(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097736
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】再循環排ガス分配装置、対応する吸入マニホールド、および、対応する吸入モジュール
(51)【国際特許分類】
F02M 26/70 20160101AFI20170306BHJP
F02M 26/17 20160101ALI20170306BHJP
F02M 26/53 20160101ALI20170306BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
F02M26/70 311
F02M26/17
F02M26/53
F02M35/10 311E
F02M35/10 311C
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-249244(P2014-249244)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2015-113843(P2015-113843A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】1362279
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン、フェルレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール、ガラン
【審査官】
川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−273452(JP,A)
【文献】
特開平10−266903(JP,A)
【文献】
実開昭61−021851(JP,U)
【文献】
国際公開第2009/141212(WO,A1)
【文献】
特開平07−027023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00−26/74
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気含有吸入ガスおよび/または再循環排ガス(EGR)の流れを少なくとも1つの内燃エンジンシリンダに供給するように構成される空気吸入モジュール(1)のための吸入マニホールド(3)の再循環排ガス分配装置(11)であって、該分配装置(11)が再循環排ガス分配ダクト(13)を含み、前記分配ダクト(13)が、少なくとも1つのシリンダに供給するための空気の流れ中へ再循環排ガスを注入するための第1の注入手段(15)を含む、再循環排ガス分配装置(11)において、
前記分配装置(11)は、
前記分配ダクト(13)内に配置されるとともに前記第1の注入手段(15)により注入される再循環排ガスの流量を調節するように構成される制御部材(17)と、前記制御部材(17)を駆動するアクチュエータ(18)と、を更に含み、
前記アクチュエータ(18)が故障の場合に前記制御部材を所定の安全位置へ向けて付勢するようになっている少なくとも1つの戻し手段を含み、
前記第1の注入手段(15)が少なくとも1つの第1の注入穴(15)を含み、前記制御部材(17)は、前記第1の注入穴(15)の寸法を調整するように適合され、
− 前記制御部材(17)は、少なくとも1つの第2の注入穴(21)を含む第2の再循環排ガス注入手段を含み、
− 前記制御部材(17)は、前記第1の注入穴(15)と関連する第2の注入穴(21)との間で流体連通を確立できるようにする位置に配置されるようになっており、
前記所定の安全位置では、前記制御部材(17)の前記第2の注入穴(21)が前記分配ダクト(13)の前記第1の注入穴(15)と一致するようになっている
ことを特徴とする再循環排ガス分配装置(11)。
【請求項2】
前記制御部材(17)は、回転制御部材であり、該回転制御部材(17)の角度位置に応じて再循環排ガス流量を調節するように構成される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御部材(17)が並進移動できる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御部材(17)の前記第2の注入穴(21)の数は、前記第1の注入穴(15)の数と同じである請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記分配ダクト(13)および/または前記制御部材(17)は、前記吸入モジュール(1)内の空気流の流れに対して略垂直に配置されるようになっている請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御部材(17)が略円筒状のチューブの形態を成す請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
空気含有吸入ガスおよび/または再循環排ガス(EGR)の流れを少なくとも1つの内燃エンジンシリンダに供給するように構成される空気吸入モジュールの吸入マニホールド(3)であって、再循環排ガスの分配のために請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(11)を含むことを特徴とする吸入マニホールド(3)。
【請求項8】
充填空気などの空気を含有する吸入ガスおよび/または再循環排ガス(EGR)の流れを少なくとも1つの内燃エンジンシリンダに供給するように構成される空気吸入モジュール(1)であって、請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの再循環排ガス分配装置(11)を含むことを特徴とする空気吸入モジュール(1)。
【請求項9】
− ・空気の流れを調整するように構成される熱交換器(7)と、
・前記吸入モジュール(1)内の空気流の流れ方向で前記熱交換器(7)の下流側に配置されるエンジンの少なくとも1つのシリンダに給気するように構成される吸入マニホールド(3)と、
を含み、
− 前記再循環排ガス分配装置(11)は、前記吸入モジュール(1)内の空気流の流れ方向に対して前記吸入マニホールド(3)の上流側部分で、前記熱交換器(7)の下流側に配置される請求項8に記載の空気吸入モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジン、特に空気供給がコンプレッサまたはターボコンプレッサによってもたらされるエンジンへの空気の供給の一般的な分野に関する。本発明は、特に、マルチシリンダエンジン、および、再循環排ガスの流れをシリンダへ分配するために使用される装置に狙いが定められる。
【背景技術】
【0002】
本発明が関連するエンジンは、火花点火エンジンまたは圧縮点火(ディーゼル)エンジンであってもよい。エンジンは、過給されてもよく、あるいは、吸引されてもよい。
【0003】
自動車内燃エンジンは、一般に複数のシリンダにより形成される燃焼室を含み、この燃焼室内で、燃料と酸化剤との混合物が燃やされて、エンジンの仕事が生み出される。燃焼室内へ吸入されるガスは、吸入ガス(inlet gas)と呼ばれる。これらの吸入ガスは、それがコンプレッサからくるときに、充填空気(charge air)と呼ばれる空気を含む。
【0004】
充填空気の密度を増大させるために、これらのガスは、一般に、燃焼室内へ導入される前に冷却される。これは、給気冷却器(CAC)としても知られる熱交換器によって行なわれる。
【0005】
汚染排気を減らすために、いわゆる「再循環」排ガスを吸入ガス流中へ導入することが知られており、これは、排ガス再循環(EGR)として当業者に知られるプロセスである。再循環排ガスは、燃焼室の上流側で吸入ガス流へと再経路付け(再循環)されるべく燃焼室の下流側で抜き取られる排ガスであり、この場合、これらの排ガスは、燃焼室内へのそれらの吸入のために充填空気と混合される。
【0006】
吸入ガス流を含む充填空気流、すなわち、冷却空気流、および/または、再循環排ガス流を自動車内燃エンジンのエンジンブロック内へ吸入するために、エンジンブロックに取り付けられるようになっている吸入マニホールドは、冷却空気流と再循環排ガス流との随意的な混合と、エンジンブロック内への混合物の分配とを可能にする。
【0007】
この場合、充填空気流中への再循環排ガスの分配注入を可能にする吸入マニホールド内へと再循環排ガスを経路付けるための手段が設けられる。
【0008】
1つの既知の解決策によれば、再循環排ガス(EGRガス)は、例えば給気冷却器の下流側で流出する充填空気流に対して垂直に配置される分配ダクトを介して吸入マニホールド内へ導入され、分配ダクトは、再循環排ガスが吸入マニホールドの容積内へ流入できるようにする幾つかの注入穴を含む。
【0009】
再循環排ガスは、例えば給気冷却器からくる吸入ガスと混合できる。その後、混合物は、エンジンのシリンダに給気するべく排気ダクトへと方向付けられる。
【0010】
しかしながら、注入穴のサイズおよび位置は固定される。実際に、穴のサイズおよび配置は、エンジンの特定範囲の動作のために予め規定されており、エンジンが動作している間に変えることができない。
【0011】
一例として、特定の直径を有する注入穴は、約1250rpmのエンジン速度にとって満足な排ガスレベルをシリンダ内で得ることができるようにする。しかしながら、約2000rpmのエンジン速度において、この同じ直径を用いると、シリンダ内の再循環排ガスレベルが不十分となる。逆もまた同様に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
結論として、あるエンジン速度範囲に適するが他のエンジン速度範囲に適さないサイズを選択することが必要である。これは、エンジンの動作の狭い範囲に限られる最適な分配をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、本発明は、空気含有吸入ガスおよび/または再循環排ガスの流れを少なくとも1つの内燃エンジンシリンダに供給するように構成される空気吸入モジュールのための吸入マニホールドの再循環排ガス分配装置であって、該分配装置が再循環排ガス分配ダクトを含み、分配ダクトが、少なくとも1つのシリンダに供給するための空気の流れ中へ再循環排ガスを注入するための第1の手段を含む、再循環排ガス分配装置において、
分配装置が、分配ダクト内に配置されるとともに第1の注入手段により注入される再循環排ガスの流量を調節するように構成される制御部材を更に含むことを特徴とする再循環排ガス分配装置に存する。
【0014】
そのような分配装置は、エンジンの複数の動作点において、例えば1250rpm〜2500rpm程度のエンジン速度範囲において、再循環排ガス分配の最適化を可能にする。
【0015】
実際に、制御部材は、特にエンジン状態に応じて第1の注入手段により充填空気流中へ注入される再循環排ガス流の流れ断面を変えることによって、充填空気流中へ注入される再循環排ガス流の能動的な調節を可能にする。
【0016】
1つの実施形態によれば、制御部材は、回転制御部材であり、該回転制御部材の角度位置に応じて再循環排ガス流量を調節するように構成される。例えば、制御部材は、回転ゲート、または、バタフライ型フラップなどの回転フラップであってもよい。
【0017】
変形実施形態によれば、制御部材が並進移動できる。例えば、制御部材は、並進移動できるギロチン型フラップであってもよい。
【0018】
本発明の1つの態様によれば、第1の注入手段が少なくとも1つの第1の注入穴を含み、制御部材は、第1の注入穴の寸法を調整するように適合される。
【0019】
制御部材は、エンジン速度に応じた第1の注入穴のサイズまたは寸法の変化を可能にし、その結果、異なるエンジン状態にしたがった正確な排ガス分配を可能にする。
【0020】
そのような制御部材を用いると、第1の注入穴を完全に塞ぐこともでき、したがって、冷却空気経路中の再循環排ガスの任意の流れを防止できる。
【0021】
その結果、分配ダクト内へ導入される排ガスの計量を可能にする従来技術の解決策において見られる排ガス分配バルブを排除することができる。したがって、分配ダクトをそのようなバルブに接続するためのインタフェースを吸入マニホールドの位置に設ける必要がもはやない。これはコスト低減をもたらす。
【0022】
前記分配装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を個別にあるいは組み合わせて更に含んでもよい。
【0023】
− 制御部材は、少なくとも1つの第2の注入穴を含む第2の再循環排ガス注入手段を含み、制御部材は、第1の注入穴と関連する第2の注入穴との間で流体連通を確立できるようにする位置に配置されるようになっており、制御部材が例えば回転ゲートである、
− 制御部材の第2の注入穴の数は、第1の注入穴の数と同じである、
− 分配ダクトは、吸入モジュール内の空気流の流れに対して略垂直に配置されるようになっている、
− 制御部材は、吸入モジュール内の空気流の流れに対して略垂直に配置されるようになっている、
− 制御部材は、ゲートなどの略円筒状のチューブの形態を成す、
− 前記装置は、制御部材を所定の安全位置へ向けて付勢するようになっている少なくとも1つの戻し手段、例えば戻しスプリングを含む。
【0024】
また、本発明は、空気含有吸入ガスおよび/または再循環排ガスの流れを少なくとも1つの内燃エンジンシリンダに供給するように構成される空気吸入モジュールのための吸入マニホールドであって、再循環排ガスの分配のために先に規定された少なくとも1つの装置を含むことを特徴とする吸入マニホールドに関する。
【0025】
更に、本発明は、充填空気などの空気を含有する吸入ガスおよび/または再循環排ガス(EGRガス)の流れを少なくとも1つの内燃エンジンシリンダに供給するように構成される充填空気吸入モジュールなどの空気吸入モジュールであって、先に規定された少なくとも1つの再循環排ガス分配装置を含むことを特徴とする空気吸入モジュールに関する。
【0026】
1つの実施形態によれば、空気吸入モジュールは、空気の流れを調整するように構成される熱交換器と、吸入モジュール内の空気流の流れ方向で熱交換器の下流側に配置されるエンジンの少なくとも1つのシリンダに給気するように構成される吸入マニホールドとを含む。再循環排ガス分配装置は、吸入モジュール内の空気流の流れ方向に対して吸入マニホールドの上流側部分で、熱交換器の下流側に配置される。
【0027】
他の利点および特徴は、本発明の1つの非限定的な例示的実施例の説明を読むと、また、添付図面から、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る排ガス分配装置を備える空気吸入モジュールを示す。
【
図2】排ガス分配装置を含む、
図1の吸入モジュールの吸入マニホールドを表わす概略図である。
【
図4】吸入マニホールドおよび排ガス流回転制御部材の分解図である。
【
図5】回転制御部材と再循環排ガス経路付けパイプとの間の流体接続を概略的に表わす吸入モジュールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これらの図では、ほぼ同一の要素が同じ参照符号を有する。
【0030】
図1には吸入モジュール1が示されており、この吸入モジュール1は、マルチシリンダエンジンのエンジンブロック(図示せず)上に配置されるようになっているとともに、シリンダに吸入ガスを供給するためにエンジンブロック内へと延びるようになっている少なくとも1つの管路をエンジンの各シリンダごとに含む。
【0031】
吸入モジュール1は、分配マニホールドとも呼ばれる吸入マニホールド3を含み、エンジンシリンダ供給パイプが吸入マニホールド3内へ通じる。
【0032】
図示の例では、エンジンがマルチシリンダエンジンであり、吸入コレクタ3は、エンジンのそれぞれのシリンダと関連付けられる管路間で吸入ガス流を分配するように構成される。
【0033】
吸入モジュール1は、吸入マニホールド3に吸入ガスを供給するためのエントリマニホールド5を更に含む。
【0034】
吸入モジュール1は、エントリマニホールド5からくる吸入ガスが様々なシリンダの供給管路へと分配される前に通過する熱交換器7を含んでもよい。熱交換器7は充填空気を冷却するように構成される。そのような熱交換器7は一般に給気冷却器(CAC)と称される。そのような熱交換器7は、冷却液などの流体の循環のためのダクトを画定するとともに冷却液のための少なくとも1つの吸入および排出チューブ9を有するチューブまたはプレートのバンドル(図示せず)を含んでもよい。
【0035】
以下、「上流」および「下流」という用語は、吸入モジュール1内の充填空気の循環方向に関連して規定される。
図1に示される実施形態によれば、充填空気は、熱交換器7の上流側に取り付けられるエントリマニホールド5を介して熱交換器7内へ導入されるとともに、熱交換器7の下流側に取り付けられてエンジンブロック(図示せず)に接続されるようになっている分配マニホールドとしても知られる吸入マニホールド3を介して排出される。
【0036】
吸入マニホールド
吸入マニホールド3に関して、該吸入マニホールドは、エンジンシリンダ内への吸入ガスおよび/または再循環排ガスの分配吸入を可能にする。
【0037】
吸入マニホールド3は、例えば金属から形成されるとともに、エンジンブロック(図示せず)に取り付けられ得る。
【0038】
随意的に冷却される充填空気の各エンジンシリンダ(図示せず)内への吸入を可能にするために、吸入マニホールド3は、充填空気のための流出部を形成する少なくとも1つの排気ダクト10を含む。ここで、充填空気は、場合によりエンジン出口から回収される排ガスと混合される冷却空気を意味する。
【0039】
図示の例によれば、熱交換器7の下流側に取り付けられる吸入マニホールド3は、熱交換器7のバンドルの出口面が通じる開放した上流側部分と、エンジンブロックに固定されるようになっている下流側部分とを含む。吸入マニホールド3の下流側部分は、ここでは、エンジンのそれぞれの吸入シリンジへ通じるようになっている排気ダクト10を含む。
【0040】
吸入マニホールド3は再循環排ガス分配装置11を更に含む。
【0041】
図示の例によれば、分配装置11は、吸入マニホールド3の上流側部分にある。
【0042】
分配装置11は、充填空気流中への再循環排ガスの注入を可能にする。
【0043】
このため、
図2を参照すると、分配装置11は、排ガス分配ダクト13と、該分配ダクト13とシリンダに給気するための排気ダクト10との間で流体連通を確立できるようにする少なくとも1つの第1の注入穴15などの第1の排ガス注入手段15とを含む。
【0044】
分配ダクト13は吸入マニホールド3の上流側部分にある。
図2および
図3に示される例において、分配ダクト13は、熱交換器7の出口に面するとともに、充填空気の流れの方向に対して略垂直である。
【0045】
ここで、分配ダクト13は、吸入マニホールド3の全幅にわたって延びる。
【0046】
分配ダクトは、略円筒形状の分配ダクト13であってもよい。
【0047】
第1の注入穴15は、それらに関する限り、例えば、充填空気の流れ方向に対して分配ダクト13の下流側の壁に形成される。
【0048】
図示の例によれば、分配ダクト13は、一連の第1の注入穴15、ここでは4つの第1の注入穴15を含む。
【0049】
第1の注入穴15は例えば略円形である。これらの注入穴は、一様に楕円形となることができ、あるいは、任意の他の適した形状を成すことができる。
【0050】
無論、吸入マニホールド3は、異なる数の第1の注入穴15を含んでもよい。また、変形実施形態によれば、第1の注入穴15の形状または寸法が異なってもよい。
【0051】
分配装置11は、第1の注入手段15により注入される再循環排ガス流量を調節するように構成される制御部材17を更に含む。
【0052】
このため、制御部材17は、ここでは、第1の注入穴15の寸法を変えるように適合される。特に、略円形形状の第1の注入穴15の場合、制御部材17は、第1の注入穴15の直径を調整するように適合される。
【0053】
第1の注入穴15の寸法、特に直径は、エンジン速度と関連付けられる。言い換えると、制御部材は、エンジン速度に応じて第1の注入穴15の寸法を調整できるようにする。
【0054】
制御部材17は、電気的であってもよいあるいは代わりに空気圧式であってもよいアクチュエータ18によって駆動されてもよい。電気アクチュエータ18を使用すると、制御部材17の位置、例えば角度位置の連続的な細かい調整を非常に小さい振幅の動きで行なうことができる。空気圧アクチュエータ18を使用すると、例えば、制御部材17の所定数の角度位置を与えることができる。
【0055】
あるいは、制御部材17がエンジンシャフトによって駆動されてもよい。
【0056】
また、分配装置11の汚染を回避するために、制御部材17を急速に複数回作動させて、汚染物を除去してもよい。
【0057】
制御部材17は例えば回転制御部材であってもよい。したがって、回転制御部材17の角度位置に応じて、第1の注入穴15の寸法が調整されてもよい。
【0058】
図示されない別の手段によれば、制御部材17が並進移動できる。例えば、ギロチン型フラップなど、並進移動できる調整フラップが設けられてもよい。
【0059】
図2および
図3に示される実施形態によれば、制御部材17は、ゲートと呼ばれる略円筒状の回転チューブの形態を成す。あるいは、回転フラップ、例えばバタフライ型フラップなどの回転制御部材を設けることができる。
【0060】
ゲート17は、その長手方向軸の周りで回転するように構成される。
【0061】
ゲート17は、その長手方向軸が充填空気の流れ方向に対して略垂直に位置されるように配置され得る。
【0062】
ゲート17は、熱交換器7からの出口と対向するように充填空気の流れ方向に対して略垂直に分配ダクト13内に配置される。ゲート17は、分配ダクト13の全長にわたって、したがってここでは吸入マニホールド3の全幅にわたって延びることができる。
【0063】
図2を再び参照すると、ここでは、ゲート17は、ゲート17内への再循環排ガス吸入オリフィス19を含む。ゲート17内への排ガスの導入が
図2に矢印EGRによって概略的に表わされる。
【0064】
ゲート17は、再循環排ガスの循環を可能にするあるいは妨げるように適合されるが、特にゲート17の角度位置に応じて第1の注入穴15の流れ断面を調整することによって排ガス流量を調節するようにも適合される。
【0065】
このため、ゲート17は、少なくとも1つの第2の注入穴21などの第2の注入手段21を含む。
【0066】
第2の注入手段21は、第1の注入手段15を介した再循環排ガス流の流れ断面を変える/調整することができるように適合される。
【0067】
図示の実施形態によれば、ゲート17は、一連の第2の注入穴21、より具体的には、第1の注入穴15と同じ数の穴、ここでは4つの穴を含む。
【0068】
図2および
図4に示される実施形態によれば、ゲート17は、一連の第2の注入穴21、図示の例では4つの穴を同じ側に有する。
【0069】
第2の注入穴が少なくとも部分的に第1の注入穴15に対向すると、第2の注入穴21は、充電空気の流れ中への排ガスの注入を可能にする。
【0070】
実際に、ゲート17は、第1の注入穴15と関連する第2の注入穴21との間で流体連通を確立できるようにする位置に配置され得る。
【0071】
より具体的には、第2の注入穴21はそれぞれ、
図2および
図3に示されるようにそれをゲート17の位置に応じて関連する第1の注入穴15と位置合わせできるように、すなわち、排ガス流の通過を可能にするべく関連する第1および第2の注入穴15,21が対向するようにゲート17に配置される。第2の注入穴21が関連する第1の注入穴15と位置合わせされると、再循環排ガス流における流れ断面が最大となる。
【0072】
図4に示される例によれば、第2の注入穴21が略円形形状を有する。
【0073】
無論、第2の注入穴21の数が異なってもよい。異なる形状または異なる寸法の第2の注入穴が設けられてもよい。第2の注入穴21が異なる分布でゲート17に設けられてもよい。特に、第2の注入穴21を互いに一直線に合わせる必要はない。
【0074】
排ガスの注入は、分配ダクト13に沿う第1の注入穴15の分布およびゲート17に沿う第2の注入穴21の分布のおかげによって分配される。
【0075】
したがって、充填空気の流れ方向に対してゲート17の下流側の吸入マニホールド3の容積内で、吸入マニホールド3の前面を介して流入される吸入ガスは、分配装置11を介して流入される再循環排ガスと混合される。
【0076】
場合により再循環排ガスと混合される冷却空気から成る充填空気は、その後、エンジンのシリンダに燃焼用のガスを供給するために排気ダクト10内へ分配される。
【0077】
また、再び
図2を参照すると、分配装置11は、第2の注入穴21を介して注入される再循環排ガスの流れが排気ダクト10へ向けて方向付けられるように吸入マニホールド3の容積内で循環せずにゲート17の他の第2の注入穴21へ向けて再循環するのを防止するべく配置される少なくとも1つのシール手段23を更に含んでもよい。
【0078】
また、図示しない実施形態によれば、例えばアクチュエータ18の故障の場合にゲート17を所定の安全位置へ向けて付勢するようになっている戻しスプリングなどの少なくとも1つの戻し手段が設けられてもよい。非限定的な例として、この所定の位置は、ゲート17の第2の注入穴21が分配ダクト13の第1の注入穴15と一致するようになっていてもよく、あるいは逆に、ゲート17の第2の注入穴21が分配ダクト13の第1の注入穴15と位置合わせされないようになっていてもよい。
【0079】
したがって、分配装置11は、再循環排ガスの能動的な分配を可能にし、言い換えると、ガス吸入オリフィス19に達する再循環排ガスの流量にしたがった第1の注入手段15を介した再循環排ガスの流れの能動的な適合を可能にする。
【0080】
実際に、そのような分配装置11を用いて、再循環排ガス流の流れ断面が再循環排ガスの速度または流量に応じて調整されてもよい。
【0081】
例示的で非限定的な例として、低流量の再循環排ガスの場合、ガス吸入オリフィス19に最も近い第1の注入穴15により規定されるガス流れ断面は、ガス吸入オリフィス19から更に離れた他の第1の注入穴15へ向けて排ガスを押し進めるように減少されてもよい。言い換えると、低流量の再循環排ガスの場合、第1の注入穴15は、他の第1の注入穴15と比べて小さい直径を有さなければならない。このため、回転ゲート17の場合には、ゲート17が対応する角度位置へと回転される。
【0082】
一方、高流量の再循環排ガスの場合には、ガス吸入オリフィス19に最も近い第1の注入穴15が迂回される場合があり、それにより、代わりに、排ガスがガス吸入オリフィス19から更に遠い注入穴15へ向けて循環する危険が存在する。この場合、ガス吸入オリフィス19に最も近い第1の注入穴15により規定されるガス流れ断面は、排ガスをガス吸入オリフィス19に最も近いこの第1の注入穴15に強制的に通過させるように増大されてもよい。言い換えると、高流量の再循環排ガスの場合、第1の注入穴15は、他の第1の注入穴15と比べて大きい直径を有さなければならない。このため、回転ゲート17の場合には、ゲート17が対応する角度位置へと回転される。
【0083】
このようにして排ガス流れ断面を調節することにより、エンジンの複数の動作点にとって満足できる排ガスレベルをシリンダ内で得ることができる。
【0084】
車両内のコンピュータは、例えば、再循環排ガスの流量を検出できるとともに、第1の注入穴15の直径を変えるために制御部材17を適した位置へと駆動させるべくアクチュエータ18へ対応する設定ポイントを送ることができる。
【0085】
このようにすると、排ガスの受動的な分配を可能にする、言い換えると、再循環排ガス流れ断面の適合を伴わない従来技術の解決策の場合よりも幅広い例えば1250rpm〜2500rpm程度の範囲のエンジン速度に適した再循環排ガスの分配が得られる。
【0086】
最後に、分配ダクト13内へ導入されるべき再循環排ガスの量を計量するために従来技術の解決策において必要とされるような、再循環排ガスをゲート17へと分配するバルブ(図示せず)に対してゲート17を接続するためのインタフェースを設ける必要がない。
【0087】
実際に、そのようなバルブは必須ではない。これは、充填空気の流れ中へ注入されるべき再循環排ガスの流量を分配装置11によって直接に計量できるからである。
【0088】
したがって、
図5に簡略化された概略的態様で表わされるように、分配装置11は、エンジン出口で回収される排ガスを経路付けるためのパイプ25に対して直接に接続されてもよい。