特許第6097569号(P6097569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097569
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理列制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170306BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/02 Z
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-6558(P2013-6558)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-138120(P2014-138120A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】506322684
【氏名又は名称】株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】桐田 将司
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−093922(JP,A)
【文献】 特開2012−235087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
基板に一連の処理を行う複数の基板処理列と、
複数の基板処理列を制御する制御部と、
を備え、
前記基板処理列は、
複数の処理ユニットと、
処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構と、
を有し、
前記制御部は、基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する搬送順序情報と、運転させる基板処理列を選択するための選択情報とに基づいて、選択情報によって選択されている基板処理列を搬送順序情報どおりに運転させ、選択情報によって選択されていない基板処理列を停止させる基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
選択情報は、各基板処理列の識別情報と、運転させる基板処理列に指定されているか否かを示す設定情報とが関連付けられた情報である基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記制御部は、選択情報に基づいて一部の基板処理列の運転・停止を切り換えるときに他の基板処理列が運転中である場合には、他の基板処理列の運転を中断させることなく、一部の基板処理列の運転・停止を切り換える基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
基板を収容する収容器から各基板処理列に基板を搬送するインデクサ部を備え、
前記制御部は、収容器が更新される際に、基板処理列の運転・停止の切り換えを実行する基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、選択情報を参照し、基板を投入する基板処理列を収容器ごとに決定する基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
選択情報を設定または変更するための入力部を備えている基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の基板処理装置において、
搬送順序情報は、所定の処理が施された製品としての基板を生産するときに基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する基板処理装置。
【請求項8】
複数の処理ユニットに基板を搬送し、基板に一連の処理を行う複数の基板処理列を制御する制御方法であって、
基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する搬送順序情報と、運転させる基板処理列を選択するための選択情報とに基づいて、各基板処理列を制御する工程を備え、
制御する工程は、選択情報によって選択されている基板処理列を、選択されている基板処理列に対応する搬送順序情報の部分に基づいて運転させ、かつ、選択されていない基板処理列に対応する搬送順序情報の部分を無視して、選択情報によって選択されていない基板処理列の運転を停止させる基板処理列制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理列制御方法であって、
選択情報は、各基板処理列の識別情報と、運転させる基板処理列に指定されているか否かを示す設定情報とが関連付けられた情報である基板処理列制御方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の基板処理列制御方法であって、
制御する工程は、選択情報に基づいて一部の基板処理列の運転・停止を切り換えるときに他の基板処理列が運転中である場合には、他の基板処理列の運転を停止させることなく、一部の基板処理列の運転・停止を切り換える基板処理列制御方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載の基板処理列制御方法において、
さらに、基板を収容する収容器から基板処理列に基板を投入する工程を備え、
制御する工程は、収容器が更新されるときに、基板処理列の運転・停止の切り換えを実行する基板処理列制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理列制御方法において、
投入する工程は、収容器が更新される度に、選択情報に基づいて基板を投入する基板処理列を決定する基板処理列制御方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の基板処理列制御方法において、
制御する工程は、選択情報において選択が解除された基板処理列がその解除時に運転している場合には、当該基板処理列で処理中の基板を収容する収容器内の全ての基板に対して処理が完了するまで当該基板処理列の運転を継続させ、その後に当該基板処理列の運転を停止させる基板処理列制御方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載の基板処理列制御方法において、
投入する工程は、選択情報において基板処理列の選択が解除された場合、その解除後に新たな収容器から当該基板処理列へ基板を投入しない基板処理列制御方法。
【請求項15】
請求項8から14のいずれかに記載の基板処理列制御方法において、
さらに、選択情報を設定または変更する工程を備えている基板処理列制御方法。
【請求項16】
請求項8から15のいずれかに記載の基板処理列制御方法において、
搬送順序情報は、所定の処理が施された製品としての基板を生産するときに基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する基板処理列制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板など(以下、単に基板と称する)を処理する基板処理装置および基板処理列制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、複数の基板処理部と制御部とを備える装置がある。各基板処理部は、処理ユニットと、処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構と、を備え、基板に一連の処理を行う。制御部は、基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する搬送順序情報(フローレシピ)に基づいて各基板処理部を制御する。この制御によって、各基板処理部は、基板を複数の処理ユニットに所定の順番で搬送する。このような装置によれば、各基板処理部が並行して基板処理を行うことができるので、基板処理能力(スループット)を向上させることができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−10291号公報
【特許文献2】特開2005−93922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
搬送順序情報は、通常、所定の処理が施された基板(製品)を生産するための処理ユニットの順番を規定している。ここで、一部の基板処理部を休止させる場合、一部の基板処理部に属する全ての処理ユニットに基板を搬送させないように、搬送順序情報を変更する。
【0005】
しかし、搬送順序情報は製品を生産するための順番を規定する情報であって、製品の品質に直接的に関わるものであるので、搬送順序情報を頻繁に変更することは好ましくない。
【0006】
また、搬送順序情報は基本的には搬送順番と処理ユニットとが関連付けられた情報であるので、搬送順序情報の変更箇所は処理ユニットの数と同等以上であり、比較的多い。このため、搬送順序情報を修正する作業が煩雑となる。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送順序情報を変更することなく、かつ、簡易に、複数の基板処理列を個別に運転・停止させることができる基板処理装置および基板処理列制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、基板処理装置であって、基板に一連の処理を行う複数の基板処理列と、複数の基板処理列を制御する制御部と、を備え、前記基板処理列は、複数の処理ユニットと、処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構と、を有し、前記制御部は、基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する搬送順序情報と、運転させる基板処理列を選択するための選択情報とに基づいて、選択情報によって選択されている基板処理列を搬送順序情報どおりに運転させ、選択情報によって選択されていない基板処理列を停止させる基板処理装置である。
【0009】
[作用・効果]本発明に係る基板処理装置によれば、制御部は、選択情報によって選択されている基板処理列を搬送順序情報どおりに運転させ、選択情報によって選択されていない基板処理列の運転を、搬送順序情報に関係なく休止させる。ここで、選択情報と搬送順序情報は別個独立の情報であり、選択情報の変更は、搬送順序情報の変更を伴わない。よって、搬送順序情報を変更することなく、基板処理列を個別に運転させたり、停止させることができる。また、選択情報は基板処理列に関する情報であるので、選択情報において変更する情報の数は、運転・停止を切り換えたい基板処理列の数と同等程度となり、比較的に少ない。このように、搬送順序情報を変更することなく、かつ、簡易に基板処理列を個別に運転・停止させることができる。
【0010】
さらに、基板処理列を運転させるときには、制御部は基本的に搬送順序情報に基づいて制御する。よって、任意の基板処理列が運転しているときに選択情報を変更する場合であっても、運転中の基板処理列を一旦停止させる必要がない。すなわち、任意の基板処理列が運転している場合であっても、選択情報を支障なく変更できる。なお、選択情報が変更されると、制御部による制御内容の切り換えが即時に実行されるとは限らない。
【0011】
上述した発明において、選択情報は、各基板処理列の識別情報と、運転させる基板処理列に指定されているか否かを示す設定情報とが関連付けられた情報であることが好ましい。これによれば、設定情報を変更することによって、任意の基板処理列に関する選択情報を一括して変更することができる。
【0012】
上述した発明において、前記制御部は、選択情報に基づいて一部の基板処理列の運転・停止を切り換えるときに他の基板処理列が運転中である場合には、他の基板処理列の運転を中断させることなく、一部の基板処理列の運転・停止を切り換えることが好ましい。これによれば、一部の基板処理列の運転・停止を切り換える際に、他の基板処理列の運転を継続させることができる。よって、基板処理装置の稼動率が著しく低下することを防止できる。
【0013】
上述した発明において、基板を収容する収容器から各基板処理列に基板を搬送するインデクサ部を備え、前記制御部は、収容器が更新される際に、基板処理列の運転・停止の切り換えを実行することが好ましい。これによれば、基板処理列に対する制御内容を切り換えるタイミングは、収容器が更新される際のみに限られる。よって、同じ収容器内の複数の基板間において処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0014】
上述した発明において、前記制御部は、選択情報を参照し、基板を投入する基板処理列を収容器ごとに決定することが好ましい。これによれば、収容器ごとに基板の搬送先を決定するので、1の収容器から基板処理列に基板を投入している途中で収容器内の基板の搬送先が変わることがない。よって、同じ収容器内の複数の基板間において処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0015】
上述した発明において、選択情報を設定または変更するための入力部を備えていることが好ましい。これによれば、ユーザーが入力部を操作することによって、選択情報を容易に変更できる。
【0016】
上述した発明において、搬送順序情報は、所定の処理が施された製品としての基板を生産するときに基板が搬送される処理ユニットの順番を規定することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、複数の処理ユニットに基板を搬送し、基板に一連の処理を行う複数の基板処理列を制御する制御方法であって、基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する搬送順序情報と、運転させる基板処理列を選択するための選択情報とに基づいて、各基板処理列を制御する工程を備え、制御する工程は、選択情報によって選択されている基板処理列を、選択されている基板処理列に対応する搬送順序情報の部分に基づいて運転させ、かつ、選択されていない基板処理列に対応する搬送順序情報の部分を無視して、選択情報によって選択されていない基板処理列の運転を停止させる基板処理列制御方法である。
【0018】
[作用・効果]本発明に係る基板処理列制御方法によれば、制御する工程は、搬送順序情報と選択情報に基づいて各基板処理列を制御する。具体的には、搬送順序情報と選択情報とを掛け合わせた部分を有効とみなし、この有効な部分に基づいて選択されている基板処理列を運転させる。他方、搬送順序情報のうち、有効とみなした部分から外れている部分を無効とみなし、選択されていない基板処理列を停止させる。ここで、選択情報と搬送順序情報は別個独立の情報であり、選択情報の変更は、搬送順序情報の変更を伴わない。よって、搬送順序情報を変更せずに、一部の基板処理列のみを運転させたり、停止させることができる。また、選択情報は基板処理列に関する情報であるので、選択情報において変更する情報の数は、運転・停止を切り換えたい基板処理列の数と同等程度となり、比較的に少ない。このように、搬送順序情報を変更することなく、かつ、簡易に基板処理列を個別に運転・停止させることができる。
【0019】
さらに、基板処理列を運転させるときには、制御する工程は基本的に搬送順序情報に基づいて制御する。よって、任意の基板処理列が運転している場合であっても、選択情報を支障なく変更できる。
【0020】
上述した発明において、選択情報は、各基板処理列の識別情報と、運転させる基板処理列に指定されているか否かを示す設定情報とが関連付けられた情報であることが好ましい。これによれば、設定情報を変更することによって、任意の基板処理列に関する選択情報を一括して変更することができる。
【0021】
上述した発明において、制御する工程は、選択情報に基づいて一部の基板処理列の運転・停止を切り換えるときに他の基板処理列が運転中である場合には、他の基板処理列の運転を停止させることなく、一部の基板処理列の運転・停止を切り換えることが好ましい。これによれば、他の基板処理列の運転を中断せずに、一部の基板処理列の運転・停止を切り換えることができる。よって、基板処理能力が著しく低下することを防止できる。
【0022】
上述した発明において、ささらに、基板を収容する収容器から基板処理列に基板を投入する工程を備え、制御する工程は、収容器が更新されるときに、基板処理列の運転・停止の切り換えを実行することが好ましい。これによれば、基板処理列の制御内容の切り換えは、収容器が更新されるときのみに限られる。よって、同じ収容器内の複数の基板間において処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0023】
上述した発明において、投入する工程は、収容器が更新される度に、選択情報に基づいて基板を投入する基板処理列を決定することが好ましい。これによれば、収容器内の基板の投入先を適切なタイミングで決定するので、個々の収容器についてみれば、基板の投入先が途中で変わることがない。よって、収容器内の複数の基板間において処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0024】
上述した発明において、制御する工程は、選択情報において選択が解除された基板処理列がその解除時に運転している場合には、当該基板処理列で処理中の基板を収容する収容器内の全ての基板に対して処理が完了するまで当該基板処理列の運転を継続させ、その後に当該基板処理列の運転を停止させることが好ましい。これによれば、収容器内の各基板の間で処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0025】
上述した発明において、投入する工程は、選択情報において基板処理列の選択が解除された場合、その解除後に新たな収容器から当該基板処理列へ基板を投入しないことが好ましい。これによれば、収容器内の各基板の間で処理品質がばらつくことを抑制しつつ、選択が解除された基板処理列の運転を速やかに停止できる。
【0026】
上述した発明において、さらに、選択情報を設定または変更する工程を備えていることが好ましい。これによれば、選択情報を好適に変更することができる。
【0027】
上述した発明において、搬送順序情報は、所定の処理が施された製品としての基板を生産するときに基板が搬送される処理ユニットの順番を規定することが好ましい。
【0028】
なお、本明細書は、次のような基板処理装置および基板処理列制御方法に係る発明も開示している。
【0029】
(1)前記制御部は、搬送順序情報のうち、選択されていない基板処理列に対応する部分を無視し、選択されている基板処理列に対応する部分のみを有効とみなすことが好ましい。
【0030】
前記(1)によれば、搬送順序情報を変更することなく、一部の基板処理列のみの運転・停止を好適に切り換えることができる。
【0031】
(2)前記制御部は、選択情報が変更された場合、搬送順序情報を変更することなく、搬送順序情報と変更された選択情報に基づいて、各基板処理列の制御を変更することが好ましい。
【0032】
(3)制御する工程は、選択情報が変更された場合、搬送順序情報を変更することなく、搬送順序情報と変更された選択情報に基づいて、各基板処理列の制御を変更することが好ましい。
【0033】
前記(2)、(3)によれば、搬送順序情報を変更せずに、一部の処理部の運転・停止を好適に切り換えることができる。
【0034】
(4)前記制御部は、選択情報において選択が解除された基板処理列がその解除時に運転している場合には、当該基板処理列で処理中の基板を収容する収容器内の全ての基板に対して処理が完了するまで当該基板処理列の運転を継続させ、その後に当該基板処理列の運転を停止させることが好ましい。
【0035】
前記(4)に記載によれば、収容器内の各基板の間で処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0036】
(5)前記制御部は、選択情報において基板処理列の選択が解除された場合、その解除後に新たな収容器から当該基板処理列への基板搬送を開始することを禁止することが好ましい。
【0037】
前記(5)によれば、収容器内の各基板の間で処理品質がばらつくことを抑制しつつ、選択が解除された基板処理列の運転を速やかに停止できる。
【0038】
(6)前記入力部は、設定情報を設定または変更するための命令を受け付けることが好ましい。
【0039】
前記(6)によれば、選択情報を好適に変更することができる。
【0040】
(7)さらに、選択情報を設定または変更するための命令を受け付ける工程を備えていることが好ましい。
【0041】
前記(7)によれば、ユーザーは簡易に選択情報を変更できる。
【0042】
(8)前記制御部は、複数の基板処理列を制御するコントローラと、選択情報を設定・変更する設定部とを備えていることが好ましい。
【0043】
前記(8)によれば、制御部が設定部を備えているので、選択情報を好適に設定・変更できる。
【0044】
(9)搬送順序情報は、搬送順番に処理ユニットの識別情報が対応付けられた情報であることが好ましい。
【0045】
前記(9)によれば、搬送順序情報を好適に構成できる。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る基板処理装置および基板処理列制御方法によれば、搬送順序情報を変更することなく、かつ、簡易に基板処理列を個別に運転・停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
図2】処理ユニットの配置を示す概略側面図である。
図3】処理ユニットの配置を示す概略側面図である。
図4図2におけるa−a矢視の各垂直断面図である。
図5】実施例に係る基板処理装置の制御ブロック図である。
図6】フローレシピの構成を示す模式図である。
図7】ID部および基板処理列を制御する手順を示すフローチャートである。
図8】変形実施例に係るID部および基板処理列を制御する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図であり、図2図3は基板処理装置が有する処理ユニットの配置を示す概略側面図であり、図4は、図1におけるa−a矢視の各垂直断面図である。
【0049】
[基板処理部等の構成]
基板処理装置1は、それぞれ基板(例えば、半導体ウエハ)Wに処理を行う。基板処理装置1は、インデクサ部(以下、「ID部」と呼ぶ)3と複数の基板処理列5、6とインターフェイス部(以下、「IF部」と呼ぶ)7とを備えている。図2乃至図4に示すように、基板処理列5、6は、上下方向に並ぶように積層されている。ID部3は、各基板処理列5、6の一側方に隣接するように設けられている。IF部7は、各基板処理列5、6の他側方に隣接するように設けられている。図1に示すように、IF部7は、さらに、基板処理装置1とは別体の外部装置である露光機EXPに隣接している。各基板処理列5、6は、それぞれこの発明における基板処理部に相当する。以下、ID部3、基板処理列5、6、IF部7について順に説明する。
【0050】
ID部3は、各基板処理列5、6に基板Wを投入する。ID部3は、載置台4とID用搬送機構TIDを備えている。載置台4は、複数(4個)のカセットCを載置可能である。カセットCは複数の基板Wを収容する。ID用搬送機構TIDは、水平方向および鉛直方向に移動可能に構成され、載置台4に載置されたカセットCおよび基板処理列5、6に対して基板Wを搬送する。カセットCは、本発明における収容器に相当する。
【0051】
各基板処理列5、6は、それぞれ基板Wに一連の処理を行う。一連の処理は、例えば、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、露光された基板Wを現像する処理である。以下では、各基板処理列5、6は略同じ構成であるので、基板処理列5について説明し、基板処理列6については同符号を付すことで説明を省略する。
【0052】
基板処理列5は、複数の処理ユニットと、これら処理ユニットに基板Wを搬送する主搬送機構T、Tを備えている。各主搬送機構T、Tは、ID部3とIF部7とを結ぶ方向に並ぶように配置されている。各主搬送機構T、Tは、水平方向および鉛直方向に移動可能である。主搬送機構Tは、ID用搬送機構TIDおよび主搬送機構Tの間で双方向に基板Wを受け渡すとともに、処理ユニットに基板Wを搬送する。主搬送機構Tは、主搬送機構TおよびIF部7(後述するIF用搬送機構TIF1)の間で基板Wを受け渡すとともに、処理ユニットに基板Wを搬送する。これにより、基板処理列5は、ID部3とIF部7の間にわたって基板Wを往復搬送する。
【0053】
ID用搬送機構TIDと主搬送機構Tの間には、基板Wを載置する載置部PASSが配置されている。同様に、主搬送機構Tと主搬送機構Tの間、および、主搬送機構TとIF用搬送機構TIF1の間には、それぞれ、載置部PASSおよび載置部PASSが配置されている。搬送機構TID、T、T、TIF1は、載置部PASS乃至PASSに基板Wを一時的に載置することによって、他の搬送機構に基板Wを受け渡す。
【0054】
図4を参照する。載置部PASSは、載置部PASS1Aと載置部PASS1Bを有する。載置部PASS1A、PASS1Bは、基板Wの搬送方向によって使い分けられる。たとえば、載置部PASS1Aには、ID用搬送機構TIDから主搬送機構Tへ搬送される基板Wが載置され、載置部PASS1Bには、主搬送機構TからID用搬送機構TIDへ搬送される基板Wが載置される。載置部PASSおよび載置部PASSも同様である。
【0055】
図1を参照する。基板処理列5が有する処理ユニットは、主搬送機構Tが基板Wの搬送を負担する処理ユニットと、主搬送機構Tが基板Wの搬送を負担する処理ユニットとに大きく分けられる。
【0056】
まず、前者について説明する。主搬送機構Tが基板Wの搬送を負担する処理ユニットは、基板Wに塗膜を形成する塗布処理ユニット11と、基板Wに熱処理を行う熱処理ユニット13である。塗布処理ユニット11は、主搬送機構Tの一側方に配置され、熱処理ユニット13は主搬送機構Tの他側方に配置されている。
【0057】
図2に示すように、塗布処理ユニット11は、具体的には、反射防止膜用塗布処理ユニットBARCと、レジスト膜用塗布処理ユニットRESISTである。反射防止膜用塗布処理ユニットBARCは、基板Wに反射防止膜材料を塗布し、基板Wの表面上に反射防止膜を形成する処理を行う。レジスト膜用塗布処理ユニットRESISTは、基板Wにレジストを塗布し、基板Wの表面上にレジスト膜を形成する処理を行う。
【0058】
図1を参照する。各塗布処理ユニット11は、いわゆる回転式塗布処理ユニットであり、ノズル15と飛散防止カップ17を備えている。ノズル15は、基板Wに処理液を吐出する。飛散防止カップ17は、基板Wから飛散する処理液を受け止めて回収する。さらに、塗布処理ユニット11は、単一の基板Wを略水平姿勢で回転可能に保持する保持部等(不図示)を備えている。
【0059】
図3に示すように、熱処理ユニット13は、具体的には、冷却ユニットCP、加熱冷却ユニットPHPおよびアドヒージョン処理ユニットAHLである。冷却ユニットCPは基板Wを冷却する。加熱冷却ユニットPHPは、加熱処理と冷却処理を続けて行う。アドヒージョン処理ユニットAHLは、基板Wと被膜の密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルシラザン)の蒸気雰囲気で熱処理する。
【0060】
図1を参照して、主搬送機構Tが基板Wの搬送を負担する処理ユニットについて説明する。この処理ユニットとしては、現像処理ユニットDEVと、熱処理ユニット23およびエッジ露光ユニットEEWである(エッジ露光ユニットEEWについては図3を参照)。現像処理ユニットDEVは、主搬送機構Tの一側方に配置され、熱処理ユニット23およびエッジ露光ユニットEEWは主搬送機構Tの他側方に配置されている。
【0061】
現像処理ユニットDEVは、基板Wに現像処理を行う。現像処理ユニットDEVは、ノズル25と飛散防止カップ27を備えている。ノズル25は基板Wに処理液を吐出する。飛散防止カップ27は基板Wから飛散する処理液を受け止めて回収する。さらに、現像処理ユニットDEVは、単一の基板Wを略水平姿勢で回転可能に保持する保持部等(不図示)を備えている。
【0062】
図3に示すように、熱処理ユニット23は、加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPである。加熱ユニットHPは基板Wを加熱する。なお、IF部7側に配置されている加熱冷却ユニットPHPに関しては、IF部7(IF用搬送機構TIF1)が基板Wの搬送を負担する。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁を露光する。エッジ露光ユニットEEWは、図示を省略するが、基板Wを保持する保持部と、保持部を回転するモータと、基板Wに光を照射する光照射部等を備えている。
【0063】
図1を参照する。IF部7は、基板処理列5、6と露光機EXPに対して基板Wを搬送する。IF部7は基板Wを搬送する複数のIF用搬送機構TIF1、TIF2を備えている。IF用搬送機構TIF1は、基板処理列5、6、および、IF用搬送機構TIF2の間で基板Wを受け渡すとともに、上述した加熱冷却ユニットPHPに基板Wを搬送する。IF用搬送機構TIF2は、IF用搬送機構TIF1のほかに、さらに露光機EXPとの間で基板Wを搬送する。
【0064】
IF用搬送機構TIF1、TIF2の間には、基板Wを載置し、冷却する載置部PASS−CPが配置されている。載置部PASS−CPの下方には、基板Wを載置する載置部PASSが配置されている。載置部PASS−CPには、IF用搬送機構TIF1からIF用搬送機構TIF2へ搬送される基板Wが載置される。載置部PASSには、IF用搬送機構TIF2からIF用搬送機構TIF1へ搬送される基板Wが載置される。
【0065】
[制御系の構成]
図5は、実施例に係る基板処理装置の制御ブロック図である。
【0066】
図示するように、基板処理装置1は、制御部31と記憶部35とタッチパネル37を備えている。制御部31は、コントローラ32と設定部33を有する。コントローラ32は、記憶部35に記憶される各種の情報に基づいて、ID部3、基板処理列5、6およびIF部7を統括的に制御する。設定部33は、記憶部35に記憶される各種の情報を設定、変更する。タッチパネル37は、各種情報を設定、変更するための命令を受け付けて、設定部33に送る。
【0067】
記憶部35は、フローレシピFRと選択情報SLとを記憶する。フローレシピFRは、基板Wが搬送される処理ユニットの順番を規定する情報である。選択情報SLは、運転させる基板処理列5、6を選択するための情報である。
【0068】
図6を参照して、フローレシピFRを説明する。図6は、フローレシピFRの構成を示す模式図である。図示するように、フローレシピFRは、搬送順番にカテゴリーおよび処理ユニットの識別情報(以下、適宜に「処理ユニット識別情報」という)が対応付けられている。本実施例では、フローレシピFRは、所定の処理が施された基板W(製品)を生産するときの処理ユニットの順番を規定するように予め設定されており、記憶部35に記憶されている。
【0069】
カテゴリーは、処理ユニットの種類を示す情報である。図6では、各基板処理列5、6が有する処理ユニットを、「cp」、「barc」、「php」、「resist」、「eew」、「dev」、「hp」の7種類のカテゴリーに分類した例を示す。
【0070】
処理ユニット識別情報は、各処理ユニットを一意に識別できる情報である。図6において、「UT1」、「UT2」…「UT29」は、基板処理列5が有する全ての処理ユニットにそれぞれ対応づけられた処理ユニット識別情報である。たとえば、「UT1」は、基板処理列5に設けられる特定の冷却ユニットCPを示す情報であり、「UT2」は基板処理列5に設けられる特定の反射防止膜用塗布処理ユニットBARCを示す情報である。他方、「UB1」、「UB2」…「UB29」は、基板処理列6が有する各処理ユニットに割り当てられた処理ユニット識別情報である。したがって、図6において、部分Pは、基板処理列5に対応するフローレシピFRの部分であり、部分Pは、基板処理列6に対応するフローレシピFRの部分である。
【0071】
図6に示すフローレシピFRでは、基板処理列5においては、1番目(最初)の基板Wの搬送先は、「UT1」に対応する冷却ユニットCPである。続く2番目の搬送先は、「UT2」、「UT3」のいずれかに対応する反射防止膜用塗布処理ユニットBARCである。続く3番目の搬送先は、「UT4」、「UT5」、「UT6」および「UT7」のいずれかに対応する加熱冷却ユニットPHPである。以降、同様に、搬送順番に従って、各搬送順番に対応付けられた処理ユニットに搬送する。搬送順番に複数の処理ユニットが対応付けられている場合は、いずれか1の処理ユニットに搬送する。基板処理列6においても同様である。フローレシピFRは、本発明における搬送順序情報に相当する。
【0072】
図5を参照して、選択情報SLを説明する。選択情報SLは、各基板処理列の識別情報(以下、「基板処理列識別情報」と呼ぶ)に、運転させる基板処理列に指定されているか否かを示す設定情報が対応付けられている。基板処理列識別情報「L」、「L」は、それぞれ基板処理列5、6を意味する。運転させる基板処理列に指定されている(「選択」に設定されている)とき、設定情報は「1」となる。運転させる基板処理列に指定されていない(「選択」が解除されている/「非選択」に設定されている)ときには、設定情報は「0」となる。設定情報は例えばフラグによって構成される。選択情報SLは、予め設定されているが、設定部33によって適宜に設定・変更される。
【0073】
続いて、図2を参照してタッチパネル37を説明する。タッチパネル37は、基板処理装置1の側壁に配置され、ユーザーによって操作される。タッチパネル37は、その画面上に、ボタン(GUI. Button)37a、37bを表示している。ボタン37a、37bによって、基板処理列5、6の「選択」およびその解除を切り換える命令を入力可能である。タッチパネル37は、本発明における入力部に相当する。
【0074】
図5を参照してコントローラ32の制御対象を説明する。コントローラ32がID部3において制御する対象は、ID用搬送機構TIDである。基板処理列5における制御対象は、基板処理列5が有する主搬送機構T、Tおよび各処理ユニットである。基板処理列6の制御対象も同様である。IF部7における制御対象は、IF用搬送機構TIF1、TIF2および加熱冷却ユニットPHPである。
【0075】
制御部31および記憶部35は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)や、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)や、各種情報を記憶する固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。
【0076】
次に、実施例に係る基板処理装置1の動作について説明する。
【0077】
[基板処理装置1の基本的な動作]
まず、基板処理装置1の基本的な動作を説明する。ここでは、基板処理列5、6の双方を運転させている場合を例に採る。以下では、ID部3からIF部7への搬送と、IF部7からID部3への搬送とに分けて説明する。
【0078】
<ID部3からIF部7への搬送>
ID用搬送機構TIDは、カセットCから基板Wを搬出し、搬出した基板Wを基板処理列5、6に交互に搬送する。
【0079】
各基板処理列5/6では、それぞれ同様に動作する。まず、主搬送機構Tが、ID部3から受け取った基板WをフローレシピFRの搬送順番1乃至7に規定されているとおりに搬送する。具体的には、冷却ユニットCP、反射防止膜用塗布処理ユニットBARC、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCP、レジスト膜用塗布処理ユニットRESIST、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCPの順に、基板Wを搬送する。各処理ユニットはそれぞれ基板Wに所定の処理を行う。これにより、反射防止膜およびレジスト膜を形成する塗布処理が基板Wに施される。その後、主搬送機構Tは、基板Wを主搬送機構Tに渡す。主搬送機構Tは、受け取った基板Wをエッジ露光ユニットEEWに搬送する(搬送順番8)。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁部を露光する。主搬送機構Tは、エッジ露光処理が施された基板WをIF部7に搬出する。
【0080】
IF用搬送機構TIF1は、各基板処理列5、6から交互に基板Wを受け取り、IF用搬送機構TIF2に渡す。IF用搬送機構TIF2は、受け取った基板Wを露光機EXPに送る。
【0081】
<IF部7からID部3への搬送>
IF用搬送機構TIF2は、露光機EXPから露光済みの基板Wを受け取り、IF用搬送機構TIF1に渡す。IF用搬送機構TIF1は、受け取った基板Wを加熱冷却ユニットPHPに搬送する(搬送順番9)。加熱冷却ユニットPHPは、基板Wに露光後加熱処理(Post Exposure Bake)を行う。IF用搬送機構TIF1は、露光後加熱処理が施された基板Wを各基板処理列5、6に搬出する。
【0082】
各基板処理列5/6では、主搬送機構TがIF部7から基板Wを受け取り、現像処理ユニットDEV、加熱ユニットHP、冷却ユニットCPの順に、基板Wを搬送する(搬送順番10乃至13)。これにより、基板Wを現像する現像処理が行われる。主搬送機構Tは、現像処理が施された基板Wを主搬送機構Tに渡す。主搬送機構Tは、受け取った基板WをID部3に搬出する。
【0083】
ID用搬送機構TIDは、基板処理列5、6から基板Wを交互に受け取り、カセットC内に搬入する。
【0084】
このように、各基板処理列5、6はそれぞれ基板Wを往復搬送させながら、13の処理からなる一連の処理を基板Wに施す。なお、フローレシピFRの搬送順番8と搬送順番9との間には、露光機EXPへの搬送が行われる。
【0085】
[設定部33の動作〜命令を受け付ける工程、選択情報を設定または変更する工程]
次に、設定部33が、選択情報SLを設定・変更する動作について説明する。
【0086】
ユーザーが選択情報SLを設定・変更するための命令をタッチパネル37に入力すると、タッチパネル37はその命令を設定部33に出力する。設定部33は、この命令に基づいて、記憶部35に記憶される選択情報SLを書き換える。
【0087】
なお、選択情報SLはフローレシピFRとは別個独立の情報であり、コントローラ32は基本的にフローレシピFRに基づいて制御するので、基板処理列5、6が運転しているときであっても、選択情報SLを支障なく設定・変更できる。
【0088】
また、選択情報SLが設定・変更されても、コントローラ32は、ID部3および基板処理列5、6の制御内容を直ちに変更しない。以下に説明するように、コントローラ32の制御内容の変更は、カセットCの更新時のみに限られている。
【0089】
[コントローラ32の動作]
次に、コントローラ32の動作について説明する。
図7を参照する。図7は、ID部および基板処理列を制御する手順を示すフローチャートである。
【0090】
<ステップS1> 新規のカセットか?
ID部3は、カセットCを随時、新規なカセットCに更新しながら、基板Wを投入する。より詳しく説明すると、ID部3が基板処理列5、6の少なくともいずれかに基板Wを投入するときには、カセットC内の全ての基板Wを投入し終わるごとに、空になったカセットCを未処理の基板Wが収容された新たなカセットCに代え、新たなカセットCから基板Wの投入を再開する。コントローラ32は、カセットCの更新を監視し、新規なカセットCに更新される度に、ステップS2に進む。そうでないときは、再びステップS1に戻る。
【0091】
<ステップS2> 選択されている基板処理列の特定
コントローラ32は、選択情報SLを参照して、基板処理列5が運転させる基板処理列に選択されているか否か、および、基板処理列6が運転させる基板処理列に選択されているか否かを判定する。これにより、選択されている基板処理列を特定する。そして、ステップS3に進む。
【0092】
<ステップS3> ID部および基板処理列の制御
コントローラ32は、ステップS2の特定結果に基づき、新規なカセットCにおける基板Wの投入先を選択されている基板処理列に決定する。そして、この決定に基づき、ID部3を制御して、新たなカセットC内の基板Wを決定した基板処理列に搬送させる。また、コントローラ32は、ステップS2の特定結果に基づき、選択されている基板処理列を運転させること、および、選択されていない基板処理列の運転を休止させることを決定する。そして、この決定に基づき、コントローラ32は各基板処理列5、6を個別に運転または停止させる。
【0093】
これにより、選択情報SLが変更されている場合には、新規なカセットCに更新される際に基板処理列5、6の少なくとも一方に対する制御内容の切り換えが実行される。また、基板処理列5、6の一方の制御内容を切り換えるときに基板処理列5、6の他方が運転している場合には、他方の基板処理列5、6の運転を中断させることなく、基板処理列5、6の一方の制御内容を切り換える。
【0094】
以下では、選択情報SLに応じた基板処理列5、6の制御内容を4つの場合に分けて説明する。
【0095】
1.各基板処理列5、6の双方が選択されている場合
選択情報SLにおいて、基板処理列5、6は、それぞれ運転させる基板処理列に選択されている。具体的には、各基板処理列5、6に対応する設定情報がそれぞれ「1」に設定されている。この場合には、コントローラ32は、カセットC内の基板Wを基板処理列5、6に振り分け搬送させる。また、コントローラ32は、フローレシピFRの部分PT、PBをそれぞれ有効とみなす。そして、部分PTどおりに基板処理列5を運転させ、部分PBどおりに基板処理列6を運転させる。
【0096】
2.基板処理列5のみを選択されている場合
選択情報SLにおいて、基板処理列5は運転させる基板処理列に選択されており、基板処理列6は運転させる基板処理列に選択されていない。具体的には、各基板処理列5に対応する設定情報は「1」であり、各基板処理列6に対応する設定情報は「0」である。この場合には、コントローラ32は、カセットC内の基板Wを基板処理列5のみに投入させる。また、コントローラ32は、部分Pを有効とみなし、部分Pを無効とみなす(無視する)。そして、部分Pどおりに基板処理列5を運転させ、基板処理列6の運転を休止させる。
【0097】
3.基板処理列6のみが選択されている場合
選択情報SLにおいて、基板処理列5は「選択」の指定が解除されており、基板処理列6は「選択」に指定されている。この場合には、コントローラ32は、カセットC内の基板Wを基板処理列6のみに投入させる。また、コントローラ32は、部分Pを無視して基板処理列5を停止させ、部分Pに基づいて基板処理列6を運転させる。
【0098】
4.基板処理列5、6の双方が選択されていない場合
選択情報SLにおいて、基板処理列5、6は選択されていない。この場合には、コントローラ32は、カセットC内の基板Wを基板処理列5、6のいずれにも搬送しない。また、コントローラ32は、フローレシピFRの部分P、Pを無視し、基板処理列5、6をそれぞれ停止させる。
【0099】
以上の説明から明らかなように、選択情報SL次第で各基板処理列5、6に対する制御内容を個別に変更できる。なお、選択情報SLとフローレシピFRとは別個独立の情報であるので、上述した4つの場合のいずれにおいても、フローレシピFRの内容自体は全く同じである。なお、ステップS3は、本発明の「基板を投入する行程」および「基板処理部を制御する工程」に相当する。
【0100】
このように、本実施例によれば、コントローラ32は、フローレシピFRと選択情報SLに基づいて基板処理列5、6を制御する。具体的には、コントローラ32は、フローレシピFRのうち、選択情報SLによって選択されている基板処理列に対応する部分(P、P)を有効とみなし、そうでない部分(P、P)を無効とみなす。そして、有効な部分のみに基づいて基板処理列(5、6)を運転させ、選択されていない基板処理列(5、6)を停止させる。このため、フローレシピFRを変更することなく、基板処理列5、6を個別に運転・停止させることができる。
【0101】
また、選択情報SLは基板処理列5、6に関する情報であるので、各基板処理列5、6の運転・停止を切り換えるためにそれぞれ1つの設定情報を変更すればよい。よって、簡易に基板処理列5/6を個別に運転・停止させることができる。
【0102】
特に、本実施例では、選択情報SLは、基板処理列識別情報と設定情報とが1対1で関連付けられた情報であるので、設定情報を変更することによって、任意の基板処理列5/6に関する選択情報SLを一括して変更することができる。
【0103】
ちなみに、フローレシピFRの変更によって、各基板処理列5、6の運転・停止を切り換えようとすれば、極めて煩雑となる。フローレシピFRの変更は、基板処理列5/6に属する各処理ユニットに応じた多数の処理ユニット識別情報を入力または削除することになるからである。例えば、基板処理列5に関する選択情報SLを設定・変更する場合には、「UT1」乃至「UT29」の29の処理ユニット識別情報を入力・削除することとなる。
【0104】
また、基板処理列5/6を運転させるときには、コントローラ32は基本的にフローレシピFRに基づいて制御する。よって、任意の基板処理列5/6が運転しているときに選択情報SLを変更する場合であっても、運転中の基板処理列5/6を一旦停止させる必要がない。すなわち、任意の基板処理列5/6が運転している場合であっても、選択情報SLを支障なく変更できる。
【0105】
また、基板処理列5、6の一方の制御内容を切り換えるときに基板処理列5、6の他方が運転している場合には、他方の基板処理列5、6の運転を継続させながら、基板処理列5、6の一方の制御内容を切り換える。よって、制御内容の切り換え時に基板処理装置1の稼動率が低下することを防止できる。
【0106】
また、コントローラ32は、カセットCが新規なカセットCに更新されるたびに、選択情報SLを参照して選択されている基板処理列を特定するので、選択情報SLの変更を制御内容に好適に反映させることができる。
【0107】
また、基板処理列5/6に対する制御内容を切り換えるタイミングは、カセットCが別個のカセットCに更新されるときであるので、同じカセットC内における複数の基板W間において処理品質がばらつくことを抑制できる。
【0108】
例えば、あるカセットC1内の基板Wを基板処理列5に投入し、基板処理列5において当該基板Wを処理しているときに基板処理列5の選択が解除された場合、カセットC1内の全ての基板Wに対して処理が完了するまで基板処理列5の運転を継続する。このため、カセットC1内の各基板Wの間で処理品質がばらつくことを抑制できる。また、その後、カセットC1が他の新たなカセットC2に更新される際に、基板処理列5の運転を休止させる。このため、選択情報SLによって選択が解除された基板処理列5を速やかに停止させることができる。
【0109】
また、コントローラ32は、選択情報SLを参照し、基板Wを投入する基板処理列5/6をカセットCごとに決定するので、カセットCから基板処理列5/6に基板Wを投入している途中でカセットC内の基板Wの搬送先が変わることがない。よって、同じカセットC内における複数の基板W間において処理品質がばらつくことを抑制できる。また、選択情報SLによって基板処理列5/6の選択が解除された場合には、その解除後に更新されたカセットCから当該基板処理列5/6へ基板Wが搬送されない。よって、選択情報SLによって選択が解除された基板処理列5を円滑に停止させることができる。
【0110】
また、設定部33を備えているので、選択情報SLを好適に設定・変更できる。
【0111】
また、入力部37を備えているので、ユーザーは選択情報SLを容易に変更させることができる。また、入力部37は、1つのボタン37a、37bをオン・オフすることにより、各基板処理列5、6の「選択」とその解除を切り換えることができる。よって、ユーザーは選択情報SLを極めて容易に変更させることができる。
【0112】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0113】
(1)上述した実施例では、搬送順番、処理ユニット識別情報およびカテゴリーが互いに関連付けられたフローレシピFRを例示したが、フローレシピFRの構成はこれに限られない。例えば、カテゴリーを含まないフローレシピに変更してもよいし、その他の情報を含むフローレシピに変更してもよい。
【0114】
(2)上述した実施例では、基板処理列識別情報L、Lに設定情報が対応付けられた選択情報SLを例示したが、これに限られない。その他の情報を含む選択情報に変更してもよい。
【0115】
(3)上述した実施例では、コントローラ32による制御内容の変更を、カセットCの更新時のみに限られていたが、これに限られない。たとえば、その他のタイミングで制御内容の変更をしてもよい。
【0116】
(4)上述した実施例では、入力部としてタッチパネル37を例示したが、これに限られない。タッチパネル37に代えて、物理的なボタンスイッチ等で入力部を構成してもよい。
【0117】
(5)上述した実施例では、基板処理列5、6が運転しているときには同じカセットCから基板処理列5、6に基板Wを振り分け搬送したが、これに限られない。すなわち、基板処理列5に基板Wを供給するカセットCと、基板処理列6に基板Wを供給するカセットCとが異なっていてもよい。この場合には、コントローラ32は、各基板処理列5、6に関する制御を別個独立に行うことができる。
【0118】
図8を参照する。図8は、変形実施例に係るID部および基板処理列を制御する手順を示すフローチャートである。この図8に示すように、コントローラ32は、基板処理列5用のカセットCの更新を監視し、カセットCが更新される度に基板処理列5が選択情報SLによって選択されているか否かを特定する(ステップST1、ST2)。そして、その特定結果に基づいて、ID部3および基板処理列5の制御内容を決定し、制御する(ステップST3)。他方、基板処理列6に関しても、コントローラ32は同様の手順で制御する(ステップSB1乃至SB3)。すなわち、基板処理列6用のカセットCが更新される度にID部3および基板処理列6に関する制御を決定・実行する。
【0119】
(6)上述した実施例では、基板処理列5、6は2基の主搬送機構T、Tを備えていたが、これに限られない。例えば、1基の主搬送機構を備える基板処理部に変更してもよいし、3基以上の主搬送機構を備える基板処理部に変更してもよい。
【0120】
(7)上述した実施例では、各種の処理ユニットは、基本的に、基板Wを1枚ずつ処理する処理ユニット(いわゆる「枚葉式処理ユニット」)であったが、これに限られない。例えば、複数枚の基板Wを一括して処理する処理ユニット(いわゆる「バッチ式処理ユニット」)に変更してもよい。
【0121】
(8)上述した実施例では、基板処理列5、6は、同じ処理を行うものであったが、これに限られない。すなわち、基板処理列5、6が互いに異なる処理を行うように変更してもよい。
【0122】
(9)上述した実施例では、基板処理列5、6は、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、基板Wを現像する処理を行うものであったが、基板処理列5、6の処理内容はこれに限られない。基板処理列5、6の処理内容を、処理対象の基板Wに応じて種々の処理内容に変更してもよい。
【0123】
(9)上述した実施例では、基板処理装置1は2つの基板処理列5、6を備えていたが、これに限られない。すなわち、3以上の基板処理部を備えるように変更してもよい。
【0124】
(10)上述した各実施例および各変形実施例の各構成を適宜に組み合わせるように変更してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 …基板処理装置
3 …インデクサ部(ID部)
5、6 …基板処理列(基板処理部)
8、9 …処理ユニット
31 …制御部
32 …コントローラ
33 …設定部
37 …タッチパネル(入力部)
C …カセット(収容器)
FR …フローレシピ(搬送順序情報)
PT、PB …フローレシピの部分
SL …選択情報
、T …主搬送機構
W …基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8