(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理トレイと前記スタックトレイとは、前記排紙口から搬出されたシートの一端部を処理トレイで、他端部をスタックトレイで支持するように、前記排紙口から搬出されるシートの排紙方向前後に連続する方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記整合部材を前記第1の高さ位置に設定する際に、シートの坪量及び/又はシートサイズに応じて異なる高さ位置設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記整合部材を第1の高さ位置に設定する際に、シート坪量が大きいときには小さいときより高い位置に、シートサイズが小さいときには大きいときより高い位置に設定することを特徴とする請求項6に記載のシート後処理装置。
前記制御手段は、前記排紙口から前記スタックトレイに至るシートがシートジャムしたとき前記整合部材を、シート搬送の妨げとならない高さ位置及び/又はシート幅方向のシート外側に退避させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[画像形成システム]
図1に本発明にかかわる画像形成システムの全体構成を示す。同図の画像形成システムは画像形成装置Aと後処理装置Bで構成され、画像形成装置Aで画像形成したシートを後処理装置Bで部揃え集積してステープル綴じした後にスタックトレイに収納するシステムとして構成されている。そして画像形成装置Aにおいて画像形成条件とともに後処理(仕上げ処理)モードを設定し、その後処理モードに応じて後処理装置Bは仕上げ処理したのちにスタックトレイに収納する。以下画像形成装置A、後処理装置Bの順に説明する。
【0022】
「画像形成装置」
図1に示す画像形成装置Aについて説明する。図示の画像形成装置Aはシート上に静電印刷機構で画像を形成する場合を示し、給紙部2と画像形成部3と排紙部4で構成されている。装置ハウジング1には画像形成するシートを収納した給紙部2が内蔵され、この給紙部2は給紙カセット(ハウジングに着脱可能なカセット)2a〜2cで構成され、シートサイズに応じた数のカセットが準備されている。
【0023】
画像形成部3は給紙部2から送られたシートをデータ処理部9から転送された画像データに従って画像形成する。図示の画像形成部3は静電印刷機構を示し、感光ドラム8に静電潜像を形成するビーム投光器と、静電潜像にトナーインクを付着する現像器10と、転写チャージャ11とクリーナ(これらの構成は種々の構造が知られているので説明を省略する)で構成されている。
【0024】
そして給紙部2からレジストローラ7に送られたシートに感光ドラム8に形成した画像インクを転写チャージャ11で転写する。転写チャージャ11の下流側には定着ローラ12が配置されシート上の画像を加熱定着して排紙部4に搬送する。排紙部4は装置ハウジング1に配置された排紙口13(以下本体排紙口という)と、排紙ローラ15と、排紙スタッカ(不図示)で構成され画像形成されたシートを本体排紙口13からスタッカ上に収納する。なお、図示の装置は、本体排紙口13に後述の後処理装置Bを連結するため、本体排紙口13には排紙スタッカが備えられていない。
【0025】
データ処理部9は詳述しないが、後述する画像読取ユニット5で読み取った画像データ、或いは外部のネットワーク、コンピュータ入力装置などから送られた画像データを設定された画像形成条件に応じて前述のビーム投光器に電気信号として送信する。
【0026】
図示の装置は画像形成装置Aと一体に画像読取ユニット5と、このユニットに原稿シートを給送する原稿自動給送装置19を備えている。画像読取ユニット5は、原稿シートを載置するプラテン16と、このプラテンに沿って移動する読取キャリッジ17で構成されプラテン上の原稿をキャリッジでスキャニングして画像データに変換するスキャナ装置で構成されている。また原稿自動給送装置19は、給紙トレイ20にセットした原稿をプラテン16に自動的に給送するユニットとして画像読取ユニット5に一体に取り付けられている。
【0027】
なお図示14はデュープレックスパスであり、画像形成部3から画像形成されるシートを表裏反転してレジストローラ7に循環搬送し、シートの裏面側に画像形成部3で画像形成し排紙部4から本体排紙口13に搬出する。
【0028】
なお、本発明にあって画像形成装置Aはシート上に静電印刷機構で画像を形成する機構を説明したが、このほかインクジェット画像形成方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式などの種々の画像形成機構が採用可能である。
【0029】
「後処理装置」
後処理装置Bについて説明する。本発明の後処理装置Bは
図1に示すように画像形成装置Aから送られた画像形成済シートを搬入し、処理トレイ25に部揃え集積したのちに後処理(ステープル綴じ処理、ジョグ区分け処理、折り処理など)を施し、処理部のシート(束)をスタックトレイに収納する。
【0030】
図2に
図1の後処理装置Bの詳細を示す。図示の後処理装置Bは、装置ハウジング21と、このハウジングに配置されたシート搬入経路22(以下排紙経路という)と、この排紙経路22から送られたシートを一時的に集積する処理トレイ25と、後処理されたシートを積載収納するスタックトレイ30とで構成されている。
【0031】
「シート搬入経路」
シート搬入経路(排紙経路)22は本体排紙口13に連結され画像形成されたシートを後処理するための処理トレイ25に案内する。図示の排紙経路22は装置ハウジング21を横断する略水平方向に配置された直線経路で構成している。そして、経路入口には本体排紙口13に連結する搬入口23が、経路出口には排紙口24が後述する処理トレイ25にシートを案内するように経路構成されている。
【0032】
上記排紙経路22には、搬入ローラ26と搬送ローラ27と排紙ローラ28がこの順に配置され、図示しない搬送モータに連結され、シートを搬入口23から排紙口24に向けて搬送する。また、上記排紙経路22には、搬入口側に搬入センサSe1が、排紙口側に排紙センサSe2が配置され、シートの先端と後端を検出し、後述する制御部50に検出信号を送信する。
【0033】
「処理トレイ」
排紙口24の下流側には段差Dxを形成してその下方に処理トレイ25が配置されている。図示の処理トレイ25はシートの排紙方向後端部を部分的に支持する紙載台25aで構成され、後述するスタックトレイ上に積載された最上シートとの間で排紙口24から送られたシートを略水平方向にブリッジ支持するように配置されている。
【0034】
上記処理トレイ25には、シートの端部(図示のものは排紙方向後端部;
図2右から左方向)を位置規制する規制ストッパ29と後処理手段31が配置されている。図示の装置は排紙経路22からシートを排紙反対方向(
図2右方向)に反転搬送して排紙口24の下方に配置されている処理トレイ25に収納する。
【0035】
そこで処理トレイ25には排紙方向後端側のシート端を突き当て規制する規制ストッパ(規制手段)29と、このストッパに位置決めされたシートに後処理を施す後処理手段31が配置されている。図示の後処理手段31はステープルユニットで構成され、紙載台上に積載され部揃えされたシート束をステープル針で綴じ処理する。なお、ステープルユニットの構造はすでに知られているので説明を省く。このほか処理トレイ25には、排紙口24から送られたシートを排紙直交方向に位置決めする整合機構35が後述する構造で配置されている。
【0036】
「シート搬出機構」
上述の処理トレイ25には、排紙口24からシートを紙載台25a上に搬送する反転ローラ32と、紙載台上のシートをシート端規制ストッパ26に送る掻込みローラ33が配置されている。反転ローラ32は排紙口24から送られたシートを排紙方向に搬送した後に排紙反対方向に送る正逆転ローラで構成されている。図示の反転ローラ32は、排紙方向上方に位置する上部ローラ32aと下方に位置する下部ローラ32bで構成され、両ローラは互いに圧接離間するローラ対で構成されている。
【0037】
下部ローラ32bは紙載台25aに埋設された固定ローラ構造で、上部ローラ32aは装置フレーム21f(
図3参照)に昇降可能に構成されている。上部ローラ32aは装置フレーム21fに揺動可能に軸支持された昇降アームに取り付けられ、このアームには昇降するソレノイド、モータなどのアクチュエータが連結されている。これと共に上部ローラ32aには排紙方向及び排紙反対方向に正逆転する搬出モータ(不図示)が連結されている。
【0038】
そして後述する制御手段50は排紙センサSe2からのシート先端検知信号からシート先端がローラニップ間に進入するまでは上部ローラ32aを離間した上昇位置に位置させ、シート先端がローラニップ間に進入した後には上部ローラ32aを下部ローラ32bと圧接する作動位置に下降させる。これと共に上部ローラ32aをシート後端が排紙口24から搬出するまでは排紙方向に回転し、その後には排紙反対方向に回転する。これによって排紙経路22から送られたシートは排紙方向に進み、シート後端が排紙口24から処理トレイ上に進入したのちに排紙反対方向に回転する。
【0039】
つまり後述する制御手段50は、排紙センサSe2でシート先端を検出した後、シート先端がローラニップ間に進入したタイミングで上方に待機している上部ローラ32aを下方のニップ位置に降下させ、下部ローラ32bと圧接した状態で排紙方向に所定量回転し、その後に排紙反対方向に回転する。この制御は排紙センサSe2でシート先端を検出した信号とシート後端を検出した信号を基準に遅延回路が構成されている。
【0040】
上記掻き込みローラ33は、排紙口24の排紙ローラ28と一体に回転するベルト部材で構成され、排紙ローラ28から紙載台25a上の最上シートの上に垂れ下がるように配置されている。そして排紙ローラ28と同一方向に回転し紙載台上のシートに規制ストッパ29に向かう搬送力を付与する。このほか掻き込みローラ33としては、エンドレスベルトに限らず上下に揺動するローラ構造、パドル構造など種々の機構が採用可能である。
【0041】
「スタックトレイ」
スタックトレイ30は、排紙口24から段差Dyを隔てているとともに処理トレイ25から段差Dzを隔てその下方に配置されている。そして排紙経路22に送られたシートを排紙口24から段差Dyを隔てたスタックトレイ30に排紙するストレート排紙モード(第1排紙動作)と、排紙口24から処理トレイ25に搬出したシートを、この処理トレイから段差Dzを隔ててスタックトレイ30に排紙する後処理排紙モード(第2排紙動作)が実行可能になっている。
【0042】
スタックトレイ30は、シートを積載収納する紙載面30aと、この紙載面30aに積載されたシート端部を突き当て規制するシート端規制面30bとを有する収納構造で構成されている。この紙載面30aは排紙口24からの段差が固定された高さの固定トレイ構造と、シートの積載量に応じて上下動する昇降トレイ構造のいずれかのスタック構造が採用される。
【0043】
図示の紙載面30aは昇降トレイ構造で構成されている。このため装置フレーム215に昇降可能にトレイ載台30cがガイドレール34(
図2参照)に支持され、このトレイ載台30cに紙載面30aを有するスタックトレイ30が固定されている。トレイ載台30cは図示しないが、例えば装置フレーム21fに昇降可能にガイドレール34を配置し、このレールに嵌合支持したトレイ載台30cを上下一対のプーリ(不図示)に巻廻したベルト、ワイヤーなどの牽引部材で支持する。そして巻き上げプーリを昇降モータで回転してスタックトレイ30を所定の高さ位置に昇降する。
【0044】
上記スタックトレイ30の紙載面30aは、
図2に示すように排紙方向下流側が高く上流側は低くなるように傾斜した傾斜紙載面で構成されている。そしてこの紙載面30aの傾斜角度は積載するシート性状によって異なるがほぼ40度以上(シートによっては35度以上)に形成されている。この傾斜角度を大きく設定すると紙載面30a上に搬入されたシートは高速で滑り落ちてシート端規制面30bに突き当て規制され、この傾斜角度を小さく設定すると紙載面30a上に搬入されたシートは緩やかに滑り落ちてシート端規制面30bに突き当たる。従って傾斜角度を大きく設定するとシートを迅速で確実にシート端規制面30bに沿って積載することが可能であり、装置の水平方向の寸法(大きさ)を小型化することが可能となる。
【0045】
「整合機構」
図3には上述の処理トレイ25に搬入したシートの幅方向位置を設定された基準位置に位置合わせする整合機構35が配置されている。前述の排紙口24から処理トレイ25上に搬入されるシートの移動経路(移動軌跡)Paと、排紙口24からスタックトレイ30の紙載面30aに搬入されるシートの移動経路(移動軌跡)Pbには、シートの幅方向位置を位置合わせするなどの整合手段35が配置されている。
図3はその側面構造を、
図4はその平面構造をそれぞれ示す。
【0046】
装置フレーム21fには、シート幅方向(排紙直交方向)にガイドレール36が配置され、このガイドレール36に沿って左右一対のブラケット37R,37L(以下「スライド部材」という)が嵌合されている。図示のガイドレール36は、互いに平行に配置された第1ガイドロッド36aと第2ガイドロッド36bで構成され、両ロッド36a,36bに左ブラッケト37Lと右ブラケット37Rがシート幅方向にそれぞれスライド可能(摺動可能)に嵌合されている(
図4(a)及び
図5(a)参照)。特に図示のガイドロッド36は、第1ガイドロッド36aは断面矩形形状に、第2ガイドロッド36bは断面円形状に形成してあり、第1ガイドロッド36aは装置フレーム21fに回転可能に軸受け支持され、第2ガイドロッド36bは装置フレーム21fに固定されている。その詳細については後述する。
【0047】
そして左右のブラケット37R,37Lにはそれぞれに整合部材38R,38L(図示のものは整合板)が支持されている(図示のものは軸支持)。この左右の整合部材38R,38Lは、「処理トレイ25上に搬入されたシートの側縁」及び「スタックトレイ30上に搬入されたシートの側縁」と係合するサイド規制面38xを有する板状部材、レバー部材で構成される。
【0048】
本発明はこの左右一対の整合部材38R,38Lの少なくとも一方を第1の高さ位置と第2の高さ位置にシート積載方向に移動可能に構成し、第1の高さ位置では処理トレイ25上に搬入されたシートの側縁と係合してその幅方向位置を整合し、第2の高さ位置ではスタックトレイ30上に搬入されたシートの側縁と係合してその幅方向位置を整合する。
【0049】
図示の左右一対の整合部材38R,38Lはシート側縁と係合するサイド規制面38xを有する板状部材で、左右それぞれがシート幅方向に位置移動可能に構成する場合を示している。
【0050】
「幅方向シフト手段」
ガイドレール36にシート幅方向に往復動可能に支持されている左右一対のブラケット37R,37Lには右整合部材38Rと左整合部材38Lが支持(後述の軸支持)されている。そして左右のブラケット37R,37Lには
図5(a)に示すように右ブラケット37Rは右駆動ベルト39rに連結され、同様に左ブラケット37Lは左駆動ベルト39lに連結されている。
【0051】
この左右の駆動ベルト39r,39lは装置フレーム21fに軸支されたプーリに巻回され、プーリの一方にはシフトモータ(ステッピングモータ)SM1とSM2が連結されている。従って左右のブラケット37RLは左右のシフトモータSM1とSM2の正逆転でシート幅方向に任意の位置に移動可能に構成されている。
【0052】
このように左右一対のブラケット37RLにはシフトモータSM1とSM2と伝動機構(駆動ベルトとプーリ)が連結され、互いに接近及び離間する方向に移動する幅方向シフト手段が構成されている。この幅方向シフト手段は、
図5(a)の構造に限らず互いに反対方向に同一量ずつ移動するラックピニオンなどの連動機構で構成することも可能である。
【0053】
図5(b)にその構成を示すが装置フレームには左右一対のブラケット37R,37Lの移動方向中央にピニオン40pが軸支持され、このピニオンにはシフトモータSM3(例えばステッピングモータ)が連結してある。そしてピニオン40pには右ブラケット37Rに一体形成したラック41rと左ブラケット37Lに一体形成したラック41lが歯車連結してある。従ってシフトモータSM3の回転でピニオン40pを1方向に回転すると左右のブラケット37R,37Lは互いに接近する方向に移動し、モータの逆転でブラケットは互いに離間する方向に移動する。このように構成することによってシフトモータを単一のモータで構成することができ構造を簡素化することができる。従って幅方向シフト手段はシフトモータSM3とピニオン40pとラック41r、41l(伝動機構)で構成されている。
【0054】
なお、上述の整合部材38R,38Lは、後述するようにシートサイズに応じて待機位置Wpとの整合位置Apとの間でシート搬入の都度、待機位置Wpから整合位置Apに移動して待機位置Wpに復帰するように往復動する。図示の装置は排紙経路22に送られたシートを処理トレイ25とスタックトレイ30にセンタ基準で整合する場合を示しているが、左右片側を基準(サイド基準)に位置整合しても良く、この場合には左右の整合部材38R,38Lを、その一方は固定したサイド規制面に構成し、反対側を可動のサイド規制面38xで構成する。
【0055】
従ってサイド基準の場合には幅方向シフト手段は可動ガイド面を有する整合部材38R,38Lをシート幅方向に移動可能に構成すれば良い。このように整合手段38は、左右一対のサイド規制面38xを有する整合板で構成する。そして少なくともその一方はシート幅方向に移動可能に構成され、処理トレイ25あるいはスタックトレイ30に搬入されたシートを搬入方向と直交する排紙直交方向に位置整合する。
【0056】
「高さ方向シフト手段」
上述の左右整合部材38R,38Lは、「第1の高さ位置h1」と「第2の高さ位置h2」と「第3の高さ位置h3」と「第4の高さ位置h4」の異なる高さ位置に上下動可能に構成する。以下その構成について説明する。
図4は高さ方向シフト手段の一実施形態を示す説明図であり、(a)はブラケットに整合部材38Rを揺動可能に支持する側面構造を、(b)はその平面構想を示す説明図である。
【0057】
上述したように左右一対のブラケット(スライド部材)37R,37Lはシート幅方向に装置フレーム21fに取り付けられた一対のガイドロッド(ガイドレール)36a、36bに摺動可能に支持されている。そしてこの第1ガイドロッド36aは断面非円形状(矩形状、凸形状など)で装置フレームに回転可能に軸支されている。そこでこの第1ガイドロッド36aにはカラー部材43が嵌合してあり、このカラー部材43の内径孔43aは断面非円形のガイドロッド36aに軸方向(
図4(a)左右方向)に摺動可能(遊嵌)で、周方向には一体に回転するように嵌合されている。
【0058】
従って第1ガイドロッド36aを角度制御モータMdで正逆回転すると、カラー部材43も同一方向に一体的に回転するがロッド軸方向(シート幅方向)には拘束されることなく自由に摺動する。
【0059】
このカラー部材43はブラケット37R(37L)にロッド軸方向(
図4(a)左右方向)に一体的に支持されている。これと共にカラー部材43には整合部材38R(38L)が嵌合支持されている(
図4(a)(b)参照)。そしてカラー部材43には揺動アーム44が一体に形成され、この揺動アームに植設した連結ピン44pが整合部材38R(38L)に嵌合連結してある。
【0060】
このような構成で、左右のブラケット37R,37Lは装置フレーム21fにガイドロッド36a、36bでシート幅方向に移動可能(摺動可能)に支持され、左右のブラケット37R,37Lには幅方向シフト手段(シフトモータSM1、SM2など)が連結されている。これと共に左右のブラケット37R,37Lには第1ガイドロッド36aに嵌合したカラー部材43に左右整合部材38R,38Lがそれぞれ回動可能に軸支持されている。このガイドロッド36aには角度制御モータMdが連結され、このモータの回転でガイドロッド36aは所定角度回転し、その回転はカラー部材43を介してこれと一体の揺動アーム44に伝えられ、整合部材38R,38Lを所定角度回転させる。
【0061】
なお、角度制御モータMdの回転で整合部材38R,38Lを所定角度回転させる上記カラー部材43には、角度検出用のポジションセンサSp1とフラグ43fが配置してある(
図4(b)参照)。このフラグ43fをポジションセンサSp1で検出し、その検出信号を基準に角度制御モータMdの回転角度を制御することによって、整合部材38R,38Lを第1高さ位置h1、第2高さ位置h2、第3高さ位置h3に角度制御する。
【0062】
上記ポジションセンサSp1と、フラグ43fは、上述のように整合部材38R,38Lを角度制御するカラー部材43に配置する以外に、整合部材の角度位置を直接検出するようにしても、角度制御モータMdの回転数を検出するようにしても良い。
【0063】
また、整合部材38R,38Lを第1ガイドロッド36aに嵌合したカラー部材43に回動可能に取り付ける場合を示したが、整合部材はガイドロッドに嵌合することなくブラケット37R,37Lに植設ピンなどで回動可能に支持し、回転を伝達するロッドに揺動アームを設けて、アーム先端と整合部材をカム溝部などで連結する構造も採用可能である。
【0064】
次に
図4(b)に従って整合部材38R,38Lの角度位置制御について説明する。本発明は左右一対の整合部材38R,38Lを、少なくともその一方を、シート積載方向に高さの異なる第1、第2の高さ位置に姿勢が変更可能に構成し、第1の高さ位置h1のとき処理トレイ上に搬入されたシートをシート幅方向に整合動作させる。また第2の高さ位置h2でスタックトレイ上に搬入されたシートをシート幅方向に整合動作することを特徴としている。以下この角度位置について説明する。
【0065】
ブラケット37R,37Lに回動可能に支持されている整合部材38R,38Lにはシートの側縁と係合するサイド規制面38xが設けられ、この規制面は処理トレイ上のシートとスタックトレイ上のシートの側縁と係合する規制面として作用する。そこで整合部材38R,38Lはシート積載方向を基準に高い位置の第1の高さ位置h1と低い位置の第2の高さ位置h2に姿勢変更可能であり、第1の高さ位置h1のときには処理トレイ25上に搬入されたシート側縁と係合し、第2の高さ位置h2のときにはスタックトレイ30上に搬入されたシート側縁と係合する高さ位置に設定されている。また、第1の高さ位置h1と第2の高さ位置h2との中間には、第4の高さ位置h4が配置され、スタックトレイ30に排出されるシートをガイドする高さ位置に設定されている。
【0066】
これと共に
図4(b)に示すように、整合部材38R,38Lは第3の高さ位置h3に角度制御可能であり、この第3の高さ位置のときには整合部材38R,38Lは処理トレイ25上に搬入するシート及びスタックトレイ30に搬入するシートのいずれにも係合しない(シート搬送パスから退避した)高さ位置に設定されている。
【0067】
そして上記第1の高さ位置h1は、この位置のときには整合部材38R,38Lは、その最下端がスタックトレイ30上の最大積載高さより高い位置[hmax>最大積載高さ](
図3参照)に設定されている。これは排紙口24から処理トレイ25に搬入したシートを整合する整合部材38R,38Lの整合動作が下方に位置するスタックトレイ30に積載されているシートに妨害されないためである。
【0068】
この条件(整合部材の下端高さ>最大積載高さ)のもとで、整合部材38R,38Lはスタックトレイ30に積載されているシートのサイズ姿勢に関係なく処理トレイ上のシートを正確な規制位置に位置決めすることができる。特にスタックトレイ30に積載されているシートの積載基準に対し、処理トレイ上で後処理するために整合するシートを所定量オフセットさせて(
図6(a)参照)シート幅方向を位置決めすることが可能となり、ステープラ装置などの後処理装置を装置ハウジング内部の窪んだ位置に配置することが可能となる。このことは、従来のように処理トレイ上の処理位置に装置内部から後処理装置を出没させて後処理するユニット移動機構を備える必要がない。
【0069】
また、上記第2の高さ位置h2は整合部材38R,38Lの下端位置は紙載面30aより低い位置に設定してある。つまり紙載面30aには凹陥部30zが形成され、実質的に整合部材38R,38Lは紙載面30aより低い位置に位置している。これによって紙載面30a上に積載されているすべてのシートを所定の基準位置に整合させることが可能となる。
【0070】
さらに、上記第3高さ位置h3は、整合部材38R,38Lの下端位置は排紙口24から処理トレイ25に至るシートの搬送パスPa及び排紙口24からスタックトレイ30に至るシートの搬送パスPbより高い位置(退避した位置)に設定されている。これはシートを排紙経路22から処理トレイ25に搬送する際、或いはスタックトレイ30に搬送する際に、カールしたシートなどが整合部材38R,38Lにその進行を阻まれることがないように経路から退避した位置に整合部材を待機させるためである。このため後述する制御手段50はシートジャムが発生したとき、整合部材38R,38Lを第3の高さ位置h3に移動させ、その後に装置を停止させる。
【0071】
[整合動作]
上述したように排紙口24から処理トレイ25、スタックトレイ30の順に上方から下方に段差Dx、Dyを形成して配置され、この排紙口24から処理トレイ25に至るシート移動軌跡と、排紙口24からスタックトレイ30に至るシート移動軌跡の共通路に整合部材38R,38Lが配置されている。
【0072】
そして第1の高さ位置h1では処理トレイ25に至るシートを排紙直交方向に位置整合し、第2高さ位置h2ではスタックトレイ30に搬入するシートを排紙直交方向に位置整合する。その整合動作は次のように設定する。左右一対の整合部材38R,38Lをセンタ基準で位置移動する場合について説明すると、一対の整合部材38R,38Lはシート幅方向にホームポジションHpと、シートサイズに応じた待機位置Wpと整合位置Apとの間で往復移動する。ホームポジションHpは最大シートの幅サイズの外側に配置され、ジョブ終了時、シートジャム発生時、装置故障時、イニシャライズ実行時に左右の整合部材38R,38Lを移動させる。
【0073】
そして後述する制御手段50は、ホームポジションHpに位置する整合部材38R,38Lを、シートサイズ上方の待機位置Wpに移動し、この位置に待機させる。そして、シート側端が所定のトレイ上に進入した後、そのタイミング信号で待機位置Wpに位置する整合部材38R,38Lをシートサイズに応じて設定された整合位置Apに位置移動する。このときシート幅方向に偏って送られたシート、或いはスキューして傾いたシートは基準位置に幅寄せ整合される。そして後述するように処理トレイ25にシートを搬入するときには待機位置Wpに位置し、シートの搬入後には整合位置Apに移動し、後処理が終了した後には待機位置Wpに移動し、シート束がスタックトレイ30に搬入された後には整合位置Apに移動する一連の整合動下が終了した後にはホームポジションHpに移動する。
【0074】
[制御構成]
次に本発明にかかわる後処理装置Bの制御構成を
図7のブロック図に従って説明する。後処理装置Bの制御部は制御CPU50でコンピュータ制御されるようになっており、RAM52に記憶された制御データに従って後処理動作を制御する。この後処理動作は、画像形成されたシートを部揃え集積して後処理(ステープル綴じ)を施し、綴じ処理したシート束をスタックトレイ30に搬出する動作を実行する。このため制御CPU50は画像形成装置Aの制御部45からシートサイズ(搬送直交方向長さも含む)情報と、シート性状(紙厚さ、材質、カール度合い)情報と、給紙経路情報、搬送経路情報とジョブ終了信号を受信する。
【0075】
上記制御CPU50(以下単に制御手段という)は、上流の画像形成装置Aから搬出されたシートを排紙経路22に受け入れる排紙制御部50aと、シート整合制御部50bと、後処理制御部50cと、シート束搬出制御部50dを備えている。排紙制御部50aは、排紙経路22に搬入されたシートを排紙ローラ38で排紙口24に向けて搬送するように駆動モータを制御する。これと共に排紙制御部50aは反転ローラを、シートが排紙口24から搬出されたときにはローラを待機位置に待機させ、シート先端が通過した後にローラを互いに圧接し、このローラを排紙方向に回転した後にシート後端が排紙センサSe2を通過したタイミングでローラの搬送方向を反転する。この制御は反転ローラの昇降モータで上下動を、ローラ駆動モータで正逆制御する。
【0076】
シート整合制御部50bは、処理トレイ25上にシートが搬入され、その後端が規制ストッパ29に到達した見込み時間の後、左右の整合部材38R,38Lを待機位置Wpから整合位置Apに位置移動する。この左右の整合部材38R,38Lの位置移動は前述した方法を実行する。
【0077】
後処理制御部50cは、ステープル綴じ、パンチ穿孔、スタンプ捺印などの後処理に応じて各ユニットを制御する。図示のステープルユニット31はジョブ終了信号で最後のシートが処理トレイ25に搬入され、その幅方向が整合された動作の後、制御手段50はステープルユニット31のドライブモータに起動信号を送信する。この信号を受けてステープルユニット31は綴じ動作を実行し、その動作終了後にエンド信号を制御手段50に送る。
【0078】
シート束搬出制御部50dは、後処理ユニット31からのエンド信号を受けて反転ローラ32で処理トレイ25上のシート束を圧接し、スタックトレイ方向にローラを回転する。この動作で処理トレイ25上のシート束は下流側のスタックトレイ30に収納される。
【0079】
シート整合制御部50bは、本体制御部45から送られた後処理モード(ストレート排紙モードとステープル綴じモード)に応じて前述の「シート搬出機構」と「整合機構」を制御する。シート搬出機構は前述の反転ローラ32の昇降動作と回転動作を実行し、整合機構は前述の幅方向シフト手段(シフトモータSM1,SM2)と高さ方向シフト手段(角度制御モータMd)を制御する。このため、シート整合制御部50bは第1、第2のシフトモータSM1、SM2と反転ローラ32の昇降モータと搬出モータにコマンド信号を転送するように各モータのドライバ回路に連結されている。
【0080】
図8,
図9は上述の制御装置50における動作状態の説明図であり、
図8はステープル綴じ排紙動作を、
図9はストレート排紙動作を示す。
【0081】
図8に示すステープル綴じ排紙動作について説明する。装置電源が投入され動作開始すると制御手段50はイニシャライズ動作を実行し、整合部材38がホームポジション(第3の高さ位置h3で、
図5Hp位置)に位置させる(St01)。次に綴じ排紙モードかストレート排紙モードか判断し、ストレート排紙モードのときには後述する動作を実行する。
【0082】
綴じ排紙モードのときには制御手段50は大サイズシートか、薄紙シートかシートの性状を判別する(St04)。このシート性状の判別は画像形成装置Aからオペレータの入力情報、或いは予め設定された給紙カセットに収納されたシート情報から取得する。そしてこの情報に基づいて第1の高さ位置h1に位置する整合部材38R,38Lの高さ位置を微調整する。
【0083】
この第1の高さ位置h1の微調整はシートが所定サイズ(例えばA4サイズ)以上の大サイズシートであるとき、或いは所定グラム紙(例えば50グラム)以下の薄紙シートのときにはシートは処理トレイ上に収納されたシートは腰が弱く重力で下方に垂れ下がり易い。従ってこのシートの側縁に係合する整合部材38R,38Lのサイド規制面38xも下方に位置することが好ましい。
【0084】
そこで制御手段50はシートが所定サイズ以上のとき、或いは所定重さ(坪量)以下のときには、整合部材38R,38Lの第1の高さ位置h1をΔαだけ低く設定する(h1=h1−α)。このようなシート性状に応じて整合部材38R,38Lの高さ位置を微調整する必要は装置仕様に応じて採用するか否かを決定する。
【0085】
次に制御手段50は、整合部材38R,38Lを第1の高さ位置h1に設定したのち、その幅方向シフト手段でシート幅方向のホームポジションHpから待機位置Wpに移動する。この待機位置Wpはシートサイズに応じて個別に設定する場合と、最大サイズシートを基準に設定する場合のいずれかを採用する。そして排紙口24から送られたシートが最大に位置ズレしたとしても整合部材38R,38Lがその進行を妨害することのない位置に設定してある。(
図8におけるシート搬入位置=待機位置(St06))
【0086】
次に制御手段50はシート搬入機構を動作させて、排紙経路22から送られたシートを排紙口24から処理トレイ上に案内する(St07)。そしてシート先端が規制ストッパ29に到達する見込み時間の経過後に整合部材38R,38Lを待機位置Wpから作動位置Apに移動させる。この作動位置Apはシートサイズに応じて予め設定され、図示のものはシートセンタを基準ラインに一致させるように設定している。
【0087】
制御手段50は整合部材38R,38Lを作動位置Apに移動させたのちに待機位置Wpに復移動させ後続するシートの搬入に備える(St09;整合動作実行)。次に制御手段50は後続シートが存在するか否かを判別し(St10)、後続シートが存在する場合はステップSt06に戻り同様の動作を繰り返す。
【0088】
制御手段50は画像形成装置Aからジョブエンド信号を受信すると、後続するシートは存在しないと判断し、処理トレイ上に集積されたシートを後処理手段31で綴じ処理する(St12)。次に制御手段50は後処理手段31から処理終了の信号を受信すると、これと前後して整合部材38R,38Lを第3の高さ位置(退避位置)h3に移動する。この整合部材38R,38Lの高さ方向の退避位置への移動は、整合部材をシート幅方向に作動位置Apから退避位置Wp又はホームポジションHpに移動したのちに、第1の高さ位置h1から第4の高さ位置h4に移動させる(St13)。これは処理トレイ25上に集積されているシートを位置ズレさせないためである。
【0089】
次に制御手段50は反転ローラ32を排紙方向に回転させて、上部ローラ32aと下部ローラ32bにニップされたシート束をスタックトレイ30に向けて搬出する(St14)。すると処理トレイ上で綴じ処理されたシート束は、スタックトレイ30の最上シートに沿って徐々に送り出され、その最上シートの上に落下して収納される。そこで制御手段50は、整合部材38R,38Lを第1の高さ位置h1から第2の高さ位置h2に下降移動する(St15)。そしてこの整合部材38R,38Lを待機位置Wpから作動位置Apに移動し、その動作の後に退避位置Wpに待機させる(St16)。このような動作あらかじめ設定された部数の画像形成と綴じ処理排紙動作は完了すると制御手段50は整合部材38R,38Lをホームポジションに移動してその処理動作を終了する(St17、St18)。
【0090】
図9はストレート排紙動作を示し、制御手段50は整合部材38R,38Lを第4の高さ位置h4に移動(St19)し、更に待機位置(シート搬入位置)に移動し(St20)シートの搬入に備える。そしてシートが排紙経路22に搬入(St21)されると、このシートは排紙口24から直接スタックトレイ30の最上シートの上に送られる(St22)。そこで制御手段50は排紙センサSe2からの検出信号を基準にシート後端がスタックトレイ30に搬入される見込み時間の経過した後、整合部材38R,38Lをシート搬入位置から第2の高さ位置h2に移動する(St23)。
【0091】
そして幅方向シフト手段(シフトモータSM1,Sm2)を起動して整合部材38R,38Lを待機位置Wpから整合位置Apにシート幅方向に位置移動する。この動作でシートは所定のセンターラインに一致するように整合される(St24)。そして制御手段50は整合位置Apから待機位置Wpに整合部材38を復帰させた後、後続するシートが存在するか否か判断し(St26)、後続シートが存在する場合には、上述のステップ21に戻り同様の動作を繰り返す。後続シートが存在しないときには制御手段50は整合部材38R,38LをホームポジションHpに復帰させてその動作を終了する(St27)。