【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エレクトロウェッティングディスプレイの様々な改善に関するもので、これによって、上述した問題を軽減し、解消するものである。
【0007】
一局面として、本発明は、
基板と、
少なくとも光の1波長を吸収し、該基板に隣接して配置された第一の流体と、
該第一の流体と混和しない光透過性第二の流体と、
該第一の流体に電界を印加する少なくとも1つの電極と、
該基板から間隔を空けて、実質的に不透明な材料から形成された隠蔽材と
を備え、
電界のない場合、該第一の流体は該基板の第一の領域を覆い、該少なくとも1つの電極によって該第一の流体に電界がかけられると、該第一の流体は、該第一の領域からより小さな第二の領域に移動し、実質上、該隠蔽材と該基板の間に閉じ込められ、その結果、該隠蔽材の該基板に対する反対側から該ディスプレイを見ている観察者から、該隠蔽材は、該第一の流体を隠蔽する、ディスプレイを提供する。
【0008】
「光透過性の」という語は、ここでは、第二の流体が十分な光を伝達し、第一の流体から第二の流体への動くのを見ている観察者が、この動きを見ることができなくてはならない。(非可視波長で、機械により読み取ることを意図したディスプレイでは、「光透過性の」という語は、当然、ディスプレイが読まれる電磁波放射線の波長の透過性を意味する。光に関して以下に使われる単語も、同様に解釈されるべきである。)一般的に、光透過性の第二の流体は、透明であるが、表示される色を調整するために、第二の流体に、何らかの色をしている可能性を排除するわけではない。例えば、厳密な中立的な白よりも、わずかに青みがかった「白」を好む人は多い。そのため、例えば、以下で、
図1および
図2とを参照して述べるタイプのディスプレイでは、色の変化が白から黒に変わる場合、わずかな青色を分け与えて、わずかに青白い状態の白とすることが、好都合である。
【0009】
便宜上、このディスプレイを本発明の「隠蔽材(concealment member)ディスプレイ」と呼ぶ。このようなディスプレイにおいては、基板には、第一の流体に隣接した誘電体表面を備えうるし、および/または、着色層または反射層を備えうる。このようなディスプレイの好ましい形態として、該基板は実質的に平坦な表面を有し、隠蔽材は該基板の該実質的に平坦な表面と実質的に平行に拡がるが、間隔を空けている実質的に平坦なセクションを含む。
【0010】
また、別の局面では、本発明は、
お互いに異なる第一の光学的特性および第二の光学的特性を有する第一の部分と第二の部分とを少なくとも有する基板と、
該第一の光学的特性および該第二の光学的特性のうちの少なくとも1つとは異なる第三の光学的特性を有し、少なくとも光の1波長を吸収する第一の流体と、
該第一の流体と混和しない光透過性の第二の流体と、
該第一の部分に隣接した第一の電極と、該第二の部分に隣接した第二の電極と
を備える、ディスプレイであって、
該第一の電極と該第二の電極への印加電圧を制御することで、該第一の流体が該基板の該第二の部分を実質的に覆い、該第一の部分を覆わないようにする第一の位置、および、該第一の流体が該基板の該第一の部分を実質的に覆い、該第二の部分を覆わないままにする第二の位置とを、該第一の流体が占めれるようにされる、ディスプレイを提供する。
【0011】
便宜上、このディスプレイを本発明の「色シフトディスプレイ」と呼ぶ。このようなディスプレイにおいては、第一の流体は、第一の部分と第二の部分との双方を覆う第三の位置を占めれることもある。
【0012】
色シフトディスプレイでは、基板は異なる色の部分を2より多く有しうる。例えば、基板は、第三の部分を有することもあり、第一、第二および第三の光学的特性とも異なる第三の部分を有しうるし、ディスプレイは、さらに、基板の第三の部分に隣接した第三の電極を有し、第一の電極、第二の電極および第三の電極への印加電圧を制御することで、第一の流体は、実質的に基板の第一の部分および第二の部分の少なくとも1つを覆い、第三の部分を覆わないままにする第三の位置を占めるようにされている。例えば、基板の第一、第二および第三の部分は、赤、緑および青、あるいは、黄、シアンおよびマゼンタが、任意の配列であってよい。さらに、第一、第二および第三の光学的特性とも異なり、かつ、基板の第三の部分とも異なる光学的特性を有する第四の部分を有し、ディスプレイは、さらに、基板の第四の部分に隣接した第四の電極を備え、第一、第二、第三および第四の電極への印加電圧を調整することで、第一の流体は、実質的に基板の第一、第二および第三の部分の少なくとも1つを覆い、第四の部分を覆わないままにする第四の位置を占めるようにされていることもある。例えば、基板の第一、第二、第三および第四の部分は、赤、緑、青および黒、あるいは、黄、シアン、マゼンタおよび黒が、任意の配列であってよい。
【0013】
本発明の色シフトディスプレイは、典型的には、基板の第一の部分と第二の部分(存在するとすれば、および第三の部分および第四の部分)は、同一平面上にある。これらの部分は、様々な幾何学的な位置を占めうる。例えば、これらの部分は、実質的に正三角形の形状を有しうる。その代わりに、第一および第二の部分は、実質的に円の形状を有し、実質的な該実質的に円状の第一および第二の部分は、各実質的に円状の部分の直径よりも小さい幅を有する首部分で接続されていることもありうる。電極は、この首部分の上あるいは隣接して配置され得る。
【0014】
また、別の側面では本発明は、
観察者がディスプレイを見る場合に介する第一の基板と、
該第一の基板と間隔を空けた第二の基板と、
ここで、該第一の基板と該第二の基板との間に延びる少なくとも1つの側壁と、該第一の基板と該第二の基板、および、該側壁が合わさって、第一の基板表面、第二の基板表面、および、少なくとも1つの側壁表面を有するチャンバーを規定し、
該チャンバー内に配置され、少なくとも光の1波長を吸収する第一の流体と、該第一の流体と混和しない、該チャンバーに配置された光透過性の第二の流体と、
該チャンバーの該第二の基板表面に隣接して配置された第一の電極と
該チャンバーの側壁表面に隣接して配置された第二の電極と、
該チャンバー内に延び、該第二の流体と電気的接触を有する第三の電極と
を備え、
該第一の電極、該第二の電極および該第三の電極への印加電圧を制御することで、該第一の流体は、該第一の流体が該チャンバーの該第二の基板表面に隣接して横たわる第一の位置と、該第一の流体が該チャンバーの1つの側壁表面に隣接して横たわる第二の位置とを占めるようにされているディスプレイを提供する。
【0015】
便宜上、このディスプレイを本発明の「マイクロセルディスプレイ」と呼ぶ。このようなディスプレイにおいては、基板には、第一の流体に隣接した誘電体表面を備えうるし、および/または、着色層または反射層を備えうる。さらに、第二の基板表面とチャンバーの側壁表面との間の接合部に隣接した絶縁体ブロックであって、第三の電極が該絶縁体ブロックを通り抜ける該絶縁体ブロックを備えうる。
【0016】
また、別の局面では本発明は、
流体と、
該流体による濡れに耐性のある露出表面を有する基板と、
該基板にを介して延び、該基板の露出表面に隣接して終端する少なくとも3つの導電性ビアと、
該露出表面の該導電性ビアの終端を覆うキャップ部であって、該流体によって濡れる材料から形成される該キャップ部と
を備えたディスプレイを提供する。
【0017】
便宜上、このディスプレイを本発明の「導電性ビアディスプレイ」と呼ぶ。このようなディスプレイにおいては、導電性ビアは、二次元配列で、配置されうる。また、流体は水溶性であり、露出表面は疎水性であり、キャップ部は親水性材料でありうる。
【0018】
また、別の局面では本発明は、
基板と、
少なくとも光の1波長を吸収し、該基板に隣接して配置された第一の流体と、
該第一の流体と混和しない光透過性の第二の流体と、
該第一の流体に電界を印加する少なくとも1つの電極と
を備える、ディスプレイであって、
電界のない場合、該第一の流体は基板の第一の領域を覆っているが、該少なくとも1つの電極から該第一の流体に電界がかけられると、該第一の流体は、該第一の領域より狭い第二の領域に移動し、ここで、該第一の流体は、色素パーティクルまたはナノパーティクルで着色されている、ディスプレイを提供する。
【0019】
便宜上、このディスプレイを本発明の「色素/ナノパーティクルディスプレイ」と呼ぶ。
【0020】
最後に、本発明は、
間隔を空けた、第一の電極および光透過性のある第二の電極と、
該第一の電極および該第二の電極との間に閉じ込められた第一の流体および第二の流体であって、互いに混和しない該第一の流体および該第二の流体と
を備える、ディスプレイであって、
該第一の流体および該第二の流体が、光透過性でなく、異なる色であり、
ディスプレイは、該第一の流体が該第一の電極に隣接して横たわることで、該第二の流体の色が、該第二の電極を通し、ディスプレイを見ている観察者に見えるような第一の安定状態と、該第一の流体が該第二の電極に隣接して横たわることで、該第一の流体の色が、該観察者に見えるような第二の安定状態とを有する、ディスプレイを提供する。
【0021】
便宜上、このディスプレイを本発明の「二色ディスプレイ」と呼ぶ。このようなディスプレイにおいては、第一の流体は油を含み、第二の流体は水性でありうる。さらに、第一の電極と第一の流体との間と、第二の電極と第二の流体との間に、それぞれ、第一の誘電体層と第二の誘電体層を備えうる。
(項目1)
基板(102)と、
少なくとも光の1波長を吸収し、該基板(102)に隣接して配置された第一の流体(108)と、
該第一の流体(108)と混和しない光透過性の第二の流体(110)と、
該第一の流体(108)に電界を印加する少なくとも1つの電極(104)と
を備え、
電界のない場合、該第一の流体(108)は該基板(102)の第一の領域を覆い、該少なくとも1つの電極(104)によって該第一の流体(108)に電 界がかけられる
と、該第一の流体(102)は、該第一の領域からより小さな第二の領域に移動する、ディスプレイであって、
該ディスプレイは、
該基板(102)から間隔を空けて、実質的に不透明な材料から形成された隠蔽材(112)を備え、
該第一の流体(108)に電界をかけると、該第一の流体(108’)は、実質上、該隠蔽材(112)と該基板(102)との間に閉じ込められ、その結 果、該隠蔽材(1
12)の該基板(102)に対して反対側から該ディスプレイを見ている観察者から、該隠蔽材(112)は、該第一の流体(108’)を隠蔽することを特徴とする、ディスプレイ。
(項目2)
上記基板(102)は、上記第一の流体(108)に隣接した誘電体表面(106)を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目3)
上記基板(102)は、着色層または反射層を備える、項目1に記載のディスプレイ
(項目4)
上記基板(102)は、実質的に平坦な表面を有し、上記隠蔽材(102)は、上記基板(102)の該実質的に平坦な表面と、実質的に平行に拡がり、間隔を空けている実質的に平坦なセクションを含む、項目1に記載のディスプレイ。
(項目5)
基板と、
少なくとも光の1波長を吸収し、該基板に隣接して配置された第一の流体と、
該第一の流体と混和しない光透過性の第二の流体と、
該第一の流体に電圧を印加する少なくとも1つの電極と
を備える、ディスプレイであって、
該基板は、お互いに異なる第一の光学的特性および第二の光学的特性を有する第一の部分(R;602)と第二の部分(G;604)とを少なくとも有し、
該第一の流体は、該第一の光学的特性および該第二の光学的特性のうちの少なくとも1つとは異なる第三の光学的特性を有し、
該ディスプレイは、該第一の部分(R;602)に隣接した第一の電極と、該第二の部分(G;604)に隣接した第二の電極とを備え、
該第一の電極と該第二の電極への印加電圧を制御することで、該第一の流体が該基板の該第二の部分(G;604)を実質的に覆い、該第一の部分 (R;602)を覆わないままにする第一の位置、および、該第一の流体が該基板の該第一の部分(R;602)を実質的に覆い、該第二の部分(G;604)を覆わないままにする第二の位置を占めれるようにされていることを特徴とする、ディスプレイ。
(項目6)
上記第一の流体は、上記基板の第一の部分と第二の部分(G、R)の双方を覆う第三の位置を占めれるようにされている、項目5に記載のディスプレイ。
(項目7)
上記基板は、上記第一の光学的特性、上記第二の光学的特性および上記第三の光学的特性とは異なる光学的特性を有する第三の部分(B)を有し、
上記ディスプレイは、上記基板の該第三の部分(B)に隣接した第三の電極をさらに備え、
上記第一の電極、上記第二の電極および該第三の電極への印加電圧を制御することで、上記第一の流体は第三の位置を占めるようにされ、該第一の流体は、実 質的に上記基板
の上記第一の部分および上記第二の部分(R、G)の少なくとも1つを覆い、該第三の部分(B)を覆わないままにする、項目5に記載のディスプレイ。
(項目8)
上記基板は、上記第一の光学的特性、上記第二の光学的特性および上記第三の光学的特性とは異なり、かつ、上記基板の上記第三の部分(B)とも異なる光学的特性を有する第四の位置(K)を有し、
上記ディスプレイは、上記基板の該第四の部分(K)に隣接した第四の電極をさらに備え、
上記第一の電極、上記第二の電極、上記第三の電極および該第四の電極への印加電圧を制御することで、上記第一の流体は第四の位置を占めれるようにされ、 該第一の流体は
、実質的に上記基板の上記第一の部分、上記第二の部分および上記第三の部分(R、G、B)の少なくとも1つを覆い、該第四の部分(K)を覆わないままにする、項目7に記載のディスプレイ。
(項目9)
上記基板の上記第一の部分および上記第二の部分(R、G)は、実質的に正三角形の形状を有する、項目5に記載のディスプレイ。
(項目10)
上記基板の上記第一の部分および上記第二の部分(602、604)は、実質的に円の形状を有し、該実質的に円状の第一の部分および第二の部分(602、 604)は、各
実質的に円状の部分(602、604)の直径よりも小さい幅を有する首部分(606)で接続されている、項目5に記載のディスプレイ。
(項目11)
電極(612)が、上記首部分(606)上に配置されているか、あるいは、隣接されている、項目10に記載のディスプレイ。
(項目12)
観察者がディスプレイを見る場合に介する第一の基板(508)と、
該第一の基板(508)と間隔を空けた第二の基板(502)と、
ここで、該第一の基板と該第二の基板(502、508)との間に延びる少なくとも1つの側壁(504、506)と、該第一の基板と該第二の基板(502、 508)、およ
び、該側壁(504、506)が合わさって、第一の基板表面、第二の基板表面、および、少なくとも1つの側壁表面を有するチャンバーを規定し、
該チャンバー内に配置された第一の流体(522)と、
該第一の流体(522)と混和しない、該チャンバーに配置された光透過性の第二の流体(110)と、
該チャンバーの該第二の基板表面に隣接して配置された第一の電極(510)と
を備えた、ディスプレイであって、
該第一の流体(522)は、少なくとも光の1波長を吸収し、
第二の電極(514)が、該チャンバーの側壁表面に隣接して配置され、
第三の電極(520)が、該チャンバー内に延び、該第二の流体(110)と電気的接触を有し、
該第一の電極、該第二の電極および該第三の電極(510、514、520)への印加電圧を制御することで、該第一の流体(522)は、該第一の流体 (522)が該チャ
ンバーの該第二の基板表面に隣接して横たわる第一の位置と、該第一の流体(522)が該チャンバーの1つの側壁表面に隣接して横たわる第二の位置とを占めるようにされていることを特徴とする、ディスプレイ。
(項目13)
上記第二の基板(502)は、上記第一の流体(522)に隣接した誘電体層(512)を備える、項目12に記載のディスプレイ。
(項目14)
上記第二の基板(502)は、着色層または反射層を備える、項目12に記載のディスプレイ。
(項目15)
上記第二の基板表面と上記チャンバーの側壁表面との間の接合部に隣接した絶縁体ブロック(518)を、さらに備え、
上記第三の電極(520)が該絶縁体ブロック(518)を通り抜ける、項目12に記載のディスプレイ。
(項目16)
流体(708)と、
該流体(708)による濡れに耐性のある露出表面を有する基板(702)と、
該基板(702)を介して延び、該基板の露出表面に隣接して終端する少なくとも3つの導電性ビア(704)と、
該露出表面の該導電性ビア(704)の終端を覆うキャップ部(706)であって、該キャップ部(706)は、該流体(708)によって濡れる材料から形成されている、キャップ部と
を特徴とする、ディスプレイ。
(項目17)
基板と、
少なくとも光の1波長を吸収し、該基板に隣接して配置された第一の流体と、
該第一の流体と混和しない光透過性の第二の流体と、
該第一の流体に電界を印加する少なくとも1つの電極と
を備え、
電界のない場合、該第一の流体は該基板の第一の領域を覆っているが、該少なくとも1つの電極によって該第一の流体に電界がかけられると、該第一の流体は、該第一の領域から、より小さな第二の領域に移動する、ディスプレイであって、
該第一の流体が、色素パーティクルまたはナノパーティクルで着色されていることを特徴とする、ディスプレイ。
(項目18)
間隔を空けた、第一の電極(104)および光透過性のある第二の電極(116)と、
該第一の電極および該第二の電極(104、116)との間に閉じ込められた第一の流体(108)および第二の流体(110’)であって、互いに混和しない該第一の流体(108)および該第二の流体(110’)と
を備えた、ディスプレイであって、
該第一の流体および該第二の流体(108、110’)が、光透過性でなく、異なる色であり、
該ディスプレイは、該第一の流体(108)が該第一の電極(104)に隣接して横たわることで、該第二の流体(110’)の色が、該第二の電極 (116)を通し、該デ
ィスプレイを見ている観察者に見えるような第一の安定状態と、該第一の流体(108)が該第二の電極(116)に隣接して横たわることで、該第一の流体(108)の色が、該観察者に見えるような第二の安定状態とを有することを特徴とする、ディスプレイ。
(項目19)
上記第一の電極(104)と上記第一の流体(108)との間に配置された第一の誘電体層(106)、および、上記第二の電極(116)と上記第二の流体(110’)との間に配置された第二の誘電層(114)をさらに備える、項目18に記載のディスプレイ。