特許第6097230号(P6097230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097230
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】信号バイパス装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/36 20060101AFI20170306BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H04B3/36
   H04B1/18 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-19734(P2014-19734)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-149521(P2015-149521A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米坂 真司
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
(72)【発明者】
【氏名】金田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】美尾谷 成貴
(72)【発明者】
【氏名】川村 昌史
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−228298(JP,A)
【文献】 特開2003−032642(JP,A)
【文献】 特開2007−318278(JP,A)
【文献】 特開2000−244887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/36
H04B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の複数の部屋に放送信号を伝送する伝送線路を利用して無線基地局と前記部屋に備えられたアンテナとの間を接続する際に、前記伝送線路上に設けられている中継用増幅器に対して用いられる信号バイパス装置であって、
第1及び第2の帯域制御装置を備え、
前記第1の帯域制御装置は、
前記放送信号に対して定められている放送周波数帯の信号成分を通過させる第1の周波数帯通過フィルタと、
前記無線基地局が送受信する無線信号に対して定められている無線周波数帯の信号成分を通過させる第3の周波数帯通過フィルタと、
前記中継用増幅器の入力側の前記伝送線路から入力される信号を前記第1の周波数帯通過フィルタと前記第3の周波数帯通過フィルタとに出力し、前記第3の周波数帯通過フィルタから入力される信号を前記中継用増幅器の入力側の伝送線路に出力する第1の分配合成器と、
を有し、
前記第2の帯域制御装置は、
前記放送信号に対して定められている放送周波数帯の信号成分を通過させる第2の周波数帯通過フィルタと、
前記無線基地局が送受信する無線信号に対して定められている無線周波数帯の信号成分を通過させる第4の周波数帯通過フィルタと、
前記中継用増幅器の出力側の前記伝送線路から入力される信号を前記第の周波数帯通過フィルタに出力し、前記第2の周波数帯通過フィルタと前記第の周波数帯通過フィルタとから入力される信号を合成して前記中継用増幅器の出力側の伝送線路に出力する第2の分配合成器と、
を有し、
前記第1の周波数帯通過フィルタは、前記第1の分配合成器から入力される信号のうち前記放送周波数帯の信号成分を前記中継用増幅器に出力し、
前記第2の周波数帯通過フィルタは、前記中継用増幅器で増幅された信号を入力し、入力した信号のうち前記放送周波数帯の信号成分を前記第2の分配合成器に出力し、
前記第3の周波数帯通過フィルタと前記第4の周波数帯通過フィルタとは、前記伝送線路と異なる他の伝送線にて接続されており、
前記第1の分配合成器から前記第3の周波数帯通過フィルタへ入力される信号に含まれる無線周波数帯の信号成分は、前記他の伝送線を介して前記第4の周波数帯通過フィルタへ入力され、
前記第2の分配合成器から前記第4の周波数帯通過フィルタへ入力される信号に含まれる無線周波数帯の信号成分は、前記他の伝送線を介して前記第3の周波数帯通過フィルタへ入力される、
ことを特徴とする信号バイパス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号バイパス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を用いてデータの送受信を行う無線LAN(Local Area Network)が普及し、一般家庭でも利用されるようになっている。無線LANのアクセスポイントが設置されている居室と異なる居室でステーション(例えば、ノート型パソコンやスマートフォンなど)を利用する場合には、アクセスポイントとステーションとの間における無線通信の距離が長くなったり、壁越しで無線通信を行ったりするために十分な受信電力を得られないことがある。このような場合には、通信速度の低下や無線通信の切断が生じることがあり、無線LANの利便性を損なうことになってしまう。
【0003】
そこで、住居等の建物においてテレビ放送の受信信号を各居室で利用可能にするために既に設けられている同軸線などを用いて居室間における無線LANの無線信号の伝送を行い、居室内に設けられたアンテナであって同軸線に接続されたアンテナを介して無線通信を行うことにより、通信品質を向上させる技術が検討されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−318278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、住居等の建物に設けられている同軸線におけるテレビ放送の受信信号の減衰を補うために中継用ブースター(増幅器)が設けられていることがある。中継用ブースターは、信号を入力する端子と信号を出力する端子とが定められており、一方向にしか信号を伝送しない。そのため、居室間に設けられている同軸線の途中に中継用ブースターが設けられている場合、アクセスポイントからステーションへ又はステーションからアクセスポイントへのいずれか一方の無線信号しか伝送されなくなってしまう。この場合、同軸線を介した無線信号の伝送が行えず、無線LANの通信品質を向上させることができないという問題があった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、建物においてテレビ放送等の放送信号を各居室で利用可能にするために既に設けられている同軸線(伝送線路)に中継用ブースター(増幅器)が設けられている場合においても、同軸線を介して無線通信の通信品質を向上させることができる信号バイパス装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、建物内の複数の部屋に放送信号を伝送する伝送線路を利用して無線基地局と前記部屋に備えられたアンテナとの間を接続する際に、前記伝送線路上に設けられている中継用増幅器に対して用いられる信号バイパス装置であって、前記放送信号に対して定められている放送周波数帯の信号成分を通過させる第1及び第2の周波数帯通過フィルタと、前記無線基地局が送受信する無線信号に対して定められている無線周波数帯の信号成分を通過させる第3の周波数帯通過フィルタと、前記中継用増幅器の入力側の前記伝送線路から入力される信号を前記第1の周波数帯通過フィルタと前記第3の周波数帯通過フィルタとに出力し、前記第3の周波数帯通過フィルタから入力される信号を前記中継用増幅器の入力側の伝送線路に出力する第1の分配合成器と、前記中継用増幅器の出力側の前記伝送線路から入力される信号を前記第3の周波数帯通過フィルタに出力し、前記第2の周波数帯通過フィルタと前記第3の周波数帯通過フィルタとから入力される信号を合成して前記中継用増幅器の出力側の伝送線路に出力する第2の分配合成器と、を有し、前記第1の周波数帯通過フィルタは、前記第1の分配合成器から入力される信号のうち前記放送周波数帯の信号成分を前記中継用増幅器に出力し、前記第2の周波数帯通過フィルタは、前記中継用増幅器で増幅された信号を入力し、入力した信号のうち前記放送周波数帯の信号成分を前記第2の分配合成器に出力することを特徴とする信号バイパス装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の分配合成器と第3周波数帯通過フィルタと第2の分配合成器とによりバイパス経路が形成され、無線信号は中継用増幅器を経由することなくバイパス経路を介して無線基地局とアンテナとの間で伝送されるようになるので、伝送線路に中継用増幅器が設けられている場合でも伝送線路を介して無線通信の通信品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態の信号バイパス装置1を適用した通信システムを示す図である。
図2】同実施形態における信号バイパス装置1の構成例を示すブロック図である。
図3】信号バイパス装置1の変形例としての信号バイパス装置1の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態における信号バイパス装置を説明する。信号バイパス装置は、建物内に既に敷設されている同軸線などの伝送線路を利用して無線LANの利用可能範囲を広げる際に、伝送線路上に中継用ブースター(中継用増幅器)が設けられている場合に適用される装置である。実施形態においては、無線通信を行う無線通信装置として無線LAN機器を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る実施形態の信号バイパス装置1を適用した住居等の建物の通信システムの一例示す図である。同図に示す通信システムでは、建物内の各居室R1〜R4に設けられている端子T1〜T4を接続する同軸線を無線LANの利用可能範囲を広げるために利用している。同軸線には、テレビ・アンテナ21、分配器22、中継用ブースター23、分配器24が接続されている。テレビ・アンテナ21は、同軸線を介して分配器22に接続されている。分配器22は、同軸線を介して、居室R3の端子T3と居室R4の端子T4と信号バイパス装置1とに接続されている。信号バイパス装置1は、中継用ブースター23の前段と後段とに接続されており、同軸線を介して分配器22及び分配器24に接続されている。分配器24は、同軸線を介して、居室R1の端子T1と居室R2の端子T2とに接続されている。中継用ブースター23は、信号バイパス装置1及び同軸線を介して、分配器22及び分配器24と接続されている。テレビ受像機41は、居室R3に位置し、端子T3を介してテレビ・アンテナ21に接続されている。テレビ受像機41は、端子T3を通じて得られるテレビ放送用の信号(以下、放送信号という。)を受信して、テレビ放送の視聴を可能にする。
【0012】
また、図1に示す通信システムは、ホームゲートウエイ31(無線基地局)、アンテナ32及びアンテナ33、並びに、コンピュータ34〜36を備えている。ホームゲートウエイ31は、外部ネットワーク4に接続されており、建物内の通信システムと外部ネットワーク4との間における信号の中継処理などを行う。ホームゲートウエイ31は、居室R1に位置し、端子T1を介して同軸線に接続されている。ホームゲートウエイ31は、内蔵するアンテナにて無線信号を送受信するとともに、端子T1を介して同軸線からも無線信号を送受信する。
【0013】
アンテナ32は、居室R2に位置し、端子T2を介して同軸線に接続されている。アンテナ33は、居室R4に位置し、端子T4を介して同軸線に接続されている。コンピュータ34は、居室R1に位置し、ホームゲートウエイ31と無線通信を行うことにより、外部ネットワーク4との通信を行う。コンピュータ35は、居室R2に位置し、アンテナ32及び同軸線を介した無線通信をホームゲートウエイ31と行うことにより、外部ネットワーク4との通信を行う。コンピュータ36は、居室R4に位置し、アンテナ33及び同軸線を介した無線通信をホームゲートウエイ31と行うことにより、外部ネットワーク4との通信を行う。ここで、外部ネットワーク4は、インターネットサービスプロバイダが提供するネットワーク又はネットワークインタフェースやインターネットなどである。
【0014】
中継用ブースター23は、テレビ・アンテナ21で受信された放送信号を増幅する。中継用ブースター23は、分配器22側から入力される放送信号を増幅して分配器24側へ出力する。中継用ブースター23は、建物内における伝送により減衰した放送信号の信号電力を補うために設けられている。これにより、居室R1及び居室R2においても、各居室に設けられている端子T1、T2から得られる放送信号をテレビ受像機に入力すれば、テレビ放送の視聴が可能となる。また、上述したように、中継用ブースター23は、信号バイパス装置1及び同軸線を介して分配器22及び分配器24と接続されている。
【0015】
信号バイパス装置1は、中継用ブースター23が分配器22側から分配器24側への一方向しか信号を伝送しないため、居室R3及び居室R4においてもホームゲートウエイ31から同軸線に送信される信号がアンテナ33に到達するために設けられている。図1に示す通信システムでは、放送信号を各居室R1〜R4に伝送する同軸線を介して、無線信号を伝送することにより、壁越しでの無線通信において生じる無線信号の減衰を生じさせることなく、各居室R2〜R4における無線通信を可能としている。これにより、居室R1に位置するホームゲートウエイ31からの無線信号を居室R2、R4において受信しにくい場合であっても、コンピュータ35、36は無線信号を送受信することができる。
【0016】
図2は、本実施形態における信号バイパス装置1の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、信号バイパス装置1は、2つの帯域制御装置10A、10Bと伝送線17とを有している。帯域制御装置10Aは、分配器22と接続されている。また、帯域制御装置10Aは、中継用ブースター23と接続されるとともに、伝送線17を介して帯域制御装置10Bと接続されている。帯域制御装置10Bは、分配器24と接続されている。また、帯域制御装置10Bは、中継用ブースター23と接続されるとともに、伝送線17を介して帯域制御装置10Aと接続されている。伝送線17には、例えば同軸線やフィーダー線などが用いられる。
【0017】
帯域制御装置10Aは、分配合成器11、低周波数帯通過フィルタ12、及び、高周波数帯通過フィルタ13を有している。分配合成器11は、分配器22から同軸線を介して入力される信号を、低周波数帯通過フィルタ12と高周波数帯通過フィルタ13とに分配する。低周波数帯通過フィルタ12は、分配合成器11から入力される信号のうち、無線LANで用いられる周波数帯の信号などを減衰させ、放送信号に対応する周波数帯の成分を減衰させずに通過させて中継用ブースター23に出力する。高周波数帯通過フィルタ13は、分配合成器11から入力される信号のうち、放送信号に対応する周波数帯の成分などを減衰させ、無線LANで用いられる周波数帯の信号を減衰させずに通過させて、伝送線17を介して帯域制御装置10Bに出力する。
【0018】
また、高周波数帯通過フィルタ13は、伝送線17を介して帯域制御装置10Bから入力される信号のうち、放送信号に対応する周波数帯の成分などを減衰させ、無線LANで用いられる周波数帯の信号を減衰させずに通過させて、分配合成器11に出力する。分配合成器11は、高周波数帯通過フィルタ13から入力される信号を、分配器22へ出力する。
【0019】
帯域制御装置10Bは、高周波数帯通過フィルタ14、低周波数帯通過フィルタ15、及び、分配合成器11を有している。高周波数帯通過フィルタ14は、伝送線17を介して帯域制御装置10Aから入力される信号のうち、放送信号に対応する周波数帯の成分などを減衰させ、無線LANで用いられる周波数帯の信号を減衰させずに通過させて、分配合成器16に出力する。低周波数帯通過フィルタ15は、中継用ブースター23において増幅された放送信号を入力する。低周波数帯通過フィルタ15は、中継用ブースター23から入力された信号のうち、無線LANで用いられる周波数帯の信号などを減衰させ、放送信号に対応する周波数帯の成分を減衰させずに通過させて、分配合成器16に出力する。分配合成器16は、高周波数帯通過フィルタ14から入力される信号と、低周波数帯通過フィルタ15から入力される信号とを合成し、合成により得られた信号を分配器24に出力する。
【0020】
また、分配合成器16は、分配器24から同軸線を介して入力される信号を、高周波数帯通過フィルタ14と低周波数帯通過フィルタ15とに分配する。高周波数帯通過フィルタ14は、分配合成器16から入力される信号のうち、放送信号に対応する周波数帯の成分などを減衰させ、無線LANで用いられる周波数帯の信号を減衰させずに通過させて、伝送線17を介して帯域制御装置10Aに出力する。
【0021】
本実施形態の信号バイパス装置1は、上記の構成を有しているので、信号を一方向にしか伝送しない中継用ブースター23の前後において、分配合成器11と高周波数帯通過フィルタ13と伝送線17と高周波数帯通過フィルタ14と分配合成器16とからバイパス回路を形成する。信号バイパス装置1において形成されるバイパス回路は、分配合成器11から分配合成器16へ向かう方向とその逆方向とへの双方向に信号を伝送することができ、中継用ブースター23の影響を受けることなく、無線LANの無線信号を伝送することができる。
【0022】
図1に示したように、放送信号を各居室R1〜R4に供給するために設置されている同軸線及び分配器22、24や、各居室R1〜R4に備えられている端子T1〜T4などを、利用して無線LANの無線信号を伝送する場合に信号バイパス装置1を適用することにより、既に設置されている中継用ブースター23の影響を受けることなく、無線LANの無線信号を各居室R1〜R4に伝送することができる。また、居室R2、R4に位置するアンテナ32、33で受信した無線信号をホームゲートウエイ31に伝送することができる。その結果、建物においてテレビ放送等の受信信号を各居室で利用可能にするために既に設けられている同軸線に中継用ブースター23が設けられている場合においても、同軸線を介して無線通信の通信品質を向上させることができる。
【0023】
また、信号バイパス装置1においては、放送信号(低周波数帯の信号)を伝送する経路と、無線LANの無線信号(高周波数帯の信号)を伝送する経路とを分けている。これにより、中継用ブースター23において無線信号が増幅されることなく、ホームゲートウエイ31とアンテナ32、33との間で伝送されるので、無線信号が増幅されることにより、建物外の無線LAN機器に悪影響を及ぼしたり、無線信号に雑音などが含まれて無線LANの通信品質が低下したりすることを防ぐことができる。また、信号バイパス装置1では、中継用ブースター23において放送信号を増幅する際に発生する高調波成分を低周波数帯通過フィルタ15が抑圧するので、無線通信の通信品質を向上させることができる。
【0024】
また、中継用ブースター23を経由しない経路では、放送信号を伝送しないようにしているので、中継用ブースター23で増幅された信号と中継用ブースター23を経由しない経路の信号とが合成されて、互いの信号が干渉し合うなどの信号品質の低下を生じさせることなく、放送信号を伝送することができる。
【0025】
また、信号バイパス装置1は、2つの帯域制御装置10A、10Bと伝送線17とから構成されているので、建物内における中継用ブースター23の周辺の状態に応じた設置が可能となる。具体的には、帯域制御装置10Aと帯域制御装置10Bとの設置間隔を自由に選択できるので、信号バイパス装置1の設置が容易になる。
【0026】
図3は、本実施形態における信号バイパス装置1の変形例としての信号バイパス装置1の構成を示すブロック図である。変形例における信号バイパス装置1は、分配合成器11、低周波数帯通過フィルタ12、高周波数帯通過フィルタ13、低周波数帯通過フィルタ15、及び、分配合成器16を有している。なお、信号バイパス装置1Aにおいて、信号バイパス装置1(図2)と同じ部分に対しては同じ符号を付してその説明を省略する。
【0027】
信号バイパス装置1Aは、一体の装置として構成され、1つの高周波数帯通過フィルタ13を有している構成が、信号バイパス装置1の構成と異なっている。信号バイパス装置1Aは、信号バイパス装置1に比べて設置の自由度が低いが、一体の装置として構成され、高周波数帯通過フィルタが一つであるため、小型化が容易となっている。
【0028】
なお、実施形態においては、テレビ・アンテナ21で受信した放送信号を各居室R1〜R4に伝送するための同軸線を用いて、無線信号が到達する範囲を広げる適用例を示した。しかし、無線信号の伝送に同軸線以外の伝送線路を用いてもよいし、既に設置されている同軸線において他の信号(例えば、ケーブルテレビの信号など)が伝送されていてもよい。
【0029】
また、実施形態においては、建物内に1つの中継用ブースター23が設置されている構成を示したが、大きい建物などにおいて複数の中継用ブースター23が設置されている場合に、中継用ブースター23ごとに信号バイパス装置1、1Aが用いられることになる。また、実施形態においては、放送信号の周波数が無線信号の周波数より低い構成例を説明したが、放送信号の周波数が無線信号の周波数より高くてもよい。
【0030】
また、実施形態においては、建物内の同軸線において伝送される放送信号は、建物に設置されたテレビ・アンテナ21で受信した放送信号である構成例を示した。しかし、放送信号は、建物に設置されたテレビ・アンテナ21で受信した信号以外であってもよい。例えば、建物の外部からホームゲートウエイ31が受信する信号に放送信号が含まれていてもよい。このときは、ホームゲートウエイ31は、無線信号と放送信号とを同軸線に出力することになる。
【0031】
また、実施形態においては、端子T2にアンテナ32を接続し、端子T4にアンテナ33を接続する構成例を示した。しかし、端子T2や端子T4に無線信号を送受信できる送受信器と接続するようにしてもよい。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1、1A…信号バイパス装置
10A、10B…帯域制御装置
11、16…分配合成器
12、15…低周波数帯通過フィルタ
13、14…高周波数帯通過フィルタ
17…伝送線
4…外部ネットワーク
21…テレビ・アンテナ
22、24…分配器
23…中継用ブースター
31…ホームゲートウエイ
32、33…アンテナ
34、35、36…コンピュータ
41…テレビ受像機
R1、R2、R3、R4…居室
T1、T2、T3、T4…端子
図1
図2
図3