特許第6097672号(P6097672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097672
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】リッドロック構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/34 20140101AFI20170306BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   E05B83/34
   B60K15/05 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-234995(P2013-234995)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-94160(P2015-94160A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴也
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−224727(JP,A)
【文献】 実開平1−129456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に取付けられ、開位置と閉位置とへ移動可能とされたリッドと、
前記本体に設けられ、軸方向に沿って係合位置と係合解除位置とへ移動可能とされたロックピンと、
前記リッドに設けられたロック部材と、
前記ロック部材に形成され、前記係合位置となった前記ロックピンが係合することで前記リッドを閉状態に保持する係合部と、
前記係合部の開口面に沿って移動可能とされ、前記ロックピンが係合した前記開口面を開放する開位置と、前記開口面を閉じ前記ロックピンの前記係合部への係合を阻止する閉位置とへ移動可能とされたシャッターと、
前記シャッターを前記開位置から前記閉位置方向へ付勢する付勢部材と、
を有するリッドロック構造。
【請求項2】
前記ロック部材に形成され、前記リッドの前記開位置から前記閉位置方向への移動により、前記ロックピンを前記係合位置から前記係合解除位置方向へ押し戻すと共に、前記ロックピンを前記シャッターの閉側端にガイドし、前記シャッターを開放させるガイド部を有する請求項1に記載のリッドロック構造。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記ロック部材の前記リッド閉方向先端から前記係合部の開口面に向かって傾斜した傾斜面であり、前記傾斜面の端部が前記閉位置にある前記シャッターの閉側端に至っている請求項2に記載のリッドロック構造。
【請求項4】
前記シャッターは、前記ロック部材に形成された溝部に沿って摺動可能とされている請求項1〜3の何れか1項に記載のリッドロック構造。
【請求項5】
前記ロック部材に設けられ、前記リッドに形成された被取付け部に係合される取付け部を有する請求項1〜4の何れか1項に記載のリッドロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の壁面に形成された開口部を開閉可能に設けられたリッドを閉位置に保持するためのリッドロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の構成では、フューエルフィラドア(リッド)を閉位置に保持するフックに、車体側に設けたストッパが係合すると共に、ケーブルの牽引操作によって、ストッパを係合解除位置へ移動することで、リッドが開くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−121330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、例えば、寒冷地等において、凍結によりリッドが給油口の周囲に固着された状態となり、ケーブルを牽引操作しても、リッドが開放されない場合がある。この場合、ケーブルの牽引操作を停止すると、ストッパが係合位置へ移動することで、リッドが再度ロックしてしまう。そのため、運転者は、リッドの凍結を手で叩く等して取り除き、再び、運転席に戻ってケーブルの牽引操作によりロック状態を解除する必要がある。従って、運転者は二度に亘ってケーブルの牽引操作をしなければならない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、リッドの再ロックを防止できるリッドロック構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るリッドロック構造は、本体に取付けられ、開位置と閉位置とへ移動可能とされたリッドと、前記本体に設けられ、軸方向に沿って係合位置と係合解除位置とへ移動可能とされたロックピンと、前記リッドに設けられたロック部材と、前記ロック部材に形成され、前記係合位置となった前記ロックピンが係合することで前記リッドを閉状態に保持する係合部と、前記係合部の開口面に沿って移動可能とされ、前記ロックピンが係合した前記開口面を開放する開位置と、前記開口面を閉じ前記ロックピンの前記係合部への係合を阻止する閉位置とへ移動可能とされたシャッターと、前記シャッターを前記開位置から前記閉位置方向へ付勢する付勢部材と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、本体に開位置と閉位置とへ移動可能に取付けられたリッドが、閉位置にある場合には、リッドに設けられたロック部材に形成された係合部に、本体に軸方向に沿って移動可能に設けられたロックピンが係合し係合位置となる。このため、ロックピンがリッドを閉位置に保持する。このとき、係合部の開口面に沿って移動可能とされたシャッターは、ロックピンが係合した係合部の開口面を開放する開位置となっている。
【0008】
一方、リッドの開くための操作によって、ロックピンが軸方向へ後退して係合部から外れた係合解除位置になると、シャッターがロックピンから外れ、付勢部材の付勢力によって係合部の開口面を閉じ、ロックピンの係合部への係合を阻止する閉位置へ移動する。このため、リッドが閉位置に留まった状体で、リッドを開くための操作が停止され、ロックピンが係合部に再度係合しようとした場合には、閉位置にあるシャッターによって、ロックピンの係合部への係合が阻止される。この結果、リッドの再ロックが防止される。
【0009】
本発明の請求項2に係るリッドロック構造は、請求項1に記載のリッドロック構造において、前記ロック部材に形成され、前記リッドの前記開位置から前記閉位置方向への移動により、前記ロックピンを前記係合位置から前記係合解除位置方向へ押し戻すと共に、前記ロックピンを前記シャッターの閉側端にガイドし、前記シャッターを開放させるガイド部を有する。
【0010】
上記構成によれば、リッドが開位置から閉位置方向へ移動することにより、ロックピンがガイド部によって、係合位置から係合解除位置方向へ押し戻される。また、リッドが開位置から閉位置方向へ移動することにより、ロックピンがシャッターの閉側端にガイドされ、ロックピンによりシャッターが開放される。このため、リッドが閉位置になったときに、ロックピンが係合部に確実に係合される。
【0011】
本発明の請求項3に係るリッドロック構造は、請求項2に記載のリッドロック構造において、前記ガイド部は、前記ロック部材の前記リッド閉方向先端から前記係合部の開口面に向かって傾斜した傾斜面であり、前記傾斜面の端部が前記閉位置にある前記シャッターの閉側端に至っている。
【0012】
上記構成によれば、リッドが開位置から閉位置方向へ移動することにより、ロックピンが、ロック部材のリッド閉方向先端から係合部の開口面に向かって傾斜した傾斜面に沿って移動し、傾斜面の端部が至っているシャッターの閉側端に当たる。このため、簡単な構成で、リッドが閉位置になったときに、ロックピンが係合部に確実に係合される。
【0013】
本発明の請求項4に係るリッドロック構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載のリッドロック構造において、前記シャッターは、前記ロック部材に形成された溝部に沿って摺動可能とされている。
【0014】
上記構成によれば、シャッターがロック部材に形成された溝部に沿って摺動するため、シャッターとロック部材とが一体となる。この結果、ロック部材にロックピンを係合するための構成と、シャッターによってリッドの再ロックを防止する構成とをコンパクトな構成とすることができる。
【0015】
本発明の請求項5に係るリッドロック構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載のリッドロック構造において、前記ロック部材に設けられ、前記リッドに形成された被取付け部に係合される取付け部を有する。
【0016】
上記構成によれば、ロック部材に設けられた取付け部を、リッドに形成された被取付け部に係合することで、ロック部材をリッドに容易に取り付けることができる。また、ロック部材に設けられた取付け部と、リッドに形成された被取付け部との係合を解除することで、ロック部材をリッドから容易に取り外すことができる。このため、ロック部材の交換等のンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の本発明によれば、リッドの再ロックを防止できる。
【0018】
請求項2に記載の本発明によれば、リッドが閉位置になったときに、ロックピンが係合部に確実に係合される。
【0019】
請求項3に記載の本発明によれば、簡単な構成で、リッドが閉位置になったときに、ロックピンが係合部に確実に係合される。
【0020】
請求項4に記載の本発明によれば、ロック部材にロックピンを係合するための構成と、シャッターによってリッドの再ロックを防止する構成とをコンパクトな構成とすることができる。
【0021】
請求項5に記載の本発明によれば、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のロック部材のシャッター閉状態を示す車体斜め後方から見た斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のロック部材のシャッター開状態を示す車体斜め後方から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のロック部材を示す一部を断面とし車体斜め後方から見た斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のロック部材を示す一部を断面とし車体斜め前方から見た斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のリッド開状態を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のリッド閉作動状態を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るリッドロック構造のリッド閉状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態)
本発明のリッドロック構造の一実施形態について図1図8に従って説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは本実施形態のリッドロック構造が適用された自動車車体の前方を示し、矢印INは車幅内側方向を示している。また、以下説明するリッドロック構造は、一例として車両(自動車)の側壁部分に設けられている。
【0024】
図5に示すように、本実施形態では、車体の側壁部を構成する本体としてのボディーパネル10を備えており、このボディーパネル10には給油口12が車幅方向内側へ向かって凹陥されている。なお、給油口12の底部(車幅方向内側部)12Aには、図示していないが、キャップで閉塞された燃料注入用パイプの端部が配置されており、燃料注入用パイプは燃料タンクに接続されている。
【0025】
給油口12の開口面にはリッドとしてのフューエルリッド14が設けられている。図示していないが、フューエルリッド14は前部がヒンジによって、ボディーパネル10に取付けられており、ヒンジを回転中心にして、給油口12の開口面を塞ぐ閉位置(図5の位置)と、開口面を開く開位置とへ移動可能となっている。なお、図示していないが、ヒンジにはフューエルリッド14を閉位置から開位置方向(図5の矢印Aと反対方向)へ付勢するスプリングが設けられている。
【0026】
給油口12の車体後方側の側壁部12Bには、ロックピン16が進退可能に設けられている。より具体的に説明すると、ロックピン16は、ボディーパネル10の給油口12の側壁部12Bに固定されたケース18の内部に軸方向となる車体前後方向へ移動可能に挿入されている。そして、ケース18の内部に先端16Aの近傍まで挿入される後退位置(図5の実線の位置)と、ケース18から先端16Aが大きく突出する前進位置(図5の二点鎖線の位置)とへ移動可能となっている。
【0027】
なお、ケース18の内部には、ロックピン16を後退位置から前進位置方向(図5の矢印B方向)へ付勢するコイルスプリング20が設けられている。また、ロックピン16には、ワイヤ22が連結されており、このワイヤ22は、運転席付近に配設された図示しないフューエルリッドオープナと連結されている。従って、フューエルリッドオープナが開操作されることで、ワイヤ22を介してロックピン16がコイルスプリング20の付勢力に抗してロック解除位置方向(図5の矢印D方向)へ軸方向移動し、ロックピン16の先端16Aがロック部材30の係合凹部40から抜け出し、ロック状態が解除されるようになっている。
【0028】
フューエルリッド14の裏面側には、取付け部14Aが設けられており、この取付け部14Aには被取付け部としての係合孔26が形成されている。また、取付け部14Aにおける取付け孔26の車体前方側には、所定の間隔を開けて取付け孔28が形成されている。
【0029】
フューエルリッド14の裏面側には、ブロック形状のロック部材30が設けられており、ロック部材30は、取付け壁部30Aがフューエルリッド14の取付け部14Aに固定されている。また、ロック部材30の取付け壁部30Aの後部からは、給油口12の底方向へ向かって本体部30Bが延設されている。
【0030】
ロック部材30の取付け壁部30Aには、取付け部としてのフック32が車幅方向外側へ突出形成されており、フック32の先端部32Aは車体後方へ屈曲されている。そして、フック32の先端部32Aが、取付け部14Aの係合孔26に係合するようになっている。また、ロック部材30の取付け壁部30Aにおけるフック32の前方には長孔34が、その長手方向をフック32の先端部32Aの屈曲方向(前後方向)に沿って形成されている。そして、長孔34と取付け孔28とを挿通するスタッドボルト36にはナット38が締結されている。
【0031】
従って、ロック部材30に設けられたフック32の先端部32Aを、フューエルリッド14の取付け部14Aの係合孔26に係合し、ロック部材30の長孔34とフューエルリッド14の取付け部14Aとを挿通するスタッドボルト36にナット38を締結することでロック部材30をフューエルリッド14に容易に取り付けることができるようになっている。また、スタッドボルト36とナット38とを外し、フック32と係合孔26との係合を解除することで、ロック部材30をフューエルリッド14から容易に取り外すことができるようになっている。
【0032】
図2に示すように、ロック部材30の本体部30Bの後部30Cの中央部には係合部としての係合凹部40が凹陥されており、係合凹部40の開口面は矩形となっている。また、本体部30Bの後部30Cにおける係合凹部40の下方側には、ガイド部としての傾斜面44が形成されている。なお、傾斜面44は、傾斜面44の幅方向両外側に位置する本体部30Bの傾斜部30Eに比べて傾斜角度が大きくなっており、傾斜面44は本体部30Bの傾斜部30Eに比べて凹んでいる。
【0033】
図1に示すように、ロック部材30の本体部30Bの内部にはシャッター42が設けられている。また、シャッター42は矩形板状となっており、幅方向両端部42Aが、それぞれロック部材30の本体部30Bの幅方向両端部にそれぞれ形成された溝部46に摺動可能に挿入されている。
【0034】
図3に示すように、シャッター42の閉側端の幅方向中央部42Bにおける裏面側には凸部50が突出形成されている。この凸部50と取付け壁部30Aとの間には、付勢部材としてのコイルスプリング52が設けられており、このコイルスプリング52はシャッター42を開位置から閉位置方向(図4の矢印C方向)へ付勢している。
【0035】
図6に示すように、傾斜面44は、ロック部材30のリッド閉方向先端(図6の下方側先端)30Dから係合凹部40の開口面に向かって傾斜した平面となっている。また、傾斜面44における係合凹部40側の端部44Aが、閉位置にあるシャッター42の閉側端の幅方向中央部42Bに至っている。一方、シャッター42は係合凹部40の開口面に沿って閉方向(図3の矢印C方向)と開方向(図3の矢印E方向)とへ移動可能とされている。より具体的に説明すると、シャッター42は、ロックピン16が係合した係合凹部40の開口面を開放する開位置(図8の位置)と、係合凹部40の開口面を閉じロックピン16の係合凹部40への係合を阻止する閉位置(図5の位置)とへ移動可能とされている。
【0036】
従って、図6に示すように、フューエルリッド14が閉方向(図6の矢印A方向)へ移動すると、前進位置にあるロックピン16の先端16Aが、ロック部材30の本体部30Bの傾斜面44に当たり、傾斜面44と摺動して、後退位置方向(図6の矢印D方向)へ移動するようになっている。即ち、傾斜面44からの分力によってロックピン16がコイルスプリング20の付勢力に抗して後退位置方向(図6の矢印D方向)へ移動するようになっている。
【0037】
さらに、図7に示すように、フューエルリッド14が閉方向(図7の矢印A方向)へ移動すると、ロックピン16がシャッター42の閉側端の幅方向中央部42Bに達し、シャッター42をコイルスプリング52の付勢力に抗して、開位置から閉位置方向(図3の矢印E方向)へ移動するようになっている。
【0038】
そして、図8に示すように、フューエルリッド14が閉位置へ達すると、ロックピン16がコイルスプリング20の付勢力によってロック位置方向(図8の矢印B方向)へ軸方向移動し、ロックピン16の先端16Aがロック部材30の係合凹部40内へ入り込むようになっている。
【0039】
なお、図4に示すように、シャッター42の幅方向両端部42Aにおける裏面側の閉側端にはストッパ51がそれぞれ突出形成されている。また、これらのストッパ51が係合凹部40の開口縁部40Aに当たることで、シャッター42が閉位置に停止するようになっている。
【0040】
図1に示すように、本体部30Bの後壁部30Cにおける傾斜面44側の縁部を除く他の外周部にはプロテクタ56が突出形成されている。
【0041】
図8に示すように、プロテクタ56は、ボディーパネル10とフューエルリッド14との隙間にドライバー等の工具57が挿入された際に、工具57の先端57Aがシャッター42やロックピン16に到達するのを防止するようになっている。
【0042】
(本実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0043】
図8に示すように、フューエルリッド14が閉位置にある状態では、ロックピン16がコイルスプリング20の付勢力によって、ロック部材30の係合凹部40へ係合している。また、シャッター42はコイルスプリング52によって開位置から閉位置方向(図3の矢印C方向)へ付勢されており、ロックピン16の外周部に当たっている。このため、ロックピン16は前進位置にあり、シャッター42は開位置に保持されている(ロック状態)。
【0044】
このロック状態で、運転者が運転席にてフューエルリッドオープナを開操作すると、ワイヤ22を介してロックピン16がコイルスプリング20の付勢力に抗してロック解除位置方向(図8の矢印D方向)へ軸方向移動する。そして、ロックピン16のロック解除位置方向への軸方向移動量が所定量に達すると、ロックピン16の先端16Aがロック部材30の係合凹部40から抜け出し、ロック状態が解除される。
【0045】
図5に実線で示すように、ロックピン16がロック解除位置方向へさらに軸方向移動すると、ロックピン16の先端16Aがシャッター42から外れ後退位置となる。このため、シャッター42はコイルスプリング52の付勢力によって、係合凹部40の開口面を閉じ、ロックピン16の係合凹部40への係合を阻止する閉位置(図5の位置)へ移動する。また、図4に示すように、シャッター42のストッパ51が係合凹部40の開口縁部40Aに当たることで、シャッター42が閉位置に停止する。
【0046】
このため、運転者がフューエルリッドオープナの開操作を停止し、ロックピン16がコイルスプリング20の付勢力によって、後退位置から前進位置方向(図5の矢印B方向)へ軸方向移動しても、ロックピン16の先端16Aがシャッター42に当たりロックピン16の移動が阻止される。この結果、閉位置にあるシャッター42によって、ロックピン16のロック部材30の係合凹部40への係合が阻止され、フューエルリッド14の再ロックを防止できる。
【0047】
従って、寒冷地等において、凍結によりフューエルリッド14が給油口12の周囲に固着された状態となり、フューエルリッドオープナを開操作しても、フューエルリッド14が開放されない場合でも、フューエルリッド14の再ロックが防止される。このため、降車した運転者が、フューエルリッド14が凍結により開いていないことを知り、手で叩く等してフューエルリッド14の凍結状態を解除することで、フューエルリッド14はヒンジを回転中心にして開放可能となる。この結果、運転者は運転席に再び戻ってフューエルリッドオープナの開操作をする必要がない。
【0048】
図6に示すように、給油作業が終了後、運転者によってフューエルリッド14が手動にて閉方向(図6の矢印A方向)へ移動されると、フューエルリッド14が閉方向へ移動していく。この際、前進位置にあるロックピン16の先端16Aが、ロック部材30の本体部30Bの傾斜面44に当たり、傾斜面44と摺動して、後退位置方向(図6の矢印D方向)へ移動する。即ち、傾斜面44からの分力によってロックピン16がコイルスプリング20の付勢力に抗して後退位置方向(図6の矢印D方向)へ移動する。その後、ロックピン16がシャッター42の閉側端の幅方向中央部42Bに達し、ロックピン16の外周部がシャッター42の閉側端の幅方向中央部42Bに当たる。
【0049】
図7に示すように、フューエルリッド14が閉位置方向(図7の矢印A方向)へさらに移動すると、ロックピン16によってシャッター42がコイルスプリング52の付勢力に抗して、開位置から閉位置方向(図3の矢印E方向)へ移動する。
【0050】
図8に示すように、フューエルリッド14が閉位置方向(図7の矢印A方向)へさらに移動し、フューエルリッド14が閉位置へ達する。この際、ロックピン16がロック部材30の係合凹部40に対応した時点で、ロックピン16がコイルスプリング20の付勢力によってロック位置方向(図8の矢印B方向)へ軸方向移動する。このため、ロックピン16の先端16Aがロック部材30の係合凹部40内へ入り込む。この結果、フューエルリッド14が閉位置になったときに、ロックピン16が係合凹部40に確実に係合される。
【0051】
また、本実施形態では、ガイド部が、ロック部材30のリッド閉方向先端(図6の下方側先端)から係合凹部40の開口面に向かって伸びる傾斜面44となっている。このため、簡単な構成で、フューエルリッド14が閉位置になったときに、ロックピン16が係合凹部40に確実に係合される。
【0052】
また、本実施形態では、シャッター42がロック部材30に形成された溝部46に沿って摺動する。このため、シャッター42とロック部材30とが一体となる。この結果、ロック部材30にロックピン16を係合するための構成と、シャッター42によってフューエルリッド14の再ロックを防止する構成とをコンパクトな構成とすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、ロック部材30に設けられたフック32の先端部32Aを、フューエルリッド14の取付け部14Aの係合孔26に係合し、ロック部材30の長孔34とフューエルリッド14の取付け部14Aとを挿通するスタッドボルト36にナット38を締結することでロック部材30をフューエルリッド14に容易に取り付けることができる。また、スタッドボルト36とナット38とを外し、フック32と係合孔26との係合を解除することで、ロック部材30をフューエルリッド14から容易に取り外すことができる。このため、ロック部材30の交換等のメンテナンス性が向上する。また、ボディーパネル10側の加工を最小限にして、フューエルリッド14の再ロックを防止できるリッドロック構造を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、本体部30Bの後壁部30Cに形成したプロテクタ56によって、ボディーパネル10とフューエルリッド14との隙間に、盗み等の目的で、ドライバー等の工具57が挿入された際に、工具57の先端57Aがシャッター42やロックピン16に到達するのを防止できる。
【0055】
(実施形態の補足説明)
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態のリッドロック構造では、本体としてのボディーパネル10にリッドとしてのフューエルリッド14を取付ける構成について説明したが、本発明のリッドロック構造は、ボディーパネル10以外の本体に、フューエルリッド14以外のリッドを取付ける構成にも適用可能である。
【0056】
また、上記実施形態のリッドロック構造では、傾斜面44を平面としたが、傾斜面44を凸形状等の湾曲面としてもよい。また、ガイド部は傾斜面44に限定されず、ロック部材30に形成され、フューエルリッド14の開位置から閉位置方向への移動により、ロックピン16を係合位置から係合解除位置方向へ押し戻すと共に、ロックピン16をシャッター42の閉側端の幅方向中央部42Bにガイドし、シャッター42を開放させることができる他の構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施形態のリッドロック構造では、係合部を係合凹部40としたが、係合凹部40に代えて、係合凸部等の他の係合部をロック部材30に形成した構成としてもよい。
【0058】
また、上記実施形態のリッドロック構造では、付勢部材としてコイルスプリング52を使用したが、コイルスプリング52に代えて、板ばね等の他の付勢部材を使用した構成としてもよい。
【0059】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0060】
10 ボディーパネル(本体)
14 フューエルリッド(リッド)
16 ロックピン
26 係合孔(被取付け部)
28 取付け孔
30 ロック部材
32 フック(取付け部)
34 長孔
40 係合凹部(係合部)
42 シャッター
44 傾斜面(ガイド部)
46 溝部
52 コイルスプリング(付勢部材)
56 プロテクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8