(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、車両情報に基づいて前記第1の検証領域及び/又は前記第1の参照領域の形状、あるいは、前記第1の参照領域の特徴量と前記第1の検証領域の特徴量との間の判定閾値を変更することを特徴とする、請求項1に記載の車載画像処理装置。
前記判定部は、前記画像から抽出される線分上に第2の参照領域を設定し、前記線分の端部周囲に第2の検証領域を設定し、該第2の参照領域の特徴量と該第2の検証領域の特徴量とを比較して前記線分の端部の形状情報と前記線分の端部に連接する路面標示の形状情報の少なくとも一方を取得することを特徴とする、請求項1に記載の車載画像処理装置。
前記判定部は、車両情報に基づいて前記第2の検証領域及び/又は前記第2の参照領域の形状、あるいは、前記第2の参照領域の特徴量と前記第2の検証領域の特徴量との間の判定閾値を変更することを特徴とする、請求項7に記載の車載画像処理装置。
前記判定部は、前記画像から抽出される線分の端部にU字形状の路面標示が連接するか否かを判定することによって、前記線分が前記認識対象を構成する線分であるか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の車載画像処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る車載画像処理装置の実施の形態1の基本構成を示すブロック図。
【
図2】車両に搭載されるカメラの配置構成の一例を示す上面図。
【
図3】
図2に示すカメラによって撮像される画像の一例を示す図。
【
図4】
図2に示すカメラによって撮像される画像から作成される合成画像の一例を示す図。
【
図5】
図1に示す画像処理部の判定部の判定処理を説明するフロー図。
【
図6】
図1に示す画像処理部の判定部のノイズ判定処理を説明するフロー図。
【
図7A】ノイズ判定処理で用いる参照領域と検証領域の一例を示す図。
【
図7B】ノイズ判定処理で用いる参照領域と検証領域の他例を示す図。
【
図7C】ノイズ判定処理で用いる参照領域と検証領域の更に他例を示す図。
【
図8】ノイズ判定処理で用いる参照領域と検証領域の特徴量の一例を示す図。
【
図9A】画像中に局所外乱が発生している状況を説明した図。
【
図9B】車両周囲に存在する路面標示の一例を説明した図。
【
図10】
図1に示す画像処理部の判定部の形状判定処理を説明するフロー図。
【
図11】形状判定処理で用いる参照領域と検証領域の一例を示す図。
【
図12A】路面標示の形状パターンの一例を示す図。
【
図12B】路面標示の形状パターンの他例を示す図。
【
図12C】路面標示の形状パターンの更に他例を示す図。
【
図12D】路面標示の形状パターンの更に他例を示す図。
【
図13】路面標示の形状パターンの更に他例と、その際のノイズ判定処理で用いる検証領域の一例を示す図。
【
図14A】本発明に係る車載画像処理装置の実施の形態2の認識対象となる路面標示の形状パターンの一例を示す図。
【
図14B】本発明に係る車載画像処理装置の実施の形態2の認識対象となる路面標示の形状パターンの他例を示す図。
【
図15】車載画像処理装置の実施の形態2における画像処理部の判定部の判定処理を説明するフロー図。
【
図16】車載画像処理装置の実施の形態2における画像処理部の判定部の判定処理を模式的に説明する模式図。
【
図17A】従来の方法で車線の一部を駐車区画を構成する線分と検出する状況の一例。
【
図17B】従来の方法で車線の一部を駐車区画を構成する線分と検出する状況の他例。
【
図17C】従来の方法で横断歩道の一部を駐車区画を構成する線分と検出する状況の一例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る車載画像処理装置の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、白線や黄線などでアスファルトやコンクリート路面等の地面に描かれた規制標示や案内標示、枠線等の路面標示を認識対象とする形態について具体的に説明する。
【0014】
<車載画像処理装置の実施の形態1>
図1は、本発明に係る車載画像処理装置の実施の形態1の基本構成を示したものである。
【0015】
図示する車載画像処理装置100は、主として、車両周囲の画像を取得する画像取得部10と、この画像を画像処理して予め設定された認識対象を認識する画像処理部20と、例えばワイパ稼動情報やライト点灯情報などの車両情報を記憶する情報記憶部30と、を備えている。
【0016】
画像取得部10は、カメラ101〜104で撮像した複数の画像を入力する画像入力部11と、画像入力部11へ入力された複数の画像を合成変換して車両周囲の画像を作成する画像変換部12と、を有している。具体的には、画像変換部12は、画像入力部11へ入力された各画像に対して拡大・縮小・回転・写像等の変換処理を行うと共に、複数の画像を写像してより少ない枚数の画像に納める合成処理を行い、この合成変換処理によって作成した合成画像(車両周囲の画像)を画像処理部20へ送信する。
【0017】
より具体的には、
図2に示すように、カメラ101は、車両1の左部に配置されて車両1の左側方を撮像する左サイドカメラを構成し、カメラ102は、車両1の右部に配置されて車両1の右側方を撮像する右サイドカメラを構成している。また、カメラ103は、車両10の後部に配置されて車両10の後方を撮像するリヤカメラを構成し、カメラ104は、車両10の前部に配置されて車両10の前方を撮像するフロントカメラを構成している。
【0018】
カメラ101〜104はそれぞれ、例えば運転者が駐車区画に車両1を駐車させる際に、自車周囲の5メートル程度の範囲を撮像できるように当該車両1に搭載されており、例えばカメラ101等によって
図3に示すような画像を得ることができる。そして、画像変換部12は、各カメラ101〜104により得られる複数の画像に対して上記する合成変換処理を行い、
図4に示すような車両を真上から撮像したのと同等の俯瞰画像を作成して画像処理部20へ送信する。
【0019】
画像処理部20は、
図1に示すように、画像変換部12によって作成された合成画像に対して画像処理を行い、その合成画像に写る白線などで地面に描かれた路面標示を画像認識し、画像認識した路面標示に関する情報を車両制御部105へ送信する。また、画像処理部20は、画像変換部12によって作成された合成画像(車両周囲の画像)を車内に設けられたカーナビゲーション等の画像表示部106へ送信する。
【0020】
ここで、画像処理部20は、合成画像から抽出される線分の端部周囲の情報、具体的には合成画像から抽出される線分の端部周囲のノイズ情報や線分の端部に連接する白線等の形状情報に基づいて、その線分が路面標示を構成する線分であるか否かを判定する判定部21を有している。また、雨天時やライト点灯時などでは、カメラ101〜104で撮像した画像を用いた認識対象の認識精度が低下する可能性があるため、画像処理部20は、情報記憶部30に記憶されたワイパ稼動情報やライト点灯情報などの車両情報を利用して路面標示を認識するようになっている。これにより、画像処理部20は、認識対象である路面標示の認識精度を高めることができる。
【0021】
図5を参照して、上記する画像処理部20の判定部21の判定処理をより具体的に説明すると、判定部21は、画像取得部10によって取得した車両周囲の画像のノイズ判定を行い(S10)、ノイズが無いと判定された白線等の路面標示の端部の形状判定を行う(S20)。画像処理部20は、判定部21によって判定された形状判定結果に基づいて車両周囲の画像から路面標示を特定し(S30)、その路面標示に関する情報を車両制御部105等へ出力する。
【0022】
より具体的には、
図6に示すように、まず、判定部21は、車両周囲の画像から白線や黄線などで地面に描かれた線分を抽出し(S101)、その線分の画像中の端部もしくは端点座標を抽出し(S102)、抽出された線分の端部周囲に所定形状の参照領域(第1の参照領域)を設定する(S103)。ここで、
図7Aに示すように、抽出される線分が単数の線分である場合には、その線分L11の端点T11を含む領域(端部)R11の左右側方に、長手方向が線分L11と略平行な略長方形状の参照領域R111、R112を設定する。なお、抽出される線分の擦れなどを考慮して、線分L11の側部から所定距離D(例えば、線分L11の幅W以上)だけ離間して各参照領域R111、R112を設定する。また、
図7Bに示すように、予め略平行に並んだ複数の線分を抽出したり、複数の線分から構成される枠線を抽出することができる場合には、その複数の線分L21、L22の外側の情報を排除して線分L21、L22の間の情報のみを利用すればよいため、その複数の線分L21、L22の端点T21、T22を含む領域(端部)R21、R22の間に、略長方形状の複数の参照領域R211〜R214を各長手方向が線分L21、L22と略平行となるように並べて設定する。また、予め略平行に並んだ複数の線分を抽出したり、複数の線分から構成される枠線を抽出することができる場合には、
図7Cに示すように、その複数の線分L41、L42の端点T41、T42を含む領域(端部)R41、R42の間に、略長方形状の複数の参照領域R411〜R414を各長手方向が線分L41、L42と略直交するように並べて設定してもよい。
【0023】
次いで、
図6に示すように、判定部21は、抽出された線分の端部周囲に設定された参照領域同士の間に整合性があるか否か、すなわち、参照領域同士で類似した特徴量があるか否かを判定し(S104)、参照領域同士で類似した特徴量がないと判定した場合には、ノイズ判定が不能であると出力し(S113)、抽出された線分が路面標示であるか否かの判定も不能であると出力する。一方で、参照領域同士で類似した特徴量があると判定した場合には、設定された所定形状の参照領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在するか否か、あるいは、合成画像中で自車領域に重畳するか否かを判定する(S105)。そして、その参照領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在する、あるいは、自車領域に重畳すると判定した場合には、ノイズ判定が不能であると出力し(S113)、抽出された線分が路面標示であるか否かの判定も不能であると出力する。また、その参照領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在しない、あるいは、自車領域に重畳しないと判定した場合には、各参照領域の特徴量を算出する(S106)。
【0024】
次に、判定部21は、抽出された線分の端部周囲に所定形状の検証領域(第1の検証領域)を設定する(S107)。ここで、
図7Aに示すように、抽出される線分が単数の線分である場合には、線分L11の端点T11側の延長線上を含む領域に、長手方向が線分L11と略直交する略長方形状の検証領域R115を設定する。なお、上記する参照領域と同様、抽出される線分の擦れなどを考慮して、線分L11の端点T11から所定距離H(例えば、線分L11の幅W以上)だけ離間して検証領域R115を設定する。また、
図7Bや
図7Cに示すように、予め略平行に並んだ複数の線分を抽出したり、複数の線分から構成される枠線を抽出することができる場合には、各線分L21、L22、L41、L42の端点T21、T22、T41、T42側の延長線上を含む領域に、長手方向が線分L21、L22、L41、L42と略直交する略長方形状の検証領域R215、R216、R415、R416を設定する。
【0025】
次いで、判定部21は、設定された所定形状の検証領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在するか否か、あるいは、合成画像中で自車領域に重畳するか否かを判定し(S108)、その検証領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在する、あるいは、自車領域に重畳すると判定した場合には、ノイズ判定が不能であると出力し(S113)、抽出された線分が路面標示であるか否かの判定も不能であると出力する。一方で、その検証領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在しない、あるいは、自車領域に重畳しないと判定した場合には、その検証領域の特徴量を算出する(S109)。
【0026】
そして、判定部21は、
図8に示すように、S106で算出された各参照領域の特徴量FSとS109で算出された検証領域の特徴量FKを比較し、その特徴量の間の距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する(S110)。その特徴量の間の距離が所定の閾値以下である、すなわち各参照領域と検証領域の類似度が低いと判定した場合には、抽出された線分にノイズが有ると出力し(S112)、その線分が路面標示であるか否かを判定しない。一方で、その特徴量の間の距離が所定の閾値よりも大きい、すなわち各参照領域と検証領域の類似度が高いと判定した場合には、抽出された線分にノイズが無いと出力する(S111)。
【0027】
ここで、上記する判定処理における参照領域と検証領域の考え方、および参照領域の設定方法についてより詳細に説明する。
【0028】
実環境で入力される映像は多種多様であるため、映像中のノイズの有無を検証領域のみで判定しようとすると閾値設定が非常に困難である。そこで、路面上で路面標示が存在しない一様な領域を参照領域としてサンプリングし、その参照領域と比較することによって検証領域に路面標示が存在しないか否かを判定する。
【0029】
参照領域は、路面上で路面標示が存在しない一様な領域、すなわち舗装道路であればアスファルトやコンクリートのような舗装路面、非舗装路であれば砂利や土などの路面の領域に設定されていることを期待している。しかしながら、略平行に並んだ複数の線分が存在しており、線分間の領域をサンプリングしただけでは、サンプリングした領域に局所外乱成分を含んでいるか否か不明である。ここで、局所外乱成分とは、局所的な領域の外乱として発生する路面反射や水溜まり、隣接車両の影などを指している。そこで、上記するように、参照領域を複数設定し、その参照領域内の画像特徴量が同様の傾向を有する場合には、局所外乱成分が参照領域内に含まれていないと判定して、ノイズ判定を継続する。逆に、その参照領域内の画像特徴量が異なる傾向を有する場合には、局所外乱成分が参照領域内に含まれていると判定して、検証領域の設定に進まずにノイズ判定が不能であると出力して判定処理を終了するようにしている。
【0030】
ここで、予め略平行に並んだ複数の線分を抽出する場合、自車両に対する線分の角度に応じて参照領域の設定方法を変更することによって、性能向上を期待することができる。
【0031】
具体的には、例えば、太陽や街灯などの光源が濡れた路面に反射して観測される場合、その光源の位置によって、自車からは、
図9AのP111やP112のように光の筋が自車両に向かって伸びているように路面反射して観測される。この路面反射が参照領域に含まれている場合、この局所外乱が発生している状況を確実に検出できるように参照領域を設定する必要がある。
【0032】
ここで、
図9Bの駐車枠P211や駐車枠P212のような路面標示線が車両周囲に存在する状況を想定する。その際、駐車枠P211に対して、例えば
図7Bに示すように略長方形状の複数の参照領域R211〜R214を各長手方向が線分L21、L22と略平行になるように並べて設定すると、この複数の参照領域間で参照領域同士の間に整合性がとれないことを検出することができ、判定処理において確実に判定不能と出力することができる。一方で、駐車枠P211に対して、
図7Cに示すように略長方形状の複数の参照領域R411〜R414を各長手方向が線分L41、L42と略直交するように並べて設定すると、このときの複数の参照領域の全てが局所外乱を含んでしまい、参照領域間の整合性を検証しても判定不能状態を検出することができなくなってしまう。
【0033】
逆に、駐車枠P212に対して、
図7Cに示すように略長方形状の複数の参照領域R411〜R414を各長手方向が線分L41、L42と略直交するように並べて設定すると、この複数の参照領域間で参照領域同士の間に整合性がとれないことを検出することができ、判定処理において確実に判定不能を出力することができる。一方で、
図7Bに示すように略長方形状の複数の参照領域R211〜R214を各長手方向が線分L21、L22と略平行になるように並べて設定すると、このときの複数の参照領域の全てが局所外乱を含んでしまい、参照領域間の整合性を検証しても判定不能状態を検出することができなくなってしまう。
【0034】
このように、抽出された線分がカメラ視点から視て放射方向に近ければ、略長方形状の複数の参照領域を各長手方向が当該線分と略平行になるように並べて設定し、抽出された線分がカメラ視点から視て放射方向に対して直交する方向に近ければ、略長方形状の複数の参照領域を各長手方向が当該線分と略直交するように並べて設定することによって、判定不能状態の検出を安定して行うことができるようになる。
【0035】
次に、判定部21は、
図10に示すように、ノイズが無いと出力された線分を抽出し(S201)、その線分の画像中の端部もしくは端点座標を抽出し(S202)、抽出された線分の端部近傍に線分の幅情報などを取得するための所定形状の参照領域(第2の参照領域)を設定する(S203)。具体的には、
図11に示すように、抽出される線分の擦れなどを考慮して、その線分L31の端点T31から所定距離E(例えば、線分L11の幅W以上)だけ離間した線分L31上の領域に、長手方向が線分L31と略直交する略長方形状の参照領域R311を設定する。
【0036】
次いで、判定部21は、設定された所定形状の参照領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在するか否か、あるいは、合成画像中で自車領域に重畳するか否かを判定し(S204)、その参照領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在する、あるいは、自車領域に重畳すると判定した場合には、形状判定が不能であると出力し(S212)、抽出された線分が路面標示であるか否かの判定も不能であると出力する。一方で、その参照領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在しない、あるいは、自車領域に重畳しないと判定した場合には、その参照領域の特徴量を算出する(S205)。
【0037】
次に、判定部21は、抽出された線分の端部周囲に所定形状の検証領域(第2の検証領域)を設定する(S206)。具体的には、
図11に示すように、その線分L31の端点T31を含む領域(端部)R31の左右側方と線分L31の端点T31側の延長線上を含む領域に、例えば
図7Aや
図7B、
図7Cに示す参照領域や検証領域よりも相対的に小さい略長方形状の検証領域R315、R316、R317を設定する。なお、上記する参照領域と同様に、抽出される線分の擦れなどを考慮して、線分L31の側部や端点T31から所定距離(例えば、線分L31の幅W以上)だけ離間して各検証領域R315、R316、R317を設定する。
【0038】
次いで、判定部21は、設定された所定形状の検証領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在するか否か、あるいは、合成画像中の自車領域に重畳するか否かを判定し(S207)、その検証領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在する、あるいは、自車領域に重畳すると判定した場合には、形状判定が不能であると出力し(S212)、抽出された線分が路面標示であるか否かの判定も不能であると出力する。一方で、その検証領域が画像表示部106の表示画面の外部に存在しない、あるいは、自車領域に重畳しないと判定した場合には、各検証領域の特徴量を算出する(S208)。
【0039】
そして、判定部21は、S205で算出された参照領域の特徴量とS208で算出された各検証領域の特徴量を比較し、その特徴量の間の距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する(S209)。その特徴量の間の距離が所定の閾値以下である、すなわち参照領域と各検証領域の類似度が低いと判定した場合には、抽出された線分の端部周囲にその線分に類似する線分の路面標示が無いと出力する(S211)。一方で、その特徴量の間の距離が所定の閾値よりも大きい、すなわち各参照領域と検証領域の類似度が高いと判定した場合には、抽出された線分の端部周囲に当該線分に類似し且つその線分に連接する線分等の路面標示が有ると出力する(S211)。
【0040】
このように、判定部21によって車両周囲の画像から抽出された線分の端部周囲のノイズ判定と線分の端部に連接する路面標示の形状判定を行い、線分の端部周囲の情報によって特定される線分の端部の形状や線分に連接する白線等の路面標示の形状を予め外界認識装置100内に記憶されている線分の形状パターンなどと比較することによって、画像処理部20は、例えば
図12A、
図12Bに示すような自車が駐車可能な駐車枠や
図12C、
図12Dに示すような速度表示などの路面標示を精緻に特定することができる。なお、例えば、
図12Bに示す例では、抽出される線分(例えば白線)の端部に他の線分(例えば白線)が連接すると判定された結果、端部がL字状もしくはT字状を呈する線分端点が特定されることとなる。
【0041】
なお、上記する判定処理において、判定部21により抽出される線分の端点座標の抽出方法としては、例えばブレゼンハム(Bresenham)法などを適用することができる。また、上記する判定処理において用いられる参照領域や検証領域の特徴量としては、例えば輝度値やその一次微分値などを適用することができ、特徴量のヒストグラム間の距離としては、例えばバタリア距離(Bhattacharyya distance)などを適用することができる。俯瞰画像を生成する際、自車両からの距離に依存して、撮像画像の一部を引き延ばしたり、縮めたりして画像変換を行う。すなわち、俯瞰画像上では、撮像装置(カメラ)のセンサ面に対する情報量の観点でばらつきが発生している。こうした画像に対して、ブレゼンハム法によるサンプリングと、サンプリングされた輝度配列の傾きのヒストグラム、すなわち輝度配列の一次微分値をヒストグラム化することによって、俯瞰画像生成時の平滑化に伴う情報量ばらつきを軽減することができる。これにより、参照領域および検証領域の自車両からの距離が異なっても、安定して判定を行うことができる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、車両周囲の画像から抽出された線分の端部周囲のノイズ情報を取得することによって、例えば道路に設置されたマンホール蓋や道路工事跡などによって分断された車線、道路上に描かれた横断歩道、自車や他車の陰、地面上の縁石、水溜まり等による路面標示(例えば、駐車区画)の誤検出を抑制することができ、路面標示の認識精度を高めることができる。また、車両周囲の画像から抽出された線分の端部の形状情報やその線分の端部に連接する路面標示の形状情報を取得することによって、矢印や最高速度標示などの道路上に描かれた路面標示の誤検出を抑制することができ、例えば自車が駐車可能な駐車枠などの路面標示の認識精度を高めることができる。
【0043】
なお、上記する実施の形態では、車両周囲の画像から抽出された線分のノイズ判定を行った後にその形状判定を行う形態について説明したが、例えば車両周囲の画像から抽出された線分の形状判定を行った後にそのノイズ判定を行ってもよいし、車両周囲の画像から抽出された線分のノイズ判定と形状判定を同時に行ってもよい。また、車両周囲の画像から抽出された線分のノイズ判定と形状判定のいずれか一方を行い、そのいずれか一方の判定結果に基づいて、抽出された線分が路面標示であるか否かを判定してもよい。
【0044】
また、上記する実施の形態では、例えばノイズ判定に用いる検証領域を長手方向が線分と略直交する略長方形状に設定する形態について説明したが、例えば
図13に示すように、路面標示の線分(例えば、駐車区画を構成する駐車枠の側線)L43が傾斜している場合には、その区画内が青色等に塗装されている場合(例えば、駐車禁止区画や障害者用区画に指定されている場合)などを考慮して、ノイズ判定に用いる検証領域R417の形状や参照領域の形状、形状判定に用いる検証領域の形状や参照領域の形状などを線分L43の傾きに応じて変更してもよい。
【0045】
また、雨天時やライト点灯時などでは、カメラ101〜104で撮像した画像を用いた認識対象の認識精度が低下する可能性があるため、ワイパ稼動情報やライト点灯情報などの車両情報に基づいて、ノイズ判定に用いる参照領域や検証領域の形状、形状判定に用いる参照領域や検証領域の形状、参照領域の特徴量と検証領域の特徴量の間の距離の判定閾値などを変更してもよい。また、カメラ101〜104で撮像した画像中に自車や他車の陰や水溜まり等が検出されている場合、その画像を用いた認識対象の認識精度が低下する可能性があるため、それらの検出情報に基づいて、ノイズ判定に用いる参照領域や検証領域の形状、形状判定に用いる参照領域や検証領域の形状、参照領域の特徴量と検証領域の特徴量の間の距離の判定閾値などを変更してもよい。
【0046】
また、例えば横断歩道やマンホール蓋の形状などを考慮して、ノイズ判定に用いる参照領域や検証領域の形状を形状判定に用いる参照領域や検証領域の形状よりも大きくしてもよい。このようにノイズ判定に用いる参照領域や検証領域の形状を形状判定に用いる参照領域や検証領域の形状よりも大きくした場合には、ノイズ判定の判定処理に用いた各種情報を形状判定の判定処理に利用することができる。
【0047】
さらに、上記する実施の形態では、四台の車載カメラを用いて車両周囲の画像を撮像する形態について説明したが、車両に搭載されるカメラの基数や位置は適宜変更することができる。また、上記する実施の形態では、車載カメラで撮像した画像に対して合成変換処理を行って俯瞰画像を作成する形態について説明したが、車両周囲(車両全方位と車両全方位の一部とを含む)の画像を取得し得る形態であれば、俯瞰画像以外の画像で自車周囲の画像を作成してもよい。
【0048】
<車載画像処理装置の実施の形態2>
ところで、
図14Aや
図14Bに示すように、車両周囲の画像から抽出される線分の端部に連接する路面標示の形状がU字形状を呈する場合には、その線分が駐車区画を構成する駐車枠である可能性が極めて高いことが知られている。そこで、本実施の形態2では、車両周囲の画像から抽出される線分の端部周囲の情報に基づいて、具体的には車両周囲の画像から抽出される線分の端部にU字形状の路面標示が連接するか否かを判定する。
【0049】
なお、本実施の形態2は、実施の形態1に対して画像処理部における判定処理が相違しており、その他の構成は実施の形態1と同様である。したがって、実施の形態1と同様の構成についてはその詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施の形態2では、
図15に示すように、画像処理部の判定部は、車両周囲の画像から白線や黄線などで地面に描かれた線分を抽出し(S501)、その線分の画像中の端部もしくは端点座標を抽出し(S502)、抽出された線分の端点近傍に二重線探索開始点を設定する(S503)。次いで、判定部は、線分上に設定された二重線探索開始点と線分の傾きとに基づいて二重線中間点を探索し(S504)、その二重線中間点と線分の傾きとに基づいて仮想中心点を探索する(S505)。次に、判定部は、その仮想中心点から放射状に路面標示を探索し(S506)、探索された各路面標示と仮想中心点との距離の分布が所定形状(例えば、所定半径のU字形状)に類似するか否かを判定する(S507)。そして、探索された各路面標示と仮想中心点との距離の分布が所定形状に類似する場合には、抽出された線分の端部にU字形状の路面標示が有ると出力し(S508)、例えば抽出された線分が駐車区画を構成する駐車枠であると判定する。一方で、探索された各路面標示と仮想中心点との距離の分布が所定形状に類似しない場合には、抽出された線分の端部にU字形状の路面標示が無いと出力する(S509)。
【0051】
より具体的には、
図16に示すように、画像処理部の判定部は、車両周囲の画像から地面に描かれた線分L51〜L54を抽出し(S501)、抽出された線分L51〜L54のうち線分L52の端点T52を抽出し(S502)、その端点T52から所定距離Fだけ離間した線分L52上に二重線探索開始点N52を設定する(S503)。次いで、判定部は、二重線探索開始点N52から線分L52に直交する方向(図中、X1方向)へ路面標示を探索し、例えばその輝度値等の立上りエッジや立下りエッジに基づいて線分L51と線分L52の中点(線分L51と線分L52との距離Gの中心)である二重線中間点M52を探索する(S504)。次に、判定部は、二重線中間点M52から線分L52に平行な方向(図中、Y1方向)へ路面標示を探索し、例えばその輝度値等の立上りエッジから線分L51と線分L52との距離Gの半分だけ線分L52方向へ戻って仮想中心点P52を探索する(S505)。次に、判定部は、その仮想中心点P52から放射状に路面標示を探索し(S506)、探索された各路面標示の輝度値等の立上りエッジと仮想中心点P52との距離の分布が所定形状(例えば、所定半径のU字形状)に類似するか否かを判定する(S507)。そして、探索された各路面標示の輝度値等の立上りエッジと仮想中心点P52との距離の分布が所定形状に類似する場合には、抽出された線分L52の端部にU字形状の路面標示が有ると出力し(S508)、探索された各路面標示の輝度値等の立上りエッジと仮想中心点P52との距離の分布が所定形状に類似しない場合には、抽出された線分L52の端部にU字形状の路面標示が無いと出力する(S509)。
【0052】
ここで、上記するように、端点T52から所定距離Fだけ線分L52方向へ戻ることによって、最初の端点T52の端点座標の抽出(S502)で得られる座標に誤差があったとしても、その誤差を解消することができる。また、U字形状部が円弧形状をしているという特徴に基づいて仮想中心点P52からの距離の分布を用いることによって、安定してU字形状を判定することができる。
【0053】
このように、本実施の形態では、車両周囲の画像から抽出された線分の端部周囲の情報、特に車両周囲の画像から抽出される線分の端部にU字形状の路面標示が連接するか否かを判定することによって、路面標示であるか否かを迅速に判定できると共に、例えば自車が駐車可能な駐車枠の位置や形状を精度良く認識することができる。
【0054】
なお、本発明は上記した実施の形態1、2に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施の形態1、2は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、実施の形態1、2の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0055】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。