(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(II)に記載の構成単位が、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンもしくは、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである請求項3または4のいずれかに記載のポリカーボネート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ポリカーボネート>
以下、本発明の光学レンズ用ポリカーボネートを構成する各成分、それらの配合割合、調整方法等について、順次具体的に説明する。
本発明のポリカーボネートは、下記式(I)で表されるカーボネート単位を含有する。式(I)の単位の含有量は、100〜2モル%であり、好ましくは90〜5モル%である。2モル%より小さいと、屈折率が低下し好ましくない。
【0020】
(式中のR
1〜R
8は、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数7〜17のアラルキル基を示す。Xは炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数5〜12のシクロアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基である。nは0〜10の整数である。Yは、炭素数1〜6のアルキ
レン基、エーテル基、スルフィド基、ジスルフィド
基である。)
【0021】
本発明のポリカーボネートにおける一般式(I)中のYは、
メチレン基、スルフィド基である事が好ましい。
本発明のポリカーボネートにおける一般式(I)で表される構造において、R
1〜R
8が水素である事が好ましい。
本発明のポリカーボネートにおける一般式(I)で表される構造において、nが0である事が好ましい。
【0022】
本発明のポリカーボネートは、下記式(II)で表されるカーボネート単位を含有することが好ましい。式(II)の単位の含有量は、0〜98モル%であり、好ましくは10〜95モル%である。
【0024】
(式中、R
9、R
10は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のアリールオキシ基である。Yは炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数5〜12のシクロアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基である。nおよびmは0〜10の整数である。)
【0025】
本発明のポリカーボネートにおける一般式(II)で表される構造において、R
9、R
10が水素原子である事が好ましく、かつmが1である事が好ましい。
本発明のポリカーボネートの比粘度は、0.12〜0.40、好ましくは0.15〜0.35、さらに好ましくは0.18〜0.35の範囲である。比粘度は、0.7gのポリカーボネートを100mlの塩化メチレンに溶解し20℃で測定する。比粘度が0.12未満では成形体が脆くなり、0.40より高くなると溶融粘度および溶液粘度が高くなり、流動性が低下し、充填不足等の射出成形不良になる。また、湿式成形時の溶剤への溶解性、安定性が低下し、溶剤から析出するなど湿式成形が出来なくなる。
式(II)中、R
9〜R
10が水素原子であり、Zが炭素数2のエチレン基でありかつ、nおよびmが1である事が好ましい。
【0026】
本発明のポリカーボネートの屈折率は、好ましくは1.640〜1.72、より好ましくは1.645〜1.72、さらに好ましくは1.650〜1.72の範囲である。屈折率は25℃、波長589nmにおいて測定する。屈折率1.640以上の場合、レンズの球面収差を低減でき、さらにレンズの焦点距離を短くする事が出来る為好ましい。
【0027】
本発明のポリカーボネートのアッベ数(ν)は、好ましくは19〜25、より好ましくは19〜24、さらに好ましくは21〜23の範囲である。アッベ数は25℃、波長486nm、589nm、656nmの屈折率から下記式を用いて算出する。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nF:波長656nmでの屈折率
nC:波長486nmでの屈折率
【0028】
本発明のポリカーボネートの分光透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは81%以上、さらに好ましくは82%以上である。透過率は、厚さ0.1mmの成形板を波長395nmにおいて測定する。分光透過率が、80%以上でなければ、光学部材として好ましくない。
【0029】
本発明のポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120〜170℃、より好ましくは135〜160℃、さらに好ましくは140〜150℃である。ガラス転移温度(Tg)は昇温速度20℃/minにて測定する。Tgが120℃未満では、該ポリカーボネートを用いて形成した光学部品の使用する用途によっては耐熱性が十分でなく、一方Tgが170℃より高い場合では溶融粘度が高くなり、成形体を形成する上での取扱いが困難となる。
【0030】
本発明のポリカーボネートは、熱安定性の指標として、昇温速度20℃/minにて測定した5%重量減少温度が350℃以上であることが好ましく、380℃以上であることがより好ましい。5%重量減少温度が350℃より低い場合は、成形の際の熱分解が激しく、良好な成形体を得ることが困難となるため好ましくない。
本発明のポリカーボネートの280℃、せん断速度1000/secにおける溶融粘度は、好ましくは30〜300Pa・s、より好ましくは30〜250Pa・s、さらに好ましくは50〜150Pa・sである。
【0031】
本発明の共重合における耐湿熱性の指標となる85℃、85%RHの条件下で2000時間放置した後、比粘度保持率は、好ましくは、80%以上であり、より好ましくは、85%以上、さらに好ましくは、90%以上である。比粘度保持率が、80%以上であると、湿熱環境下で使用した際も色相悪化や成形品の強度定価がなく、共重合の使用環境に制限が無く好ましい。80%未満であると、比粘度低下に伴った強度が低下し、割れや変形が生じ好ましく、色相が悪化し好ましくない。
【0032】
本発明の共重合における耐熱性の指標となる加熱滞留試験後の比粘度保持率は、好ましくは、70%以上であり、より好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上である。比粘度保持率が、70%以上であると共重合の成形に制限が無く好ましく、成形温度が高い薄物成形品を成形する事が可能であり好ましい。また、成形品の色相も悪化する事無く好ましい。70%未満であると、比粘度低下に伴った成形品の強度が低下し、割れや変形が生じ好ましく、成形品の色相も悪化し好ましくない。また、射出成形する際の成形条件が制限され好ましくない。
【0033】
<ポリカーボネートの製造方法>
本発明のポリカーボネートは、ジオール成分とカーボネート前駆体を反応させることにより製造することができる。
【0034】
(ジオール成分)
本発明のポリカーボネートにおけるジオール成分の一つが下記式(III)で表されるジオールである。
【0036】
(式中のR
13〜R
20は、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数7〜17のアラルキル基を示す。Xは炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数5〜12のシクロアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基である。pは0〜10の整数である。Yは、炭素数1〜6のアルキ
レン基、エーテル基、スルフィド基、ジスルフィド
基を示す。
【0037】
該ジオールの含有量は、好ましくは100〜2モル%、より好ましくは90〜10モル%、さらに好ましくは80〜15モル%である。
本発明のポリカーボネートにおける一般式(III)で表されるジオールは、R
13〜R
20が水素原子である事が好ましい。
本発明の共重合におけるジオール成分の一つが下記式(IV)で表されるジオールである。
【0039】
(式中、R
11、R
12は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルコキシル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数6〜20のアリールオキシ基である。zは炭素数2〜8のアルキレン基、炭素数5〜12のシクロアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基である。oは0〜10の整数である。)
【0040】
本発明のポリカーボネートにおける一般式(III)で表されるジオールは、R
11〜R
12が水素原子である事が好ましい。
本発明のポリカーボネートにおける一般式(IV)で表されるジオールは、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンもしくは、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである事が好ましい。
該ジオールの含有量は、好ましくは98〜0モル%以上、より好ましくは95〜10モル%、さらに好ましくは90〜20モル%以上である。
【0041】
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、他のジオールを共重合してもよく、他のジオール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、スピログリコール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール等の脂環式ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ドロキシフェニル]−1−フェニルエタン、ビスフェノールA等の芳香族ジオール等が挙げられる。
【0042】
また、一般式(III)からなるジオール成分と一般式(IV)からなるジオール成分とのモル比は、100:0〜2:98の範囲であるとポリカーボネートからなる光学レンズの複屈折が特に小さくなり好ましい。さらに好ましくは、90:10〜5:95、より好ましくは、80:20〜10:90である。
【0043】
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、カルボン酸成分を共重合してもよく、その一例としては、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、tert−ブチルイソフタル酸等の単環式芳香族ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等の多環式芳香族ジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が上げられ、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、テレフタル酸が好ましい。また、これらの誘導体としては酸クロライドやエステル類が用いられる。
【0044】
(カーボネート前駆体)
カーボネート前駆体として、ホスゲンや、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンのビスクロロホーメートや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等の炭酸ジエステルが挙げられる。なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0045】
(製造方法)
ジオールとホスゲンとの反応では、非水系で酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
【0046】
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にジオールとビスアリールカーボネートを混合し、アルカリ金属化合物触媒もしくはアルカリ土類金属化合物もしくはその双方からなる混合触媒の存在下にて、減圧下通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
重合触媒としてはアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
【0047】
触媒として使用するアルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
【0048】
助触媒として使用する含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよく、これらの重合触媒の使用量はジオール成分の合計1モルに対して、10
−9〜10
−3モルの比率で用いられる。また、色相改善のために酸化防止剤や熱安定剤等を加えてもよい。
【0049】
本実施形態のポリカーボネートポリカーボネートは、重合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物については、一般的に、公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法が好適に実施される。これらの失活を行うとしては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn−プロピル、亜リン酸ジn−ブチル、亜リン酸ジn−ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチル等の亜リン酸エステル類、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチル等のリン酸エステル類、ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸等のホスホン酸類、フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類、ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p−トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。これらの失活剤は、触媒量に対して0.01〜50倍モル、好ましくは0.3〜20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を133〜13.3Paの圧力、200〜320℃の温度で脱揮除去する工程を設けても良い。
【0050】
<光学レンズ>
本発明の光学レンズは、本発明のポリカーボネートを例えば、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、キャスティングして成形することができる。
本発明の光学レンズには、本発明の目的を損なわない範囲で各種特性を付与するために、各種添加剤を含有してもよい。添加剤として、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、帯電防止剤、難燃剤、熱線遮蔽剤、蛍光染料(蛍光増白剤含む)、顔料、光拡散剤、強化充填剤、他の樹脂やエラストマー等を配合することができる。
【0051】
本発明の光学レンズ中の離型剤含有量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.005〜2.0重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.6重量部の範囲がより好ましく、0.02〜0.5重量部の範囲がさらに好ましい。
熱安定剤としては、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤およびヒンダードフェノール系熱安定剤が挙げられる。
【0052】
ポリカーボネート中の各安定剤の含有量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.001〜0.2重量部が好ましい。
リン系安定剤とヒンダードフェノール系熱安定剤は、併用することもできる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤およびシアノアクリレート系からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤が好ましい。
【0053】
ブルーイング剤としては、バイエル社のマクロレックスバイオレットBおよびマクロレックスブルーRR並びにクラリアント社のポリシンスレンブル−RLS等が挙げられる。ブルーイング剤は、ポリカーボネートの黄色味を消すために有効である。特に耐候性を付与したポリカーボネートの場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため紫外線吸収剤の作用や色によって成形体が黄色味を帯びやすい現実があり、特にシートやレンズに自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。
ブルーイング剤の配合量は、ポリカーボネートに対して好ましくは0.05〜1.5ppmであり、より好ましくは0.1〜1.2ppmである。
【0054】
本発明におけるポリカーボネートに、各種添加剤を添加するには、周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜340℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは250〜320℃である。320℃より高いと、ポリカーボネートが分解し、着色や、分解物による成形不良が増加し好ましくない。さらに200℃未満では、ポリカーボネートの粘度が高く、各種添加剤を均一分散する事が出来ない。又、溶融混練に際して、真空状態で行ってもよい。真空状態で溶融混練する事で、ポリカーボネートの残存PhOH等低分子量体が減り、成形不良が低減でき好ましい。真空度は、13.3kPa以下の圧力が好ましく、さらには、1.3kPa以下が好ましい。
【0055】
混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で
各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞれ別個
に定量供給する方法も用いることができる。
【0056】
また、本発明の光学レンズは、光学歪みが小さいことを特徴とする。一般的なビスフェノールAタイプのポリカーボネート樹脂からなる光学レンズは光学歪みが大きい。成形条件によりその値を低減することも不可能ではないが、その条件幅は非常に小さく成形が非常に困難となる。本発明のポリカーボネートは、樹脂の配向により生じる光学歪みが極めて小さく、また成形歪みも小さいため、成形条件を厳密に設定しなくても良好な光学素子を得ることができる。
【0057】
本発明の光学レンズを射出成形で製造する場合、シリンダー温度260〜320℃、金型温度100〜140℃の条件にて成形することが好ましい。
本発明の光学レンズは、必要に応じて非球面レンズの形で用いることが好適に実施される。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせで球面収差を取り除く必要がなく、軽量化および生産コストの低減化が可能になる。従って、非球面レンズは、光学レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。
【0058】
また、本発明のポリカーボネートは、流動性が高いため、薄肉小型で複雑な形状である光学レンズの材料として特に有用である。具体的なレンズサイズとして、中心部の厚みが0.05〜3.0mm、より好ましくは0.05〜2.0mm、さらに好ましくは0.1〜2.0mmである。また、直径が1.0mm〜20.0mm、より好ましくは1.0〜10.0mm、さらに好ましくは3.0〜10.0mmである。また、その形状として片面が凸、片面が凹であるメニスカスレンズであることが好ましい。
【0059】
本発明の光学レンズの表面には、必要に応じ、反射防止層あるいはハードコート層といったコート層が設けられていても良い。反射防止層は、単層であっても多層であっても良く、有機物であっても無機物であっても構わないが、無機物であることが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物が例示される。
また、本発明の光学レンズは、金型成形、切削、研磨、レーザー加工、放電加工、エッジングなど任意の方法により成形されてもよい。さらには、金型成形がより好ましい。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
実施例1〜6、比較例1〜2
評価用サンプルは以下の方法で調製した。
(a)キャストフィルム:
得られたポリカーボネート5gを塩化メチレン50mlに溶解させ、ガラスシャーレ上にキャストする。室温にて十分に乾燥させた後、該ポリカーボネートのTgから20℃以下の温度にて8時間乾燥して。キャストフィルムを作成した。
(b)非球面レンズ:
得られたポリカーボネートを120℃で8時間真空乾燥した後、成形温度Tg+110℃、金型温度Tg−10℃にて、住友重機械(株)製SE30DU射出成形機を用いて厚さ0.2mm、凸面曲率半径5mm、凹面曲率半径4mm、Φ5mmのレンズを射出成形した。
(c)成形片:
上記(b)と同様に、幅2.5cm、長さ5cm、厚みがそれぞれ1、2、3mmの成形片を射出成形した。
【0061】
評価は下記の方法によった。
(1)比粘度:重合終了後に得られたポリカーボネートペレットを十分に乾燥し、該ペレット0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(η
sp)を測定した。
【0062】
(2)共重合比:重合終了後に得られたポリカーボネートペレットを日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRを用いて測定した。
図1に示すように3.2〜4.8ppmの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンのエチレンに起因するピークと8.6〜6ppm付近の1,1’−ビ−2−ナフトールと9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンの芳香環に起因するピークの積分比から求めた。
【0063】
(3)ガラス転移点(Tg):該ポリカーボネートペレットをデュポン社製910型DSCにより、昇温速度20℃/minで測定した。
【0064】
(4)溶融粘度:重合終了後に得られたポリカーボネートペレットを120℃で4時間乾燥した後、東洋精機(株)製キャピログラフ1Dにより、280℃、せん断速度1,000/secにおける溶融粘度を測定した。
【0065】
(5)分光透過率:射出成形により得られた厚さ0.1mmの円板を、日立(株)製分光光度計U−3310を用いて測定した。評価は以下のようにした。
395nmにおける透過率が80%以上:○
395nmにおける透過率が80%より低い:×
【0066】
(6)屈折率(nd)、アッベ数(ν):(c)の手法により射出成形し得られた厚さ0.3mmの円板をATAGO製DR−M2のアッベ屈折計を用いて、25℃における屈折率(波長:589nm)及びアッベ数を測定した。
【0067】
(7)光学歪み:(b)の手法により成形した非球面レンズを二枚の偏光板の間に挟み直交ニコル法で後ろからの光漏れを目視することにより光学歪み評価した。評価は以下の基準で行った。
◎:殆ど光漏れがない。
○:僅かに光漏れが認められる。
×:光漏れが顕著である。
【0068】
(8)成形性:(b)の手法により成形した非球面レンズの充填不良、各成形不良、レンズの脆さ、金型付着物の有無等を目視にて確認した。評価は、500枚成形した際に欠陥品となる確率が、1%未満(◎)、1〜5%(○)5〜20%(△)、20%以下(×)で分類した。
【0069】
(9)耐湿熱性:1mm厚の成形片を85℃、85%RHの条件下で2000時間放置した後、該成形片0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定し、湿熱試験後の比粘度保持率(分子量保持率)を求めた。該比粘度保持率(分子量保持率)を耐湿熱性の指標とした。
Δηsp=(ηsp1/ηsp0)×100
※Δηsp:比粘度保持率、ηsp0:試験前の比粘度、ηsp1:試験後の比粘度
【0070】
(10)熱安定性(加熱滞留試験):住友重機械(株)製SE30DU射出成形機にて、成形温度Tg+110℃で10分間、該ポリカーボネートを加熱溶融させた後、金型温度Tg−10℃にて、幅2.5cm、長さ5cm、厚み2mmの成形品を成形した。該成形片0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定し、比粘度保持率(分子量保持率)を求めた。該比粘度保持率(分子量保持率)を耐熱性の指標とした。
Δηsp=(ηsp1/ηsp0)×100
※Δηsp:比粘度保持率、ηsp0:試験前の比粘度、ηsp1:試験後の比粘度
【0071】
実施例1
1,1’−チオビス−2−ナフトール(以下“TBN”と省略することがある)127.36重量部、DPC89.97重量部、及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.82×10
−2重量部を攪拌機および留出装置付きの反応釜に入れ、窒素雰囲気常圧下、180℃に加熱し、20分間撹拌した。その後、20分かけて減圧度を20〜30kPaに調整し、60℃/hrの速度で260℃まで昇温し、エステル交換反応を行った。その後、260℃に保持したまま、120分かけて0.13kPa以下まで減圧し、260℃、0.13kPa以下の条件下で1時間攪拌下重合反応を行った。 該ポリカーボネートは、比粘度は0.23、Tgは129℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。耐湿熱性は、良好で湿熱試験後の比粘度保持率は、90%であった。また、耐熱性も良好で耐熱性試験後の比粘度保持率は、85%であった。
【0072】
実施例2
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下“BPEF”と省略する)63.68重量部、TBNと63.68重量部とする以外は、実施例1と同様に重合した。
該ポリカーボネートはBPEFとTBNとのモル比が50:50であり、比粘度は0.240、Tgは138℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。耐湿熱性は、良好で湿熱試験後の比粘度保持率は、90%であった。また、耐熱性も良好で耐熱性試験後の比粘度保持率は、90%であった。
【0073】
実施例3
BPEF140.32重量部、TBNと25.47重量部とする以外は、実施例1と同様に重合した。
該ポリカーボネートはBPEFとTBNとのモル比が80:20であり、比粘度は0.23、Tgは143℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。耐湿熱性は、良好で湿熱試験後の比粘度保持率は、95%であった。また、耐熱性も良好で耐熱性試験後の比粘度保持率は、85%であった。
【0074】
実施例4
BPEF157.86重量部、TBNと12.74重量部とする以外は、実施例1と同様に重合した。
該ポリカーボネートはBPEFとTBNとのモル比が90:10であり、比粘度は0.22、Tgは145℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。耐湿熱性は、良好で湿熱試験後の比粘度保持率は、95%であった。また、耐熱性も良好で耐熱性試験後の比粘度保持率は、90%であった。
【0075】
実施例5
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と省略する)75.70重量部、TBNと63.68重量部とする以外は、実施例1と同様に重合した。
該ポリカーボネートはBCFとTBNとのモル比が50:50であり、比粘度は0.15、Tgは168℃、であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。耐湿熱性は、良好で湿熱試験後の比粘度保持率は、85%であった。また、耐熱性も良好で耐熱性試験後の比粘度保持率は、90%であった。
【0076】
実施例6
BPEF87.70重量部、1,1−メチレンジ−2−ナフトール(以下“MBN”と省略する)と60.07重量部とする以外は、実施例1と同様に重合した。
該ポリカーボネートはBPFEとMBNとのモル比が50:50であり、比粘度は0.21、Tgは140℃、であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。耐湿熱性は、良好で湿熱試験後の比粘度保持率は、95%であった。また、耐熱性も良好で耐熱性試験後の比粘度保持率は、80%であった。
【0077】
比較例1
BPEF175.40重量部、TBN0.0重量部、DPC94.26g、260℃、0.13kPa以下の条件下での反応時間を0.5時間とするとする以外は、実施例1と同様に重合した。
該ポリカーボネートはBPEFとTBNとのモル比が100:0であり、比粘度は0.223、Tgは147℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。
【0078】
比較例2
2,2−ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と省略する)114重量部(50モル%相当)、BPEF219重量部(50モル%相当)とジフェニルカーボネート218重量部およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド9.1×10
−3重量部、水酸化ナトリウム4.0×10
−4重量部を、攪拌装置、蒸留器および減圧装置を備えた反応層に仕込み、窒素置換をした後140℃で溶融した。30分攪拌後、内温を180℃に上昇しつつ徐々に減圧し100mmHgで30分間反応させ生成するフェノールを留去した。
次に200℃に昇温しつつ徐々に減圧し、50mmHgで30分間フェノールを留出せしめ反応させた。さらに220℃/30mmHgまで除々に昇温、減圧し、同温、同圧で30分、さらに240℃/10mmHg、260℃/1mmHgまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返して反応を続行し、最終的に260℃/1mmHg以下で1時間反応せしめた。
その後装置内を窒素置換し、末端封止剤としてビス(2―メトキシカルボニルフェニル)カーボネート10.3重量部を添加して5分間攪拌したのち徐々に減圧し、最終的に260℃/1mmHgで30分間攪拌した。その後装置内を窒素置換し、中和剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩1.2×10
−2重量部を添加し攪拌した。以上の要領で重合を行ったところ、反応物の溶融粘度は低く、重合は順調に進行した。
該ポリカーボネートはBPEFとBPAとのモル比が50:50であり、比粘度は0.47、Tgは、147℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。
【0079】
比較例3
8.8%(w/v)の水酸化ナトリウム水溶液580Lに、1,1’−ビ−2−ナフトール2.86kg(以下BN)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPA)9.12kg及びハイドロサルファイト10gを加え溶解した。これにメチレンクロライド36Lを加え、15℃に保ちながら撹拌しつつ、p−ターシャルブチルフェノール375gを加え、ついでホスゲン5kgを50分かけて吹き込んだ。
吹き込み終了後、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム5gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後20mlのトリエチルアミンを加え、約1時間撹拌し重合させた。重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液の導電率が10μS以下になるまで水洗を繰り返した後、精製樹脂液を得た。得られた精製樹脂液を、強攪拌されている45℃の温水に樹脂液をゆっくり滴下し、溶媒を除去しつつ重合物を固形化した。固形物を濾過後、乾燥して白色粉末状重合体を得た。
該ポリカーボネートはBNとBPAとのモル比が20:80であり、比粘度は0.380、Tgは165℃であった。
作成したポリマーを120℃で4時間真空乾燥した後、得られる樹脂組成物の重量を基準としてビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.050%、ペンタエリスリトールテトラステアレートを0.10%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化した。
【0080】
【表1】
【0081】
実施例1〜6で得られたポリカーボネートは屈折率が極めて高く、且つ成形流動性が良好であるため、射出成形により得られる光学レンズの光学歪みが小さい。さらに、充分な耐熱性を有し光学レンズとして優れる。 これに対して、比較例1、2、3で得られたポリマーは屈折率が低く光学レンズとしては、性能に劣る。さらに、比較例2,3で得られたポリマーは比粘度が大きいため、溶融粘度が高くなり、該ポリマーより得られる光学レンズの光学歪みが大きく、成形性が悪い。