特許第6097673号(P6097673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097673
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】遊技機用入賞装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A63F7/02 316B
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-239200(P2013-239200)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-97661(P2015-97661A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇輔
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−018087(JP,A)
【文献】 特開昭64−037979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に当接する台板と、
前記台板の前面側に設けられる意匠板と、
前記台板と前記意匠板との間に設けられ、内端を支点として回動することにより、遊技球が通過不能な閉状態及び前記遊技球が通過可能な開状態に切替可能な一対の羽根部材と
を備え、
前記意匠板の裏側の領域であって、前記一対の羽根部材間の領域に、前記一対の羽根部材が前記開状態であるときに前記遊技球が流入しうる空間が画成され、
前記台板の後面側に、前記空間に流入し、前記空間から遊技機の後方に延びる入賞経路を通過した前記遊技球を検知する遊技球検知手段が設けられる
遊技機用入賞装置において、
前記遊技機用入賞装置は、前記遊技盤面上の右側領域に配設されたゲートよりも下方に配設され、
前記一対の羽根部材は、前記ゲートへの遊技球の通過を契機として前記開状態に切替可能であり、
前記一対の羽根部材の内端の間に、前記遊技機の前方に位置する始端から前記遊技機の後方に位置する終端に行くに従って低くなる斜面を有し、前記空間に流入した前記遊技球を前記斜面に沿って導いて前記遊技球検知手段側に案内する案内部材が設けられ、
前記斜面の始端の高さは、一方の羽根部材側よりも他方の羽根部材側が高くなっており、前記遊技盤面上の左側領域側が前記右側領域側よりも高くなっている
ことを特徴とする遊技機用入賞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機の遊技盤面に設けられる遊技機用入賞装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ機においては、遊技機用入賞装置の一種である始動入賞装置への遊技球の入賞を契機として、複数種類の図柄を変動させる図柄変動ゲームが行われている。そして、図柄変動ゲームの結果が大当りとなった場合には、大当り遊技が付与され、1回の大当り遊技において複数のラウンドが連続的に実行されるようになっている。また、始動入賞装置には、一対の羽根部材からなる普通電動役物が一体的に構成されている。なお、一対の羽根部材は、ゲートへの遊技球の通過を契機として開始される普通図柄変動ゲームの結果が当りとなる場合に、ソレノイドの励磁作用によって互いに反対方向(時計回り方向、反時計回り方向)に回動することにより、遊技球が通過不能な閉状態から遊技球が通過可能な開状態に切り替えられる。
【0003】
ところが、一対の羽根部材が開状態に切り替えられているときに、遊技球が一方の羽根部材の上面に沿って導かれて始動入賞装置内に勢い良く流入すると、流入した遊技球がそのまま他方の羽根部材の上面に沿って導かれて始動入賞装置外に飛び出してしまうことがある。特に、遊技盤面上の右側領域を狙って遊技球を発射(いわゆる右打ち)する場合には、遊技者は、操作ハンドルを大きく右に回すことによって遊技球を高速で打ち出すため、遊技球の発射速度が大変速い。この場合、発射された遊技球は、強い勢いを維持したままの状態で始動入賞装置に誘導されるため、一方の羽根部材(右側の羽根部材)側から流入した遊技球が他方の羽根部材(左側の羽根部材)側から飛び出す可能性が高い。その結果、図柄変動ゲームが開始されることで大当りとなる可能性があると思っている遊技者の期待を裏切ってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、始動入賞装置を構成する意匠板(表飾り)の裏面に突起を設け、始動入賞装置内に流入した遊技球を突起に衝突させて勢いを弱めることにより、遊技球の飛び出しを防止する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−334207号公報(図1図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の従来技術では、始動入賞口内に流入した遊技球が突起に衝突するとは限らないため、遊技球の飛び出しを防止できない可能性が高い。つまり、遊技者に与える心証は悪いままであるため、興趣の低下を防止できないという問題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、一方の羽根部材側から流入した遊技球が他方の羽根部材側から飛び出すことを確実に防止することにより、興趣の低下を防止することが可能な遊技機用入賞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1(手段1)に記載の発明は、遊技盤面に当接する台板と、前記台板の前面側に設けられる意匠板と、前記台板と前記意匠板との間に設けられ、内端を支点として回動することにより、遊技球が通過不能な閉状態及び前記遊技球が通過可能な開状態に切替可能な一対の羽根部材とを備え、前記意匠板の裏側の領域であって、前記一対の羽根部材間の領域に、前記一対の羽根部材が前記開状態であるときに前記遊技球が流入しうる空間が画成され、前記台板の後面側に、前記空間に流入し、前記空間から遊技機の後方に延びる入賞経路を通過した前記遊技球を検知する遊技球検知手段が設けられる遊技機用入賞装置において、前記遊技機用入賞装置は、前記遊技盤面上の右側領域に配設されたゲートよりも下方に配設され、前記一対の羽根部材は、前記ゲートへの遊技球の通過を契機として前記開状態に切替可能であり、前記一対の羽根部材の内端の間に、前記遊技機の前方に位置する始端から前記遊技機の後方に位置する終端に行くに従って低くなる斜面を有し、前記空間に流入した前記遊技球を前記斜面に沿って導いて前記遊技球検知手段側に案内する案内部材が設けられ、前記斜面の始端の高さは、一方の羽根部材側よりも他方の羽根部材側が高くなっており、前記遊技盤面上の左側領域側が前記右側領域側よりも高くなっていることを特徴とする遊技機用入賞装置をその要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に記載の発明によると、一方の羽根部材側から流入した遊技球が、案内部材の斜面上において、一方の羽根部材側から他方の羽根部材側に向かって進んだとしても、一方の羽根部材側よりも他方の羽根部材側の方が斜面の始端が高くなっているため、遊技球は、斜面の他方の羽根部材側を乗り越えて他方の羽根部材に到達しにくくなる。その結果、遊技球が他方の羽根部材側から飛び出すことを防止できるため、遊技者の入賞への期待を裏切らなくて済み、興趣の低下を防止することが可能となる。
【0010】
ここで、遊技機用入賞装置としては、遊技球の入賞を契機として図柄変動ゲームの開始条件を付与する始動入賞装置、図柄変動ゲームの結果が大当りになった場合に付与される大当り遊技中に、遊技球が通過可能な開状態に切り替えられる大入賞装置などが挙げられる。
【0011】
手段2に記載の発明は、上記手段1において、前記意匠板の裏面に、前記案内部材の上方に位置するように突部が設けられていることをその要旨とする。
【0012】
従って、手段2に記載の発明によると、一方の羽根部材側から流入した遊技球が他方の羽根部材側に向かって進んだとしても、遊技球は、突部に衝突した後で案内部材上に落下するため、他方の羽根部材側に到達しにくくなる。その結果、案内部材と突部との両方によって、他方の羽根部材側からの遊技球の飛び出しを確実に防止できるため、興趣の低下を確実に防止することができる。
【0013】
手段3に記載の発明は、上記手段1または2において、前記意匠板は、前記台板の前面側に配置され、前記一対の羽根部材の少なくとも内端を覆う前板、及び、前記一対の羽根部材の下方に配置され、前記前板と前記台板とを連結する下板を備え、前記案内部材は、前記下板から上方に突出しかつ前記前板に接続され上端面が前記斜面の一部を構成する案内リブを、前記遊技機の横方向に隙間を隔てて複数配置してなり、前記一方の羽根部材側に位置する案内リブの前記上端面の始端よりも、前記他方の羽根部材側に位置する案内リブの前記上端面の始端が高くなっていることをその要旨とする。
【0014】
従って、手段3に記載の発明によると、一方の羽根部材側から流入した遊技球が、一方の羽根部材側に位置する案内リブから他方の羽根部材側に位置する案内リブに向かって進んだとしても、一方の羽根部材側に位置する案内リブよりも他方の羽根部材側に位置する案内リブの方が斜面の始端が高くなっているため、遊技球は、他方の羽根部材側に位置する案内リブを乗り越えて他方の羽根部材に到達しにくくなる。その結果、遊技球が他方の羽根部材側から飛び出すことをより確実に防止できるため、興趣の低下をより確実に防止することができる。また、案内部材に沿って導かれる遊技球は、隣接する一対の案内リブの隙間に下端部が嵌り込んだ状態で流下し、遊技球検知手段側に案内される。その結果、遊技球が、隣接する一対の案内リブの間から脱落して他方の羽根部材側に到達しにくくなるため、遊技球の飛び出しをよりいっそう確実に防止することができる。さらに、案内リブは前板及び下板の両方に接続されるものであるため、案内リブによって前板及び下板を補強することができる。しかも、案内リブは、下板から突出し、下板の上端面側で遊技球を支持するものであるため、流入した遊技球が案内リブに衝突した際には、遊技球からの衝撃を案内リブ及び下板の両方で受けることができる。よって、案内リブを、遊技球の衝突に強いものとすることができる。
【0016】
遊技盤面上の右側領域にゲートが配設され、ゲートへの遊技球の通過を契機として一対の羽根部材が開状態に切り替えられる場合、遊技者は、ゲートを狙って遊技球を発射(いわゆる右打ち)する。この場合、遊技者は、操作ハンドルを大きく右に回すことによって遊技球を高速で打ち出すため、遊技球の発射速度が大変速い。よって、遊技球をゲートに通過させた後で、そのまま右打ちを継続して遊技球を遊技機用入賞装置に入賞させる際には、発射された遊技球が、強い勢いを維持したままの状態で遊技機用入賞装置に誘導されるため、一方(右側)の羽根部材側から流入した遊技球が他方(左側)の羽根部材側から飛び出す可能性が高くなる。
【0017】
そこで、請求項に記載の発明では、案内部材の斜面における遊技盤面上の左側領域側を、斜面における遊技盤面上の右側領域側よりも高くしている。このため、右側の羽根部材側から流入した遊技球が、案内部材の斜面上において、右側領域側から左側領域側に向かって進んだとしても、遊技球は、斜面の左側領域側を乗り越えて左側の羽根部材に到達しにくくなる。その結果、遊技球が左側の羽根部材側から飛び出すことを防止できるため、遊技者の入賞への期待を裏切らなくて済み、興趣の低下を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、請求項に記載の発明によれば、一方の羽根部材側から流入した遊技球が他方の羽根部材側から飛び出すことを確実に防止することにより、興趣の低下を防止することが可能な遊技機用入賞装置を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明におけるパチンコ機を示す概略正面図。
図2】遊技盤を示す正面図。
図3】主制御基板とその他の基板との接続関係を説明するためのブロック図。
図4】始動入賞装置を示す正面図。
図5図4のA−A線断面図。
図6図4のB−B線断面図。
図7図4のC−C線断面図。
図8】始動入賞装置を示す分解斜視図。
図9】台板を示す正面図。
図10】意匠板及び羽根部材を示す分解斜視図。
図11】始動入賞装置における遊技球の動きを示す説明図。
図12】他の実施形態における意匠板を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の遊技機をパチンコ機10に具体化した一実施形態を図面に基づき説明する。
【0021】
(1)パチンコ機10全体の概略構成
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されている。このパチンコ機10は機体の外郭をなす縦長方形状の外枠11を備えている。外枠11には、機体を構成する縦長方形状の中枠12が、開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、前枠14が横開き状態で開閉可能に組み付けられている。前枠14は、中央部に窓口14aを有するとともに、窓口14aの下方に上球皿15が一体的に組み付けられた構造を有している。前枠14の裏面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス(図示略)が組み付けられている。また、前枠14の前面には、上側枠ランプ16a、左側枠ランプ16b及び右側枠ランプ16cが設けられている。各枠ランプ16a〜16cは、図示しない発光体(本実施形態では発光ダイオード)を備えた発光手段であり、発光体にレンズ部材を覆い被せることによって構成されている。これらの枠ランプ16a〜16cでは、パチンコ機10の各種遊技の演出態様(大当り、リーチなど)に応じて点灯(点滅)・消灯などの発光演出が実行されるようになっている。
【0022】
さらに、図1に示されるように、前枠14の下部には、下球皿18が一体的に組み付けられている。下球皿18の右方には、打球発射装置(図示略)を構成する操作ハンドル19が装着されている。そして、遊技者が操作ハンドル19を回動操作すると、上球皿15に貯留された遊技球A1(図4図7等参照)は、打球発射装置によって発射されて遊技盤13の遊技盤面13a(図2参照)上に導かれるようになる。なお、本実施形態では、前枠14の下部に下球皿18及び操作ハンドル19が一体的に組み付けられているが、下球皿18及び操作ハンドル19を中枠12の前面側において前枠14の下方に組み付けるようにしてもよい。
【0023】
(2)遊技盤13の構成
図2に示される遊技盤13は、ベニヤ板などの木製基板の表面に樹脂製のセルを貼付することによって略矩形板状に形成されている。なお、遊技盤13は、アクリル樹脂などの樹脂材料の射出成形によって略矩形板状に形成されたものであってもよい。遊技盤13の遊技盤面13aには、遊技球A1が流下可能な遊技領域を区画する内レール33a及び外レール33bが略円形状に敷設されている。内レール33aと外レール33bとの間に生じる発射経路33には、操作ハンドル19を操作した際に発射された遊技球A1が通過するようになっている。そして、打球発射装置によって発射されて発射経路33を通過した遊技球A1は、発射経路33の終端部から遊技領域に進入し、遊技領域内を流下するようになっている。また、遊技領域の略全域には、複数の遊技釘35が配設されている。遊技釘35は、遊技領域内を流下する遊技球A1の方向を変更するようになっている。
【0024】
図2に示されるように、遊技盤面13aの略中央部には、開口部50aを有する枠状のセンター役物50が装着されている。なお、遊技盤13の裏側には、演出図柄表示装置60が着脱自在に取り付けられている。演出図柄表示装置60の表示画面は、センター役物50の開口部50aを介して遊技盤13の前面側から視認可能となっている。なお、本実施形態の演出図柄表示装置60は液晶式であるが、ドットマトリクス式、エレクトロルミネッセンス素子式、7セグメント式、ドラム式の演出図柄表示装置であってもよい。また、演出図柄表示装置60では、変動画像(または画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われるようになっている。そして、演出図柄表示装置60では、表示演出に関連して、複数種類の演出図柄を3列で変動させる演出図柄変動ゲームが表示されるようになっている。なお、演出図柄は「0」〜「9」の10通りの数字を示す図柄である。
【0025】
図2図4図7に示されるように、遊技盤面13a上におけるセンター役物50の下方位置には、上側始動入賞口51a及び下側始動入賞口51bが形成された『遊技機用入賞装置』である始動入賞装置51が配設されている。始動入賞装置51の奥方には、上側始動入賞口51aに入賞した遊技球A1を検知する上側始動口スイッチSE1(図3図5図8参照)と、下側始動入賞口51bに入賞した遊技球A1を検知する『遊技球検知手段』である下側始動口スイッチSE2(図3図5図8参照)とが設けられている。始動口スイッチSE1,SE2は、始動入賞装置51に入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。一方、始動口スイッチSE1,SE2は、遊技球A1を検知していないときにオフ状態となり、入賞信号を出力しなくなる。なお、入賞信号が出力された場合には、特別図柄表示装置61による特別図柄変動ゲームが行われるとともに、演出図柄表示装置60による演出図柄変動ゲームが行われ、所定数(本実施形態では3個)の賞球の払い出しが行われる。
【0026】
図2図4図5に示されるように、始動入賞装置51には、一対の羽根部材91a,91bからなる普通電動役物が一体的に構成されている。一方の羽根部材91aは、遊技盤面13a上の右側領域側に位置しており、他方の羽根部材91bは、遊技盤面13a上の左側領域側に位置している。一対の羽根部材91a,91bは、普通電動役物ソレノイドSOL1(図3図5図8参照)の励磁作用により、遊技球A1が通過不能な閉状態、及び、遊技球A1が通過可能な開状態に切替可能となっている。本実施形態において、「閉状態」とは、一対の羽根部材91a,91bが閉じることにより、下側始動入賞口51bが塞がれている状態をいう。一方、「開状態」とは、一対の羽根部材91a,91bが開くことにより、遊技球A1を下側始動入賞口51bに入賞させることが可能となる状態をいう。
【0027】
図2に示されるように、遊技盤面13a上における始動入賞装置51の下方には、大入賞装置53が配設されている。また、大入賞装置53には、大入賞口扉53aからなる特別電動役物が設けられている。大入賞口扉53aは、大入賞口ソレノイドSOL2(図3参照)の励磁作用により、遊技球A1が通過不能な閉鎖状態、及び、遊技球A1が通過可能な開放状態に切替可能となっている。本実施形態において、「閉鎖状態」とは、大入賞口扉53aが完全に閉じている状態をいい、「開放状態」とは、大入賞口扉53aが完全に開いた状態をいう。また、大入賞装置53の奥方には、入賞した遊技球A1を検知するカウントスイッチSE3(図3参照)が設けられている。なお、カウントスイッチSE3にて遊技球A1が検知された場合には、所定数(本実施形態では15個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。
【0028】
また、センター役物50の右側には、遊技球A1の通過を検知する機能を有するゲート54が設けられている。即ち、上記した始動入賞装置51は、ゲート54よりも下方に配設されている。なお、センター役物50の右側に配置された遊技釘35は、センター役物50の右側を通過する遊技球A1の一部をゲート54へ誘導するようになっている。即ち、ゲート54は、遊技盤面13a上の右側領域(具体的には、センター役物50の右側を通る遊技球A1の流路上)に配置されている。
【0029】
さらに、ゲート54の奥方には、通過した遊技球A1を検知するゲートスイッチSE4(図3参照)が設けられている。なお、ゲート54への遊技球A1の通過を契機として(ゲートスイッチSE4にて遊技球A1が検知された場合に)乱数(普通当り判定用乱数)を取得し、取得した乱数が所定の乱数値(普通当り判定値)であるか否かを判定した結果に基づいて普通電動役物ソレノイドSOL1が駆動される。このような判定(普通当り判定)によって普通電動役物の一対の羽根部材91a,91bが開状態に切り替えられるため、下側始動入賞口51bに遊技球A1が入賞しやすくなる。
【0030】
図2に示されるように、センター役物50の右下方には、可視表示部を備えた特別図柄表示装置61が配設されている。特別図柄表示装置61では、始動入賞装置51への遊技球A1の入賞を契機として、複数種類の特別図柄(本実施形態では、「0」〜「9」の10種類の図柄)を変動させる特別図柄変動ゲームが表示され、該特別図柄変動ゲームの結果として、大当り及びハズレの表示結果が表示されるようになっている。例えば、特別図柄変動ゲームの結果が大当りとなる場合、特別図柄変動ゲームの終了時に、特別図柄として「0」〜「9」の10通りの数字を示す図柄が表示される。一方、特別図柄変動ゲームの結果がハズレとなる場合、特別図柄変動ゲームの終了時に、特別図柄としてハズレを示す「−」の図柄が表示される。
【0031】
さらに、本実施形態では、特別図柄表示装置61での特別図柄変動ゲームに合わせて、演出図柄表示装置60による演出図柄変動ゲームが行われる。具体的には、特別図柄変動ゲームの開始とほぼ同時に演出図柄変動ゲームが開始され、特別図柄変動ゲームの終了(大当りまたはハズレの結果が表示)とほぼ同時に演出図柄変動ゲームの結果が表示されるようになっている。なお、本実施形態では、演出図柄表示装置60で行われる演出図柄変動ゲームと特別図柄表示装置61で行われる特別図柄変動ゲームとを「変動ゲーム」と称している。
【0032】
(3)パチンコ機10の電気的構成
図3に示されるように、このパチンコ機10は、主制御基板21、統括制御基板22、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24を備えている。主制御基板21には統括制御基板22が電気的に接続され、統括制御基板22には、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24が電気的に接続されている。
【0033】
(3−1)主制御基板21の電気的構成
主制御基板21は、パチンコ機10を制御するメインCPU21aを備えている。メインCPU21aには、上側始動口スイッチSE1、下側始動口スイッチSE2、カウントスイッチSE3及びゲートスイッチSE4が接続されている。また、メインCPU21aには、特別図柄表示装置61、普通電動役物ソレノイドSOL1及び大入賞口ソレノイドSOL2が接続されている。
【0034】
図3に示されるメインCPU21aには、メインROM(図示略)及びメインRAM(図示略)が電気的に接続されている。メインCPU21aは、特別図柄変動ゲームに係る各種抽選に用いる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数などの各種乱数の値や、普通図柄変動ゲームに係る抽選に用いる普通当り判定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期ごとに更新している。そして、メインCPU21aは、更新後の値をメインRAMの乱数記憶領域に設定して更新前の値を書き換えている。
【0035】
なお、大当り判定用乱数は、変動ゲームが大当りか否かを判定する際(大当り判定時)に用いられる乱数である。大当り図柄用乱数は、変動ゲームの結果が大当りとなる場合に特別図柄を決定する際に用いられる乱数である。普通当り判定用乱数は、普通図柄変動ゲームが当りか否かを決定する際(普通当り判定時)に用いられる乱数である。
【0036】
次に、図3に示されるメインCPU21aが実行する変動ゲームに係る各種処理(大当り判定、大当り図柄、ハズレ図柄の決定など)を説明する。
【0037】
まず、メインCPU21aは、上側始動口スイッチSE1または下側始動口スイッチSE2からの入賞信号が入力されたか否かを判定する。そして、入賞信号が入力されたと判定された場合、メインCPU21aは、特別図柄変動ゲームを実行させる制御を行う。具体的に言うと、メインCPU21aは、乱数抽選によって抽出されて所定の周期ごとに更新される大当り図柄用乱数の値をメインRAMから取得し、取得した値をメインRAMの乱数記憶領域に格納(記憶)する。また、メインCPU21aは、始動入賞条件の成立を契機として、乱数抽選によって抽出されて所定の周期ごとに更新される大当り判定用乱数の値をメインRAMから取得し、取得した値をメインRAMの乱数記憶領域に格納(記憶)する。
【0038】
次に、図3に示されるメインCPU21aは、入賞信号が入力された場合に、特別図柄変動ゲーム(変動ゲーム)の結果が大当りなるか否かを判定するようになっている。詳述すると、メインCPU21aは、特別図柄変動ゲームの開始直前に、メインRAMの乱数記憶領域に格納されている大当り判定用乱数の値をメインROMに記憶されている大当り判定値とを比較して、特別図柄変動ゲームの当否を判定する大当り判定(大当り抽選)を行う。なお、本実施形態では、大当り判定用乱数のとりうる数値を0〜599(全600通りの整数)としている。そして、メインCPU21aは、大当り判定用乱数のとりうる数値の中から2個の大当り判定値を用いて、大当りの抽選確率を600分の2(=300分の1)として大当り判定を行う。
【0039】
大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、メインCPU21aはハズレを決定する。そして、メインCPU21aは、ハズレを示す「−」の図柄を特別図柄として決定する。さらに、メインCPU21aは、決定した特別図柄に対応したデータを、次回の特別図柄変動ゲームに係る処理を行うまでの間、メインRAMに記憶する。
【0040】
一方、大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、図3に示されるメインCPU21aは大当りを決定する。大当りの決定がなされると、メインCPU21aは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶された大当り図柄用乱数の値に基づいて、「0」〜「9」のいずれか1つを示す特別図柄を決定する。そして、メインCPU21aは、決定した特別図柄に対応したデータを、次回の特別図柄変動ゲームに係る処理を行うまでの間、メインRAMに記憶する。また、メインCPU21aは、特別図柄が決定されると、特別図柄表示装置61に特別図柄の変動を開始させる。
【0041】
さらに、メインCPU21aは、大当り判定による判定結果が大当りとなる場合に、特別図柄の変動時間を短縮する変動時間短縮状態を付与するか否かを判定する。具体的に言うと、メインCPU21aは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶された大当り図柄用乱数の値が「1」,「3」,「5」,「7」,「9」のいずれかである場合に、変動時間短縮状態を付与すると判定する。一方、メインCPU21aは、大当り図柄用乱数の値が「0」,「2」,「4」,「6」,「8」のいずれかである場合に、変動時間短縮状態を付与しないと判定する。
【0042】
そして、図3に示されるメインCPU21aは、変動時間短縮状態を付与すると判定された場合に、大当り遊技の終了後に変動時間短縮状態を付与する。なお、変動時間短縮状態は、複数回(本実施形態では100回)の図柄の変動表示が実行されるまでの間、継続されるようになっているが、次回の大当り遊技が開始されるまでの間、継続されるようになっていてもよい。
【0043】
(3−2)統括制御基板22の電気的構成
図3に示されるように、統括制御基板22は統括制御CPU22aを備えており、統括制御CPU22aには統括ROM(図示略)及び統括RAM(図示略)が接続されている。統括RAMには、遊技演出の決定に用いる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
【0044】
なお、統括制御CPU22aは、メインCPU21aから入力された各種コマンドに基づいて、演出図柄変動ゲームの終了時に演出図柄表示装置60に停止表示される演出図柄を生成するようになっている。そして、統括制御CPU22aは、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24に遊技演出の実行を指示する指示コマンドを、表示制御基板23の表示制御CPU23a、及び、音声・ランプ制御基板24の音声・ランプ制御CPU24aに出力するようになっている。これにより、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24が実行する遊技演出の具体的な内容が、統括制御基板22によって統括的に制御される。
【0045】
(3−3)表示制御基板23の電気的構成
図3に示されるように、表示制御基板23は表示制御CPU23aを備えており、表示制御CPU23aには表示ROM(図示略)及び表示RAM(図示略)が接続されている。表示ROMには、演出図柄変動ゲームが行われる際に用いられる表示演出データが記憶されている。表示演出データとは、表示制御CPU23aが、演出図柄表示装置60の表示内容(図柄変動など)を制御するための情報である。また、表示RAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
【0046】
そして、統括制御CPU22aから指示コマンドが入力されると、表示制御CPU23aは、表示ROMに記憶されている表示演出データを図柄信号に変換し、演出図柄表示装置60に出力する。その結果、演出図柄表示装置60は、図柄信号に基づき所定の表示(演出図柄変動ゲームなど)を行うことができるようになる。
【0047】
(3−4)音声・ランプ制御基板24の電気的構成
図3に示されるように、音声・ランプ制御基板24は音声・ランプ制御CPU24aを備えており、音声・ランプ制御CPU24aには音声・ランプROM(図示略)及び音声・ランプRAM(図示略)が接続されている。音声・ランプROMには、演出図柄変動ゲームが行われる際に用いられる発光演出データ及び音声演出データが記憶されている。発光演出データとは、音声・ランプ制御CPU24aが、枠ランプ16a〜16cの発光出力態様を制御するための情報である。音声演出データとは、音声・ランプ制御CPU24aが、スピーカ17(図3参照)の音声出力態様(効果音の種類、言語音声の種類、音声出力時間など)を制御するための情報である。また、音声・ランプRAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
【0048】
そして、統括制御CPU22aから指示コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶されている発光演出データを発光制御信号に変換し、枠ランプ16a〜16cに出力する。その結果、枠ランプ16a〜16cは、発光制御信号に基づき所定の発光動作(点灯、点滅など)を行うことができるようになる。また、音声・ランプ制御CPU24aは、音声・ランプROMに記憶されている音声演出データを音声信号に変換し、スピーカ17に出力する。その結果、スピーカ17は、音声信号に基づき所定の出力動作(音声の出力)を行うことができるようになる。
【0049】
(4)始動入賞装置51の構成
図4図10に示されるように、始動入賞装置51は、台板71、意匠板81及び一対の羽根部材91a,91bを備えている。台板71は、遊技盤13への取り付けの際に遊技盤面13aに当接するものである。台板71は、樹脂材料(例えばABS樹脂等)の射出成形によって形成され、全面に鏡面処理(本実施形態では銀色のめっき)が施されている。
【0050】
また、台板71には、複数(本実施形態では4個)のネジ挿通孔72が設けられている。なお、ネジ挿通孔72にネジ(図示略)を挿通し、挿通したネジの先端部を遊技盤13に螺着させる。その結果、台板71が遊技盤13に固定される。さらに、台板71の後面71bには、後方に突出する略円筒状のボス76が一対設けられている。各ボス76は、前ケース121(図8参照)に設けられた一対の張出部123内に収容されている。そして、各張出部123の後面には、実装面に複数の発光ダイオード(図示略)が実装された発光基板77がそれぞれ取り付けられている。なお、発光基板77に設けられたネジ挿通孔及び張出部123に設けられたネジ孔を挿通したネジを、ボス76に設けられたネジ穴に螺着させる。その結果、発光基板77が台板71に固定される。
【0051】
図4図8図10図11に示されるように、意匠板81は、台板71の前面71a側に設けられるものであり、前板82と、前板82の裏面81aの下端部から後方(台板71側)に突出する下板83とによって側面視略L字状に構成されている。意匠板81は、樹脂材料(例えば、無色透明のABS樹脂等)の射出成形によって形成されており、前板82のみが着色されている。前板82は、台板71の前面71a側に配置され、閉状態に切り替えられた場合に、一対の羽根部材91a,91bの全体を覆う一方、開状態に切り替えられた場合には、両羽根部材91a,91bの内端側のみを覆うようになっている。また、下板83は、両羽根部材91a,91bの下方に配置されている。下板83には、先端面(後端面)において開口する一対のネジ穴84が設けられている。さらに、下板83には、先端面から突出する一対の位置決めピン85が設けられている。なお、台板71に設けられた位置決め孔73(図8図9参照)に位置決めピン85を係合させた状態で、台板71に設けられたネジ挿通孔74(図8図9参照)を挿通したネジをネジ穴84に螺着させる。その結果、前板82と台板71とが連結される。
【0052】
また、図5図7に示されるように、前板82の裏面81a側には、上側始動入賞口51aを通過した遊技球A1を検知する上側始動口スイッチSE1が設けられている。詳述すると、上側始動口スイッチSE1は、一方の端部を前ケース121側の収容部に挿入した状態で、前ケース121に後ケース122を係合させることにより、前ケース121と後ケース122とによって挟み込まれた状態に保持される。また、台板71の上端部には、上側始動入賞口51aを通過した遊技球A1を上側始動口スイッチSE1側に案内する前側始動口用球通路79が設けられている。前側始動口用球通路79は、上側始動入賞口51a側に位置する始端から上側始動口スイッチSE1側に位置する終端に行くに従って低くなる斜面を有している。さらに、前ケース121には、上側始動口スイッチSE1の前方に位置するとともに、前側始動口用球通路79に接続される後側始動口用球通路125が形成されている。後側始動口用球通路125は、前側始動口用球通路79に沿って導かれた遊技球A1を、上側始動口スイッチSE1側に導くようになっている。なお、上側始動口スイッチSE1側に導かれた遊技球A1は、上側始動口スイッチSE1を通過した後、始動入賞装置51の外部に排出される。
【0053】
さらに、図4図8図10図11に示されるように、一対の羽根部材91a,91bは、台板71と意匠板81との間に設けられている。詳述すると、前板82(意匠板81)の裏面81aには、後方に突出する一対の軸部86a,86bが設けられている(図8図9参照)。そして、両軸部86a,86bを羽根部材91a,91bの軸穴部92a,92bにそれぞれ挿通し、軸部86a,86bの先端部を台板71の挿入孔75a,75b(図8図9参照)に挿入する。その結果、一対の羽根部材91a,91bが、内端(軸部86a,86b)を支点として回動可能となり、閉状態及び開状態に切替可能になる。また、両羽根部材91a,91bの内端側には、後方に突出する一対の連結片93a,93bが設けられている。両連結片93a,93bは、台板71の開口部78に挿入されている。そして、開口部78の開口縁に連結片93a,93bの外周面が当接することにより、羽根部材91a,91bの回動範囲が規制されるようになる。なお、図5図7図11に示されるように、意匠板81の裏側の領域であって、両羽根部材91a,91b間の領域には、両羽根部材91a,91bが開状態であるときに遊技球A1が流入しうる空間A2が画成されている。
【0054】
また、図5図8に示されるように、始動入賞装置51は、羽根部材91a,91bを駆動する普通電動役物ソレノイドSOL1を備えている。普通電動役物ソレノイドSOL1は、ケース100に収容されており、ケース100にある取付部100aに設けたネジ孔を用いて、後ケース122にネジ止めされている。また、普通電動役物ソレノイドSOL1は、ソレノイド本体101と、ソレノイド本体101に対して出没可能なプランジャ102とを備えている。プランジャ102は、励磁状態においてソレノイド本体101内に没入するようになっている。また、プランジャ102は、非励磁状態においてコイルバネ103に付勢されてソレノイド本体101から突出するようになっている。
【0055】
また、始動入賞装置51はアーム部111を備えている。アーム部111には、一対のアーム軸112a,112bが設けられている。なお、両アーム軸112a,112bを前ケース121に形成された軸受凹部121aに挿入した状態で、前ケース121に後ケース122を係合させることにより、アーム軸112a,112bは、前ケース121と後ケース122とによって挟み込まれた状態に保持される。その結果、アーム部111は、アーム軸112a,112bを中心として回動可能になる。また、アーム軸112a,112bには、前方に延びる一対のアーム113a,113bが設けられ、両アーム113a,113bの先端部には、一対の連結凹部114a,114bが設けられている。両連結凹部114a,114bは、台板71の開口部78を挿通して台板71の後面71b側に突出した羽根部材91a,91bの連結片93a,93bを保持するためのものである。さらに、アーム部111におけるアーム軸112aの近傍には係合片115が設けられており、係合片115はソレノイドピン104に設けられた係合孔105に係合するようになっている。なお、ソレノイドピン104は、プランジャ102の先端部に取り付けられるものである。これにより、アーム部111は、プランジャ102に同期して動くようになる。
【0056】
従って、普通電動役物ソレノイドSOL1が励磁状態になると、プランジャ102及びソレノイドピン104が後方に移動するのに伴ってアーム部111が回動する。このとき、アーム部111の連結凹部114a,114bが上方に移動するのに伴い、連結凹部114a,114bに保持される連結片93a,93bも上方に移動する。その結果、両羽根部材91a,91bは、先端部が互いに離間する方向に回動し、開状態となる(図4図5図11参照)。一方、普通電動役物ソレノイドSOL1が非励磁状態になると、コイルバネ103の付勢力により、プランジャ102及びソレノイドピン104が前方に移動するのに伴ってアーム部111が回動する。このとき、連結凹部114a,114bが下方に移動するのに伴い、連結片93a,93bも下方に移動する。その結果、両羽根部材91a,91bが、先端部が互いに接近する方向に回動し、閉状態となる。
【0057】
(4−1)突部131の構成
図5図8図10図11に示されるように、意匠板81(前板82)の裏面81aであって両軸部86a,86b間の位置には、突部131が設けられている。突部131は、下側始動入賞口51bを通過して空間A2に流入した遊技球A1を、空間A2からパチンコ機10の後方に導くようになっている。また、突部131は、意匠板81の上下方向から見て断面略台形状をなし、意匠板81の上下方向に沿って延びている。詳述すると、突部131は、裏面81aに対して傾斜するテーパ面132aを上端部に備えるとともに、同じく裏面81aに対して傾斜するテーパ面132bを両側部に備えている。なお、裏面81aに対するテーパ面132a,132bの傾斜角度は、互いに等しくなっている(本実施形態では45°)。また、突部131の突出量は、意匠板81の裏面81aと台板71の前面71aとの離間距離の大きさから遊技球A1の直径の大きさ(11mm)を引いて得られる値よりも小さく設定されている。
【0058】
(4−2)案内部材141の構成
図5図8図10図11に示されるように、両羽根部材91a,91bの内端の間には案内部材141が設けられている。案内部材141は、平面視で直線状をなす2つの案内リブ142a,142bをパチンコ機10の横方向に隙間を隔てて配置することにより、構成されている。また、各案内リブ142a,142bは、突部131の両側にそれぞれ配置されている。各案内リブ142a,142bは、下板83から上方に突出しかつ前板82に接続され、下板83及び前板82と直交した状態に配置されている。なお、案内リブ142a,142b間に生じる隙間の大きさは、遊技球A1の直径よりも小さく、かつ突部131の幅よりも小さく設定されている。
【0059】
また、案内部材141は、パチンコ機10の前方に位置する始端S1,S3(図6図7参照)からパチンコ機10の後方に位置する終端S2,S4(図6図7参照)に行くに従って低くなる斜面151を有している。案内部材141は、空間A2に流入した遊技球A1を斜面151に沿って導いて下側始動口スイッチSE2(図5図7参照)側に案内するようになっている。また、各案内リブ142a,142bは、上端面が斜面151の一部を構成している。
【0060】
具体的に言うと、案内リブ142aは、両羽根部材91a,91bの内端の間において羽根部材91a寄りに配置され、上流側に位置する第1傾斜面152a(図7図10図11参照)と、第1傾斜面152aの下流側に位置する第2傾斜面153a(図7図10図11参照)とを有している。第1傾斜面152aの長さは、第2傾斜面153aの長さよりも短くなっている。また、下板83の上面に対する第2傾斜面153aの傾斜角度θ2(図7参照)は、下板83の上面に対する第1傾斜面152aの傾斜角度θ1(図7参照)よりも小さく設定されている。
【0061】
一方、案内リブ142bは、両羽根部材91a,91bの内端の間において羽根部材91b寄りに配置され、上流側に位置する第1傾斜面152b(図6図10図11参照)と、第1傾斜面152bの下流側に位置する第2傾斜面153b(図6図10図11参照)とを有している。第1傾斜面152bの長さは、第2傾斜面153bの長さよりも短くなっている。また、下板83の上面に対する第2傾斜面153bの傾斜角度θ4(図6参照)は、下板83の上面に対する第1傾斜面152bの傾斜角度θ3(図6参照)よりも小さく設定されている。
【0062】
なお、図6図7図10図11に示されるように、斜面151の始端S1,S3の高さは、一方の羽根部材91a側よりも他方の羽根部材91b側が高くなっている。換言すると、斜面151の始端S1,S3の高さは、遊技盤面13a上の左側領域側が右側領域側よりも高くなっている。具体的に言うと、一方の羽根部材91a側に位置する案内リブ142aの上端面の始端S1よりも、他方の羽根部材91b側に位置する案内リブ142bの上端面の始端S3が高くなっている。なお、突部131の上端は、案内部材141(案内リブ142a,142b)の上端よりも上方に位置している。一方、突部131の下端は、案内リブ142aの上端よりも上方、かつ案内リブ142bの上端よりも下方に位置している。また、斜面151の終端S2,S4の高さは、一方の羽根部材91a側においても他方の羽根部材91b側においても同じ高さとなっている。換言すると、終端S2,S4の高さは、遊技盤面13a上の左側領域側においても遊技盤面13a上の右側領域側においても同じ高さとなっている。具体的に言うと、案内リブ142aの上端面の終端S2の高さと、案内リブ142bの上端面の終端S4の高さとが等しくなっている。
【0063】
図5図7に示されるように、台板71の後面71b側には、空間A2に流入し、空間A2からパチンコ機10の後方に延びる入賞経路R1を通過した遊技球A1を検知する下側始動口スイッチSE2が設けられている。詳述すると、下側始動口スイッチSE2は、一方の端部を前ケース121側の収容部に挿入するとともに、他方の端部を後ケース122側の収容部に挿入した状態で、前ケース121に後ケース122を係合させることにより、前ケース121と後ケース122とによって挟み込まれた状態に保持される。また、前ケース121には、下側始動口スイッチSE2の前方に位置するとともに、案内部材141(具体的には、斜面151の終端S2,S4)に接続される下側始動口用球通路124が形成されている。下側始動口用球通路124は、案内部材141側に位置する始端から下側始動口スイッチSE2側に位置する終端に行くに従って低くなる斜面を有している。下側始動口用球通路124は、下側始動入賞口51bを通過して空間A2に流入し、案内部材141によって案内された遊技球A1を、下側始動口スイッチSE2側に導くようになっている。なお、下側始動口スイッチSE2側に導かれた遊技球A1は、下側始動口スイッチSE2を通過した後、始動入賞装置51の外部に排出される。
【0064】
次に、遊技の手順を説明する。
【0065】
(A)まず、遊技者は、始動入賞装置51の上側始動入賞口51aを狙って遊技球A1を発射(いわゆる左打ち)する。そして、遊技球A1が上側始動入賞口51aに入賞すると、特別図柄を変動させる特別図柄変動ゲームが開始されるとともに、演出図柄を変動させる演出図柄変動ゲームが開始される。なお、これらの変動ゲームは、遊技球A1が上側始動入賞口51aに入賞する度に繰り返し行われる。
【0066】
(B)ところで、所定の変動ゲームにおいて、大当り判定の判定結果が例えば大当りになる場合がある。この場合、大入賞装置53の大入賞口扉53aが開放状態となる大当り遊技が付与される。また、遊技者は、発射経路33の終端部から大入賞装置53に到達するまでの経路R2(図2参照)に沿って遊技球A1を発射(いわゆる右打ち)する。そして、大入賞装置53内に進入した遊技球A1がカウントスイッチSE3を通過すると、賞球の払い出しが行われるようになる。
【0067】
(C)また、メインCPU21aは、変動時間短縮状態を付与するか否かを判定する。具体的に言うと、メインCPU21aは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶された大当り図柄用乱数の値に基づいて、特別図柄が、変動時間短縮状態を開始させる契機となる特定図柄であるか、変動時間短縮状態を開始させる契機とはならない非特定図柄であるかを判定する。そして、特別図柄が非特定図柄であると判定された場合、メインCPU21aは、変動時間短縮状態を付与しないと判定する。一方、特別図柄が特定図柄であると判定された場合、メインCPU21aは、変動時間短縮状態を付与すると判定する。この場合、大当り遊技後に変動時間短縮状態が付与されるようになる。
【0068】
(D)さらに、大当り遊技中であって変動時間短縮状態が付与されていないときに、ゲート54(図2参照)を通過した遊技球がゲートスイッチSE4によって検知されると、メインCPU21aは、メインRAMから読み出した普通当り判定用乱数の値とメインROMに記憶されている普通当り判定値とを比較して普通図柄変動ゲームにおける普通当り判定を行う。なお、本実施形態では、普通当り判定用乱数のとりうる数値を0〜240(全241通りの整数)としている。そして、メインCPU21aは、普通当り判定用乱数のとりうる数値の中からあらかじめ定めた50個の普通当り判定値を用いて、当りの抽選確率を241分の50として普通当り判定を行う。また、メインCPU21aは、大当り遊技後に変動時間短縮状態が付与されたときにも、ゲート54を通過した遊技球がゲートスイッチSE4によって検知されたことを契機として普通当り判定を行う。この場合、メインCPU21aは、普通当り判定用乱数のとりうる数値の中から240個の普通当り判定値を用いて、当りの抽選確率を241分の240として普通当り判定を行う。即ち、変動時間短縮状態中の当りの抽選確率は、変動時間短縮状態前の当りの抽選確率よりも大きくなる。
【0069】
そして、普通当り判定の判定結果が否定(普通当り判定用乱数の値と普通当り判定値とが不一致)の場合、始動入賞装置51が備える一対の羽根部材91a,91は閉状態を維持する。この場合、遊技者は、大当り遊技が終了した時点で、左打ちに切り替えて遊技(A)を行う。一方、普通当り判定の判定結果が肯定(普通当り判定用乱数の値と普通当り判定値とが一致)の場合、メインCPU21aは、普通電動役物ソレノイドSOL1を駆動させる制御を行う。この場合、始動入賞装置51が備える一対の羽根部材91a,91bが開状態に切り替えられるため、遊技者は、始動入賞装置51の下側始動入賞口51bを狙って遊技球A1を発射(右打ち)する。
【0070】
(E)なお、遊技者が下側始動入賞口51bを狙って遊技球A1を右打ちした場合、遊技球A1は、遊技盤面13aの右側領域側(図11では左側)にある羽根部材91a側から空間A2に流入する可能性が高い。このとき、空間A2に流入した遊技球A1は、遊技盤面13aの左側領域側(図11では右側)にある羽根部材91b側に向かって進む可能性があるが、遊技球A1は、突部131に衝突した後で案内部材141上に落下するため、羽根部材91b側に到達しにくくなる(図11参照)。その結果、羽根部材91b側からの遊技球A1の飛び出しが防止される。
【0071】
しかも、羽根部材91a側に位置する案内リブ142aよりも羽根部材91b側に位置する案内リブ142bの方が斜面151の始端が高くなっている(図11参照)。このため、空間A1に流入した遊技球A1が、一方の案内リブ142aから他方の案内リブ142bに向かって進んだとしても、遊技球A1は、案内リブ142bを乗り越えて羽根部材91bに到達しにくくなる。その結果、羽根部材91b側からの遊技球A1の飛び出しがより確実に防止される。なお、案内部材141に沿って導かれる遊技球A1は、一対の案内リブ142a,142bの隙間に下端部が嵌り込んだ状態で流下し、下側始動口スイッチSE2側に案内される。そして、遊技球A1が下側始動口スイッチSE2によって検知されると、特別図柄変動ゲームや演出図柄変動ゲームが新たに開始されうるようになる。
【0072】
(F)その後、遊技者は、変動時間短縮状態が終了したことを契機として、左打ちに切り替えて遊技(A)を行う。
【0073】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0074】
(1)本実施形態のパチンコ機10では、一方の羽根部材91a側から流入した遊技球A1が、一方の羽根部材91a側に位置する案内リブ142aから他方の羽根部材91b側に位置する案内リブ142bに向かって進んだとしても、一方の案内リブ142aよりも他方の案内リブ142bの方が始端が高くなっているため、遊技球A1は、他方の案内リブ142bを乗り越えて他方の羽根部材91bに到達しにくくなる。しかも、遊技球A1が他方の羽根部材91b側に向かって進んだとしても、遊技球A1は、突部131に衝突した後で案内部材141上に落下するため、他方の羽根部材91bに到達しにくくなる。その結果、遊技球A1が他方の羽根部材91b側から飛び出すことを防止できるため、遊技者の入賞への期待を裏切らなくて済み、興趣の低下を防止することが可能となる。
【0075】
(2)本実施形態では、案内リブ142a,142bが前板82及び下板83の両方に接続されているため、案内リブ142a,142bによって前板82及び下板83を補強することができる。しかも、案内リブ142a,142bは、下板83から突出し、下板83の上端面側で遊技球A1を支持するものであるため、流入した遊技球A1が案内リブ142a,142bに衝突した際には、遊技球A1からの衝撃を案内リブ142a,142b及び下板83の両方で受けることができる。よって、案内リブ142a,142bを、遊技球A1の衝突に強いものとすることができる。
【0076】
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
【0077】
・上記実施形態では、一方の羽根部材91a側に位置する案内リブ142aの上端面の始端S1よりも、他方の羽根部材91b側に位置する案内リブ142bの上端面の始端S3が高くなっていたが、始端S3よりも始端S1が高くなっていてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、案内部材141が2つの案内リブ142a,142bによって構成されていた。しかし、案内部材は、3つ以上の案内リブによって構成されていてもよい。また、図12に示されるように、案内部材161を1つの案内リブ162によって構成し、一方の羽根部材163a側における斜面164の始端S5の高さよりも、他方の羽根部材163b側における斜面164の始端S6の高さが高くなるようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、始動入賞装置51が『遊技機用入賞装置』として用いられていた。しかし、大当り遊技中に開状態となる一対の羽根部材を備えた大入賞装置を、『遊技機用入賞装置』として用いてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、始動入賞装置51及び大入賞装置53が、遊技盤面13a上におけるセンター役物50の下方位置に配設されていたが、始動入賞装置51及び大入賞装置53は、遊技盤面13a上におけるセンター役物50の右下位置などの他の箇所に配設されていてもよい。
【0081】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0082】
(1)上記手段1乃至4のいずれか1つにおいて、前記斜面の始端は、前記開状態に切り替えられたときの前記一対の羽根部材の上面よりも上方に位置していることを特徴とする遊技機用入賞装置。
【0083】
(2)上記手段3において、隣接する前記案内リブ間に生じる前記隙間の大きさは、前記遊技球の直径よりも小さいことを特徴とする遊技機用入賞装置。
【0084】
(3)上記手段2において、前記意匠板は、前記台板の前面側に配置され、前記一対の羽根部材の少なくとも内端を覆う前板、及び、前記一対の羽根部材の下方に配置され、前記前板と前記台板とを連結する下板を備え、前記案内部材は、前記下板から上方に突出しかつ前記前板に接続され上端面が前記斜面の一部を構成する案内リブを、前記遊技機の横方向に隙間を隔てて一対配置してなり、一対の前記案内リブは、前記突部の両側にそれぞれ配置されていることを特徴とする遊技機用入賞装置。
【符号の説明】
【0085】
10…遊技機としてのパチンコ機
13a…遊技盤面
51…遊技機用入賞装置としての始動入賞装置
54…ゲート
71…台板
71a…台板の前面
71b…台板の後面
81…意匠板
81a…意匠板の裏面
82…前板
83…下板
91a,91b,163a,163b…羽根部材
131…突部
141,161…案内部材
142a,142b…案内リブ
151,164…斜面
A1…遊技球
A2…空間
R1…入賞経路
S1,S3,S5,S6…斜面(上端面)の始端
S2,S4…斜面(上端面)の終端
SE2…遊技球検知手段としての下側始動口スイッチ
図1
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図12