徴とする。一実施形態において、表面積は、少なくとも100m
2/gである。別の実施形態において、表面積は、200m
2/gから900m
2/gの範囲内である。第4の実施形態において、表面積は、50m
2/gから800m
2/gの範囲内である。第5の実施形態において、表面積は、100m
2/gから300m
2/gの範囲内である。第6の実施形態において、スラリー触媒は、本質的に助触媒金属を含まず、300m
2/gから800m
2/gの範囲内の表面積を有する。第7の実施形態において、スラリー触媒は、少なくとも300m
2/gの表面積を有する。
【0176】
一実施形態において、スラリー触媒(多金属又は単一金属触媒として)は、式(M
t)
a(L
u)
b(S
v)
d(C
w)
e(H
x)
f(O
y)
g(N
z)
h(式中、Mは、VIB族金属、非貴金属VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なる金属であり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)のスラリー触媒である。多金属スラリー触媒(b>0)の一実施形態において、主金属Mは、モリブデンであり、助触媒金属は、ニッケル及びチタンである。二金属スラリー触媒の実施形態において、Mは、モリブデンであり、Lは、亜鉛である。
【0177】
一実施形態において、スラリー触媒は、主金属Mとしてニッケルを有する単一金属系(b=0)である。さらに別の実施形態において、単一金属スラリー触媒の主金属Mは、モリブデンである。単一金属触媒の式は、(M
t)
a(S
v)
d(C
w)
e(H
x)
f(O
y)
g(N
z)
h(式中、Mは、非貴金属VIII族(IUPAC命名法では8〜10族)金属、VIB族金属(IUPAC命名法では6族)、IVB族金属(IUPAC命名法では4族)、及びIIB族金属(IUPAC命名法では12族)の少なくとも1種であり;t、v、w、x、y、zのそれぞれは、成分(M、S、C、H、O、及びN)のそれぞれの全電荷を表し;ta+vd+we+xf+yg+zh=0であり;0.5a≦d≦4aであり;0≦e≦11aであり;0≦f≦18aであり;0≦g<=2aであり;0≦h<=3aである)と記述することもできる。
【0178】
触媒の使用。触媒組成物は、広範な反応条件下、例えば752°Fから1112°Fの温度、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力、及び0.05h
−1から10h
−1の一時間当たりの液体空間速度で、複数の重質油原料を処理するために、事実上全ての水素化処理プロセスにおいて使用することができる。
【0179】
水素化処理(又は水素化分解)は、1つ又は複数の反応ゾーンにおいて実践することができ、向流又は並流様式で実践することができる。向流モードとは、供給物ストリームが、水素含有処理ガスの流れに対して向流で流動するプロセスを意味する。水素化処理はまた、硫黄及び窒素化合物の除去並びに石油中間留分等の軽質化石燃料中に存在する芳香族分子の水素化のための、スラリー及び沸騰床水素化処理プロセス、例えば循環スラリー触媒を使用した重質油の水素化処理を含む。
【0180】
触媒は、任意の反応器の種類において適用することができる。一実施形態において、スラリー触媒は、固定床反応器に適用される。別の実施形態において、スラリー触媒は、H−Oilプロセス、LC−Finingプロセス、H−Coalプロセス、重質油改良プロセス及びその他において使用される、沸騰床反応器、スラリー反応器、再循環反応器、又は流動床反応器における触媒供給システムの一部として使用される。別の実施形態において、触媒リサイクルを使用せずに、触媒を含有する2つ以上の反応器が直列で使用されてもよい。第3の実施形態において、同じく触媒リサイクルを使用せずに、水素化処理反応器が並列で使用される。重質油改良における水素化処理反応器の動作、他の硫化剤、及び他の炭化水素転化媒体に関する詳細は、全て出願日が2009年7月21日である米国特許出願シリアル番号第12/506,885号、米国特許出願シリアル番号第12/506840号、米国特許出願シリアル番号第12/506987号、及び米国特許出願シリアル番号第12/506,885号、並びに全て出願日が2008年9月18日である米国特許出願シリアル番号第12/232,327号、米国特許出願シリアル番号第12/233,439号、米国特許出願シリアル番号第12/233,393号、及び米国特許出願シリアル番号第12−233,171号に見出すことができ、関連する開示は、参照により本明細書に含まれる。
【0181】
一実施形態において、スラリー触媒は、(触媒対油の比で)0.01wt.%から3wt.%の割合で原料に添加される。第2の実施形態において、スラリー触媒は、0.25wt.%から2wt.%の割合で添加される。第3の実施形態において、スラリー触媒は、100ppmから20000ppmの活性金属、例えばVIB族金属の割合で添加される。第4の実施形態において、触媒は、反応ゾーンにおけるMoの総量が0.005w.%から0.5wt.%(原料の総重量を基準として)となるように十分な割合で原料に添加される。
【0182】
2回以上硫化(例えば二重硫化)されたスラリー触媒及び少なくとも2000ppm(wt.%主金属対重質油原料)の触媒濃度を使用した一実施形態において、重質油改良のための水素化分解ユニットへの触媒導入は、2回以上硫化されていない触媒と比較して、少なくとも10%低減され得る。別の実施形態において、触媒導入は、少なくとも20%低減され得る。
【0183】
一実施形態において、スラリー触媒は、重質油の改良において優れた変換率を提供する、すなわち、1wt.%未満の活性VIB族金属の割合(重質油原料に対して)で適用される場合、最大15のAPIを有する重質油の改良において少なくとも50%の1000°F+変換率、第2の実施形態において少なくとも75%の1000°F+変換率、第3の実施形態において少なくとも80%、及び第4の実施形態において少なくとも90%の1000°F+変換率を提供することを特徴とする。
【0184】
本発明のスラリー触媒を使用した一実施形態において、重質油供給物の少なくとも98.5%が、より軽質の生成物に変換される。第3の実施形態において、変換率は、少なくとも99%である。第4の実施形態において、変換率は、少なくとも95%である。第5の実施形態において、変換率は、少なくとも80%である。本明細書において使用される場合、変換率(conversion rate:転化率)は、重質油原料から1000°F(538℃)未満の沸点の材料への変換を指す。
【実施例】
【0185】
実施例:
以下の例示的な例は、非限定的であることが意図される。別段に指定されない限り、例において調製された触媒の触媒活性は、水素化脱窒素(HDN)、水素化脱硫(HDS)、バナジウム除去活性(HDV)、及び水素化脱マイクロカーボン残渣(hydrodemicrocarbon residue:HDMCR)に関して試験される。VRは、「減圧残油」又は特定の重質油原料を指す。
【0186】
VR#1は、29.9wt.%のマイクロ残渣試験体(MCRT)、25.7wt.%の高温ヘプタンアスファルテン(HHA)、5.12wt.%の硫黄、672ppmのバナジウム、及び60°Fで2.7のAPIを有する重質油原料を指す。
【0187】
VR#2は、21.8wt.%のMCRT、11.01wt.%のHHA、5.07wt.%の硫黄、125ppmのバナジウム、及び60°Fで4.9のAPIを有する重質油原料を指す。
【0188】
%Mo/VRは、重質油原料の(重量)パーセントとしての(触媒中の)モリブデン金属の量を指す。サイクル油(中質及び重質サイクル油、MCO又はHCOの混合物)が重質油原料に添加される(重質油原料に対して40wt.%のサイクル油の量で)例において、「VR」は、サイクル油を除く重質油原料の量を指す。
【0189】
例において、別段に指定されない限り、水系触媒の転化は、1.5対1の油対水系触媒の重量比で、真空軽油中で行われる。
【0190】
(比較例1)
この例では、約10%のNi:Mo比を有するスラリー触媒を作製した。オーバーヘッド機械式撹拌器を装備したガラス槽内で、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物((NH
4)
6Mo
7O
24)33.12gを水100gに溶解し、濃アンモニア溶液(H
2O中28wt.%のNH
4OH)14.1gを添加した。水32g中の硫酸ニッケル六水和物(NiSO
4・6H
2O)8.1gの溶液を、全て周囲温度で第1の溶液に添加すると、エメラルドグリーンの懸濁液が生成された。この懸濁液を、大気圧下で70℃に加熱し、硫化アンモニウム((NH
4)
2S)水溶液(40〜44wt.%)101gを、45分間にわたり徐々に添加した。その後、混合物をさらに60分間撹拌しながら加熱した。ロータリーエバポレータで反応混合物の体積を半分に減少させた。得られた水系触媒前駆体を、圧力試験オートクレーブ内で、VGO及び水素により最終油系触媒に転化した。
【0191】
(比較例1A)
手順は、比較例1の場合と同様の10%のNi:Mo比のスラリー触媒を作製することである。この例では、二モリブデン酸アンモニウム(ADM)溶液(12%Mo)9000グラムを、750RPM、150°F及び400PSIGの条件下で加熱した。この加熱されたADM溶液に、H
2S、20%のCH
4、60%のH
2を含むガスストリームを、S/Mo原子=3.4となるまで溶液を通して吹き込んだ。H
2Sを添加した後、次いで、約10%のNi/Moのwt%となるように、適切な量の硫酸ニッケル溶液(8%Ni)を混合物に添加した。生成物は、バッチ式又は連続的に、比較例1の場合のように油系触媒に転化され得る。
【0192】
(比較例2)
手順は、比較例1と同様であるが、ただし、約23%というより高いNi:Mo比を用い、オーバーヘッド機械式撹拌器を装備したガラス槽内で、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物33.12gを使用して、濃アンモニア溶液5gと混合した水100g中に溶解した。水32g中の硫酸ニッケル六水和物16.2gの溶液を、全て周囲温度で第1の溶液に添加すると、緑色の懸濁液が生成された。この懸濁液を大気圧下で70℃に加熱し、硫化アンモニウム溶液(44wt.%)100gを、45分間にわたり徐々に添加した。その後、混合物をさらに60分間撹拌しながら加熱した。手順の残りは、比較例1の場合と同様であった。
【0193】
(比較例2A)
手順は、比較例2の場合と同様の高いNi:Mo比のスラリー触媒を作製することであり、ADM溶液9000グラム(12%Mo)を、750RPM、150°F及び400PSIGの条件下で加熱した。この加熱された溶液に、20体積%のH
2S、20%のCH
4、60%のH
2を含むガスストリームを、S/Mo原子=3.4となるまで溶液を通して吹き込んだ。H
2Sを添加した後、次いで、約23%のNi/Moのwt%となるように、適切な量の硫酸ニッケル溶液(8%Ni)を混合物に添加した。生成物は、バッチ式又は連続的に、比較例1の場合のように油系触媒に転化され得る。
【0194】
(比較例3)
この例は、Moのみのスラリー触媒を作製することである。オーバーヘッド機械式撹拌器を装備したガラス槽内で、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物((NH
4)
6Mo
7O
24)33.12gを水100gに溶解し、濃アンモニア溶液(H
2O中28wt.%のNH
4OH)14.1gを添加した。この混合物を、大気圧下で70℃に加熱し、硫化アンモニウム((NH
4)
2S)水溶液(40〜44wt.%)101gを、45分間にわたり徐々に添加した。その後、混合物をさらに60分間撹拌しながら加熱した。ロータリーエバポレータで反応混合物の体積を半分に減少させた。手順の残りは、比較例1の場合と同様であった。
【0195】
(比較例3A)
この例は、比較例3と同様のMoのみの触媒を作製することであった。この例では、二モリブデン酸アンモニウム溶液(12%Mo)9000グラムを、750RPM、150°F及び400PSIGの条件下で加熱した。この加熱された溶液に、20体積%のH
2S、20%のCH
4、60%のH
2を含むガスストリームを、S/Mo原子が約3.4となるまで溶液を通して吹き込んだ。生成物は、バッチ式又は連続的に、比較例1の場合のように油系触媒に転化され得る。
【0196】
(例4)
二モリブデン酸アンモニウム溶液(12wt.%Mo)5.63gを、硫酸ニッケル溶液(8wt.%Ni)0.84gと混合すると、溶液中の複塩金属前駆体が得られた。1wt.%のMo(VR#1のwt%としてのMo金属)の濃度となるように、十分な量の複塩前駆体を、1Lのバッチ水素化分解ユニット内で重質油原料(60:40の重量比でサイクル油と混合されたVR#1)112.5gと混合した。サイクル油は、1:1の比のHCO:MCOブレンドである。X線回折パターンは、Mo−Ni複塩が、高度に結晶化した水素アンモニウムモリブデンニッケル酸化物水和物H
6(NH
4)
4Mo
6NiO
24*4H
2Oで構成されることを示している。
【0197】
(例5)
例4を繰り返したが、ただし、3:1のS対Moのモル比となるように、十分な量の元素硫黄を、重質油原料及び複塩金属前駆体混合物を含有する1Lのバッチ水素化分解ユニット内に添加した。
【0198】
(例6)
比較例1Aにおいて作製された触媒を、例4〜5の触媒と比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。1wt.%のMoの最終濃度となるように、十分な量の触媒を、60:40のVR#1対MCO112.5gを含有する別個のバッチユニットに添加した。3つのバッチ水素化分解ユニットを、805°Fの温度、1600psigの水素圧力、及び2時間の反応時間の水素化処理条件下で試験した。結果を表1に示すが、複塩金属前駆体原料を使用した例4が、より良好な触媒性能及び使用済触媒特性を達成したことを示しており、これは、ニッケル強化がバナジウム除去を改善したこと、及び硫化のための低温硫黄源がバナジウム除去を改善するであろうことを示唆している。
【表1】
【0199】
(例7)
1wt.%のMo対VRとなるように、十分な量のヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)溶液(12wt.%Mo)を、1リットルのバッチ水素化分解ユニット内で重質油原料約170gに添加した。重質油原料は、減圧残油(VR)としてのVR#1及び中質サイクル油の60:40の重量比の混合物を含有した。
【0200】
(例8)
例7を繰り返したが、ただし、0.7:1のS対Moのwt.%となるように、十分な量の元素硫黄をユニットに添加した。
【0201】
(例9)
例8を繰り返したが、ただし、5:1のS対Moのwt.%となるように、十分な量の元素硫黄をユニットに添加した。
【0202】
(例10)
例9を繰り返し、1800〜1900psigの水素圧力下で2時間、ユニットを180℃に加熱した。
【0203】
(例11)
例8を繰り返し、混合条件下、1800〜1900psigの水素圧力下で2時間、ユニットを180℃に加熱した。
【0204】
(例12)
1リットルのバッチ水素化分解ユニット内で、二モリブデン酸アンモニウム溶液(12wt.%Mo)5.63gを、硫酸ニッケル溶液(8wt.%Ni)0.84g及び重質油原料約170gと混合した(1wt.%のMo対VRとなるように)。重質油原料は、減圧残油(VR)としてのVR#1及び中質サイクル油の60:40の重量比の混合物を含有した。5:1のS対Moの重量比となるように、元素硫黄をユニットに添加した。混合条件下、1800〜1900psigの水素圧力下で2時間、ユニットを180℃に加熱した。
【0205】
(例13)
比較例1において作製された触媒を、例7〜
12の水溶液中の金属前駆体供給物から作製されたin−situ硫化触媒と比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。バッチユニットの開始条件は、160°Fで1400psigの圧力を含んでいた。バッチ水素化分解ユニットを805°Fの温度に加熱し、VR中1wt.%のMoの濃度となるように十分な触媒と共に、その温度で2時間の反応時間保持した。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表2に示す。
【表2】
【0206】
(例14)
二モリブデン酸アンモニウム結晶1.78gを、DI水98.22gに溶解し、モリブデン酸モリブデン溶液を調製した。少なくとも4のpHとなるように、十分な量の水酸化アンモニウムを溶液に添加した。約3.4対1のモル比の硫化水素対Moを注入し、溶液を140°F及び400psigのオートクレーブ内で硫化した。硫化水性スラリーを、第2のオートクレーブに送り、形成される硫化Mo化合物がVGO中に懸濁した二硫化Moに還元され得るように、H
2を補足し、400°F及び400psigで、乳化及び転化目的でキャリア油としてのVGOと混合した。転化後、水が沸騰除去され得るように、H
2を補足して、水/キャリア油/固体スラリー混合物を、高温(470°F)の第3のオートクレーブに送った。転化後のスラリー触媒を高圧分離器に送達し、水、ガス、及び残留油分離のために、底部で回収されたスラリー油系触媒、及び水蒸気、並びにH
2、H
2S、CH
4、及びNH
3を含む他のガスを除去した。
【0207】
(例15)
硫酸ニッケル六水和物結晶35.82gを、DI水64.18g中に溶解し、硫酸ニッケル溶液とした。Ni/Mo=23%のwt%比となるように、十分な量の例14において調製された二モリブデン酸アンモニウム溶液を、硫酸ニッケル溶液と混合した。少なくとも4のpHとなるように、十分な量の水酸化アンモニウムを溶液に添加した。約3.4対1のS/Moのモル比で硫化水素を注入し、溶液を14°F及び400psigのオートクレーブ内で硫化した。硫化水性スラリーを、第2のオートクレーブに送り、400°F及び400psigで、乳化及び転化のために、キャリア油としての真空軽油(VGO)と混合し、硫化Mo化合物をVGO中に懸濁した二硫化Moに還元した。転化後、水を沸騰除去するために、H
2を補足して、水/キャリア油/固体スラリー混合物を、高温(470°F)の第3のオートクレーブに送った。転化後のスラリー触媒を高圧分離器に送達し、水、ガス、及び残留油分離のために、底部で回収されたスラリー油系触媒、及び水蒸気、並びにH
2、H
2S、CH
4、及びNH
3を含む他のガスを除去した。
【0208】
(例15A)
pHが少なくとも4となるように、十分な量の水酸化アンモニウムを、例14において調製された二モリブデン酸アンモニウム溶液に添加した。約3.4対1のS/Moのモル比で硫化水素を注入し、溶液を140°F及び400psigのオートクレーブ内で硫化した。二モリブデン酸アンモニウム溶液の硫化後、Ni/Mo=23%のwt%比で、十分な量の例4において調製された硫酸ニッケル溶液を、硫化後の水性スラリーに注入及び混合した。次いで、スラリーを400°F及び400psigでVGOで転化し、硫化MoをVGO中に懸濁した二硫化Moに還元した。転化後、水が沸騰除去され得るように、H
2を補足して、水/キャリア油/固体スラリー混合物を、高温(470°F)の別のオートクレーブに送った。転化後のスラリー触媒を高圧分離器に送達し、水、ガス、及び残留油分離のために、底部で回収されたスラリー油系触媒、及び水を、H
2、H
2S、CH
4、及びNH
3と共に除去した。
【0209】
(例16)
BET特性決定、孔隙率及び細孔径分布を、例14及び比較例1A〜3Aからのスラリー触媒について行った。諸例の転化後のスラリー触媒中のMoのwt.%を表3に示す。表面積値は、比較例3Aの場合65m
2/g、例1Aの場合75m
2/g、例2Aの場合120m
2/g、及び例14の場合370m
2/gである。cc/gでの全細孔容積は、例3Aの場合0.15、例1Aの場合0.22、例2Aの場合0.33、及び例14の場合0.86である。メソ細孔容積(25〜1000AのPV)は、例3Aの場合0.11cc/g、例1Aの場合0.18cc/g、例2Aの場合0.25、及び例14の場合0.68である。
【表3】
【0210】
(例17)
従来技術の触媒と比較して、例14のスラリー触媒が格段に良好な表面積及び孔隙率特性を示すため、水素化分解試験を行って触媒性能を評価した。この例において、異なる触媒用量を、1リットルのバッチ水素化分解ユニット内の重質油原料約112.5gに添加し、805°Fの温度に加熱し、1600psigの圧力で2時間保持した。重質油原料は、VR#1及び中質サイクル油の60:40の重量比の混合物を含有した。バッチ水素化分解試験の結果を、表4に示す。
【表4】
【0211】
(例18)
1回通過様式で動作する2つの反応器を直列で使用して操作される連続ユニットにおいて、重質油改良を行い、すなわち、改良された生成物、スラリー触媒、水素含有ガス、及び未変換重質油原料を含む第1の反応器からの排出ストリームが、さらなる重質油変換のために第2の反応器に送られた。反応器圧力は、2400psigから2500psigの間で変動した。反応器温度は、約815°Fから818°Fに維持した。VRのbbl当たりのscfとしての水素の割合は、約3000に設定した。LHSVは、約0.125hr
−1に維持した。比較例の結果を、表5に示す。例14におけるスラリーは、比較スラリー触媒よりもはるかに良好に機能した。2909ppmの触媒濃度の場合、スラリー触媒は、359m
2/g触媒の表面積、1741m
2/kgVRの利用可能表面積、0.864cc/gのTPV、0.864cm
3/gのメソ細孔容積、及び6.1%のASPHを提供する。1540ppmの触媒濃度の場合、スラリー触媒は、8.9%のASPHを提供する。
【表5】
【0212】
(例19)
例18を繰り返したが、ただし、VR#1の代わりにVR#2を使用し、例14及び15からの触媒を、比較例2Aからのスラリー触媒と比較した。結果を表6に示す。ポロシメトリーに関して、比較例2Aのスラリー触媒は、157m
2/gの表面積(SA)、0.358cc/gのTPV、0.1324cc/gのPV(<100
Å)、0.2256cc/gのPV(>100
Å)、及び0.264cc/gのPV(25〜1000
Å)を提供する。1500ppmのMo/VRの濃度の例14のスラリー触媒の場合、結果は、373m
2/gの表面積、0.864cc/gのTPV、0.4949cc/gのPV(<100
Å)、0.3691cc/gのPV(>100
Å)、及び0.683cc/gのPV(25〜1000
Å)を示している。1500ppmのMo/VRの濃度の例15のスラリー触媒の場合、結果は、221m
2/gの表面積、0.836cc/gのTPV、0.1892cc/gのPV(<100
Å)、0.6468cc/gのPV(>100
Å)、及び0.71cc/gのPV(25〜1000
Å)を示している。
【表6】
【0213】
(例20)
二モリブデン酸アンモニウム結晶1.78gを、DI水98.22gに溶解し、モリブデン酸モリブデン溶液を調製した。少なくとも4のpHとなるように、十分な量の水酸化アンモニウムを溶液に添加した。約3.4対1のS/Moのモル比で硫化水素を注入し、溶液を140°F及び400psigのオートクレーブ内で硫化した。次いで、スラリーをVGOで400°F及び400psigで転化し、水系硫化Moを、VGO中に懸濁した二硫化Moに還元した。転化後、水が沸騰除去され得るように、H
2を補足して、水/キャリア油/固体スラリー混合物を高温(470°F)の別のオートクレーブに送った。転化後のスラリー触媒を高圧分離器に送達し、水、ガス、及び残留油分離のために、底部で回収されたスラリー油系触媒、及び水を、H
2、H
2S、CH
4、及びNH
3と共に除去した。
【0214】
(例21)
BET特性決定、孔隙率及び細孔径分布を、例20並びに比較例1A及び3Aからのスラリー触媒について行った。比較例の結果を、表7に示す。例
20のスラリー触媒は、319m
2/gの表面積、及び0.55cc/gのTPVを提供する。
【表7】
【0215】
(例22)
2つの反応器を直列で使用して操作される連続ユニットを用いて、重質油改良を例18と同様の条件下で行った。比較例の結果を、表8に示す
。
【表8】
【0216】
(例23)
使用済触媒からの卑金属の分離及び回収のための米国特許第7837960号における開示に従い、加圧浸出溶液を調製した。組成物は、約3の開始pHを有し、33gpLの遊離NH
3、80.9gpLのMo、7.9gpLのNi、0.17gpLのV、277gpLの硫酸アンモニウム(Amsul)及び10gpLのスルファミン酸アンモニウムを含有する。
【0217】
(例24)
0.2wt.%のMo対VRとなるように、十分な量の例23からのPLS溶液を、1リットルのバッチ水素化分解ユニット内で重質油原料約170gに添加した。重質油原料は、減圧残油(VR)としてのVR#1及び中質サイクル油の60:40の重量比の混合物を含有した。75:1のS対Moのモル比となるように、十分な量の元素硫黄をユニットに添加した。1800〜1900psigの水素圧力下で2時間、ユニットを180℃に加熱した。
【0218】
(例25)
例24を繰り返し、事前浸漬された混合物を、高せん断混合器内で均質化した。
【0219】
(例26)
事前浸漬及び乳化混合物のための静的混合器内での均質化の前に、PLS溶液のwt.%として3wt.%のモノオレイン酸ソルビタン(Span(商標)80)を添加して、例24を繰り返した。
【0220】
(例27)
比較例1において作製された触媒を、例23〜26の加圧浸出溶液から作製されたin−situ硫化触媒と比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。バッチユニットの開始条件は、160°Fで1400psigの圧力を含んでいた。バッチ水素化分解ユニットを805°Fの温度に加熱し、指定されたVR中のMoの濃度となるように十分な触媒と共に、その温度で2時間の反応時間保持した。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表9に示す。
【表9】
【0221】
(例28)
ヘプタモリブデン酸アンモニウムを、高温(70℃)DMSOと混合し、11wt.%のMoを含有する溶液を調製した。油溶性金属前駆体を、予熱された供給物と混合した。DMSOは、Hと共に加熱するとH
2Sを形成するため、硫黄の添加は任意選択的であることが留意される。
【0222】
(例29)
0.7:1のS対Mo(重量比)となるように、供給物に元素硫黄を添加して、例28を繰り返した。
【0223】
(例30)
比較例において作製された触媒を、DMSOから形成された油溶性金属前駆体で作製されたスラリー触媒と比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。VR(VR#1を使用)中1wt.%のMoの濃度となるように、十分な量のスラリー触媒をバッチ水素化分解ユニットに添加した。水素化分解条件下でユニットを試験した。その後、標準的残油プロトコル試験、すなわち最初に1400psigのH
2(160°F)、次いで90分の傾斜(昇温)、続いて805°Fで2時間の浸漬を行った。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表10に示す。表中の硫黄量(wt.%)は、生成物の特性を示す(HDSを示す)。
【表10】
【0224】
(例31)
10%のNi対Mo重量比を有するスラリー触媒となるように、十分な量の助触媒金属前駆体硫酸ニッケルを、比較例3Aの硫化油系触媒前駆体に添加した。
【0225】
(例32)
10%のNi対Mo重量比を有するスラリー触媒となるように、十分な量の助触媒金属前駆体ナフテン酸ニッケルを、比較例3Aの硫化油系触媒前駆体に添加した。水素を添加して、混合物を2時間475°Fの温度に加熱した。
【0226】
(例33)
例32を繰り返すが、水素の代わりに窒素を使用した。
【0227】
(例34)
VIB族金属前駆体ナフテン酸モリブデン、6%Moの試料が提供された。
【0228】
(例35)
Molyvan(商標)A、オキシ硫化モリブデンジチオカルバメート錯体の試料が提供された。
【0229】
(例36)
10%のNi対Mo重量比を有する触媒前駆体となるように、十分な量の助触媒金属前駆体ナフテン酸ニッケルを例35におけるMolyvan(商標)Aの試料に添加した。
【0230】
(例37)
例36の混合物を、2時間475°Fの温度に加熱した。
【0231】
(例38)
San Ramon、CAのChevron Oronite社から市販されているスクシンイミド化学に基づく潤滑油添加剤、OLOA−011007の試料が提供された。
【0232】
(例39)
500mLの三口丸底フラスコに、ジエチレントリアミン(148.04g、1.435mol)、及び元素硫黄(73.62g、2.296mol)を投入した。反応混合物を撹拌し、80℃で2.5時間加熱した。次いで、二モリブデン酸アンモニウム(97.55g、0.287mol)を投入し、反応混合物を加熱し、120℃でさらに2時間撹拌した。116gの生成物を回収し、残りを例40において処理した。
【0233】
(例40)
例39からの残りの反応混合物に、H
2O(300mL)を投入し、1時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却した。沈殿物を濾過し、H
2O、エタノール、二硫化炭素、及びジエチルエーテルで洗浄した。
【0234】
(例41)
比較例において作製された触媒を、例31〜39において作製された触媒/前駆体と比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。VR中1wt.%のMoの濃度となるように、十分な量の諸例からの前駆体/触媒を、バッチ水素化分解ユニットに添加した。水素化処理条件下でユニットを試験した。その後、標準的残油プロトコル試験、すなわち最初に1400psigのH
2(160°F)、次いで90分の傾斜、続いて805°Fで2時間の浸漬を行った。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表11に示す。
【表11】
【0235】
(例42)
市販の触媒前駆体(例えば、ART Catalyst社製ICR131)を、40ミクロン以下の平均粒径(平均粒径は37ミクロンであった)に粉砕することにより、再加工物が得られた。比較例1のスラリー触媒と同様のMo及びNi含量(VGO中約1.5wt.%のMo)を有するスラリー化された再加工物となるように、再加工物を十分な量のVGOと混合した。
【0236】
(例43)
比較例1Aからのスラリー触媒を、例42におけるスラリー化された再加工金属前駆体と比較した。材料を、重質油原料VR#1と混合した。
【0237】
1回通過様式で動作する3つの反応器を直列で使用して操作される連続ユニットにおいて、重質油改良を行い、すなわち、改良された生成物、スラリー触媒、水素含有ガス、及び未変換重質油原料を含む第1の反応器からの排出ストリームが、さらなる重質油変換のために第2及び第3の反応器に送られた。反応器圧力は、2475psigから2525psigの間で変動した。反応器温度は、約802〜803°Fに維持した。反応器毎のVRのbbl当たりのscfとしての水素の割合は、約4500であった。LHSVは、約0.09hr
−1に維持した。結果を表12に示す。ポロシメトリーに関して、比較例1Aは、74.2m
2/gの表面値、0.232cc/gのTPV、及び0.1647cc/gのPV(>100
Å)を提供する。比較例42は、113m
2/gの表面値、0.382cc/gのTPV、及び0.2002cc/gのPV(>100
Å)を提供する。
【表12】
【0238】
(例44)
オーバーヘッド機械式撹拌器を装備したガラス槽内で、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物((NH
4)
6Mo
7O
24)33.12gを水100gに溶解し、濃アンモニア溶液(H
2O中28wt.%のNH
4OH)14.1gを添加する。水32g中の硫酸ニッケル六水和物(NiSO
4・6H
2O)8.1gの溶液を、全て周囲温度で第1の溶液に添加すると、10(重量)%のNi/Mo比を有する混合物が形成される。混合物を、大気圧下で70℃に加熱し、硫化アンモニウム((NH
4)
2S)水溶液(40〜44wt.%)101gを、45分間にわたり徐々に添加した。10(重量)%のTi/Mo比となるように、十分な量のナフテン酸チタン溶液を混合物に添加し、825°Fで撹拌する。加熱中、ナフテン酸チタンは分解して、Ti/Ni/Mo/S触媒を生成する。生成物は、比較例1Aの場合のように油系触媒に転化され得る。
【0239】
(例45)
10(重量)%のTi/Mo比となるように、十分な量のナフテン酸チタン溶液を、以下の反応条件:725°F、500psigのH
2及び3時間の浸漬で、比較例1Aからの触媒に添加したが、加熱中、ナフテン酸チタンは分解して、ex−situ合成により形成されたTi/Ni/Mo/S触媒を生成する。
【0240】
(例46)
比較例1Aにおいて作製された触媒及び例45において作製された触媒を比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。1.25%のMo/VR重量比となるように、十分な量の2つの例からの触媒を、1リットルのオートクレーブ内のVR#1に添加した。オートクレーブを、1600psigのH
2まで加圧し、2.5時間825°Fまで加熱し、次いで825°Fで5時間浸漬した。浸漬の終わりに、反応物を急冷し、液体生成物を回収し、変換率を計算した。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表13に示す。
【表13】
【0241】
(例47)
0.75wt.%のNi対原料となるように、適切な量のナフテン酸ニッケル油溶性触媒を、VR#1及びサイクル油(HCO/MCO)の60:40の重量比の重質油原料ブレンドと混合し、1リットルのオートクレーブ内に投入した。オートクレーブを、1600psigのH
2まで加圧し、2.5時間で825°Fまで加熱し、次いで825°Fで2時間浸漬した。最初の825°Fへの傾斜中に、ナフテン酸ニッケル及びH
2Sの熱分解生成物から硫化ニッケルスラリー触媒が生成される。浸漬の終わりに、反応物を速やかに急冷し、液体生成物を回収し、得られた液体炭化水素生成物の分析から変換率を計算した。
【0242】
(例48)
オーバーヘッド撹拌器、及び反応中の不活性雰囲気を維持するための窒素ラインを装備したガラスフラスコ内で、水218mL、硫酸ニッケル六水和物89.5g、及び濃水酸化アンモニウム水溶液(28wt.%NH
3)29.15gを合わせた。混合物を、完全に溶解するまで撹拌した。得られた溶液を、窒素ブランケット下で70℃で1時間、40wt.%の硫化アンモニウム水溶液60gを使用して硫化した。生成物を別のフラスコに移し、静置し、デカンテーションを行って固体を分離した。ニッケル約10gを含有するこれらの固体の一部分に、VGO200gを添加し、残りの水を、反応器内で、400psigの圧力下の窒素流中で204〜232℃(400〜450°F)で蒸発させると、活性触媒成分を含有する黒色スラリー生成物が得られた。
【0243】
(例49)
表14に示されるような組成を有する、比較例1Aにおいて作製された触媒(標準的Ni Mo触媒)及び例47において作製された触媒を比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。
【表14】
【0244】
スラリー触媒を、重質油供給物(VR#3/HCO及びMCOのブレンド)と、例47の場合0.75%のNi対重質油供給物、比較例1Aの場合1.25%のMo対重質油供給物の割合で混合し、1リットルのオートクレーブ内に投入した。オートクレーブを、1600psigのH
2まで加圧し、2.5時間で825°Fまで加熱し、次いで825°Fで2時間浸漬した。浸漬の終わりに、反応物を速やかに急冷し、液体生成物を回収し、得られた液体炭化水素生成物の分析から変換率を計算した。比較例において、ニッケルは、スラリー触媒と等モル基準で投入されたことに留意されたい。表15は、例47、48及び比較例1Aのスラリー触媒の水素化分解結果を比較したものであり、同じ反応条件下で同等の結果を示している。さらに、例47及び48は、60%少ない触媒中金属を使用しており、反応器内の金属堆積物(例えばバナジウム等の汚染物質)がより少なく、バナジウム捕捉効果がより効果的であることが注目される。
【表15】
【0245】
(例50)
この例では、有機金属金属前駆体(VGO中ジチオカルバミン酸モリブデン=Molyvan A−28%Mo及びナフテン酸ニッケル−7%Ni)の熱分解により、ex−situスラリー触媒を調製した。VGO82g、Molyvan A35.7g、及びナフテン酸ニッケル14.3gを合わせて均質化した。混合物を1Lのオートクレーブに添加し、400psigのH
2で加圧し、300RPMで撹拌し、1時間725°Fに加熱した。触媒前駆体は、725°Fで3時間の浸漬条件下でin−situで熱分解した。反応器を約70°Fに冷却し、減圧した。反応器にトルエン300gを添加し、混合物を750RPMで15分間撹拌した。スラリー触媒を、遠心分離により脱油した。デカンテーションされたスラリー触媒にVGO82gを添加し、スラリー触媒組成物を分析した。ex−situ触媒は3ミクロンの平均粒径を有し、約2の原子S/Mo比を示すが、これは、ニッケルで強化されたMoS
2の活性触媒相を示唆している。
【0246】
(例51)
この例では、in−situ強化スラリー触媒を調製する。1.25のMo/VRのwt.%(10wt.%のNi/Mo)を提供するように、適切な量のMolyvan A及びナフテン酸ニッケル油溶性触媒前駆体を、VR#1/HCO/MCO(60:40比)のブレンドと混合した。混合物を、1リットルのオートクレーブ内に投入した。次いで、オートクレーブを1600PSIGのH
2に加圧し、2.5時間で825°Fに加熱した。最初の825°Fへの傾斜中に、Molyvan A、ナフテン酸ニッケル、及びH
2Sの熱分解生成物からスラリー触媒が生成された。
【0247】
(例52)
この例では、いかなる助触媒も使用せずに、in−situスラリー触媒を調製する。例51を繰り返したが、ただし、いかなるニッケル前駆体も使用せず、最初の825°Fへの傾斜中に、Molyvan A及びH
2Sの熱分解生成物からスラリー触媒が生成された。
【0248】
(例53)
比較例1Aにおいて作製された触媒及び例50〜52において作製された触媒を比較するために、バッチ水素化分解試験を行った。VR#1中1.25wt.%のMoの濃度となるように、比較例1A及び例50からの触媒を、1リットルのオートクレーブユニットに添加した。水素化処理条件下で触媒を試験した。次いで、オートクレーブを、1600psigの水素まで加圧し、2.5時間で825°Fまで加熱し、次いで825°Fで2時間浸漬した。例51〜52の触媒に対しては、オートクレーブ内で825°Fで2時間浸漬を継続した(2.5時間で825°Fまでの加熱後)。浸漬の終わりに、反応物を速やかに急冷し、オートクレーブユニットから液体生成物を回収し、得られた液体炭化水素生成物の分析から変換率を計算した。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表16に示す。
【表16】
【0249】
(例54)
比較例3Aからのスラリー触媒を、H
2の少量のストリーム(触媒供給物のBBL当たり6800SCF)で、約3時間及び350°Fで処理した。
【0250】
(例55)
例54からの前処理されたスラリー触媒を、比較例3Aからの未処理スラリー触媒と比較した。前調整により、スラリー触媒の表面積は69m
2/gから81m
2/gに17%増加し、全細孔容積は0.142cc/gから0.175cc/gに23%増加し、メソ細孔容積は、0.105cc/gから0.131cc/gに25%増加した。
【0251】
(例56)
比較例1Aからのスラリー触媒を、H
2の少量のストリーム(触媒供給物のBBL当たり6800SCF)で、約10時間、350°Fの温度で処理した。
【0252】
(例57)
比較例1Aからのスラリー触媒を、H
2の少量のストリーム(触媒供給物のBBL当たり6800SCF)で、約10時間、及び600°Fのより高い温度で処理した。
【0253】
(例58)
比較例1Aからのスラリー触媒(前処理されていない)を、例54、56、及び57からの水素処理された触媒(水素処理あり)と比較するために、連続的重質油改良実験を行った。連続的水素化分解ユニットは、「リサイクルモード」で操作され、すなわち、ユニット内の洗浄分離器から回収された不揮発性留分の少なくとも一部分が、ユニット内の反応器の1つにリサイクルされた。ユニットは約820°Fの平均反応器温度で操作した。反応器圧力は、2400psigから2550psigの間で変動した。重質油原料は、60:40の割合のVR#1:MCO混合物であった。スラリー触媒は、約4000ppmのMo/VRに相当する割合でユニットに供給された。各ユニットは直列の3つの反応器を有し、第2の反応器と第3の反応器との間に中間洗浄分離器(IFS)が位置しており、最後の(第3の)反応器の後に第2の洗浄分離器が位置している。第1のIFSからの不揮発性留分は、第2の反応器への供給物として供給され、第2の洗浄分離器からの不揮発性留分の一部は、第1の反応器にリサイクル/返送され、少量部分がブリードとして除去される(重質油原料の約8%に相当)。リサイクルストリームは、第1の反応器への全重質油供給物の約20〜30%に相当する。表17は、実験の結果を要約したものであり、水素による触媒前処理の効果に起因して、k値の8〜43%の改善を示している。
【表17】
【0254】
(例59)
1リットルのバッチ水素化分解ユニット内で、11wt.%Moのヘプタモリブデン酸アンモニウムストック溶液9.04g(1gのMoに相当)を、硫酸ニッケル六水和物0.45g(0.1gのNiに相当)、及び重質油原料約170gと混合した(10:1のMo:Ni重量比及び1wt.%のMo:VRとしての触媒濃度となるように)。重質油原料は、60°Fで2.5のAPI、18.46のwt.%でのMCR、及び5500ppmの窒素となるように、減圧残油(VR)としてのVR#1及びサイクル油の60:40の重量比の混合物を含有していた。5:1のS対Moの重量比となるように、元素硫黄をユニットに添加した。1800〜1900psigの水素圧力下で2時間、混合条件下でユニットを180℃まで加熱し、触媒前駆体を重質油中に事前に分散させた。
【0255】
(例60)
1wt.%のMo:VRの触媒濃度となるように十分な量の例62と同じ重質油原料中で、10:1のMo:Zn重量比となるように、15wt.%Moのヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液6.84g(1gのMoに相当)を、硫酸亜鉛六水和物0.44g(0.1gのZnに相当)と混合した。
【0256】
(例61)
例60を繰り返したが、ただし、2:1のMo:Zn重量比となるように、15wt.%Moのヘプタモリブデン酸アンモニウム溶液6.84g(1gのMoに相当)及び硫酸亜鉛六水和物2.2g(0.5gのZnに相当)を用い、また1wt.%のMo:VRの同じ触媒濃度を使用した。
【0257】
(例62)
例59を繰り返したが、ただし、重質油原料の量は、0.2wt.%のMo:VR比となるように十分であり、25:1のS対Moの重量比となるように十分な量の元素硫黄をユニットに添加した。
【0258】
(例63)
例60を繰り返したが、ただし、重質油原料の量は、0.2wt.%のMo:VR比となるように十分であり、25:1のS対Moの重量比となるように十分な量の元素硫黄をユニットに添加した。
【0259】
(例64)
比較例1において作製された触媒を、例59〜63の水溶液中の金属前駆体供給物から作製されたin−situ硫化触媒と比較するために、複数のバッチ水素化分解試験を行った。バッチユニットの開始条件は、180°Fで1800psigの圧力を含んでいた。バッチ水素化分解ユニットを、805°Fの温度に加熱し、その温度で2時間の反応時間保持した。前後のバッチ反応器内の重質油の分析に関して、結果を表18に示す。液体収率は、重質油供給物の%としての得られた液体の量を意味する。
【表18】
【0260】
(例65)
ADM溶液(12%Mo)9000グラムを、150°Fで750RPM及び400PSIGまで加熱した。この加熱されたADM溶液に、20vol.%のH
2S、20%のCH
4、60%のH
2を含むガスストリームを、溶液を通して4時間吹き込んだ。H
2Sを添加した後、次いで約23%のNi/Moのwt%となるように適切な量の硫酸ニッケル溶液(8%Ni)を混合物に添加した。次いで、20vol.%のH
2S、20%のCH
4、及び60%のH
2を含むガスストリームと共に、混合物を第2の硫化ステップに30分間供した。次いで、水系触媒前駆体を反応器から排出した。
【0261】
水系触媒前駆体スラリーを、VGOと共に400°F及び400psigで(連続的に)転化すると、H
2S向上油系触媒が得られた。転化後、水が沸騰除去され得るように、H
2を補足して、水/キャリア油/固体スラリー混合物を、高温(470°F)の別のオートクレーブに送った。転化後のスラリー触媒を高圧分離器に送達し、水、ガス、及び残留油分離のために、底部で回収されたスラリー油系触媒、及び水を、H
2、H
2S、CH
4、及びNH
3と共に除去した。
【0262】
(例66)
比較例2Aにおいて作製された触媒(23%のNi/Moレベルを有する触媒)を、例65のH
2S向上油系触媒と比較するために、示されるような異なるレベルのMo対VR#2で複数の水素化分解試験を行った。表19は、連続的転化ステップ後の比較例の触媒の特性を要約している。
【表19】
【0263】
この例において、反応器は、表19中の触媒を使用した連続試験のために、直列で操作された。実験の結果を、反応条件を含めて表20に示す。(第2の硫化ステップにおいて)向上した硫黄レベルの触媒は、他の改善の中でも、一部の実施形態においては脱硫率の少なくとも5%の増加という、重質油改良における良好な性能を提供することが観察される。
【表20】
【0264】
(例67)
ガラス槽内で、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物((NH
4)
6Mo
7O
24)33.12gを水100gに溶解し、濃アンモニア溶液(H
2O中28wt.%のNH
4OH)14.1gを添加する。水32g中の硫酸ニッケル六水和物(NiSO
4・6H
2O)約8.1gの溶液を、全て周囲温度で第1の溶液に添加すると、5(重量)%のNi/Mo比を有する混合物が形成される。混合物を、大気圧下で70℃に加熱し、10(重量)%のNi/Mo比を有する共硫化された触媒前駆体となるように、硫化アンモニウム((NH
4)
2S)水溶液(40〜44wt.%)101gを、45分間にわたり徐々に添加する。得られた水系触媒前駆体を、圧力試験オートクレーブ内で、in situでVGO及び水素により最終油系触媒に転化する。
【0265】
(例68)
ガラス槽内で、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物((NH
4)
6Mo
7O
24)33.12gを水100gに溶解し、濃アンモニア溶液(H
2O中28wt.%のNH
4OH)14.1gを添加する。水16g中の硫酸ニッケル六水和物(NiSO
4・6H
2O)約4.051gの溶液を、全て周囲温度で第1の溶液に添加する。混合物を、大気圧下で70℃に加熱し、硫化アンモニウム((NH
4)
2S)水溶液(40〜44wt.%)101gを、45分間にわたり徐々に添加すると、5(重量)%のNi/Mo比を有する共硫化された触媒前駆体が形成される。10(重量)%の最終Ni/Mo比となるように、水16g中の硫酸ニッケル六水和物(NiSO
4・6H
2O)約4.051gの別の溶液を、共硫化された混合物に混合する。分割されたNi金属前駆体供給物により得られた水系触媒前駆体を、圧力試験オートクレーブ内で、in situでVGO及び水素により最終油系触媒に転化する。
【0266】
(例69)
比較例1Aにおいて作製された触媒(10%のNi/Moレベルを有する触媒)を、共硫化された触媒、及び分割されたNi供給物により作製された触媒と比較するために、複数の水素化分解試験を行う。表21は、転化ステップ後の触媒の特性を要約し、表22は、水素化分解試験における性能を要約している。分割されたNi供給物で作製された触媒は、共硫化された触媒と同様のポロシメトリーを有するが、共硫化された触媒と比較してより高い触媒活性を有する。また、分割されたNi供給物で作製された触媒は、水素化分解反応器におけるバナジウム捕捉が、比較例1Aと比較して少なくとも5%低減され、表面積が、比較例1Aの77m
2/gと比較して、例67及び68においてそれぞれ147m
2/g及び140m
2/gであり、TPVが、比較例1Aの0.241cc/gと比較して、例67及び68においてそれぞれ0.411cc/g及び0.400cc/gであることが分かった。
【表21】
【表22】
本発明に関連する諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒組成物を調製するための方法であって、
VIB族金属、IIB族金属及びVIII族金属から選択される少なくとも1種の主金属を含む少なくとも1種の無機金属前駆体を提供するステップと、
少なくとも1種の極性非プロトン性溶媒を、無機金属前駆体と、1:1から10:1の溶媒対無機金属前駆体の重量比で混合して、油分散性無機金属前駆体を形成するステップと、
少なくとも1種の硫化剤を提供して、油分散性無機金属前駆体を硫化し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様2]
油分散性無機金属前駆体を、主金属の還元ステップに供し、その酸化状態を変化させるステップをさらに含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
極性非プロトン性溶媒を無機金属前駆体と混合するステップが、0.1μmから300μmの範囲の液滴径を有するエマルジョンを生成するために、高せん断混合形成下で行われる、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
溶媒対無機金属前駆体の重量比が、2:1から5:1の範囲である、態様1又は2に記載の方法。
[態様5]
重質油原料が、油分散性無機金属前駆体を硫化するために必要な硫化剤を提供するように、油分散性無機金属前駆体が、重質油原料を含む炭化水素希釈剤と混合される、態様1又は2に記載の方法。
[態様6]
油分散性無機金属前駆体が、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で、重質油原料を含有する炭化水素希釈剤と混合される、態様1又は2に記載の方法。
[態様7]
調製されたスラリー触媒が、式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、主金属であり、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択され;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様1又は2に記載の方法。
[態様8]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様1又は2に記載の方法。
[態様9]
重質油改良のために、スラリー触媒を重質油原料と混合するステップをさらに含む、態様1又は2に記載の方法。
[態様10]
硫化ステップの前に、油分散性無機金属前駆体を、炭化水素希釈剤と混合するステップをさらに含む、態様1又は2に記載の方法。
[態様11]
重質油原料が、少なくとも1種の硫化剤を提供して油分散性無機金属前駆体を硫化するように、硫化が、水素化処理条件下で、重質油原料との接触時にin−situで生じる、態様1又は2に記載の方法。
[態様12]
極性非プロトン性溶媒が、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ヘキサメチルホスホルトリアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、亜硫酸ジメチル、N−ニトロソジメチルアミン、γ−ブチロラクトン、N:Nジメチルホルムアミド、ジメチルカーボネート、ギ酸メチル、ギ酸ブチル及びそれらの混合物の群から選択される、態様1又は2に記載の方法。
[態様13]
極性非プロトン性溶媒が、原液として使用される、態様1又は2に記載の方法。
[態様14]
極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)である、態様1又は2に記載の方法。
[態様15]
無機金属前駆体が、酸化モリブデン、硫化モリブデン、オキシ硫化モリブデン、三酸化モリブデン、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、及びそれらの混合物の群から選択される、態様1又は2に記載の方法。
[態様16]
少なくとも1種のVIB族金属を含む少なくとも1種の無機金属前駆体供給物が、酸化モリブデン、硫化モリブデン、オキシ硫化モリブデン、三酸化モリブデン、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、及びそれらの混合物の群から選択される、態様1又は2に記載の方法。
[態様17]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒組成物を調製するための方法であって、
VIB族金属及びVIII族金属から選択される少なくとも1種の主金属を含む少なくとも1種の無機金属前駆体を提供するステップと、
IVB族金属、VIII族金属、及びIIB族金属から選択される少なくとも1種の助触媒金属を含む少なくとも1種の無機金属前駆体を提供するステップであって、主金属は、助触媒金属とは異なるステップと、
少なくとも1種の極性非プロトン性溶媒を、無機金属前駆体と、1:1から10:1の極性非プロトン性溶媒対無機金属前駆体供給物の重量比で混合して、油分散性混合物を形成するステップと、
in−situ硫化条件下で、油分散性混合物を重質油供給物と混合し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様18]
極性非プロトン性溶媒対無機金属前駆体の重量比が、2:1から5:1の範囲である、態様17に記載の方法。
[態様19]
in−situ硫化が生じるように、油分散性混合物が、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で、重質油供給物と混合される、態様17又は18に記載の方法。
[態様20]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する、態様17又は18に記載の方法。
[態様21]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも90%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様17又は18に記載の方法。
[態様22]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様17又は18に記載の方法。
[態様23]
調製されたスラリー触媒が、複数の分散した粒子を含み、分散した粒子は、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する、態様17又は18に記載の方法。
[態様24]
極性非プロトン性溶媒が、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ヘキサメチルホスホルトリアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、亜硫酸ジメチル、N−ニトロソジメチルアミン、γ−ブチロラクトン、N:Nジメチルホルムアミド、ジメチルカーボネート、ギ酸メチル、ギ酸ブチル及びそれらの混合物の群から選択される、態様17又は18に記載の方法。
[態様25]
極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシドである、態様17又は18に記載の方法。
[態様26]
調製されたスラリー触媒が、式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様17又は18に記載の方法。
[態様27]
重質油原料の改良における改善された触媒活性を有するスラリー触媒を調製するための方法であって、
VIB族金属及びVIII族金属から選択される主金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩と、任意選択で、VIII族金属、IIB族金属、IIA族金属、IVA族金属及びそれらの組合せから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩とを含む溶液から調製され、少なくとも1.5:1の硫黄対金属のモル比での硫化条件下で硫化剤により硫化された、スラリー触媒を提供するステップであって、スラリー触媒は、1μmから300μmの範囲の粒径を有する炭化水素媒体中の複数の分散した粒子を備えるステップと、
水素供給物を提供するステップと、
1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力及び200°Fから800°Fの温度で、スラリー触媒のbbl当たり500scfから15,000scfの水素の割合で、1分間から20時間水素供給物と混合することにより、スラリー触媒を処理するステップであって、水素で処理されたスラリー触媒は、HDS、HDN、及びHDMCRの点で、水素で処理されていないスラリー触媒と比較して、速度定数k値の少なくとも10%の増加を提供するステップと
を含む、上記方法。
[態様28]
スラリー触媒が、水素供給物と混合されていないスラリー触媒と比較して、表面積の少なくとも10%の増加を有するために十分な時間、水素供給物がスラリー触媒と混合される、態様1に記載の方法。
[態様29]
スラリー触媒が、水素供給物と混合されていないスラリー触媒と比較して、全細孔容積の少なくとも10%の増加を有するために十分な時間、水素供給物がスラリー触媒と混合される、態様27又は28に記載の方法。
[態様30]
水素で処理されたスラリー触媒が、HDS、HDN、及びHDMCRの点で、水素で処理されていないスラリー触媒と比較して、速度定数k値の少なくとも15%の増加を提供する、態様27又は28に記載の方法。
[態様31]
水素供給物が、重質油原料の改良のために水素化分解機に供給される前に、移送ラインにおいてスラリー触媒と混合される、態様27又は28に記載の方法。
[態様32]
水素供給物が、重質油原料の改良のために水素化分解機に供給される前に、予混合槽においてスラリー触媒と混合される、態様27又は28に記載の方法。
[態様33]
水素供給物が、350°Fから750°Fの温度でスラリー触媒と混合される、態様27又は28に記載の方法。
[態様34]
水素供給物が、少なくとも1時間スラリー触媒と混合される、態様27又は28に記載の方法。
[態様35]
水素供給物が、2時間から5時間スラリー触媒と混合される、態様27又は28に記載の方法。
[態様36]
調製されたスラリー触媒組成物が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも70%が直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様27又は28に記載の方法。
[態様37]
調製されたスラリー触媒組成物が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する、態様27又は28に記載の方法。
[態様38]
水素で処理されたスラリー触媒が、水素で処理されていないスラリー触媒と比較して、表面積及び全細孔容積の少なくとも10%の増加をさらに提供する、態様27又は28に記載の方法。
[態様39]
水素で処理されたスラリー触媒が、水素で処理されていないスラリー触媒と比較して、表面積及び全細孔容積の少なくとも15%の増加をさらに提供する、態様38に記載の方法。
[態様40]
スラリー触媒が、式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様27又は28に記載の方法。
[態様41]
重質油原料の改良における使用のための改善された触媒活性を有するスラリー触媒を調製するための方法であって、
少なくとも1種のVIB族金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩を含む少なくとも1種の溶液を提供するステップであって、溶液は、溶液中10wt.%未満の少なくともVIB族金属の濃度を有するステップと、
少なくとも1種の溶液を硫化剤で硫化して、硫化触媒前駆体を形成するステップと、
硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、スラリー触媒を形成するステップと、
1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力及び200°Fから800°Fの温度で、スラリー触媒のbbl当たり500scfから15,000scfの水素の割合で、1分間から20時間、水素供給物をスラリー触媒と混合するステップと、
を含み、
スラリー触媒は、水素で飽和して、HDS、HDN、及びHDMCRの点で、水素で飽和していないスラリー触媒と比較してk値の少なくとも15%の増加を提供する、上記方法。
[態様42]
硫化触媒前駆体を、VIII族、IIB族、IIA族、IVA族金属及びそれらの組合せから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩で強化するステップをさらに含む、態様41に記載の方法。
[態様43]
溶液が、少なくとも4のpHを有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様44]
溶液が、溶液中5wt.%から8wt.%のVIB族金属の濃度を有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様45]
調製されたスラリー触媒組成物が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様46]
調製されたスラリー触媒組成物が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも70%が直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様47]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様48]
調製されたスラリー触媒が、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様49]
調製されたスラリー触媒組成物が、2μmから150μmの範囲の平均粒径を有する、態様41又は42に記載の方法。
[態様50]
スラリー触媒のポロシメトリーを改善するための方法であって、
VIB族金属及びVIII族金属のいずれかの少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩を含む溶液から調製され、少なくとも1.5:1の硫黄対金属のモル比での硫化条件下で硫化剤により硫化された、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有するスラリー触媒を提供するステップと、
1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力及び200°Fから800°Fの温度で、スラリー触媒のbbl当たり500scfから15,000scfの水素の割合で、1分間から20時間、水素供給物と混合することにより、スラリー触媒を処理するステップと
を含み、
水素で処理されたスラリー触媒は、HDS、HDN、及びHDMCRの点で、水素で処理されていないスラリー触媒と比較して速度定数k値の少なくとも10%の増加を提供する、上記方法。
[態様51]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
少なくとも1種のVIB族金属を含む少なくとも1種の前駆体供給物を提供するステップであって、前駆体供給物は、水素化処理触媒を作製するプロセスから得られた再加工材料であり、再加工材料は、300μm未満の平均粒径を有するステップと、
再加工材料を、少なくとも1種の希釈剤と混合して、スラリー化した前駆体を形成するステップと、
少なくとも1種の硫化剤を提供して、スラリー化した前駆体を硫化し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様52]
再加工材料が、希釈剤の総重量の5wt.%から40wt.%の量で希釈剤と混合される、態様51に記載の方法。
[態様53]
スラリー化した前駆体が、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度の水素化処理条件下で、反応器内で重質油原料と混合される、態様51又は52に記載の方法。
[態様54]
水素化処理条件下で、重質油原料が、スラリー化した前駆体をin−situで硫化するために必要な硫化剤を提供する、態様53に記載の方法。
[態様55]
スラリー化した前駆体の硫化が、重質油改良の前にex−situで生じる、態様51又は52に記載の方法。
[態様56]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様55に記載の方法。
[態様57]
希釈剤が、水、VGO、サイクル油、ガソリン、蒸留物、ナフサ、軽質サイクル油、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びそれらの混合物から選択される、態様51又は52に記載の方法。
[態様58]
再加工材料が、少なくとも1μmの平均粒径を有する、態様51又は52に記載の方法。
[態様59]
再加工材料が、2〜150μmの平均粒径を有する、態様58に記載の方法。
[態様60]
再加工材料が、100μm未満の平均粒径を有する、態様51又は52に記載の方法。
[態様61]
再加工材料が、非担持触媒を作製するプロセスから得られる、態様51又は52に記載の方法。
[態様62]
再加工材料が、担持触媒を作製するプロセスから得られる、態様51又は52に記載の方法。
[態様63]
再加工材料が、湿式粉砕及び乾式粉砕のいずれかにより、300μm未満の平均粒径まで粉砕される、態様51又は52に記載の方法。
[態様64]
アルミナ、酸化鉄、シリカ、マグネシア、チタニア、ゼオライト、シリカ−アルミネート、炭素、リン、及びそれらの組合せの1種又は複数種を含む担体上に付着し、300μm未満の平均粒径まで粉砕された、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物及びそれらの組合せの少なくとも1種を、再加工材料が含む、態様51又は52に記載の方法。
[態様65]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
アルミナ、酸化鉄、シリカ、マグネシア、チタニア、ゼオライト、シリカ−アルミネート、炭素、リン、及びそれらの組合せの1種又は複数種を含む担体上に付着した、IVB族金属及びVIII族金属から選択される少なくとも1種の主金属の酸化物、水酸化物、硫化物、及びそれらの組合せの少なくとも1種を含む、触媒微粉末を提供するステップであって、触媒微粉末は、300μm未満の平均粒径を有するステップと、
触媒微粉末を、少なくとも1種の希釈剤と混合して、スラリー化した前駆体を形成するステップと、
重質油改良のために、スラリー化した前駆体を少なくとも1種の重質油原料と混合するステップであって、重質油原料は、in−situ硫化条件下で、スラリー触媒を形成するために十分な量の少なくとも1種の硫化剤を放出するステップと
を含む、上記方法。
[態様66]
重質油原料によるin−situ硫化条件が、752°Fから1112°Fの温度及び1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力で生じる、態様65に記載の方法。
[態様67]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する触媒微粉末から調製される、態様65又は66に記載の方法。
[態様68]
触媒微粉末から調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.3cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも70%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様65又は66に記載の方法。
[態様69]
触媒微粉末から調製されたスラリー触媒が、複数の分散した粒子を含み、分散した粒子は、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する態様65又は66に記載の方法。
[態様70]
触媒微粉末から調製されたスラリー触媒が、2μmから150μmの範囲の平均粒径を有する、態様65又は66に記載の方法。
[態様71]
触媒微粉末が、担持触媒を作製するプロセスから得られる、態様65又は66に記載の方法。
[態様72]
触媒微粉末が、担持触媒を300μm未満の平均粒径まで粉砕することにより得られる、態様65又は66に記載の方法。
[態様73]
触媒微粉末が、水、VGO、サイクル油、ガソリン、蒸留物、ナフサ、軽質サイクル油、ベンゼン、ディーゼル油、ヘプタン、トルエン、キシレン、及びそれらの混合物から選択される希釈剤と混合される、態様65又は66に記載の方法。
[態様74]
触媒微粉末が、重質油原料の総重量当たり約10ppmから約500ppmの主金属の割合で提供される、態様65又は66に記載の方法。
[態様75]
触媒微粉末を提供するステップが、a)担持基材を、300μm未満の平均粒径まで粉砕するステップと、b)粒径が低減された担持基材に、少なくとも1種の金属前駆体を含浸させるステップと、c)含浸された担持基材を乾燥させるステップと、d)含浸された担持基材を、300μm未満の粒径まで粉砕するステップとを含む、態様65又は66に記載の方法。
[態様76]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
金属回収プロセスから得られた加圧浸出溶液を提供するステップであって、加圧浸出溶液は、主金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩を含み、水溶性金属前駆体塩は、以前に浸出ステップにおいて加圧浸出溶液中に浸出されているステップと、
溶液を、少なくとも1種の炭化水素希釈剤と混合して、触媒前駆体を形成するステップと、
少なくとも1種の硫化剤を提供して、触媒前駆体を硫化し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様77]
周囲温度を超える温度で、触媒前駆体を還元に供するステップをさらに含む、態様76に記載の方法。
[態様78]
主金属が、VIB族金属、IIB族金属、及びVIII族金属のいずれかである、態様76又は77に記載の方法。
[態様79]
加圧浸出溶液を少なくとも1種の炭化水素希釈剤と混合するステップが、0.1μmから300μmの範囲の液滴径を有するエマルジョンを生成するために、高せん断混合下で行われる、態様76又は77に記載の方法。
[態様80]
重質油原料が、硫化に必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、触媒前駆体が、in−situ硫化条件下で重質油原料と混合される、態様76又は77に記載の方法。
[態様81]
スラリー触媒を形成する触媒前駆体の硫化が、重質油改良の前にex−situで生じる、態様76又は77に記載の方法。
[態様82]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様81に記載の方法。
[態様83]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様81に記載の方法。
[態様84]
加圧浸出溶液が、炭化水素希釈剤の総重量の5wt.%から50wt.%の量で炭化水素希釈剤と混合される、態様76又は77に記載の方法。
[態様85]
加圧浸出溶液が、10wt.%までのコークス及び2wt%までのコークス中の不溶性メタバナジウム酸アンモニウムを含有する加圧浸出スラリーから、加圧浸出スラリーを濾過してコークス及びメタバナジウム酸アンモニウムを除去することにより調製される、態様76又は77に記載の方法。
[態様86]
加圧浸出溶液が、使用済触媒から金属を回収するための金属回収プロセスからの溶液である、態様76又は77に記載の方法。
[態様87]
加圧浸出溶液が、鉱石から金属を回収するための金属回収プロセスからの溶液である、態様76又は77に記載の方法。
[態様88]
加圧浸出溶液が、冶金廃棄物から金属を回収するための金属回収プロセスからの溶液である、態様76又は77に記載の方法。
[態様89]
加圧浸出溶液が、主金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩、及び助触媒金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩の混合物を含有する、態様76又は77に記載の方法。
[態様90]
加圧浸出溶液が、ヘプタモリブデン酸アンモニウム及び硫酸ニッケルの混合物を含有する、態様76又は77に記載の方法。
[態様91]
加圧浸出溶液が、少なくとも50gpL(グラム毎リットル)から90gpLのモリブデン及び3gpLから10gpLのニッケルを含有する、態様76又は77に記載の方法。
[態様92]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100m2/gの全表面積、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも90%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様76又は77に記載の方法。
[態様93]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
金属回収プロセスから得られた主金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩及び助触媒金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩の混合物を含有する加圧浸出溶液を提供するステップであって、金属前駆体塩は、以前に浸出ステップにおいて加圧浸出溶液中に浸出されているステップと、
少なくとも1種の金属前駆体溶液を、少なくとも1種の炭化水素希釈剤と混合して、触媒前駆体を形成するステップと、
重質油原料が、少なくとも1種の硫化剤を提供して触媒前駆体を硫化し、スラリー触媒を形成するように、少なくとも1種の触媒前駆体を、in−situ硫化条件下で少なくとも1種の重質油原料と混合するステップと
を含む、上記方法。
[態様94]
加圧浸出溶液が、使用済触媒から金属を回収するための金属回収プロセスからの溶液である、態様93に記載の方法。
[態様95]
in−situ硫化が生じるように、少なくとも1種の金属前駆体が、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で、重質油原料と混合される、態様93又は94に記載の方法。
[態様96]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様93又は94に記載の方法。
[態様97]
加圧浸出溶液が、ヘプタモリブデン酸アンモニウム及び硫酸ニッケルの混合物を含有する、態様93又は94に記載の方法。
[態様98]
調製されたスラリー触媒が、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する、態様93又は94に記載の方法。
[態様99]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
金属回収プロセスから得られた加圧浸出溶液を提供するステップであって、加圧浸出溶液は、主金属の少なくとも1種の水溶性金属前駆体塩を含み、水溶性金属前駆体塩は、以前に浸出ステップにおいて加圧浸出溶液中に浸出されているステップと、
少なくとも1種の硫化剤を提供して、加圧浸出溶液を硫化し、触媒前駆体を形成するステップと、
還元条件下で、触媒前駆体を少なくとも1種の炭化水素希釈剤と混合し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様100]
スラリー触媒が、式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、主金属Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択され;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)のスラリー触媒である、態様99に記載の方法。
[態様101]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
VIB族、VIII族、IVB族、IIB族金属及びそれらの混合物から選択される、少なくとも2種の異なる金属の、水溶媒中の少なくとも2種の異なる水溶性金属塩の混合物を含む、金属前駆体溶液を提供するステップと、
金属前駆体溶液を、高せん断混合下で炭化水素希釈剤と混合し、0.1μmから300μmの範囲の液滴径を有するエマルジョンを生成するステップと、
エマルジョンを、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様102]
周囲温度を超える温度で、エマルジョンを還元剤の存在下で還元に供するステップをさらに含む、態様101に記載の方法。
[態様103]
重質油原料が、エマルジョンを硫化するために必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、エマルジョンが、in−situ硫化条件下で反応器内で重質油原料と混合される、態様101又は102に記載の方法。
[態様104]
in−situ硫化条件が、752°Fから1112°Fの温度及び1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力である、態様103に記載の方法。
[態様105]
スラリー触媒を形成するエマルジョンの硫化が、重質油改良の前にex−situで生じる、態様101又は102に記載の方法。
[態様106]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様105に記載の方法。
[態様107]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様105に記載の方法。
[態様108]
ex−situ硫化の後、周囲温度を超える温度で、スラリー触媒を還元に供するステップをさらに含む、態様105に記載の方法。
[態様109]
エマルジョン前駆体が、100μm未満の径を有する液滴を含む、態様101又は102に記載の方法。
[態様110]
エマルジョン液滴が、炭化水素希釈剤中の金属前駆体溶液を含有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様111]
エマルジョン液滴が、金属前駆体溶液中の炭化水素希釈剤を含有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様112]
調製されたスラリーが、一般式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様113]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様114]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも70%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様115]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様116]
調製されたスラリー触媒が、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する、態様101又は102に記載の方法。
[態様117]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
水溶媒中の少なくとも1種の水溶性VIB族金属塩及び水溶性VIII族金属塩を含む、金属前駆体溶液を提供するステップと、
少なくとも1種の金属前駆体溶液を、高せん断混合下で炭化水素希釈剤と混合し、0.1μmから300μmの径を有する液滴を含むエマルジョン前駆体を生成するステップであって、炭化水素希釈剤は、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択されるステップと、
重質油原料が、エマルジョンを硫化するために必要な硫化剤を提供して、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有するスラリー触媒を形成するように、エマルジョンをin−situ硫化条件下で重質油原料と混合するステップと
を含む、上記方法。
[態様118]
エマルジョン前駆体を重質油原料と混合するステップが、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で行われる、態様117に記載の方法。
[態様119]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する、態様117又は118に記載の方法。
[態様120]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも70%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様117又は118に記載の方法。
[態様121]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様117又は118に記載の方法。
[態様122]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
水溶媒中の少なくとも1種の水溶性VIB族金属塩及び水溶性VIII族金属塩を含む、金属前駆体溶液を提供するステップと、
金属前駆体溶液を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、水系触媒前駆体を形成するステップと、
水系触媒前駆体を、ガソリン、ディーゼル、真空軽油、サイクル油、ジェット油、燃料油、重質油原料からの炭化水素希釈剤と混合するステップと、
水系触媒前駆体及び炭化水素希釈剤の混合物を、周囲温度を超える温度で、還元剤の存在下で還元に供し、式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)のスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様123]
水系触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、還元剤の存在下及び還元条件下で行われる、態様122に記載の方法。
[態様124]
水系触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、水系触媒前駆体の少なくとも一部分が、1μmから300μmの範囲の粒径を有する液滴を有するエマルジョンの形態であるように、高せん断速度で行われる、態様122又は123に記載の方法。
[態様125]
重質油原料の水素化処理における使用のためのスラリー触媒であって、
スラリー触媒は、炭化水素媒体中の複数の分散した粒子を含み、分散した粒子は、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有し、
スラリー触媒は、細孔径の少なくとも80%が直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有し、
スラリー触媒は、炭化水素希釈剤中の金属前駆体溶液を硫化及び分散させることから調製され、金属前駆体溶液は、VIB族、IIB族金属及びVIII族金属から選択される主金属の少なくとも1種の水溶性塩を含み、金属前駆体溶液は、少なくとも4のpH及び溶液中10wt.%未満の主金属の濃度を有する、上記スラリー触媒。
[態様126]
200m2/gから800m2/gの範囲のBET表面積を有する、態様125に記載のスラリー触媒。
[態様127]
主金属が、モリブデンであり、水溶性金属塩が、モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様128]
金属前駆体溶液が、IVB族金属、VIII族金属、及びIIB族金属のいずれかから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩をさらに含み、助触媒金属は、主金属とは異なり、助触媒金属は、1〜50wt.%の助触媒金属対主金属の重量比で存在する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様129]
助触媒金属が、ニッケルであり、助触媒金属の水溶性金属塩が、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトン、クエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様130]
細孔径の少なくとも70%が、直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様131]
細孔径の少なくとも50%が、直径5オングストロームから5,000オングストロームの範囲内である、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様132]
細孔径の少なくとも30%が、少なくとも直径100オングストロームである、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様133]
少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様134]
少なくとも0.8cc/gの全細孔容積を有する、態様6に記載のスラリー触媒。
[態様135]
2μmから100μmの範囲の平均粒径を有する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様136]
金属前駆体溶液が、少なくとも4のpH及び溶液中少なくとも0.1wt.%の主金属の濃度を有する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様137]
金属前駆体溶液が、少なくとも5のpHを有する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様138]
一般式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様139]
Mは、モリブデン、タングステン、及びそれらの混合物から選択され、Lは、ニッケル、コバルト、及びそれらの混合物から選択される、態様138に記載のスラリー触媒。
[態様140]
VIB族金属が、モリブデンであり、スラリー触媒が、本質的に助触媒金属を含まない、態様138に記載のスラリー触媒。
[態様141]
b=0であり、主金属Mが、ニッケルである、態様16に記載のスラリー触媒。
[態様142]
スラリー触媒が、重質油原料の総重量に対し2wt.%未満の活性VIB族金属の割合で適用される場合、スラリー触媒が、最大15のAPI度を有する重質油原料の改良のために、少なくとも50%の1000°F+変換率を有する、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様143]
8°から18°のブラッグ角に第1の広い回折ピーク、及び32°から40°のブラッグ角に第2の広い回折ピークを有する粉末X線回折パターン(0°から70°の2θ目盛)を有する、態様138に記載のスラリー触媒。
[態様144]
ガソリン、ディーゼル、真空軽油、サイクル油、ジェット油、燃料油、重質油原料、及びそれらの混合物から選択される炭化水素媒体中の複数の分散した粒子を含む、態様125又は126に記載のスラリー触媒。
[態様145]
重質油原料の水素化処理における使用のためのスラリー触媒であって、
スラリー触媒は、炭化水素媒体中の複数の分散した粒子を含み、分散した粒子は、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有し、
スラリー触媒が、少なくとも100m2/gのBET全表面積を有し、
スラリー触媒は、炭化水素希釈剤中の金属前駆体溶液を硫化及び分散させることから調製され、金属前駆体溶液は、VIB族金属、IIB族金属及びVIII族金属から選択される主金属の少なくとも1種の水溶性塩を含み、金属前駆体溶液は、少なくとも4のpH及び溶液中10wt.%未満の主金属の濃度を有する、上記スラリー触媒。
[態様146]
細孔径の少なくとも70%が、直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である、態様145に記載のスラリー触媒。
[態様147]
200m2/gから800m2/gの範囲のBET表面積を有する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様148]
細孔径の少なくとも50%が、直径5オングストロームから5,000オングストロームの範囲内である、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様149]
細孔径の少なくとも30%が、少なくとも直径100オングストロームである、態様148に記載のスラリー触媒。
[態様150]
少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様151]
少なくとも0.8cc/gの全細孔容積を有する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様152]
2μmから100μmの範囲の平均粒径を有する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様153]
金属前駆体溶液が、IVB族金属、VIII族金属、及びIIB族金属のいずれかから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩をさらに含み、助触媒金属は、主金属とは異なり、助触媒金属は、1〜50wt.%の助触媒金属対主金属の重量比で存在する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様154]
金属前駆体溶液が、少なくとも4のpH及び溶液中少なくとも0.1wt.%の主金属の濃度を有する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様155]
金属前駆体溶液が、少なくとも4のpH及び溶液中5〜10wt.%の主金属の濃度を有する、態様154に記載のスラリー触媒。
[態様156]
主金属前駆体が、水溶性VIB族金属塩である、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様157]
ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料、及びそれらの混合物から選択される炭化水素媒体中の複数の分散した粒子を含む、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様158]
本質的に少なくとも1種のVIB族金属化合物からなる金属前駆体から調製される、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様159]
一般式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、主金属Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択され;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様145又は146に記載のスラリー触媒。
[態様160]
重質油原料の水素化処理における使用のためのスラリー触媒であって、
スラリー触媒は、VIB族金属から選択される主金属の少なくとも1種の水溶性塩と、VIII族、IIB族、IIA族、IVA族金属及びそれらの組合せから選択される助触媒金属の水溶性塩とを含む、少なくとも1種の金属前駆体溶液から調製され、スラリー触媒は、炭化水素希釈剤中の金属前駆体溶液を硫化及び分散させることから調製され、金属前駆体溶液は、少なくとも4のpH及び溶液中10wt.%未満の主金属の濃度を有し、
スラリー触媒は、1〜300μmの平均粒径及び少なくとも100m2/gのBET全表面積を有する、上記スラリー触媒。
[態様161]
スラリー触媒が、重質油原料の総重量に対し1wt.%未満の主金属の割合で適用される場合、最大15のAPI度を有する重質油原料の改良のために、少なくとも50%の1000°F+変換率を有することを特徴とする、態様160に記載のスラリー触媒組成物。
[態様162]
金属前駆体溶液が、溶液中5〜10wt.%の主金属の濃度を有する、態様160又は161に記載のスラリー触媒。
[態様163]
主金属が、モリブデンであり、水溶性金属前駆体塩が、モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される、態様160又は161に記載のスラリー触媒。
[態様164]
助触媒金属が、ニッケルであり、助触媒金属の水溶性金属塩が、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトン、クエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様160又は161に記載のスラリー触媒。
[態様165]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
VIB族金属及びVIII族金属のいずれかから選択される主金属の少なくとも1種の水溶性塩を含む、水希釈剤中の金属前駆体溶液を提供するステップであって、金属前駆体溶液は、少なくとも4のpH及び溶液中10wt.%未満の主金属の濃度を有するステップと、
金属前駆体溶液を硫化剤で硫化して、硫化触媒前駆体を形成するステップと、
硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、スラリー触媒を形成するステップであって、調製されたスラリー触媒は、1μmから300μmの範囲の平均粒径、少なくとも100m2/gのBET全表面積、細孔径の少なくとも80%が直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布、及び少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有するステップとを含む、上記方法。
[態様166]
硫化触媒前駆体及び炭化水素希釈剤が、還元剤の存在下及び還元条件下にある、態様165に記載の方法。
[態様167]
金属前駆体溶液が、IVB族金属、VIII族金属、及びIIB族金属のいずれかから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩をさらに含み、助触媒金属は、主金属とは異なり、助触媒金属は、1〜50wt.%の助触媒金属対主金属の重量比で存在する、態様165又は166に記載の方法。
[態様168]
調製されたスラリー触媒が、200m2/gから800m2/gのBET表面積を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様169]
調製されたスラリー触媒が、直径5オングストロームから1,000オングストロームである細孔径の少なくとも70%を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様170]
調製されたスラリー触媒が、直径5オングストロームから5,000オングストロームである細孔径の少なくとも50%を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様171]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも直径100オングストロームである細孔径の少なくとも30%を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様172]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様173]
スラリー触媒が、少なくとも0.8cc/gの全細孔容積を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様174]
調製されたスラリー触媒が、2μmから100μmの平均粒径を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様175]
金属前駆体溶液が、溶液中5〜10wt.%の主金属の濃度を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様176]
金属前駆体溶液が、溶液中少なくとも0.1wt.%の主金属の濃度を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様177]
主金属が、モリブデンであり、水溶性金属前駆体塩が、モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される、態様165又は166に記載の方法。
[態様178]
助触媒金属が、ニッケルであり、助触媒金属の水溶性金属塩が、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトン、クエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様167に記載の方法。
[態様179]
硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合する前に、IVB族金属、VIII族金属、及びIIB族金属のいずれかから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩を含む、少なくとも1種の金属前駆体溶液を、硫化触媒前駆体中に混合するステップをさらに含む、態様165又は166に記載の方法。
[態様180]
IVB族金属、VIII族金属、及びIIB族金属のいずれかから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩を含む金属前駆体溶液を提供するステップと、
助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩を含む少なくとも1種の金属前駆体溶液を硫化剤で硫化して、硫化助触媒金属前駆体を形成するステップと、
硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合する前に、硫化助触媒金属前駆体を、硫化触媒前駆体中に混合するステップと
をさらに含む、態様165又は166に記載の方法。
[態様181]
炭化水素希釈剤が、重質油原料を含み、重質油原料がスラリー触媒を形成するために必要な硫化剤を提供するように、金属前駆体溶液が、in−situ硫化条件下で重質油原料と混合される、態様165又は166に記載の方法。
[態様182]
in−situ硫化条件が、752°Fから1112°Fの温度及び1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力である、態様181に記載の方法。
[態様183]
金属前駆体溶液の硫化が、重質油改良の前にex−situで生じる、態様165又は166に記載の方法。
[態様184]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様165又は166に記載の方法。
[態様185]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様165又は166に記載の方法。
[態様186]
調製されたスラリー触媒が、一般式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様165又は166に記載の方法。
[態様187]
スラリー触媒組成物を調製するための方法であって、
水希釈剤中のVIB族金属の水溶性金属前駆体塩を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、硫化VIB族金属化合物を形成するステップと、
硫化VIB族金属化合物を、水希釈剤中のVIII族、IIB族、IIA族、及びIVA族金属並びにそれらの組合せから選択される助触媒金属の水溶性金属前駆体塩と組み合わせて反応させ、触媒前駆体を形成するステップと、
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1μmから300μmの範囲の平均粒径、少なくとも100m2/gのBET全表面積、細孔径の少なくとも80%が直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布、及び少なくとも0.5cc/gの全細孔容積を有するスラリー触媒組成物を形成するステップと
を含み、
水希釈剤中のVIB族金属の水溶性金属前駆体塩及び水希釈剤中の助触媒金属の水溶性金属前駆体塩の少なくとも一方は、少なくとも4のpH及び溶液中10wt.%未満の金属の濃度を有する、上記方法。
[態様188]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
その分子構造内に少なくとも2種の異なる金属陽イオンを含み、金属陽イオンの少なくとも1種はVIB族金属陽イオンである、溶液中の少なくとも1種の金属前駆体を提供するステップと、
金属前駆体を硫化剤で硫化して、触媒前駆体を形成するステップと、
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1〜300μmの平均粒径を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様189]
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、還元剤の存在下及び還元条件下で行われる、態様1に記載の方法。
[態様190]
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、高せん断混合下で行われ、1μmから300μmの範囲の粒径を有する液滴を有するエマルジョンを形成する、態様188又は189に記載の方法。
[態様191]
少なくとも2種の異なる金属陽イオンを含む少なくとも1種の金属前駆体を提供するステップが、少なくとも1種のVIB族金属化合物を、VIII族、IIB族、IIA族、IVA族金属及びそれらの組合せから選択される少なくとも1種の助触媒金属化合物と組み合わせて反応させるステップを含む、態様188又は189に記載の方法。
[態様192]
少なくとも1種のVIB族金属化合物が、溶液中の水溶性VIB族金属塩であり、助触媒金属化合物が、溶液中の水溶性VIII族金属塩である、態様191に記載の方法。
[態様193]
溶液中の水溶性VIB族金属塩が、二モリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム、硫酸クロムカリウム、パラモリブデン酸アンモニウム及びそれらの混合物の群から選択される、態様192に記載の方法。
[態様194]
溶液中の水溶性VIII族金属塩が、硫酸ニッケル、硫酸アンモニウムニッケル、硫酸鉄、及びそれらの混合物の群から選択される、態様192に記載の方法。
[態様195]
VIB族金属化合物が、油溶性モリブデン塩であり、助触媒金属化合物が、油溶性VIII族金属塩である、態様191に記載の方法。
[態様196]
少なくとも1種のVIB族金属化合物が、二モリブデン酸アンモニウムであり、助触媒金属化合物が、硫酸ニッケルである、態様191に記載の方法。
[態様197]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積を有する、態様188又は189に記載の方法。
[態様198]
調製されたスラリー触媒が、細孔径の少なくとも80%が直径5オングストロームから2,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様188又は189に記載の方法。
[態様199]
調製されたスラリー触媒が、細孔径の少なくとも少なくとも80%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様188又は189に記載の方法。
[態様200]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100m2/gの全表面積を有する、態様188又は189に記載の方法。
[態様201]
調製されたスラリー触媒が、2μmから100μmの範囲の平均粒径を有する、態様188又は189に記載の方法。
[態様202]
溶液中の水溶性VIB族金属塩が、5〜8wt.%のVIB族金属の濃度を有する、態様192に記載の方法。
[態様203]
溶液中の水溶性VIB族金属塩が、少なくとも4のpHを有する、態様202に記載の方法。
[態様204]
溶液中の水溶性VIII族金属塩が、少なくとも4のpHを有する、態様192に記載の方法。
[態様205]
溶液中の水溶性VIII族金属塩が、5〜8wt.%のVIB族金属の濃度を有する、態様204に記載の方法。
[態様206]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
その分子構造内に少なくとも2種の異なる金属陽イオンを含み、金属陽イオンの少なくとも1種はVIB族金属陽イオンであり、金属陽イオンの少なくとも1種は、VIII族、IIB族、IIA族、IVA族金属及びそれらの組合せから選択される助触媒金属陽イオンである、溶液中の少なくとも1種の金属前駆体を提供するステップと、
溶液中で金属前駆体を硫化剤で硫化して、触媒前駆体を形成するステップと、
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様207]
水希釈剤中のVIB族水溶性塩及び水希釈剤中のVIII族水溶性塩の少なくとも一方が、少なくとも4のpHを有する、態様206に記載の方法。
[態様208]
水希釈剤中のVIB族水溶性塩及び水希釈剤中のVIII族水溶性塩の少なくとも一方が、4wt.%から8wt.%の金属濃度を有する、態様206又は207に記載の方法。
[態様209]
少なくとも2種の異なる金属陽イオンを含む少なくとも1種の金属前駆体を提供するステップが、水希釈剤中のVIB族水溶性塩であって、二モリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム、硫酸クロムカリウム、パラモリブデン酸アンモニウム及びそれらの混合物の群から選択される、VIB族水溶性塩と、水希釈剤中のVIII族水溶性塩であって、硫酸ニッケル、硫酸アンモニウムニッケル、硫酸鉄、及びそれらの混合物の群から選択される、VIII族水溶性塩とを組み合わせて反応させるステップを含む、態様206又は207に記載の方法。
[態様210]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
主金属の少なくとも1種の金属前駆体を提供するステップであって、主金属は、VIII族金属、IVB族金属、及びIIB族金属から選択されるステップと、
主金属前駆体を硫化剤で硫化して、触媒前駆体を形成するステップと、
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1μmから300μmの範囲の粒径、並びに(Mt)a(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIII族金属、IVB族金属、及びIIB族金属のいずれかであり;0.5a≦d≦4aであり;0≦e≦11aであり;0≦f≦18aであり;0≦g≦2aであり;0≦h≦3aであり;t、v、w、x、y、zのそれぞれは、M、S、C、H、O、及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+vd+we+xf+yg+zh=0である)の一般式を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様211]
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、還元剤の存在下及び還元条件下で行われる、態様210に記載の方法。
[態様212]
触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、高せん断混合下で行われ、1μmから300μmの範囲の粒径を有する液滴を有するエマルジョンを形成する、態様210又は211に記載の方法。
[態様213]
主金属前駆体が、酢酸塩、炭酸塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、及びそれらの混合物の群から選択される水溶性金属塩である、態様210又は211に記載の方法。
[態様214]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様210又は211に記載の方法。
[態様215]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様210又は211に記載の方法。
[態様216]
主金属が、ニッケルであり、主金属前駆体が、ナフテン酸ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、クエン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ジチオカルバミン酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様210又は211に記載の方法。
[態様217]
主金属前駆体の硫化及び炭化水素希釈剤との混合が、同時に生じる、態様210又は211に記載の方法。
[態様218]
重質油原料が、硫化に必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、主金属前駆体が、in−situ硫化条件下で重質油原料と混合される、態様210又は211に記載の方法。
[態様219]
主金属前駆体を重質油原料と混合するステップが、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で行われる、態様218に記載の方法。
[態様220]
主金属前駆体溶液中の主金属の濃度が、10wt.%未満である、態様210又は211に記載の方法。
[態様221]
主金属前駆体溶液が、少なくとも4のpHを有する、態様210又は211に記載の方法。
[態様222]
主金属前駆体溶液中の主金属の濃度が、4〜8wt.%の間である、態様210又は211に記載の方法。
[態様223]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
溶液中の少なくとも1種の水溶性ニッケル塩を提供するステップであって、ニッケル塩は、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択されるステップと、
ガソリン、ディーゼル、真空軽油、サイクル油、ジェット油、ディーゼル、ナフサ、燃料油、重質油原料、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の炭化水素希釈剤を提供するステップと、
溶液中の水溶性ニッケル塩を、高せん断混合条件下で炭化水素希釈剤と混合し、0.1μmから300μmの径を有する液滴を含むエマルジョンを形成するステップと、
エマルジョンを、in−situ硫化条件下で重質油原料と混合し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様224]
高せん断混合条件下で混合するステップが、50μm未満の径を有する液滴を含むエマルジョンを形成する、態様223に記載の方法。
[態様225]
エマルジョンを重質油原料と混合するステップが、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で行われる、態様223又は224に記載の方法。
[態様226]
ニッケル塩溶液が、少なくとも4のpHを有する、態様223又は224に記載の方法。
[態様227]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
少なくとも1種の有機ニッケル錯体を提供するステップと、
有機ニッケル錯体を、高せん断混合条件下で炭化水素希釈剤と混合し、0.1μmから300μmの径を有する液滴を含むエマルジョンを形成するステップと、
エマルジョンを少なくとも1種の硫化剤で硫化して、1μmから300μmの範囲の粒径、並びに(Mt)a(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、非貴金属VIII族金属、IVB族金属、及びIIB族金属のいずれかであり;0.5a≦d≦4aであり;0≦e≦11aであり;0≦f≦18aであり;0≦g≦2aであり;0≦h≦3aであり;t、v、w、x、y、zのそれぞれは、M、S、C、H、O、及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+vd+we+xf+yg+zh=0である)の一般式を有するスラリー触媒を形成するステップとを含む、上記方法。
[態様228]
炭化水素希釈剤が、重質油原料を含み、重質油原料が硫化に必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、有機ニッケル錯体が、in−situ硫化条件下で重質油原料と混合される、態様227に記載の方法。
[態様229]
ニッケル塩を重質油原料と混合するステップが、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で行われる、態様227に記載の方法。
[態様230]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
少なくとも1種の水溶性モリブデン化合物及び水溶性金属亜鉛化合物を含む、水中の金属前駆体溶液を提供するステップと、
金属前駆体溶液を、0.1μmから300μmの範囲の液滴径を有するエマルジョンを生成するために十分に高いせん断混合下で、炭化水素希釈剤と混合するステップと、
エマルジョンを、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、1μmから300μmの範囲の粒径を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含み、
亜鉛化合物は、1:10から10:1の範囲の亜鉛対モリブデン重量比に十分な量でスラリー触媒中に存在する、上記方法。
[態様231]
硫化ステップの前又は後に、周囲温度を超える温度で、エマルジョンを還元に供するステップをさらに含む、態様230に記載の方法。
[態様232]
重質油原料が、エマルジョンを硫化するために必要な硫化剤を提供してスラリー触媒を形成するように、エマルジョンが、in−situ硫化条件下で反応器内で重質油原料と混合される、態様230又は231に記載の方法。
[態様233]
in−situ硫化条件が、752°Fから1112°Fの温度及び1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力である、態様3に記載の方法。
[態様234]
スラリー触媒を形成するエマルジョンの硫化が、重質油改良の前にex−situで生じる、態様230又は231に記載の方法。
[態様235]
硫化剤が、元素硫黄、硫化水素、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様234に記載の方法。
[態様236]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油、サイクル油、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様230又は231に記載の方法。
[態様237]
エマルジョンを硫化してスラリー触媒を形成するために、十分な量の硫化剤が、少なくとも1.5対1の硫黄対モリブデンのモル比で提供される、態様5に記載の方法。
[態様238]
炭化水素希釈剤が、重質油原料と、VGO、MCO、HCO、及びそれらの混合物の少なくとも1種との混合物を含む、態様230又は231に記載の方法。
[態様239]
エマルジョンが、0.5μmから200μmの径を有する液滴を含む、態様230又は231に記載の方法。
[態様240]
エマルジョンが、100μm未満の径を有する液滴を含む、態様230又は231に記載の方法。
[態様241]
少なくとも1種の水溶性モリブデン化合物及び水溶性金属亜鉛化合物を含む、水中の金属前駆体溶液を提供するステップが、溶液中10wt.%未満のモリブデンの濃度を有する溶液を提供するステップを含む、態様230又は231に記載の方法。
[態様242]
少なくとも1種の水溶性モリブデン化合物及び水溶性金属亜鉛化合物を含む、水中の金属前駆体溶液が、溶液中10wt.%未満の亜鉛の濃度を有する、態様230又は231に記載の方法。
[態様243]
少なくとも1種の水溶性モリブデン化合物及び水溶性金属亜鉛化合物を含む、水中の金属前駆体溶液が、少なくとも4のpHを有する、態様230又は231に記載の方法。
[態様244]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも100cm3/gの全表面積を有する、態様230又は231に記載の方法。
[態様245]
調製されたスラリー触媒が、少なくとも0.4cc/gの全細孔容積、及び細孔径の少なくとも70%が直径5オングストロームから1,000オングストロームの範囲内である多峰細孔分布を有する、態様230又は231に記載の方法。
[態様246]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の水溶性モリブデン塩と、水溶性亜鉛塩とを、1:30から5:1の範囲の亜鉛対モリブデン重量比で含む金属前駆体溶液を提供するステップと、
金属前駆体溶液を、高せん断混合下及び還元条件下で炭化水素希釈剤と混合し、0.1μmから300μmの径を有する液滴を含むエマルジョンを生成するステップであって、炭化水素希釈剤は、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択されるステップと、
重質油原料が少なくとも1種の硫化剤を提供してエマルジョンを硫化し、スラリー触媒を形成するように、エマルジョンを、in−situ硫化条件下で少なくとも1種の重質油原料と混合するステップと
を含む、上記方法。
[態様247]
調製されたスラリー触媒が、1μmから300μmの範囲の平均粒径を有する、態様246に記載の方法。
[態様248]
in−situ硫化が生じるように、エマルジョンが、1435psig(10MPa)から3610psig(25MPa)の圧力下、752°Fから1112°Fの温度で、重質油原料と混合される、態様246又は247に記載の方法。
[態様249]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の水溶性モリブデン塩と、水溶性亜鉛塩とを、1:30から5:1の範囲の亜鉛対モリブデン重量比で含む金属前駆体溶液を提供するステップと、
少なくとも1種の硫化剤を、少なくとも1.5対1の硫黄対モリブデンのモル比で提供して、金属前駆体溶液を硫化し、触媒前駆体を形成するステップと、
還元条件下で、触媒前駆体を少なくとも1種の炭化水素希釈剤と混合し、スラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様250]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
VIB族金属、VIII族金属及びIIB族金属から選択される主金属の金属塩を含む少なくとも1種の第1の金属前駆体を提供するステップと、
第1の金属前駆体を、少なくとも1.5対1の硫黄対主金属で、第1の硫化剤で硫化して、硫化触媒前駆体を形成するステップと、
向上した硫化触媒前駆体のために、硫化触媒前駆体を、少なくとも1.5対1の硫黄対硫化触媒前駆体中の金属のモル比で、第2の硫化剤で硫化するステップと、
向上した硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1μmから300μmの平均粒径を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様251]
IVB族、VIB族、VIII族、IIB族金属及びそれらの組合せの群から選択される助触媒金属の少なくとも1種の金属塩を含む、第2の金属前駆体を提供するステップであって、助触媒金属は、主金属とは異なるステップと、
硫化触媒前駆体を第2の硫化剤で硫化する前に、硫化触媒前駆体が助触媒金属で強化されるように、硫化触媒前駆体を第2の金属前駆体と組み合わせるステップと
をさらに含む、態様250に記載の方法。
[態様252]
助触媒金属が、ニッケル、コバルト、及びそれらの混合物である、態様251に記載の方法。
[態様253]
第2の金属前駆体が、VIII族金属の酢酸塩、炭酸塩、塩化物、硝酸塩、アセチルアセトン酸塩、クエン酸塩、及びシュウ酸塩から選択される、態様251に記載の方法。
[態様254]
第1の金属前駆体が、VIB族金属の少なくとも1種の水溶性金属塩を含む、態様250又は251に記載の方法。
[態様255]
主金属が、モリブデンであり、金属塩が、モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される、態様250又は251に記載の方法。
[態様256]
IVB族、VIII族、IIB族金属及びそれらの組合せから選択される助触媒金属の 少なくとも1種の金属塩を含む第2の金属前駆体を提供するステップと、
金属前駆体を第1の硫化剤で硫化して、硫化触媒前駆体を形成する前に、第2の金属前駆体を第1の金属前駆体中に組み合わせるステップと
をさらに含む、態様250に記載の方法。
[態様257]
助触媒金属が、ニッケル、コバルト、及びそれらの混合物から選択される、態様256に記載の方法。
[態様258]
助触媒金属が、ニッケルであり、助触媒金属塩が、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトン、クエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様250又は251に記載の方法。
[態様259]
第1の硫化剤及び第2の硫化剤が、元素硫黄、H2S、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様250又は251に記載の方法。
[態様260]
第1の硫化剤が、第2の硫化剤と同じである、態様250又は251に記載の方法。
[態様261]
第1の硫化剤が、第2の硫化剤とは異なる、態様250又は251に記載の方法。
[態様262]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油(VGO)、サイクル油(MCO又はHCO)、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様250又は251に記載の方法。
[態様263]
形成されたスラリー触媒が、一般式(Mt)a(Lu)b(Sv)d(Cw)e(Hx)f(Oy)g(Nz)h(式中、Mは、VIB族金属、VIII族金属、IIB族金属から選択される主金属であり;Lは、助触媒金属として任意選択的であり、Lは、Mとは異なり、Lは、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属の少なくとも1種であり;b≧0であり;0≦b/a≦5であり;0.5(a+b)≦d≦5(a+b)であり;0≦e≦11(a+b)であり;0≦f≦18(a+b)であり;0≦g≦5(a+b)であり;0≦h≦3(a+b)であり;t、u、v、w、x、y、zのそれぞれは、各々M、L、S、C、H、O及びNのそれぞれの全電荷を表し;ta+ub+vd+we+xf+yg+zh=0である)を有する、態様250に記載の方法。
[態様264]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
VIB族金属、VIII族金属及びIIB族金属から選択される主金属の水溶性塩を含む第1の金属前駆体を提供するステップと、
金属前駆体を第1の硫化剤で硫化して、第1の硫化前駆体を形成するステップと、
強化された硫化前駆体のために、第1の硫化前駆体を、VIII族金属、VIB族金属、IVB族金属、及びIIB族金属、並びにそれらの混合物の群から選択される助触媒金属の金属塩を含む第2の金属前駆体と組み合わせるステップであって、助触媒金属は、主金属とは異なるステップと、
向上した硫化触媒前駆体のために、強化された硫化前駆体を、少なくとも1.5対1の硫黄対強化された硫化前駆体中の全金属のモル比で、第2の硫化剤で硫化するステップと、
向上した硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1μmから300μmの平均粒径を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様265]
周囲温度を超える温度で、向上した硫化触媒前駆体を還元に供するステップをさらに含む、態様264に記載の方法。
[態様266]
主金属が、モリブデンであり、水溶性塩が、モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される、態様264又は265に記載の方法。
[態様267]
助触媒金属が、ニッケルであり、助触媒金属塩が、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトン、クエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様264又は265に記載の方法。
[態様268]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油、サイクル油、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様264又は265に記載の方法。
[態様269]
第1の硫化剤及び第2の硫化剤が、元素硫黄、H2S、硫化アンモニウム、多硫化アンモニウム((NH4)2Sx)、チオ硫酸アンモニウム((NH4)2S2O3)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)、チオ尿素(CSN2H4)、二硫化炭素、二硫化ジメチル(DMDS)、硫化ジメチル(DMS)、多硫化tert−ブチル(PSTB)及び多硫化tert−ノニル(PSTN)、並びにそれらの混合物の群から選択される、態様264又は265に記載の方法。
[態様270]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、 VIB族金属から選択される主金属を含む第1の金属前駆体と、IVB族金属、VIII族金属、IIB族金属及びそれらの組合せから選択される少なくとも1種の助触媒金属を含む助触媒金属前駆体とを、助触媒金属対主金属重量比が1〜50wt.%の範囲となるように提供するステップと、第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を、別個に、同時に、又は共に硫化し、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップと、強化された硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1μmから300μmの平均粒径を有するスラリー触媒を形成するステップとを含む、上記方法において、改善が、
金属前駆体の少なくとも1種を、第1の部分及び第2の部分に、1:10から10:1の範囲の第1の部分対第2の部分の比で分配するステップと、
第1の部分を硫化ステップにおいて使用して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップと、
スラリー触媒を形成するための炭化水素希釈剤との混合ステップの前、その間、又はその後に、第2の部分を強化された硫化触媒前駆体と混合するステップと
を含む、上記方法。
[態様271]
第1の部分及び第2の部分に分配された金属前駆体の少なくとも1種が、助触媒金属前駆体である、態様270に記載の方法。
[態様272]
助触媒金属前駆体の第2の部分が、硫化ステップの後及び炭化水素希釈剤との混合ステップの前に、強化された硫化触媒前駆体と混合される、態様271に記載の方法。
[態様273]
助触媒金属前駆体の第2の部分が、炭化水素希釈剤との混合ステップの間に、強化された硫化触媒前駆体と混合される、態様271に記載の方法。
[態様274]
助触媒金属前駆体の第2の部分が、炭化水素希釈剤との混合ステップの後に、強化された硫化触媒前駆体と混合される、態様271に記載の方法。
[態様275]
第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を硫化して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップが、
第1の金属前駆体と、助触媒金属前駆体の第1の部分との混合物を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、強化された硫化金属前駆体を形成するステップ
を含む、態様271に記載の方法。
[態様276]
第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を硫化して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップが、
助触媒金属前駆体の第1の部分を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、硫化金属前駆体を形成するステップと、
第1の金属前駆体を、硫化金属前駆体と組み合わせて、強化された硫化金属前駆体を形成するステップと
を含む、態様271に記載の方法。
[態様277]
第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を硫化して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップが、
第1の金属前駆体を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、硫化金属前駆体を形成するステップと、
助触媒金属前駆体の第1の部分を、硫化金属前駆体と組み合わせて、強化された硫化金属前駆体を形成するステップと
を含む、態様271に記載の方法。
[態様278]
金属前駆体の少なくとも1種が第1の金属前駆体である、態様270に記載の方法。
[態様279]
第1の金属前駆体の第2の部分が、硫化ステップの後及び炭化水素希釈剤との混合ステップの前に、強化された硫化触媒前駆体と混合される、態様278に記載の方法。
[態様280]
第1の金属前駆体の第2の部分が、炭化水素希釈剤との混合ステップの間に、強化された硫化触媒前駆体と混合される、態様278に記載の方法。
[態様281]
第1の金属前駆体の第2の部分が、炭化水素希釈剤との混合ステップの前に、強化された硫化触媒前駆体と混合される、態様278に記載の方法。
[態様282]
第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を硫化して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップが、
第1の金属前駆体の第1の部分と、助触媒金属前駆体との混合物を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、強化された硫化金属前駆体を形成するステップ
を含む、態様278に記載の方法。
[態様283]
第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を硫化して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップが、
助触媒金属前駆体を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、硫化助触媒金属前駆体を形成するステップと、
第1の金属前駆体の第1の部分を、硫化助触媒金属前駆体と組み合わせて、強化された硫化金属前駆体を形成するステップと
を含む、態様278に記載の方法。
[態様284]
第1の金属前駆体及び助触媒金属前駆体を硫化して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップが、
第1の金属前駆体の第1の部分を、少なくとも1種の硫化剤で硫化して、硫化金属前駆体を形成するステップと、
助触媒金属前駆体を、硫化金属前駆体と組み合わせて、強化された硫化金属前駆体を形成するステップと
を含む、態様278に記載の方法。
[態様285]
炭化水素希釈剤が、ガソリン、ディーゼル、真空軽油、サイクル油、ジェット油、燃料油、重質油原料及びそれらの混合物から選択される、態様270に記載の方法。
[態様286]
改善が、
スラリー触媒を形成するための炭化水素希釈剤との混合ステップの前、その間、又はその後に、第2の部分を強化された硫化触媒前駆体と混合する前に、向上した硫化ステップのために、強化された硫化触媒前駆体を硫化剤で硫化するステップ
をさらに含む、態様270に記載の方法。
[態様287]
主金属が、モリブデンであり、第1の金属前駆体が、モリブデン酸塩、ヘプタモリブデン酸アルカリ金属塩、オルトモリブデン酸アルカリ金属塩、イソモリブデン酸アルカリ金属塩、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、窒化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸、及びそれらの混合物の群から選択される、態様270に記載の方法。
[態様288]
助触媒金属が、ニッケルであり、助触媒金属前駆体が、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトン、クエン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、及びそれらの混合物の群から選択される、態様270に記載の方法。
[態様289]
重質油原料の改良における使用のためのスラリー触媒を調製するための方法であって、
VIB族金属から選択される主金属の水溶性塩を含む第1の金属前駆体を提供するステップと、
助触媒金属対主金属重量比が1wt.%から49wt.%となるように、IVB族金属、VIII族金属、IIB族金属及びそれらの組合せから選択される助触媒金属の少なくとも1種の水溶性塩を含む助触媒金属前駆体を提供するステップと、
助触媒金属前駆体を、第1の部分及び第2の部分に、1:10から10:1の範囲の第1の部分対第2の部分の比で分配するステップと、
第1の金属前駆体と、助触媒金属前駆体の第1の部分とを硫化剤で硫化して、硫化触媒前駆体を形成するステップと、
助触媒金属前駆体の第2の部分を硫化触媒前駆体と混合して、強化された硫化触媒前駆体を形成するステップと、
強化された硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合して、1μmから300μmの平均粒径を有するスラリー触媒を形成するステップと
を含む、上記方法。
[態様290]
強化された硫化触媒前駆体を炭化水素希釈剤と混合するステップが、還元剤の存在下で還元条件下で行われる、態様289に記載の方法。