特許第6097279号(P6097279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097279体外血液回路において血液を処理するための複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097279
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】体外血液回路において血液を処理するための複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A61M1/16 107
【請求項の数】28
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-508420(P2014-508420)
(86)(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公表番号】特表2014-518685(P2014-518685A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】US2012034067
(87)【国際公開番号】WO2012148752
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】13/097,301
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】オルセン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ノール ジョン エル
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−260151(JP,A)
【文献】 特開平05−086537(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0274170(US,A1)
【文献】 特表2003−520617(JP,A)
【文献】 特開昭63−236502(JP,A)
【文献】 特開平07−088178(JP,A)
【文献】 特開昭61−222511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液回路で血液を処理するための複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内で保持された酸素供給器であって、内部コアに対してらせん状に巻かれた複数の中空の微小孔性ファイバーを備え、酸素供給器の外面を形成する酸素供給器バンドルを規定する酸素供給器と、
前記酸素供給器の外面に直接配置されたデプスフィルターであって、前記酸素供給器外面に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第一のフィルター層と、前記酸素供給器の外面に対向する前記第一のフィルター層に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第二のフィルター層とを規定するように配置された複数のフィラメントを備えるデプスフィルターと、を備え、
前記酸素供給器のバンドルの構造は、ファイバーおよびフィラメントの材料、ファイバーおよびフィラメントの構成、ならびにファイバーの軸方向に隣接するものの間およびフィラメントの軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔からなる群より選択される少なくとも1つの特徴が、前記デプスフィルターの構造とは異なる、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記フィラメントの外径が、前記ファイバーの外径未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フィラメントの外径が、300ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記フィラメントが、中空のフィラメントであり、前記フィラメントの内径が前記ファイバーの内径未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記フィラメントが中実である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記フィラメントが中空のフィラメントおよび中実のフィラメントを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ファイバーが、第一の材料から形成され、前記フィラメントが、前記第一の材料とは異なる第二の材料から形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第一のフィルター層の軸方向に隣接するフィラメントの間の最小ギャップ間隔が、前記酸素供給器バンドルの軸方向に隣接するファイバーの間の最小ギャップ間隔未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第一のフィルター層の軸方向に隣接するフィラメントの間の最小ギャップ間隔が、40ミクロン以上である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デプスフィルターの充填率が、前記酸素供給器外面の充填率よりも大きい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記フィラメントが、酸素供給器バンドルの上に巻かれる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記フィラメントがマットに編まれ、さらに前記マットが前記酸素供給器の外面上に巻き付けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記フィラメントが二重横糸テープに編まれ、さらに前記二重横糸テープが、前記酸素供給器外面の上に適用される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ハウジングが、入り口および出口を備え、かつ血流路を、前記入り口から、酸素供給器バンドルを通じて半径方向に、デプスフィルターを通じて半径方向に、前記出口へ規定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デプスフィルターが、半径方向に蛇行状の血流路を確立する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記デプスフィルターのフィラメントがさらに、
前記第一のフィルター層と対向する前記第二のフィルター層に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第三のフィルター層と、
前記第二のフィルター層と対向する前記第三のフィルター層に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第四のフィルター層と、を規定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記酸素供給器バンドルが、前記酸素供給器バンドルを通って流れる静脈血から二酸化炭素を除去するように構成されており、前記デプスフィルターが、前記デプスフィルターを通って流れる血液から粒子状および気体状の微小塞栓を除去するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第一および第二のフィルター層が各々、平坦な交差巻きフィラメントから構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
体外血液回路であって、
患者から静脈血を受容するための静脈ラインと、
患者へ血液を送達するための動脈ラインと、
複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスであって、
静脈ラインに対して液体的に接続された入り口側と、動脈ラインに対して液体的に接続された出口側とを有しており、前記デバイスは、
ハウジングと、
前記ハウジング内で保持される酸素供給器であって、内部コアに対してらせん状に巻かれた複数の中空の微小孔性ファイバーを備え、酸素供給器の外面を形成する酸素供給器バンドルを規定する酸素供給器と、
前記酸素供給器外面に直接配置されたデプスフィルターであって、前記酸素供給器外面に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第一のフィルター層と、前記酸素供給器外面に対向する前記第一のフィルター層に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第二のフィルター層とを規定するように配置された複数のフィラメントを備える、デプスフィルターと、を備え、
前記酸素供給器のバンドルの構造は、以下:ファイバーおよびフィラメントの材料、ファイバーおよびフィラメントの構成、ならびにファイバーの軸方向に隣接するものの間およびフィラメントの軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔からなる群より選択される少なくとも1つの特徴によって前記デプスフィルターの構造とは異なる、
ことを特徴とする体外血液回路。
【請求項20】
前記回路が、前記デバイスと前記動脈ラインとの間に追加的な動脈フィルターがないことによって特徴づけられる、請求項19に記載の体外血液回路。
【請求項21】
前記中空ファイバーに対して液体的に連結され、かつ前記フィラメントに対して液体的に閉じているガスの供給源をさらに備える、請求項19に記載の体外血液回路。
【請求項22】
体外血液回路で血液を処理するための、複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスを作製する方法であって、
内部コアの周囲に複数の中空微小孔性ファイバーをらせん状に巻いて、酸素供給器外面を形成する酸素供給器バンドルを規定することと、
前記酸素供給器外面上に直接デプスフィルターを適用することであって、前記デプスフィルターは、前記酸素供給器外面に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第一のフィルター層と、前記酸素供給器外面に対向する前記第一のフィルター層に直接隣接する平坦に巻かれたフィラメントの第二のフィルター層とを規定するように配置された複数のフィラメントを備え、
ここで、前記酸素供給器のバンドルの構造は、以下:ファイバーおよびフィラメントの材料、ファイバーおよびフィラメントの構成、ならびにファイバーの軸方向に隣接するものの間およびフィラメントの軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔からなる群より選択される少なくとも1つの特徴によって前記デプスフィルターの構造とは異なる、ことと、
前記酸素供給器バンドルおよびデプスフィルターをハウジング内に配置することと、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
デプスフィルターを適用することが、前記酸素供給器バンドルの上に複数のフィラメントをらせん状に巻きつけて、平坦に交差巻きされたフィラメントから各々が構成される第一および第二のフィルターを確立することを備えている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の中空の微小孔性ファイバーをらせん状に巻くことが、中空ファイバーを有する巻き付け装置のファイバーガイドを貫通させることと、前記ファイバーガイドに対して内部コアを回転させることとを包含し、さらにここで、前記複数のフィラメントをらせん状に巻くことが、
前記ファイバーガイドから中空ファイバーを取り除くことと、
前記フィラメントの少なくともいくつかを前記ファイバーガイド中に貫通させることと、
前記ファイバーガイドに対して前記内部コアを回転させることと、を備えている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記フィラメントの外径が、前記ファイバーの外径よりも小さい、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記フィラメントが中実である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記ファイバーが、第一の材料から形成され、かつ前記フィラメントが、前記第一の材料とは異なる第二の材料から形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記第一のフィルター層の軸方向に隣接するフィラメントの間の最小ギャップ間隔が、前記酸素供給器バンドルの軸方向に隣接するファイバーの間の最小ギャップ間隔未満である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、体外血液回路、システム、および使用方法に関する。さらに具体的には、体外血液回路で血液を酸化して濾過するためのデバイス、およびこのようなデバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体外血液回路は、患者の循環系の静脈部分から血液を(静脈カニューレを介して)吸引して、その血液を(動脈カニューレを介して)動脈部分に戻すための心肺バイパスの間に通常は用いられる。体外血液回路は一般には、静脈ドレイナージまたは戻りライン、静脈血リザーバ、血液ポンプ、酸素供給器(oxygenator)、動脈フィルター、および血液輸送配管、ポートおよび構成要素を接続する接続ピースを備える。図1に示すように、いくつかの先行技術の体外血液回路は、患者10から静脈戻りライン12を介して静脈血を排出する。開心術の血液および術野の細片は、患者10から、開心術ポンプ18によってポンピングされる吸引デバイス16によって開心術リザーバ20に吸引される。静脈戻りライン12からの静脈血、同様に、脱泡され濾過された、開心術リザーバ20由来の開心術血液は、静脈血リザーバ22中に放出される。静脈血中に捕捉された空気は、静脈血リザーバ22の中の血液の表面に上り、パージライン24を通じて大気中に排気される。静脈血ポンプ26は、静脈血リザーバ22から血液を吸引して、それを、酸素供給器28および動脈血液フィルター29を通じてポンピングする。動脈ライン14は、酸素化され濾過された血液を、動脈ライン14に連結された動脈カニューレ(図示せず)を介して、患者の動脈系へ戻す。
【0003】
体外血液回路の酸素供給器の構成要素は周知である。一般的に言って、酸素供給器は、患者の肺の正常なガス交換機能を部分的にまたは完全に引き継ぐ。微小孔性の膜を使用する酸素供給器では、血液を患者から採って、膜の片側で酸素供給器を通じて循環させる。同時に、酸素化ガスは、膜の他方で酸素供給器を通過させられる。二酸化炭素は、血液から微小孔性の膜を横切って、酸素化ガスの通過ストリーム中に拡散する。同時に、酸素は、酸素化ガスから膜を横切って血液中に拡散する。循環する血液は、それによって二酸化炭素含量が減り、酸素が富化されて、患者に戻される。1つのポピュラーな種類の膜型人工肺(membrane oxygenator)は、中空ファイバー酸素供給器と呼ばれ、米国特許第4,239,729号明細書に概略的に図示されている。中空ファイバー酸素供給器は、ハウジング内に配置された、多数の(典型的には、何万の)微小孔性のまたは半透性の中空ファイバーを使用する。これらの中空ファイバーは、ハウジングの端壁でシールされ、スカート状のエンドキャップとフィットされる。エンドキャップの一方は、入り口と適合され、もう一方のエンドキャップは、出口と適合される。ハウジングの末梢壁は、端壁の一方の内側に位置する入り口、およびもう一方の端壁の内側に位置する出口を有する。酸素化ガスは、入り口を通じてデバイスに入り、中空ファイバーの管腔を通過し、出口を通ってデバイスを出る。二酸化炭素は、ファイバーの壁を通り、中空ファイバーの外面を超えて、血流から酸素化ガスのストリーム中に拡散することが理解される。同時に、中空ファイバーの管腔を通じて流れる酸素化ガスからの酸素は、ファイバーの壁を通り、ファイバーに対して血流の中へ拡散して、血液を酸素化する。
【0004】
中空ファイバー酸素供給器を形成するための十分受け入れられた技術とは、例えば、米国特許第4,975,247号明細書に記載のように、内部支持コアに対してファイバーのリボンをらせん状巻くことである。ファイバーの得られた環状の「バンドル」を通じた血流は、半径方向に外側、軸方向、円周方向などのような種々の方向であってもよい。半径方向に外側への流動デザインでは、米国特許第5,462,619号明細書は、改善された巻きつけ技術であって、所望の圧力低下および最低限の凝固リスク(段階的な充填率による)を提供する技術を記載している。Medtronic,Inc.,から、商品名Affinity(登録商標)NT Oxygenatorとして入手可能な酸素供給器製品は、段階的な充填率を伴うらせん状に巻いた中空ファイバー酸素供給器の一例である。
【0005】
本開示の目的のために、充填率(packing fraction)は、ファイバー(またはフィラメント)が占めるバンドルの間隔の単位容積の比を意味するものと規定される。充填率は、当該分野で公知の方法で決定され得、この方法としては、ファイバー(またはフィラメント)の間の間隔を、単位容積が公知の液体でプライムされるときの重量増加で測定する従来の方法が挙げられる。半径方向に外側に位置する特定の領域またはゾーンの充填率は、その領域またはゾーンの半径方向に内側の半径方向の境界で対応する巻きつけプロセスを停止すること、およびその段階で充填率を決定すること、次いでこの巻きつけプロセスをこの領域またはゾーンの外側の半径方向境界まで続けること、およびその段階で充填率を決定することによって決定され得る。当該分野で公知の計算によって、先の2つの値を用いてその領域またはゾーンの充填率を決定する。
【0006】
動脈フィルターもまた周知であり、空気の取り扱いおよび血液濾過に適切な種々の形態をとり得る。一般的に言って、従来の動脈フィルターデバイスは、フィルターハウジング内に1つ以上のスクリーン型のフィルターを備え、これは複合して、約20〜40ミクロン以上程度の大きさの粒子(例えば、塞栓)を捕獲して除去し、および特定のサイズより大きい気体の微小塞栓を捕捉して塞栓が患者に到達しないように妨げる。これらの塞栓は、小さい動脈、細動脈および毛細管を詰まらせて、組織または臓器の小さいかまたは大きいエリアに十分な血流が流れることを妨げることによって患者に重大な害を生じ得る。公知の動脈血フィルターの例は、米国特許第5,651,765号明細書および同第5,782,791号明細書に記載される。動脈血液フィルターはまた、Medtronic,Inc.から商品名Affinity(登録商標)Arterial Filterとして入手可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
慣習的に、動脈フィルターデバイスは、酸素供給器デバイスの下流(または上流)の体外回路内に、配管によって液体的に接続される。体外血液回路の一部として別々の酸素供給器および動脈フィルターデバイスの実行は十分許容されるが、なんらかの懸念が生じる。動脈フィルターは典型的には、200ml(またはそれ以上)のプライム容積を体外血液回路に加え、この追加されたプライム容積は、患者の血液希釈の増大をもたらし得るので望ましくない。評価基準として、回路を「プライム」するために体外血液回路中にポンピングされる血液および/またはプライム溶液の容積は、「プライム容積(prime volume)」と呼ばれる。典型的は、体外血液回路は、プライミングの前にCO2で最初にフラッシュされる。このプライミングは、血液導入前に外因性のCO2ガスを、体外血液回路からフラッシュする。プライム容積が大きいほど、患者の血液と混合する体外血液回路中に存在するプライム溶液の量が大きくなる。血液およびプライム溶液の混合は、血液希釈を生じ、これは不利であってかつ望ましくない。なぜなら、赤血球の相対濃度は、患者に対する有害効果を最小限にするために外科的手順の間維持されなければならないからである。従って、体外血液回路のプライム容積(従ってプライム溶液の必要な容積)を最小限にすることが所望される。
【0008】
上記に照らして、従来の酸素供給器および動脈フィルター構成要素と少なくとも釣り合う、酸素化、ならびに動脈濾過特性を提供しながら、体外血液回路のプライム容積に対する全体的な影響を最小限にする体外血液回路デバイスが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
要旨
本発明の開示の原理によるいくつかの態様は、体外血液回路中で血液を処理するための複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスに関する。このデバイスは、ハウジング、酸素供給器およびデプスフィルターを備える。この酸素供給器はハウジング内に保持され、かつ内部コアに対してらせん状に巻かれた複数の中空の微小孔性ファイバーを備えて、酸素供給器の外面を形成する酸素供給器バンドルを規定する。このデプスフィルターは、酸素供給器外面に直接配置され、かつ平坦に巻かれたフィラメント(例えば平坦交差巻きのフィラメント)の第一および第二のフィルター層を規定するように配列された複数のフィラメントを備える。この第一の層は、酸素供給器外面に直接隣接し、かつ第二のフィルター層は酸素供給器外面に対抗する第一の層に直接隣接している。酸素供給器のバンドルおよびデプスフィルターは両方とも、環状であって、これが共通の中央軸を規定する。それにもかかわらず、この酸素供給器のバンドルの構造は、以下:ファイバーおよびフィラメントの材料、ファイバーおよびフィラメントの構成、ならびに/またはファイバーの軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔およびフィラメントの軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔からなる群より選択される少なくとも1つの特徴によって前記デプスフィルターの構造とは異なる。いくつかの実施形態では、デプスフィルターフィラメントの外径は、酸素供給器バンドルファイバーの外径未満である。他の実施形態では、デプスフィルターフィラメントのいくつかまたは全てが中実である。さらに他の実施形態では、酸素供給器バンドルファイバーは、第一の材料から形成され、かつデプスフィルターフィラメントは、この第一の材料とは異なる第二の材料から形成される。さらに他の実施形態では、第一のフィルター層の軸方向に隣接するフィラメントの間の最小ギャップ間隔は、酸素供給器バンドルの軸方向に隣接するファイバーの間の最小ギャップ間隔未満である。デプスフィルターのフィラメントは、酸素供給器バンドルの上に巻かれてもよい。あるいは、フィラメントは、マットに編まれてもよく、または酸素供給器の外面上に適用された二重横糸テープに形成されてもよい。これらの構築物のいずれかでは、組み込まれた動脈フィルター能力を有する酸素供給器は、物理的に酸素供給器を別に設けられた従来の動脈フィルターデバイスと比較して、外側の表面積が小さくなっており、対応する体外血液回路(例えば、25ml未満程度)のプライム容積に対する影響が小さくなっている。
【0010】
本発明の開示の原理によるさらに他の態様は、静脈ライン、動脈ライン、ならびに複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスを備える体外血液回路に関する。この複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスは、入り口側および出口側を形成する。この入り口側は、静脈ラインに対して液体的に接続され、これが次に患者からの血液を(例えば、ポンプを介して)受容するように配置される。反対に、出口側は、動脈ラインに対して液体的に接続されて、これが次に血液を患者に送達するように配置される。この複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスは、上記のように酸素供給器バンドルおよびデプスフィルターを備える。いくつかの実施形態では、この体外血液回路は、複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスと動脈ラインとの間に追加の動脈フィルターがないことによって特徴づけられる。
【0011】
本発明の開示の原理によるさらに他の態様は、体外血液回路で血液を処理するための、複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスを製造する方法に関連する。この方法は、内部コアの周囲に複数の中空の半透過性ファイバーをらせん状に巻いて、酸素供給器外面を形成する酸素供給器バンドルを規定することを包含する。デプスフィルターは、酸素供給器外面の上に直接、およびそれと接触して適用され、このデプスフィルターは、平坦に巻かれたフィラメントの第一および第二のフィルター層を半径方向に配列するように規定するように配置された複数のフィラメントを備える。この第一のフィルター層は、酸素供給器の外面に隣接するが、この第二のフィルター層は、酸素供給器外面に対抗する第一のフィルター層に隣接する。結局、酸素供給器のバンドルの構造は、以下:酸素供給器バンドルファイバーおよびデプスフィルターフィラメントの材料、酸素供給器バンドルファイバーおよびデプスフィルターフィラメントの構成、ならびにデプスフィルターファイバーの軸方向に配列されたものの間の最小ギャップ間隔およびデプスフィルターフィラメントの軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔のうちの少なくとも1つによって上記デプスフィルターの構造とは異なる。いくつかの実施形態では、デプスフィルターを適用することは、酸素供給器バンドルの上に複数のフィラメントをらせん状に巻きつけることを包含する。関連の実施形態では、上記複数の中空ファイバーは、中空ファイバーを有する巻き付け装置のファイバーガイドを貫通させることと、ガイドチューブに対して内部コアを回転させることとによって、内部コアに対してらせん状に巻かれる。これらの実施形態では、引き続き複数のフィラメントをらせん状に巻くことは、ガイドチューブから中空ファイバーを取り除くことと、このガイドチューブ中に少なくともいくつかのフィラメントを貫通させることと、次いで、このファイバーガイドチューブに対して内部コアを回転させて、このフィラメントを酸素供給器バンドルに加えて、デプスフィルターを形成することと、を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、別々の酸素供給器および動脈フィルターデバイスを備える先行技術の体外血液回路の模式図である。
図2A図2Aは、本開示の原理による複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスの断面図であって、使用時のように垂直に配向されたデバイスを示している。
図2B図2Bは、本開示の原理による別の複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスの断面図である。
図2C図2Cは、本発明の開示の原理による別の複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスの断面図である。
図3A図3Aは、図2A図2Cのデバイスの酸素供給器バンドルおよびデプスフィルター構成要素の透視分解図である。
図3B図3Bは、図3Aの酸素供給器バンドルの一部の単純化した大きく拡大された上面図である。
図3C図3Cは、図3Aの酸素供給器の一部の断面の大きく拡大した図である。
図4A図4Aは、酸素供給器バンドルに加えられた図3Aのデプスフィルターを図示する、図2A図2Cのデバイスの一部の透視の大きく拡大された図である。
図4B図4Bは、図4Aのデプスフィルターの一部の断面の大きく拡大された図である。
図5図5は、本開示の原理による、図3Aの酸素供給器バンドルに対して図3Aのデプスフィルターを適用する巻きつけ装置の単純化した側面図である。
図6A図6Aは、図2A図2Cのデバイスで有用な別の実施形態のデプスフィルターの単純化された模式図である。
図6B図6Bは、図6Aのデプスフィルターの一部の拡大図である。
図7図7は、図2A図2Cのデバイスのデプスフィルターとして有用な二重横糸テープ(double weft tape)の単純化された模式図である。
図8図8は、図2A図2Cのデバイスで有用な別のデプスフィルターの断面の大きく拡大された図である。
図9図9は、本開示の原理による、図2A図2Cのデバイスを組み込んでいる体外血液回路の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本開示の原理による、複合型の血液酸素供給器および動脈フィルターデバイス30の一実施形態を、図2Aに示す。デバイス30は、ハウジング32と、酸素供給器34(全体を指す)と、動脈デプスフィルター36(全体を指す)とを備える。種々の構成要素に対する詳細は、下に示される。しかし、概略的には、酸素供給器34は、内部コア38を備え、これに対して酸素供給器バンドル40が形成されている。デプスフィルター36は、酸素供給器バンドル40上に直接配置され、ここでこのように構築された酸素供給器34およびデプスフィルター36は、ハウジング32内に含まれる。血液流路は、ハウジング32によって規定され、血流を半径方向に酸素供給器バンドル40、次いでデプスフィルター36を通じて指し向け、ここで酸素供給器バンドル40は、供給された静脈血の酸素化を促進し、デプスフィルター36は気体状および粒子状の微小塞栓を除去する。従って、デバイス30は、下記のように、体外血液回路内に挿入しやすく、体外回路のプライム容積に対する全体的な影響が最小限である必須の酸素化および濾過の能力が得られる。
【0014】
ハウジング32は、種々の形態を想定し得、一般には、外壁50、ガスヘッダーまたはキャップ52、および底部ヘッダーまたはキャップ54を備えるかまたは規定する。外壁50は、酸素供給器34およびデプスフィルター36を含むようにサイズ決めされ、一般的には円柱状であってもよい。ベース領域56では、任意の環状の偏心開放エリア58は、血液出口62を有する出口マニホールド60を形成するか、またはそれに対して液体的に接続される。他の任意の出口またはポート、例えば、サンプルまたは再循環ポート64は、マニホールド60によって提供されてもよいし、または外壁50にそっていずれかに適切に配置されてもよい。
【0015】
ガスヘッダー52は、外壁50のアセンブリするように構成され、ガス入り口66を備えるかまたは規定する。同様に、底部ヘッダー54は、ガスヘッダー52に対向する外壁50に対するアセンブリのために構成され、ガス出口68を形成するかまたは備えてもよい。底部ヘッダー54はまた、デバイス30への血流を指向するための血液エントランスまたは入り口70を備えるかまたは規定する。
【0016】
デバイス30は、底部ヘッダー54が適切な熱交換器72を備え、または担持してもよい。液体型の熱交換器72は、熱交換液体入り口74および熱交換液体出口76を備えて示され、ただし他の適切な熱交換デバイスが、デバイス30に組み込まれてもよく、例えば、電気的な加熱および冷却のデバイスが用いられてもよい。他の実施形態では、熱交換器72は省略される。例えば、図2Bは、本発明の開示の原理による別のデバイス30’を図示しており、これは、酸素供給器バンドル40と動脈性デプスフィルター36とをハウジング32’内に備える。デバイス30’は、熱交換器を備えない。逆に、図2Cは、本発明の開示の原理による別のデバイス30’’を図示しており、これは、酸素供給器バンドル40と動脈性デプスフィルター36とをハウジング32’’内に備えている。さらに、バンドルにされた熱交換器85が、酸素供給器バンドル40とコア38との間に配置される。
【0017】
図2Aに戻ると、上記で言及されるとおり、酸素供給器34は、内部コア38および酸素供給器バンドル40を備える。内部コア38は、一般的には円柱状の中空体であり、かつ酸素供給器バンドル40がその外面に巻きつく(そして支持する)ように構成されている。内部コア38は必要に応じて、酸素供給器バンドル40を有する堅固なアセンブリを促進する種々の特徴(例えば、リブ、フランジ、陥凹領域など)を組み込んでもよい。それにもかかわらず、内部コア38は、第一末端80で血液入り口70に対して液体開口されている中央の通路78を形成する。チャンバ82は、コア38の第二端84に隣接して形成されて、1または2つ以上のウインドウ(図示せず)によって内部コア38の外側に液体開口されており、これによって、図2Aに矢印で示されるように通路78から半径方向に外側に血液流路を決定する。
【0018】
酸素供給器バンドル40は、内部コア38に沿って位置する、らせん状に巻かれた、微小孔性の中空ファイバーの環状のバンドルである(一般的には、図2Aに記され、ただし、より詳細には、下の図3A図3Cを参照して特定される)。酸素供給器バンドル40の頂部末端および底部末端は、ハウジング32のそれぞれ、頂部末端および底部末端で、固められた埋め込み型構成86、88中に埋められている。ファイバー管腔は、それぞれ、上部および下部の埋め込まれた構成86、88の外面と連絡する。ガス入り口66を介して導入される酸素化ガスは、ガスヘッダー52中へ、中空ファイバーの管腔を通じ、下部の埋め込まれた領域88で中空ファイバーの対向する末端に下り、ガス出口通路68へ流れる。
【0019】
上記で本明細書に対して言及される埋め込みプロセスは、周知のファイバー埋め込みプロセスであり、ここでは埋め込み材料(例えば、ポリウレタン)は、遠心分離によって導入されて、その場で反応されることが理解されるべきである。他の適切な埋め込み材料を用いてもよい。適切なシーラントおよびガスケットは、ハウジング32中のジョイントで、例えば、頂部および底部のヘッダー52、54と外壁50との間のジョイントで用いられ得る。任意の適切な微小孔性のファイバーを、酸素供給器バンドル40中で用いてもよい。例えば、適切なファイバーは、Membrana of Charlotte,North Carolinaから、商品名CELGARD(商標)X30(200〜300ミクロンの大きさの外径)として入手可能な微小孔性のポリプロピレンファイバーである。
【0020】
酸素供給器バンドル40は、内部コア38の中央軸に対して半径方向に外側に延びる。このファイバーは、第一の方向では内部コア38の第一の末端80から第二の末端84へ内部コア38にそってらせん状に位置する(例えば、巻かれた)第一の複数のファイバーと、この第一の方向に対向する第二の方向で、従って、第二の末端84から第一の末端80へ、内部コア38のまわりにらせん状に配置される第二の複数のファイバーとを備えてもよい。酸素供給器バンドル40を生成するために内部コア38に対して微小孔性のファイバーを巻きつける種々の許容可能な方法は、米国特許第4,975,247号明細書および同第5,462,619号明細書(その両方の全体的な技術は参照によって本明細書に援用される)に記載される。例えば、米国特許第5,462,619号明細書に記載されるように、酸素供給器領域34を巻いて、酸素供給器バンドル40の内側半径から外側半径へ増大する段階的な充填率を規定してもよい。
【0021】
酸素供給器バンドル40の充填率特性にかかわらず、酸素供給器の外面100は、図3Aに示されるように、設けられる。酸素供給器外面100は、内部コア38に対向する酸素供給器バンドル40の末端面として規定される(説明を容易にするために、図3Aの図面からは省略したが、酸素供給器バンドル40に対するその位置は、一般的には示されている)。酸素供給器の外面100は一般的には環状であり、中空ファイバー102(その厚みまたは直径は、説明を容易にするために図3Aでは誇張される)の一連の軸方向にまたは長軸方向に隣接する巻きつけから構成される。上記の説明と釣り合って、中空ファイバー102の個々のものは、酸素供給器の外面100にそって、異なる巻きつけ方向に配置され得る。さらにいくつかの実施形態では、中空ファイバー102の選択されたグループ分けは、ファイバーのリボンとして同一の方向に集団として交差巻きつけされてもよい(例えば、米国特許第5,462,619号明細書に記載のように、6つの連続の中空ファイバーは、認識できるリボンとして集団として交差巻きつけされる)。そういうものとして、酸素供給器の外面100にそったファイバー102は全てではないが、正確に軸方向に配列されてもよい。例えば、図3Bは、正確に交差巻きされているファイバー102のリボン103を示しており、ここでは、各々が酸素供給器の外面100の一部を形成する、巻かれたファイバーリボン103のセグメント103a、103b、103cが露出されている。しかし、図3Cで反映されるとおり、最小ギャップ間隔104は、ファイバー102の軸的に隣接するファイバーの間で確立され、ここで最小ギャップ間隔104は、いくつかの実施形態で20〜70ミクロンの範囲であり、他の実施形態では、30〜60ミクロンの範囲であり、他の実施形態では、38ミクロンの大きさである。
【0022】
図3Aを再び参照すれば、デプスフィルター36は、下記のように、酸素供給器バンドル40を覆って直接適用されるかまたは形成されるように構築され、酸素供給器の外面100から半径方向に外側の外延として概して特徴づけられる。具体的には、デプスフィルター36は、酸素供給器の外面100にまたがって配置された複数のフィラメント110(全体を指す)を備える。フィラメント110は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのようなプラスチック樹脂からできていてもよく、中実のフィラメントおよび/または微小孔性の中空フィラメントであってもよい。フィラメント110は、材料、構造、または大きさに関して同一であってもよいし、なくてもよいが、いくつかの実施形態では、フィラメント110の最大外径は、200ミクロン以下であり、他の実施形態では、150ミクロン以下である。さらに他の実施形態では、フィラメント110の外径は、40〜50ミクロンの範囲である。
【0023】
フィラメント110の正確な構築物および/または材料にかかわらず、このフィラメントを、酸素供給器の外面100の上に配列して、図4Aに示されるように平坦な交差巻きフィルター層を規定する(図示を容易にするために酸素供給器バンドル40および酸素供給器の外面100を図4Aに模式的に示す)。図4Bでは、デプスフィルター36は、平坦巻きのフィラメントの少なくとも第一のフィルター層120と、必要に応じて平坦巻きのフィラメントの第二のフィルター層122と、この第二の層122上の平坦巻きのフィラメントのおそらく追加のフィルター層(図示せず)とを有する。この層120、122は環状であり、上記の中央の軸Cに対して配列され、ここではフィラメント110の種々のものが、中央の軸Cにそってらせん状に延びている。いくつかの実施形態では、フィラメント110は、層120、122の各々にそって異なる方向に延びて、その結果、この層120、122の各々は、平坦交差巻きフィラメントから構成される。あるいは、この層120、122の一方または両方のフィラメントは、交差巻きなしで平坦巻きされてもよい。図4Aおよび図4Bの構築物では、層120、122は、交差の−平坦巻きとして特徴付けられてもよいし、または平坦な複合巻きフィルター層120、122を計画してもよい。
【0024】
最小ギャップ間隔124は、第一および第二の層120、122の各々の内のフィラメント110の軸方向にまたは長軸方向に隣接するファイバーの間で確立される。「軸方向に隣接」および「長軸方向に隣接」という句は、本開示で用いる場合、お互いのすぐ上または下であり、中央軸Cに平行な平面で交差する中央ポイントを整列させている、2つのフィラメント(またはファイバー)を指す。従って、第一のフィルター層120に対して、軸方向にまたは長軸方向に隣接するフィラメント110a、110bは、124aで特定される最小ギャップ間隔を確立する。同様に、第二のフィルター層122のフィラメント110c、110dは、124bで特定された最小ギャップ間隔を確立する。本開示によって想定される特定の製造技術では、デプスフィルター36のいくつかの領域では、より大きいギャップが、軸方向に隣接するフィラメント110の間に存在し得ることが理解される。最小ギャップ間隔124の大きさを最小限にすることによって(例えば、40ミクロン程度の大きさに)、フィルター層120、122を通る半径方向の血流は、所定の大きさの微小塞栓についての透過効率を増強した。デプスフィルター36は、フィルター層120、122の2つを有することが記載されたが、他の実施形態では、平坦巻きフィラメントの層のうち3つもしくは4つまたはそれ以上が、フィラメント110によって形成され得、ここで各々の連続層は、前の層の半径方向に外側である。それにもかかわらず、かつ図4Bに示すとおり、第一のフィルター層120は、酸素供給器の外面100上に直接形成され、その結果、第一の層120のフィラメント110は、酸素供給器の外面100のファイバー102と物理的に接触する。
【0025】
いくつかの実施形態では、フィラメント110は、巻きつけ操作によって酸素供給器の外面100に適用される。フィラメント巻きつけプロセスは、図5で模式的に図示される種類の装置で簡便に行われ得、この装置は、内部コア38上に酸素供給器バンドル40を巻きつけるために必要に応じてまた使用され得る。一般的に言って、フィラメント巻きつけ装置は、装着部材130とガイドヘッド132とを回転することを包含する。回転性の装着部材130は、内部コア38(全体を指す)を、従って以前に形成された酸素供給器バンドル40(その外面100は、部分的に可視であって、説明を容易にするために図5に模式的に記載される)を回転的に保持する。ガイドヘッド132は、装着部材130の長軸Bに対して、図5の両矢印のラインAで図示するように相反的に移動するように配列される(すなわち、ガイド132のトラベルAのラインは、装着部材130の回転Bの軸に並行である)。
【0026】
記載どおり、例えば、米国特許第4,975,247号明細書では、ガイドヘッド132は、多数のファイバーガイド(例えば、チューブ、穴、ピンなど)を保持し、それを通じて、フィラメント110はそれらが、供給容器(図示せず)からガイドヘッド132に入るにつれて、挿入される。直立しているリブ、グルーブ、ガイドピン、チューブなどを用いて、ガイドヘッド132でフィラメント110と間隔を空けてもよい。市販されている巻きつけ装置は、酸素供給器バンドル40上で連続フィラメント110を包むために利用可能である。例えば、ユタ州、ソルトレーク市のEntecは、巻きつけの間の装着部材130の回転速度およびガイドヘッド132の移動速度を変化するための電子ギヤを備える巻きつけ装置を供給する。酸素供給器34の内部コア38は、回転Bの軸とこのように配列された酸素供給器34の中央軸Cを備える、装着部材130上に装着される。次いで、ガイドヘッド132は、酸素供給器バンドル40の左側に(図5に見られるように)配置される。連続フィラメント110のリボン140(例えば、フィラメント110のうち6)は、ガイドヘッド132のファイバーガイドを通じて挿入される。フィラメントリボン140の先端は、その遠位の左末端に延びた酸素供給器の外面100に対して固定される。装着部材130の回転は、図5の矢印Rで示される方向で開始される。ガイドヘッド132の動きは、装着部材130の回転と同調され、装着部材130が回転するにつれて、酸素供給器バンドル40の軸方向に自動的に移動する。ガイドヘッド132が、装着部材130の各々の回転のために固定距離を軸方向に移動することは、当業者によって理解される。
【0027】
ガイドヘッド132は、内部コア38の第一の末端80(図5の左側)から、第二の末端84(図5の右側)へ移動して、ここで減速する。減速後、ガイドヘッド132は、方向を逆転し、加速して、出発位置に移動して戻る。再度減速し、方向を逆転した後、ガイドヘッド132は、その移動サイクルを再開する。あるいは、ガイドヘッド132は、移動の終点で停止して居ついてもよい。ガイドヘッド132の逆移動および装着部材130(この上に酸素供給器34が装着された)の同時の回転は、所望の直径のデプスフィルターフィラメントバンドルが酸素供給器バンドル40上に巻きつけられるまで連続され、ここでガイドヘッド132/リボン140の前後するサイクルが、上記の平坦交差巻きの層を創出する。
【0028】
米国特許第4,975,247号明細書の第10カラムの第23行から第11カラムの第62行にさらに詳細に説明されるように、ガイドヘッド132の左から右の移動では、フィラメントリボン140が酸素化されたバンドル40の周りにらせん状に巻かれ、リボン140中の個々のフィラメント110が、酸素供給器の外面100と接触して押し付けられる。ガイドヘッド132の引き続く第二の移動(図5では右から左)では、フィラメントリボン140は、酸素供給器バンドル40上にらせん状に巻き続けられる。ガイドヘッド132の第二の移動の間に押し付けられたフィラメント110の一部は、前に適用されたフィラメント110と特定の交差ポイントで接触する。ガイドヘッド132の第一の移動の間に押し付けられたフィラメント110とのフィラメント間接触があるこれらの交差ポイントを除けば、ガイドヘッド132の第二の移動の間に押し付けられたフィラメント110は、酸素供給器の外面100と直接接触する。考察されている巻きつけ手順では、酸素供給器の外面100は、隣接するフィラメント110の間でギャップ間隔124(図4B)以外は、カバーされる。ガイドヘッド132の後の移動で押し付けられたリボン140のフィラメントは、米国特許第4,975,247号明細書に記載されるようにガイドヘッド132の初期の移動の間に押し付けられたフィラメント110と半径方向に記載されている。
【0029】
デプスフィルター36(図3A)が、上記のように酸素供給器バンドル40上にフィラメント110を巻きつけることによって形成される実施形態では、ガイドヘッド132の移動の動きに対する装着部材130回転速度の比は、巻きつけ操作の間に漸増的に調節されて、それによってファイバーリボン140の巻きつけ角度が調節され得る。このアプローチでは、デプスフィルター36の半径方向の厚みにそったフィラメント110の充填率は、半径方向に漸増する充填率を提供するように影響される。あるいは、またはさらに、フィラメント110の張力は、巻きつけプロセスの間に調節され得る。具体的には、任意のローラー142を使用して、リボン140に張力を与えてもよい。ローラー142は、それに対して移動するフィラメントリボン140に応答して回転してもよいし、またはその回転がリボン140の速度に適合するように駆動されてもよい。フィラメント110の張力が巻きつけの間に増大される場合、充填率の増大が半径方向に外側方向で得られる。従って、フィラメント110に対するローラー142の力は、得られた充填率を増大するように増大されてもよい。さらに別法として、同時に巻かれている2つ(またはそれ以上)のフィラメントの間の間隔は、巻きつけ操作の間に、徐々にまたは連続して減少されて、例えば、米国特許第5,462,619号明細書に記載のように、半径方向に外側の方向に充填率が増大され得る。他の実施形態では、充填率は、半径方向に外側の方向で一定であってもよいし、または減少されてもよい。さらに他の実施形態では、フィラメント110は、より多くの個々のベースに巻きつけられ得る(例えば、上記の連続のリボン140技術は、使用される必要はない)。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記の巻きつけ装置を使用して、内部コアに対して酸素供給器バンドル40を形成する。例えば、内部コア38は最初に、回転性の装着部材130にアセンブルされ、ガイドヘッド132を使用して、内部コア38上にファイバー102のリボンを適用する(図3B)。酸素供給器バンドル40の形成後、ファイバー102をファイバーガイドから取り出し(例えば、ガイドヘッド132によって担持されるチューブから外し)、上記のようにフィラメント110と置き換える。従って、デプスフィルター36は、必要に応じて、内部コア38に対してファイバー102を加えた直後に、および巻きつけ装置からそのように形成された酸素供給器34を取り外すことなく酸素供給器バンドル40を超えて形成され得る。
【0031】
デプスフィルター36が、酸素供給器バンドル40上に直接巻かれていると記載されたが、他の構成もまた許容される。例えば、デプスフィルター36は、2つ以上のパイルを含んでいる、フィラメントマットとして、酸素供給器バンドル40から形成されるか、もしくはそれから離れて設けられてもよい。米国特許第4,940,617号明細書は、クロスステッチによって相互接続された並行なファイバーを有する二枚重ね(または多重)のマットを記載しており、ここではファイバーは一層で、隣接する層(ply)または層(layer)中のファイバーに対してある角度を形成する。米国特許第4,940,617号明細書はまた、このようなマットをコア上に巻きつけることによるバンドルの構築を示す。本明細書に言及される図を含む、第3カラムの第26行〜第14カラムの第67行は、このようなマットおよびバンドルの開示を含み、この教示は、参照によって本明細書に援用され、本開示のフィラメント110は、米国特許第4,940,617号明細書のファイバーとして用いられ得ることが理解される。一般的に言って、かつ図6Aに示されるとおり、本開示による、デプスフィルター36(図2A)として有用なフィラメントマット150は、挿入された横行性のファイバー156などの特別な配列によって、グループまたはパイル152、154に組み合わされたフィラメント110から構成される。いくつかの構築物では、パイル152の1つについて図6Bに示されるとおり、フィラメント110のいくつかの間の間隔は、他のフィラメント110の間の間隔とは異なってもよい。フィラメント110のグループの間の、フィラメント末端のこの配置によって形成されるギャップ158によって、得られたマット150中のフィラメント周囲を流れる媒体のより良好な浸透が可能になる。図6Aを再び参照すれば、追加の横行性ファイバー154など(およびフィラメント110の真ん中に挿入された)は、それらがフィラメント110を、お互いに対して本質的に同一の間隔で規則的に保持するように配置される。正確な構築にかかわらず、図3Aを相互参照して、マット150は、酸素供給器バンドル40の外面100に対して巻かれるかまたは包まれ、上記のような少なくとも第一および第二の平坦交差巻きフィルター層を有する、デプスフィルター36を形成する。
【0032】
さらに別の許容される実施形態では、デプスフィルター36は、例えば、米国特許第5,141,031号明細書(その全教示が参照によって本明細書に援用される)に記載のように、織りフィラメント二重横糸テープ(double weft tape)として提供される。一般的に言って、図7に示されるように、複数のフィラメント110を含む二重横糸テープ160は、ヘッドプレート162中に埋められている。典型的には、フィラメントの末端は、それらを硬化性の埋め込み化合物に回転させることによって埋められる。それにもかかわらず、二重横糸テープ160は、コア164(例えば、酸素供給器バンドル40(図3A))の周囲の層中に配列される種々のフィラメントテープを、いくつかの実施形態では、30°以下である角度αで隣接する層のフィラメント110が層を形成するように、提供する。二重横糸テープ160は、上記の二枚重ねのマット150(図6A)と類似であるが、典型的には、より狭い幅を示す。テープ160は、酸素供給器の外面100(図3A)に対して包むかまたは巻きつけられて、上記のようにデプスフィルター36を形成し得る。
【0033】
図4Aおよび図4Bを再び参照すれば、デプスフィルター36および酸素供給器バンドル40に対する対応するアセンブリの正確な構築物にかかわらず、平坦巻きのフィラメントの第一および第二のフィルター層120、122は、デプスフィルター領域36を通じた血流の蛇行性の半径方向の流路を確立する。従って、デプスフィルター36は、従来の動脈フィルターに関連するスクリーンまたはメッシュ構築物とは顕著に異なる。言い換えれば、第一層120のフィラメント110の間の半径方向の流路(すなわち、ギャップ間隔)は、第二の層122の流路と半径方向に配列されることはなく、これによって、デプスフィルター36に対する「デプス、深さ(depth)」が規定される。対照的に、スクリーンまたはメッシュフィルターでは、流路間隔は、材料の厚みを通じて半径方向に開口されるかまたは「直線状(linear)」である。フィラメント110とフィルター層の数との間の最小ギャップ間隔124は、所定の大きさの微小塞栓に対するデプスフィルター36の有効性を決定する2つの因子である。さらに、フィラメント110と、フィラメント110の外径と、フィラメント110の交差角度との間のギャップ間隔124は、デプスフィルター36の開口エリアの割合を決定する。(酸素供給器バンドル40のファイバー102の外径と比較して)外径の小さいフィラメントを使用することによって、フィラメント110の間の最小ギャップ間隔124は、血流が露出される剪断を増大することなく、減少され得る(酸素供給器バンドル40のファイバー102の間の最小ギャップ間隔104(図3C)と比較して)。いくつかの実施形態では、デプスフィルター36は、当該分野で理解されるように微小塞栓、例えば、15ミクロン程度の小ささの粒子状微小塞栓および250ミクロン以下の大きさの気体状微小塞栓(すなわち、泡)を濾過、または除去するように構成される。フィラメント110が、微小孔性のガス誘導性の中空フィラメントである実施形態では、デプスフィルター36にまたがる圧力低下は、細孔を通じてフィラメント110の管腔へ気体状微小塞栓を押し進めるのに好適な圧力の勾配をもたらす。そのようにして捕獲された気体状微小塞栓由来のガスは、酸素供給器バンドル40に会合したガス出口68(図2A)を通じて大気中に、または別々のマニホールドに排気され得る。
【0034】
デプスフィルター領域36は、デプスフィルター36の半径方向の厚みを横切る比較的均一なフィラメントを利用すると記載されたが、他の構造では、フィラメント110のバリエーションが組み込まれてもよい。例えば、図8は、簡易な形態で、本開示による、別のデプスフィルター36’の一部を図示する。デプスフィルター36’は、前の実施形態と同様であり、かつ複数の平坦巻きのフィラメントを備え、これは複合して2つ以上のフィルター層180を規定する。言っておきたいのは、最も内側の層180aが、最終の組立の際に、酸素供給器バンドル40(模式的に図示する)の外面100と物理的に直接接触して配置されるということである。1つ以上の層180中に種々の相違を組み込んで、異なる濾過特徴または特性を示す2つ(またはそれ以上)の濾過ゾーン182、184を作製する。例えば、ファイバーゾーン182のフィラメント186は、中空であってもよいが、第二のゾーン184のフィラメント188は、中実である(またはその逆も成り立つ)。結果として、第一のゾーン182は、気体状微小塞栓をより容易に濾過するか、または除去するが、第二のゾーン184は、より能動的に粒子状微小塞栓を濾過する。他の相違、例えば、フィラメント材料、最小ギャップ間隔、充填率などは、ゾーン182、184に代替的に、または追加的に組み込まれて、所望の二重機能性の濾過をもたらし得る。
【0035】
図3Aを再び参照すれば、特定の態様では、デプスフィルター36の平坦な交差織りされた層は、酸素供給器バンドル40と同様であるが、1つ以上の構造的な相違が、デプスフィルター36と酸素供給器バンドル40との間に存在する。一般的に言って、これらの相違は、血流を酸素化する(そして血流から二酸化炭素を除去する)ための酸素供給器バンドル40の機能を促進するように独自に選択されるが、デプスフィルター領域36は、気体状および粒子状の微小塞栓を除去するか、または濾過する。例えば、いくつかの実施形態では、デプスフィルターフィラメント110のプラスチック樹脂は、酸素供給器バンドルファイバー102のプラスチック樹脂とは異なる(例えば、デプスフィルターフィラメント110は、ポリエステル、ポリメチルペンテン、またはシリコーンから形成されるが、酸素供給器バンドルファイバー102は、ポリプロピレンから形成される)。他の実施形態では、酸素供給器バンドルファイバー102は中空であるが、デプスフィルターフィラメント110の少なくともある程度は、中実である。さらに他の実施形態では、酸素供給器バンドルファイバー102の外径は、デプスフィルターフィラメント110の外径よりも大きい(例えば、酸素供給器バンドルファイバー102は、200〜300ミクロンの範囲の平均外径を有するが、デプスフィルターフィラメント110は、100〜250ミクロンの範囲の平均外径を有する)。さらに他の実施形態では、酸素供給器バンドルファイバー102の軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔は、デプスフィルターフィラメント110の軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔よりも小さい(例えば、酸素供給器バンドルファイバー102の軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔は、75〜150ミクロンの範囲内であるが、デプスフィルターフィラメント110の軸方向に隣接するものの間の最小ギャップ間隔は、40〜75ミクロンの範囲内である)。さらに他の実施形態では、デプスフィルター領域36の充填率は、酸素供給器バンドル40の外面100の充填率よりも高い。あるいは、またはさらに、酸素供給器バンドル40のファイバー102と関連する巻きの角度は、デプスフィルター領域36のフィラメント110と関連する巻きの角度とは異なる。いくつかの構造では、上記の相違のうちの2つ以上が、デプスフィルター領域36および酸素供給器バンドル40中に組み込まれる。
【0036】
複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイス30は、図9に示されるように、体外血液回路200中に組み込まれてもよい。一般的に言って、体外血液回路200は、通常使用される任意の体外血液回路と類似し得、一般には、静脈戻りライン12、開心術ポンプおよびリザーバ20、静脈血リザーバ22、および動脈ライン14を上記のように備える。複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイス30は、静脈ライン12に対して、例えば、入り口側202を介して液体的に接続される。デバイス30の出口側204は、動脈ライン14に液体的に接続される。酸素化ガス206の供給源は、デバイス30に対して液体的に接続され、これによって、酸素供給器バンドル40(図3A)の中空ファイバー102(図3C)に対する酸素化ガス流路が確立される。いくつかの実施形態では、酸素化ガス流路はデプスフィルターフィラメント110に対して液体的に閉鎖される(図3A)。追加の構成要素が、回路200内に挿入されてもよい。しかし、本開示の実施形態によれば、デバイス30は、必須の動脈性濾過を提供し、その結果、デバイス30と動脈ライン14との間に別々のまたは追加の動脈フィルターは備えられない。次いで、従来の体外血液回路構成と比較して、全体的なプライム容積は、デバイス30の使用で減少される。従って、体外血液回路200は、簡易化される。なぜなら構成要素が少ない回路が回路200に液体的に接続される必要があるからである。
【0037】
実施例
以下の実施例および比較の実施例はさらに、本開示の複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスを記載する。本実施例は、本開示の理解を容易にする例示的な目的のために提供され、本実施例に対する開示を限定すると解釈されるべきではない。
【0038】
例示的な複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイス(実施例1〜6)を、市販の酸素供給器の酸素供給器バンドルを直接覆うデプスフィルターを形成することによって構築した(ミネソタ州、ミネアポリスのMedtronic,Inc.,から市販されているAffinity(登録商標)NT Oxygenatorであって、そのファイバーは、Biolnteractions,Ltd.,UKから入手したTrillium(登録商標)Biosurfaceでコーティングされた)。組み込まれた動脈性デプスフィルターを、事前に決定された方式でフィラメントをらせん巻きまたは交差巻きすることによって形成して、軸方向に隣接するフィラメントの間の指定されたギャップ間隔を含む、平坦な交差巻きされたフィラメントの2つ以上のフィルター層を確立した。実施例1〜6の各々についてファイバー外径、フィルター層の数、およびギャップ間隔を、下の表1に示す。
【0039】
実施例1〜6の複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスの濾過効率は、粒子の負荷された液体を、デバイスを通して流すことによって、およびこのデバイスによって捕獲または保持される粒子の割合を決定することによって試験した。この粒子は、ラテックスマイクロスフェアであり、異なる大きさの粒子のバッチを、各々のサンプルについて別々の試験で使用した。各々の試験に関して、デバイスに導入された粒子の数または重量とデバイスによって捕獲される粒子の数または重量との間の相違を記録して、濾過効率を決定するために用いた。各々の試験についての粒子サイズを、決定された濾過効率とともに、下の表1に示す。
【0040】
例示的な複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスの濾過効率の能力を評価するために、市販の動脈フィルターおよび市販の酸素供給器を、上記の試験に課して、その結果を記録した。具体的には、比較の実施例1および2は、Trillium(登録商標) Biosurfaceでコーティングされた市販の動脈フィルター(Affinity(登録商標)Arterial Filter(38ミクロンのフィラメントギャップ))であった。比較の実施例3および4は、Carmeda(登録商標)Biosurface(スウェーデンのCarmeda ABから入手可能)でコーティングされた市販の動脈フィルター(Affinity(登録商標)Arterial Filter)であった。比較の実施例5および6は、Carmeda(登録商標) Biosurfaceでコーティングされた、市販の酸素供給器(ミネソタ州、ミネアポリスのMedtronic,Inc.,から入手可能なAffinity(登録商標)NT Oxygenator)であった。比較の実施例7および8は、Trillium(登録商標) Biosurfaceでコーティングされた、市販の酸素供給器(Affinity(登録商標)NT Oxygenator)であった。試験結果は、下の表1に示される。
【表1】
表1
【0041】
この試験結果によって、本開示の複合型の酸素供給器および動脈フィルターデバイスは、別々の独立型の酸素供給器および動脈フィルターの製品と比較して、濾過効率で極めて有益であったことが明らかになる。実施例E1−E6の複合型デバイスは、別々の動脈フィルター(CE1〜CE4)および酸素供給器(CE5〜CE8)と効率的に置き換わり、従って、全体的なプライム容積を減少させる。示されるとおり、複合型のサンプルデバイスによって、個々の動脈フィルターまたは酸素供給器と比較して同等以上に良好な濾過効率が示された。
【0042】
本開示は、好ましい実施形態を参照して記載してきたが、当業者は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形式上、および具体的な変化がなされ得ることを認識する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9