(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、設計変更等により無耐火被覆CFT柱に求められる耐火性能(要求耐火性能)が高くなる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、無耐火被覆CFT柱の耐火性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造は、耐火被覆されていない無耐火被覆CFT柱と、後施工により前記無耐火被覆CFT柱の周囲に配置され、該無耐火被覆CFT柱を耐火被覆する後施工耐火被覆手段と、を備えている。
【0007】
第1態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造によれば、後施工により無耐火被覆CFT柱の周囲に配置された後施工耐火被覆手段によって、無耐火被覆CFT柱を耐火被覆することにより、火災時における無耐火被覆CFT柱の温度上昇が抑制される。したがって、無耐火被覆CFT柱の耐火性能が向上する。
【0008】
第2態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造は、
第1態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造において、前記無耐火被覆CFT柱の外面には、仕上げ塗料が塗布され、前記後施工耐火被覆手段が、前記無耐火被覆CFT柱に対して両側から取り付けられ、互いに接合されて前記仕上げ塗料の上から該無耐火被覆CFT柱を囲む一対のベース材と、前記一対のベース材の外面又は内面に設けられた耐火材と、を有している。
【0009】
第2態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造によれば、一対のベース材の外面又は内面に耐火材が設けられている。これら一対のベース材を無耐火被覆CFT柱に対して両側から取り付けて互いに接合することにより、無耐火被覆CFT柱の周囲に耐火材が配置され、当該無耐火被覆CFT柱が耐火被覆される。これにより、火災時における無耐火被覆CFT柱の温度上昇が抑制される。したがって、無耐火被覆CFT柱の耐火性能が向上する。
【0010】
また、一対のベース材を無耐火被覆CFT柱に対して両側から取り付けることにより、無耐火被覆CFT柱の周囲に耐火材を配置することができるため、施工性が向上する。
【0011】
さらに、一対のベース材によって仕上げ塗料の上から無耐火被覆CFT柱を囲むことにより、一対のベース材によって仕上げ塗料が覆い隠される。したがって、仕上げ塗料を塗り直したり、剥がしたりする必要がないため、施工性が向上する。
【0012】
第3態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造は、
第2態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造において、前記一対のベース材が、前記無耐火被覆CFT柱の外面に沿って配置される一対の金属板であり、前記耐火材が、前記一対の金属板の前記外面に塗布された耐火塗料である。
【0013】
第3態様に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造によれば、一対のベース材としての一対の金属板の外面に耐火材としての耐火塗料が塗布されている。これらの金属板を無耐火被覆CFT柱に対して両側から取り付けることにより、耐火塗料によって無耐火被覆CFT柱が耐火被覆される。したがって、無耐火被覆CFT柱の耐火性能が向上する。
【0014】
また、一対の金属板として、例えば薄鉄板等を用いることにより、一対の金属板及び耐火塗料を含めた無耐火被覆CFT柱の柱断面積の増加を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造によれば、無耐火被覆CFT柱の耐火性能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Zは、鋼管柱の材軸方向(上下方向)を示している。
【0018】
図1には、一例として、本実施形態に係る無耐火被覆CFT柱の耐火補強構造(以下、単に「耐火補強構造」という)30が適用された既存の無耐火被覆CFT柱10が示されている。無耐火被覆CFT柱10は、鋼管柱12と、鋼管柱12内に充填された充填コンクリート14とを備え、耐火被覆が施されていない無耐火被覆とされている。鋼管柱12は丸形鋼管で形成されており、上下の仕口部としての上仕口部12U及び下仕口部12Lと、これらの上仕口部12Uと下仕口部12Lとの間に延びる鋼管本体部12Bとを有している。この鋼管柱12の外面(外周面)には、ペンキ等の仕上げ塗料20(
図2参照)がその全面に亘って塗布されている。
【0019】
図2に示されるように、上仕口部12Uには、当該上仕口部12Uを補強する上下一対のダイアフラムとしての上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。上下一対の内ダイアフラム18は、円盤状の鋼板で形成されている。これら上下一対の内ダイアフラム18は、上下方向(鋼管柱12の材軸方向)に対向して配置されており、各々の外周部が上仕口部12Uの内側面に溶接等で接合されている。
【0020】
また、各内ダイアフラム18の中央部には充填孔18Aがそれぞれ形成されており、これらの充填孔18Aを通して鋼管柱12内に充填コンクリート14が充填されるようになっている。なお、上仕口部12Uと同様に、下仕口部12Lの内部には、上下一対のダイアフラムとしての上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。
【0021】
上仕口部12Uの両側には、鉄骨梁としての一対の上側鉄骨梁16が接合されている。上側鉄骨梁16はH形鋼で形成されており、上下一対の上側フランジ部16A及び下側フランジ部16Bと、これらの上側フランジ部16Aと下側フランジ部16Bとを繋ぐウェブ部16Cとを有している。この上側鉄骨梁16の材軸方向の端部は、その上下一対の上側フランジ部16A及び下側フランジ部16Bが上下一対の内ダイアフラム18とそれぞれ連続するように上仕口部12Uの外側面に突き当てられ、溶接によって接合されている。また、上側鉄骨梁16の上には、図示しない鉄筋コンクリート製のスラブが構築されている。
【0022】
上仕口部12Uと同様に、下仕口部12Lの両側には、鉄骨梁としての一対の下側鉄骨梁17が接合されている。下側鉄骨梁17はH形鋼で形成されており、上下一対の上側フランジ部17A及び下側フランジ部17Bと、これらの上側フランジ部17Aと下側フランジ部17Bとを繋ぐウェブ部17Cとを有している。この下側鉄骨梁17の材軸方向の端部は、その上下一対の上側フランジ部17A及び下側フランジ部17Bが上下一対の内ダイアフラム18とそれぞれ連続するように下仕口部12Lの外側面に突き当てられ、溶接によって接合されている。また、下側鉄骨梁17の上には、図示しない鉄筋コンクリート製のスラブが構築されている。
【0023】
鋼管本体部12Bにおける柱頭部12BU及び柱脚部12BLは、後施工耐火被覆手段としての筒状被覆部材40U,40Lによって耐火被覆されている。筒状被覆部材40U,40Lは、鋼管柱12の外面に仕上げ塗料20が塗布された後に、構造物の設計変更(例えば、用途変更やプラン変更等)等により、無耐火被覆CFT柱10の要求耐火性能が高くなったときに、当該要求耐火性能に応じて鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLの周囲に設けられたものである。つまり、筒状被覆部材40U,40Lは、無耐火被覆CFT柱10を仕上げた後に、設計変更等によって高くなった無耐火被覆CFT柱10の要求耐火性能を満たすように、後施工によって仕上げ塗料20の上から柱頭部12BU及び柱脚部12BLを耐火被覆するものである。なお、柱頭部12BUを耐火被覆する筒状被覆部材40Uと、柱脚部12BLを耐火被覆する筒状被覆部材40Lとは同じ構成であるため、以下、筒状被覆部材40Uの構成について詳説し、筒状被覆部材40Lの構成については説明を省略する。
【0024】
図3(A)及び
図3(B)に示されるように、筒状被覆部材40Uは、一対のベース材42を接合することにより断面円形の筒状に形成されている。一対のベース材42は、ステンレス製の薄金属板で形成されると共に、鋼管本体部12Bの柱頭部12BUの外面に沿って断面略半円弧状に形成されている。また、一対のベース材42の外面には、耐火材としての耐火塗料44がその全面に亘って塗布されている。なお、ここでいう「耐火塗料」とは、火災発生時に加熱により発泡層を形成し、鋼材等の温度上昇を遅延する耐火性の塗膜材をさす。これら一対のベース材42は、仕上げ塗料20の上から鋼管本体部12Bの柱頭部12BUを囲むように当該柱頭部12BUの外面に沿って配置され、各々の開口側端部42A同士が突き合された状態で溶接により接合されている。これにより、耐火塗料44によって、仕上げ塗料20の上から柱頭部12BUがその全周に亘って耐火被覆されている。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0026】
図2に示されるように、例えば、火災時に上側鉄骨梁16が熱膨張によって材軸方向(水平方向、矢印S方向)へ伸張すると、上仕口部12Uに水平力Fが作用し、鋼管本体部12Bに曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMは、鋼管本体部12Bにおける材軸方向の中間部12BMから材軸方向の柱頭部12BU及び柱脚部12BLの各々に向って徐々に大きくなる。
【0027】
一方、鋼管柱12は、火災時の熱膨張によって材軸方向(矢印Z方向)へ伸張するが、温度上昇に伴う強度と剛性の低下によって材軸方向への伸張は徐々に小さくなり、ある温度に達すると材軸方向への伸張変形は止まり、収縮変形に転じる。この状態で、上側鉄骨梁16から上仕口部12Uへ水平力Fが作用すると、前述したように中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントMが発生する鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁部12S1,12S2に局部座屈Kが発生し易くなる。特に、柱頭部12BUが上仕口部12Uを介して上側鉄骨梁16に剛接合されると共に柱脚部12BLが下仕口部12Lを介して下側鉄骨梁17に剛接合されていて、かつ、上側鉄骨梁16の材軸方向への伸張量(伸び出し量)が大きい場合は、柱頭部12BU及び柱脚部12BLに大きな曲率を伴う変形が生じる。この変形によって柱頭部12BU及び柱脚部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁部12S1,12S2に大きな圧縮応力度が発生すると、当該側壁部12S1,12S2が面外方向外側へ変位する(はらみ出す)局部座屈Kが生じる。
【0028】
柱頭部12BU又は柱脚部12BLに局部座屈Kが発生すると、無耐火被覆CFT柱10の曲げ剛性は著しく低下する。また、柱頭部12BUにおける局部座屈Kの発生部では、
図4に示されるように、充填コンクリート14を拘束していた鋼管本体部12Bの圧縮側の側壁部12S1が外側へ膨らみ、充填コンクリート14と側壁部12S1との間に隙間Wが形成される。この結果、局部座屈Kの発生部では、充填コンクリート14に対する側壁部12S1の拘束力(拘束効果)が得られなくなり、当該充填コンクリート14の圧縮側縁(外周部)14Sが圧壊し易くなる。なお、
図4では、筒状被覆部材40Uの図示が省略されている。
【0029】
そして、充填コンクリート14の圧縮側縁14Sが圧壊すると、無耐火被覆CFT柱10の材軸方向変位が急増すると共に、この材軸方向変位の急増に伴って充填コンクリート14の圧縮側縁14Sの圧壊がさらに進展し、無耐火被覆CFT柱10が構造安定性を保持することができなくなる可能性がある。
【0030】
なお、ここでいう「無耐火被覆CFT柱10が構造安定性を保持することができなくなる」とは、例えば、無耐火被覆CFT柱10の鉛直方向変位(材軸方向)が過大になる、あるいは、鉛直方向変位が急激に増加するなどして、長期軸力を保持することができない状態を意味する。また、説明を省略するが、無耐火被覆CFT柱10の柱脚部12BLに局部座屈Kが発生した場合も同様である。
【0031】
ここで、前述した上側鉄骨梁16の材軸方向の伸び出し量は、無耐火被覆CFT柱10に求められる要求耐火性能、即ち要求耐火時間が長くなるに従って長くなる。この要求耐火時間は、室内の可燃物量等の条件により決まるため、室内の用途変更やプラン変更等の設計変更があると、要求耐火時間が当初(新設時)設定した時間よりも長くなり、無耐火被覆CFT柱10が要求耐火時間に対して必要な耐火性能を満足できなくなることがある。つまり、設計変更によって、無耐火被覆CFT柱10に求められる要求耐火性能が高くなると、無耐火被覆CFT柱10の柱頭部12BUや柱脚部12BLに局部座屈Kが発生し易くなり、無耐火被覆CFT柱10が構造安定性を保持することができなくなる可能性がある。
【0032】
これに対して本実施形態では、
図2及び
図3に示されるように、設計変更等により高くなった無耐火被覆CFT柱10の要求耐火性能を満たすように、仕上げ塗料20の上から筒状被覆部材40U,40Lによって、鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLが耐火被覆されている。具体的には、筒状被覆部材40U,40Lは、一対のベース材42を筒状に接合して形成されている。これら一対のベース材42の外面には、耐火塗料44が塗布されている。したがって、例えば、筒状被覆部材40Uの一対のベース材42を鋼管本体部12Bの柱頭部12BUに対して両側から取り付けて互いに接合することにより、柱頭部12BUの周囲に耐火塗料44が配置され、当該柱頭部12BUが耐火被覆される。これと同様に、筒状被覆部材40Lの一対のベース材42を鋼管本体部12Bの柱脚部12BLに対して両側から取り付けて互いに接合することにより、柱脚部12BLの周囲に耐火塗料44が配置され、当該柱脚部12BLが耐火被覆される。なお、一対のベース材42の接合部では、接合する際に耐火塗料44が剥がれる可能性があるため、接合部まわりには、耐火塗料44をあらかじめ塗布せず、接合後に耐火塗料44を塗布してもよい。
【0033】
これにより、火災時における柱頭部12BU及び柱脚部12BLの温度上昇が抑制される結果、温度上昇に伴う柱頭部12BU及び柱脚部12BLの強度と剛性の低下が低減される。したがって、柱頭部12BU及び柱脚部12BLの局部座屈Kの発生が抑制される。よって、無耐火被覆CFT柱10の耐火性能が向上する。
【0034】
また、前述したように、一対のベース材42を鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLに対して両側から取り付けることにより、これらの柱頭部12BU及び柱脚部12BLの周囲に耐火塗料44が配置される。したがって、現場での耐火塗料44の塗布作業を省略することができる。
【0035】
また、仕上げ塗料20の上に耐火塗料44を直接塗布した場合は、加熱時(火災時)に耐火塗料44が剥離するなどして、十分な耐火性能を得られないことが多い。この場合、柱頭部12BU及び柱脚部12BLの仕上げ塗料20を剥がしてから耐火塗料44を塗布することになり、施工が煩雑化する。これに対して本実施形態では、一対のベース材42の外面に耐火塗料44を塗布するため、柱頭部12BU及び柱脚部12BLの仕上げ塗料20を剥がす必要がない。また、仕上げ塗料20が汚れていても、一対のベース材42によって仕上げ塗料20の上から鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLを囲むことにより、一対のベース材42によって仕上げ塗料20が覆い隠されるため、仕上げ塗料20を塗り直したり、剥がしたりする必要がない。したがって、施工性が向上する。
【0036】
さらにまた、本実施形態では、一対のベース材42を薄金属板で形成している。これにより、一対のベース材42及び耐火塗料44を含めた無耐火被覆CFT柱10の柱断面積の増加を低減することができる。
【0037】
しかも、本実施形態では、前述したように火災時に、局部座屈Kが発生し易い鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLを筒状被覆部材40U,40Lによって耐火被覆している。したがって、鋼管本体部12Bをその全長に亘って耐火被覆する構成と比較して、無耐火被覆CFT柱10の耐火性能を効率的に向上させることができる。また、施工性の向上、工期短縮、及びコスト削減を図ることができる。
【0038】
ここで、
図5(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱100と梁102A,102Bとで構成された架構の一例が示されている。この架構内において、例えば
図5(B)に示されるように火災104が発生すると、梁102Aが材軸方向(矢印J方向)に伸び出すため、柱100に同図に示されるような変形が生じる。
【0039】
また、
図6(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱110の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルが示されている。この実験評価モデルでは、加熱時に、
図6(B)に示されるような変形状態、応力状態を示すことから、
図5(B)に示される柱100の変形状態、応力状態を適切に模擬することができると言われている。そこで、
図6(A)に示される実験評価モデルを用いて載荷加熱実験を行ったところ、以下に示す新たな知見が得られた。
【0040】
即ち、加熱された柱110の上端部に生じる水平変位(水平力F)が大きい場合や柱110に生じる軸力(長期軸力)Vが大きい場合は、
図6(C)に示されるように、柱110を構成する鋼管柱の柱頭部及び柱脚部に局部座屈Kが生じることが確認された。また、加熱時間が比較的短く、柱110の充填コンクリートが十分耐力を残している状態であっても、柱110は前述した柱頭部及び柱脚部の局部座屈Kによって荷重支持能力を喪失し、構造安定性を保持することができなくなることが確認された。
【0041】
本実施形態に係る無耐火被覆CFT柱10を例により具体的に説明すると、局部座屈Kに関しては以下のことが確認された。即ち、鋼管柱12の柱幅(直径)をD(
図3(B)参照)としたときに、柱頭部12BUにおける局部座屈Kは、柱頭部12BUの上端(上仕口部12Uと鋼管本体部12Bとの境界部)から中間部12BMへ向けて2Dまでの領域内で発生し易く、特に、1Dから2Dまでの領域内で発生し易い。これと同様に、柱脚部12BLにおける局部座屈Kは、柱脚部12BLの下端(下仕口部12Lと鋼管本体部12Bとの境界部)から中間部12BMへ向けて2Dまでの領域内で発生し易く、特に、1Dから2Dまでの領域内で発生し易い。
【0042】
従って、柱頭部12BUに対する筒状被覆部材40Uの被覆範囲H(
図2参照)は、柱頭部12BUの上端から中間部12BMへ向けて少なくとも2Dにすることが望ましい。また、施工性、材料コスト等を考慮すると、筒状被覆部材40Uの被覆範囲Hは、柱頭部12BUの上端から中間部12BMへ向けて少なくとも1Dから2Dにすることが望ましい。これにより、筒状被覆部材40Uの材料コストを削減しつつ、柱頭部12BUの局部座屈Kの発生を効率的に抑制することができる。柱脚部12BLに対する筒状被覆部材40Lの被覆範囲H(
図2参照)についても同様である。
【0043】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0044】
上記実施形態における筒状被覆部材40U,40Lは、補強部材で適宜補強しても良い。具体的には、
図7(A)及び
図7(B)に示される変形例のように、筒状被覆部材50Uにおける一対のベース材42の内面には、複数の補強部材としての複数の補強リブ52が設けられている。複数の補強リブ52は、筒状被覆部材50Uの軸方向に延びると共に、筒状被覆部材50Uの周方向に間隔を空けて配列されており、一対のベース材42の内面に溶接等により接合されている。これらの補強リブ52を挟んで柱頭部12BUの周囲に一対のベース材42が配置されている。これにより、柱頭部12BUと一対のベース材42との間に空間Rが形成されている。
【0045】
このように一対のベース材42を補強リブ52で補強することにより、一対のベース材42の形状が保持し易くなる。一対のベース材42に薄金属板(板厚が3mm未満)を用いた場合は、断面の大きさによっては一対のベース材42が湾曲するなどして形状の保持が難しくなる場合がある。このとき、補強リブ52によって補強することで、一対のベース材42湾曲等の変形が抑制される。一対のベース材42の板厚を増やすよりも、補強リブ52で補強した方がコストが抑えられ、さらには施工性の改善も期待できる。
【0046】
また、
図8(A)に示すように、一対のベース材42の内面に耐火塗料44を塗布した場合は、柱頭部12BUと一対のベース材42との間の空間Rによって、火災時における耐火塗料44の発泡スペースが確保される。このため、ベース材42の内面に耐火塗料44を塗布した場合でも、
図8(B)に示すように、耐火塗料44が適切に発泡し、無耐火被覆CFT柱10の構造安定性を保持させることが出来る。耐火塗料44をベース材42の裏側(内面)に塗布した場合は、耐火塗料44を外側(外面)に塗布した場合に比べ、ベース材42の表側(外側)をきれいに見せることができる。特に、ベース材42の表側に仕上げ塗料を塗布することなく、金属板(ベース材42)を表しで見せることができるため、意匠性を大きく改善することが可能である。
【0047】
なお、本変形例では、補強リブ52を筒状被覆部材50Uの軸方向に沿って配置する例を示したが、これに限らない。補強リブ52は、例えば、筒状被覆部材50Uの周方向に沿って配置することも可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、耐火材として、耐火塗料44を用いた例を示したが、これに限らない。耐火材としては、例えば、巻き付け系耐火被覆材を用いても良い。具体的には、
図9(A)及び
図9(B)に示される変形例のように、筒状被覆部材60Uを構成する一対のベース材42の内面には、耐火材としての巻き付け系耐火被覆材62がそれぞれ設けられている。
【0049】
巻き付け系耐火被覆材62は、ロックウール等をシート状に成形した巻き付け式の耐火被覆材で形成されている。この巻き付け系耐火被覆材62は、各ベース材42の内面に沿って断面略半円弧状に形成されており、各ベース材42の内面を全面に亘って被覆している。また、巻き付け系耐火被覆材62は、複数のビス64によって各ベース材42の内面に固定されている。これらの巻き付け系耐火被覆材62を挟んで柱頭部12BUの周囲に一対のベース材42が配置されている。これにより、巻き付け系耐火被覆材62によって、仕上げ塗料20の上から柱頭部12BUがその全周に亘って耐火被覆されている。
【0050】
このように一対のベース材42の内面に巻き付け系耐火被覆材62を設けることにより、一対のベース材42が巻き付け系耐火被覆材62を覆い隠す仕上げ材としても機能する。したがって、施工性が向上する。特に、ベース材42をステンレスやスチール製の金属板で形成することにより、外観品質を向上させることができる。
【0051】
なお、一対のベース材42の内面に設ける耐火材としては、巻き付け系耐火被覆材62以外に、吹付け系耐火被覆材、ボード系耐火被覆材、発泡性耐火シート等を用いても良い。ここでいう吹付け系耐火被覆材とは、例えば、吹付けロックウール、湿式吹付けロックウール、石膏系湿式吹付け耐火被覆、セラミック系湿式耐火被覆等を意味する。また、ボード系耐火被覆材とは、例えば、石膏ボード(強化石膏ボードを含む)、繊維混入けい酸カルシウム板、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等を意味する。
【0052】
また、上記実施形態では、一対のベース材42を薄金属板(板厚が3mm未満の金属板)で形成した例を示したが、一対のベース材42は厚金属板(板厚3mm以上の金属板)で形成しても良い。また、一対のベース材42は、前述したステンレスやスチール製の金属板以外に、アルミニウムやチタン製の金属板で形成しても良いし、プラスチック等の樹脂製や木製の板材で形成しても良い。
【0053】
また、上記実施形態では、鋼管柱12を丸形鋼管で形成した例を示したが、これに限らない。例えば、
図10(A)及び
図10(B)に示される変形例のように、鋼管柱22は、断面略正方形の角形鋼管でも良い。この場合、鋼管柱22の断面形状に応じて、筒状被覆部材70Uを構成する一対のベース材42を断面略C字形状に形成することにより、鋼管柱22の外面に沿って一対のベース材42を配置することができる。また、鋼管柱22では、角形鋼管の一辺の長さが鋼管柱22の柱幅Dに相当する。さらに、鋼管柱としては、例えば、断面略長方形の角形鋼管を用いても良い。この場合、短辺の長さが鋼管柱の柱幅Dに相当する。
【0054】
また、上記実施形態では、筒状被覆部材40U,40Lによって、鋼管本体部12Bの柱頭部12BU及び柱脚部12BLを耐火被覆する例を示したが、これに限らない。例えば、
図11に示されるように、筒状被覆部材40によって、鋼管本体部12Bを全長に亘って耐火被覆しても良い。柱頭部12BUと柱脚部12BLのみを耐火補強する場合に比べ、コストは高くなるが、鋼管本体部12Bの全長を耐火補強することで、意匠性を大幅に改善することができる。鋼管柱12の外周をボード等で仕上げず、鋼管本体部12Bの表面を表しで使用していた無耐火被覆CFT柱10を後施工で耐火補強する場合は、鋼管本体部12Bの全長を耐火補強することで、耐火補強後も鋼管本体部12Bを表しで使用することが可能であり、耐火補強前と同等以上の外観品質を確保することができる。
【0055】
さらに、上記実施形態では、後施工耐火被覆手段として、筒状被覆部材40U,40Lを例に説明したが、これに限らない。後施工耐火被覆手段は、後施工によって無耐火被覆CFT柱10の周囲に配置され、当該無耐火被覆CFT柱10を耐火被覆するものであれば良く、例えば、吹付け系耐火被覆材、巻き付け系耐火被覆材、ボード系耐火被覆材、及び耐火塗料等の耐火被覆材を用いることができる。つまり、一対のベース材42は適宜省略可能である。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。