(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(II)の化合物が1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、またはその薬学的に許容される塩である、請求項9記載の薬学的組成物。
式(II)の化合物が1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、またはその薬学的に許容される塩である、請求項14記載の薬学的製剤。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の一局面は、結腸内で胆汁酸結合剤を、小腸内でIBAT阻害剤を送達するように設計される組み合わせであって、IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤の同時、個別または連続投与が意図される組み合わせである。
【0012】
IBAT阻害剤化合物
本発明におけるIBAT阻害剤化合物として好適な有効成分は、IBAT阻害特性についてスクリーニングする際に活性を示す成分である。文献では、IBAT阻害剤は異なる名称でしばしば言及される。本明細書中でIBAT阻害剤に言及する場合、この用語が、IBATの阻害によって作用するi) 回腸先端ナトリウム共依存性胆汁酸輸送体(ASBT)阻害剤; ii) 胆汁酸輸送体(BAT)阻害剤; iii) 回腸ナトリウム/胆汁酸共輸送体系阻害剤; iv) 先端ナトリウム-胆汁酸共輸送体阻害剤; v) 回腸ナトリウム依存性胆汁酸輸送阻害剤; vi) 胆汁酸再吸収(BARI)阻害剤; およびvii) ナトリウム胆汁酸輸送体(SBAT)阻害剤として文献公知である化合物も包含すると理解すべきである。
【0013】
そのような化合物の好適な例は、「発明の背景および先行技術」という見出しで上記に引用される参考文献に見ることができる。
【0014】
本発明におけるIBAT阻害剤化合物として特に好適な有効成分としては、IBAT阻害特性についてスクリーニングする際に活性を示すベンゾチアゼピン、より特別にはベンゾチエピン、1,4-ベンゾチアゼピン、1,5-ベンゾチアゼピン、1,2,5-ベンゾチアジアゼピンが挙げられる。
【0015】
本発明の別の局面では、好ましいIBAT阻害剤はWO 02/50051、WO 03/02286およびWO 03/106482における阻害剤である。
【0016】
他の有用な胆汁IBAT阻害剤はWO 9932478、WO 0168637、WO 03022804、WO 0001687およびUS2010/0130472 A1に記載されており、特に1-[4-[4-[(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンゾチエピン-5-イル]フェノキシ]ブチル]4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンメタンスルホネートである。
【0017】
本発明の一局面は、
(i) 式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ:
式中、
MはCH
2、NHであり;
R
1およびR
2の一方は水素またはC
1〜6アルキルより選択され、他方はC
1〜6アルキルより選択され;
R
xおよびR
yは水素、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、C
1〜6アルキル、C
1〜6アルコキシ、N-(C
1〜6アルキル)アミノ、N,N-(C
1〜6アルキル)
2アミノ、aが0〜2であるC
1〜6アルキルS(O)
aより独立して選択され;
R
zはハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、C
1〜6アルカノイル、C
1〜6アルカノイルオキシ、N-(C
1〜6アルキル)アミノ、N,N-(C
1〜6アルキル)
2アミノ、C
1〜6アルカノイルアミノ、N-(C
1〜6アルキル)カルバモイル、N,N-(C
1〜6アルキル)
2カルバモイル、aが0〜2であるC
1〜6アルキルS(O)
a、C
1〜6アルコキシカルボニル、N-(C
1〜6アルキル)スルファモイルおよびN,N-(C
1〜6アルキル)
2スルファモイルより選択され;
vは0〜5であり;
R
4およびR
5の一方は式(IA)の基であり:
R
3およびR
6、ならびにR
4およびR
5の他方は水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C
1〜4アルキル、C
2〜4アルケニル、C
2〜4アルキニル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、N-(C
1〜4アルキル)アミノ、N,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノ、C
1〜4アルカノイルアミノ、N-(C
1〜4アルキル)カルバモイル、N,N-(C
1〜4アルキル)
2カルバモイル、aが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
a、C
1〜4アルコキシカルボニル、N-(C
1〜4アルキル)スルファモイルおよびN,N-(C
1〜4アルキル)
2スルファモイルより独立して選択され; R
3およびR
6、ならびにR
4およびR
5の他方は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく;
Xは-O-、-N(R
a)-、-S(O)
b-または-CH(R
a)-であり; R
aは水素またはC
1〜6アルキルであり、bは0〜2であり;
A環はアリールまたはヘテロアリールであり; A環は、R
17より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
7は水素、C
1〜4アルキル、カルボシクリルまたはヘテロシクリルであり; R
7は、R
18より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
8は水素またはC
1〜4アルキルであり;
R
9は水素またはC
1〜4アルキルであり;
R
10は水素、C
1〜4アルキル、カルボシクリルまたはヘテロシクリルであり; R
10は、R
19より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
11はカルボキシ、スルホ、スルフィノ、ホスホノ、-P(O)(OR
c)(OR
d)、-P(O)(OH)(OR
c)、-P(O)(OH)(R
d)または-P(O)(OR
c)(R
d)であり、R
cおよびR
dはC
1〜6アルキルより独立して選択され; あるいは、R
11は式(IB)または(IC)の基であり:
式中、
Yは-N(R
n)-、-N(R
n)C(O)-、-N(R
n)C(O)(CR
sR
t)
vN(R
n)C(O)-、-O-および-S(O)a-であり; aは0〜2であり、vは1〜2であり、R
sおよびR
tは水素、またはR
26で置換されていてもよいC
1〜4アルキルより独立して選択され、R
nは水素またはC
1〜4アルキルであり;
R
12は水素またはC
1〜4アルキルであり;
R
13およびR
14は水素、C
1〜4アルキル、カルボシクリルまたはヘテロシクリルより独立して選択され; qが0である場合、R
14はヒドロキシよりさらに選択されてもよく、R
13およびR
14は、R
20より選択される1個または複数の置換基で独立して置換されていてもよく;
R
15はカルボキシ、スルホ、スルフィノ、ホスホノ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはC
1〜6アルキルより独立して選択され;
pは1〜3であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよく;
qは0〜1であり;
rは0〜3であり; R
14の値は同一でも異なっていてもよく;
mは0〜2であり; R
10の値は同一でも異なっていてもよく;
nは1〜3であり; R
7の値は同一でも異なっていてもよく;
B環は、R
23より選択される1個の基で炭素上で置換されておりかつ1個または複数のR
24で炭素上でさらに置換されていてもよい窒素結合ヘテロシクリルであり; 該窒素結合ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は、R
25より選択される基で置換されていてもよく;
R
16、R
17およびR
18はハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C
1〜4アルキル、C
2〜4アルケニル、C
2〜4アルキニル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、N-(C
1〜4アルキル)アミノ、N,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノ、C
1〜4アルカノイルアミノ、N-(C
1〜4アルキル)カルバモイル、N,N-(C
1〜4アルキル)
2カルバモイル、aが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
a、C
1〜4アルコキシカルボニル、N-(C
1〜4アルキル)スルファモイルおよびN,N-(C
1〜4アルキル)
2スルファモイルより独立して選択され; R
16、R
17およびR
18は1個または複数のR
21で独立して炭素上で置換されていてもよく;
R
19、R
20、R
24およびR
26はハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C
1〜4アルキル、C
2〜4アルケニル、C
2〜4アルキニル、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルカノイル、C
1〜4アルカノイルオキシ、N-(C
1〜4アルキル)アミノ、N,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノ、C
1〜4アルカノイルアミノ、N-(C
1〜4アルキル)カルバモイル、N,N-(C
1〜4アルキル)
2カルバモイル、aが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
a、C
1〜4アルコキシカルボニル、N-(C
1〜4アルキル)スルファモイル、N,N-(C
1〜4アルキル)
2スルファモイル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、ベンジルオキシカルボニルアミノ、スルホ、スルフィノ、アミジノ、ホスホノ、-P(O)(OR
a)(OR
b)、-P(O)(OH)(OR
a)、-P(O)(OH)(R
a)または-P(O)(OR
a)(R
b)より独立して選択され; R
aおよびR
bはC
1〜6アルキルより独立して選択され; R
19、R
20、R
24およびR
26は1個または複数のR
22で独立して炭素上で置換されていてもよく;
R
21およびR
22はハロ、ヒドロキシ、シアノ、カルバモイル、ウレイド、アミノ、ニトロ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ビニル、アリル、エチニル、メトキシカルボニル、ホルミル、アセチル、ホルムアミド、アセチルアミノ、アセトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、メチルチオ、メチルスルフィニル、メシル、N-メチルスルファモイルおよびN,N-ジメチルスルファモイルより独立して選択され;
R
23はカルボキシ、スルホ、スルフィノ、ホスホノ、-P(O)(OR
g)(OR
h)、-P(O)(OH)(OR
g)、-P(O)(OH)(R
g)または-P(O)(OR
g)(R
h)であり、R
gおよびR
hはC
1〜6アルキルより独立して選択され;
R
25はC
1〜6アルキル、C
1〜6アルカノイル、C
1〜6アルキルスルホニル、C
1〜6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N-(C
1〜6アルキル)カルバモイル、N,N-(C
1〜6アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイルおよびフェニルスルホニルより選択される; ならびに
(ii) IBAT阻害剤; 腸内分泌ペプチドもしくはその促進剤; ジペプチジルペプチダーゼ-IV阻害剤; ビグアニジン; インクレチン模倣体; チアゾリジノン; PPARアゴニスト; HMG Co-A還元酵素阻害剤; 胆汁酸結合剤; およびTGR5受容体モジュレーターより選択される、少なくとも1つの他の活性物質; または、いずれか1つの該活性物質の薬学的に許容される塩
を含む組み合わせであって、式(I)の化合物および該少なくとも1つの他の活性物質が同時に、連続的にまたは個別に投与される、組み合わせである。
【0018】
本明細書において、「アルキル」という用語は直鎖と分岐鎖との両方のアルキル基を含むが、「プロピル」などの個々のアルキル基への言及は直鎖バージョンのみに特定される。例えば、「C
1〜6アルキル」はC
1〜4アルキル、C
1〜3アルキル、プロピル、イソプロピルおよびt-ブチルを含む。しかし、「プロピル」などの個々のアルキル基への言及は直鎖バージョンのみに特定され、「イソプロピル」などの個々の分岐鎖アルキル基への言及は分岐鎖バージョンのみに特定される。同様の慣行は他の基にも当てはまり、例えば「フェニルC
1〜6アルキル」はフェニルC
1〜4アルキル、ベンジル、1-フェニルエチルおよび2-フェニルエチルを含む。「ハロ」という用語はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0019】
任意的な置換基が「1個または複数の」基より選択される場合、この定義が、1個の特定の基より選択されるすべての置換基、または2個以上の特定の基より選択される置換基を含むと理解すべきである。
【0020】
「ヘテロアリール」とは、3〜12個の原子を含有する完全不飽和の単環式または二環式環であって、これらの原子のうち少なくとも1個の原子が、別途指定されない限り炭素結合または窒素結合しうる窒素、硫黄または酸素より選択される環のことである。好ましくは、「ヘテロアリール」は、5個もしくは6個の原子を含有する完全不飽和の単環式環または9個もしくは10個の原子を含有する二環式環であって、これらの原子のうち少なくとも1個の原子が、別途指定されない限り炭素結合または窒素結合しうる窒素、硫黄または酸素より選択される環を意味する。本発明の別の局面では、「ヘテロアリール」は、5個もしくは6個の原子を含有する完全不飽和の単環式環または8個、9個もしくは10個の原子を含有する二環式環であって、これらの原子のうち少なくとも1個の原子が、別途指定されない限り炭素結合または窒素結合しうる窒素、硫黄または酸素より選択される環を意味する。「ヘテロアリール」という用語の例および好適な値としてはチエニル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジルおよびキノリルがある。好ましくは、「ヘテロアリール」という用語はチエニルまたはインドリルを意味する。
【0021】
「アリール」とは、3〜12個の原子を含有する完全不飽和の単環式または二環式炭素環のことである。好ましくは、「アリール」とは、5個もしくは6個の原子を含有する単環式環または9個もしくは10個の原子を含有する二環式環のことである。「アリール」の好適な値としてはフェニルまたはナフチルが挙げられる。特に、「アリール」はフェニルである。
【0022】
「ヘテロシクリル」とは、3〜12個の原子を含有する飽和、部分飽和または不飽和の単環式または二環式環であって、これらの原子のうち少なくとも1個の原子が、別途指定されない限り炭素結合または窒素結合しうる窒素、硫黄または酸素より選択され、-CH
2-基が-C(O)-で置き換えられていてもよく、環硫黄原子が酸化されてS-オキシドを形成してもよい環のことである。好ましくは、「ヘテロシクリル」とは、5個または6個の原子を含有する飽和、部分飽和または不飽和の単環式または二環式環であって、これらの原子のうち少なくとも1個の原子が、別途指定されない限り炭素結合または窒素結合しうる窒素、硫黄または酸素より選択され、-CH
2-基が-C(O)-で置き換えられていてもよく、環硫黄原子が酸化されてS-オキシドを形成してもよい環のことである。「ヘテロシクリル」という用語の例および好適な値としてはチアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2-ピロリドニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2-ベンゾオキサゾリノニル、1,1-ジオキソテトラヒドロチエニル、2,4-ジオキソイミダゾリジニル、2-オキソ-1,3,4-(4-トリアゾリニル)、2-オキサゾリジノニル、5,6-ジヒドロウラシリル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,2,4-オキサジアゾリル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、4-チアゾリドニル、モルホリノ、2-オキソテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドリル、ピペラジニル、チオモルホリノ、1,1-ジオキソチオモルホリノ、テトラヒドロピラニル、1,3-ジオキソラニル、ホモピペラジニル、チエニル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、ピラニル、インドリル、ピリミジル、チアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、4-ピリドニル、キノリルおよび1-イソキノロニルがある。
【0023】
「カルボシクリル」とは、3〜12個の原子を含有する飽和、部分飽和または不飽和の単環式または二環式炭素環であって、-CH
2-基が-C(O)-で置き換えられていてもよい環のことである。好ましくは、「カルボシクリル」とは、5個もしくは6個の原子を含有する単環式環または9個もしくは10個の原子を含有する二環式環のことである。「カルボシクリル」の好適な値としてはシクロプロピル、シクロブチル、1-オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、テトラリニル、インダニルまたは1-オキソインダニルが挙げられる。特に、「カルボシクリル」はシクロプロピル、シクロブチル、1-オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニルまたは1-オキソインダニルである。
【0024】
「C
1〜6アルカノイルオキシ」および「C
1〜4アルカノイルオキシ」の一例はアセトキシである。「C
1〜6アルコキシカルボニル」および「C
1〜4アルコキシカルボニル」の例としてはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-およびt-ブトキシカルボニルが挙げられる。「C
1〜6アルコキシ」および「C
1〜4アルコキシ」の例としてはメトキシ、エトキシおよびプロポキシが挙げられる。「C
1〜6アルカノイルアミノ」および「C
1〜4アルカノイルアミノ」の例としてはホルムアミド、アセトアミドおよびプロピオニルアミノが挙げられる。「aが0〜2であるC
1〜6アルキルS(O)
a」および「aが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
a」の例としてはメチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシルおよびエチルスルホニルが挙げられる。「C
1〜6アルカノイル」および「C
1〜4アルカノイル」の例としてはC
1〜3アルカノイル、プロピオニルおよびアセチルが挙げられる。「N-(C
1〜6アルキル)アミノ」および「N-(C
1〜4アルキル)アミノ」の例としてはメチルアミノおよびエチルアミノが挙げられる。「N,N-(C
1〜6アルキル)
2アミノ」および「N,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノ」の例としてはジ-N-メチルアミノ、ジ-(N-エチル)アミノおよびN-エチル-N-メチルアミノが挙げられる。「C
2〜6アルケニル」および「C
2〜4アルケニル」の例としてはビニル、アリルおよび1-プロペニルがある。「C
2〜6アルキニル」および「C
2〜4アルキニル」の例としてはエチニル、1-プロピニルおよび2-プロピニルがある。「N-(C
1〜6アルキル)スルファモイル」および「N-(C
1〜4アルキル)スルファモイル」の例としてはN-(C
1〜3アルキル)スルファモイル、N-(メチル)スルファモイルおよびN-(エチル)スルファモイルがある。「N-(C
1〜6アルキル)
2スルファモイル」および「N-4アルキル)
2スルファモイル」の例としてはN,N-(ジメチル)スルファモイルおよびN-(メチル)-N-(エチル)スルファモイルがある。「N-(C
1〜6アルキル)カルバモイル」および「N-(C
1〜4アルキル)カルバモイル」の例としてはメチルアミノカルボニルおよびエチルアミノカルボニルがある。「N,N-(C
1〜6アルキル)
2カルバモイル」および「N,N-(C
1〜4アルキル)
2-カルバモイル」の例としてはジメチルアミノカルボニルおよびメチルエチルアミノカルボニルがある。「C
1〜6アルコキシカルボニルアミノ」の例としてはエトキシカルボニルアミノおよびt-ブトキシカルボニルアミノがある。「N'-(C
1〜6アルキル)ウレイド」の例としてはN'-メチルウレイドおよびN'-エチルウレイドがある。「N-(C
1〜6アルキル)ウレイド」の例としてはN-メチルウレイドおよびN-エチルウレイドがある。「N',N'-(C
1〜6アルキル)
2ウレイド」の例としてはN',N'-ジメチルウレイドおよびN'-メチル-N'-エチルウレイドがある。「N'-(C
1〜6アルキル)-N-(C
1〜6アルキル)ウレイド」の例としてはN'-メチル-N-メチルウレイドおよびN'-プロピル-N-メチルウレイドがある。「N',N'-(C
1〜6アルキル)
2-N-(C
1〜6アルキル)ウレイド」の例としてはN',N'-ジメチル-N-メチルウレイドおよびN'-メチル-N'-エチル-N-プロピルウレイドがある。
【0025】
本発明の化合物の好適な薬学的に許容される塩は、例えば、十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機酸または有機酸など、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸との酸付加塩である。
【0026】
さらに、十分に酸性である本発明の化合物の好適な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩もしくはマグネシウム塩、アンモニウム塩、または生理学的に許容されるカチオンを与える有機塩基との塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンもしくはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
【0027】
IBAT阻害剤またはそれと組み合わせて使用するための化合物として本明細書で言及される任意の化合物のプロドラッグは、ヒトまたは動物の体内で分解されて該化合物を与える薬物である。
【0028】
式(I)の化合物は、ヒトまたは動物の体内で分解されて式(I)の化合物を与えるプロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグの例としては式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルおよびインビボ加水分解性アミドが挙げられる。
【0029】
カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルは、例えば、ヒトまたは動物の体内で加水分解されて親酸または親アルコールを生成する薬学的に許容されるエステルである。カルボキシの好適な薬学的に許容されるエステルとしては、C
1〜6アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、C
1〜6アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C
3〜8シクロアルコキシカルボニルオキシC
1〜6アルキルエステル、例えば1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチル; 1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルエステル、例えば5-メチル-1,3-ジオキソレン-2-オニルメチル; およびC
1〜6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1-メトキシ-カルボニルオキシエチルが挙げられ、本発明の化合物中の任意のカルボキシ基において形成することができる。
【0030】
ヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルとしては、エステルのインビボ加水分解の結果として分解して親ヒドロキシ基を生じさせる、リン酸エステルなどの無機エステル、およびα-アシルオキシアルキルエーテル、ならびに関連化合物が挙げられる。α-アシルオキシアルキルエーテルの例としてはアセトキシメトキシおよび2,2-ジメチルプロピオニルオキシ-メトキシが挙げられる。ヒドロキシのインビボ加水分解性エステルを形成する基の選択としては、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ならびに置換ベンゾイルおよびフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(炭酸アルキルエステルを生じさせる)、ジアルキルカルバモイルおよびN(ジアルキルアミノエチル)-N-アルキルカルバモイル(カルバミン酸エステルを生じさせる)、ジアルキルアミノアセチル、ならびにカルボキシアセチルが挙げられる。ベンゾイル上の置換基の例としては、環窒素原子からメチレン基を経由してベンゾイル環の3位または4位に結合するモルホリノおよびピペラジノが挙げられる。
【0031】
カルボキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボ加水分解性アミドの好適な値は、例えばN-C
1〜6アルキルまたはN,N-ジ-C
1〜6アルキルアミド、例えばN-メチル、N-エチル、N-プロピル、N,N-ジメチル、N-エチル-N-メチルまたはN,N-ジエチルアミドである。また、式(I)の特定の化合物が溶媒和形、および例えば水和形などの非溶媒和形で存在しうると理解すべきである。本発明が、IBAT阻害活性を有するすべての該溶媒和形を包含すると理解すべきである。
【0032】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6の好ましい値は以下の通りである。そのような値を、上記または下記で定義される定義、請求項または態様のいずれかと共に適宜使用することができる。
【0033】
好ましくは、R
1およびR
2はC
1〜4アルキルより独立して選択される。
より好ましくは、R
1およびR
2はエチルまたはブチルより独立して選択される。
より好ましくは、R
1およびR
2はエチル、プロピルまたはブチルより独立して選択される。
本発明の一局面では、特に、R
1およびR
2はいずれもブチルである。
本発明のさらなる局面では、特に、R
1およびR
2はいずれもプロピルである。
本発明の別の局面では、特に、R
1およびR
2の一方はエチルであり、他方はブチルである。
【0034】
好ましくは、R
xおよびR
Yは水素またはC
1〜6アルキルより独立して選択される。
より好ましくは、R
xおよびR
Yはいずれも水素である。
好ましくは、R
Zはハロ、アミノ、C
1〜6アルキル、C
1〜6アルコキシカルボニルアミノまたはN'-(C
1〜6アルキル)ウレイドより選択される。
【0035】
より好ましくは、R
Zはクロロ、アミノ、t-ブチル、t-ブトキシカルボニルアミノまたはN'-(t-ブチル)ウレイドより選択される。
【0036】
好ましくは、vは0または1である。
本発明の一局面では、より好ましくは、vは0である。
本発明の一局面では、より好ましくは、vは1である。
本発明の一局面では、好ましくは、R
4は式(IA)(上記に示す)の基である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
5は式(IA)(上記に示す)の基である。
【0037】
好ましくは、R
3およびR
6は水素である。
好ましくは、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方はハロ、C
1〜4アルコキシ、またはaが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
aより選択され; そのR
4またはR
5は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシおよびN,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノより独立して選択される。
【0038】
より好ましくは、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方はブロモ、メトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオまたはメシルより選択され; そのR
4またはR
5は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシおよびN,N-ジメチルアミノより独立して選択される。
【0039】
特に、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方はブロモ、メトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、2-ヒドロキシエチルチオ、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオまたはメシルより選択される。
【0040】
より特別には、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方はメチルチオである。好ましくは、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方は水素、ハロ、C
1〜4アルコキシ、またはaが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
aより選択され; そのR
4またはR
5は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシ、カルボキシおよびN,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノより独立して選択される。
【0041】
より好ましくは、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方は水素、ブロモ、メトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオまたはメシルより選択され; そのR
4またはR
5は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシ、カルボキシおよびN,N-ジメチルアミノより独立して選択される。
【0042】
特に、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方は水素、ブロモ、メトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、カルボキシメチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、2-ヒドロキシエチルチオ、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオまたはメシルより選択される。本発明の別の局面では、より好ましくは、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方は水素、クロロ、ブロモ、メトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオまたはイソプロピルチオより選択され; そのR
4またはR
5は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシ、カルボキシおよびN,N-ジメチルアミノより独立して選択される。
【0043】
本発明の別の局面では、特に、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方は水素、クロロ、ブロモ、メトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、カルボキシメチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、2-ヒドロキシエチルチオまたは2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルチオより選択される。
【0044】
本発明の別の局面では、より特別には、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方はブロモまたはクロロである。
本発明の別の局面では、より特別には、式(IA)の基ではないR
4およびR
5の他方はメトキシである。
【0045】
本発明の一局面では、好ましくは、A環はアリールである。
本発明の別の局面では、好ましくは、A環はヘテロアリールである。
A環がアリールである場合、好ましくは、A環はフェニルである。
A環がヘテロアリールである場合、好ましくは、A環はチエニルまたはインドリルである。
好ましくは、A環はアリールまたはヘテロアリールであり; A環は、R
17より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
17はハロ、ヒドロキシまたはC1 4アルキルより選択され; R
17は1個または複数のR
21で炭素上で置換されていてもよく; R
21はハロより選択される。
好ましくは、Xは-Oである。
【0046】
より好ましくは、A環はフェニル、チエニルまたはインドリルであり; A環は、ハロ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルより選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい。特に、A環はフェニル、4-ヒドロキシフェニル、チエン-2-イル、4-トリフルオロメチルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、2-フルオロフェニル、2,3-ジヒドロキシフェニルまたはインドール-3-イルより選択される。
より特別には、A環はフェニルである。
【0047】
本発明の別の局面では、好ましくは、A環はアリールまたはヘテロアリールであり; A環は、R
17より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
17はハロ、ヒドロキシ、C
1〜4アルキルまたはC
1〜4アルコキシより選択され; R
17は1個または複数のR
21で炭素上で置換されていてもよく; R
21はハロより選択される。
【0048】
本発明の別の局面では、より好ましくは、A環はフェニル、チエニルまたはインドリルであり; A環は、ハロ、ヒドロキシ、メトキシまたはトリフルオロメチルより選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0049】
本発明の別の局面では、特に、A環はフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、チエン-2-イル、4-トリフルオロメチルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、2-フルオロフェニル、2,3-ジヒドロキシフェニルまたはインドール-3-イルより選択される。
本発明のさらなる局面では、特に、A環はフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-メトキシフェニル、チエン-2-イル、4-トリフルオロメチルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、2-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2,3-ジヒドロキシフェニルまたはインドール-3-イルより選択される。
【0050】
好ましくは、R
7は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルである。
より好ましくは、R
7は水素、メチルまたはフェニルである。
特に、R
7は水素である。
本発明の一局面では、好ましくは、R
8は水素である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
8はC
1〜4アルキルである。
本発明の別の局面では、より好ましくは、R
8は水素またはメチルである。
本発明の一局面では、好ましくは、R
9は水素である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
9はC
1〜4アルキルである。
本発明の別の局面では、より好ましくは、R
9は水素またはメチルである。
好ましくは、R
10は水素である。
本発明の一局面では、好ましくは、R
11はカルボキシ、スルホ、スルフィノ、ホスホノ、-P(O)(OR
c)(OR
d)、-P(O)(OH)(OR
c)、-P(O)(OH)(R
d)または-P(O)(OR
c)(R
d)であり、R
cおよびR
dはC
1〜6アルキルより独立して選択される。
【0051】
本発明の別の局面では、好ましくは、R
11は式(IB)(上記に示す)の基である。
【0052】
好ましくは、R
11はカルボキシ、-P(O)(OH)(OR
c)、または式(IB)(上記に示す)の基である。
より好ましくは、R
11はカルボキシ、-P(O)(OH)(OEt)、または式(IB)(上記に示す)の基である。
【0053】
本発明の別の局面では、好ましくは、R
11はカルボキシ、スルホ、-P(O)(OH)(OR
c)であり、R
cはC
1〜4アルキルまたは式(IB)(上記に示す)の基より選択される。
好ましくは、Yは-NH-または-NHC(O)-である。
より好ましくは、Yは-NHC(O)-である。
本発明の一局面では、好ましくは、R
12は水素である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
12はC
1〜4アルキルである。
本発明の別の局面では、より好ましくは、R
12は水素またはメチルである。
好ましくは、R
13は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシである。
より好ましくは、R
13は水素、メチルまたはフェニルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシである。
特に、R
13は水素、ヒドロキシメチルまたはフェニルである。
より特別には、R
13は水素またはヒドロキシメチルである。
【0054】
本発明の別の局面では、好ましくは、R
13は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、カルボキシ、カルボシクリルまたはアミノであり; R
20は1個または複数のR
22で炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシである。
【0055】
本発明の別の局面では、より好ましくは、R
13は水素、メチル、エチル、ブチルまたはフェニルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、カルボキシ、フェニルまたはアミノであり; R
20は1個または複数のR
22で炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシである。
【0056】
本発明の別の局面では、特に、R
13は水素、ヒドロキシメチル、4-アミノブチル、2-カルボキシエチル、4-ヒドロキシベンジルまたはフェニルである。
【0057】
本発明のさらなる局面では、好ましくは、R
13は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、カルボキシ、カルボシクリル、ヘテロシクリルまたはアミノであり; R
20は1個または複数のR
22で炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシである。
【0058】
本発明のさらなる局面では、より好ましくは、R
13は水素、メチル、エチル、ブチルまたはフェニルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、カルボキシ、フェニル、イミダゾリルまたはアミノであり; R
20は1個または複数のR
22で炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシである。
【0059】
本発明のさらなる局面では、特に、R
13は水素、ヒドロキシメチル、4-アミノブチル、2-カルボキシエチル、4-ヒドロキシベンジル、イミダゾール-5-イルメチルまたはフェニルである。
【0060】
本発明の別のさらなる局面では、好ましくは、R
13は水素、C
1〜4アルキル、カルボシクリルまたはR
23であり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、aが0であるC
1〜4アルキルS(O)a、C
1〜4アルコキシ、アミノ、カルボシクリル、ヘテロシクリルまたはメルカプトであり; R
20は1個または複数のR
22で独立して炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシより選択され; R
23はカルボキシである。
【0061】
本発明の別のさらなる局面では、より好ましくは、R
13は水素、メチル、エチル、ブチルまたはフェニルまたはR
23であり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、メチルチオ、メトキシ、アミノ、イミダゾリルまたはメルカプトであり; R
20は1個または複数のR
22で独立して炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシより選択され; R
23はカルボキシである。
【0062】
本発明の別のさらなる局面では、特に、R
13は水素、カルボキシ、ヒドロキシメチル、メルカプトメチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、2-メチルチオエチル、4-アミノブチル、4-ヒドロキシベンジル、イミダゾール-5-イルメチルまたはフェニルである。
【0063】
別の局面では、より特別には、R
13はメチルチオメチル、メチルスルフィニルメチルまたはメチルスルホニルメチルである。
【0065】
本発明の別の局面では、好ましくは、R
14は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルより選択され; 該C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルは、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシである。
本発明の別の局面では、より好ましくは、R
14は水素、メチルまたはフェニルより選択され; 該メチルまたはフェニルは、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシである。
【0066】
本発明の別の局面では、特に、R
14は水素、フェニルまたはヒドロキシメチルである。特に、R
15はカルボキシまたはスルホである。
【0067】
本発明の一局面では、より特別には、R
15はカルボキシである。
本発明の別の局面では、より特別には、R
15はスルホである。
【0068】
好ましくは、R
15はカルボキシ、スルホ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはC
1〜4アルキルより独立して選択される。
より好ましくは、R
15はカルボキシ、スルホ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはメチルまたはエチルより独立して選択される。
好ましくは、R
15はカルボキシ、スルホ、-P(O)(OEt)(OEt)、-P(O)(OH)(OEt)、-P(O)(OH)(Me)または-P(O)(OEt)(Me)である。
【0069】
好ましくは、R
15はカルボキシ、スルホ、ホスホノ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはC
1〜4アルキルより独立して選択され、あるいは、R
15は式(IC)(上記に示す)の基である。
【0070】
より好ましくは、R
15はカルボキシ、スルホ、ホスホノ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはメチルまたはエチルより独立して選択され、あるいは、R
15は式(IC)(上記に示す)の基である。
【0071】
好ましくは、R
15はカルボキシ、スルホ、ホスホノ、-P(O)(OEt)(OEt)、-P(O)(Ot-Bu)(Ot-Bu)、-P(O)(OH)(OEt)、-P(O)(OH)(Me)または-P(O)(OEt)(Me)であり、あるいは、R
15は式(IC)(上記に示す)の基である。
【0072】
本発明の一局面では、好ましくは、R
15はカルボキシである。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
15はスルホである。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
15は-P(O)(OH)(OEt)である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
15は-P(O)(OH)(Me)である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
15は-P(O)(OEt)(Me)である。
本発明の一局面では、好ましくは、R
24は水素である。
本発明の別の局面では、好ましくは、R
24はC
1〜4アルキルである。
【0073】
好ましくは、R
25は水素である。
好ましくは、R
26はカルボキシである。
【0074】
好ましくは、pは1または2であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよい。
本発明の一局面では、より好ましくは、pは1である。
本発明の別の局面では、より好ましくは、pは2であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよい。
本発明のさらなる局面では、より好ましくは、pは3であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよい。
本発明の一局面では、好ましくは、qは0である。
本発明のさらなる局面では、好ましくは、qは1である。
本発明の一局面では、好ましくは、rは0である。
本発明の一局面では、より好ましくは、rは1である。
本発明の別の局面では、より好ましくは、rは2であり; R
14の値は同一でも異なっていてもよい。
本発明のさらなる局面では、より好ましくは、rは3であり; R
14の値は同一でも異なっていてもよい。
好ましくは、mは0である。
本発明の別の局面では、好ましくは、mは0または1である。
好ましくは、nは1である。
本発明の別の局面では、好ましくは、nは1または2である。
好ましくは、zは1である。
式(IA)の基。式中、R
7は水素、メチルまたはフェニルであり、nは1であり、A環はフェニル、チエニルまたはインドリルであり; A環は、ハロ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルより選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、mは0であり、R
9はカルボキシ、-P(O)(OH)(OR
c)、または式(IB)の基である。
式(IA)の基。式中、Xは-O-であり;
A環はフェニル、チエニルまたはインドリルであり; A環は、ハロ、ヒドロキシ、メトキシまたはトリフルオロメチルより選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
7は水素、メチルまたはフェニルであり;
R
8は水素またはメチルであり;
R
9は水素またはメチルであり;
R
10は水素であり;
mは0〜2であり、R
10の値は同一でも異なっていてもよく;R
11はカルボキシ、-P(O)(OH)(OEt)、または式(IB)(請求項1に示す)の基である。式(IB)の基。式中、R
10は水素、ヒドロキシメチルまたはフェニルであり、pは1または2であり; R
10の値は同一でも異なっていてもよく、R
11はカルボキシまたはスルホである。
式(IB)の基。式中、
R
12は水素またはメチルであり;
R
13は水素、メチル、エチル、ブチルまたはフェニルまたはR
23であり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、メチルチオ、メトキシ、アミノ、イミダゾリルまたはメルカプトであり; R
20は1個または複数のヒドロキシで独立して炭素上で置換されていてもよく; R
23はカルボキシであり; Yは-NH-または-NHC(O)-であり; R
14は水素、メチルまたはフェニルより選択され; 該メチルまたはフェニルは、ヒドロキシより選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
15はカルボキシ、スルホ、ホスホノ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはメチルまたはエチルより独立して選択され、あるいは、R
15は式(IC)(請求項1に示す)の基であり;
pは1〜3であり、R
13の値は同一でも異なっていてもよく;
qは0〜1であり;
rは0〜3であり、R
14の値は同一でも異なっていてもよい。
式(IC)の基。式中、
R
24は水素であり;
R
25は水素であり;
R
26はカルボキシであり;
zは1である。
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、またはプロドラッグ。
【0075】
したがって、本発明のさらなる局面では、上記に示す式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグが提供され、式中、
R
1およびR
2はエチルまたはブチルより独立して選択され;
R
3およびR
6は水素であり;
R
4はハロ、C
1〜4アルコキシ、またはaが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
aより選択され; そのR
4は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシおよびN,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノより独立して選択され;
R
5は式(IA)の基であり;
A環はアリールまたはヘテロアリールであり; A環は、R
17より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
17はハロ、ヒドロキシまたはC
1〜4アルキルより選択され; R
17は1個または複数のR
21で炭素上で置換されていてもよく;
R
21はハロより選択され;
R
7は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり;
R
11はカルボキシ、-P(O)(OH)(OR
c)、または式(IB)(上記に示す)の基であり;
R
13は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
20はヒドロキシであり;
R
15はカルボキシまたはスルホであり;
pは1または2であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよく;
mは0であり;
nは1である。
【0076】
したがって、本発明のさらなる局面では、上記に示す式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグが提供され、式中、
R
1およびR
2はいずれもブチルであり、あるいは、R
1およびR
2の一方はエチルであり、他方はブチルであり;
R
4はメチルチオであり;
R
5は式(IA)(上記に示す)の基であり;
R
3およびR
6は水素であり;
A環はフェニルであり;
R
7は水素であり;
R
11は式(IB)(上記に示す)の基であり;
R
13は水素またはヒドロキシメチルであり;
R
15はカルボキシまたはスルホであり;
pは1または2であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよく;
mは0であり;
nは1である。
【0077】
したがって、本発明のなおさらなる局面では、上記に示す式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグが提供され、式中、
R
1およびR
2はエチルまたはブチルより独立して選択され;
R
3およびR
6は水素であり;
R
4はハロ、C
1〜4アルコキシ、またはaが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
aより選択され; そのR
4は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシおよびN,N-(C
1〜4アルキル)
2アミノより独立して選択され;
R
5は式(IA)の基であり;
A環はアリールまたはヘテロアリールであり; A環は、R
17より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
7は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり;
R
8は水素またはメチルであり;
R
9は水素またはメチルであり;
R
11はカルボキシ、-P(O)(OH)(OR
c)、または式(IB)(上記に示す)の基であり;
Xは-NH-または-NHC(O)-であり;
R
12は水素またはメチルであり;
R
13は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルであり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく;
R
14は水素であり;
R
15はカルボキシまたはスルホであり;
R
17はハロ、ヒドロキシ、C
1〜4アルキルまたはC
1〜4アルコキシより選択され; R
17は1個または複数のR
21で炭素上で置換されていてもよく;
R
20はヒドロキシ、カルボキシ、カルボシクリルまたはアミノであり; R
20は1個または複数のR
22で炭素上で置換されていてもよく;
R
21はハロより選択され;
R
22はヒドロキシであり;
pは1〜3であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよく;
qは0〜1であり;
rは0〜3であり; R
14の値は同一でも異なっていてもよく; qが1である場合、rは0ではなく;
mは0〜2であり;
nは1〜3である。
【0078】
したがって、本発明の別のなおさらなる局面では、上記に示す式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグが提供され、式中、
R
1およびR
2はC
1〜4アルキルより独立して選択され;
R
xおよびR
yはいずれも水素であり;
R
zはハロ、アミノ、C
1〜6アルキル、C
1〜6アルコキシカルボニルアミノまたはN'-(C
1〜6アルキル)ウレイドより選択され;
vは0または1であり;
R
3およびR
6は水素であり;
R
4およびR
5の一方は式(IA)(上記に示す)の基であり、他方は水素、ハロ、C
1〜4アルコキシ、またはaが0〜2であるC
1〜4アルキルS(O)
aより選択され; そのR
4またはR
5は1個または複数のR
16で炭素上で置換されていてもよく; R
16はヒドロキシ、カルボキシおよびN,N-(C
1〜4アルキル)2アミノより独立して選択され;
Xは-O-であり;
R
7は水素、メチルまたはフェニルであり;
R
8は水素またはメチルであり;
A環はアリールまたはヘテロアリールであり; A環は、R
17より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
17はハロ、ヒドロキシ、C
1〜4アルキルまたはC
1〜4アルコキシより選択され; R
17は1個または複数のR
21で炭素上で置換されていてもよく; R
21はハロより選択され;
R
9は水素またはメチルであり;
R
10は水素であり;
R
11はカルボキシ、R
cがC
1〜4アルキルより選択される-P(O)(OH)(OR
c)、または式(IB)(上記に示す)の基であり;
R
12は水素またはメチルであり;
Yは-NH-または-NHC(O)-であり;
R
13は水素、C
1〜4アルキル、カルボシクリルまたはR
23であり; R
13は、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシ、aが0であるC
1〜4アルキルS(O)a、C
1〜4アルコキシ、アミノ、カルボシクリル、ヘテロシクリルまたはメルカプトであり; R
20は1個または複数のR
22で独立して炭素上で置換されていてもよく; R
22はヒドロキシより選択され; R
23はカルボキシであり;
R
14は水素、C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルより選択され; 該C
1〜4アルキルまたはカルボシクリルは、R
20より選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく; R
20はヒドロキシであり;
R
15はカルボキシ、スルホ、ホスホノ、-P(O)(OR
e)(OR
f)、-P(O)(OH)(OR
e)、-P(O)(OH)(R
e)または-P(O)(OR
e)(R
f)であり、R
eおよびR
fはC
1〜4アルキルより独立して選択され、あるいは、R
15は式(IC)(上記に示す)の基であり;
R
24は水素であり;
R
25は水素であり;
R
26はカルボキシであり;
pは1〜3であり; R
13の値は同一でも異なっていてもよく;
qは0〜1であり;
rは0〜3であり; R
14の値は同一でも異なっていてもよく;
mは0〜2であり; R
10の値は同一でも異なっていてもよく;
nは1〜2であり; R
7の値は同一でも異なっていてもよく;
zは0〜1であり; R
25の値は同一でも異なっていてもよい。
本発明の別の局面では、本発明の好ましい化合物は、実施例のいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグである。
【0079】
本発明の一局面は、
(i) 式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩:
式中、
MはCH
2またはNHであり;
R
1はHまたはOHであり;かつ
R
2はH、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-CH
2OH、-CH
2OCH
3、-CH(OH)CH
3、-CH
2SCH
3または-CH
2CH
2-S-CH
3である; ならびに
(ii) IBAT阻害剤; 腸内分泌ペプチドもしくはその促進剤; ジペプチジルペプチダーゼ-IV阻害剤; ビグアニジン; インクレチン模倣体; チアゾリジノン; PPARアゴニスト; HMG Co-A還元酵素阻害剤; 胆汁酸結合剤; およびTGR5受容体モジュレーターより選択される、少なくとも1つの他の活性物質; または、いずれか1つの該活性物質の薬学的に許容される塩
を含む組み合わせであって、式(II)の化合物および該少なくとも1つの他の活性物質が同時に、連続的にまたは個別に投与される、組み合わせである。
【0080】
本発明の一局面は、
以下より選択される化合物、または任意のそのような化合物の薬学的に許容される塩:
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-(カルボキシメチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N'-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((R)-1-カルボキシ-2-メチルチオエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((R)-1-カルボキシ-2-メチルチオ-エチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-(R)-ヒドロキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシブチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N'-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン;
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(カルボキシメチル)カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン; ならびに
(ii) IBAT阻害剤; 腸内分泌ペプチドもしくはその促進剤; ジペプチジルペプチダーゼ-IV阻害剤; ビグアニジン; インクレチン模倣体; チアゾリジノン; PPARアゴニスト; HMG Co-A還元酵素阻害剤; 胆汁酸結合剤; およびTGR5受容体モジュレーターより選択される、少なくとも1つの他の活性物質; または、いずれか1つの該活性物質の薬学的に許容される塩
を含む組み合わせであって、式(I)の化合物および該少なくとも1つの他の活性物質が同時に、連続的にまたは個別に投与される、組み合わせである。
【0081】
式(I)の化合物はキラル中心ならびに/または幾何異性中心(E-およびZ-異性体)を有しうるものであり、本発明は、IBAT阻害活性を有するすべてのそのような光学異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体を包含すると理解すべきである。
【0082】
本発明は、IBAT阻害活性を有する式(1)の化合物の任意のおよびすべての互変異性体に関する。
【0083】
本発明はまた、本発明の化合物のすべての潜在的異性体、例えば、式IおよびIIの前記化合物ならびに具体的に言及される化合物の純粋なまたはすべての割合の混合物としての光学異性体および/または幾何異性体、ならびに潜在的互変異性体に関する。
【0084】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物は1個または複数のキラル中心を有する。したがって、すべての立体異性体が本明細書において意図される。各種態様では、本明細書に記載の化合物は光学活性体またはラセミ体で存在する。本発明の化合物は、本明細書に記載の治療上有用な特性を有するラセミ体、光学活性体、位置異性体および立体異性体、またはその組み合わせを包含すると理解すべきである。光学活性体の調製は、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発原料からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離を非限定的な例として含む任意の好適な様式で実現される。いくつかの態様では、1つまたは複数の異性体の混合物が、本明細書に記載の治療用化合物として利用される。特定の態様では、本明細書に記載の化合物は1個または複数のキラル中心を含有する。これらの化合物は、鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物のエナンチオ選択的合成および/または分離を含む任意の手段によって調製される。化合物およびその異性体の分割は、化学的プロセス、酵素的プロセス、分別結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどを非限定的な例として含む任意の手段によって実現される。
【0085】
本発明のIBAT阻害剤化合物と組み合わせて使用するための化合物
胆汁酸結合剤(胆汁酸捕捉剤、樹脂)
本発明に従って、以下の胆汁酸結合剤を使用することができる:血中コレステロール値を減少させる上で有効であることが知られる親水性ポリアクリル酸四級アンモニウムアニオン交換樹脂である、コレスチラミン。コレスチラミン、およびコレスチラミンを含む各種組成物は、英国特許第929,391号および第1,286,949号; ならびに米国特許第3,383,281号; 第3,308,020号; 第3,769,399号; 第3,846,541号; 第3,974,272号; 第4,172,120号; 第4,252,790号; 第4,340,585号; 第4,814,354号; 第4,874,744号; 第4,895,723号; 第5,695,749号; および第6,066,336号に例えば記載されている。コレスチラミンはNovopharm, USA Inc (Questrans Light)、Upsher-Smith (PREVALITE(D))およびApotheconから市販されている。本明細書において使用される「コレスチラミン」は、コレスチラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む任意の前記組成物を含む。Questrans(商標)
【0086】
Questran Light Questrans Light(コレスチラミン)は、高コレステロール血症の処置に関してFDAに承認された非吸収性アニオン結合樹脂である。
米国特許第5,693,675号および第5,607,669号に記載のアミンポリマーであって、該アミンポリマーの第1のアミンに結合し、疎水性脂肪族部分を含む第1の置換基と、該アミンポリマーの第2のアミンに結合し、脂肪族四級アミン含有部分を含む第2の置換基とを有するアミンポリマー。
【0087】
(a) nが正の整数であり、各Rが独立してHまたはC1〜C8アルキル基である(NR-CH
2CH
2)n (2)および(NR-CH
2CH
2-NR-CH
2CH
2-NR-CH
2CHOH-CH
2)n (3)からなる群より選択される繰り返し単位を有する、1つもしくは複数の架橋ポリマーまたはその塩および共重合体と; (b) 少なくとも1つの脂肪族アルキル化剤との反応生成物であって、(i) 該繰り返し単位中の少なくとも一部の窒素原子が該アルキル化剤と未反応であること; (ii) 該繰り返し単位中の窒素原子の10モルパーセント未満が該アルキル化剤と反応して四級アンモニウム単位を形成すること; ならびに(iii) 固定正電荷および1個または複数の対イオンを特徴とする反応生成物を含む、アルキル化架橋ポリマーの塩、例えばコレセベラムおよびコレセベラム塩酸塩。
【0088】
そのような併用療法に適した胆汁酸結合剤は、コレスチラミンおよびコレスチポールなどの樹脂である。1つの利点は、胆汁酸結合剤のみを含む単剤処置におけるコレステロール血症の処置用の治療量よりも胆汁酸結合剤の用量を低く保持できる可能性があるというものである。また、胆汁酸結合剤の低用量によって、治療量に対する患者の低い許容度が引き起こす任意の潜在的副作用を回避できる可能性がある。
【0089】
別の有用な胆汁酸結合剤は、3,000を超える分子量を有し、同等の重量の利用可能なグリコール酸の水溶液に曝露される際に5分以内に該酸の少なくとも30%に結合する特性を有し、消化酵素に不活性なポリマー骨格を有し、かつ相対湿度100%の空気による平衡後に65%を超える含水量を有する、水不溶性で無毒のポリマーアミン、例えば、米国特許第3,383,281号に記載のコレスチポールである。
【0090】
本発明のさらなる局面では、好適な胆汁酸結合剤はコレスチラミン、コレスチポールまたはコレセベラムの1つである。
【0091】
本発明の好ましい局面は、胆汁酸結合剤としてのコレセベラムの使用である。
【0092】
本発明のIBAT阻害剤化合物との組み合わせで使用される他の活性化合物
本発明のなおさらなる局面によれば、製剤が結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される、有効量のIBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤の投与と、以下より選択される1つまたは複数の以下の剤の同時、連続または個別投与とを含む、併用処置が提供される。
【0093】
スタチン
本発明の別の局面では、IBAT阻害剤化合物、例えば、式(I)もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグを、HMG Co-A還元酵素阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグと結合させて投与することができる。好適なHMG Co-A還元酵素阻害剤、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグは、当技術分野において周知のスタチンである。特定のスタチンは、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ベルバスタチン(bervastatin)、ダルバスタチン(dalvastatin)、メバスタチンおよび(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシヘプタ-6-エン酸(ロスバスタチン)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグである。特定のスタチンはアトルバスタチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグである。より特定のスタチンはアトルバスタチンカルシウム塩である。さらなる特定のスタチンは、(E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-イソプロピル-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン-5-イル](3R,5S)-3,5-ジヒドロキシヘプタ-6-エン酸(ロスバスタチン)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグである。他の特定のスタチンはロスバスタチンカルシウム塩およびピタバスタチン(HMG CoA還元酵素阻害剤)である。
【0094】
本発明のさらなる局面では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグをHMG Co-A還元酵素阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および/あるいは胆汁酸結合剤と結合させて投与することで、回腸胆汁酸輸送系の阻害が引き起こす結腸内での過剰の胆汁酸の潜在的危険性を回避することができる。内臓内容物中の過剰の胆汁酸は下痢を引き起こすことがある。したがって、本発明はまた、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む、治療中の患者における下痢などの潜在的副作用の処置を提供する。
【0095】
HMG CoA還元酵素阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグは、胆汁酸合成に利用可能な内因性コレステロールをその作用によって減少させ、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグとの組み合わせで脂質低下に対して相加効果を示す。
【0096】
CETP(コレステリルエステル転送タンパク質)阻害剤、例えば参照により本明細書に組み入れられるWO 00/38725、7頁22行〜10頁17行で言及および記載されるもの。
【0097】
コレステロール吸収アンタゴニスト、例えばSCH 58235などのアゼチジノン、および参照により本明細書に組み入れられるUS 5,767,115に記載のもの;
MTP(ミクロソーム転送タンパク質)阻害剤、例えば参照により本明細書に組み入れられるScience, 282, 751-54, 1998に記載のもの;
フィブリン酸誘導体、例えばクロフィブラート、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、シプロフィブラートおよびベザフィブラート;
ニコチン酸誘導体、例えばニコチン酸(ナイアシン)、アシピモックスおよびニセリトロール;
植物ステロール化合物、例えばスタノール;
プロブコール;
抗肥満化合物、例えばオルリスタット(EP 129,748)ならびにシブトラミン(GB 2,184,122およびUS 4,929,629);
抗高血圧化合物、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アドレナリン遮断薬、αアドレナリン遮断薬、βアドレナリン遮断薬、混合α/βアドレナリン遮断薬、アドレナリン刺激薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬または血管拡張薬;
インスリン;
グリベンクラミドおよび/またはトルブタミドを含むスルホニル尿素。
【0098】
ビグアナイド
その他の活性化合物は、血糖値および/または血漿グルコース値を減少させ得るビグアナイドであり得る。ビグアナイドの例としてはブホルミン、メトホルミン、フェンホルミン、プログアニルなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0099】
アカルボース;
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、またはプロドラッグ。該治療的処置を必要とするヒトなどの温血動物に対する薬学的に許容される希釈剤または担体を任意で伴う。
【0100】
ACE阻害剤
式(I)の化合物との組み合わせで使用可能な、特定のACE阻害剤、または活性代謝物を含むその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグとしては、以下の化合物が挙げられるがそれに限定されない: アラセプリル、アラトリオプリル(alatriopril)、アルチオプリルカルシウム(altiopril calcium)、アンコベニン(ancovenin)、ベナゼプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ベナゼプリラート、ベンゾイルカプトプリル、カプトプリル、カプトプリル-システイン、カプトプリル-グルタチオン、セラナプリル(ceranapril)、セラノプリル(ceranopril)、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル、シラザプリラート、デラプリル、デラプリル二酸、エナラプリル、エナラプリラート、エナプリル(enapril)、エピカプトプリル(epicaptopril)、ホロキシミチン(foroxymithine)、ホスフェノプリル(fosfenopril)、ホセノプリル(fosenopril)、ホセノプリルナトリウム、ホシノプリル、ホシノプリルナトリウム、ホシノプリラート、ホシノプリル酸(fosinoprilic acid)、グリコプリル(glycopril)、ヘモルフィン4(hemorphin-4)、イドラプリル(idrapril)、イミダプリル、インドラプリル(indolapril)、インドラプリラート(indolaprilat)、リベンザプリル(libenzapril)、リシノプリル、リシウミンA(lyciumin A)、リシウミンB、ミキサンプリル(mixanpril)、モエキシプリル、モエキシプリラート(moexiprilat)、モベルチプリル(moveltipril)、ムラセインA(muracein A)、ムラセインB、ムラセインC、ペントプリル(pentopril)、ペリンドプリル、ペリンドプリラート、ピバロプリル(pivalopril)、ピボプリル(pivopril)、キナプリル、キナプリル塩酸塩、キナプリラート、ラミプリル、ラミプリラート(ramiprilat)、スピラプリル、スピラプリル塩酸塩、スピラプリラート、スピロプリル(spiropril)、スピロプリル塩酸塩、テモカプリル、テモカプリル塩酸塩、テプロチド、トランドラプリル、トランドラプリラート(trandolaprilat)、ウチバプリル(utibapril)、ザビシプリル(zabicipril)、ザビシプリラート(zabiciprilat)、ゾフェノプリルおよびゾフェノプリラート(zofenoprilat)。本発明において使用される好ましいACE阻害剤はラミプリル、ラミプリラート、リシノプリル、エナラプリルおよびエナラプリラートである。本発明において使用されるより好ましいACE阻害剤はラミプリルおよびラミプリラートである。
【0101】
アンジオテンシンIIアンタゴニスト
式(I)の化合物との組み合わせで使用される好ましいアンジオテンシンIIアンタゴニスト、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグとしては、化合物カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびエプロサルタンが挙げられるがそれに限定されない。本発明で使用される特に好ましいアンジオテンシンIIアンタゴニストまたはその薬学的に許容される誘導体は、カンデサルタンおよびカンデサルタンシレキセチルである。
【0102】
PPARαおよび/もしくはγおよび/もしくはδアゴニスト
本発明の別の局面では、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグを、PPARαおよび/もしくはγアゴニスト、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグと結合させて投与することができる。好適なPPARαおよび/もしくはγアゴニスト、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグは、当技術分野において周知である。これらは、いずれも参照により本明細書に組み入れられるWO 01/12187、WO 01/12612、WO 99/62870、WO 99/62872、WO 99/62871、WO 98/57941、WO 01/40170、J Med Chem, 1996, 39, 665、Expert Opinion on Therapeutic Patents, 10 (5), 623-634(特に634頁に列挙される特許出願に記載の化合物)、およびJ Med Chem, 2000, 43, 527に記載の化合物を含む。特に、PPARαおよび/もしくはγアゴニストとは、WY-14643、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート、GW 9578、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、エグリタゾン(eglitazone)、プログリタゾン(proglitazone)、BRL-49634、KRP-297、JTT-501、SB 213068、GW 1929、GW 7845、GW 0207、L-796449、L-165041およびGW 2433を意味する。
【0103】
特に、PPARαおよび/もしくはγアゴニストとは、(S)-2-エトキシ-3-[4-(2-{4-メタンスルホニルオキシフェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸およびその薬学的に許容される塩を意味する。
【0104】
その他の有用な活性物質は、抗糖尿病薬、血糖降下有効成分、コレステロール吸収阻害剤、PPARδアゴニスト、フィブラート、MTP阻害剤、胆汁酸吸収阻害剤、ポリマー胆汁酸吸着剤、LDL受容体誘導剤、ACAT阻害剤、抗酸化剤、リポタンパク質リパーゼ阻害剤、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、HM74A受容体アゴニスト、リパーゼ阻害剤、インスリン、スルホニル尿素、ビグアナイド、メグリチニド、チアゾリジンジオン、α-グルコシダーゼ阻害剤、β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する有効成分、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、グルコキナーゼ活性化剤、糖新生阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ阻害剤、グルコース輸送体4モジュレーター、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体1もしくは2モジュレーター、GPR40モジュレーター、ホルモン感受性リパーゼ阻害剤、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ阻害剤、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β阻害剤、タンパク質キナーゼCβ阻害剤、エンドセリンA受容体アンタゴニスト、IκBキナーゼ阻害剤、グルココルチコイド受容体モジュレーター、CARTアゴニスト、NPYアゴニスト、MC4アゴニスト、オレキシンアゴニスト、H3アゴニスト、TNFアゴニスト、CRFアゴニスト、CRF BPアンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト、CB1受容体アンタゴニスト、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アゴニスト、CCKアゴニスト、セロトニン再取り込み阻害剤、混合セロトニン作動性およびノルアドレナリン作動性化合物、5HTアゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRHアゴニスト、脱共役タンパク質2もしくは3モジュレーター、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン(Doprexin))、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPARモジュレーター、RXRモジュレーター、またはTR-βアゴニスト、またはアンフェタミンであり得る。
【0105】
PPARδアゴニストの例としては、GW-501516(501516、GSK-516、GW-516、GW-1516; ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)δアゴニスト)、ならびに、GI-262570、GW-0072、GW-7845およびGW-7647を含む、GW-501516から開発されたいくつかの他の化合物がある。
【0106】
一態様によれば、IBAT阻害剤をアトレロイトン(Atreleuton)、エプロチローム(Eprotirome)、ロスマピモド(Losmapimod)、エゼチミブ(SCH58235)、ベザフィブラート、フェノフィブラート、バレスプラジブ(Varespladib)、ダラプラジブ(Darapladib)、ロミタピド(Lomitapide)、インプリタピド(Implitapide)、ロシグリタゾン、ダルセトラピブ、アナセトラピブ、ロルカセリン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、セルグリフロジン(Sergliflozin)、ASP-1941、オルリスタット、エクセナチド、リラグルチド、タスポグルチド、ツラグルチド(Tulaglutide)、プラムリンチド、リキシセナチド、アルビグルチド、ピオグリタゾン、ソデルグリタザル(Sodelglitazar)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)、インデグリタザル(Indeglitazar)、ナベグリタザル(Naveglitazar)、ロベグリタゾン(Lobeglitazone)、アレグリタザル(Aleglitazar)、ブロモクリプチン、テソフェンシン(Tesofensine)、アログリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン(Denagliptin)、ゲミグリプチン(Gemigliptin)、リナグリプチン、デュトグリプチン(Dutogliptin)、テネリグリプチン(Teneligliptin)、LC-150444、ラロピプラント(Laropiprant)、持続放出ナイアシン、シンバスタチン・エゼチミブ、ロスバスタチン・フェノフィブラート、ロスバスタチン・エゼチミブおよびアトルバスタチン・エゼチミブの1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0107】
トレダプティブ(Tredaptive)、バイトリン(Vytorin)およびサートリアド(Certriad)との組み合わせを使用することができる。
【0108】
一態様によれば、本発明のIBAT阻害剤を、任意の組み合わせでジペプチジルペプチダーゼ-IV阻害剤、スタチン、PPARγアゴニスト、スタチンおよび胆汁酸結合剤より選択される少なくとも1つの他の活性物質と組み合わせる。
【0109】
一態様によれば、本発明のIBAT阻害剤をシタグリプチンおよびピオグリタゾン(Pioglitazon)などの少なくとも1つのDPPIV、少なくとも1つのPPARγアゴニストと組み合わせる。
【0110】
1つの他の態様によれば、本発明のIBAT阻害剤を、少なくとも1つのスタチン、例えばシタグリプチンおよびシンバスタチン、ならびに少なくとも1つのDPPIVと組み合わせる。
【0111】
特定の場合では、本化合物の使用は、胃腸管内の胆汁酸塩の再循環を減少させるかまたは阻害する。いくつかの態様では、胆汁輸送阻害剤は非全身性化合物である。他の態様では、胆汁酸輸送体阻害剤は全身性化合物である。特定の態様では、本明細書に記載の胆汁輸送阻害剤は、腸内分泌ペプチドのL細胞分泌を促進する。特定の場合では、腸内分泌ペプチドのL細胞分泌の増大は、満腹の誘導および/または食物摂取(カロリー摂取)の減少、ならびに引き続く体重減少に関連している。いくつかの態様では、腸内分泌ペプチドのL細胞分泌の増大は、高血糖の個体における血糖値および/または血漿グルコース値の減少に関連している。いくつかの場合では、腸内分泌ペプチドのL細胞分泌の増大はインスリン感受性の増大に関連している。
【0112】
肥満または糖尿病を処置するための方法であって、該処置を必要とする個体の遠位回腸と本発明のIBAT阻害剤とを接触させる段階を含む方法が本明細書において提供される。
【0113】
本方法のいくつかの態様では、該処置を必要とする個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる段階は、a. 個体の食物摂取を減少させるか; b. 個体の満腹を誘導し; c. 個体の血糖値および/または血漿グルコース値を減少させるか; d. 個体の代謝障害を処置するか; e. 個体の体重を減少させるか; f. 個体の遠位胃腸管内のL細胞を刺激するか; g. 個体の遠位胃腸管内のL細胞の近傍での胆汁酸およびその塩の濃度を増大させるか; h. 個体の腸内分泌ペプチド分泌を促進するか; あるいはi. これらの任意の組み合わせである。
【0114】
一態様によれば、IBAT阻害剤を上述の他の化合物のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0115】
いくつかの態様では、IBAT阻害剤は全身吸収されない。いくつかの他の態様では、IBAT阻害剤は全身吸収される。
【0116】
いくつかの態様では、上記の方法は、DPP-IV阻害剤、ビグアナイド、インクレチン模倣体、チアゾリジンジオン、GLP-1またはその類似体、およびTGR5アゴニストより選択される第2の剤を投与する段階をさらに含む。いくつかの態様では、第2の剤はDPP-IV阻害剤である。
【0117】
本方法のいくつかの態様では、個体は肥満のまたは病的に過体重の個体である。本方法のいくつかの態様では、個体は糖尿病の個体である。本方法のいくつかの態様では、個体は非糖尿病の個体である。
【0118】
いくつかの態様では、肥満および/または糖尿病の処置のための方法であって、該処置を必要とする個体に治療有効量のIBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせを投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、肥満および/または糖尿病の処置のための方法であって、該処置を必要とする個体に治療有効量のIBAT阻害剤とTGR5アゴニストとの組み合わせを投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、肥満および/または糖尿病の処置のための方法であって、該処置を必要とする個体に治療有効量のIBAT阻害剤とチアゾリジンジオンとの組み合わせを投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、肥満および/または糖尿病の処置のための方法であって、該処置を必要とする個体に治療有効量のIBAT阻害剤とインクレチン模倣体との組み合わせを投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、肥満および/または糖尿病の処置のための方法であって、該処置を必要とする個体に治療有効量のIBAT阻害剤とGLP-1またはその類似体との組み合わせを投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、肥満および/または糖尿病の処置のための方法であって、該処置を必要とする個体に治療有効量のIBAT阻害剤とビグアナイドとの組み合わせを投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。
【0119】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、該処置を必要とする個体の食物摂取(カロリー摂取)を減少させる。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、該処置を必要とする個体の満腹を誘導する。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、該処置を必要とする個体の代謝障害を処置する。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、該処置を必要とする個体の体重を減少させる。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、該処置を必要とする個体の遠位胃腸管内のL細胞を刺激する。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、個体の遠位胃腸管内のL細胞の近傍での胆汁酸およびその塩の濃度を増大させる。
【0120】
該処置を必要とする個体の食物摂取を減少させるための方法であって、該処置を必要とする個体に、該個体の遠位回腸内に非全身的に送達または放出されるIBAT阻害剤を投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。
【0121】
該処置を必要とする個体の循環血または血漿グルコース値を減少させるための方法であって、該処置を必要とする個体に、該個体の遠位回腸内に非全身的に送達または放出されるIBAT阻害剤を投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。
【0122】
該処置を必要とする個体のインスリン分泌を増大させるための方法であって、該処置を必要とする個体に、該個体の遠位回腸内に非全身的に送達または放出されるIBAT阻害剤を投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。
【0123】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法は、該処置を必要とする個体の腸内分泌ペプチド分泌を促進する。いくつかのそのような態様では、腸内分泌ペプチドはGLP-1、GLP-2、PYY、オキシントモジュリン、またはその組み合わせである。
【0124】
いくつかの態様では、該処置を必要とする個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる段階は、個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値の約2倍〜約6倍に個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を増大させる。
【0125】
いくつかの態様では、該処置を必要とする個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる段階は、個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる前の個体の血液および/または血漿中のグルコース値に比べて個体の血液および/または血漿中のグルコース値を少なくとも30%減少させる。
【0126】
いくつかの態様では、該処置を必要とする個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる段階は、個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる前の個体の血糖値および/または血漿グルコース値に比べて減少した個体の血糖値および/または血漿グルコース値を少なくとも24時間維持する。
【0127】
いくつかの態様では、IBAT阻害剤を経口投与する。いくつかの態様では、IBAT阻害剤を、個体の遠位回腸および/または結腸および/または直腸にIBAT阻害剤を送達する回腸pH感受性放出製剤として投与する。いくつかの態様では、IBAT阻害剤を腸溶コーティング製剤として投与する。
【0128】
上記の方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤は本明細書に記載の式Iの化合物である。上記の方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤は本明細書に記載の式IIの化合物である。
【0129】
上記の方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤を食物摂取前に投与する。上記の方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤を食物摂取の約60分未満前に投与する。上記の方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤を食物摂取の約30分未満前に投与する。上記の方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤を食物摂取後に投与する。
【0130】
うっ血性心不全、心室機能不全、毒性多血、多嚢胞性卵巣症候群、炎症性腸疾患、腸完全性障害、短腸症候群、胃炎、消化性潰瘍または過敏性腸疾患の予防および/または処置のための方法であって、該処置を必要とする個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、本方法は、DPP-IV阻害剤、TGR5アゴニスト、ビグアナイド、インクレチン模倣体、またはGLP-1もしくはその類似体を投与する段階をさらに含む。放射線腸炎の予防および/または処置のための方法であって、該処置を必要とする個体の遠位回腸とIBAT阻害剤とを接触させる段階を含む方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、本方法は、DPP-IV阻害剤、TGR5アゴニスト、ビグアナイド、インクレチン模倣体、またはGLP-1もしくはその類似体を投与する段階をさらに含む。
【0131】
該処置を必要とする個体のカロリー摂取を減少させるための組成物であって、該個体の遠位回腸内に非全身的に送達または放出されるIBAT阻害剤と薬学的に許容される担体とを含む組成物が本明細書において提供される。該処置を必要とする個体の循環血および/または血漿グルコース値を減少させるための組成物であって、該個体の遠位回腸内に非全身的に送達または放出されるIBAT阻害剤と薬学的に許容される担体とを含む組成物が本明細書において提供される。該処置を必要とする個体のインスリン分泌を増大させるための組成物であって、該個体の遠位回腸内に非全身的に送達または放出されるIBAT阻害剤と薬学的に許容される担体とを含む組成物が本明細書において提供される。いずれかの上述の態様では、本組成物は、DPP-IV阻害剤、TGR5アゴニスト、ビグアナイド、インクレチン模倣体、またはGLP-1もしくはその類似体をさらに含む。
【0132】
いくつかの態様では、食物摂取(カロリー摂取)を減少させるかまたは循環血もしくは血漿グルコース値を減少させるためのIBAT阻害剤であって、経口投与後に全身吸収されないIBAT阻害剤が本明細書において提供される。いくつかのそのような態様では、IBAT阻害剤は本明細書に記載の式I、IIの化合物である。いくつかのそのような態様では、IBAT阻害剤は、回腸内でそれを放出する製剤中でのその存在によって、胃内での吸収が防止される。いくつかのそのような態様では、IBAT阻害剤は、DPP-IV阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、インクレチン模倣体、GLP-1もしくはその類似体、またはTGR5アゴニストより選択される第2の治療薬と組み合わせて投与される。
【0133】
IBAT阻害剤と他の活性物質との両方を含む本明細書において言及されるすべての物質は、適用可能な場合、薬学的に許容される塩およびエステルの形態で使用してもよい。
【0134】
L細胞が産生するインクレチンおよびホルモン
一態様では、他の活性物質は、L細胞が産生するインクレチンおよび/またはホルモンでありうる。
【0135】
いくつかの態様では、さらなる治療薬はL細胞内分泌ペプチド促進剤である。いくつかの場合では、L細胞内分泌ペプチド促進剤はGLP-1促進剤である。いくつかの態様では、GLP-1促進剤はGLP-1、GLP-1分泌促進剤、GLP-1分解阻害剤など、またはその組み合わせである。特定の場合では、GLP-1濃度の増加は、ヒト対象における食物摂取の減少および/または胃内容排出の減少をもたらす。
【0136】
いくつかの態様では、L細胞内分泌ペプチド促進剤はGLP-2促進剤である。特定の場合では、GLP-2促進剤はGLP-2、GLP-2分泌促進剤、GLP-2分解阻害剤など、またはその組み合わせである。特定の場合では、GLP-2分泌の促進は、胃内容排出を阻害し、腸透過性を減少させる。いくつかの場合では、GLP-2分泌の促進は胃酸分泌を阻害する。いくつかの場合では、GLP-2分泌の促進は胃腸管の炎症(胃腸の腸炎)を減少させるかまたは予防する。いくつかの場合では、GLP-2分泌の促進は、胃腸組織の損傷(例えば放射線腸炎)を再生および/または治癒する。
【0137】
いくつかの場合では、L細胞内分泌ペプチド促進剤はPYY促進剤である。いくつかの場合では、PYY分泌の促進は空腹感の減少をもたらす。いくつかの場合では、L細胞内分泌ペプチド促進剤はオキシントモジュリン促進剤である。いくつかの場合では、オキシントモジュリン分泌の促進は、食事が刺激する胃液分泌を阻害する。
【0138】
インクレチン模倣体
いくつかの態様では、さらなる治療薬はインクレチン模倣体である。いくつかの態様では、インクレチン模倣体は食事摂取に対する膵臓の応答を増強する。いくつかの場合では、インクレチン模倣体と本明細書に記載のいずれかの化合物との組み合わせの投与は血糖値および/または血漿グルコース値を低下させる。インクレチン模倣体の例としてはエクセナチド(バイエッタ(登録商標))が挙げられるがそれに限定されない。
【0139】
処置のために現在使用されている1つの治療法は、エクセナチド(バイエッタ(登録商標))の皮下注射である。いくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との経口組み合わせは、血漿グルコース値を減少させる上でエクセナチドの注射と同等以上に有効である。いくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との経口組み合わせは、グルコース低下薬の注射に関連する不快感を減少させるかまたは除去する。
【0140】
腸内分泌ペプチド
いくつかの態様では、さらなる治療薬は腸内分泌ペプチドである。いくつかの態様では、腸内分泌ペプチドはインスリン抵抗性を逆転させ、血糖値および/または血漿グルコース値を低下させる。さらなる治療薬として投与される腸内分泌ペプチドの例としてはGLP-1、またはタスポグルチド(登録商標)(Ipsen)などのGLP-1類似体が挙げられるがそれに限定されない。
【0141】
IBAT阻害剤およびDPP-IV阻害剤による併用療法
特定の態様では、さらなる治療薬はL細胞腸内分泌ペプチドの分解を阻害する。特定の態様では、さらなる治療薬はDPP-IV阻害剤である。特定の場合では、該処置を必要とする個体に対するIBATの投与はGLP-1の分泌を促進し、DPP-IV阻害剤とIBAT阻害剤との組み合わせの投与はGLP-1の分解を減少させるかまたは阻害し、それによりGLP-1値の向上の治療効果を延長する。いくつかの態様では、IBAT阻害剤の投与は個体の体重を減少させる。いくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は個体の体重を減少させる。
【0142】
別の治療法はメトホルミンとシタグリプチン(ジャヌメット(Janumet)(登録商標))との組み合わせである。0.3、30、100、300mg/kg用量のメトホルミンと30mg/kgシタグリプチンとの組み合わせの投薬で、血漿グルコース濃度の減少が投薬の3時間後から約6時間後まで観察される。いくつかの態様では、IBAT阻害剤とシタグリプチンとの組み合わせは、メトホルミンとシタグリプチンとの組み合わせ(約6時間)に比べて長い持続時間(例えば少なくとも24時間)、減少した血漿グルコース濃度を維持する。いくつかの場合では、IBAT阻害剤治療は、メトホルミン治療および/またはDPP-IV阻害剤治療に関連する副作用を排除する。
【0143】
本明細書に記載の方法での使用に好適なDPP-IV阻害剤としては(2S)-1-{2-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル}ピロリジン-2-カルボニトリル(ビルダグリプチン)、(3R)-3-アミノ-1-[9-(トリフルオロメチル)-1,4,7,8-テトラアザビシクロ[4.3.0]ノナ-6,8- -ジエン-4-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン(シタグリプチン)、(1S,3S,5S)-2-[(2S)-2-アミノ-2-(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アセチル]-2-アザビシクロ[-3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル(サクサグリプチン)および2-({6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル}メチル)ベンゾニトリル(アログリプチン)が挙げられるがそれに限定されない。
【0144】
本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて約1.1倍〜約30倍に個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を増大させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて約1.1倍〜約20倍に個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を増大させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて約1.5倍〜約10倍に個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を増大させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて約2倍〜約8倍に個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を増大させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて約2倍〜約6倍に個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を増大させる。いくつかの場合では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与後のGLP-1値が約2倍〜約3倍に増大していることを使用することができる。いくつかの場合では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて本明細書に記載のASBT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与後のGLP-1値が約3倍〜約8倍に増大していることを使用することができる。
【0145】
本明細書に記載のいずれかの方法の特定の態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の血糖値および/または血漿糖値に比べて血糖値および/または血漿糖値を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%減少させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の血糖値および/または血漿糖値に比べて血糖値および/または血漿糖値を少なくとも20%減少させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の血糖値および/または血漿糖値に比べて血糖値および/または血漿糖値を少なくとも30%減少させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与前の血糖値および/または血漿糖値に比べて血糖値および/または血漿糖値を少なくとも40%減少させる。
【0146】
本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、メトホルミンとDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与時の血糖値および/または血漿糖値の減少に比べて長期間(例えば少なくとも24時間)、血糖値および/または血漿糖値を減少させる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、単一用量のIBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、単一用量のメトホルミンとDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与時の血糖値および/または血漿糖値の減少に比べて、減少した血糖値および/または血漿糖値を少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも30時間、少なくとも36時間または少なくとも48時間持続させる。
【0147】
本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、正常な個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて高い、個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を生じさせる。本明細書に記載のいずれかの方法のいくつかの態様では、IBAT阻害剤とDPP-IV阻害剤との組み合わせの投与は、メトホルミンおよび/またはDPP-IV阻害剤による治療を経た個体の血液および/または血漿中のGLP-1値に比べて高い、個体の血液および/または血漿中のGLP-1値を生じさせる。
【0148】
TGR5受容体モジュレーター
いくつかの場合では、さらなる治療薬は胃腸管腔内の胆汁酸受容体を調節する。いくつかの態様では、さらなる治療薬は胃腸管内の胆汁酸受容体(例えばTGR5受容体またはファルネソイドX受容体)を刺激するかまたは部分的に刺激する。いくつかの態様では、さらなる治療薬は胆汁酸類似体である。特定の場合では、さらなる治療薬はTGR5アゴニストである。特定の場合では、TGR5アゴニストと本明細書に記載のいずれかの化合物との組み合わせの投与は、L細胞からの腸内分泌ペプチドの分泌を促進する。TGR5モジュレーター(例えばアゴニスト)としては、WO 2008/091540、WO 2008/067219および米国出願公開第2008/0221161号に記載の化合物が挙げられるがそれに限定されない。
【0149】
チアゾリジンジオン
いくつかの態様では、さらなる治療薬はチアゾリジンジオンである。いくつかの場合では、チアゾリジンジオンはインスリン抵抗性を逆転させ、血糖値および/または血漿グルコース値を低下させる。チアゾリジンジオンの例としてはロシグリタゾン(アバンディア)、ピオグリタゾン(アクトス)、トログリタゾン(レズリン)、MCC-555、リボグリタゾン、シグリタゾンなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0150】
IBAT阻害剤、胆管シャントおよびDPP-IV阻害剤による併用療法
いくつかの態様では、IBAT阻害剤をDPP-IV阻害剤および/または胆管シャントと組み合わせて投与する。胆管シャントの例としてはWO 2007/0050628に記載のシャントが挙げられるがそれに限定されず、そこに記載された胆管シャントの開示は参照により本明細書に組み入れられる。いくつかのそのような態様では、胆管シャントは胆汁酸を遠位回腸および/または直腸および/または結腸に移動させ、それにより、胃腸管の遠位部に存在するL細胞の近傍での胆汁酸の濃度を増大させる。いくつかの場合では、L細胞の近傍での胆汁酸の濃度のそのような増大は、L細胞からのGLP-1の分泌を増大させ、それにより満腹、および/または空腹の減少、および/または体重減少、および/または血漿グルコース値の減少、またはそれらの任意の組み合わせを誘導する。
【0151】
IBAT阻害剤および第2の有効成分は、その組み合わせが治療有効量で存在するように使用される。その治療有効量は、IBAT阻害剤と他の有効成分(例えばDPP-IV阻害剤)との組み合わせの使用により生じ、その組み合わせでは、各々が治療有効量で使用されるか、あるいは、組み合わせ使用により生じる相加効果または相乗効果が理由で、組み合わせ使用が治療上有効であるという条件で、各々が潜在的な治療有効量で、すなわち単独で使用される場合に本明細書に記載の治療目的に対する有効性の減少を示す量で使用されることもある。いくつかの態様では、IBAT阻害剤と本明細書に記載の任意の他の有効成分との組み合わせの使用は、それらの相加効果または相乗効果が理由で組み合わせ使用が治療上有用であるという条件で、IBAT阻害剤または他の有効成分が治療有効量で存在し、他方が潜在的な治療有効量で存在する、組み合わせを包含する。本明細書において使用される「相加効果」という用語は、単独で投与される各剤の効果の合計に等しい、2つ(またはそれ以上)の薬学的に活性な剤の併用効果を記述する。相乗効果とは、2つ(またはそれ以上)の薬学的に活性な剤の併用効果が単独で投与される各剤の効果の合計よりも大きい効果のことである。ASBITと1つまたは複数の上述の他の有効成分および任意で1つまたは複数の他の薬理学的に活性な物質との任意の好適な組み合わせが、本明細書に記載の方法の範囲内であることが意図される。
【0152】
いくつかの態様では、化合物の特定の選択は、主治医の診断、ならびに個体の状態および適切な処置プロトコールに関する彼らの判断に依存する。化合物は、疾患、障害または状態の性質、個体の状態、および使用される化合物の実際の選択に応じて、同時的に(例えば同時に、本質的に同時に、または同一処置プロトコール内に)投与しても、連続的に投与してもよい。特定の場合では、処置プロトコール中の各治療薬の投与順序および投与反復回数の決定は、処置される疾患および個体の状態の評価に基づく。
【0153】
いくつかの場合では、治療有効量は、薬物を併用処置で使用する場合に変動する。併用処置レジメンで使用される薬物および他の剤の治療有効量を実験的に決定するための方法は文献に記載されている。
【0154】
本明細書に記載の併用療法のいくつかの態様では、同時投与される化合物の投与量は、使用されるコドラッグの種類、使用される特定の薬物、処置される疾患または状態などに応じて変動する。さらに、本明細書において提供される化合物は、1つまたは複数の生物活性物質と同時投与される場合、生物活性物質と同時に投与してもよく、連続的に投与してもよい。特定の場合では、連続的に投与する場合、主治医は、本明細書に記載の治療用化合物とさらなる治療薬との組み合わせの適切な順序を決定する。
【0155】
複数の治療薬(その少なくとも1つは本明細書に記載の治療用化合物である)は、任意の順序で、さらには同時に投与してもよい。同時の場合、複数の治療薬を単一の統合された形態で与えてもよく、複数の形態で与えてもよい(ごく一例としては単一の丸剤または2つの別々の丸剤のいずれかとして)。特定の場合では、一方の治療薬を複数用量で投与してもよい。他の場合では、両方を複数用量として投与してもよい。同時でない場合、複数用量間のタイミングは任意の好適なタイミング、例えば0週間超〜4週間未満である。さらに、併用方法、組成物および製剤は2つの剤のみの使用に限定されるものではなく、複数の治療用組み合わせの使用も意図される(本明細書に記載の2つ以上の化合物を含む)。
【0156】
特定の態様では、軽減の目標となる状態を処置し、予防しまたは寛解させるための投薬レジメンを種々の要因に従って修正する。これらの要因としては、対象が罹患している障害、ならびに対象の年齢、体重、性別、食事および医学的状態が挙げられる。したがって、各種態様では、実際に使用される投薬レジメンは、本明細書に記載の投薬レジメンから変動および逸脱する。
【0157】
いくつかの態様では、本明細書に記載の併用療法を構成する医薬を組み合わせ剤形で、または実質的に同時の投与が意図される別々の剤形で与える。特定の態様では、併用療法を構成する医薬を連続的に投与し、いずれかの治療用化合物を、2段階投与を必要とするレジメンによって投与する。いくつかの態様では、2段階投与レジメンは活性物質の連続投与、または別々の活性物質の間隔投与を必要とする。特定の態様では、複数の投与段階間の期間は、各医薬の特性、例えば該医薬の効力、溶解度、バイオアベイラビリティ、血漿中半減期および動態プロファイルに応じて、非限定的な例では数分〜数時間で変動する。
【0158】
疾患
本発明の1つまたは複数のIBAT阻害剤化合物は、場合によっては本発明のIBAT阻害剤化合物との組み合わせで使用される1つまたは複数のいずれかの上記活性化合物と共に、高脂血症、高トリグリセリド血症、高βリポ蛋白血症(高LDL)、高プレβリポ蛋白血症(高VLDL)、高カイロミクロン血症、低リポ蛋白血症、高コレステロール血症、高リポ蛋白血症および低αリポ蛋白血症(低HDL)などの脂質異常症の状態および障害の予防的または治療的処置において使用することができる。さらに、これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、不整脈、高血栓性状態、血管機能不全、内皮機能不全、心不全、冠動脈心疾患、心血管疾患、心筋梗塞、狭心症、末梢血管疾患、心臓、弁、脈管構造、動脈および静脈などの心血管組織の炎症、動脈瘤、狭窄、再狭窄、血管プラーク、血管脂肪線条、白血球、単球および/またはマクロファージの浸潤、内膜肥厚、中膜菲薄化、感染性のおよび外科的な外傷および血管血栓症、脳卒中および一過性脳虚血発作; 胆石、下痢などの異なる臨床的状態の予防および処置に有用であると予想される。
【0159】
脂肪酸代謝障害およびグルコース利用障害、インスリン抵抗性が関与する障害。それに関連する続発症の予防を含む、糖尿病、特に2型糖尿病。この関連での特定の局面は、高血糖症、インスリン抵抗性の改善、耐糖能の改善、膵β細胞の保護、大血管障害および微小血管障害の予防である。例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、脳血管障害などの脂質異常症およびそれらの続発症、特に1つまたは複数の以下の要因を特徴とするもの(但しそれらに限定されない): 高血漿トリグリセリド濃度、高食後血漿トリグリセリド濃度、低HDLコレステロール濃度、低apoAリポタンパク質濃度、高LDLコレステロール濃度、低密度LDLコレステロール粒子、高apoBリポタンパク質濃度、不飽和化指数(例えば脂肪酸の比18:1/18:0n-9、16:1/16:0n-7または18:1n-9+16:1n-7/16:0)。メタボリックシンドロームまたはシンドロームXに関連しうる各種の他の状態、例えば、腹囲増大、脂質異常症(例えば高トリグリセリド血症および/または低HDL)、インスリン抵抗性、凝固性亢進、高尿酸血症、ミクロアルブミン血症、血栓症、凝固性亢進および血栓形成促進性状態(動脈および静脈)、高血圧、例えば心筋梗塞、高血圧性心疾患もしくは心筋症後の(但しそれに限定されない)心不全。肝障害およびそれに関連する状態。脂肪肝(fatty liver)、脂肪肝(hepatic steatosis)、非アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、急性脂肪肝、妊娠脂肪肝、薬物性肝炎、鉄過剰障害、肝線維症、肝硬変、肝細胞腫、ウイルス性肝炎。皮膚障害および皮膚状態、ならびに多価不飽和脂肪酸に関連するもの。湿疹、ざ瘡、乾癬、ケロイド瘢痕形成または予防、粘膜脂肪酸組成に関連する他の疾患。原発性高トリグリセリド血症または続発性高リポ蛋白血症、アポリポタンパク質欠乏症(例えばapoCIIまたはapoE欠乏症)。新生物細胞増殖に関連する疾患または状態。良性または悪性腫瘍、がん、新生物、転移、発がん。神経障害もしくは神経状態、精神障害もしくは精神状態、または免疫障害もしくは免疫状態に関連する疾患または状態。炎症反応または細胞分化が例えば関与しうる他の疾患または状態としては以下がある: 例えば狭心症または心筋梗塞、脳卒中、虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)を含む冠硬化症などの(但しそれに限定されない)アテローム性動脈硬化症、末梢閉塞性疾患、血管再狭窄または再閉塞、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性腸疾患、膵炎、副鼻腔炎、他の炎症性状態、網膜症、虚血性網膜症、脂肪細胞腫瘍、例えば脂肪肉腫などの脂肪腫性がん、例えば胃腸管がん、肝がん、胆管がんおよび膵がん、内分泌腫瘍、肺がん、腎がんおよび泌尿器がん、生殖器がん、前立腺がんなどの(但しそれに限定されない)固形腫瘍および新生物、急性および慢性の骨髄増殖性障害およびリンパ腫、血管新生、神経変性障害、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、例えば乾癬などの紅斑鱗屑性皮膚疾患、尋常性ざ瘡、PPARによって調節される他の皮膚障害および皮膚状態、湿疹および神経皮膚炎、例えば脂漏性皮膚炎または光線皮膚炎などの皮膚炎、例えば脂漏性角化症、老人性角化症、日光角化症、光線性角化症または毛包性角化症などの角膜炎および角化症、ケロイドおよびケロイド予防、コンジローマまたは尖圭コンジローマを含む疣贅、例えば性病パピローマなどのヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、例えば伝染性軟属腫などのウイルス性疣贅、白板症、例えば扁平苔癬などの丘疹状皮膚疾患、例えば基底細胞がん、黒色腫または皮膚T細胞リンパ腫などの皮膚がん、例えば角皮症、表皮母斑などの局在型良性表皮腫瘍、凍瘡、高血圧、シンドロームX、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、喘息、嚢胞性線維症、変形性関節症、エリテマトーデス(LE)または例えば関節リウマチなどの炎症性リウマチ障害、血管炎、消耗(悪液質)、痛風、虚血再灌流症候群、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、ウイルス性疾患およびウイルス感染症、有害薬物効果(例えばHIVまたは腫瘍を処置するための医薬を服用した後の)を処置する対象ともなるリポジストロフィーおよびリポジストロフィー状態、ミオパチーおよび脂質ミオパチー(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIまたはII欠乏症などの)。
【0160】
本発明の一局面は、肝疾患の予防的または治療的処置における使用のための、本明細書に記載の組み合わせである。本明細書に記載の組み合わせが有用でありうる肝疾患の例としては、肝実質; 肝臓の遺伝性代謝障害; バイラー症候群; 脳腱黄色腫症などの胆汁酸(BA)合成の一次的欠陥; あるいはツェルウェガー症候群、新生児肝炎、肝臓における嚢胞性線維症の徴候、ALGS(アラジール症候群)、PFIC(進行性家族性肝内胆汁うっ滞症)、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、肝線維症、非アルコール性脂肪肝疾患、NAFLD/NASH、門脈圧亢進症、薬物によるもしくは妊娠中の黄疸などにおける全身性胆汁うっ滞、PFIC1などの遺伝的形態の胆汁うっ滞などの肝内および肝外胆汁うっ滞、原発性硬化性胆管炎、胆石および総胆管結石、胆管閉塞を引き起こす悪性腫瘍、胆汁うっ滞/黄疸による症状(ひっかき行動、そう痒)、膵炎、進行性胆汁うっ滞を生じさせる慢性自己免疫性肝疾患、または胆汁うっ滞性肝疾患のそう痒などの、二次的欠陥; 肝障害または関連する肝状態、脂肪肝(fatty liver)、脂肪肝(hepatic steatosis)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、急性脂肪肝、妊娠脂肪肝、薬物性肝炎、鉄過剰障害、肝線維症、肝硬変、肝細胞腫、ウイルス性肝炎、ならびに肝臓および胆管の腫瘍および新生物に関する問題が挙げられる。
【0161】
本発明の医学的および薬学的使用
本発明の別の特徴によれば、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤を含む薬学的経口製剤であって、ヒトなどの温血動物でのIBAT阻害効果の生成における使用のために結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される製剤が提供される。
【0162】
本発明の別の特徴によれば、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤、ならびに少なくとも1つの上述の他の活性化合物および本発明の胆汁酸結合剤を含む薬学的経口製剤であって、ヒトなどの温血動物でのIBAT阻害効果の生成における使用のために結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される製剤が提供される。
【0163】
本発明の別の特徴によれば、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤を含む薬学的経口製剤であって、ヒトなどの温血動物での本明細書において言及されるいずれかの医学的徴候の予防または処置における使用のために結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される製剤が提供される。
【0164】
本発明の別の特徴によれば、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤、ならびに少なくとも1つの上述の他の活性化合物および本発明の胆汁酸結合剤を含む薬学的経口製剤であって、ヒトなどの温血動物での本明細書において言及されるいずれかの医学的徴候の予防または処置における使用のために結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される製剤が提供される。
【0165】
本発明の別の特徴によれば、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤を含む薬学的経口製剤であって、ヒトなどの温血動物での本明細書において言及されるいずれかの医学的徴候の予防または処置における使用のための医薬の調製において使用するために結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される製剤が提供される。
【0166】
本発明の別の特徴によれば、IBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤、ならびに少なくとも1つの上述の他の活性化合物および本発明の胆汁酸結合剤を含む薬学的経口製剤であって、ヒトなどの温血動物での本明細書において言及されるいずれかの医学的徴候の予防または処置における使用のための医薬の調製において使用するために結腸内で胆汁酸結合剤を送達するように設計される製剤が提供される。
【0167】
本発明のさらなる特徴では、本明細書において言及されるいずれかの医学的状態の処置を必要とするヒトなどの温血動物において該処置を行う方法であって、有効量の胆汁酸結合剤との同時、連続または個別投与で有効量のIBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグを該動物に投与する段階を含む方法が提供される。
【0168】
本発明のさらなる特徴では、本明細書において言及されるいずれかの医学的状態の処置を必要とするヒトなどの温血動物において該処置を行う方法であって、有効量の胆汁酸結合剤との同時、連続または個別投与で有効量のIBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および少なくとも1つの上述の他の活性化合物を該動物に投与する段階を含む方法が提供される。
【0169】
薬学的製剤
薬学的組成物は、活性化合物を薬学的使用に好適な製剤に加工することを容易にする、1つまたは複数の生理学的に許容される賦形剤および助剤を例えば含む担体を使用して慣習的に製剤化することができる。特定の態様では、適切な製剤は選択される投与経路に依存する。本明細書に記載の薬学的組成物の概要は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa. 1975; Liberman, H. A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980; およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 1999)に見られる。
【0170】
本明細書において使用される薬学的組成物は、例えば式IおよびIIの化合物などの本明細書に記載の化合物、ならびに場合によっては本明細書において言及される他の活性化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤および/または他の賦形剤などの他の化学成分との混合物を意味する。特定の場合では、薬学的組成物は個体または細胞に対する化合物の投与を容易にする。本明細書において提供される処置方法または使用方法を実践する特定の態様では、治療有効量の本明細書に記載の化合物を、処置すべき疾患、障害または状態を有する個体に薬学的組成物として投与する。特定の態様では、個体はヒトである。本明細書において論じるように、本明細書に記載の化合物を単独で、または1つもしくは複数のさらなる治療薬との組み合わせで利用する。
【0171】
特定の態様では、非限定的な例として経口または頬側投与経路などの複数の投与経路の1つまたは複数を含む任意の様式で、本明細書に記載の薬学的製剤を個体に投与する。
【0172】
特定の態様では、本明細書に記載の薬学的組成物は本明細書に記載の1つまたは複数の化合物を有効成分として遊離酸もしくは遊離塩基の形態、または薬学的に許容される塩の形態で含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の化合物はN-オキシドとして利用される。いくつかの状況では、本明細書に記載の化合物は互変異性体として存在する。すべての互変異性体は、本明細書において提示される化合物の範囲内に含まれる。特定の態様では、本明細書に記載の化合物は非溶媒和形または溶媒和形で存在し、溶媒和形は任意の薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノールなどを含む。本明細書において提示される化合物の溶媒和形も、本明細書に記載されていると見なされる。
【0173】
本発明によれば、IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤を同時に、個別にまたは連続的に投与することができる。本発明によれば、IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤を別々の製剤へと製剤化することができ、IBAT阻害剤製剤は薬物を直ちに放出するかまたは遠位空腸もしくは近位回腸内で遅延放出し、胆汁酸結合剤製剤は薬物を結腸内で放出する。
【0174】
本発明によれば、IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤を1つの製剤中で組み合わせることができ、胆汁酸結合剤はコア中にあって結腸内での放出向けに製剤化され、IBAT阻害剤は外層中にあって即時放出または遠位空腸もしくは近位回腸内での遅延放出向けに製剤化される。
【0175】
一態様によれば、本発明のIBAT阻害剤を1日1回、胆汁酸結合剤を1日1回、2回または3回投与することによる新規投薬レジームが提供される。
【0176】
一態様によれば、IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤を一緒に1日1回、2回または3回投与する。
【0177】
一態様によれば、IBAT阻害剤を、小腸内でそれを放出する製剤の状態で投与する。
【0178】
一態様によれば、胆汁酸結合剤を、結腸内でそれを放出する製剤の状態で投与する。
【0179】
本発明の一局面は、
(i)胆汁酸結合剤を含む内部コアと;
(ii)該コア上の結腸放出層と;
(iii)該結腸放出層上のIBAT阻害剤層と;
(iv)外部保護コーティングと
を含む、薬学的組み合わせ製剤である。
【0180】
本発明のさらなる局面では、IBAT阻害剤層は式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む:
式中、
Mは-CH
2またはNHであり;
R
1はHまたはOHであり;
R
2はH、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-CH
2OH、CH
2OCH
3、-CH(OH)CH
3、-CH
2SCH
3または-CH
2CH
2-S-CH
3である。
【0181】
上記で言及した投薬レジームまたは製剤では、酸結合剤はコレセベラムでありうるものであり、IBAT阻害剤は式I、II、または以下の14個の実施例の化合物でありうる。
【0182】
異なる放出レジメンによる剤形を例えば以下に記載の異なる方法で構築することができる。
【0183】
遠位空腸もしくは遠位回腸および/または結腸内での放出
特定の態様において、剤形は、遠位空腸、近位回腸、遠位回腸および/または結腸内での活性物質の制御放出を可能にするマトリックス(例えば、ヒプロメロースを含むマトリックス)を含む。いくつかの態様では、剤形は、pH感受性であるポリマー(例えばCosmo PharmaceuticalsのMMX(商標)マトリックス)であって、回腸および/または結腸内での活性物質の制御放出を可能にするポリマーを含む。制御放出に好適な該pH感受性ポリマーの例としては、酸性基(例えば-COOH、-SO
3H)を含み、塩基性pH(例えばpH約7〜約8)の腸内で膨潤する、ポリアクリル酸ポリマー(例えばメタクリル酸および/またはメタクリル酸エステルのアニオン性ポリマー、例えばCarbopol(登録商標)ポリマー)が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、遠位回腸内での制御放出に好適な剤形は微粒子活性物質(例えば微粉化活性物質)を含む。いくつかの態様では、非酵素分解ポリ(dl-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)コアが、遠位回腸へのIBAT阻害剤の送達に好適である。いくつかの態様では、IBAT阻害剤を含む剤形を、回腸および/または結腸への部位特異的送達のために腸溶性ポリマー(例えばオイドラギット(登録商標)S-100(cas番号: 25086-15-1)、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸、メタクリル酸エステルのアニオン性ポリマーなど)でコーティングする。いくつかの態様では、細菌活性化系が回腸への標的化送達に好適である。ミクロフローラ活性化系の例としては、活性物質のアミロース、ペクチン、ガラクトマンナン、ならびに/またはアゾヒドロゲルおよび/もしくはグリコシド結合体(D-ガラクトシド、β-D-キシロピラノシドなどの結合体)を含む剤形が挙げられる。胃腸ミクロフローラ酵素の例としては、例えばD-ガラクトシダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、α-L-アラビノフラノシダーゼ、β-D-キシロピラノシダーゼなどの細菌グリコシダーゼが挙げられる。
【0184】
制御された遅延時間を、Aliment Pharmacol Ther 1997, 11 (suppl 3): 109-115に記載のように胃腸管内のpH変化、酸化還元電位差または管腔代謝変化によってトリガーすることができる。そのような制御された遅延時間は、浸食、溶解による製剤のプログラムされた崩壊、または一般的には胃腸管内の環境と相互作用する製剤中に存在する成分によって例えば得られる可能性がある。好ましくは、剤形からの薬物放出は空腸と回腸との間のpH変動によってトリガーされる可能性がある。
【0185】
あるいは、剤形からの薬物放出を例えば欧州特許出願公開EP-A-0384642に記載のようにクロノグラフ制御することで上記指定の時間制限を得ることができる。
【0186】
本発明の別の局面によれば、持続放出製剤を、浸食性もしくは非浸食性マトリックス、膜コーティング層などの任意の公知の原理、または拡散もしくは浸透圧により駆動される薬物放出によって構築することができる。そのような製剤の構築に好適な技術は例えばM. E. Aulton, Pharmaceutics, The science of dosage form design. (1988)に記載されている。
【0187】
本発明においては、IBAT阻害剤化合物と胆汁酸結合剤とを組み合わせることで、回腸胆汁酸輸送系の阻害により引き起こされる結腸内の過剰な胆汁酸の潜在的危険性を回避する。内臓内容物中の過剰な胆汁酸は下痢を引き起こすことがある。したがって、本発明はまた、IBAT阻害剤化合物を含む療法中の患者における下痢などの潜在的副作用の処置を提供する。
【0188】
そのような併用療法に好適な胆汁酸結合剤は、コレスチラミン、コレスチポールまたはコレセベラムなどの樹脂である。1つの利点は、胆汁酸結合剤のみを含む単剤処置におけるコレステロール血症の処置用の治療量よりも胆汁酸結合剤の用量を低く保持できる可能性があるというものである。また、胆汁酸結合剤の低用量によって、治療量に対する患者の低い許容度が引き起こす任意の潜在的副作用を回避できる可能性がある。
【0189】
胆汁酸結合剤は、結腸放出、すなわち結腸内での活性用量の胆汁酸結合剤の送達を伴う剤形で投与される。IBAT阻害剤での処置によって結腸内で過剰の胆汁酸を受ける潜在的危険性は、結腸放出を伴う胆汁酸結合剤の同時投与によって回避できる可能性がある。したがって、下痢を引き起こす潜在的危険性を伴う結腸内の任意の過剰な胆汁酸が樹脂内に結合する。胆汁酸結合剤の用量は、そのような結腸放出による用量の有効な使用によって低く保持できる可能性がある。胆汁酸結合剤の結腸送達は、胆汁酸結合剤および任意で薬学的に許容される賦形剤を含有するコアと、結腸送達に適応した放出膜を有する該コアのコーティングとを含む製剤によって得ることができる。結腸への薬物のそのような送達を得る技術は、例えばDrug development and Industrial Pharmacy 1997, 23: 893-913に記載されている。
【0190】
一態様によれば、本発明は、本発明の1つまたは複数のIBAT阻害剤とコレスチラミンおよび/またはコレセベラムおよび/またはコレスチポールとを含む組成物に関する。
【0191】
一態様によれば、本発明は、実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13および14の化合物の1つまたは複数とコレスチラミンおよび/またはコレセベラムおよび/またはコレスチポールとを含む組成物に関する。
【0192】
別の態様によれば、本発明は、1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(カルボキシメチル)-カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン(実施例5)の化合物の1つまたは複数とコレスチラミンおよび/またはコレセベラムおよび/またはコレスチポールとを含む組成物に関する。
【0193】
別の態様によれば、本発明は、1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン(実施例13)の化合物の1つまたは複数とコレスチラミンおよび/またはコレセベラムおよび/またはコレスチポールとを含む組成物に関する。
【0194】
別の態様によれば、本発明は、1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(カルボキシメチル)カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン(実施例14)の化合物の1つまたは複数とコレスチラミンおよび/またはコレセベラムおよび/またはコレスチポールとを含む組成物に関する。
【0195】
コア材料の調製
単位、すなわち錠剤または個々のペレット剤用のコア材料は、異なる原理に従って構成することができる。コア材料は均一でも不均一でもよい。活性物質を含有するコアは、モノリシック錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ペレット剤、他の粒子または結晶など様々に製剤化することができる。
【0196】
均一コア材料とは、それがコア材料を通じて活性物質の均一な分布を有することを意味する。
【0197】
IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤を別々に製剤化するか組み合わせるかに応じて活性物質をさらなる成分と混合することで、好ましい取扱性および加工性、ならびに最終混合物中の活性物質の好適な濃度を得てもよい。そのような成分は単独または混合物での結合剤、界面活性剤、潤滑剤、滑剤、充填剤、添加剤、または他の薬学的に許容される成分でありうる。
【0198】
該コア材料は、混合された成分の直接圧縮、または成分の造粒とそれに続く造粒材料の圧縮のいずれかによって生成することができる。
【0199】
直接圧縮では、普通の錠剤化装置を使用して成分を混合および圧縮する。
【0200】
造粒では、文献において言及される造粒手順の数多くの選択肢、すなわちローラー圧縮(Chilsonator)のような乾式法、ならびに結合剤の添加ありおよびなしでの溶液の造粒を利用する湿式法が存在する。湿式法の一変形は、流動床中で噴霧造粒を行うものである。
【0201】
湿式造粒法では、有機溶媒、水溶液または純水を利用して造粒用溶液を調製することができる。混合物の組成上それが可能であれば、環境への配慮が理由で純水が好ましい。
【0202】
均一コア粒子は、乾式または湿式粉砕、凍結粉砕、エアジェット微粉化、噴霧乾燥、噴霧冷却、制御された結晶化、超臨界結晶化、乳化溶媒蒸発および乳化溶媒抽出などの技術によって調製してもよい。
【0203】
コア材料は、異なる加工装置を利用して押出/球形化、球状化、または圧縮によって生成してもよい。
【0204】
製剤化されたコア材料の大きさは、錠剤製剤では約2〜20mm、好ましくは3〜15mm、ペレット製剤では0.001〜4mm、好ましくは0.001〜2mmである。
【0205】
製造されたコア材料は、活性物質を含むさらなる成分とさらに積層させることができ、かつ/またはさらなる加工に使用することができる。
【0206】
あるいは、コア材料は不均一であって、活性物質を含有しない内部区域、例えば種または球体を有していてもよい。活性物質と任意で薬学的に許容される賦形剤とを含む層が、この種または球体を取り囲む。
【0207】
種または球体は可溶性でも不溶性でもよい。活性物質を含有する層を種/球体上に適用する前に平滑な表面を調製するために、種または球体(内部区域)に不活性層をコーティングしてもよい。
【0208】
不溶性の種/球体は、異なるオキシド、セルロース、有機ポリマーおよび他の材料を単独または混合物で含みうる。水溶性の種/球体は、異なる無機塩、糖および他の材料を単独または混合物で含みうる。種の大きさは約0.1〜2mmで変動しうる。活性物質を含有するマトリックスと積層される種は、造粒または噴霧コーティング/積層装置を例えば使用する粉末または溶液/懸濁液積層によって生成される。
【0209】
放出改変膜の適用のためのプロセス
コーティングプロセスに水および/または有機溶媒を使用するコーティングパン、コーティング造粒機などの好適な装置、または流動床装置中でのコーティングまたは積層手順によって、モノリシック錠剤、複数単位または硬もしくは軟ゼラチンカプセル剤であるコア材料に放出改変膜を適用することができる。粉末コーティングの原理も適用することができる。別の可能性は、コアセルベーション、乳化とそれに続く溶媒の抽出除去もしくは蒸発除去、イオンチャネル型ゲル化、または凝結などのマイクロカプセル化技術によってコーティングを適用することである。
【0210】
そのような放出改変膜は、遠位小腸への送達用のIBAT阻害剤を含むコア材料に適用することができ、結腸への送達用の胆汁酸結合剤に適用してもよい。
【0211】
薬学的添加剤
放出改変コーティングは、目的とする放出特性に到達するように慎重に滴定された量での、1つまたは複数の別々のまたは適合性のある組み合わせでの薬学的に許容される成分によって得ることができる。遅延放出コーティング層として以下のpH感受性ポリマー、例えばメタクリル酸共重合体、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、セラック、または他の好適な腸溶コーティング層ポリマーを適用することができる。コーティング層は、細菌分解などのpH以外の管腔条件に感受性のあるフィルム形成ポリマー、または、別のフィルム形成ポリマーと混合される際にそのような感受性を示す成分で構成されていてもよい。目的の領域への遅延放出を行うそのような成分の例としては、アゾ結合を含むポリマー、ペクチンおよびその塩、ガラクトマンナン、アミロースならびにコンドロイチンなどの多糖、ジスルフィドポリマー、ならびに配糖体がある。
【0212】
製剤の遅延放出コーティングまたはさらなるコーティングは、技術的理由で管腔条件に非感受性であるかまたは薬物放出のクロノグラフ的制御に非感受性である他のフィルム形成ポリマーを含有しうる。そのような目的で使用される材料としては、単独または混合物で使用される糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられるがそれに限定されない。
【0213】
分散剤、着色料、色素、さらなるポリマー、例えばポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)、粘着防止剤および消泡剤などの添加剤がコーティング層に含まれていてもよい。フィルムの厚さを増大させるために、また酸性胃液のコア材料中への拡散を減少させるために、他の化合物を加えることができる。
【0214】
コーティング層は、所望の機械的特性を得るために薬学的に許容される可塑剤を含有してもよい。そのような可塑剤としては例えばトリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバチン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリンモノエステル、ポリソルベートまたは他の可塑剤、およびそれらの混合物があるがそれに限定されない。可塑剤の量は、選択されるポリマー、選択される可塑剤および該ポリマーの適用量に関する各処方について最適化されることが好ましい。
【0215】
放出改変膜で引き続きコーティングされるコアを含有するモノリシック薬物としての、またはコーティングされた複数の単位のマトリックスとしての錠剤の調製において、好適な機械的特性を得るために結合剤、崩壊剤、増量剤、滑剤、潤滑剤、ならびに水溶性ポリマー、粘着防止剤、着色料、色素およびワックスなどの薬物放出に対する影響のないコーティング剤などのさらなる成分が必要になることがある。そのような使用について周知の成分は例えば"Handbook of pharmaceutical excipients", 2nd edition, 1994, Pharmaceutical Press, Londonに記載されている。
【0216】
最終剤形の調製
コーティング単位を硬ゼラチンカプセル剤に充填してもよく、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤および他の薬学的に許容される添加剤などの錠剤賦形剤と混合して錠剤に圧縮してもよい。圧縮錠剤をフィルム形成剤で覆うことで、錠剤の平滑な表面を得て、包装および輸送中の錠剤の機械安定性をさらに強化してもよい。複数単位錠剤または従来の錠剤に塗布可能な該錠剤コートは、粘着防止剤、着色料および色素、または錠剤の外観を改善する他の添加剤のような添加剤をさらに含みうる。
【0217】
新規製剤に好適な薬物は、参照により本明細書に組み入れられる上記で論じた文献に記載の化合物などのIBAT阻害剤化合物である。
【0218】
あるいは、IBAT阻害剤化合物は、FDAが提示するBiopharmaceutical Classification Systemにおいて定義される低透過性薬物である可能性がある。
【0219】
本発明の併用療法は、IBAT阻害剤化合物および胆汁酸結合剤の同時、個別または連続投与を含むことが好ましいはずである。IBAT阻害剤は回腸送達用に製剤化されることが好ましい可能性があり、胆汁酸結合剤は結腸送達用に製剤化されることが好ましい可能性がある。
【0220】
投与量
好適な単位用量は、患者の体重、状態および疾患の重症度に関して変動する。用量は、予防に使用するかまたは重篤な状態の処置において使用するか、および投与経路にも依存する。一日量は、単一用量として投与してもよく、2つ以上の単位用量に分割してもよい。IBAT阻害剤の経口投与される一日量は、好ましくは0.1〜5,000mg、例えば0.01〜1000mg、例えば0.1〜800mg、より好ましくは1〜500mg、例えば100〜400mgの範囲内である。
【0221】
胃腸管内での標的化送達を伴う本発明の薬学的製剤は、血漿中薬物濃度対時間曲線下面積(AUC)によって測定可能なように全身曝露を減少させる一方、例えば血清コレステロール減少によって測定されるように治療効果を維持し、さらには増大させる。
【0222】
IBAT阻害剤および胆汁酸結合剤を含む併用療法は、好ましくは低一日量の胆汁酸結合剤、例えば5g未満、より好ましくは4g未満、3g未満、2g未満、または1g未満の樹脂を含む。好適な範囲は1日当たり0.1〜5g、0.5〜4g、1〜3g、2〜4g、2〜3gでありうる。胆汁酸結合剤の結腸放出を伴う剤形は、遅延放出製剤に関する上記の原理のいずれかによって構築される可能性がある。
【0223】
錠剤は、結腸送達製剤中の酸結合剤1〜1000mg、例えば200〜800mg、50〜400mg、10〜200mgまたは20〜80mgの内部コアと、IBAT阻害剤1〜100mg、5〜50mg、例えば1〜20mgの外部薄膜とからなりうる。
【0224】
IBAT阻害剤および/または胆汁酸結合剤の一日量は、単一用量として投与してもよく、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の単位用量に分割してもよい。
【0225】
全管腔容量が、小腸の許容される薬物動態計算容量250〜300mlに一致する約100mlであると予想されることから、結腸放出製剤でコレセベラム400mgを1日3回投薬することで結腸内で胆汁酸が十分に結合する。ヒトの全腸内で胆汁酸吸収を遮断するために推奨されるコレセベラムの全一日量は3750mg/日である。
【0226】
便秘を実施例14で処置するための予測用量は10mg/日であり、ヒト体内の胆汁酸の低下における完全有効性を標的とする場合、20mg/日の全用量が適切であると予測され、これは表2の結腸副作用を誘導する。錠剤は、結腸送達製剤中のコレセベラム400mgの内部コアと、即時放出形態の実施例14の7mgまたは実施例5、8もしくは13の0.7mgの外部薄膜とからなる。
【0227】
本発明はまた、高コレステロール血症の処置および/または予防を必要とするヒトなどの温血動物における該処置および/または予防の方法であって、有効量の請求項1〜14のいずれか記載の組成物を投与する段階を含む方法に関する。
【0228】
本発明のさらなる局面によれば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグと胆汁酸結合剤とを含むキットが提供される。
【0229】
本発明はまた、同一のまたは別々の薬学的製剤中のIBAT阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、該塩の溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および胆汁酸結合剤と場合によっては使用説明書とを含むキットに関する。
【0230】
以下の意図される実施例は、本発明を例示するように意図されているが、決して本発明の範囲を限定するようには意図されていない。本明細書において引用されるすべての参考文献はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0231】
本明細書において使用される「含む(comprising)」という表現は、言明される項目を含むがそれに限定されないということであると理解すべきである。
【実施例】
【0232】
実施例1
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-(カルボキシメチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量696.89
WO 3022286の実施例2に記載のように本化合物を調製する。
【0233】
実施例2
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N'-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン、分子量709.92
WO 03106482の実施例2に記載のように本化合物を調製する。
【0234】
実施例3
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量724.94
WO 3022286の実施例6に記載のように本化合物を調製する。
【0235】
実施例4
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((R)-1-カルボキシ-2-メチルチオエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量757.01
WO 3022286の実施例7に記載のように本化合物を調製する。
【0236】
実施例5
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量740.94
WO 3022286の実施例29に記載のように本化合物を調製する。
【0237】
実施例6
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((R)-1-カルボキシ-2-メチルチオ-エチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量773.00
WO 3022286の実施例30に記載のように本化合物を調製する。
【0238】
実施例7
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量738.97
WO 3022286の実施例15に記載のように本化合物を調製する。
【0239】
実施例8
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-(R)-ヒドロキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量756.94
WO 3022286の実施例26に記載のように本化合物を調製する。
【0240】
実施例9
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシブチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量754.97
WO 3022286の実施例28に記載のように本化合物を調製する。
【0241】
実施例10
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]ベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量710.91
WO 3022286の実施例5に記載のように本化合物を調製する。
【0242】
実施例11
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N'-((S)-1-カルボキシプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン、分子量739.95
WO 3022286の実施例1に記載のように本化合物を調製する。
【0243】
実施例12
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシエチル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量726.91
WO 3022286の実施例11に記載のように本化合物を調製する。
【0244】
実施例13
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-α-[N-((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロピル)カルバモイル]-4-ヒドロキシベンジル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,5-ベンゾチアジアゼピン、分子量754.97
WO 3022286の実施例27に記載のように本化合物を調製する。
【0245】
実施例14
1,1-ジオキソ-3,3-ジブチル-5-フェニル-7-メチルチオ-8-(N-{(R)-1'-フェニル-1'-[N'-(カルボキシメチル)カルバモイル]メチル}カルバモイルメトキシ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン、分子量695.90
WO 0250051の実施例43に記載のように本化合物を調製する。
【0246】
実施例15: 薬学的効果 平均阻害効果(%)
ISBT Hu HEK取り込みSPA 13203 IBAT HUM回腸胆汁酸輸送体ヒトHEKグリコール酸取り込み放射測定 - SPA阻害剤IC50 平均IC50(nM)を実施例1〜14の化合物について決定した。
【0247】
試験系
動物
種属 マウス; 系統 ApoEノックアウト; 亜系統 C57BL/6; 性別 雌; 動物の総数 70匹; 体重 20g〜22gの範囲; 供給者 Mollegaard's Breeding(デンマークSkensved); 同定方法 IDカード(バーコード)。
【0248】
順化: AstraZenecaのSection of Laboratory; Animal Resourceで少なくとも1週間; 収容条件: 調整温度(22℃)、相対湿度(40%〜60%)および12/12時間明/暗サイクルの室内のケージ(Makrolon III、7 dm2)に5匹ずつ保持。食餌: 収容および実験期間中にR3ペレット(スウェーデンVadstena、Lactamin)の自由摂取。水: 収容および実験期間中に水道水の自由摂取。
【0249】
敷料: アスペン木材の敷料(フィンランドTapvei)を敷く。
【0250】
実験手順
実験日の13:00に動物にビヒクル(n=3)または実施例14の化合物(0.156(n=3)、0.625(n=3)もしくは2.5μmol/kg(n=3))を経口投与した。30分後、微量の
75SeHCAT(
75Se-ホモタウロコール酸)(0.1mCi/0.1mL/マウス)を各マウスに経口投与した。
75SeHCAT投与の24時間後、動物をCO2吸入により殺した。屠殺時に胆嚢および腸全体を除去し、
75SeHCAT投与後24時間の糞便を各マウスについて収集した。糞便中および胆嚢-腸内の
75SeHCATのγ放射能を1282 CompuGamma CSγカウンター(フィンランド・トゥルク、Wallac oy)によって別々に計数した。各マウスに投与される
75SeHCATの安定性および質を、試験における他の試験試料と同一の実験プロセスに従ってさらなる
75SeHCATアリコートによって制御した。
【0251】
データ解析
糞便と胆嚢-腸との両方からのγ計数値の合計を全回収
75SeHCATとみなし、これは平均で各マウスに投与した全
75SeHCATの約85%であった。回収された
75SeHCATの放射能のうち、糞便中の検出
75SeHCATの割合を糞便排出と見なし、一方、胆嚢-腸内のそれを体内保持と見なした。
75SeHCATの腸管吸収に対する実施例14の化合物の阻害効果を、
75SeHCATの体内保持および糞便排出に従って計算し、化合物のED50を用量効果曲線に従って推定した。
【0252】
結果
用量(μmol/kg)0.156での平均IBAT阻害効果(%)を実施例1〜14の化合物について決定した。表1において報告する。
【0253】
(表1)
【0254】
実施例16
実施例14の化合物の用量範囲に関する、慢性特発性便秘を有する56日間処置された患者約200名における、フェーズIIb二重盲検ランダム化プラセボ制御多中心用量発見有効性および安全性試験を行った。患者は、肥満度指数(BMI)18.5以上35未満を有する20歳以上80歳以下の男性または非妊娠女性であった。
【0255】
実施例14の化合物での処置に関連する下痢および腹痛型の有害事象を有するすべての患者を表2に提示する。
【0256】
(表2)慢性特発性便秘の処置試験における下痢および腹痛を有する患者の数
【0257】
1日3回「コレセベラム」400mgを結腸に送達した矛盾患者では、結腸から生じるこの2種類の胆汁酸依存性副作用の増大をほとんど示さなかった。
【0258】
したがって、実施例14の化合物と胆汁酸結合剤「コレセベラム」との組み合わせは、結腸から生じる胆汁酸副作用を有効に遮断することがわかった。
【0259】
実施例17
以下の組成を有するIBAT阻害剤の遅延放出用製剤を調製する。
【0260】
活性薬物をエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースと共にエタノール99%に溶解させる。次に混合物を流動床装置中のノンパレイル球上に噴霧する。
【0261】
その後、ペレットを乾燥させ、曝気して残留エタノールを除去する。次に、クエン酸トリエチルを加えたオイドラギットL100-55分散液を流動床装置中の薬物ビーズ上に噴霧する。続いて、コーティングビーズを乾燥および篩い分け後に硬ゼラチンカプセル剤に充填する。
【0262】
実施例18
以下の組成を有するIBAT阻害剤の遅延放出用製剤を調製する。
【0263】
活性薬物を水に懸濁させ、流動床装置中で所定の大きさの二酸化ケイ素コア上に噴霧する。薬物ペレットをオーブン中、40℃で24時間乾燥させる。その後、流動床装置中でエタノール溶液からポビドンK-25の層をビーズに塗布する。その後、流動床中でオイドラギットFS30D分散液の最終コートを塗布する。コーティングビーズをミキサー中で微結晶セルロースおよびフマル酸ステアリルナトリウムと混合し、続いて錠剤に圧縮する。
【0264】
実施例19
IBAT阻害剤の即時放出および胆汁酸結合剤の結腸放出を有する、上記の式(I)または式(II)のIBAT阻害剤とコレセベラムとを含む組み合わせ錠剤を調製する。
【0265】
コレセベラム塩酸塩、微結晶セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を混合し、水に溶解させたヒドロキシプロピルメチルセルロースと共に顆粒化する。顆粒剤を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤に圧縮する。オイドラギットFS30D分散液および水をPlasACRYL T20中で攪拌し、好適なコーティング機を使用してコア錠剤上に噴霧する。IBAT阻害剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびクロスカルメロースナトリウムを水中で混合することでIBAT阻害剤コーティング懸濁液を調製し、結腸放出層を有する錠剤コア上に好適なコーティング機を使用して噴霧する。最後に、好適なコーティング機を使用してヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレングリコールの保護コーティング溶液を錠剤上に噴霧する。
【0266】
実施例20
以下の組成を有するコレセベラム結腸放出錠剤を調製する。
【0267】
コレセベラム塩酸塩、微結晶セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を混合し、水に溶解させたヒドロキシプロピルメチルセルロースと共に顆粒化する。顆粒剤を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤に圧縮する。アミロース、オイドラギット100、クエン酸トリエチルおよびモノステアリン酸グリセリンを好適な溶媒に溶解させ、好適なコーティング機を使用して錠剤コア上に噴霧する。
【0268】
実施例21
この試験は4匹の雄のビーグル犬(体重約10kg)において行う。イングランドBlackthornのHarlan Teklad-Europeから市販の食餌Teklad 2021が動物1匹当たり175gずつ1日2回与えられ、等量の水が追加される。
【0269】
デンマークDechra Veterinary Productsから市販の食餌GLP-Dietを報奨として使用する手順で動物をしつける。動物1匹当たりの使用量は最小限であり、記録されていない。
【0270】
投薬日(1日目および4日目)に、直腸投薬手順中にGLP食餌50gを動物に与え、直腸投薬手順の1時間後に残りの食餌(125g)を与えた。
【0271】
実施例5の物質(精製水中20%v/vプロピレングリコール中30mg/kg、5mL/kg懸濁液)を直近の体重データに従って経口投薬によって投与する。すべての群にコレスチラミンまたはプラセボの直腸投与との組み合わせで実施例5の物質を経口的に与える。
【0272】
目的のヒト投与経路に従うために、コレスチラミン(全1.2〜2.2g、水中懸濁液12mL)およびプラセボ製剤(探査ゲル)の直腸投与を使用する。試験物質を結腸の近位部内に適用するために、40cm可撓性プラスチック管(unomedical「栄養管」)を使用する直腸カテーテル留置によってコレスチラミンおよびプラセボを投与する。処置は1日目および4日目に行う。
【0273】
各投薬時の後にすべての動物を6時間連続的にモニタリングする。排泄回数をカウントする。糞便の硬度をブリストル便形状スケール(7段階スケール; 最低1、木の実のような別々の硬い塊(排便困難); 最高7、水様、固体片なし、完全に液体)を使用して評価する。各排泄時の排便量を以下の格付けシステムに従ってスコア化する: 1-最小、2-わずか、3-中程度、4-顕著。
【0274】
スコアデータをt検定によって解析する。有意な群間の差が検出され、続いて群の同定を片側t検定によって行う。すべての検定について有意レベルをp<0.05と規定する。
【0275】
プラセボ群およびコレスチラミン群はそれぞれ6.7±0.3、5.3±0.6(平均±SEM)のブリストル便形状スケール(BSS)平均値を示す。この差は有意レベルp≦0.05で統計的に有意である。プラセボ群は水様の糞便を示し、予想通りコレスチラミン群はより固体状の糞便を示す。
【0276】
プラセボ群およびコレスチラミン群は各排泄時に上記スケールに従って以下の量を排便させ、それぞれ3.5±0.6、2.3±0.8(平均±SEM)の平均値を示す。この差は有意レベルp≦0.05で統計的に有意ではない。プラセボ処置群は、有意ではないとしてもコレスチラミン群に比べて多くの量を排便させる。BSSおよび「排便量」というパラメータはいずれも、コレスチラミン群がプラセボ群に比べて低い結腸内の遊離胆汁酸濃度を有することを示す。結腸内の胆汁酸が緩下効果を有することから、この実験は、胆汁酸結合剤の結腸放出が本発明に従って働くことを確認する。