特許第6097331号(P6097331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097331枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置、および枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097331
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置、および枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20170306BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20170306BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M10/052
   H01M4/139
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-87512(P2015-87512)
(22)【出願日】2015年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-207448(P2016-207448A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115005
【氏名又は名称】ユースエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】三好 邦尚
(72)【発明者】
【氏名】矢ヶ嵜 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】戸田 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】岸 高行
(72)【発明者】
【氏名】森本 伸
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−075334(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/085108(WO,A1)
【文献】 特開2007−242507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00 − 4/62
H01M 10/05 − 10/0587
B65H 20/00 − 20/40
B26D 1/00 − 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極ロールシートを巻き出し、
巻き出された前記電極ロールシートを電極用ロータリーカッターで切断し、
切断されて形成される複数の電極シートを、所定のシート間隔を空けて連続して搬送し、
連続して搬送される前記電極シートの表裏面に、セパレータロールシートを配置し、
それぞれの前記電極シートの間に位置する前記セパレータロールシートを接合して接合部とし、
前記電極シートの間の前記接合部を切断して電極ユニットを形成する枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置であって、
前記電極用ロータリーカッターの上流に配置して前記電極ロールシートを供給する第1フィーダーと、
前記第1フィーダーと前記ロータリーカッターとの間に配置して前記電極ロールシートを供給する第2フィーダーと、
前記電極用ロータリーカッターの下流に配置するコンベアロールと、
前記第1フィーダーを前記電極ロールシートの搬送方向に往復移動させる第1フィーダー移動手段と、
前記第1フィーダーおよび前記第2フィーダーによる供給機能を制御するとともに前記第1フィーダー移動手段を制御する制御手段と
を備え、
前記電極用ロータリーカッターと前記コンベアロールとの間のカッター・ロール間寸法を、前記電極シートの幅よりも小さく設定し、
前記制御手段では、
前記第1フィーダーまたは前記第2フィーダーで前記電極ロールシートを前記電極用ロータリーカッターに導き、
前記電極ロールシートを、前記コンベアロールで挟み込んだ状態で、前記電極用ロータリーカッターで切断し、その後に前記第1フィーダーで前記電極ロールシートを供給させながら前記第1フィーダー移動手段によって前記第1フィーダーを上流に移動させる第1ステップと、
前記第1フィーダーを前記上流に移動させた後に、前記電極ロールシートを前記第2フィーダーによる供給に切り替える第2ステップと、
前記電極ロールシートを前記第2フィーダーによる供給に切り替えた後に、前記第1フィーダー移動手段によって前記第1フィーダーを前記下流に移動させる第3ステップと、
前記第1フィーダーを下流に移動させた後に、前記電極ロールシートを前記第1フィーダーによる供給に切り替える第4ステップと
を行い、
前記第1ステップから前記第4ステップを繰り返すことで、前記電極シートを、前記シート間隔を空けて連続して搬送する
ことを特徴とする枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置。
【請求項2】
前記コンベアロールによって前記セパレータロールシートを前記電極シートの前記表裏面に配置する
ことを特徴とする請求項1に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置。
【請求項3】
前記コンベアロールの下流に配置して、前記電極シートの間に位置する前記セパレータロールシートを接合する接合手段と、
前記接合手段の下流に配置して、前記電極シートを供給する第3フィーダーと、
前記第3フィーダーの下流に配置して、前記電極シートの間の接合部を切断するセパレータ用ロータリーカッターと
を備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を用いたリチウムイオン電池の製造方法であって、
前記電極シートを正極用電極シートとし、
前記電極ユニットが正極ユニットであり、
前記正極ユニットと負極用電極シートとを積層して枚葉積層型リチウム電池を構成し、
前記正極用電極シートが、活物質を塗工した正極用電極部と、前記活物質を塗工していない正極用集電体とから構成され、
前記負極用電極シートが、活物質を塗工した負極用電極部と、前記活物質を塗工していない負極用集電体とから構成され、
前記正極用電極部の外形寸法を、前記負極用電極部の外形寸法より小さくし、
前記正極ユニットにおけるセパレータを前記負極用電極部の外形寸法以下とした
ことを特徴とする枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法。
【請求項5】
前記セパレータを前記負極用電極部の前記外形寸法と同じとし、
前記正極用電極部の一辺に前記正極用集電体を形成し、
前記負極用電極部の一辺に前記負極用集電体を形成し、
前記正極用集電体と前記負極用集電体とが重ならないように、前記正極ユニットと前記負極用電極シートとを積層した
ことを特徴とする請求項4に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法。
【請求項6】
前記正極用集電体が突出していない前記セパレータの一辺と、前記負極用集電体が形成されていない前記負極用電極シートの一辺とを位置決め治具に当接させて、前記正極ユニットと前記負極用電極シートとを積層する
ことを特徴とする請求項5に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、作動電圧が高く、大容量で軽量な蓄電池であるため、特に携帯機器の電源として用いられている。
リチウムイオン電池は大容量であるが故に、発熱発火の原因であるデンドライトの発生を防止して安全性が高い製造技術が求められている。
また、枚葉積層型リチウムイオン電池では、電極加工とセル組立のプロセスが時間のかかる工程となっているため、連続したラインで高速で製作することができる製造技術が求められている。
特許文献1には、電極シートおよびセパレータの位置ずれを防止することにより、電極シートの積層工程を高速化し、生産性が向上された二次電池の製造方法および製造装置が開示されている。特許文献1の方法は、一(マイナス)の電極シートの両面にセパレータを形成するセパレータ形成工程と、セパレータが形成された一(マイナス)の電極シートと他の電極シートとを交互に載置する載置工程と、ガイドを用いて一(マイナス)および他の電極シートを位置決めする位置決め工程と、位置決めされた他の電極シートをセパレータに貼付する電極シート貼付工程とからなる。
特許文献2には、正極板及び負極板の製造にロータリーカッターを用いることが開示されている。特許文献2では、正極板と負極板に加えた張力を維持した状態でロータリーカッターの刃先を正極板と負極板に対して垂直に入れ込んで集電体の厚みに対して10%以下の破断面を有するように切断することで、二次電池の安全性を確保したバリのない安定した切断を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−129098号公報
【特許文献2】特開2008−258136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されている方法では、電極シートにセパレータを形成した後に切断するため、電極端部がセパレータで覆われない。
また、特許文献2には、ロータリーカッターを用いることが開示されているが、ロータリーカッターから搬出されるそれぞれの電極シートの間に、一定の所定のシート間隔を設けることで、その後のセパレータ積層工程を連続して行うものではない。
【0005】
本発明は、電極ユニットを連続したラインで高速製作できる枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、デンドライトによる発熱発火の発生を無くし、電池性能の向上を期待できる枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を提供することを目的とする。
また本発明は、正極用電極部と負極用電極部との位置合わせを簡単に行える枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、正極ユニットにおける正極用電極シートの位置を常に同じ位置とすることができる枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置は、電極ロールシートを巻き出し、巻き出された前記電極ロールシートを電極用ロータリーカッターで切断し、切断されて形成される複数の電極シートを、所定のシート間隔を空けて連続して搬送し、連続して搬送される前記電極シートの表裏面に、セパレータロールシートを配置し、それぞれの前記電極シートの間に位置する前記セパレータロールシートを接合して接合部とし、前記電極シートの間の前記接合部を切断して電極ユニットを形成する枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置であって、前記電極用ロータリーカッターの上流に配置して前記電極ロールシートを供給する第1フィーダーと、前記第1フィーダーと前記ロータリーカッターとの間に配置して前記電極ロールシートを供給する第2フィーダーと、前記電極用ロータリーカッターの下流に配置するコンベアロールと、前記第1フィーダーを前記電極ロールシートの搬送方向に往復移動させる第1フィーダー移動手段と、前記第1フィーダーおよび前記第2フィーダーによる供給機能を制御するとともに前記第1フィーダー移動手段を制御する制御手段とを備え、前記電極用ロータリーカッターと前記コンベアロールとの間のカッター・ロール間寸法を、前記電極シートの幅よりも小さく設定し、前記制御手段では、前記第1フィーダーまたは前記第2フィーダーで前記電極ロールシートを前記電極用ロータリーカッターに導き、前記電極ロールシートを、前記コンベアロールで挟み込んだ状態で、前記電極用ロータリーカッターで切断し、その後に前記第1フィーダーで前記電極ロールシートを供給させながら前記第1フィーダー移動手段によって前記第1フィーダーを上流に移動させる第1ステップと、前記第1フィーダーを前記上流に移動させた後に、前記電極ロールシートを前記第2フィーダーによる供給に切り替える第2ステップと、前記電極ロールシートを前記第2フィーダーによる供給に切り替えた後に、前記第1フィーダー移動手段によって前記第1フィーダーを前記下流に移動させる第3ステップと、前記第1フィーダーを下流に移動させた後に、前記電極ロールシートを前記第1フィーダーによる供給に切り替える第4ステップとを行い、前記第1ステップから前記第4ステップを繰り返すことで、前記電極シートを、前記シート間隔を空けて連続して搬送することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置において、前記コンベアロールによって前記セパレータロールシートを前記電極シートの前記表裏面に配置することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置であって、前記コンベアロールの下流に配置して、前記電極シートの間に位置する前記セパレータロールシートを接合する接合手段と、前記接合手段の下流に配置して、前記電極シートを供給する第3フィーダーと、前記第3フィーダーの下流に配置して、前記電極シートの間の接合部を切断するセパレータ用ロータリーカッターとを備えたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法は、請求項1から請求項3に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を用いたリチウムイオン電池の製造方法であって、前記電極シートを正極用電極シートとし、前記電極ユニットが正極ユニットであり、前記正極ユニットと負極用電極シートとを積層して枚葉積層型リチウム電池を構成し、前記正極用電極シートが、活物質を塗工した正極用電極部と、前記活物質を塗工していない正極用集電体とから構成され、前記負極用電極シートが、活物質を塗工した負極用電極部と、前記活物質を塗工していない負極用集電体とから構成され、前記正極用電極部の外形寸法を、前記負極用電極部の外形寸法より小さくし、前記正極ユニットにおけるセパレータを前記負極用電極部の外形寸法以下としたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法において、前記セパレータを前記負極用電極部の前記外形寸法と同じとし、前記正極用電極部の一辺に前記正極用集電体を形成し、前記負極用電極部の一辺に前記負極用集電体を形成し、前記正極用集電体と前記負極用集電体とが重ならないように、前記正極ユニットと前記負極用電極シートとを積層したことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法において、前記正極用集電体が突出していない前記セパレータの一辺と、前記負極用集電体が形成されていない前記負極用電極シートの一辺とを位置決め治具に当接させて、前記正極ユニットと前記負極用電極シートとを積層することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置によれば、電極ユニットを連続したラインで高速製作できる。
また本発明の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置によれば、電極用ロータリーカッターでの切断時に、電極シートの位置ずれがなく、電極ユニットにおける電極シートの位置を常に同じ位置とすることができる。
また本発明の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置によれば、第1フィーダーを下流に移動させることで、下流への移動量をシート間隔とすることができ、正確に安定したシート間隔を形成することができる。
また本発明の枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法によれば、正極用電極部と負極用電極部との位置合わせを簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池における正極ユニットと負極用電極シートとを示す構成図
図2】本実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池における正極ユニットと負極用電極シートとの積層状態を示す概念斜視図
図3】本実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を示す構成図で
図4】同製造装置の動作を示す要部構成図
図5】同製造装置の動作を示す要部構成図
図6】同製造装置の動作を示す要部構成図
図7】同製造装置の動作を示す要部構成図
図8】同製造装置の動作を示す要部構成図
図9】同枚葉積層型リチウムイオン電池におけるタブ溶接工程を示す構成図
図10】同枚葉積層型リチウムイオン電池におけるパウチパッケージング工程を示す構成図
図11】同枚葉積層型リチウムイオン電池における注液工程を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置は、電極用ロータリーカッターの上流に配置して電極ロールシートを供給する第1フィーダーと、第1フィーダーとロータリーカッターとの間に配置して電極ロールシートを供給する第2フィーダーと、電極用ロータリーカッターの下流に配置するコンベアロールと、第1フィーダーを電極ロールシートの搬送方向に往復移動させる第1フィーダー移動手段と、第1フィーダーおよび第2フィーダーによる供給機能を制御するとともに第1フィーダー移動手段を制御する制御手段とを備え、電極用ロータリーカッターとコンベアロールとの間のカッター・ロール間寸法を、電極シートの幅よりも小さく設定し、制御手段では、第1フィーダーまたは第2フィーダーで電極ロールシートを電極用ロータリーカッターに導き、電極ロールシートを、コンベアロールで挟み込んだ状態で、電極用ロータリーカッターで切断し、その後に第1フィーダーで電極ロールシートを供給させながら第1フィーダー移動手段によって第1フィーダーを上流に移動させる第1ステップと、第1フィーダーを上流に移動させた後に、電極ロールシートを第2フィーダーによる供給に切り替える第2ステップと、電極ロールシートを第2フィーダーによる供給に切り替えた後に、第1フィーダー移動手段によって第1フィーダーを下流に移動させる第3ステップと、第1フィーダーを下流に移動させた後に、電極ロールシートを第1フィーダーによる供給に切り替える第4ステップとを行い、第1ステップから第4ステップを繰り返すことで、電極シートを、シート間隔を空けて連続して搬送するものである。本実施の形態によれば、カッター・ロール間寸法を、電極シートの幅よりも小さく設定することで、電極用ロータリーカッターでの切断時に、切断されて形成される電極シートをコンベアロールで押さえているため、電極シートの位置ずれがなく、電極ユニットにおける電極シートの位置を常に同じ位置とすることができる。また本実施の形態によれば、第1フィーダーを下流に移動させることで、下流への移動量をシート間隔とすることができ、電極用ロータリーカッターの前後での搬送速度を異ならせてシート間隔を形成する場合と比較して、正確に安定したシート間隔を形成することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置であって、コンベアロールによってセパレータロールシートを電極シートの表裏面に配置するものである。本実施の形態によれば、セパレータロールシートを配置するためのコンベアロールを利用して電極シートを押さえることができ、切断直後にセパレータロールシートを電極シートの表裏面に配置することで、セパレータロールシートによってシート間隔を維持できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1または第2の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置であって、コンベアロールの下流に配置して、電極シートの間に位置するセパレータロールシートを接合する接合手段と、接合手段の下流に配置して、電極シートを供給する第3フィーダーと、第3フィーダーの下流に配置して、電極シートの間の接合部を切断するセパレータ用ロータリーカッターとを備えたものである。本実施の形態によれば、電極ユニットを連続したラインで製作することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法は、第1から第3の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を用い、電極シートを正極用電極シートとし、電極ユニットが正極ユニットであり、正極ユニットと負極用電極シートとを積層して枚葉積層型リチウム電池を構成し、正極用電極シートが、活物質を塗工した正極用電極部と、活物質を塗工していない正極用集電体とから構成され、負極用電極シートが、活物質を塗工した負極用電極部と、活物質を塗工していない負極用集電体とから構成され、正極用電極部の外形寸法を、負極用電極部の外形寸法より小さくし、正極ユニットにおけるセパレータを負極用電極部の外形寸法以下としたものである。正極用電極部に対向する面に負極用電極部が無い場合にはリチウムイオンが析出して金属リチウム化し、枝状に成長(デンドライト)して短絡する。本実施の形態によれば、正極用電極部の外形寸法を、負極用電極部の外形寸法より小さくし、正極用電極部より大きい外形寸法のセパレータを、負極用電極部の外形寸法以下としたことで、正極用電極シートと負極用電極シートとがずれて積層されても、正極用電極部に対向する面には必ず負極用電極部が存在するためデンドライトが発生することがなく、デンドライトによる発熱発火の発生を抑え、電池性能の向上を期待できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法において、セパレータを負極用電極部の外形寸法と同じとし、正極用電極部の一辺に正極用集電体を形成し、負極用電極部の一辺に負極用集電体を形成し、正極用集電体と負極用集電体とが重ならないように、正極ユニットと負極用電極シートとを積層したものである。本実施の形態によれば、セパレータと負極用電極部とを同じ外形寸法とし、正極用集電体が突出していないセパレータの一辺と、負極用集電体が形成されていない負極用電極シートの一辺とを用いて正極ユニットと負極用電極シートとの位置決めを行えるため、正極ユニットと負極用電極シートとの位置合わせを正確に行える。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造方法において、正極用集電体が突出していないセパレータの一辺と、負極用集電体が形成されていない負極用電極シートの一辺とを位置決め治具に当接させて、正極ユニットと負極用電極シートとを積層するものである。本実施の形態によれば、正極用電極部と負極用電極部との位置合わせを簡単に行える。
【実施例】
【0015】
以下本発明の一実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置および製造方法に適した枚葉積層型リチウムイオン電池について説明する。
図1は本実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池における正極ユニットと負極用電極シートとを示す構成図である。
枚葉積層型リチウムイオン電池は、正極用電極シート1と負極用電極シート2とをセパレータ3を介して積層して構成される。
正極用電極シート1は、活物質を塗工した正極用電極部1aと、活物質を塗工していない正極用集電体1bとから構成され、正極用電極部1aの一辺に正極用集電体1bを形成している。正極用電極シート1にはアルミ箔を用い、活物質にはリチウムイオン金属酸化物などを用いる。
負極用電極シート2は、活物質を塗工した負極用電極部2aと、活物質を塗工していない負極用集電体2bとから構成され、負極用電極部2aの一辺に負極用集電体2bを形成している。負極用電極シート2には銅箔、活物質には炭素材料などを用いる。
【0016】
正極ユニット4は、正極用電極シート1と、正極用電極シート1の表裏面に配置されるセパレータ3とで構成される。正極用電極シート1の表面に配置した一方のセパレータ3の外周と、正極用電極シート1の裏面に配置した他方のセパレータ3の外周とは接合される。2枚のセパレータ3の外周での接合は、ヒートシール、UV硬化樹脂、又はホットメルトにより行われる。
正極用電極部1aの外形寸法(幅W1、奥行D1)は、負極用電極部2aの外形寸法(幅W2、奥行D2)より小さく、セパレータ3の外形寸法(幅W3、奥行D3)は、正極用電極部1aの外形寸法(幅W1、奥行D1)より大きい。セパレータ3の外形寸法(幅W3、奥行D3)は、負極用電極部2aの外形寸法(幅W2、奥行D2)以下とする。セパレータ3の外形寸法(幅W3、奥行D3)は、負極用電極部2aの外形寸法(幅W2、奥行D2)と同じとすることが好ましい。なお、本実施例での外形寸法は、幅と奥行であり、高さは含まない。
正極用電極部1aの表裏面はすべてセパレータ3で覆われ、正極用集電体1bの表裏面の一部はセパレータ3で覆われ、正極用集電体1bの表裏面の一部はセパレータ3からはみ出して形成される。
正極ユニット4と負極用電極シート2とは、正極用集電体1bと負極用集電体2bとが重ならないように積層される。本実施例では、一方に正極用集電体1bが、他方に負極用集電体2bが位置するように正極ユニット4と負極用電極シート2とを積層している。
【0017】
本実施例によれば、正極用電極部1aの外形寸法(幅W1、奥行D1)を、負極用電極部2aの外形寸法(幅W2、奥行D2)より小さくし、正極用電極部1aより大きい外形寸法(幅W3、奥行D3)のセパレータ3を、負極用電極部2aの外形寸法(幅W2、奥行D2)以下としたことで、正極用電極シート1と負極用電極シート2とがずれて積層されても、正極用電極部1aに対向する面には必ず負極用電極部2aが存在するためデンドライトが発生することがなく、デンドライトによる発熱発火の発生を抑え、電池性能の向上を期待できる。
また本実施例によれば、セパレータ3と負極用電極部2aとを同じ外形寸法(W3=W2、D3=D2)とし、正極用集電体1bが突出していないセパレータ3の一辺と、負極用集電体2bが形成されていない負極用電極シート2の一辺とを用いて正極ユニット4と負極用電極シート2との位置決めを行えるため、正極ユニット4と負極用電極シート2との位置合わせを正確に行える。
【0018】
図2は本実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池における正極ユニットと負極用電極シートとの積層状態を示す概念斜視図である。
図2に示すように、正極ユニット4と負極用電極シート2との積層時には、位置決め治具5を用いる。正極用集電体1bが突出していないセパレータ3の一辺と、負極用集電体2bが形成されていない負極用電極シート2の一辺とを位置決め治具5に当接させて、正極ユニット4と負極用電極シート2とを積層する。
【0019】
図3は本実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置を示す構成図である。
図3(a)は同製造ラインを示す構成図、図3(b)は正極用電極ロールシートが切断されて形成される正極用電極シートの表裏面にセパレータロールシートが配置された状態を示す平面図、図3(c)は正極用電極シートの間に接合部が形成された状態を示す平面図、図3(d)は接合部が切断されて正極ユニットが形成された状態を示す平面図である。
【0020】
本実施例による枚葉積層型リチウムイオン電池の製造装置は、正極用電極ロールシート6を巻き出し、巻き出された正極用電極ロールシート6を電極用ロータリーカッター11で切断し、切断されて形成される複数の正極用電極シート1を、所定のシート間隔Cを空けて連続して搬送し、連続して搬送される正極用電極シート1の表裏面に、セパレータロールシート7、8を配置し、それぞれの正極用電極シート1の間に位置するセパレータロールシート7、8を接合して接合部10とし、正極用電極シート1の間の接合部10をセパレータ用ロータリーカッター12で切断して正極ユニット4を形成する。
電極用ロータリーカッター11の上流には、正極用電極ロールシート6を供給する第1フィーダー21を配置している。第1フィーダー21と電極用ロータリーカッター11との間には、正極用電極ロールシート6を供給する第2フィーダー22を配置している。
電極用ロータリーカッター11の下流には、セパレータロールシート7、8を供給するコンベアロール31、32を配置している。コンベアロール31、32によってセパレータロールシート7、8を正極用電極シート1の表裏面に配置する。
【0021】
コンベアロール31、32の下流には、正極用電極シート1の間に位置するセパレータロールシート7、8を接合する接合手段41を配置している。接合は、ヒートシール、UV硬化樹脂、又はホットメルトにより行われる。
接合手段41の下流には、正極用電極シート1をセパレータ用ロータリーカッター12に供給する第3フィーダー23を配置している。
セパレータ用ロータリーカッター12は、第3フィーダー23の下流に配置し、正極用電極シート1と正極用電極シート1との間の接合部10を切断する。
第1フィーダー21の上流にはローラ51を配置し、ローラ51の上流にはダンサーローラ52を配置している。
正極用電極ロールシート6を巻き出す電極巻き出し部53からダンサーローラ52までの間には、送り出しガイドローラ54を配置している。ダンサーローラ52では、搬送される正極用電極ロールシート6の張力が制御され、送り出しガイドローラ54では、搬送される正極用電極ロールシート6の蛇行が制御される。
【0022】
同製造装置は、第1フィーダー移動手段61と制御手段62を備えている。第1フィーダー移動手段61は、第1フィーダー21を正極用電極ロールシート6の搬送方向に往復移動させる。本実施例では、第1フィーダー移動手段61は、第1フィーダー21とローラ51とを移動させる。制御手段62は、第1フィーダー21および第2フィーダー22による供給機能を制御するとともに第1フィーダー移動手段61を制御する。
第1フィーダー21は、正極用電極ロールシート6の表面に当接する第1上ローラ21aと、正極用電極ロールシート6の裏面に当接する第1下ローラ21bと、第1上ローラ21aを上下に移動させる第1駆動部21cと、第1下ローラ21bを回転させるモータ63から構成されている。
第2フィーダー22は、正極用電極ロールシート6の表面に当接する第2上ローラ22aと、正極用電極ロールシート6の裏面に当接する第2下ローラ22bと、第2上ローラ22aを上下に移動させる第2駆動部22cと、第2下ローラ22bを回転させるモータ63から構成されている。
第3フィーダー23は、正極用電極ロールシート6の表面に当接する第3上ローラ23aと、正極用電極ロールシート6の裏面に当接する第3下ローラ23bと、第3上ローラ23aを上下に移動させる第3駆動部23cと、第3下ローラ23bを回転させるモータ64から構成されている。
【0023】
第1フィーダー21、第2フィーダー22、および第3フィーダー23は、常時等速で回転している。
コンベアロール31とコンベアロール32とは対向して配置され、モータ65によって回転される。
接合手段41は、一対の上下ロータ41a、41bとで構成され、モータ66によって回転される。
電極用ロータリーカッター11は、ローラ面に軸に平行なカッターを有している。電極用ロータリーカッター11に対向して受けローラ11bを備え、カッターと受けローラ11bとの間で正極用電極ロールシート6を切断する。電極用ロータリーカッター11または受けローラ11bは、モータ66によって回転される。
セパレータ用ロータリーカッター12は、ローラ面に軸に平行なカッターを有している。セパレータ用ロータリーカッター12に対向して受けローラ12bを備え、カッターと受けローラ12bとの間で正極用電極シート1の間の接合部10を切断する。電極用ロータリーカッター11または受けローラ11bは、モータ67によって回転される。セパレータ用ロータリーカッター12または受けローラ12bは、モータ68によって回転される。
【0024】
同製造装置は、電極用ロータリーカッター11とコンベアロール31との間のカッター・ロール間寸法Aを、正極用電極シート1の幅(搬送方向の長さ)Bよりも小さく設定している。
本実施例によれば、カッター・ロール間寸法Aを、正極用電極シート1の幅Bよりも小さく設定することで、電極用ロータリーカッター11での切断時に、切断されて形成される正極用電極シート1をコンベアロール31で押さえているため、正極用電極シート1の位置ずれがなく、正極ユニット4における正極用電極シート1の位置を常に同じ位置とすることができる。
また、本実施例によれば、セパレータロールシート7、8を配置するためのコンベアロール31、32を利用して正極用電極シート1を押さえることができ、切断直後にセパレータロールシート7、8を正極用電極シート1の表裏面に配置することで、セパレータロールシート7、8によってシート間隔Cを維持できる。
【0025】
図4から図8は同製造装置の動作を示す要部構成図である。
図4に示すように、制御手段62では、第1フィーダー21で正極用電極ロールシート6を電極用ロータリーカッター11に導く。このとき、第1フィーダー21は、第1駆動部21cによって第1上ローラ21aが下方に移動しており、第1上ローラ21aと第1下ローラ21bとで正極用電極ロールシート6を電極用ロータリーカッター11に供給する。第2フィーダー22は、第2駆動部22cによって第2上ローラ22aが上方に移動しており、正極用電極ロールシート6の供給を行わない。第1フィーダー21およびローラ51は、電極用ロータリーカッター11に近い第1設定位置にある。
正極用電極ロールシート6は、コンベアロール31、32に挟まれた状態で、電極用ロータリーカッター11により切断される。
切断された正極用電極シート1は、そのままの速度でコンベアロール31、32で搬送される。
【0026】
電極用ロータリーカッター11で正極用電極ロールシート6を切断後に、制御手段62では、第1ステップの動作を行わせる。
図5に示すように、第1ステップでは、制御手段62は、第1フィーダー21で正極用電極ロールシート6を供給しながら、第1フィーダー移動手段61によって第1フィーダー21を上流に移動させ、電極用ロータリーカッター11から遠ざかった第2設定位置まで移動させる。
第1フィーダー移動手段61による第1フィーダー21の移動時には、第1フィーダー21による正極用電極ロールシート6の供給を継続しているため、第1設定位置から第2設定位置までの移動距離が、正極用電極シート1と正極用電極シート1との間の所定のシート間隔Cとなる。
【0027】
制御手段62では、第1ステップの動作の後に第2ステップの動作を行わせる。
図6に示すように、第2ステップでは、制御手段62は、第1フィーダー21を第2設定位置に移動させた後に、正極用電極ロールシート6を第2フィーダー22による供給に切り替える。
すなわち、第1フィーダー21は、第1駆動部21cによって第1上ローラ21aを上方に移動させ、正極用電極ロールシート6の供給を行わない。第2フィーダー22は、第2駆動部22cによって第2上ローラ22aを下方に移動し、第2上ローラ22aと第2下ローラ22bとで正極用電極ロールシート6を電極用ロータリーカッター11に供給する。
なお、第2ステップにおける正極用電極ロールシート6の供給の切り替えは、第2上ローラ22aを下方に移動させて第2フィーダー22による供給機能を働かせた後に、第1上ローラ21aを上方に移動させて第1フィーダー21による供給機能を解除する。第1フィーダー21による供給機能の解除、すなわち第1上ローラ21aの上方への移動は、第3ステップの動作前までに行えばよい。
【0028】
制御手段62では、第2ステップの動作の後に第3ステップの動作を行わせる。
図7に示すように、第3ステップでは、制御手段62は、第1フィーダー移動手段61によって第1フィーダー21を下流、すなわち電極用ロータリーカッター11に近い第1設定位置に移動させる。
【0029】
制御手段62では、第3ステップの動作の後に第4ステップの動作を行わせる。
図8に示すように、第4ステップでは、制御手段62は、正極用電極ロールシート6を第1フィーダー21による供給に切り替える。
すなわち、第2フィーダー22は、第2駆動部22cによって第2上ローラ22aを上方に移動させ、正極用電極ロールシート6の供給を行わない。第1フィーダー21は、第1駆動部21cによって第1上ローラ21aを下方に移動し、第1上ローラ21aと第1下ローラ21bとで正極用電極ロールシート6を電極用ロータリーカッター11に供給する。
なお、第4ステップにおける正極用電極ロールシート6の供給の切り替えは、第1上ローラ21aを下方に移動させて第1フィーダー21による供給機能を働かせた後に、第2上ローラ22aを上方に移動させて第2フィーダー22による供給機能を解除する。第2フィーダー22による供給機能の解除、すなわち第2上ローラ22aの上方への移動は、第1ステップの動作前までに行えばよい。
【0030】
制御手段62では、第1ステップから第4ステップを繰り返すことで、正極用電極シート1を、シート間隔Cを空けて連続して搬送することができる。
本実施例によれば、正極ユニット4を連続したラインで製作することができる。
また本実施例によれば、第1フィーダー21を下流に移動させることで、下流への移動量をシート間隔Cとすることができ、電極用ロータリーカッター11の前後での搬送速度を異ならせてシート間隔Cを形成する場合と比較して、正確に安定したシート間隔Cを形成することができる。
【0031】
図2に示すように積層された正極ユニット4と負極用電極シート2は、その後、タブ溶接工程、パウチパッケージング工程、および注液工程を経て枚葉積層型リチウムイオン電池が製造される。
【0032】
図9は同枚葉積層型リチウムイオン電池におけるタブ溶接工程を示す構成図である。
タブ溶接工程では、電極積層工程で積層された負極用電極シート2と正極ユニット4とを包装材111でラッピングして粘着テープで留め、負極用電極シート2の負極用集電体2bに負極用タブ112bを、正極用集電体1bに正極用タブ112aを、それぞれ溶接して電池素子120を製作する。
【0033】
図10は同枚葉積層型リチウムイオン電池におけるパウチパッケージング工程を示す構成図である。
パウチパッケージング工程では、タブ溶接工程で製作した電池素子120を基材131の収容部132に配置し、基材131を蓋材133で覆い、基材131と蓋材133とをヒートシールにより封止することで、パウチパッケージ140を製作する。
パウチパッケージ140は、基材131と蓋材133との間を、収容部132を有する第1の空間141と第2の空間142とに区画している。第1の空間141と第2の空間142との間には連通部143を有し、第2の空間142には外部とつながる溶液注入部144を有している。
なお、正極用タブ112aと負極用タブ112bとは、基材131及び蓋材133から露出させている。
【0034】
図11は同枚葉積層型リチウムイオン電池における注液工程を示す構成図である。
注液工程では、パウチパッケージング工程で製作したパウチパッケージ140内に、溶液注入部144から電解液を注入し、電池素子120に電解液を含浸させる。
図11(a)は、電解液の注入工程を示している。注入装置156の注入部157を溶液注入部144からパウチパッケージ140内に挿入する。注入部157の先端は、第1の空間141に位置している。パウチパッケージ140の周囲環境を真空にした状態で電解液を注入する。
図11(a)での電解液注入後に、図11(b)に示すように溶液注入部144をヒートシール145により封止する。
図11(c)に示すように、溶液注入部144をヒートシール145により封止した後に、予備充電を行う。この予備充電は、正極用タブ112aと負極用タブ112bとをチャージャー158に接続して行う。
図11(d)では、予備充電で発生したガスの除去工程を示している。第2の空間142にデガス用の孔146を空け、パウチパッケージ140の周囲環境を真空にし、パウチパッケージ140内のガスを排出させる。
図11(d)でのガスの除去工程後に、図11(e)に示すように連通部143をヒートシール147により封止する。
そして、図11(f)に示すように、第2の空間142を切り離して完了する。
なお、図11(a)での電解液を注入した後、図11(b)に示す溶液注入部144をヒートシール145により封止する前には、真空、常圧開放、必要に応じて加圧、加温を繰り返し、内部の電池素子120に電解液を含浸させる。
なお、本実施例の製造装置では、電極シートを正極用電極シート1とした場合で説明したが、負極用電極シート2の両面にセパレータ3を配置した負極ユニットにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、電極ユニットを連続したラインで高速製作できる。
【符号の説明】
【0036】
1 正極用電極シート
1a 正極用電極部
1b 正極用集電体
2 負極用電極シート
2a 負極用電極部
2b 負極用集電体
3 セパレータ
4 正極ユニット
5 位置決め治具
6 正極用電極ロールシート
7 セパレータロールシート
8 セパレータロールシート
10 接合部
11 電極用ロータリーカッター
12 セパレータ用ロータリーカッター
21 第1フィーダー
22 第2フィーダー
23 第3フィーダー
31 コンベアロール
32 コンベアロール
41 接合手段
51 ローラ
61 第1フィーダー移動手段
62 制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11