(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリカーボネート樹脂は、前記式(A)で表されるカーボネート単位(A)と脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B)とを含み、単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)が15/85〜95/5である、請求項1記載のディスプレー用フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、上記式(A)で表されるカーボネート単位(A)を含む。カーボネート単位(A)は全カーボネート単位中好ましくは15モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、特に好ましくは70モル%以上である。
【0012】
(単位(A))
本発明にかかる単位(A)は前記式(A)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
前記式(A)は、バイオマス資源の中でエーテル結合を有するジオールで、耐熱性及び鉛筆硬度が高い材料である。
前記式(A)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(A1)、(A2)および(A3)が例示される。
【0016】
これらは、糖質由来のエーテルジオールであり、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。繰り返し単位(A1)、(A2)および(A3)は、それぞれイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドと呼ばれる。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
【0017】
(単位(B))
本発明のポリカーボネート樹脂は下記カーボネート単位(B)を含む共重合体であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂における単位(B)は、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(B)である。
【0018】
脂肪族ジオール化合物は、直鎖脂肪族ジオール化合物または分岐脂肪族ジオール化合物のいずれでもよい。直鎖脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数3〜10の直鎖脂肪族ジオール化合物が使用される。また、分岐脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数4〜12の分岐脂肪族ジオール化合物が使用される。
脂環式ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜20の脂環式ジオール化合物が使用される。
【0019】
直鎖脂肪族ジオール化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0020】
分岐脂肪族ジオール化合物として、具体的には、1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なかでも3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールが好ましい。
【0021】
脂環式ジオール化合物として、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール類、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、1,3−アダマンタンジオール、2,2−アダマンタンジオール、デカリンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0022】
これらの脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物は、1種もしくは2種類以上併用して用いても良い。また、本発明で使用されるジオール類は、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族ジオールを併用してもよい。芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられる。
【0023】
(組成)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、単位(A)を含み、さらに単位(B)を含むことが好ましい。それら単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は15/85〜95/5が好ましい。モル比(A/B)が15/85〜95/5の範囲では、耐熱性が高くさらに成形性も良好となる。単位(A)と単位(B)とのモル比(A/B)は、より好ましくは30/70〜90/10、さらに好ましくは40/60〜90/10、特に好ましくは50/50〜90/10、もっとも好ましくは60/40〜90/10である。なお、モル比(A/B)が15/85より小さい場合は、耐熱性が低くなり易く、他方モル比(A/B)が95/5より大きい場合は、溶融粘度が高くなり、成形性が悪化し易くなり、それに伴い、衝撃性が悪化し易くなる。各繰り返し単位のモル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、カーボネート単位(A)とカーボネート単位(B)との合計が全カーボネート単位中70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上が特に好ましい。
【0024】
(比粘度:η
SP)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の比粘度(η
SP)は、0.3〜0.8の範囲であり、0.32〜0.6の範囲が好ましく、0.33〜0.5の範囲がより好ましく、0.35〜0.48の範囲が特に好ましく、0.37〜0.47の範囲がもっとも好ましい。比粘度が0.3〜0.8では強度及び成形加工性が良好となる。本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度が、0.3より小さいと強度が低下し、他方0.8より大きいと成形性が悪化し好ましくない。
【0025】
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(η
SP)=(t−t
0)/t
0
[t
0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、具体的な比粘度の測定としては、例えば次の要領で行うことができる。まず、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求める。
【0026】
(ガラス転移温度:Tg)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜140℃であり、さらに好ましくは90℃〜130℃である。Tgが70℃〜150℃であると、光学成形体として使用した際に、耐熱安定性及び成形性が良好であり好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が、70℃より低いと成形片での耐熱性が不十分となり易くなる。また、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が、150℃より大きいと射出成形の際の成形加工性が悪化し易くなる。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
【0027】
(光弾性係数)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の光弾性係数の絶対値は、好ましくは30×10
−12Pa
−1以下、より好ましくは28×10
−12Pa
−1以下、特に好ましくは20×10
−12Pa
−1以下である。光弾性係数の絶対値が30×10
−12Pa
−1より大きいと、両材質(ガラス表示部とベゼル部)の線膨張係数の差による応力により光学ひずみが発生し、画質が悪化することがある。
【0028】
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0029】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、必要に応じて末端停止剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
【0030】
前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、好ましくは0.97〜1.10モル、より好ましは1.00〜1.06モルである。
【0031】
また溶融重合法においては重合速度を速めるために、重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素化合物、金属化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0032】
アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が例示される。
【0033】
アルカリ土類金属化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、二酢酸マグネシウム、二酢酸カルシウム、二酢酸ストロンチウム、二酢酸バリウム等が例示される。塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
【0034】
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0035】
含窒素化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。また、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が例示される。
【0036】
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10
−9〜1×10
−2当量、好ましくは1×10
−8〜1×10
−5当量、より好ましくは1×10
−7〜1×10
−3当量の範囲で選ばれる。
【0037】
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
【0038】
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
【0039】
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
【0040】
(添加剤等)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、用途や必要に応じて熱安定剤、可塑剤、光安定剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
また、本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してもよい。
【0041】
(難燃剤)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
【0042】
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
好ましく使用される難燃剤として、下記式(a)で表される有機リン化合物が挙げられる。
【0043】
【化6】
(式中、R
1は炭素原子数6〜15のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、X
1及びX
2は同一又は異なり、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基を示す。X
1及びX
2は互いに結合して隣接するリン原子とともに環を形成してもよい。)
【0044】
より具体的には下記式(a−1)で表される有機リン化合物である事が好ましい。
【化7】
【0045】
上記式(a−1)中、R
1は炭素原子数6〜15のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素原子数7〜20のアラルキル基であることがより好ましい。上記式(a−1)中、R
2,R
3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜15のアリール基、炭素原子数6〜15のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、または炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基であることが好ましく、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基がより好ましく、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基が特に好ましい。
また、好ましく使用される難燃剤として、下記式(1)で表される有機リン化合物が挙げられる。
【0046】
【化8】
(式中、X
1、X
2は同一もしくは異なり、下記式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
【0047】
【化9】
(式中、ALは炭素数1〜5の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arは置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基である。nは1〜3の整数を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
【0048】
前記式(1)で表される有機リン化合物は、当該樹脂に対して極めて優れた難燃効果を発現する。
難燃剤としての有機リン化合物は、前記式(1)で表されるが、最も好ましい代表的化合物は下記式(1−a)、(1−b)、(1−c)、(1−d)で示される化合物である。
【0053】
難燃剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり0.05〜50重量部の範囲が好ましい。好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部、特に好ましくは5〜15重量部である。0.05重量部以上であれば十分な難燃性が発現し、50重量部以下であると成形品の強度や耐熱性などを損なわず好ましい。
【0054】
(フィルムの製造方法)
本発明のディスプレー用フィルムの製造方法としては、例えば、溶液キャスト法、溶融押し出し法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法を挙げることが出来る。本発明の光学フィルムの製造法としては、溶融押し出し法が生産性の点から好ましい。
溶融押し出し法においては、Tダイを用いて樹脂を押し出し冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。このときの温度はポリカーボネート樹脂の分子量、Tg、溶融流動特性等から決められるが、180〜350℃の範囲が好ましく、200℃〜320℃の範囲がより好ましい。180℃より低いと粘度が高くなりポリマーの配向、応力歪みが残りやすくなる。また、350℃より高いと熱劣化、着色、Tダイからのダイライン(筋)等の問題が起きやすくなる。
【0055】
また、本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、有機溶媒に対する溶解性が良好なので、溶液キャスト法も適用することが出来る。溶液キャスト法の場合は、溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジオキソラン、ジオキサン等が好適に用いられる。溶液キャスト法で用いられるフィルム中の残留溶媒量は2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。2重量%を超えると残留溶媒が多いとフィルムのガラス転移温度の低下が著しくなり耐熱性の点で好ましくない。
ディスプレー用フィルムの厚みとしては、30〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは40〜400μmの範囲である。
【0056】
(面内位相差)
本発明のフィルムの波長550nmにおける面内位相差は80nm以下が好ましい。より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは10nm以下、特に好ましくは7nm以下である。面内位相差が80nm以下の場合、画質が良好であり好ましい。
【0057】
(配向角)
本発明のフィルムのTD方向またはMD方向に対する配向角のばらつきの範囲は±7°以下が好ましい。より好ましくは±6°以下、さらに好ましくは±5°以下、特に好ましくは±4°以下である。配向角のばらつきが±7°以下である場合、画質が良好であり好ましい。
【0058】
(フィッシュアイ)
フィッシュアイは樹脂の分解や残存した低分子量化合物の揮発などにより、気泡が発生したものであり、長径が100μm以上のフィッシュアイが3個/m
2以下であることが好ましい。さらに好ましくは2個/m
2以下、より好ましくは1個/m
2以下である。長径が100μm以上のフィッシュアイが3個/m
2以下の場合、画質が良好であり好ましい。
【0059】
(鉛筆硬度)
鉛筆硬度はJIS K5600−5−4に準拠して測定されたものである。本発明のフィルムの鉛筆硬度は、好ましくはHB以上であり、より好ましくはF以上であり、さらに好ましくはH以上である。
【0060】
(ハードコート)
本発明では、ディスプレー用フィルムの表面にハードコート処理を施しても良い。ハードコート処理として各種のハードコート剤が使用可能であり、使用するハードコート剤としては、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。かかるハードコート層の硬度は特に限定されるものではなく、ポリカーボネートの硬度より高いものであればよい。
【0061】
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくは更に4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びに更にこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤は更に2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、更に必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
【0062】
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。これらの中でも特に好適に紫外線硬化型のハードコート剤が好適である。更にかかるハードコート剤は、紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体が共重合した構成単位を含有することがより好ましい。より好適な有機樹脂系ハードコート剤は、かかる単量体とアルキル(メタ)アクリレート単量体とを共重合することによりハードコート層が形成されるものである。かかる紫外線硬化型のハードコート剤はその処理が簡便である点で好ましく、更に紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体が共重合した構成単位を容易に包含できる点において、成形品の耐光性を大きく改良できる点で好ましい。アクリル系ハードコート剤の市販品としては、例えばオリジン電気(株)製オリジアプトシリーズ、および(株)日本触媒製ユーダブルシリーズなどが例示される。これらは架橋剤成分と混合して使用することができる。
【0063】
一方、ガラス様の硬度が求められる場合には、長期間の耐候性に優れ、かつ表面硬度が比較的高いシリコーン樹脂系ハードコート剤が好ましい。特に各種の樹脂からなるプライマー層(第1層)を形成した後、その上にシリコーン樹脂系ハードコート剤から調整されたトップ層(第2層)を形成したものが好ましい。
【0064】
かかるプライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂およびウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
【0065】
更に、シリコーン樹脂系ハードコート剤のプライマー層を形成する樹脂には、公知の光安定剤や紫外線吸収剤、並びにシリコーン樹脂ハードコート剤の触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
【0066】
ハードコート層は、紫外線吸収剤を含有することが、良好な耐久性(殊に密着性に対する耐久性)を有することから好適である。更に本発明のハードコート層のより好適な態様は次のとおりである。すなわち、フィルムの表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成された構成のハードコート層であって、第1層は、架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)および紫外線吸収剤からなり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなるハードコート層である。
【0067】
該架橋したアクリル共重合体(アクリル共重合体−I)は、50モル%以上の下記式(X−1)で表される繰り返し単位、
【化14】
(式中R
11はメチル基またはエチル基である。)
5〜30モル%の下記式(X−2)で表される繰り返し単位、および
【化15】
(式中R
12は炭素数2〜5のアルキレン基である。式(X−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のR
aは単結合であり、残りが水素原子である。R
aが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(X−2)で表される繰り返し単位と結合している。)
0〜30モル%の下記式(X−3)で表される繰り返し単位からなり、
【化16】
(但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、R
13は水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつR
13がメチル基またはエチル基である場合を除く。)
ウレタン結合と式(X−1)〜(X−3)で表される繰り返し単位の合計量とのモル比が4/100〜30/100の範囲にある架橋したアクリル共重合体である。
【0068】
該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(p−4)〜(p−6)で表される繰り返し単位からなり、
【化17】
【化18】
【化19】
(式中、Q
1、Q
2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。)
該繰り返し単位の全量を100モル%としたとき、式(p−4):80〜100モル%、式(p−5):0〜20モル%、および式(p−6):0〜20モル%である架橋したオルガノシロキサン重合体である。
【0069】
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形品の形状に応じて適宜選択することができる。中でも複雑な成形品形状に対応しやすいディップコート法、フローコート法、およびスプレーコート法が好ましい。
【0070】
(ディスプレー用フィルム)
本発明のディスプレー用フィルムは表示部のガラスの部分とベゼル部分(樹脂や金属)にまたがって積層される。そのため、両材質の線膨張係数の差により、応力が発生するため、破断強度、低光弾性係数に優れるイソソルビドを含むディスプレー用フィルムが好ましい。ディスプレーとしてはLCD、PDP、CRT、プロジェクションディスプレー、有機ELディスプレー等を挙げることができ、LCD、PDP、有機ELディスプレーが好ましく、LCDが特に好ましい。
【0071】
(全光線透過率)
本発明のディスプレー用フィルムの全光線透過率は好ましくは80%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上である。80%以上の場合、視認性が高く好ましい。
【実施例】
【0072】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
【0073】
1.ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
【0074】
2.比粘度測定
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(η
SP)=(t−t
0)/t
0
[t
0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
【0075】
3.ガラス転移温度(Tg)測定
ポリカーボネート樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
【0076】
4.フィッシュアイ数
厚さ50μmのフィルム状物をカラー3Dレーザ顕微鏡を用いて、1000mm×1000mmに存在する長軸の直径が100μm以上の干渉縞を有するフィッシュアイ数を分析した。
【0077】
5.全光線透過率
日本電色工業(株)製 NDH−2000(D65光源)を用いて測定した。なお測定は5回行い、その平均値を測定値として採用した。
【0078】
6.面内位相差
作成したフィルムを日本分光(株)製 Spectroellipsometer M−220を使用し、波長550nmの位相差を測定した。
【0079】
7.配向角
作成したフィルムを王子計測機器(株)製 KOBRA−CCD/XY30P 王子計測機器(株)を使用し、配向角を測定した。
【0080】
8.耐久テスト
作成したフィルムを3mmのガラス部分と3mmの芳香族ポリカーボネート樹脂シート部分に粘着材を介して接合し、80℃、500時間と外観を確認した。外観に割れやクラックが発生した場合は×、発生しなかった場合は○とした。また、耐久試験後のフィルムとガラスの接合部分を交差した2枚の偏光板の間に挟み、光り抜けが見られた場合は×、見られなかった場合は○とした。
【0081】
9.鉛筆硬度
作成したフィルムを、JIS K5600−5−4に準拠し、750g加重で鉛筆硬度の測定を行い、表面に目視で傷がつかなかった鉛筆の硬度を評価結果とした。鉛筆は三菱鉛筆Uni(商品名)を使用した。
【0082】
[実施例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
イソソルビド(以下ISSと略す)375部、1,6−ヘキサンジオール(以下HDと略す)101部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10
−2部と水酸化ナトリウム0.6×10
−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で240℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。該ペレットの比粘度を測定した。
【0083】
<フィルムの製造>
次に、(株)テクノベル製15mmφ二軸押出機に幅150mm、リップ幅500μmのTダイとフィルム引取り装置を取り付け、得られたポリカーボネート樹脂を230℃でフィルム成形することにより厚さ200μmの透明な押出フィルムを得た。得られたフィルムより50mm×10mmサイズのサンプルを切り出し、そのサンプルを用いて光弾性定数を測定した。また、得られた50mm×10mmサイズのフィルムを、40mm×10mm×厚さ3mmのガラスと10mm×10mm×厚さ3mmのビスフェノールAより得られたポリカーボネート樹脂シートとリンテック社製粘着剤LS0280を介して接合し、80℃500時間熱処理し、外観、光りぬけを確認した。
【0084】
[実施例2]
ISS426部、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(以下DEPと略す)83部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
【0085】
[実施例3]
ISS426部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)83部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
【0086】
[実施例4]
ISS250部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)247部、DPC750部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
【0087】
[比較例1]
アクリル樹脂(三菱レイヨン社製アクリペットVH−001)を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
【0088】
[比較例2]
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成(株)製パンライトL−1250;ビスフェノールAより得られたポリカーボネート樹脂ペレット)を用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
【0089】
[比較例3]
ISS375部、HD101部、DPC750部を原料として用い、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10
−2部と水酸化ナトリウム0.6×10
−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、10分かけて減圧度を133Pa以下とした。合計5時間撹拌下で反応を行った他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
【0090】
【表1】