【実施例】
【0064】
1)式(3)の中間体の製造
100gの10−デアセチルバッカチンIIIを550mLのDCMに溶解した後、そこに100gのDMAPとTESCl 35mLを加えた。反応混合物を2時間撹拌した後、TLCにより反応終了を確認し、そこに5%NH
4Clを添加して、抽出した。抽出後、得られた有機層をMgSO
4で乾燥した後、ろ過して、濃縮した。濃縮液を0.1Lのアセトンに溶解した後、そこに1Lのヘキサンを加え、沈澱を形成させた。ヘキサン添加完了後、さらに30分間撹拌し、ろ過した後、40℃のオーブンで減圧乾燥して、式(3)の中間体130gを白色の固体で得た。得られた乾固物の純度は93%であった(HPLC)。
【0065】
2)式(4)の中間体の製造
得られた式(3)の中間体130gを2.8LのTHFに溶解し、得られた溶液を−20℃に冷却した後、そこに59mLのMe
2SO
4を加えた。次いで、そこに、40gのNaH(鉱油中60%分散物)をゆっくり加えた後、約2時間撹拌した。HPLCを利用して反応終了を確認した後、飽和NH
4ClとDCMを添加して、抽出した。得られたDCM層をMgSO
4で乾燥した後、ろ過して、濃縮した。濃縮液を0.1LのDCMに溶解した後、そこに1Lのヘキサンを加え、沈澱を形成させた。ヘキサン添加完了後、30分間、さらに撹拌し、ろ過した後、40℃のオーブンで減圧乾燥して、式(4)の中間体124gを白色の固体で得た(純度82%)。
【0066】
式(4)の中間体
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.10 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.59 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.46 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 5.60 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 4.99 - 4.87 (m, 3H), 4.43 (dd, J = 10.5, 6.7 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.14 (d, J = 8.3, Hz, 1H), 3.88 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 3.41 (s, 3H), 2.52-2.45 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.26 (s, 1H), 2.11 (s, 3H), 2.08 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 1.92-1.85 (m, 1H), 1.67 (s, 3H), 1.59 (s, 1H), 1.58 (s, 1H), 1.17 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 0.96 (t, J = 7.9 Hz, 9H), 0.65 - 0.50 (m, 6H);
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 204.60, 170.97, 167.21, 143.07, 134.02, 133.68, 130.24, 129.61, 128.69, 84.47, 82.83, 81.19, 78.96, 77.23, 74.98, 73.10, 68.20, 58.40, 55.96, 47.48, 43.02, 38.49, 37.49, 27.01, 22.89, 19.72, 15.34, 10.04, 6.95, 5.58;
LRMS (ESI) m/z 695.7 (M+Na)
+
【0067】
3)式(5)の中間体の製造
得られた式(4)の中間体124gを455mLのメタノールに溶解した後、得られた混合物を0℃に冷却した。そこに4N HCl 455mLをゆっくり添加した後、さらに約2時間撹拌した。TLCで反応完了を確認した後、5%NaHCO
3溶液5.2Lを加え、沈澱を形成させた。形成された沈澱をろ過し、蒸留水で洗浄した。得られた沈澱物を40℃のオーブンで減圧乾燥して、式(5)の中間体83gを得た(純度75%、10−デアセチルバッカチンIIIからの累積収率57%)。
【0068】
4)式(6)の中間体の製造
得られた式(5)の中間体83gを400mLのDMFに溶解し、得られた溶液を−30℃に冷却した後、ここに35mLのMe
2SO
4を添加した。次いで、そこに14gのNaH(鉱油中60%分散物)をゆっくり添加し、約1時間撹拌した。HPLCを利用して反応終了を確認した後、4Lの5%NH
4Cl水溶液をゆっくり加え、沈澱を形成させた。形成された沈澱をろ過し、過剰量の蒸留水で洗浄した後、40℃のオーブンで減圧乾燥して、式(6)の中間体69gを白色の固体で得た(純度73%、収率79%、10−デアセチルバッカチンIIIからの累積収率45%)。
【0069】
5)式(7)の中間体の製造
式(8)のオキサゾリジン酸誘導体137gを2LのEAに溶解した後、そこに227gのDCC及び23gのDMAPを添加した。得られた溶液に、得られた式(6)の中間体69gを添加し、室温で約3時間撹拌した。反応終了後、不溶性物質をろ過で除去し、減圧下で有機相を濃縮した。濃縮液を0.1LのDCMに溶解した後、そこに1Lのヘキサンを加え、沈澱を形成させた。ヘキサン添加完了後、30分間、さらに撹拌し、ろ過した後、40℃のオーブンで減圧乾燥して、式(7)の中間体78gを白色の固体で得た(純度88%、収率84%、10−デアセチルバッカチンIIIからの累積収率38%)。
【0070】
6)式(1)の化合物(カバジタキセル)の製造
得られた式(7)の中間体78gを4Lのメタノールと4LのDCMに溶解し、0℃に冷却し、そこに1N HCl 78mLをゆっくり添加した。得られた混合物を約1時間撹拌した後、そこに飽和NH
4ClとDCMを添加して、抽出した。得られたDCM層をMgSO
4で乾燥した後、ろ過して、濃縮した。濃縮液を0.1Lのメタノールに溶解した後、ここに1.2Lの蒸留水を加え、沈澱を形成させた。蒸留水添加完了後、30分間、さらに撹拌し、ろ過した後、40℃のオーブンで減圧乾燥して、カバジタキセル乾固物59gを白色の固体で得た(純度90%)。HPLC分析により、得られた乾固物のカバジタキセル含有量は72%であり、出発物質である10−デアセチルバッカチンIIIからカバジタキセル含有乾固物までの全収率は28%であった。
【0071】
式(1)化合物(カバジタキセル)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.09 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.35-7.30 (m, 5H), 6.21 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 5.63 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 5.45 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.27 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.79 (s, 1H), 4.62 (s, 1H), 4.29 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.17 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.88-3.80 (m, 2H), 3.45 (s, 3H), 3.30 (s, 3H), 2.73-2.66 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.31-2.27 (m, 2H), 1.87 (s, 3H), 1.83-1.76 (m, 1H), 1.71 (s, 3H), 1.36 (s, 9H), 1.25 (s, 1H), 1.21 (s, 3H), 1,20 (s, 3H);
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 204.94, 172.69, 170.43, 166.97, 155.30, 138.67, 138.36, 135.61, 133.64, 129.18, 128.81, 128.64, 128.05, 126.83, 84.09, 82.64, 81.75, 80.75, 80.23, 78.73, 77.23, 74.52, 73.69, 72.56, 57.34, 57.04, 56.91, 56.18, 47.39, 43.29, 35.22, 32.12, 28.21, 26.83, 22.69, 20.68, 14.64, 10.34;
LRMS (ESI) m/z 858.7 (M+Na)
+
【0072】
上記から分かる様に、本発明によりカバジタキセルを製造する場合、出発物質である10−デアセチルバッカチンIIIからカバジタキセル含有乾固物までの全収率が28%であった。当該収率は、従来の特許文献1(WO96/30355)に開示された方法(カバジタキセル製造の全収率約4%)に比べて、格段に改善されている。
【0073】
また、特許文献1(WO96/30355)に開示された方法の工程1〜3と、本発明の製造方法の実施例の工程1〜3との所要時間を比較すると次の通りである。
【0074】
【表1】
【0075】
上記から分かるように、本発明によれば、従来のカバジタキセルの製造方法に比べて、顕著に短時間で、より一層高収率でカバジタキセルを製造することができる。