特許第6097612号(P6097612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097612
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】筺体挿入用治具
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20170306BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H02B3/00 D
   H02B1/30 G
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-65113(P2013-65113)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-192979(P2014-192979A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】生田 利文
(72)【発明者】
【氏名】野々上 満洋
(72)【発明者】
【氏名】小谷 隆
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−178901(JP,A)
【文献】 実開昭55−111652(JP,U)
【文献】 特開2007−068687(JP,A)
【文献】 特開2009−249144(JP,A)
【文献】 特開2011−218443(JP,A)
【文献】 米国特許第05826473(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
H02B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体間の間隔に、該間隔と同一幅寸法を有する筺体を挿入する際に使用される筺体挿入用治具であって、
対向する互いの一端部が回転自在に連結されるとともに、前記間隔を形成する両筺体の梁材または側面の近傍に互いの他端部が配置され、しかも、所定の角度をなすように折れ曲がった状態で、前記間隔にセットされる一対のアームと、
前記間隔を形成する両側の筺体の梁材または側面に当接される当接部、および、前記一対のアームの他端部にそれぞれ回転自在に連結される連結部を有する一対の当接部材と、
前記一対のアームの他端部が外方に延出するように、連結される前記一対のアームの一端部を押圧する押圧手段とを備えたことを特徴とする筺体挿入用治具。
【請求項2】
前記押圧手段によって押圧される、前記一対のアームの一端部の被押圧面に、該被押圧面を保護する緩衝部材が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の筺体挿入用治具。
【請求項3】
前記一対のアームの他端部が所定の位置に延出した際に、前記一対のアームの他端部と前記当接部材の当接部とが係合する係合手段が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の筺体挿入用治具。
【請求項4】
前記一対のアームの他端部が所定の位置で延出が阻止された際、前記一対のアームは水平に位置するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の筺体挿入用治具。
【請求項5】
折れ曲がった状態の前記一対のアームによって形成される所定の角度は、鈍角であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の筺体挿入用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば開閉器や遮断器などが配置される配電盤などの筺体を、筺体間の間隔に挿入する際に使用される筺体挿入用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
列盤構成される一般的な配電盤について図5図7を参照しつつ説明する。なお、図5図6(a)、図7を正面から見て、上下左右を、配電盤5の上側、下側、左側、右側とする。また、図7は、配電盤5に配置されている電気機器Eは省略している。前記配電盤5は、図5に示すように、開閉器や遮断器などの電気機器Eが配置される筺体50を備えている。
【0003】
該筺体50は、図6(a)に示すように、設置面に配置されるチャンネルベース51と、該チャンネルベース51にねじ固定される枠体52とを有している。枠体52は、底枠52a、左右の側枠52b,52b、上枠52cで構成される。そして、底枠52aに底板(図示せず)が取り付けられ、図7に示すように、両端の配電盤5,5の左右の側枠52b,52bに側板520bが取り付けられ、上枠52cに天板520cが取り付けられる。そして、図7に示すように、枠体52の前面開口部52aには、該前面開口部52aに対して開閉自在に扉53が設けられ、枠体52の後面開口部は後板が取り付けられる(図示せず)。これによって、筺体50が組み立てられる。また、筺体50の内部には、仕切り板や棚板が取り付けられることで、上述した電気機器Eが所定の位置に配置されるようになる(図示せず)。なお、両端の配電盤5,5を除く、配電盤5の側枠52b,52bには、側板520bが取り付けられず、枠体52,52同士を、図6(b)に示すように、ボルトB・ナットNを連結する場合もある。
【0004】
そして、列盤構成された複数の配電盤5のうち、例えば、1つの配電盤5を取り換えたり、将来、必要とされる新たな配電盤5を挿入したりする場合がある。この場合、列盤構成される複数の配電盤5の中から、対象となる配電盤5を引き出した後、両側の配電盤5,5間の間隔Hに、配電盤5を挿入することになる(図7参照)。
【0005】
この際、配電盤5,5間の間隔Hと、挿入しようとする配電盤5の幅寸法hが同一であるため、間隔Hを形成する両側の配電盤5,5を押圧移動させて、前記間隔Hを、挿入しようとする配電盤5の幅寸法hよりも少しだけ大きくする必要がある。押圧移動させる手順としては、まず、配電盤5の枠体52とチャンネルベース51とを締結しているボルトB・ナットNを緩める(図示せず)。つぎに、配電盤5のチャンネルベース51と底枠52aとの間に梃子を挿入したり、前記間隔Hに車両用のジャッキをセットして、前記間隔Hを形成する両側の配電盤5,5を外方に押圧移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−312410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
列盤構成される複数の配電盤5において、前記間隔Hを形成する両側の配電盤5,5を押圧移動させる手段として、梃子を使用する場合は、配電盤5の底枠52aとチャンネルベース51との間に梃子を挿入して、梃子を介して、両側の、列盤構成される複数の配電盤5を押圧移動させるため、配電盤5全体を動かせるだけの十分な力を、配電盤5全体に十分に伝達できず、梃子が当たっている複数の局所的な部位(配電盤5のチャンネルベース51、側枠52b、底枠52a)に力が集中して作用するようになり、これらの部位が損傷してしまう。
【0008】
また、車両用のジャッキを使用する場合は、前記間隔Hが配電盤5の幅寸法(例えば、700mm)hと同じであることから、車体を押し上げる距離よりも大きい。したがって、ジャッキと、前記間隔Hを形成する両側の配電盤5,5の側枠52bとの間に当て板を介挿させる必要がある。このため、不安定な状態でジャッキを操作することになり、作業に支障をきたすことになる。また、当て板は、できるだけ幅広いものでないと、上述した梃子と同様に、局所的に力が集中して、配電盤5を損傷することになる。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、筺体間の間隔に、該間隔と同一の幅寸法を有する筺体を容易にかつ安全に挿入できる筺体挿入用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る筺体挿入用治具は、筺体間の間隔に、該間隔と同一幅寸法を有する筺体を挿入する際に使用される筺体挿入用治具であって、対向する互いの一端部が回転自在に連結されるとともに、前記間隔を形成する両筺体の梁材または側面の近傍に互いの他端部が配置され、しかも、所定の角度をなすように折れ曲がった状態で、前記間隔にセットされる一対のアームと、前記間隔を形成する両側の筺体の梁材または側面に当接される当接部、および、前記一対のアームの他端部にそれぞれ回転自在に連結される連結部を有する一対の当接部材と、前記一対のアームの他端部が外方に延出するように、連結される前記一対のアームの一端部を押圧する押圧手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、一対のアームの両一端部の連結支点を押し上げることで、一対のアームの両他端部が外方に延出する軌跡を描くようにすることができる。そうすることで、筺体間の間隔を容易に押し広げることができる。また、挿入する筺体の幅寸法に対して、該幅寸法よりも、前記間隔を少し大きくするだけなので、簡単な構成で効率よく、筺体の挿入作業を行うことができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記押圧手段によって押圧される、前記一対のアームの一端部の被押圧面に、該被押圧面を保護する緩衝部材が取り付けられるような構成を採用することもできる。
【0013】
かかる構成によれば、一対のアームの一端部の被押圧面に緩衝部材を取り付けたので、該被押圧面を、押圧手段による押圧力から保護することができる。すなわち、押圧手段に対して、一対のアームの互いの一端部が連結される連結部の強度を確保できるようになる。
【0014】
また、本発明によれば、前記一対のアームの他端部が所定の位置に延出した際に、前記一対のアームの他端部と前記当接部材の当接部とが係合する係合手段が設けられるような構成を採用することもできる。
【0015】
かかる構成によれば、一対のアームの他端部が所定の位置に延出した際に、一対のアームの他端部と、当接部材の当接部とが係止することで、一対のアームの他端部の延出が阻止されるようになり、一対のアームが所定の位置で停止するように位置規制される。すなわち、筺体間の間隔を所望の大きさに押し広げることができる。
【0016】
また、本発明によれば、前記一対のアームの他端部が所定の位置で延出が阻止された際、前記一対のアームは水平に位置するように構成されることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、一対のアームが水平位置で、一対のアームの他端部の延出が阻止されるので、この状態の一対のアームの両他端部を結ぶ距離を、挿入する筺体の幅寸法よりも少し大きめに設定すれば、一対のアームの位置調整が行いやすくなる。
【0018】
また、本発明によれば、折れ曲がった状態の前記一対のアームによって形成される所定の角度は、鈍角であるような構成を採用することもできる。
【0019】
かかる構成によれば、一対のアームによって形成される所定の角度が鈍角であることから、連結される一対のアームの一端部を、押圧手段の少しの力で大きく押し上げることができ、筺体間の間隔を効率よく押し広げることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、筺体間の間隔に、該間隔と同一の幅寸法を有する筺体を容易にかつ安全に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る筺体挿入用治具を、配電盤間の間隔にセットした状態を示す正面図、(b)は、図1(a)の平面図。
図2】(a)は、第1の連結部の拡大図、(b)は、第2の連結部の拡大図。
図3】連結される一対のアームの両一端部を、押圧手段によって押し上げて、配電盤間の間隔を押し広げた状態を示す正面図。
図4】(a)は、連結される一対のアームの両一端部の連結支点を押し上げたことによる、一対のアームの両他端部の軌跡を示す図、(b)は、水平線に対するアームと、一対のアームによる配電盤を押圧移動させる際の力の説明図。
図5】複数の配電盤が並列して配置される列盤状態を示す斜視図。
図6】(a)は、配電盤のチャンネルベースおよび枠体を示す斜視図、(b)は、チャンネルベースと枠体との連結に使用する際のボルト・ナット、および、隣接する枠体同士の連結に使用する際のボルト・ナットを示す図。
図7】配電盤間に間隔が形成された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る筺体挿入用治具について図1図7を参照しながら説明する。なお、図1(a)、図3図5図6(a)、図7を正面から見て、上下左右を、配電盤5の上側、下側、左側、右側とする。また、図2(b)を正面から見て、上下左右を、配電盤5の後側、前側、左側、右側とする。また、本実施形態においては、筺体として、列盤状に構成された配電盤5を例にとって説明する。また、配電盤5の構成については、前記背景技術で説明しているので省略する。
【0023】
本実施形態に係る筺体挿入用治具1は、図1(a),(b)に示すように、配電盤5,5間の間隔Hにセットされる一対のアーム2,2と、一対のアーム2,2の両他端部に連結されるとともに、前記間隔Hを形成する両側の配電盤5,5に当接される一対の当接部材3,3と、連結される一対のアーム2,2の両一端部2a,2aを上に押し上げる押圧手段4とを備えている。
【0024】
一対のアーム2,2は、対向する互いの一端部2a,2aが回転自在に連結される第1の連結部20と、前記間隔Hを形成する両側の配電盤5,5の側枠52bの前側下部の近傍に配置され、当接部材3,3に回転自在に連結される第2の連結部21とを有している。
【0025】
そして、図2(a)に示すように、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの対向端面には、上側に向かうにしたがって大きく開口するように、すなわち、V字形状の溝20aが形成されるように、傾斜部21a,21aが形成されている。そして、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aは、前記間隔Hに折れ曲がった状態でセットされるスタンバイ位置Aにおいては、幅小のV字溝20aが形成され、一対のアーム2,2が水平位置で停止する作業位置Bにおいては、幅広のV字溝20aが形成される。また、図3に示すように、作業位置(以下、水平位置という場合もある。)Bに位置する一対のアーム2,2の両他端部2b,2bを結ぶ距離Lは、配電盤5の幅寸法hよりも少し大きく設定されている。
【0026】
また、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bの上端には、図2(b)に示すように、押圧手段4のプランジャ40の押圧による上方への移動を阻止する係合手段としての係止凸部23,23が形成されている。また、一対のアーム2,2の他端部2b,2bの下縁から係止凸部23,23にかけて円弧状の曲面24,24が形成されている。
【0027】
係止凸部23は、図3に示すように、一対のアーム2,2が作業位置Bに到達した際、後述する当接部材3の当接部30の背面に圧接することで、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bの延出が阻止される。この際、一対のアーム2,2の他端部2b,2bが外方に延出しつつ水平位置Bで停止することになるので、配電盤5,5間の間隔Hが、一対のアーム2,2の他端部2b,2bが延出した分の長さだけ、すなわち、挿入しようとする配電盤5の幅寸法hよりも少し大きくなる。
【0028】
曲面24は、一対のアーム2,2が折れ曲がった状態で前記間隔Hにセットされたスタンバイ位置Aから水平位置Bに到達するまでの、一対のアーム2,2の他端部2b,2bの回動がスムーズに行われるためのものである。
【0029】
第1の連結部20は、両端部に長孔201,201が形成され、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの側面に跨るように配置された連結レバー200と、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの側面に螺合し、両長孔201,201に遊挿される一対の遊挿ボルトB1,B1とを有している。そして、一対のアーム2,2が折れ曲がったスタンバイ位置Aにあっては、一対の遊挿ボルトB1,B1は、図2(a)に示すように、長孔201,201の中途部に位置し、一対のアーム2,2が水平位置Bに到達した状態にあっては、図3に示すように、長孔201,201の外側の端部に位置して、大きく離間した位置にある。
【0030】
また、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aにおいては、被押圧面となる下側の端面に跨るように、ゴム製の平板状の緩衝部材25が取り付けられている。これによって、後述する押圧手段4のプランジャ40の押圧力(第1の連結部20を押し上げる際の力)から、一対のアーム2,2の第1の連結部20を保護することができる。
【0031】
第2の連結部21は、当接部材3の当接部30を貫通して、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bの曲面24,24の近傍に螺合する回転支点となる支点ボルトB2,B2によって、当接部材3の連結部31の上部に回転自在に連結される。この支点ボルトB2,B2によって、一対のアーム2,2が折れ曲ったスタンバイ位置Aから水平位置Bに近づくにしたがって、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bの係止凸部23,23が当接部材3の当接部30の背面に強く圧接するように回動する。
【0032】
そして、一対のアーム2,2は、所定の角度をなすように、折れ曲がった状態で、配電盤5,5間の間隔Hにセットされる。具体的には、図4(a)に示すように、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの連結支点Sが、一対のアーム2,2の他端部2b,2bの位置よりも低位置になるように、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aによって鈍角が形成されるように、前記間隔Hにセットされる。
【0033】
当接部材3は、図1(b)に示すように、平面視L字形状を呈している。そして、当接部材3は、平板状の当接部30と、該当接部30に対して直角に折り曲げられて形成される連結部31とを有している。当接部30は、前記間隔Hを形成する両配電盤5,5の側枠52b,52bの前側下部に沿って当接される。連結部31は、一対のアーム2,2の他端部2b,2bが上部に回転自在に連結される。なお、当接部材3の当接部30は、場合によっては、配電盤5の側板の前側下部に沿って当接されることもある。
【0034】
押圧手段4は、汎用ジャッキで構成されている。そして、押圧手段4は、多段的に伸長できるように、大中小の複数の筒体で構成されるプランジャ40と、該プランジャ40の先端部に固着された、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの第1の連結部20に当接する平板状の当接部41とを有している。そして、押圧手段4は、前記間隔Hにおいて、一対のアーム2,2の第1の連結部20の下方、すなわち、チャンネルベース51の略中央部にセットされる。なお、本実施形態においては、チャンネルベース51内部に図示しない敷き板が敷設され、チャンネルベース51と敷き板とを同一面にし、敷き板の上に、汎用ジャッキ4を載置する。
【0035】
そして、押圧手段4のプランジャ40が伸長するにしたがって、一対のアーム2,2の第1の連結部20が上方に押圧されて、該第1の連結部20の上動に連動して、一対のアーム2,2の他端部2b,2bが外方に延出される。すなわち、左側のアーム2の他端部2bが左方に延出されるとともに、右側のアーム2の他端部2bが右方に延出される。これによって、前記間隔Hを形成する両側の配電盤5,5が外方に押圧移動されて、前記間隔Hが大きくなる。
【0036】
つぎに使用態様について図1(a),(b)、図2図3(a)、図5(a),(b)を参照して説明する。まず、図5(a),(b)に示すように、チャンネルベース51と枠体52とのボルトB・ナットNによる締結、および、両隣の枠体52,52同士のボルトB・ナットNによる締結を解除する(図示せず)。そして、図5(a)に示すように、対象となる配電盤5を手前に引き出して、配電盤5,5間に間隔Hを形成する。
【0037】
その後、図1(a)に示すように、チャンネルベース51の略中央部に、押圧手段としての汎用ジャッキ4を載置する。つぎに、配電盤5,5間の間隔Hに、一対のアーム2,2を折れ曲がった状態でセットする。この際、当接部材3の当接部30を、両側の配電盤5,5の対向する側枠52b,52bの前側下部に沿うように当接させるとともに、一対のアーム2,2の第1の連結部20の下面(緩衝部材25)を汎用ジャッキ(押圧手段)4のプランジャ40の当接部材3の当接部30に当接させる。
【0038】
したがって、一対のアーム2,2を前記間隔Hにセットした際、図4(a)の実線に示すように、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの連結支点Sが、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bの位置よりも低位置に位置することになる。一対のアーム2,2によって形成される所定の角度が鈍角になるように、前記間隔Hに一対のアーム2,2をセットする。
【0039】
そして、図4(a)一点鎖線および二点鎖線に示すように、汎用ジャッキ4のプランジャ40が伸長するにしたがって、一対のアーム2,2の連結支点S〜S2に移動するとともに、一対のアーム2,2の他端部(当接部材3,3)2b,2bが外方に延出されるようになる。すなわち、一対のアームの両他端部を結ぶ距離L〜L2と変移し、両側の配電盤5,5が外方に押圧移動されて、両側の配電盤5,5の間隔Hが大きくなる。
【0040】
この際、図3に示すように、一対のアーム2,2の他端部2b,2bを結ぶ距離Lが、挿入する配電盤5の幅寸法hよりも少し大きめの長さに設定されているので、一対のアーム2,2が水平位置Bに到達した状態において、挿入する配電盤5の幅寸法hよりも大きな間隔Hが形成される。すなわち、押し広げられた間隔Hに、配電盤5を容易に挿入できるようになる。
【0041】
(実施例)
つぎに実施例について図4(a),(b)を参照して説明する。配電盤5の幅寸法hを、例えば、700mmとし、配電盤5,5間の間隔Hを、例えば、680mmとし、1本のアーム2の長さを、例えば、352mmとし、汎用ジャッキ4の力を50kg重とする。そして、一対のアーム2,2を前記間隔Hにセットした際の、一対のアーム2,2によって形成される所定の角度θを、例えば、図4(a)に示すように、150度(水平線に対する一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの角度θ1を、例えば、15度)とする。
【0042】
したがって、一対のアーム2,2の第1の連結部20にかかる力fは、図4(b)に示すように、tan75°、すなわち、3.7kg重となる。なお、図4(b)において、実線に示す直角三角形と鎖線に示す直角三角形は同一であり、実線の斜辺と鎖線の斜辺は平行している。そして、θ1とθ1とは錯角であることから、θ3の大きさは75度となる。
【0043】
そして、汎用ジャッキ4のプランジャ40を少し伸長させて、図4(a)の一点鎖線に示すように、水平線に対する一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの角度θ2がそれぞれ7.5度になると、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bを結ぶ距離L1が698mmになる。
【0044】
そして、汎用ジャッキ4のプランジャ40のさらなる上動により、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bがさらに外方に延出して、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bを結ぶ距離L2が704mmになる。すなわち、挿入する配電盤5の幅寸法700mmよりも少し大きくなる。つまり、配電盤5,5間の間隔Hに、配電盤5を容易に挿入できるようになる。
【0045】
以上、本実施形態に係る筺体挿入用治具1によれば、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aの連結支点Sを押し上げることで、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bが外方に延出する軌跡を描くようにすることができる。そうすることで、配電盤5,5間の間隔Hを容易に押し広げることができる。また、挿入する配電盤5の幅寸法hに対して、該幅寸法hよりも、前記間隔Hを少し大きくするだけなので、簡単かつ安全に効率よく、配電盤5の挿入作業を行うことができる。
【0046】
なお、本発明に係る筺体挿入用治具1は、前記実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0047】
例えば、前記実施形態の場合、筺体として、列盤状に構成される配電盤5を例にとって説明したが、内部に多くの書類が並べられた列状のロッカー間の間隔に、ロッカーを挿入する場合にも適用できる。
【0048】
また、前記押圧手段4として、汎用ジャッキを使用したが、流体によって作動するアウトリガーであってもよい。要は、押圧手段4として、プランジャ40が多段的に伸張できるように構成されてあればよい。
【0049】
また、前記実施形態の場合、一対のアーム2,2の両一端部2a,2aによってなす角度を鈍角としたが、筺体間の間隔を、筺体の幅寸法よりも少し大きくするだけなので、押圧手段によって、間隔Hを形成する両側の筺体を押圧移動できるのであれば、筺体の幅寸法に応じて、例えば、90度または鋭角に変更してもよい。
【0050】
また、前記実施形態の場合、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bに形成された係止凸部23,23を、当接部材3の当接部30の背面に圧接(係止)して、一対のアーム2,2の折れ曲がった状態からの延出を阻止するようにしたが、当接部30に係止凸部を形成し、この係止凸部に、一対のアーム2,2の両他端部2b,2bの上端面を当接するようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施形態の場合、緩衝部材25として、ゴム製のものを使用したが、合成樹脂製のシートを使用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…筺体挿入用治具、2…一対のアーム、2a…アームの一端部、2b…アームの他端部、20…第1の連結部、21…第2の連結部、23…係止凸部、25…緩衝部材、3…一対の当接部材、30…当接部、31…連結部、4…汎用ジャッキ(押圧手段)、40…プランジャ、41…当接部、5…筺体(配電盤)、52b…配電盤の側枠、H…間隔、h…配電盤の幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7