特許第6097586号(P6097586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097586書写教則教材、および書写教則教材の作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097586
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】書写教則教材、および書写教則教材の作成方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 11/06 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   G09B11/06
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-20579(P2013-20579)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-153419(P2014-153419A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143053
【氏名又は名称】株式会社光文書院
(73)【特許権者】
【識別番号】513028599
【氏名又は名称】株式会社コンセント
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉川 美里
(72)【発明者】
【氏名】上原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】中澤 絢子
【審査官】 奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−028196(JP,A)
【文献】 特開2009−098411(JP,A)
【文献】 特開2009−093184(JP,A)
【文献】 特開2006−154691(JP,A)
【文献】 特開2002−040920(JP,A)
【文献】 特開2008−310393(JP,A)
【文献】 特開2004−341388(JP,A)
【文献】 藤塚哲也他2名,習字学習支援のための筆運びのデータ取得と再現,電子情報通信学会2012年基礎・境界ソサイエティ大会講演論文集,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2012年 8月28日,第155頁
【文献】 飛谷謙介他2名,習字教育支援システムのためのHorizon View Cameraを用いた筆あと計測手法の提案と実装,電気学会論文誌C,日本,社団法人電気学会,2009年 5月 1日,Vol.129, No.5,第786-791頁
【文献】 吉田知史他3名,バーチャル・リアリティを用いた書道習得のための教育的応用システムの構築II,電子情報通信学会1997年総合大会講演論文集,日本,社団法人電子情報通信学会,1997年 3月 6日,第408頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00−19/26,23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記者が透明な板状部材で構成された天板を有する机の机上で、該天板上に配置された用紙に筆で文字を書く様子を、該天板の上方から撮影した表側映像素材と、
書かれた文字が該用紙に裏写りする様子を、該表側映像素材の撮影と同時に、該天板の下方から撮影した裏側映像素材と
を合成した合成映像からなり、
該表側映像素材と、該裏側映像素材とを合成する際に、
該裏側映像素材の裏写りの大きさ、位置、および向きを該表側映像素材の文字に一致させ、
該表側映像素材を半透明にしつつ、該裏側映像素材の上に重ねたことを特徴とする書写教則教材。
【請求項2】
表側映像素材として、筆記者が透明な板状部材で構成された天板を有する机の机上で、該天板上に配置された用紙に筆で文字を書く様子を、該天板の上方から撮影する工程と、
裏側映像素材として、書かれた文字が該用紙に裏写りする様子を、該表側映像素材の撮影と同時に、該天板の下方から撮影する工程と、
該裏側映像素材の裏写りを、該表側映像素材の文字の大きさ、位置、および向きを一致させる工程と、
該表側映像素材を半透明にしつつ、該裏側映像素材の上に重ねる工程と、
を備えることを特徴とする書写教則教材の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書写技能の習得に映像を用いた書写教則教材、および書写教則教材の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の教則教材として、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示された書写用学習教材は、手本を書く映像モデルの視線とほぼ同じ位置に設置された撮影装置によって撮影された映像で構成されている。このような教材を視聴することで、身近に有能な書写の指導者がいない場合であっても、書写技能の習得、および向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−154691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した書写学習教材は、映像モデルの視線とほぼ同じ位置から撮影されているため、書いている手や腕、および筆によって、書かれた文字が覆われ、隠されてしまうという問題を抱えている。
【0005】
そこで、本願発明は、上記事情を考慮し、筆記者の手の動きや、筆の運び方を確認しつつ、筆記者の手や筆によって隠される文字の部位も確認することができる書写教則教材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する請求項1の発明は、筆記者が透明な板状部材で構成された天板を有する机の机上で、該天板上に配置された用紙に筆で文字を書く様子を、該天板の上方から撮影した表側映像素材と、書かれた文字が該用紙に裏写りする様子を、該表側映像素材の撮影と同時に、該天板の下方から撮影した裏側映像素材とを合成した合成映像からなり、該表側映像素材と、該裏側映像素材とを合成する際に、該裏側映像素材の裏写りの大きさ、位置、および向きを該表側映像素材の文字に一致させ、該表側映像素材を半透明にしつつ、該裏側映像素材の上に重ねたことを特徴とする書写教則教材である。
【0007】
請求項2の発明は、表側映像素材として、筆記者が透明な板状部材で構成された天板を有する机の机上で、該天板上に配置された用紙に筆で文字を書く様子を、該天板の上方から撮影する工程と、裏側映像素材として、書かれた文字が該用紙に裏写りする様子を、該表側映像素材の撮影と同時に、該天板の下方から撮影する工程と、該裏側映像素材の裏写りを、該表側映像素材の文字の大きさ、位置、および向きを一致させる工程と、該表側映像素材を半透明にしつつ、該裏側映像素材の上に重ねる工程と、を備えることを特徴とする書写教則教材の作成方法である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、請求項2の発明によれば、裏写りを反転することで、書かれた文字とするとともに、筆記者が文字を書く様子を半透明にして合成することで、筆記者の手の動きや、筆の運び方を確認しつつ、筆記者の手や筆によって隠される文字の部位も含め、文字全体を確認することができる。これにより、書かれた文字の形や全体のバランスを把握することができるため、書写技能をより早く習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を構成する映像素材を撮影する様子を示す側方概略図である。
図2】映像素材の撮影に用いられる机の天板を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態を構成する表側映像素材の一場面を表した概要図である。
図4】本発明の一実施形態を構成する裏側映像素材の一場面を表した概要図である。
図5】本発明の一実施形態を示し、表側映像素材を裏側映像素材に合成した合成映像の一場面を表した概要図である。
図6】本発明の一実施形態の一場面を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の書写教則教材1は、映像教材として、DVD−ROM等の記録媒体に記録された状態で頒布される。頒布された書写教則教材1は、所定の機器によって映像が再生され、電子黒板に表示したり、プロジェクターによってスクリーンに投影された映像を視聴したりすることで、小学校の書写の授業等における書写技能の習得に役立てられる。
【0011】
本実施形態の書写教則教材1は、加工が施された表側映像素材2と裏側映像素材3とを合成した合成映像で構成されている。
【0012】
映像素材2,3を撮影する際に用いられる机10は、図1に示すように、長方形形状を有する天板11の四隅に脚12が設置されている。また、図2に示すように、天板11の中央手前側は板状の透明なアクリル板11aで構成されている。天板11の一部を透明なアクリル板11aで構成することによって、天板11を介して机10下方から天板11の上方が視認できるように構成されている。アクリル板11a上には、文字が書かれる用紙として画仙紙20が配置される。画仙紙20は、文字が書かれない部分が粘着テープやクリップ等によって、アクリル板11aに固定されている。また、画仙紙20には、紙面に接する筆先42の様子が明確に裏写りする程度の厚さ、および材質の紙が採用されている。
【0013】
天板11上方には、画仙紙20の全体と画仙紙20の周辺が撮影範囲31aに入るように天板11からの距離が設定された表側カメラ31が設置されている。また、天板11下方には、撮影範囲32aが表側カメラ31と同一となるように、天板11裏からの距離、および位置が設定された裏側カメラ32が設置されている。
【0014】
<撮影手順>
天板11上に配置された画仙紙20に、筆記者としての書道家Mが墨を含ませた筆41で文字21を書く様子を、図3に示すように、表側カメラ31で撮影する。また、表側カメラ31による撮影と同時に、筆41の筆先42と、書かれた文字21とが画仙紙20に裏写りする様子とを、図4に示すように、天板11の下方から裏側カメラ32で撮影する。そして、表側カメラ31で撮影された映像が表側映像素材2となり、裏側カメラ32で撮影された映像が裏側映像素材3となる。
【0015】
なお、書道家Mは、決められた文字を書く際に、書道家Mの頭部M2が、表側カメラ31の撮影範囲31a内に入らないように注意するとともに、書道家Mの脚部M3が裏側カメラ32の撮影範囲32a内に入らないように注意する。
【0016】
<加工手順>
裏側映像素材3は、天板11の裏側から撮影されているために、書かれた文字21が裏写りする様子は、左右反転しているので、書かれた文字と同じ向きになるように、裏側映像素材3の映像データを反転する。次に、反転した裏側映像素材3に表側映像素材2を重ねる際に、反転した裏側映像素材3の裏写り22と表側映像素材2の書かれた文字21とが一致するように、裏側映像素材3の裏写り22の大きさと位置を調整する。次に、表側映像素材2を半透明に加工しつつ、裏写り22の大きさと位置を調整した裏側映像素材3の上に表側映像素材2を重ねる。
【0017】
なお、裏側映像素材3の上に重ねる際の表側映像素材2の透明度は、書道家Mの手の動きや、筆41の運び方が分かりつつ、書道家Mの手M1や筆41によって隠される文字21の部位が、裏側映像素材3の反転した裏写り22によって、書かれた文字として確認できる程度に調整される。
【0018】
以上、本発明では、裏写り22を反転することで、書かれた文字とするとともに、書道家Mが文字を書く様子を半透明にして合成することで、書道家Mの手の動きや、筆41の運び方を確認しつつ、書道家Mの手M1や筆41によって隠される文字の部位も含め、文字全体を確認することができる。これにより、書かれた文字21の形や全体のバランスを把握することができるため、書写技能をより早く習得することができる。
【0019】
また、裏側映像素材3に映された筆先42が画仙紙20に接する様子と、表側映像素材2に映された筆運びの様子とを同時に確認することができる。これにより、筆41の扱い方や力の入れ具合について、細かいところまで理解できるため、書写技能をより早く習得することができる。
【0020】
なお、本実施形態の書写教則教材1では、裏側映像素材3の映像データを加工することで、書かれた文字21の裏写り22の向きを反転させる構成としているが、裏写りを反転させる手段はこのような手段に限定されず、様々な手段を用いることができる。たとえば、天板11の下方に鏡を配置し、裏側映像素材3を撮影する際に、鏡に映る裏写りを撮影することで、表側映像素材2の文字の向きに一致させる構成としても良い。
【0021】
また、書写教則教材1を再生する際に、表側映像素材2と反転した裏側映像素材3とを合成した合成映像を再生するだけでなく、表側映像素材2のみ、または反転した裏側映像素材3のみを選択的に再生できるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0022】
1…書写教則教材
2…表側映像素材
3…裏側映像素材
10…机
11…天板
20…用紙(画仙紙)
21…文字
41…筆
M…筆記者(書道家)
図1
図2
図3
図4
図5
図6