【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1の特徴に基づく食品加熱処理装置、及び請求項12の特徴に基づく方法によって達成される。従属請求項には、本発明の好ましい実施形態を開示する。
【0007】
本発明の実施形態によれば、濃縮乳清たんぱく質、離乳食及びチーズミルクなどの熱に敏感な流体食品を加熱処理するための食品加熱処理装置が提供され、この装置は、食品を供給するための入口と、加熱処理済み食品を排出するための排出口と、食品を特定の時間にわたって特定の温度で保持するための、入口の下流の保持装置と、保持装置の下流の背圧装置とを備え、背圧装置(24)は冷却されたバルブであり、及び/又は保持装置(23)は、容積移送式保持装置及び/又は時限装置及び/又は自己洗浄式保持装置である。
【0008】
本発明は、食品加熱処理装置に関するものであるため、冷却されたバルブという用語を、バルブを通過する加熱処理済み食品によってバルブが冷却されると解釈することはできない。むしろ、「冷却されたバルブ」という用語は、このバルブが、バルブを外部から冷却する手段を有すると理解すべきである。例えば、冷却されたバルブ内に設けられた冷却路に冷却液を通すことができる。これとは別に、及び/又はこれに加えて、バルブを外部から冷却するその他の手段を提供することもできる。加熱処理済み食品が通過する他の冷却装置についても同様であり、すなわちこのような冷却装置は、加熱処理済み食品によって冷却されるのではなく、外部の冷却手段によって冷却される。換言すれば、冷却されたバルブ(cooled valve)は、冷却バルブ(cooling valve)又は外部より冷却されたバルブ(externally cooled valve)として示すこともできる。同様に、冷却装置(cooled device)は、冷却用装置(cooling device)又は外部より冷却された装置(externally cooled device)として示すことができる。
【0009】
背圧装置を保持装置の下流に設けることにより、保持装置は、保持装置の入口における圧力が保持装置の排出口における圧力と一致することに起因して保持装置の圧力低下を回避することができ、又は少なくとも原則的に抑えることができるという利点を有する。従って、食品が、保持装置を通る通常の移動経路を迂回していずれかの狭い通路又は間隙を擦り抜けることを原則的に、又はほぼ完全に、或いは事実上完全に無くすことができる。通常の移動経路を迂回する食品の保持時間は、通常の移動経路を通過する食品の保持時間よりも短くなる。通常の移動経路を迂回する食品が相当量存在する場合、全ての食品が十分に加熱処理されることを確実にするために、全ての食品の保持時間を延長する必要がある。従って、本発明の実施形態によれば、保持装置に圧力差が存在しないことにより、保持時間を最短化することができる。
【0010】
意図する短い時間にわたって加熱処理した後に食品が保持装置を離れようとする時点で食品を冷却するために、背圧装置を冷却することが好ましい。食品を冷却すると、加熱された食材が背圧装置の内面上を覆って付着する問題が低減されるという利点がある。
【0011】
好ましい実施形態によれば、保持装置がローブポンプである。食品が保持装置を通して容積移送されるので、食品を保持装置内で加熱処理する時間を非常に高い精度で決定することができる。また、迂回路が存在しないので、食品全部が確実に保持装置を通過しなければならなくなる。従って、不完全な殺菌というリスクを伴わずに保持時間を最短化することができる。
【0012】
本発明によれば、背圧装置を冷却背圧装置とするのがよい。
【0013】
本発明によれば、冷却背圧装置を、バルブ、ベンチュリ管、オリフィス又は同等の手段などの、圧力低下を引き起こすあらゆる冷却装置とすることができる。
【0014】
本発明によれば、保持装置を、ローブポンプ、及び/又は確動ポンプ(positive pump)、及び/又は
容積式ポンプ(positive displacement pump)とすることができ、或いは保持装置がこれらのポンプを含んでもよい。
【0015】
本発明によれば、保持装置をパイプとすることができ、或いは保持装置がパイプを含んでもよい。
【0016】
本発明によれば、保持装置を熱交換器とすることができ、或いは保持装置が熱交換器を含んでもよい。
【0017】
本発明によれば、熱交換器をかき取り面型熱交換器とすることができ、このかき取り面型熱交換器を多管式熱交換器とすることができ、又はこのかき取り面型熱交換器が多管式熱交換器を含んでもよい。或いは、熱交換器は、その他の形状を有してもよい。
【0018】
本発明によれば、保持装置をスクリュー型移送ポンプとすることができ、或いは保持装置がスクリュー型移送ポンプを含んでもよい。
【0019】
本発明によれば、スクリュー型移送ポンプを、押出機又は同等の手段とすることができる。
【0020】
本発明によれば、背圧装置をバルブとすることができ、或いは背圧装置がバルブを含んでもよい。
【0021】
本発明によれば、このバルブを背圧バルブとすることができる。
【0022】
本発明によれば、背圧装置を
冷却されるバルブとすることができ、或いは背圧装置が
冷却されるバルブを含んでもよい。
【0023】
本発明によれば、バルブのハウジングを冷却し、及び/又はバルブコーンを冷却し、及び/又はバルブの軸を冷却し、及び/又はバルブの台座を冷却するのがよい。
【0024】
本発明によれば、バルブを背圧バルブとすることができる。
【0025】
本発明によれば、背圧装置を
容積式ポンプ装置とすることができ、或いは背圧装置が
容積式ポンプ装置を含んでもよい。
【0026】
本発明によれば、背圧装置を、例えばギアポンプなどの
容積式ポンプとすることができる。本発明によれば、ポンプのハウジングを冷却するのがよい。
【0027】
本発明によれば、背圧装置が保持装置のすぐ下流に存在するのがよく、及び/又は背圧装置を保持装置の排出口に組み込むことができる。
【0028】
本発明によれば、保持装置と背圧装置の間に接続部又はパイプを設けるのがよい。
【0029】
本発明によれば、食品加熱処理装置が、保持装置の上流に注入加熱装置をさらに含むのがよい。
【0030】
本発明によれば、注入加熱装置を保持装置に、好ましくは保持装置の入口に組み込むのがよい。
【0031】
好ましい実施形態によれば、排出口に冷却バルブを組み込んだローブポンプを有する背圧装置が開示される。
【0032】
本発明によれば、濃縮乳清たんぱく質、離乳食及びチーズミルクなどの熱に敏感な流体食品を加熱処理するための方法が提供され、この方法は、
(a)食品を入口(21)に供給するステップと、
(b)食品を保持装置内に特定の時間にわたって特定の温度で保持することにより食品を加熱処理するステップと、
(c)保持装置の下流に背圧装置を設けるステップと、
(d)加熱処理済み食品を排出口(22)を通じて排出するステップと、
を含み、背圧装置は
冷却されるバルブであり、又は
冷却されるバルブを含み、及び/又は食品が保持装置を通して容積移送される。
【0033】
本発明の方法は、保持装置内の圧力低下が実質的に排除されるという利点を有する。
【0034】
従って、保持装置内の保持時間を最短化することができる。
【0035】
本発明によれば、背圧装置を冷却するのがよい。この冷却は、更に、処理済み食材が内面に付着することを排除し、好ましくは回避できるという利点を有する。
【0036】
本発明によれば、食品を保持装置に供給する前に及び/又は供給時に、食品に蒸気を注入するのがよい。
【0037】
本発明によれば、上述したような本発明による装置を使用して、本発明の方法を実施することができる。
【0038】
以下の参照番号を使用する図面を参照しながら本発明についてさらに詳述する。
21 食品入口
22 食品排出口
23 保持装置
24 背圧装置
25 冷却用装置
26 冷却剤入口
27 冷却剤排出口
28 処理の流れ方向
29 接続手段
30 注入加熱装置
【0039】
本発明の好ましい実施形態を添付図面に示す。