(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、本明細書に記載した特定の方法論、プロトコール、および試薬に限定されてはいないと理解されなければならないので、したがって当然ながら異なることがある。さらにまた、本明細書で使用する用語は特定実施形態を記載することだけを目的として使用されており、本発明の範囲を限定することは意図されておらず、本発明は添付の請求項によってのみ限定される。
【0029】
本明細書および添付の請求項で使用するように、単数形の「1つの」および「その」には、その状況が明確にその他の意味を指示していない限り複数の対象を含んでいることを言及しておかなければならない。したがって、例えば細菌についての言及は複数の細菌種を含んでおり、プロトン化化合物には複数のそのような化合物および当業者にはよく知られているそれらの等価物が含まれることがあり、以下同様である。
【0030】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および化学用語は本発明が属する分野の当業者に一般に理解されている意味と同一の意味を有する。本発明の実践または試験においては本明細書に記載されているものと類似または等価のあらゆる方法、装置および材料を使用することができるが、以下では好ましい方法、装置および材料を記載する。
【0031】
本明細書で言及するすべての出版物は、現在記載している発明と結び付けて使用できる可能性があるそれらの出版物に記載されている例えば活性な抗生物質、組成物担体、および方法を記載および開示するために参照して本明細書に組み込まれる。上記および本文を通して考察する出版物は、本出願の提出日より前のそれらの開示を示すためだけに提供されている。これらのいずれも、先発明によって発明者にこのような開示に先行する資格が与えられていないことの承認と解釈すべきではない。
【0032】
用語の定義
用語「抗菌性」とは、微生物(制限なく、ウイルス、細菌、酵母、真菌、原虫等を含む)を殺滅もしくはその増殖を阻害する能力、または細菌感染症の重症度を軽減する能力を意味する。本発明の抗菌化合物は、疾患および感染症の治療に使用できる化合物である。
【0033】
本明細書で互換的に使用する用語「プロトン化」および「酸性化」は、それによってプロトン(または正電荷水素イオン)が本発明の化合物上のプロトン受容体部位へ付着させられる工程を意味する。プロトン受容体部位には、中心基の置換もしくは未置換リン酸、ならびに中心基もしくは末端ブロック基いずれかの上のいずれかの追加のプロトン受容体部位が含まれる。溶液のpHが減少するにつれてプロトン化されているこれらの受容体部位の数は増加し、結果としてより高度にプロトン化された化合物が生じる。
【0034】
用語「プロトン化化合物」は、pHが7の水に溶解させるとその溶液のpHの低下を引き起こす本発明の分子を意味する。一般に、化合物はその分子の反応部位へプロトンを添加することによってプロトン化されるが、他の分子の修飾法も可能であり、これらもこの用語に含まれることが意図されている。このようなプロトン化は、化合物を例えば強酸、最も好もしくは揮発性共役塩基を備える強酸の存在下でインキュベートすることによって遂行できる。
【0035】
本明細書で使用する用語「末端基」および「末端ブロック基」は、プロトン化化合物の実質的なヌクレアーゼ変性、および特にエキソヌクレーゼ変性を防止するいずれかの化学部分を意味する。末端基は、H、OH、SH、NH
2、アルキル基、アルカノール基等を含む該化合物の適正なプロトン化を許容するいずれかの化学部分であってよい。特定実施形態では、化学修飾はそれが分子の中心基を保護するように配置されている、すなわちブロック基はX−Y−Z構造の中心基Yを保護するXもしくはZである。X−Y−Z分子の末端基および/または末端ブロック基は同一であっても相違していてもよい。
【0036】
本明細書で使用する用語「有効成分」は、微生物によって惹起される疾患を治療するための既知の活性を備える化合物、そして特に舌下、眼内、耳内、および特に局所的投与において有効である物質を意味する。
【0037】
中心基または末端基は、ホスホジエステル、メチルホスホネート、エチルホスホトリエステル、メチルホスホロチオエート、メチル−p−エトキシ基、メチル、アルキル、O−アルキル、O−アルキル−n(O−アルキル)、フッ素、デオキシ−エリスロペントフラノシル、メチルリボヌクレオシド、メチルカルバメート、メチルカーボネート、反転塩基(例、反転T)等のような化学部分を含んでいてよい。1つの好ましい実施形態では、これらの化学部分には例えばO−メチルまたはO−アルキル−n(O−アルキル)のような酸素連結基が含まれる。
【0038】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチル、n−ヘキシル等のような1〜20個(好ましくは1〜6個)の炭素原子を含有する直鎖、環状、分岐または非分岐の飽和または不飽和炭化水素鎖を意味する。
【0039】
本明細書で使用する用語「アルカノール」は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のような1〜6個の炭素原子および少なくとも1個の−OH基を含有する分岐もしくは非分岐の炭化水素鎖を意味する。
【0040】
本明細書で使用する用語「治療」、「治療する」等は、一般に所望の薬理学的および/または生理学的効果を入手することを意味する。この効果は疾患もしくはその症状を完全もしくは部分的に防止するという点で予防的であってよい、および/または疾患(または感染症)および/またはその疾患(または感染症)に原因を帰せられる有害作用の部分的もしくは完全な治癒という点で治療的であってよい。本明細書で使用する用語「治療」、「治療する」等には、
(a) 細菌性疾患および/または感染症が、それに対して素因を有する可能性はあるがまだそれに罹患したとは診断されてはいない対象において発生することを予防すること、
(b) 細菌性疾患および/または感染症の進行または伝染を阻害すること、すなわちその発達もしくは維持を阻止すること、または
(c) 細菌性疾患および/または感染症を軽減すること(すなわち、その疾患の退行および/または改善)、が含まれる。本発明は、特に哺乳動物、および特にヒト哺乳動物においていずれかの感染性細菌または真菌を有する患者を治療することに向けられる。
【0041】
本発明では、抗菌剤として、および特に細菌、真菌、原虫およびウイルスに対する活性を有する抗菌剤としてプロトン化化合物を使用する。これらの化合物は逆症療法的および同種療法的のいずれにおいても医療用途に特に有用である。その殺菌/静菌効果によってこれらの組成物は殺菌(例、皮膚または表面もしくは例えば外科用器具のような物体の殺菌消毒等)、または消毒(例、望ましくない濃度の疾患を惹起する微生物(ウイルスを含む)が存在していないようにするために、表面、機器等の清浄化)のための組成物中での使用が可能になる。さらに、特定濃度のプロトン化化合物自体は抗菌性防腐効果を有しているので、したがって組成物中での望ましくない微生物増殖を防止する際にも有用である。
【0042】
本発明のプロトン化化合物は以下の構造:
X−Y−Z
(式中、Yは酸素、リンおよび任意で炭素を含む構造であり、XおよびZはブロック化剤を含む末端基である。末端基のXおよびZは同一化学部分であってよい、またはそれらは相違していてもよい)を有する。
【0043】
1つの好ましい実施形態では、Yは1つまたは複数の置換もしくは未置換リン酸基である。この実施形態の代表的構造は以下のようなY構造(構造1および2):
【化6】
(式中、XおよびZは同一であっても相違していてもよい末端ブロック基であり、そしてRは二官能アルキル、アリール、アルケニル(好ましくは、1〜20個の炭素、より好ましくは1〜6個の炭素を含有する)、または個別もしくはいずれかの組み合わせでの一級、二級もしくは三級アルコールの誘導体、フェノール、またはエノールのような3種の組み合わせである。Rは個別もしくはいずれかの形態の組み合わせで、形状が単環式、多環式、複素環式もしくは線状であってよい。ホスホジエステルへ転換された2種に加えて遊離アルコール性もしくは遊離フェノール性ヒドロキシルを有していてもよい。アミン、カルボキシレート、カルボキシアルデヒド、ケトンを含むがそれらに限定されない他の官能基が存在していてもよく、そしてそれらの構造は該分子の構造の電気陰性度を変更させる目的でハロゲンまたは他の基を添加することによって修飾されてもよい。)を有する。
【0044】
上記の構造に含まれることが予定されている分子の実施例には以下が含まれる。
【化7】
【0045】
このような化合物の特に好ましい実施例はNu−5である。
【化8】
【0046】
また別の実施形態では、Yは好ましくは置換もしくは未置換リン酸基に挟まれたペントースもしくはヘキソースである糖構造である。このようなY糖基を含有するX−Y−Z化合物の実施例を以下に例示する。
【化9】
および
【化10】
式中、
QはO、S、P−H、P−OH、P−アルキル、P−アリール、P−アシル、N−H、N−OH、N−アルキル、N−アリール、またはN−アシルであり、
AはH、アルキル、アルコキシ、もしくはアルキル−(O−アルキル)、アリール、アルケニル、アルカノール、フェノール、またはエノールであり、
XおよびZは同一であっても相違していてもよい末端ブロック基であり、および
WはH、またはプリンもしくはピリミジン、またはプリンもしくはピリミジンの修飾アナログである。
【0047】
このような化合物の好ましい実施例は、XまたはZブロック基を有しており、これらは独立して以下からなる群から選択される1つの構造を有する。
CH
3CH
2CH
2CH
2−、CH
3CH
2CH
2−、CH
3CH
2−、
HO−CH
3CH
2CH
2CH
2−、XO−CH
3CH
2CH
2CH
2−、および
ZO−CH
3CH
2CH
2CH
2−。
【0048】
このような化合物の好ましい例はA基を有しており、A基は以下からなる群から選択される1つの構造を含む。−H、CH
3−、−OCH
2CH
2OCH
2CH
3、および−OCH
2CH
3。
【0049】
このようなY糖基を含有するX−Y−Z化合物のまた別の例を以下に例示する。
【化11】
および
【化12】
式中、
VまたはQは独立してO、S、P−H、P−OH、P−アルキル、P−アリール、P−アシル、N−H、N−OH、N−アルキル、N−アリール、N−アシル、−CH
2−、−CH(OH)−、−CH(O−アルキル)−であり、
XおよびZは同一であっても相違していてもよい末端ブロック基であり、および
WはH、またはプリンもしくはピリミジン、またはプリンもしくはピリミジンの修飾アナログである。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、糖は以下で構造5として例示するように炭素2位での置換を備えるペントース分子(以下では「2−R置換」等と言う)である。
【化13】
式中、
QはO、S、P−H、P−OH、P−アルキル、P−アリール、P−アシル、もしくはN−Hであり、
W、XおよびZは上記の通りである。
【0051】
XおよびZ基は安定性を提供する化学部分である。末端ブロック基は、末端ブロック基が該分子の変性を防止することを前提に、いずれかの数の化学部分であってよい。1つの実施形態では、末端ブロック基はアルキルもしくはO−アルキルであり、そこではアルキル部分が直鎖、分岐もしくは環状であってよいが、好ましくは1〜4個の炭素を含有する直鎖である。XおよびZは同一化学部分(例、ブチル基)であっても、または2種の相違する化学部分(例、Zがブチル基でXがブタノール)であってもよい。このような化合物の特に好ましい実施例は、化合物Nu−2[(4−ヒドロキシブチル)−リン酸−5'−ウリジン−2'−メトキシ−3'−リン酸(4−ヒドロキシブチル)、英文名:(4-hydroxybutyl)-phosphate-5'-uridine-2'-methoxy-3'-phosphate-(4-hydroxy- butyl)]である。
【化14】
【0052】
このような化合物のまた別の特に好ましい実施例は化合物Nu−3(ブチル−リン酸−5'−チミジン−3'−リン酸−ブチル、英文名:butyl-phosphate-5'-thymidine-3'-phosphate-butyl)である。
【化15】
【0053】
このような化合物のまた別の特に好ましい実施例は化合物Nu−4(ブチル−リン酸−5'−リボース−3'−リン酸−ブチル、英文名:butyl-phosphate-5'-ribose-3'-phosphate-butyl)である。
【化16】
【0054】
本発明の化合物のプロトン化は、それによってプロトン(または陽性水素イオン)が該分子状の反応部位へ付着させられるプロセスである。プロトン化される反応部位数が増加するにつれてpH7を有する水中に該化合物を溶解させたときに入手されるpHが低下するので、したがって本発明の化合物のプロトン化の量は本発明の化合物を添加した後の水溶液のpHを測定することによって決定できる。好ましくは、本発明の化合物は水(pH7)中に溶解させるとそれらがpH7未満〜約1、好ましくは約pH6〜約1、およびより好ましくは約pH5未満〜約1の間にあるpHを有する水溶液を形成するようにプロトン化される。より好ましい実施形態では、本発明の化合物は水(pH7)中に溶解させるとそれらがpH4.5未満〜約1、好ましくは約pH4〜約1、およびより好ましくは約pH3未満〜約1、およびさらにより好ましくは約pH2未満〜約1の間にあるpHを有する水溶液を形成するようにプロトン化される。詳細には、pHは該化合物のプロトン化の量を制御することによっていずれかの所定の有効成分にとって最適となるように調整できる。
【0055】
酸変性率は、官能分子の消失を評価するための分析用HPLCを使用して、または他の適切な方法を使用して決定することができる。酸変性は、一般に時間の関数として測定される。好ましくは、本発明のプロトン化化合物はさらにまたヌクレアーゼ抵抗性でもあるので、これらの分子がインビボ環境において活性(例、pH安定性)を維持することを許容する。ヌクレアーゼを含有する状況における該分子の変性率は、質量分析法のような当業者にはよく知られている方法によって測定できる。ヌクレアーゼ変性は、一般に時間の関数として測定される。好ましくは、酸またはヌクレアーゼ変性の程度もしくは速度を決定する際には基準化合物が使用される。
【0056】
本発明の化合物を含有する組成物の殺菌および/または静菌活性は、当業者が利用できる多数の方法を使用して測定できる。このような方法の1つの例は、抗生物質を用いた細菌感染症の治療についてインビボ有効性を予測できると認められているMIC(最小発育阻止濃度)試験の使用を介しての抗菌活性の測定である。本発明の組成物は、この試験においてたとえ膜を透過する細菌の前治療を実施しなくても抗菌活性を示す。
【0057】
本発明の1つの実施形態では、プロトン化化合物は1つの糖基、好ましくはリボースまたはグルコース基のいずれかを有する。本発明の分子の糖構造は、自然に発生する糖の構造とは変更されていることがある、すなわち糖基の全体構造は維持されているが糖の1つまたは複数の残基が置換されている、および/または糖構造が未置換形と比較して追加の残基を含有している。本発明のプロトン化化合物において使用できる糖構造の例については、例えば、T.W.Graham Solomons(「有機化学(Organic Chemistry)」,J.Wiley and Sons,第6版(1998年7月)、第937〜971頁)を参照されたい。
【0058】
本発明の構造および図面で使用する「W」は、プリンもしくはピリミジン、またはプリンもしくはピリミジンの修飾アナログである。
図4〜8は、本発明のプロトン化化合物において使用するための糖基の天然型構造に付着させることのできる代表的置換基(W)を示している。このような化合物(W)には、2−アミノアデノシン、テオブロミン、カフェイン、テオフィリン、および尿酸のような天然塩基とワトソン−クリック(Watson−Crick)型の塩基対合を形成しないプリンおよびピリミジンの修飾アナログ、ピリジン、ピラジン、またはトリアジンのような単環式構造に基づく構造(
図4):
【化17】
インドール、アクリジン、インダゾール、フェノキサジン、フェナジン、フェノチアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、およびプテリジンのような多環式構造に基づく構造(
図5):
【化18】
部分的もしくは完全に水素化された単環式および多環式構造(
図6):
【化19】
カプロラクタムのような部分的に酸化された単環式および多環式構造(
図7):
【化20】
ロイコメチレンブルーのような窒素含有複素環のようなプロトン受容体置換基を備える構造(
図8):
【化21】
およびプリンやピリミジンと類似の電子構成を有する他の構造が含まれるが、それらに限定されない。
【0059】
これらの置換基各々は、さらにまた該化合物のプロトン受容能力および/またはその他の特性を調整するために電子吸引基もしくは電子供与基、ハロゲン、アルコール、ジオール、リン酸アミド、およびホスホン酸等を用いて修飾することができる。構造Wは糖分子の炭素1位で置換されているように示されているが、W構造は該糖基の炭素2位もしくは3位のような相違する部位へ連結させることもできる。
【0060】
置換基は、一般に例えばpHを増強し、毒性を低下させる等のために、該化合物の1つまたは複数の効果を増強するように選択される。プロトン化化合物における中心基として選択される特定化学部分は、当業者によって本発明の開示を読むことにより容易に同定されるであろう。そしてそのような部分は例えばT.W.Graham Solomons,「有機化学(Organic Chemistry)」,J.Wiley and Sons、第6版(1998年7月);S.F.Sun,「巨大分子の物理化学:基本原理および問題点(Physical Chemistry of Macromolecules:Basic Principles and Issues)」(1994);J.March,「最新有機化学:反応、機序および構造(Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure)」、第4版(1992年8月);およびL.Stryer,Biochemistry,第4版(1995年3月)のような参考文献の中で見いだすことができる。
【0061】
本発明は、有効成分がプロトン化化合物である本発明の組成物と微生物とを接触させることによって該微生物の増殖を阻害する方法を提供する。これらの方法はインビボ感染症、および詳細には局所感染症に対して有効である。これは、標準条件下のインビトロで培養された様々な病原生物に対して最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)を示す試験データによって証明される。これらのインビトロ試験は、ヒトを含む動物における感染症の治療における抗菌組成物の有用性を予測するためのMICおよびMBC測定の広範囲の使用によって証明されるように、強力にインビボ活性と相関している。
【0062】
特に目覚ましいのは、本発明のプロトン化化合物を含む本組成物がかつては一定の従来型抗生物質に向けて反応性が低いと見なされていた細菌に対する抗菌有効性の範囲を拡大する能力である。例えば、本発明のプロトン化化合物はアクネ(座瘡)を治療するための組成物中において特に有用な可能性がある。
【0063】
本発明の、ならびに抗菌活性を有するプロトン化化合物は、抗真菌薬としての活性を有している。したがって、プロトン化化合物は例えば足白癬およびカンジダ症のような真菌感染症のための有効成分として有用である。
【0064】
本発明の、ならびに抗菌活性を有するプロトン化化合物は、抗ウイルス薬としての活性を有している。したがって、プロトン化化合物は例えば単純ヘルペスのようなウイルス感染症のための有効成分として有用である。
【0065】
本発明の組成物は、調理台、外科用器具、包帯類および皮膚のような表面を殺菌するための局所消毒剤として、角膜、皮膚切開部および擦り傷、火傷、および細菌もしくは真菌感染症の部位を含む皮膚および粘膜面への外用のクリーム、ローション、軟膏または液剤を含む医薬組成物として、酵母を含む細菌もしくは真菌の増殖を阻害するために口腔もしくは膣のような内側粘膜表面へ投与するためのクリーム、ローション、軟膏、乳剤、リポソーム分散剤もしくは、坐剤、または液剤を含む医薬組成物として、および潜伏性細菌もしくは真菌感染症に感染し易い留置カテーテルおよび類似インプラントを被覆するためのクリーム、ゲルもしくは軟膏のような医薬組成物として提供できる。
【0066】
本発明の局所用組成物中の追加の添加物
本発明のプロトン化化合物は、例えばローション、クリームおよび局所用液剤のような製剤内で有効成分と併せて使用することができる。さらにまた追加の保湿作用を有し、さらに該組成物の粘度を改善するためにその他の化合物を添加することができる。そのような化合物の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない。セチルエステルワックス、ステアリルアルコール、セチルアルコール、グリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、クオタニウム−15、湿潤剤、揮発性メチルシロキサン液、およびポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレン。例えば、どちらも参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,153,230号および第4,421,769号を参照されたい。該組成物が追加の浄化作用を有することが望ましい場合は、硫酸ラウリルナトリウムまたはカルボン酸の金属塩のような化学物質を添加することができる。
【0067】
この場合には広範囲の非揮発性皮膚軟化剤が有用であるが、その非限定的例は参照してその全体が本明細書に組み込まれる「マカッチャンの機能性材料、第2巻、北米版(McCutcheon's Vol.2 Functional Materials,North American Edition)」,(1992),第137~168頁、および第572~575頁では皮膚コンディショニング剤および第580頁では皮膚保護剤を列挙している同様に参照してその全体が本明細書に組み込まれる「CTFA化粧品成分ハンドブック、第2版(CTFA[米国化粧品工業会] Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992))」を参照されたい。
【0068】
本明細書で有用な特に好ましい非揮発性湿潤剤の材料は、特にシリコーン、炭化水素、
エステルおよびそれらの混合物である。
【0069】
シリコーン系皮膚軟化剤の例には、ポリアルキルシロキサン、環状ポリアルキルシロキサン、およびポリアルキルアリールシロキサンが含まれる。適切な市販で入手できるポリアルキルシロキサンには、ジメチコーンとしても知られているポリジメチルシロキサンが含まれるが、その非限定的例にはゼネラル・エレクトリック社によって販売されているVicasil(商標)シリーズおよびダウ・コーニング・コーポレーションによって販売されているDow Corning(商標)200シリーズが含まれる。市販で入手できるポリアルキルシロキサンには、シクロメチコーン(Dow Corning(商標)244液、Dow Corning(商標)344液、Dow Corning(商標)245液およびDow Corning(商標)345液)等が含まれる。適切な市販で入手できるトリメチルシロキシシリケートは、Dow Corning(商標)593液としてジメチコーンとの混合液として販売されている。本明細書で同様に有用であるのは、ヒドロキシ末端ジメチルシリコーンであるジメチコノールである。適切な市販で入手できるジメチコノールは、典型的にはジメチコーンまたはシクロメチコーンとの混合液として販売されている(例、Dow Corning(商標)1401、1402、および1403液)。適切な市販で入手できるポリアルキルアリールシロキサンには、SF1075メチルフェニル液(ゼネラル・エレクトリック社によって販売されている)および556化粧品用フェニルトリメチコーン液(ダウ・コーニング・コーポレーションによって販売されている)が含まれる。
【0070】
本明細書で有用な炭化水素には、約10〜約30個の炭素原子、より好ましくは約12〜約24個の炭素原子、および最も好ましくは約16〜約22個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖炭化水素が含まれる。これらの炭化水素材料の非限定的例には、ドデカン、スクアラン、コレステロール、5水素化ポリイソブチレン、ドコサン(すなわち、C
22炭化水素)、ヘキサデカン、イソヘキサデカン(Presperse社(サウスプレーンズフィールド、N.J.)によってPermethyl(商標)101Aとして販売されている市販で入手可能な炭化水素)が含まれる。本明細書で有用なその他の炭化水素材料には、パラフィンならびにUSP軽油(例、Witco社(メルロースパーク、Ill.)から入手できるKlearol(商標)およびUSP重油(例、Witco社(メルロースパーク、Ill.)から入手できるKlearol(商標)のような鉱油が含まれる。
【0071】
さらにまた非揮発性皮膚軟化剤として有用であるのは、アルコールおよび多価アルコール(すなわち、2個以上のヒドロキシ基を有するアルコール)を用いてエステル化されている単官能および二官能脂肪酸のエステルを含むエステルである。本明細書では広範囲のエステルが有用であるが、好ましいのは長鎖脂肪酸の長鎖エステル(すなわち、C10〜40脂肪アルコールを用いてエステル化されたC10〜40脂肪酸)である。本明細書で有用なエステルの非限定的例には、ジイソプロピルアジペート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ミリスチルプロピオネート、エチレングリコールジステアレート、2−エチルヘキシルパルミテート、イソデシルネオペンタノエートC
12-15アルコールベンゾエート、ジ−2−エチルヘキシルマレエート、セチルパルミテート、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレート、セチルステアレート、ベヘニルベヘンレート、およびそれらの混合物からなる群から選択されるエステルが含まれる。
【0072】
脂肪族アルコールのような一定の添加物は水溶液中の溶解度を制限してきた。これらの化合物のいずれかを含む組成物は、乳剤やリポソーム分散剤および調製物中と同様に任意で親油相を用いて調製することができる。
【0073】
無傷の皮膚への外用または非生物表面の殺菌消毒のためには、エタノールもしくはプロパノールのような有機溶媒または補助溶媒を使用することができる。溶媒が蒸発すると、再感染を阻害するために処置された表面上に抗生性かつプロトン化された化合物の残留物が残される。
【0074】
特定の調製物は、当分野でよく知られている方法に従って製造できる。調製物は、例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」および類似の参考文献の中に記載されている。
【0075】
プロトン化化合物を含有する組成物の治療的使用
本発明のプロトン化化合物は、処方薬(例、ベンゾマイシンクリーム)および市販薬(例、サリチル酸、過酸化ベンゾイル等を含有する抗座瘡薬)の両方の局所用抗生物質中の安定化用および/または保存用化合物として有用である。疾患の治療的処置において使用するときには、本発明のプロトン化化合物および有効成分を含有する組成物の適切な用量は、数種の明確に確立された方法のいずれかによって決定できる。例えば、体重1kg当たりの生体活性物質の最大耐量もしくはMTDを決定するために一般に動物試験が使用されている。一般に、試験される動物種の少なくとも1種は哺乳動物である。当業者は通常、有効性および毒性を回避するための用量を、ヒトを含む他の動物種へ外挿する。さらに、治療用量はさらにまた例えば感染症の重症度、および宿主のサイズまたは動物種のような要素に依存して変化させることができる。
【0076】
本明細書に記載した抗菌組成物の治療使用が意図される場合は、該組成物は好ましくは医薬上許容される局所用担体に含めて投与される。典型的には、必ずではないが所定の抗菌組成物のための好ましい調製物は所定の感染性微生物が最初に進入すると予想される、または所定の感染性微生物がコロニー形成もしくは集中すると予想される宿主内の位置に左右される。例えば、局所感染症は、好ましくは例えば皮膚、粘膜等のような特定身体表面へ適用するために設計された調製物によって治療または防止される。このような実施形態では、有効成分および該プロトン化化合物を含有する組成物は局所用の水、エタノール、およびプロピレングリコール基剤中で調製される。あるいはまた、標的病原体が鼻腔内でコロニー形成する場合は、鼻内投与のために適切な組成物を調製できる。
【0077】
好ましくは、本発明の組成物を使用して治療できる動物宿主には、無脊椎動物、脊椎動物、鳥類、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、および特にヒトのような哺乳動物が含まれるが、それらに限定されない。本明細書に記載した組成物は、さらにまた実験用培養、消耗品(食品もしくは飲料の調製)、医療機器、院内装置、または工業用プロセスの細菌汚染と戦う際に有効であることも意図されている。
【0078】
細菌および真菌感染症は、後天性免疫不全症候群(AIDS)に罹患している患者、HIV感染者、化学療法もしくは放射線療法、または骨髄移植術等を受けた患者のような免疫抑制状態にある個人においては特に問題であることを前提とすると、本明細書に記載した発明の追加の実施形態は免疫不全患者における感染症を予防および/または治療するための予防薬としての本明細書に記載した抗菌性プロトン化化合物の使用である。
【0079】
本発明の方法および組成物が有効である細菌の例には、グラム陽性菌、グラム陰性菌、抗酸菌、および特に黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、マイコバクテリウム菌および大腸菌が含まれる。本発明の方法および組成物は、以下の属のメンバーを含むすべての細菌による感染症に対して有効である。アエロコッカス属、リステリア属、ストレプトミセス属、クラミジア属、ラクトバシラス属、ユーバクテリウム属、アラクニア属、マイコバクテリウム属、ペプトストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、コリネバクテリウム属、エリジペロスリックス属、デルマトフィルス属、ロドコッカス属、シュードモナス属、ストレプトコッカス属、バシラス属、ペプトコッカス属、ニューモコッカス属、ミクロコッカス属、ナイセリア属、クレブシエラ属、クルチア属、ノカルジア属、セラチア属、ロチア属、エシェリキア属、プロピオニバクテリウム属、アクチノミセス属、ヘリコバクター属、エンテロコッカス属、シゲラ属、ビブリオ属、クロストリジウム属、サルモネラ属、エルシニア属、およびヘモフィルス属。
【0080】
皮膚糸状筋と呼ばれる一連の真菌またはカビは皮膚の真菌感染症を惹起する。これらの真菌は皮膚上の寄生体であり、身体の様々な部分において種々の症状を惹起する。これらは極めて感染性であり、ヒトからヒトへ伝染する。典型的にはこれらの感染症は局所的であるが、一定の患者(例、免疫不全患者)ではそれらは全身性または身体内で発生することがある。
【0081】
本発明の組成物を用いて治療できる真菌感染症には、皮膚糸状菌症(トリコフィトン、エピデルモフィトン、およびミクロスポルム)、カンジダ症(カンジダ・アルビカンスおよびその他のカンジダ種)、でん風(ピチロスポルム・オルビクラーレ)、足白癬(トリコフィトン・メンタグロフィテス、トリコフィトン・ルブルム、およびエピデルモフィトン・フロッコーズム)、頭部白癬および輪癬(トリコフィトン・トンスランス)が含まれる。
【0082】
膣酵母感染症は、一般には2、3種の細菌と一緒に通常は膣領域内で比較的少数で存在するカンジダ・アルビカンスによって惹起される。ときには、酵母は急速に増殖かつ継代して、カンジダ症またはモニリア症を惹起する。これはしばしば膣環境の変化、傷害、性感染、HIV感染症等が原因である。酵母に好都合な共通の環境破壊には、pH上昇、熱および水分上昇、アレルギー反応、糖レベル上昇、ホルモン不安定さ、および通常は存在する細菌集団の減少が含まれる。
【0083】
結合療法
プロトン化化合物はさらにまた本発明の組成物中の従来型抗菌剤と結び付けて使用することができる。有効成分の追加された活性はより有効な組成物を提供することができ、そしてそれにより微生物を標的とする複数の機序を提供することができる。
【0084】
例えば、座瘡を治療するための組成物は、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、および/または硫黄とともに本発明のプロトン化化合物を含むことができる。本発明の組成物中のこれらの化合物のこれらの量は当業者であれば決定することができ、有効量は明確に立証されている。例えばC.Zouboulis(編者),「皮脂腺、座瘡および関連障害:基礎的および臨床的研究、病型および治療(Sebaceous Glands,Acne and Related Disorders:Basic and Clinical Rsearch,Clinical Entities and Treatment)」、(1998)を参照されたい。このような本発明のプロトン化化合物を使用した結合療法は、消費者が現在利用できる薬剤の量、例えば市販製剤で見いだされる量を増加させる必要なく組成物の有効性を増加させることができる。このような組成物は好ましくは水性であるが、それは油性組成物は座瘡の状態を悪化させる可能性があるからである。
【0085】
本プロトン化化合物は、さらにまた一般に例えば皮膚または眼に適用するための外用の抗生物質クリームにおいて有用である。さらに、本プロトン化化合物は単独有効成分として使用できる、またはトリクロサン、エリスロマイシン、硫酸ネオマイシンおよびグラミシジン、ポリミキシン、ゲンタマイシン、クリンダマイシンおよびその他の局所用抗生物質を含むがそれらに限定されない他の物質との結合療法において使用することもできる。例えば、Yoshihito Honda(編者)、「抗生物質の局所適用:眼科学における近年の進歩(Topical Application of Antibiotics:Recent Advances in Ophthalmology)」,(1998)および「医薬品便覧(Physicians Desk Reference)」,(1999)を参照されたい。
【0086】
本発明の組成物中の追加の有効成分であってよいOTC(一般用医薬品)抗真菌薬には、以下が含まれる。ミコナゾール、硝酸ミコナゾール、ポリノキシリン、クロトリマゾール、硝酸スルコナゾール、硝酸エコナゾール、トルナフテート、硫化セレニウム、チオコナゾール。抗真菌処方薬には例えばアリルアミン、アゾール、ポリエンマクロライド、フルシトシン、プソイドマイシンおよびグリセオフルビンが含まれる。代表的な抗真菌薬には、アムホテリシンB、フルコナゾール/ジフルイアン、フルシトシン、ホスカネット、イトラコナゾール/スポロネックス、ケトコナゾール/ニトラール、およびナイスタチン1が含まれる。さらにどちらも参照して組み込まれるElewski,「皮膚真菌感染症、第2版(Cutaneous Fungal Infections,2nd Edition)」,(1998)およびSegal,「病原性酵母および酵母感染症(Pathogenic Yeasts and Yeast Infections)」,(1994)を参照されたい。
【0087】
本発明の局所用組成物は上記のようなプロトン化化合物を含んでおり、そしてレチノイン酸、グリコール酸、乳酸、α−ヒドロキシ酸、ケト−ヒドロキシ酸、クエン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルクロノラクトン、グルコノラクトン、α−ヒドロキシ−ブチル酸、α−ヒドロキシイソブチル酸、リンゴ酸、ピルビン酸、β−フェニル乳酸、β−フェニルピルビン酸、糖酸、マンデル酸、酒石酸、タルトロン酸、β−ヒドロキシブチル酸、ビタミンAパルミテート(レチニルパルミテート)および/またはビタミンEアセテート(トコフェリルアセテート)のようなそれ自体が有効成分である多数の添加物のいずれかを含有することができる。これらの各々は、好ましくは約0.5重量%〜約20重量%の量で存在する。さらに、PABAのようなUV吸収剤または遮断剤を使用できる。
【0088】
本発明の化合物がその中で有効である追加の組成物には、α−ヒドロキシ酸、レチノイドおよびサリチル酸の組み合わせに向けられている米国特許第5,652,266号;サリチル酸を含み、または含まずのいずれかでα−ヒドロキシ酸および過酸化カルバミドを含有する組成物に向けられている米国特許第5,843,998号;主要有効成分がグリコール酸である調製物に向けられている米国特許第5,153,230号;グリコール酸誘導体を含有する抗菌調製物に向けられている米国特許第4,464,392号;および本発明の組成物中で使用できる極めて多数の他の類似有効成分を記載している米国特許第4,105,782号の中で見いだされるものが含まれる。
【0089】
本発明の組成物は、プロピレングリコールを含むことができる。プロピレングリコールは界面活性剤として機能し、有効成分の浸透、接触および吸収に役立つ。プロピレングリコールはさらにまた保存料としても機能する。本発明の組成物はさらにまた例えばポリソルベートのような非イオン性界面活性剤を含むこともできる。このような界面活性剤は表面張力をいっそう低下させることにより該組成物と膣粘膜とのより良好な表面接触を提供する。
【0090】
本発明の組成物はさらにまた、いっそう該組成物の医学的有効性を拡大することによって、例えば殺精剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤のような他の医薬品のための担体材料として、および/またはそのような医薬品と組み合わせて使用することもできる。本発明の組成物はさらにまた、治療中の疼痛または掻痒を取り除くために塩酸リドカインのような局所麻酔薬およびコルチコステロイドのような局所ステロイド剤を含むこともできる。
【0091】
化粧品における本発明のプロトン化化合物の使用
本発明のプロトン化化合物は、ローション、クリーム、および局所用液剤のような化粧品中で抗菌保存料として使用することができる。本プロトン化化合物は、ローション中のような化粧品中の極めて多種の細菌の増殖を遅延させるおよび/または防止するので、したがって化粧品中の細菌の増殖を防止するおよび/または遅延させるための保存料として使用できる。本プロトン化化合物は、該化粧品の組成のpHが本化合物のプロトン化を維持するために十分に低い、すなわち7.0以下であることを条件に、この能力であらゆる既知の化粧品と一緒に使用できる。プロトン化化合物は、抗菌作用を有するために十分な量で、そして好ましくは0.25重量%〜10.0重量%、より好ましくは0.5重量%〜5.0重量%で存在する。
【0092】
本発明の化粧品組成物は、さらにまた例えばグリコール酸もしくはα−ヒドロキシ酸、ビタミンAパルミテート(レチニルパルミテート)および/またはビタミンEアセテート(トコフェリルアセテート)のような有効成分である多数の添加物のいずれかも含有することができる。これらの各々は、好ましくは約0.5重量%〜5重量%の量で存在する。さらに例えばPABAのようなUV吸収剤または遮断剤を使用することができる。
【0093】
追加の保湿効果を有し、さらに該組成物の粘度を改善するために他の化合物も添加することもできる。このような化合物の例には以下のものが含まれるが、それらに限定されない。セチルエステルワックス、ステアリルアルコール、セチルアルコール、グリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、クオタニウム−15、湿潤剤、揮発性メチルシロキサン液、およびポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレン。例えば、どちらも参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,153,230号および第4,421,769号を参照されたい。該組成物が追加の浄化作用を有することが望ましい場合は、硫酸ラウリルナトリウムまたはカルボン酸の金属塩のような化学物質を添加することができる。
【0094】
消毒剤におけるプロトン化化合物の使用
本発明のプロトン化化合物は、消毒剤として、および特に生物静止性または好ましくは生物致死性を有する液状消毒剤として利用できる。消毒剤溶液は、少なくとも十分な量の本発明のプロトン化化合物を含有しており、さらにまた生物静止性および/または生物致死性を備える他の有効成分を含有することができる。例えば、消毒剤は本発明のプロトン化化合物を適切な濃度の例えばジメチルベンジルドデシルアンモニウムクロリド、ジメチルベンジルデシルアンモニウムクロリド、ジメチルベンジルデシルアンモニウムブロミド、およびジメチルベンジルオクチルアンモニウムクロリドのような4級アンモニウム化合物と一緒に含有することができる。
【0095】
また別の例では、例えばオリゴヘキサメチレンビグアニド塩およびビスビグアナイドのような適切な抗菌性ビグアニジン化合物を使用できる。例えば参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,030,659号を参照されたい。追加の生物致死性成分にはアルデヒド、フェノール誘導体、およびハロゲンフェニル誘導体が含まれる。例えば参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,767,054号を参照されたい。当業者であれば理解されるようなこのような活性を有するその他の化合物もまた本発明のプロトン化化合物と結び付けて使用できる。
【0096】
上記の有効成分に加えて、本発明の消毒剤は該調製物の所望の使用に依存して他の典型的な成分を含有することができる。特に、消毒剤溶液のpH範囲を6以下に維持するために酸化剤を使用できる。本プロトン化化合物および/または他の有効成分のために適切な溶媒を使用することができるが、適切な溶媒として好ましいのは水または水と混和性の有機溶媒である。これらのような溶液は、当業者にはよく知られている圧縮空気またはその他の噴射剤を使用して容易にスプレーすることができる。
【0097】
これらの本発明の製剤は特に例えば病院、動物診療所、歯科および内科医院のような医療関連環境における表面消毒のために適している。外科用器具の殺菌消毒における本発明の溶液の使用は特に好ましい。これらの製剤はさらにまた、学校、交通機関、レストラン、ホテルおよびクリーニング店のような公衆の集まる場所においても有用である。これらの消毒剤は、トイレ、洗面所および台所領域の清浄剤として家庭用にも利用できる。
【0098】
本発明のプロトン化化合物はさらにまた皮膚の消毒液としても使用できる。このような組成物は局所使用のために適切な賦形剤中の溶液中に本発明のプロトン化化合物を含有している。該消毒剤は、速乾性タイプであってよく、その場合には該プロトン化化合物がエタノール基剤中に存在することが望ましい。このような溶液は、好ましくは同様に皮膚用の皮膚軟化剤を含有しているが、それはアルコールは極めて皮膚を乾燥させる傾向を示すためである。適切な皮膚軟化剤の例には以下のものが含まれるが、それらに限定されない。例えばポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エリトリトール、ジプロピレングリコール、およびソルビトールのような多価アルコール。皮膚軟化剤の量は、0.1〜3.0w/w%の範囲内、およびより好ましくは0.2〜1.5w/w%の範囲内であってよい。皮膚軟化剤の含量が0.1%(重量で)未満である場合は余り有効ではない可能性があり、そして3.0%を超えると該溶液は過度に粘着性になることがある。
【0099】
皮膚用の消毒剤溶液は、医療処置または廃棄物処理後の手の消毒に特に有用である。消毒は、医療スタッフと患者の両方にとって手術領域を殺菌消毒するために外科環境において有用なことがある。例えば、外科用器具は手術前の無菌被覆を提供するために本発明のプロトン化化合物を用いて被覆することができる。
【0100】
組成物の適用および送達
本明細書に記載したプロトン化化合物は、様々な有効成分および様々な生理学的担体分子を用いて調製できる。本明細書に記載した抗菌性有効成分は、それらが標的細胞に侵入する能力を増強させる分子と一緒に任意で複合体を形成することができる。このような分子の例には、細菌増殖に対して極めて重要な炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、ペプチド、脂質、および分子が含まれるが、それらに限定されない。例えば、有効成分は脂質、カチオン性脂質、またはアニオン性脂質(これらはプロトン化化合物および/または例えばサリチル酸のような酸性有効成分のために好ましい可能性がある)と結合することができる。結果として生じる本発明の化合物のpH安定化質と結合した乳剤またはリポソーム懸濁液は、該組成物の活性のインビボ半減期を効果的に増加させることができる。本発明の組成物と一緒に使用するために適切なアニオン性脂質の例には、カルジオリピン、ジミリストイル、ジパルミトイル、またはジオレオイルホスファチジルクロリンもしくはホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリンもしくはホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リソホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびコレステロールのアニオン性形が含まれるが、それらに限定されない。カチオン性、アニオン性、および/または中性脂質組成物またはリポソームの使用は一般に、参照して本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO90/14074号、第WO91/16024号、第WO91/17424号、および米国特許第4,897,355号に記載されている。不活性成分(例、本発明の化合物)および/または有効成分(例、抗生物質)を脂質関連構造に組み立てることによって、適切な標的物質(すなわち、特異的抗体または受容体)を脂質複合体内へ組み込むことで、本発明の組成物は特定細菌細胞型を標的とすることができる。
【0101】
有効成分および医薬担体を備える混合剤中に本発明の化合物を含有する医薬組成物は従来型の製薬学的調剤法に従って調製することができる。
【0102】
エーロゾル(例、鼻腔内または粘膜投与用)は、例えばエチルアルコールのような噴射剤中または噴射剤と溶媒の相中にプロトン化化合物と有効成分とを溶解または懸濁させることによって調製できる。局所投与形またはエーロゾル形の医薬組成物は、使用される特定投与形に依存して(該プロトン化化合物を)一般に重量で約0.01%〜約40%、好ましくは重量で約0.02%〜約10%、およびより好ましくは重量で約0.05%〜約5%含有しているであろう。
【0103】
座剤は、該プロトン化化合物を例えばカカオ脂、カカオバター、グリセリン、ゼラチン、またはポリオキシエチレングリコールのような脂質賦形剤と混合することによって調製する。
【0104】
本明細書で記載した抗菌組成物は、従来型抗生物質および抗真菌薬を投与するために使用される実質的にあらゆる手段によって身体へ投与することができる。動物中の細菌へ生体活性化合物を送達するためには当分野において様々な局所送達系が知られている。これらの送達系には、局所用クリーム、液剤、懸濁剤、乳剤、鼻腔スプレー、吸入用エーロゾル、および座剤投与が含まれるが、それらに限定されない。使用される特定の局所送達系は細菌の所在場所に左右され、細菌の所在位置を決定して適切な送達系を選択するのは十分に当業者の技術の範囲内にある。
【0105】
プロトン化化合物の生成
本明細書に記載した化合物のプロトン化形は、精製化合物、部分精製化合物、または粗化合物を低pH(例、酸性)環境に置くことによって生成させることができる。精製化合物または粗化合物は、リン酸、硝酸、塩酸、および酢酸を含む酸を用いてプロトン化した。
【0106】
細菌実験で使用する化合物の凍結乾燥または乾燥製剤は発熱物質を含まない無菌の生理食塩液(すなわち、0.85%食塩液)、無菌Sigma水中に溶解させ、そして0.45ミクロンのゲルマン(Gelman)フィルター(または0.2ミクロンの発熱物質を含まない無菌フィルター)に通して濾過した。
【0107】
水または食塩液中に懸濁させると、化合物はプロトン化/酸性化のレベルに依存して典型的には1〜4.5の間のpHを示したが、これは酸性化工程で使用される酸の量によって決定される。
【0108】
当業者に知られているプロトン化化合物を調製するための他の方法は、同等に本発明の範囲内に含まれると想定されている。本発明の化合物がプロトン化されていると、それらは例えば過剰な酸のような望ましくない成分から分離することができる。当業者であれば、望ましくない成分から該化合物を分離するための多数の方法を熟知していると思われ、それらにはH
+カチオン交換体(例、H
+−SCX)を使用する方法が含まれるが、それには限定されない。例えば、該化合物にはプロトン化に続いてクロマトグラフィーを受けさせることができる。1つの実施形態では、該化合物はプロトン化に続いてポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)を基剤とする樹脂(例、Hamilton's PRP−1もしくは3およびPolymer Lab's PLRP)の上方をランさせられる。
【0109】
該プロトン化化合物は、直接に使用できる、または好ましい実施形態ではさらに例えば沈降法、逆送クロマトグラフィー、ダイアフィルトレーション、またはゲル濾過を介して過剰な酸および塩を除去するために処理することができる。該プロトン化化合物は凍結乾燥、溶媒蒸発等によって濃縮することができる。水または食塩液中に懸濁させると、本発明の酸性化化合物はプロトン化/酸性化のレベルに依存して典型的には1〜4.5の間のpHを示すが、これは酸性化工程において使用される酸の量によって決定することができる。あるいはまた、化合物は水素イオンで荷電させたカチオン交換カラムの上方を通過させることによってもプロトン化することができる。
[実施例]
【0110】
以下の実施例は、当業者に主題発明の製造方法および使用方法についての完全な開示および説明を提供できるように提起されているので、したがって本発明の範囲を制限することは意図されていない。使用した数字(例、量、温度、濃度等)に関して正確を期するように努力は払ってきたが、一部の実験上の誤差および逸脱は許容されなければならない。他に指示されていない限り、部分は重量での部分であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、そして圧力は大気圧または大気圧に近い。
【実施例1】
【0111】
[熱傷モデルにおける細菌増殖試験]
マウスの熱傷創感染症は、熱傷部位へ細菌を皮下または局所投与することによって確立できる。本発明の化合物の抗菌活性を証明するために、このような化合物が熱傷創感染症を防止する能力を試験した。
【0112】
6週齢のBALB/c雌性マウスは、チャールス・リバー・カナダ社(Charles River Canada,Ltd.St.Constant、ケベック州、カナダ)から購入した繁殖用つがいを用いて、DRESでのマウス繁殖コロニーから入手した。本試験に記載した動物の使用は、DRES動物実験委員会による承認を受けた。本試験に記載した動物の飼養および取扱いについてはカナダ動物実験会議で規定されたガイドラインに従った。
【0113】
緑膿菌(ユタ4菌株)を最初はトリプチカーゼ・ソイ・ブロス上で培養し、そのアリコートを採取し、−70℃で冷凍した。使用する前にアリコートを解凍し、動物への投与の直前に無菌PBS中で連続的に希釈した。生育性および病原性を保証するために、細菌のアリコートをトリプチカーゼ・ソイ・ブロス上で定期的に再増殖させ、トリプチカーゼ・ソイ寒天プレート上でコロニーを計数した。
【0114】
LD
50値はReed and Muench法(Amer.J.Hyg.(1938),27:493−497)を使用して測定し、感染症の皮下経路および局所経路各々について約4×10
8および2×10
9CFU(コロニー形成単位)であることが見いだされた。全身性熱傷創感染症についての細菌の致死量を確定するために、群分類したマウスにケタミン/キシラジン混合液(各50mg/kg、筋内投与)により麻酔をかけ、クリッパー、レザーおよびシェービングクリームを用いて背部を剃毛した。これらの動物の背部で熱傷を誘発するために熱湯中で15分間、真鍮の棒(10×10×100mm)を加熱した。加熱した棒の端部をマウスの剃毛した背部に45秒間適用した。30分間待った後、50μLの細菌接種材料(全細菌の約1×10
8-11CFUを含有する)を動物の背部上の熱傷部位の皮下へ投与した。その後マウスを回復させ、症状および死亡について毎日監視した。3日後、マウスを剃毛し、上記と同様に熱傷を誘発した。その後、同一数の細菌を含有する接種材料を熱傷の部位上に局所的に均一に適用し(100μL)、そしてその後少なくとも2時間にわたり特注の「マウスジャケット」を感染部位へ被せた。これらのマウスの症状および死亡について毎日監視した。使用した緑膿菌の菌株の致死用量は、保管中の細菌において生育性および病原性が低下する可能性があるために、本試験の進行中に変化することが分かった。その結果、これらの数値は定期的に再チェックして調整した。全処置試験について、細菌の約5LD
50値を使用した。これらの2つの感染経路によって投与した、細菌の約5LD
50値を使用して感染させたマウスの生存パターンは類似であった。どちらの投与形路も感染後第3日までに試験群の全マウスの最終的死亡を生じさせた。熱傷を受けずに皮下投与または局所投与のいずれかで同等量の細菌を適用された対照群の非熱傷マウスは無症候性であり、感染症に対して完全に抵抗性であることが見いだされた。熱傷および感染症を受けたマウスでは、局所投与された細菌のLD
50は皮下経路のおよそ5倍高かった。他に明記していない限り、本明細書に記載する全処置試験は感染症の皮下経路を使用して実施した。その後の試験のためにこの投与経路を選択したのは、感染症3日前にシクロホスファミドによるマウスの前処置を必要とせず、シクロホスファミドがより全身性の感染症を惹起するためであった。
【0115】
上記の通りに処置したマウスへ皮下投与によりNu−2、Nu−3、Nu−4およびNu−5を与え(約12mg/mLの溶液200μL)、そしてそれらの生存率を対照群の未処置マウスと比較した。本試験の結果は表1に示した。これらの結果は、本発明の化合物が熱傷創の感染症の発生を軽減することに有効であることを示している。
【0116】
【表1】
【実施例2】
【0117】
[プロトン化モノマーを用いた皮下治療]
熱傷創感染症を治療するためのプロトン化化合物の有効性を判定するため、上記の通り緑膿菌の5LD
50を用いてマウスを皮下感染させた。その後マウスを以下の方法で治療した。全身性感染症(細菌の皮下注射による感染症)を治療するために、マウスを感染2および8時間後に治療した。プロトン化Nu−3を用いて3群のマウスを治療した。第1群には35mg/mL、第2群には17.5mg/mLのプロトン化モノマー100μLの皮下注射を実施し、そして第3群にはモノマーを投与しなかった。第1群の動物は全部(5匹中5匹)、第2群の動物は5匹中2匹が生存したが、対照群では熱傷創感染症のために生存していた動物は1匹もいなかった。
【0118】
細菌負荷は実験動物の血液および臓器を使用して測定した。血液、脾臓、肝臓、および熱傷皮膚は無菌的に切除した。血液(100μL)は、無菌PBSを用いて連続的に希釈し、希釈血100μLをトリプチカーゼ・ソイ寒天プレート内で増殖させるためにプレーティングした。臓器は、ハンドヘルド型組織グラインダーを使用して2mL(脾臓および皮膚)もしくは5mL(肝臓)の無菌PBS中でホモジナイズした。これらの組織ホモジネートを無菌PBS中で連続的に希釈し、その後TSA中で増殖させるためにプレーティングし、細菌接種したプレートを37℃で一晩インキュベートした。その後でCFU数を測定した。
【0119】
35mg/mLの用量が投与された動物は、脾臓、肝臓または血液中で検出可能な細菌負荷を有していなかった。17.5mg/mLの用量が投与された動物は、対照群の未治療動物より1桁低い細菌負荷を有していた:脾臓中では1.6×10
4対9×10
2および肝臓中では1.2×10
4対1.9×10
3(治療群対未治療群)。
【0120】
対照群および治療群のマウスの生存率は、マン・ホイットニー(Mann−Whitney)の対応のないノンパラメトリック片側検定を用いて比較した。これらの検定はGraphPad Prismソフトウェアプログラム(バージョン2.0;Graph Pad Software社製、サンディエゴ、CA)を使用して実施した。差はp<0.05である場合に統計的有意と見なした。
【0121】
この実験の結果は、本発明の化合物が熱傷創感染症の治療に有効であることを示している。
【実施例3】
【0122】
[足白癬の治療]
糖尿病を持つ75歳の男性が足白癬の急性症状を示した。この感染症は、1ヵ月間にわたって従来型抗真菌薬により治療されていたが、この真菌感染症を治癒させる伸展はほとんど見られなかった。31A
260/mLの濃度でNu−3の局所溶液を使用する足白癬の部位の治療を開始した。この領域の1日1回の治療を3日間に渡って続けた。3日間の終了時に、感染症は完全に根絶されたように見えた。
【0123】
この実験の結果は、本発明の化合物が足白癬の治療に有効であることを示している。
【実施例4】
【0124】
[化合物Nu−4の抗菌活性]
さらに本発明の化合物Nu−4の存在下で様々な微生物をインキュベートすることによって本発明の化合物の抗菌活性を証明した。このようなインキュベーションのために、Nu−4の原液(12.7mM)を5回の連続的な2倍希釈を使用して希釈した(10%ミュラー・ヒント(Meuller−Hinto)ブロス(MHB)5mL中に試験物質0.5mLを溶解させた)。96ウェル・マイクロタイタープレートの各ウェルに150μLのMHB、30μLの化合物希釈液、20μLの10×細菌を添加して約10
6コロニー形成単位(「cfu」)/mLの等価物を生じさせた。プレートを適切な温度で24時間インキュベートし、その後増殖についてスコア付けした(NG=増殖なし、+、一部の増殖、++、かなりの量の増殖、+++、高密度の増殖)。この実験の結果は下記の表2に示した。
【0125】
【表2】
【0126】
この実験の結果は、本発明の化合物が広範囲の抗菌活性を有することを示している。
【実施例5】
【0127】
[化合物Nu−5の抗菌活性]
さらに本発明の化合物Nu−5の存在下で様々な微生物をインキュベートすることによって本発明の化合物の抗菌活性を証明した。このようなインキュベーションは、Nu−5の原液(12.7mM)を使用したこと以外は実施例4に記載した通りに実施した。プレートは適切な温度で24時間インキュベートし、その後増殖についてスコア付けした(NG=増殖なし、+、一部の増殖、++、かなりの量の増殖、+++、高密度の増殖)。この実験の結果は下記の表3に示した。
【0128】
【表3】
【0129】
この実験の結果は、本発明の化合物が広範囲の抗菌活性を有することを示している。
【実施例6】
【0130】
[3種の酵母菌を用いたMIC実験:化合物Nu−3およびNu−5の抗菌活性]
本発明の化合物Nu−3およびNu−5の存在下で3種の酵母菌をインキュベートすることによって本発明の化合物の抗菌活性を証明した。このようなインキュベーションのために、Nu−3(54A
260/mL)およびNu−5(12.7mM)の原液は、各菌について5回の連続的な2倍希釈液(無菌水30μL中に溶解させた試験物質30μL)を使用して希釈した。24ウェル・マイクロタイタープレートの各ウェルに30μLの各化合物(希釈液は各ウェル中で直接に調製した)、20μLの10×酵母細胞を添加して、約10
6コロニー形成単位(CFU)/mL、および150μLの10%サブロー・デキストロース・ブロスの等価物を生じさせた。プレートを攪拌(200RPM)しながら25℃で24時間インキュベートし、さらに24時間にわたり室温でインキュベートし、その後増殖についてスコア付けした(NG=増殖なし、+、一部の増殖、++、かなりの量の増殖、+++、高密度の増殖、ND=実施しなかった)。この実験の結果は下記の表4に示したが、本発明の化合物が原核生物および真核生物両方に対して広範囲の抗菌活性を有することを示している。
【0131】
【表4】
【0132】
本発明を特定実施形態を参照しながら記載してきたが、当業者には様々な変更を加えることができ、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく等価物を置換できることが理解されなければならない。さらに、特別の状況、材料、組成物、1つまたは複数の工程ステップを本発明の目的、精神および範囲へ適応させるために修飾することができる。すべてのこのような修飾は添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。