特許第6097583号(P6097583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097583
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】手持式動力工具用振動低減装置
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20170306BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20170306BHJP
   A01D 34/68 20060101ALI20170306BHJP
   B23D 47/00 20060101ALN20170306BHJP
   B23D 57/02 20060101ALN20170306BHJP
【FI】
   B25F5/02
   F16F15/02 C
   A01D34/68 D
   !B23D47/00 E
   !B23D57/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-18666(P2013-18666)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-148010(P2014-148010A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】592013325
【氏名又は名称】ダイアトップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】杉原 智仁
(72)【発明者】
【氏名】竹下 勝浩
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−116077(JP,A)
【文献】 特開2011−021648(JP,A)
【文献】 特開平10−266388(JP,A)
【文献】 実開平01−126450(JP,U)
【文献】 特表2007−536094(JP,A)
【文献】 実開昭57−150641(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
A01D 34/68
F16F 15/02
B23D 47/00
B23D 57/02
B23Q 11/00
B25D 17/24
B27G 19/06
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状錘部材が振動可能に充填されたケースと、
複数の該ケースを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は平面状又は曲面状をなし、
該連結部材の一面には、複数の前記ケースが取付けられ、
該連結部材の他面は、手持式動力工具の手握部の外周部に螺旋状に巻き付け固着されることを特徴とする手持式動力工具用振動低減装置。
【請求項2】
粒状錘部材が振動可能に充填されたケースと、
複数の該ケースを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は円筒状をなし、
該連結部材の内周面には、複数の前記ケースが取付けられ、
該連結部材の外周面は、手持式動力工具の手握部の内周部に取付けられることを特徴とする手持式動力工具用振動低減装置。
【請求項3】
前記ケースは、硬質部材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の手持式動力工具用振動低減装置。
【請求項4】
前記ケースと、前記連結部材とは一体として形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の手持式動力工具用振動低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機やチェーンソー等の手持式動力工具に用いられる振動低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈払機やチェーンソー等の手持式動力工具の振動低減部材として、振動源である動力源とハンドルとの間に配置されるゴム等の軟質部材が知られている。この軟質部材によれば、材料の持つ柔らかな動きや形状等で振動を吸収することができる。しかし、この軟質部材では、広い範囲の周波数の振動を完全に吸収することはできないだけでなく、動力源と手持式動力工具本体との関係で、手持式動力工具本体の揺れが大きくなってしまう場合が生じる。
【0003】
これに対し、文献1に示す振動低減装置が提案されている。この振動低減装置では、ハンドル(把手)の中空パイプ内に粒状錘部材が振動可能に充填されている。そのため、動力源からの振動エネルギーが粒状錘部材間の弾性変形、摩擦等のエネルギーに変換され、広い範囲の周波数の振動を吸収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57−150641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1記載の振動低減装置では、ハンドル(把手)の中空パイプ内に大量の粒状錘部材が充填されていることから、下方の粒状錘部材の遊動性が上方の粒状錘部材の重量により低下し、振動低減装置全体としての振動低減効果が低下してしまう。また、この振動低減装置では、粒状錘部材の充填される位置がハンドル(把手)の中空パイプ内に限られているため、最も効果的な位置に振動低減装置を取付けることができない場合も生じるのみならず、いろいろな種類の手持式動力工具に用いることはできない。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、振動低減効果を十分に発揮することができるとともに、汎用性のある手持式動力工具用振動低減装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る手持式動力工具用振動低減装置は、粒状錘部材が振動可能に充填されたケースと、複数の該ケースを連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は平面状又は曲面状をなし、該連結部材の一面には、複数の前記ケースが取付けられ、該連結部材の他面は、手持式動力工具の手握部の外周部に螺旋状に巻き付け固着されることである。
請求項2に係る手持式動力工具用振動低減装置は、粒状錘部材が振動可能に充填されたケースと、複数の該ケースを連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は円筒状をなし、該連結部材の内周面には、複数の前記ケースが取付けられ、該連結部材の外周面は、手持式動力工具の手握部の内周部に取付けられることである。
【0008】
請求項に係る手持式動力工具用振動低減装置は、前記ケースは、硬質部材からなることである。
【0009】
請求項に係る手持式動力工具用振動低減装置は、前記ケースと、前記連結部材とは一体として形成されていることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る手持式動力工具用振動低減装置においては、粒状錘部材が振動可能に充填された複数のケースと、これらのケースを連結する連結部材とを備えている。そのため、個々のケースには適量の粒状錘部材を充填することができ、すべての粒状錘部材の遊動性が適度に確保される。これにより、動力源からの振動エネルギーが効率よく粒状錘部材間の弾性変形、摩擦等のエネルギーに変換され、広い範囲の周波数の振動を確実に吸収することができる。また、この手持式動力工具用振動低減装置においては、連結部材を手持式動力工具の所望の位置に取付けることができるため、最も効果的に振動低減効果が得られる位置に振動低減装置を取付けることができる。したがって、この手持式動力工具用振動低減装置によれば、振動低減効果を十分に発揮することができるとともに、いろいろな種類の手持式動力工具に用いることができる。更に、この手持式動力工具用振動低減装置においては、平面状又は曲面状の連結部材の一面に複数のケースが取付けられ、連結部材の他面が手持式動力工具の手握部の外周部に螺旋状に巻き付け固着される。この連結部材を変形させることにより手持式動力工具用振動低減装置全体を変形させることが可能であれば、手握部の形状に合わせて振動低減装置を容易に取付けることができる。例えば、連結部材が複数のケースを鎖状、クローラー状等に連結すれば、手握部が曲がっている場合であっても、その外周部に連結部材を巻きつけることにより振動低減装置を容易に取付けることができる。また、手持式動力工具用振動低減装置の取付位置が一定の位置であれば、連結部材の他面の形状を手握部の外周部に合わせることにより、連結部材が変形できないものであってもよい。なお、振動低減装置を手握部の外周部に取付ける取付具として、針金、金属板、テープ、紐、ファスナー、ボルトナット等を用いることができる。また、本明細書において、「手握部」とは、ハンドル及びハンドル近傍の突起部分、棒状部分等をいう。
請求項2に係る手持式動力工具用振動低減装置においては、粒状錘部材が振動可能に充填された複数のケースと、これらのケースを連結する連結部材とを備えている。そのため、個々のケースには適量の粒状錘部材を充填することができ、すべての粒状錘部材の遊動性が適度に確保される。これにより、動力源からの振動エネルギーが効率よく粒状錘部材間の弾性変形、摩擦等のエネルギーに変換され、広い範囲の周波数の振動を確実に吸収することができる。また、この手持式動力工具用振動低減装置においては、連結部材を手持式動力工具の所望の位置に取付けることができるため、最も効果的に振動低減効果が得られる位置に振動低減装置を取付けることができる。したがって、この手持式動力工具用振動低減装置によれば、振動低減効果を十分に発揮することができるとともに、いろいろな種類の手持式動力工具に用いることができる。更に、円筒状の連結部材の内周面に複数のケースが取付けられ、連結部材の外周面が手持式動力工具の手握部の内周部に取付けられる。そのため、手持式動力工具の外形に影響を与えることなく振動低減装置を取付けることができる。
【0014】
請求項に係る手持式動力工具用振動低減装置においては、ケースが硬質部材からなるため、ケースの内壁に当った粒状錘部材の振動エネルギーが打消されやすい。このケースの材質としては、硬質塩化ビニル、アルミニウム、スチール、ステンレス等を用いることができる。
【0015】
請求項に係る手持式動力工具用振動低減装置においては、ケースと連結部材とが一体として形成されているため、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1の振動低減装置の斜視図。
図2】実施形態1の振動低減装置の断面図。
図3】実施形態1の振動低減装置を取付けた手持式動力工具の斜視図。
図4】実施形態2の振動低減装置の斜視図。
図5】実施形態2の振動低減装置の断面図。
図6】実施形態2の振動低減装置を取付けた手持式動力工具の斜視図。
図7】実施形態3の振動低減装置の斜視図。
図8】実施形態3の振動低減装置の断面図。
図9】実施形態3の振動低減装置を取付けた手持式動力工具の斜視図。
図10】実施形態4の振動低減装置を取付けた手持式動力工具の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る手持式動力工具用振動低減装置(以下、振動低減装置という。)を具体化した実施形態1〜4を図面に基づいて以下に説明する。まず、実施形態1の振動低減装置について説明する。図1は実施形態1の振動低減装置10の斜視図であり、図2は断面図である。図1及び図2に示すように、この振動低減装置10は、ケース11と連結部材15とを有している。
【0021】
ケース11は円筒状の本体12と蓋13からなり、本体12には粒状錘下部材14が振動可能に充填されている。連結部材15は帯状をなし、全周に亘って取付孔16が一体として設けられている。この、取付孔16には、取付具としての針金17が嵌入されている。また、複数のケース11が連結部材15の一面の長手方向に立設されている。そして、本体12と連結部材15とは一体として形成されている。ここで、本体12、蓋13及び連結部材15は軟質塩化ビニルからなっている。なお、本体12、蓋13及び連結部材15の材質は軟質塩化ビニルに限られず、ポリエチレン、ゴム、シリコン、ウレタン等を採用してもよい。
【0022】
また、図示しないが、ケース11の本体12及び蓋13は硬質塩化ビニルからなる別部材で形成され、連結部材15の一面の長手方向に固着されていてもよい。なお、ケース11は硬質塩化ビニルに限られず、アルミニウム、スチール、ステンレス等を採用してもよい。
【0023】
図3は、振動低減装置10を取付けた刈払機の斜視図である。図3に示すように、振動低減装置10は、手握部(ハンドル91、及びハンドル91近傍の操作棹90)の外周部に取付けられる。この際、振動低減装置10は、螺旋状に巻き付けられ、針金17の塑性により巻き付け形状が維持されることにより、刈払機の所定の位置に固着される。なお、取付孔16に嵌入された針金17が取付具として用いられているが、別の取付方法を採用してもよい。例えば、取付孔16を用いることなく、取付具として針金、金属板、テープ、紐、ファスナー等を採用し、連結部材15の両端部分や中央部分を針金、金属板、テープ、紐、ファスナー等で縛り付ける等して、振動低減装置10を固着させることもできる。
【0024】
実施形態1の振動低減装置10では、粒状錘部材14が振動可能に充填された複数のケース11と、これらのケース11を連結する連結部材15とを備えている。そのため、個々のケース11には適量の粒状錘部材14を充填することができ、すべての粒状錘部材14の遊動性が適度に確保される。これにより、動力源からの振動エネルギーが効率よく粒状錘部材14間の弾性変形、摩擦等のエネルギーに変換され、広い範囲の周波数の振動を確実に吸収することができる。また、この振動低減装置10においては、連結部材15を刈払機の所望の位置に取付けることができるため、最も効果的に振動低減効果が得られる位置に振動低減装置10を取付けることができる。したがって、この振動低減装置10によれば、振動低減効果を十分に発揮することができる。また、この振動低減装置10は刈払機だけでなく、いろいろな種類の手持式動力工具に用いることができる。
【0025】
また、この振動低減装置10では、ケース11と連結部材15とが一体として形成されているため、生産性を向上させることができる。さらに、この振動低減装置10では、帯状の連結部材15の一面に複数のケース11が取付けられ、連結部材15の他面が刈払機の手握部(ハンドル91、及びハンドル91近傍の操作棹90)の外周部に取付けられる。この連結部材15は、帯状の軟質塩化ビニルからなるため、手握部の形状に合わせて巻き付けて振動低減装置10を容易に取付けることができる。
【0026】
次に、実施形態2の振動低減装置について説明する。図4は実施形態2の振動低減装置20の斜視図であり、図5は断面図である。図4に示すように、この振動低減装置20は、手握部(ハンドル92、93)の外周部に3個の振動低減装置20が取付具としてのボルト27、ナット28により固着されている。
【0027】
図5に示すように、振動低減装置20は、ケース21と連結部材25とを有している。振動低減装置20の軸方向にはケース21が4個並設され、各ケース21には粒状錘下部材24が振動可能に充填されている。そして、連結部材25は、手握部(ハンドル92、93)の外周部に合わせた曲面状をなし、各ケース21を密閉するように連結している。このケース21は硬質塩化ビニルからなり、連結部材25はポリエチレンからなっている。なお、ケース21の材質は硬質塩化ビニルに限られず、アルミニウム、スチール、ステンレス等を採用してもよい。また、連結部材25の材質はポリエチレンに限られず、軟質塩化ビニル、ゴム、シリコン、ウレタン等を採用してもよい。
【0028】
図6は、3個の振動低減装置20を2箇所に取付けたチェーンソーの斜視図である。図6に示すように、振動低減装置20は、ボルト27、ナット28により、手握部(ハンドル92、93)の外周部に取付けられる。なお、ボルト27、ナット28が取付具として用いられているが、別の取付方法を採用してもよい。例えば、取付具として針金、テープ、紐、ファスナー等を採用し、ケース21を針金、テープ、紐、ファスナー等で縛り付ける等して、振動低減装置20を固着させることもできる。
【0029】
実施形態2の振動低減装置20では、粒状錘部材24が振動可能に充填された複数のケース21と、これらのケース21を連結する連結部材25とを備えている。そのため、個々のケース21には適量の粒状錘部材24を充填することができ、すべての粒状錘部材24の遊動性が適度に確保される。これにより、動力源からの振動エネルギーが効率よく粒状錘部材24間の弾性変形、摩擦等のエネルギーに変換され、広い範囲の周波数の振動を確実に吸収することができる。また、この振動低減装置20においては、連結部材25をチェーンソーの所望の位置に取付けることができるため、最も効果的に振動低減効果が得られる位置に振動低減装置20を取付けることができる。したがって、この振動低減装置20によれば、振動低減効果を十分に発揮することができる。また、この振動低減装置20はチェーンソーだけでなく、いろいろな種類の手持式動力工具に用いることができる。
【0030】
また、この振動低減装置20では、ケース21が硬質部材である硬質塩化ビニルからなるため、ケース21の内壁に当った粒状錘部材24の振動エネルギーが打消されやすい。さらに、この振動低減装置20では、手握部(ハンドル92、93)の外周部に合わせた曲面状の連結部材25の一面に複数のケース21が取付けられ、連結部材25の他面がチェーンソーの手握部(ハンドル92、93)の外周部に取付けられる。この連結部材25は、手握部(ハンドル92、93)の外周部に合わせた曲面状のポリエチレンからなるため、手握部(ハンドル92、93)の形状に合わせて容易に取付けることができる。
【0031】
次に、実施形態3の振動低減装置について説明する。図7は実施形態3の振動低減装置30の斜視図であり、図8は断面図である。また、図9は振動低減装置30を取付けた刈払機の斜視図である。図7及び図8に示すように、この振動低減装置30は、ケース31、連結部材としての収納筒35、及び取付具としてのキャップ37を有している。
【0032】
ケース31は、蓋部及び底部を有する円筒状をなし、粒状錘下部材34が振動可能に充填されている。収納筒35は、有底円筒状をなし、4個のケース31が収納される。キャップ37は、振動低減装置30を刈払機に固着させる取付具である。ただし、キャップ37は、収納筒35内でのケース31の移動を規制する連結部材としての役割も果たしている。ここで、ケース31、キャップ37、及び収納筒35は硬質塩化ビニルからなっている。図9に示すように、この振動低減装置30は、手握部(ハンドル94)内に取付けられる。なお、ケース31、キャップ37、及び収納筒35の材質は硬質塩化ビニルに限られず、アルミニウム、スチール、ステンレス、ポリエチレン、ゴム、シリコン、ウレタン等を採用してもよい。
【0033】
実施形態3の振動低減装置30では、粒状錘部材34が振動可能に充填された複数のケース31と、これらのケース31を連結する収納筒35、キャップ37を備えている。そのため、個々のケース31には適量の粒状錘部材34を充填することができ、すべての粒状錘部材34の遊動性が適度に確保される。これにより、動力源からの振動エネルギーが効率よく粒状錘部材34間の弾性変形、摩擦等のエネルギーに変換され、広い範囲の周波数の振動を確実に吸収することができる。また、この振動低減装置30においては、効果的に振動低減効果が得られる位置に振動低減装置30を取付けることができる。したがって、この振動低減装置30によれば、振動低減効果を十分に発揮することができる。また、この振動低減装置30は刈払機だけでなく、いろいろな種類の手持式動力工具に用いることができる。
【0034】
また、この振動低減装置30では、ケース31が硬質部材である硬質塩化ビニルからなるため、ケース31の内壁に当った粒状錘部材34の振動エネルギーが打消されやすい。さらに、この振動低減装置30では、円筒状の収納筒35の内周面には4個の31ケースが収納され、収納筒35の外周面は、刈払機の手握部(ハンドル94)の内周部に取付けられる。そのため、刈払機の外形に影響を与えることなく振動低減装置30を取付けることができる。
【0035】
次に、実施形態4の振動低減装置について説明する。実施形態4の振動低減装置は、実施形態3で用いたケース31とキャップ37とで振動低減装置40が構成される。すなわち、図10に示すように、複数のケース31が刈払機の手握部(ハンドル95)内に嵌入され、キャップ37により手握部(ハンドル95)内での移動が規制されるとともに、振動低減装置40が刈払機に固着される。この場合、キャップ37が取付具であるとともに連結部材である。
【0036】
実施形態4の振動低減装置40では、複数のケース31を刈払機の手握部(ハンドル95)に取付けるキャップ37が連結部材を兼ねているため、別途連結部材を用意する必要がない。その他の効果は、実施形態3と略同様である。
【0037】
以上、本発明の振動低減装置を実施形態1〜4に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、実施形態1〜4においては、手持式動力工具として刈払機及びチェーンソーを示したが、これらに限られず、ヘッジトリマ、電動ドリル等いろいろな種類の手持式動力工具が含まれる。
【符号の説明】
【0038】
11,21,31…ケース、14,24,34…粒状錘部材、15,25,35…連結部材、17,27,28,37…取付具(17…針金、27…ボルト、28…ナット、37…キャップ)、90,91,92,93,94,95…手握部(90…操作棹、91,92,93,94,95…ハンドル)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10