特許第6097277号(P6097277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097277
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】裏返し可能かつ密封可能な手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20170306BHJP
   A41D 19/04 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   A41D19/00 P
   A41D19/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-506558(P2014-506558)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-521843(P2014-521843A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012034320
(87)【国際公開番号】WO2012145559
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年4月15日
(31)【優先権主張番号】61/478,308
(32)【優先日】2011年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513005213
【氏名又は名称】サヴィル, タラ, ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】SAVILLE, Tara, J.
(73)【特許権者】
【識別番号】513005224
【氏名又は名称】セイル, マーク, ディー.
【氏名又は名称原語表記】SALE, Mark, D.
(73)【特許権者】
【識別番号】513005235
【氏名又は名称】パールソン, ジェイ, ビー.
【氏名又は名称原語表記】PAULSON, Jay, B.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】サヴィル, タラ, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】セイル, マーク, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パールソン, ジェイ, ビー.
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−188002(JP,A)
【文献】 特開2000−336509(JP,A)
【文献】 特開2009−280278(JP,A)
【文献】 特開2010−195459(JP,A)
【文献】 特公昭33−004134(JP,B1)
【文献】 実開昭48−026124(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00−19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏返し可能かつ密封可能な手袋の製造方法であって、
カフ部とスリーブ部と手部と外周縁とを備える前面パネルおよび後面パネルを形成する工程と
前記前面パネルの前記外周縁と、前記後面パネルの前記外周縁とを完全に封止する工程
前記前面パネルの前記カフ部と前記スリーブ部との間に前記前面パネルを貫通する開口を形成する工程と
オス部およびメス部が結合してなる押出成形部を備えるシール機構を、前記オス部および前記メス部が結合したとき、前記押出成形部が前記開口をシールするように、前記オス部および前記メス部の一方を前記前面パネルの前記カフ部に、前記オス部および前記メス部の他方を前記前面パネルの前記スリーブ部に接着することにより、前記前面パネルに取り付ける工程と、を含み、
前記前面パネルおよび前記後面パネルを形成する工程は、さらに、前記前面パネルおよび前記後面パネルの各前記カフ部に角部を形成する工程を含み、
前記角部は、それぞれ、前記外周縁の一部を構成するように、前記外周縁を封止することにより形成された封止部と、前記カフ部同士を連結する折り返し部とを接続し、前記封止部および前記折り返し部のそれぞれと鈍角を形成する前記手袋の製造方法。
【請求項2】
前記シール機構を前記前面パネルに取り付ける工程は、さらに、前記手袋を裏返したとき、または裏返していないときに、前記押出成形部が前記開口をシールすることができるように、前記オス部および前記メス部を前記前面パネルに接着する工程を含む請求項1に記載の手袋の製造方法。
【請求項3】
さらに、フィルムから前記前面パネルおよび前記後面パネルを形成する工程を含む請求項1に記載の手袋の製造方法。
【請求項4】
前記フィルムは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンよりなる群から選択されるプラスチックからなる請求項3に記載の手袋の製造方法。
【請求項5】
前記フィルムは、プラスチック、ゴム、ポリマー、綿、ウール、ナイロンおよび不織材料のうちの1つからなる請求項3に記載の手袋の製造方法。
【請求項6】
溶着により、前記前面パネルの前記外周縁と、前記後面パネルの前記外周縁とを完全に封止する請求項1に記載の手袋の製造方法。
【請求項7】
前記前面パネルの前記外周縁と、前記後面パネルの前記外周縁とを完全に封止する工程は、前記前面パネルの前記カフ部と、前記後面パネルの前記カフ部との間に折り目を形成する工程を含む請求項1に記載の手袋の製造方法。
【請求項8】
カフ部とスリーブ部と手部と外周縁と備える前面パネルおよび後面パネルと、
前記前面パネルの前記外周縁と、前記後面パネルの前記外周縁とを完全に封止する封止部と、
前記前面パネルの前記カフ部と前記前面パネルの前記スリーブ部との間において前記前面パネルを貫通する開口と、
前記前面パネルに設けられるオス部およびメス部を結合してなる押出成形部を備え、前記オス部および前記メス部が結合することにより、前記開口をシールするシール機構と、を有し、
前記オス部および前記メス部の一方は前記前面パネルの前記カフ部に、前記オス部および前記メス部の他方は前記前面パネルの前記スリーブ部に設けられていることを特徴とする裏返し可能かつ密封可能な手袋。
【請求項9】
前記前面パネルの前記カフ部および前記後面パネルの前記カフ部の端部同士を連結する折り返し部と、
前記折り返し部と前記封止部とを接続する角部と、を有し、
前記角部は、前記封止部および前記折り返し部とそれぞれ鈍角を形成する請求項8に記載の裏返し可能かつ密封可能な手袋。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
継続的な汚染問題として、血液由来病原体から動物の排泄物に至る、細菌に支配された固形廃棄物の処理または取り扱いが挙げられる。毎年、動物の排泄物に起因する危険性の高い細菌によって、浜辺や公園や河岸の閉鎖が強いられている。負傷したまたは死骸のネズミ、昆虫、トカゲ、鳥、カエルなどの捕獲または回収をする者は、病気や感染性病原体や寄生生物にさらされる。また、西ナイル熱の検査のために推奨されるような鳥の死骸の探索をする者は、汚染の危険にさらされる。汚染された肉やその他の食品を定期的に処分しなければならない者も数多い。また、証拠収集のため、または、洗浄することを必要とする物を保存するため、災害や流行病や惨事があった場所を片付ける者もいる。一般的に、それらの者は、保護手袋を着用して、固形廃棄物をビニール袋やゴミ袋に入れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
廃棄物を収容する容器が適切に密閉されていない場合、臭気や流体や病原体が漏れ出る可能性がある。密封性を有する袋を用いることは、これらの問題の解決手段になり得る。しかしながら、依然として、回収作業をする者を廃棄物にさらすことになるだろう。したがって、手袋と袋とを使用する、または、器用さは制限されるが、袋を手袋として使用して廃棄物を密封することになるだろう。さらに、ジップロックタイプの袋を手袋として使用するならば、使用前にその袋を裏返す必要があるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0003】
廃棄物への不慮の接触から人を保護し、廃棄物を包含し、廃棄物が漏れ出ないように密封できる低廉で、便利なツールは、多くの用途で使用可能である。器用さを追求した軽量プラスチックグローブと、収容容器として機能するスリーブと、廃棄物が漏れ出ることを予防するジッパータイプの閉鎖機構との組み合せは、もっとも効果的で、この種の製品のなかでも便利なグループに属するものである。
【0004】
現在、ジッパー付きの裏返すことができる手袋(グローブバック)という一般的概念は、10年以上の間、いくつかの形で提案されているが、今日に至るまで、市場で商業的に利用可能である、密封可能な手袋は存在しない。このような製品が市場に存在しない理由はいくつか考えられる。手袋を裏返す操作についての簡単な説明は、その理由を理解するのに役立つであろう。
【0005】
ジッパータイプの閉鎖機構を有する手袋(グローブバッグ)を衛生的な収納容器として機能させるために、まずは、その手袋を着用し、対象物を掴み、対象物を掴んだ状態で手を引き抜くことで手袋を裏返し、その掴んでいた対象物を手袋の中に配置する。そして、閉鎖機構を密封する。ここで、手袋を裏返すときに、一度結合したジッパー部が、180°回転することで、そのジッパー部(closure extrusions)が互いに結合しなくなり、操作不能となるという根本的な問題が現在に至るまで存在する。この問題を改善するための1つの解決手段として、手袋を着用する前に手袋全体を裏返しておくことが、1988年1月6日発行のUS Pat. 5,704,670(Donald Neil Surplus)に示されている。この特許文献では、「グローブバッグ(手袋)10の使い方は、その手袋を裏返し、図4のように手に装着すること」と開示されている。手袋を裏返すことは、不便で時間のかかることであるばかりでなく、軽量プラスチックグローブの指部を実際に裏返すことは、非常に困難である。また、それは、袋とその密封性の完成度を低下させてしまう。
【0006】
また、ジッパータイプの閉鎖機構は、「密封された」状態で製造されることにも注意しなければならない。手袋の製造過程で、その密封された閉鎖機構を有する袋を使用する前に裏返すことを考えると、以下の工程を必要とするだろう。第一に、ジッパータイプの閉鎖機構によって密封された袋を開封する工程が必要となる。第二に、その閉鎖機構を開封した袋を裏返すために、開口端を通してスリーブおよび手袋を引っ張るかあるいは空気を吹き込むことで袋を裏返し、最後に、手袋の形に切断する工程が必要となる。この製造過程におけるこれらの余分な工程は、余分な時間と余分なコストとを要する。この種の便利製品は、消費者が使用するために、製造時間を節約して低コストを実現しなければならない。
【0007】
2001年3月20日発行のUS Pat.No.6,203,080の先行技術は、この種の便利製品は、低価格製品でなければならないことを教示している。この080特許では、1990年7月3日発行のUS Pat.No.4,937,881、1996年10月29日発行のUS Pat.No.5,568,955および1987年2月4日発行のUS Pat.No.4,645,251に掲載される複雑な製品が引用されている。080特許は、製造過程はシンプルだが、消費者が製品を裏返して使用しなければならないという困難さが残っており、便利な製品とはいえない。裏返す作業を製造過程の中に取り入れるとなると、より多くの工程が必要となり、それによりコストが余分にかかり、製品の商業的な成功可能性を狭めるだろう。さらに、製造過程に裏返す作業を取り入れたとしても、裏返すことで反転した縫い目が抵抗となり、製品の取り扱いや箱詰め作業、出荷作業における問題を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、裏返し可能かつ密封可能な手袋の上部の実施形態を示す正面図である。
【0009】
図1B図1Bは、裏返し可能かつ密封可能な手袋の上部の図1Aとは別の実施形態を示す正面図である。
【0010】
図2図2は、裏返し可能かつ密封可能な手袋の上部の実施形態を示す斜視図である。
【0011】
図3図3は、裏返し可能かつ密封可能な手袋のカフ部にユーザーの手が挿入された状態を示す図である。
【0012】
図4図4は、裏返し可能かつ密封可能な手袋のカフ部にユーザーの手が挿入された状態を示す図である。
【0013】
図5図5は、カフ部が裏返された裏返し可能かつ密封可能な手袋を示す図である。
【0014】
図6図6は、裏返し可能かつ密封可能な手袋の手部の実施形態を示す図である。
【0015】
図7図7は、左右側面に曲線を有する裏返し可能かつ密封可能な手袋の実施形態を示す正面図である。
【0016】
図8図8は、図1Bの線Aに沿って示した断面図であり、当該手袋が裏返されていない状態で、結合したオス部およびメス部によりシールされた裏返し可能かつ密封可能な手袋のスリーブ部およびカフ部を示す図である。
図9図9は、図8の手袋の断面図において、当該手袋が裏返される際に、オス部およびメス部の結合が解除されている状態を示す図である。
図10図10は、図8の手袋のカフ部および手部の断面図において、当該手袋が裏返される際に、当該手袋の内側から手部が引き寄せられている状態を示す図である
図11図11は、図8の手袋の手部およびスリーブ部の断面図において、当該手袋が裏返された状態で、結合したオス部およびメス部により当該手袋がシールされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここに示す多目的衛生ディスポーザブル手袋の実施形態は、”front panel zip extrusion”または”in-field zip extrusion”と呼ばれる異なるタイプのシール(シール機構/シール部)を備えている。これらは、手袋のスリーブ(袖)の部分をなすフィルムからなる単一のパネルに接着(付着)される。このシール機構は、手袋の製造工程前に、ロールフィルム上に仮に取り付けることができる。このシール機構は袋の一方の面にのみ取り付けられている。そのため、対象物の回収に先だってカフ部(cuff portion/手袋の腕回り部分)だけを裏返した後にジッパーを係止可能にする反転工程が、従来のジップロックタイプのシール機構を有する場合に比べ、最終ユーザーにとって相当に簡単な工程となる。また、本発明のシール機構を有する手袋は、製造装置の稼働時間を短くできるため、最終ユーザーや消費者に対してコストをより下げることができる。また、本発明にかかる手袋はフラットで、かつ完全に密封された未使用の状態で消費者の手元に届くので、市場での需要を満たすであろう。
【0018】
図1Aは、多目的衛生ディスポーザブル手袋(裏返し可能かつ密封可能な手袋)の実施形態を示す。手袋10は、符号12で示すような内向きに傾斜した角部(relieved corners)を有する。この角部12は、90°すなわち直角であるよりも、45°程度の角度を有する。図1Aに示すように、角部12は、当該手袋の外周縁の一部を構成するように、この外周縁に形成された封止部20および折り返し部18を接続し、封止部20および折り返し部18のそれぞれと鈍角を形成する。これにより、角部12における負荷が少なくなり、手袋を機械的に裏返すことを容易にする。さらに、封止部20の切断および密封をすると同時に、これらの角部12の切断および密封を行うことができる。
【0019】
この実施形態において、シール機構(ジッパー型パネルシール(zipping panel closure))は、フィルムシート22に接着される。シール機構は、押出成形により形成されたオス部およびメス部が結合した押出成形部(mated extrusion/シール部)14と、ミシン目を有するアクセス部(perforated access)17と、このアクセス部17に設けられたタブ部16とを有する。ユーザーは、タブ部16からアクセス部17のミシン目を破り、アクセス部17の残りの部分を分離し、オス部およびメス部が結合した押出成形部14のラインを露出させる。このオス部およびメス部が結合した部分(押出成形部/シール部14)は、カフ部の内側に位置し、タブ部16は、後述するように、ユーザーがこのオス部およびメス部が結合した部分を分離することを可能とする。
【0020】
以上のようなシール機構を有することで、消費者の手元に届く製品を、フラットでかつ包装や取り扱いを容易とした密封された製品とすることができる。さらに、手袋パネルの内部表面は、アクセス部17が開かれるまで、手に触れることのない状態である。従来技術にあるような、手袋が「オープンエンド」になっている場合には、均一な寸法および構造を維持することが困難であり、それにより製造工程および包装工程における製品の取り扱いを妨げる。
【0021】
手袋が完全に裏返されると、押出成形部14は簡単に密封でき、再度開封することは非常に困難となる。なぜなら、シール部を開けるための蓋(タブ部)が、今は裏返され、袋の内側にあるからである。このことは、汚染の可能性があるもの(対象物)が入れられ、他の者や環境に接触しないようにする製品(手袋)についての重要な考慮事項である。
【0022】
本発明のシール機構は手袋の一方の側に設けられているが、ユーザーは、左右どちらの手でも本発明にかかる手袋を使用することができる。この前面パネル上のシール機構の配置および向きは、手袋の望ましい操作を可能とする。タブ部16およびアクセス部17は、押出成形部14と指部(手部)との間に設けられたとき、一般的に良く働く。一方、押出成形部14と折り返し部18との間に設けることもできるが、望ましい機能を発揮しない可能性がある。前者のような配置が、シール機構を結合させてシールする過程における使い勝手を促進する。
【0023】
手袋の外周縁は、後に詳述するが、タブ部16がアクセス17のミシン目を破るまで、閉じた状態のままである。手袋が閉じた状態にあることで、使用前の手袋の衛生を保ち、ユーザーにとっての利点となる。閉じられた手袋部は、折り返し部18と封止部20とから構成される。アクセス部17のミシン目が破られるまで、折り返し部18も同様に密封された状態のままである。手袋は、さらにカフ部(cuff portion)24で構成される。さらなる図面により、カフ部24の構成がより明確になるだろう。
【0024】
本発明の手袋はフィルムシート22から形成される。フィルムシート22は、多くの異なるプラスチックのうちの1つからなり、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のうちの1つを含むが、これらに限定されない。あるいは、手袋(グローブバッグ)の材料は、プラスチックやゴムや、種々のポリマーからなる不織材料、または、綿、ウールやナイロンなどの織布、または、スパンレース若しくは水流交絡繊維や天然若しくは人造材料で作られた機械的若しくは化学的に結合した繊維等からなる不織材料を含む任意の材料であってもよい。一般的に、漏れ防止材は、手袋(グローブバッグ)の中に入れられるもの(対象物)がいかなるものであっても、悪臭や流体の漏れを防止するだろう。しかしながら、これにより、漏れ防止剤の基材が制限されることはない。事実、手袋と人の皮膚とが接触する医療用途における手袋は、患者の快適性を促進し得る軟質材料からなる。
【0025】
図1Bは、手袋の外縁まで延在していないシール機構(zipping closure)26を設けた手袋の実施形態を示す図である。このシール機構26は、手袋の前面パネル222にのみ取り付けられているため、手袋の外縁まで延在することを必要としない。
【0026】
図2は、手袋(グローブバッグ)の斜視図である。この図では、タブ部16を引っ張ってアクセス部17のミシン目を破ることによって、カフ部24が前面パネル222から解放される。タブ部16をさらに引っ張ることで、押出成形部14がメス部142およびオス部144それぞれ分離される。この状態から、カフ部24が、メス部142とともに折り返し部18を超えて裏返され、後面パネル224のカフ部を部分的に覆う。これ以降、手袋を着用する準備が可能となる。
【0027】
図3は、ユーザーがカフ部24の内側に指を挿入した状態を示す図である。これは、ユーザーがアクセス部17のミシン目を破った後の状態である。タブ部16をさらに引っ張ることで、押出成形部(シール部)14がメス部142およびオス部144に分離する。
【0028】
図4は、ユーザーがカフ部24に指を挿入し、カフ部24を裏返している状態を示す図である。ユーザーは、折り返し部(軸または縁)18に対してカフ部24をメス部(またはオス部)とともに裏返すことになる。
【0029】
図5は、カフ部24を裏返した結果生じる開口31を示す図である。矢印30は、手を挿入する方向を示す。一旦、カフ部24が裏返されると、開口31が折り返し部18とオス部144との間に形成される。その後、ユーザーは、希望するものを回収するために手を挿入することができる。挿入した手によって手袋を介して希望するものを掴むと、開口31を通して回収するものを掴んだままの手を後ろに引き、手袋を裏返すことができる。そして、メス部142とオス部144が再度整列し、密封するための準備が整う。一旦密封されると、タブ部16が手袋の内側に配置され、もはや押出成形部14がメス部142およびオス部144に分離するのを補助することは不可能であるので、押出成形部14が、再度開封されることは非常に困難である。
【0030】
図6は、手袋の手部を示す図である。この実施形態は、四本の指と親指とを有する。しかしながら、ユーザーが関心のある任意のものを扱うとともに掴む能力を確保するために、手部は、一般的なサイズである。手の形状は、大、中、小、または子供用や大人用など、異なるサイズを有してよい。また、様々な特殊用途のためのインナー手袋の使用を容易にするため、オーバーサイズで構成されていてもよい。
【0031】
対象物を扱いかつ掴むことを許容するための手の形状は、実施形態の範囲を限定することはなく、そのように限定する示唆もない。本発明にかかる手袋(グローブバッグ)は別の手の形状を有していてもよい。各図に示されているかどうかに関らず、任意の機能または変化が、すべての実施形態に適用されることに留意すべきである。手の形状は、ミトンハンド形状から構成されていてもよい。その他の手の形状として、二本指、三本指または四本指を有する手の形状から成っていてもよい。手の形状に関する用語の「指」は、実際に指一本のことを含むだけでなく、複数本であってもよい。指の部分は、手の形状のメインまたは手の平部分とは別の部分である。
【0032】
手の形状は、グリップ性能を加えるために、線状隆起または隆起部(raised or lined ridges)を有していてもよい。これらは、手の形状をスタンピングする前に、スプレー法またはコーティングプロセスによってプラスチックへ適用することができる。線状隆起以外の構造を設けることは可能であり、ドット形状、「x」形状および他の幾何学的形状などを含むが、これらに限定されない。
【0033】
シール機構は、プラスチックのフィルムロールに適用することができる。製造中に、このフィルムは、図6に示した手の形状ように切断し、シールすることができる。図7は、カフ部33とスリーブ部34と手部35とを有する裏返し可能かつ密封可能な手袋の実施形態を示す正面図である。図7は、プラスチックフィルムの「長方形」内に設けられた手の形状の一例を示す。角部12から延びる輪郭32は、地面から何かを拾うときのように、ユーザーの腕が、下向きに保持される場合に、回収処理の過程で、手袋(グローブバッグ)がユーザーの手から滑り落ちるのを防ぐことを補助する。対象物を掴んだときに親指の位置をその対象物の下側に設ける、すなわち、親指とその他の指とを同じ面に設けないことで、素材による突っ張りが軽減される。
【0034】
製造過程において、フィルムロール上で第一のパネルに、ミシン目を有したアクセス部17が設けられる。この時、結合された状態(シールされた状態)のメス部142およびオス部144(すなわち、押出成形部)が、第一のパネルに取りつけられる。袋部を形成するために、第二のパネルフィルムが、第一のパネルに重ね合わせられるか、または、第一のパネルが折り曲げられる(この時、カフ部が形成されるまで折り曲げる。)。第二のパネルを形成するために、第一のパネルを折り曲げることは、カフ部がシームレスになるという利点をもたらす。図7に示すように手部は、フィルムロールを切断および密封し、または、それを溶着して形成することができる。その後、各手袋は、フィルムロールから分離される。
【0035】
前述したように、手袋(グローブバッグ)は、ユーザーに、密封性と非汚染性とを提供する。図8は、図1をA線で切ったときの袋の断面図である。押出成形部14は、前述のように、メス部142およびオス部144を有する。図8には、この特定の配置が示されているが、これらの配置は逆であってもよい。図8は、図1Aからアクセス部17のミシン目が破られたことを除いて、ユーザーが手袋(グローブバッグ)を受け取ったときの状態を示す図である。
【0036】
図9は、カフ部24が、メス部142とともに折り返し部18を軸点として、矢印40の方向に裏返された状態を示す図である。押出成形部14の2つの部分(オス部およびメス部)は、この時点では、両方とも外側を向いている。図10は、袋部の底部が、矢印42の方向に開口31を通って引き戻されることを示す図である。図11は、袋部の底部が矢印42の方向に向いており、かつ、ユーザーによって手袋(グローブバッグ)の内部に取り入れられた対象物を密封するために、メス部142およびオス部144が結合している図である。
【0037】
上記実施形態は、従来技術に比べていくつかの利点を有する。たとえば、すべての外周端部がシールされているため、平らな製品となり、包装を最も効率的とすることができる。また、製品を完全に密封された状態で顧客に配送するため、手袋(グローブバッグ)の内側は、未使用状態、すなわち、使用前に汚染されていない状態を確保している。
【0038】
別の利点として、手袋を裏返し、その内部に対象物を一度密封すると、再び開封することが非常に困難であることが挙げられる。主に汚染物を拾い上げるために設計された現在の解決手段では、再度の開封を予防する、または、少なくとも遅らせることで、他の者または環境への更なる汚染を排除する。
【0039】
ここで説明された実施形態は、製品を製造するための余分なツールをほとんど必要としないため、現在の解決手段よりも低コストで製造することができ、実用化に資する。
【0040】
このような多目的衛生ディスポーザブル手袋の使用用途は数多くある。たとえば、.魚や肉を容易に片付けることを可能とし、嘔吐物、尿、油、接着剤などを容易に処分でき、ペーパータオルを用いて非衛生的な汚物を衛生的に取り扱うことを可能とする。また、おむつの清掃若しくは処分、動物の排泄物の清掃若しくは処分、便器の清掃作業における消臭剤「ミント」の処分等、灰皿の洗浄、ホテルの清掃、公衆トイレの女性用衛生用品の処分、あらゆる公共交通機関での清掃、保育所や病院における清掃、ネズミ捕りのような害虫駆除における体液や残骸の処分などに利用できる。このような手袋(グローブバッグ)を使用する可能性のある組織としては、家庭、保育所、事業所、緊急対応機関、病院、軍事機関、世界保健機関(WHO)、米連邦緊急事態管理局、アメリカ赤十字、国際連合、疾病管理センター、運輸保安局、刑務所などがある。
【0041】
密封可能なディスポーザブル手袋の特定の実施形態について説明してきたが、そのような具体的な参照は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11