(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板キャリアは、前記基板の周辺にあり、且つ、前記ガス流チャネルを通る前記ガス流の方向に平行に延びる熱反射器を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記加熱するステップは、前記基板キャリアの両側上に且つ前記端部キャップに隣接し、これと位置合わせされた状態で配置された線形加熱ランプにより行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
前記加熱するステップは、前記基板キャリアの両側上に、且つ、前記第1及び第2のガス・マニホルドに隣接し、これと位置合わせされた状態で配置された線形加熱ランプにより行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
前記ガス・マニホルドの前記ガス注入口は、前記ガス流チャネル内に供給される前記前駆体ガスの均一性を保証するためのガス拡散プレートを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
前記基板キャリアは、前記ガス・マニホルドとの界面に熱チョークを含み、前記熱チョークは、前記ガス・マニホルドと前記基板キャリアとの間に何らかの熱的分離をもたらすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記基板キャリアは、第2の複数のシリコン基板を保持するように構成された内部サセプタを含み、前記内部サセプタは、前記ガス流チャネルを2つの平行なガス流チャネルに分割し、前記第2の複数のシリコン基板の表面は、前記第1の複数のシリコン基板の表面に平行であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記加熱するステップは、前記基板キャリアの両側上に且つ前記第1及び第2のガス供給チャネルに隣接し、これと位置合わせされた状態で配置された線形加熱ランプにより行われることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
前記第2の複数のシリコン基板の各々は、前記平行なガス流チャネルの第1のものに曝される第1の堆積表面と、前記平行なガス流チャネルの第2のものに曝される第2の堆積表面とを有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
前記基板キャリアに対して前記第1及び第2のマニホルドをシールするステップをさらに含み、前記第1及び第2のマニホルドは連続的なシール・リッジを有し、前記基板キャリアは対応する連続的な受け用チャネルを有し、前記シール・リッジ及び前記受け用チャネルは、前記マニホルドと前記基板キャリアが接合される際に前記マニホルドと前記基板キャリアとの間に位置合わせ公差をもたらすための傾斜面を有することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコンは、CIGS、CdTeなどの薄膜太陽電池と比べると、(a)入手可能性、(b)環境への優しさ、並びに(c)実証された長寿命及び関連技術の成熟度の利点と共に、商業生産環境において最大約23%までの高い太陽電池効率ηをもたらす。しかしながら、結晶シリコンは、従来、競合する薄膜パネルよりも光起電モジュールのコストが高い。(モジュールとは、実際に電力を生成し、多数の太陽電池を保持するフレームを含むユニットであり、これらの多数の太陽電池は互いに電気的に直列に接続され、次いでインバータに接続される)。このコストの大部分は、ポリシリコン生産、インゴット形成、及びウェハ形成(インゴットのワイヤ切断及び切断されたウェハの表面仕上げ)のコストを含む、シリコンウェハ(現在、180μmまでの厚さ)の製造コストからのものである。
【0003】
薄膜プロセス(アモルファスシリコン、CIGS及びCdTe)は近年、消耗の少ない大型の統合処理のために、結晶シリコンよりも潜在的にコストが低いことから、近年興奮を引き起こしている。しかしながら、一般に、薄膜光起電(PV)モジュールは、典型的には、結晶シリコン・モジュールのものよりも、効率が大幅に低い。典型的な単結晶モジュールは、15−16%(幾つかのモジュールでは20%にまでなる)の効率を有するのに対して、薄膜モジュールの最高の状態は、現在のところ11%である。さらに、大部分の薄膜プロセスのコストの利点は、決定的に実証されていない。その結果、結晶シリコン(単結晶及び多結晶の両方とも)は、現在のPV市場の80%を超えるシェアを占め、2010年には約14GWに値する。(PVモジュールの量は、一般的に、ワットでのその全出力により測定される)。
【0004】
今日、$2.50/Wp(Wpは、最大達成可能出力を指すワットピークである)を下回るPVモジュールの全据え付け後コストは、世界の多くの地域において、ほどほどの補助金付を伴うグリッドパリティを示すので、魅力的である。(グリッドパリティとは、PVモジュールからの1ワット当たりのコストが、電気分配グリッド上でもたらされる1ワット当たりのコストと同等になる点を指し、典型的なグリッドIは、石炭、石油及びガス発電所のような多数の電源により与えられる。)
【0005】
製造業者は、従来の結晶シリコン(単結晶及び多結晶の両方)技術の製造コストの削減という点で特に効果を発揮し、シリコンPVモジュールの価格は、2006年の$4/Wp超から、2010年の約$1.80/Wpまで下がった。PVウェハ、電池及びモジュールの最も費用効率の高い一貫生産の製造業者では、現在、PVモジュールに対する売上原価が$1.10/Wpに近づいている。過去4年間にわたるこれらのコスト削減は、部分的には以下の技術的改善によるものである。
【0006】
第1に、太陽電池の厚さの低減、及び切断損失(kerf loss)がより少ない改善された切断プロセスのために、シリコンの使用量が、1ワット当たり10gmsから、1ワット当たりおよそ6.5gmsまで減少した。
【0007】
第2に、微細線印刷、改善された前面反射及び不動態化制御、より高品質(より長寿命)の材料などによって、電池の効率が改善された。平均シリコン電池効率は、約14%から17%まで増加し、多数の製造業者は、その単結晶シリコンPV電池に関して18%の電池効率を報告している。
【0008】
第3に、製造がより完全に統合され、即ち、より高い費用効率のために、シリコンPVモジュール製造プロセスの種々の部分(ポリシリコン、ウェハ、電池、及びモジュール)を連結する傾向があり、今やシステム・インテグレータ及びインストーラに対して世界的なアクセスがある。例えば、2010年には、統合生産が、約$1.10のPVモジュールのCOGSを与える原価構造をもたらした。
【0009】
単結晶シリコンPVモジュールの製造がさらなるコスト削減を続けることができれば、グリッドパリティが達成されると、ここ当分の間、単結晶シリコンPVモジュールがPVにおけるリーダであり続け、且つ、事実上、薄膜PV技術と競合することは明らかである。しかしながら、さらなるコスト削減の源は、すぐには明らかにならない。
【0010】
PV電池及びモジュールのコストは、大規模生産設備の配備により漸近的レベルに近づいており、単結晶シリコン電池の効率はほぼ19%に達しており、電池効率のさらなる向上は、コスト増加によってしか達成できない。
【0011】
しかしながら、今やシリコン及びウェハ形成(wafering)コストがモジュールの原価構造の最大部分を占めるので、シリコン及びウェハ形成コストの大幅な減少により、さらなるコスト削減がもたらされ得る。シリコン及びウェハ形成コストは、(a)ポリシリコン生産コストのさらなる削減、(b)結晶成長プロセスの改善、及び/又は(c)高収率及び低い切断損失を有するようにウェハをより薄く切断することにより、削減される。同様に、連続的なチョクラルスキー結晶成長プロセスは、漸進的なコスト改善をもたらし得るが、根本的なコスト削減をもたらす可能性は低い。しかしながら、ワイヤソー技術が基本的な機械的限界に近づき始めているので、ウェハを180μm未満に切断するには、低収率及び不相応に高い切断損失に悩まされる。従って、シリコン使用量の削減には、ポリシリコン、インゴット形成及びウェハ形成ステップ全体を迂回できる新しい技術に目を向ける必要がある。
【0012】
これらのステップを迂回するさらに別の動機は、主としてポリシリコン・ステップのみに関連した資本コストのために、ポリシリコンは、現在、シリコンPVモジュール生産能力の拡大を制限するステップであることである。実際には、ポリシリコン、インゴット形成、及びウェハ形成に関する資本コスト、即ち生産のための一回のセットアップ・コストが、シリコンPVデバイスの生産の全資本コストを支配する。ポリシリコン、インゴット形成、及びウェハ形成は、最大資本コストを占める(太陽電池モジュールの生産のためのセットアップについて合計$3/Wpのうちの約$2/Wpを占める)だけでなく、土地、ガス、水などの面で最もインフラストラクチャも必要とする。
【0013】
上記の考察から、結晶シリコンPV産業がコスト削減において大きく前進し、依然として薄膜PVと競合していることは明らかである。しかしながら、約$0.08/kWh(約$2/Wpに相当する)の、助成金なしのグリッドパリティに達するためには、総COGSを、結晶シリコンPVウェハに関して約$0.80/Wpに減らす必要があり、これは$2/Wpの結晶シリコンPVモジュールについてのシステム据え付け後コストを得るのに必要とされるものである。この削減は、従来のシリコンPV技術、即ち、従来のシリコン半導体産業から始まる大量生産及び技術革新によるコスト削減からの恩恵を既に受けている技術には、困難である。従って、付随して生じる資本コストの削減に加えて、ポリシリコン、インゴット形成、及びウェハ形成に関連した費用のかかる現在のプロセスと置き換えることができる、より安価な新しいプロセスに対する必要性が存在することは明白である。
【0014】
PVモジュール生産のための結晶シリコン基板のエピタキシャル堆積は、サプライチェーンの劇的な簡略化、即ち、ポリシリコン、インゴット形成、及びウェハ形成に対する必要性を無くすことを可能にする。しかしながら、課題は、単結晶シリコンウェハを製造するための従来のプロセスより低くはなくとも同程度のコストでエピタキシャル堆積プロセスを用いることである。
【0015】
シリコンの薄膜のエピタキシャル堆積は、集積回路のような半導体デバイスの製造における一般的なプロセス・ステップである。集積回路の高収率を可能にするために、このエピタキシャル堆積ステップは、堆積されたシリコンが非常に高品質のものであり、非常に厳格な厚さの均一性を有することを必要とする。これは、低い堆積速度においてのみ達成することができ、従って、半導体エピタキシャル反応装置の大部分は、非常に均一な、1分当たり0.1乃至1μmの低欠陥堆積速度用に最適化される。今日、ほとんど全ての高性能(advanced high performance)CMOS(相補型金属酸化膜半導体)デバイスは、そのようなエピタキシャル層上に形成される。
【0016】
半導体産業に用いられるほとんどの従来型エピタキシャル・バッチ反応装置は、トリクロロシラン(TCS)及び水素などの反応物をウェハの中心に供給する拡散に依存しており、そのため、ガス流が、典型的にはウェハ・スタックの周囲に沿うため、本質的にウェハ縁部上により高濃度のTCSをもたらす。従って、ウェハ内で及びウェハ間で膜厚の均一性を維持するために、こうした反応装置は、反応速度制限領域において、堆積速度がずっと低くなる低温で動作させる必要がある。さらに、膜の品質及び均一性が非常に重要であり、且つ、デバイスの価値が高いプロセス・コストに適応できる薄いエピタキシャル膜の堆積の場合、典型的には単一のウェハ反応装置において、高温エピタキシャル成長が用いられる。この高温プロセスにおいて、TCSの化学気相堆積(CVD)は、成長が、境界層を横切る反応表面へのTCSの質量輸送に依存する質量輸送制限領域において行われる。しかしながら、単一ウェハの高温処理は、最先端プロセッサのような非常に高価値のデバイスを除いて、法外なコストがかかる。
【0017】
反応物の拡散に依存する反応装置の制限を回避するために、幾つかの半導体エピタキシャル反応装置は、前駆体種が一定して利用可能である安定した境界層を形成することによって、ウェハの表面にわたって一定の成長速度を有するように設計される。これは、典型的には、以下の技術を用いて達成される。
【0018】
第1にウェハを回転させ、これによりガス速度及び境界層がウェハ表面にわたって一定であることが保証される。しかしながら、ウェハを回転させなければならないことにより、反応装置のタイプが単一ウェハ反応装置又は小型バッチ反応装置に制限される。
【0019】
第2に、十分な量のTCSを供給し、前駆体の欠乏を招くことなく反応物表面の近傍でTCSが入手できるようにする。このことは、多数の前駆体ガス注入点を有して堆積チャンバをTCSであふれさせることにより達成される。従って、これらの反応装置において、TCSの利用率は、典型的には、ほぼ5%にすぎない。
【0020】
第3に、ウェハの温度は、典型的には1050℃より低く、従って、成長速度は1分当たり1μmを下回る。これらの反応装置においては、より高い成長速度を達成することができるが、堆積温度におけるウェハ回転の要件に起因する設計制約により、一般に、動作温度は1,000℃から1,500℃までの範囲に保持される。半導体においては、低欠陥密度に関して厚さの均一性及びエピタキシャル品質は最も重要であるので、この遅い堆積速度は、許容可能である。
【0021】
第4に、基板は、堆積温度まで加熱し、次いで堆積終了後に冷却する必要があり、これには典型的には1時間かかり、且つ、それは、堆積チャンバ内で行われる場合、スループット計算のために堆積時間に加えられる。これらの堆積システムは、典型的には、約200kWの定格の誘導加熱システムを用いることに留意されたい。
【0022】
図1(http://kops.ub.uni−konstanz.de/handle/urn:nbn:de:bsz:352−opus−11305で入手可能な非特許文献1(ページ18、
図3.4を参照されたい)は、基本変数、即ち基板温度及びTCS対H
2比の関数としての、TCSからのシリコンの成長速度のプロットを示す。市販のエピタキシャル反応装置が設計されている半導体用途の場合、成長速度を高精度で制御する必要があり、それには、温度及びTCS対H
2比の変動が堆積速度における感知できるほどの変化をもたらさない条件下でのプロセスの動作を必要とする。従って、市販の半導体エピタキシのための動作領域は、
図1に示されるような曲線の平坦部上にある。
【0023】
8ウェハ・バッチ容量を有する市販の半導体エピタキシャル反応装置における生産を仮定して、125mm基板上の180μm結晶シリコンウェハのエピタキシャル成長のコストを見積もるために、以下の仮定が用いられる。1分当たり1μmの堆積速度において(
図1を参照されたい)、60分の加熱及び冷却時間を含めて、総生産時間は240分である。8ウェハ・バッチで動作する単一のシステムのスループットは、
8×60/240=1時間当たり2ウェハ
となる。7年間にわたるウェハ当たりの減価償却費は、反応装置に関する90%の動作可能時間、90%の利用率、及び$1.2M ASP(特定用途向け製品)を仮定すると、次式により与えられる。
$1.2M/(2×0.9×0.9×24×350×7)=ウェハ当たり$12.60
5%の利用率におけるウェハごとに消費されるTCSは、ウェハ当たり650グラムである。TCSの商業価格が1kg当たり$3と仮定すると、ウェハ当たりのTCSのコストは、ウェハ当たり$2となる。8ウェハ・バッチを生産するのに使用される全電力は200kWと見積もられ、ウェハ当たりの電力コストは、kWh当たり4¢であるので、ウェハ当たりの電力コストは$1となる。他のガス及び消耗品は、ウェハ当たり約$1と見積もられる。従って、エピタキシャル堆積の総コストは、ウェハ当たり$16.6と見積もられる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、当業者が本発明を実施するのを可能にするように、本発明の説明に役立つ例として与えられる図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。特に、以下の図及び例は本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図したものではなく、説明される又は図示される要素の一部又は全てを交換することによって他の実施形態が可能である。さらに、本発明の特定の要素が既知の構成要素を用いて部分的又は完全に実施できる場合、本発明を不明瞭にしないように、本発明の理解のために必要なこうした既知の構成要素の部分のみが説明され、そうした既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は省略される。本明細書において、単数の構成要素を示す実施形態は、限定と考えるべきではなく、むしろ、本明細書において特に明記されない限り、本発明は、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態も含むことが意図され、逆もまた同様である。さらに出願者等は、本明細書又は特許請求の範囲におけるいずれの用語も、明示的にそのように説明されない限り、一般的でない又は特殊な意味に帰されることを意図するものではない。さらに、本発明は、例として本明細書で言及される既知の構成要素に対する現在及び将来知られる等価物を含む。
【0031】
本発明は、エピタキシを用いるシリコンウェハの生産のための変革技術、即ち、エピタキシャル堆積のコストが、PVのためのシリコンウェハ生産のための現在の通常のプロセスより低くはなくとも同程度である場合の、気相からの単結晶シリコンのCVD堆積を表すことができる。エピタキシャル堆積を用いて、従来のシリコンPV技術から、3つの最もコストのかかるステップ、即ち、ポリシリコン生産、インゴットの成長、並びにインゴットの機械加工及びウェハ形成が排除される。本発明のプロセスは、3つの最も高コストのかかるステップを置き換えて、シリコンPVの基本的なコスト推進要因、即ち、過剰な材料使用、材料生産の複雑さ、並びにポリシリコン、インゴット形成及びウェハ形成に関連した前工程における高い資本コストに対処する。シリコンを直接堆積させる手法は、単結晶シリコンPVにと関連した高効率を保持しながら、コストのかかる従来のシリコンウェハ生産技術に対する代替物を提供する。
【0032】
シリコンウェハのエピタキシャル堆積についてのプロセス・フロー図が、
図2のように与えられる。このプロセスは、シリコン基板を準備するステップ(210)と、シリコン基板上に剥離層を形成するステップ(220)と、剥離層の上にエピタキシャル・シリコンウェハを成長させるステップ(230)と、シリコン基板からウェハを分離するステップ(240)と、基板を洗浄してあらゆる残留剥離層を除去した後、基板を再使用するステップ(250)とを含む。基板211の上の剥離層221上に成長されたウェハ231の断面図が、
図21に示される。分離プロセスが後に続くエピタキシャル技術は、極薄(〜5μm−50μm)結晶の太陽電池を得るための方法として文献に記載されている。例えば、非特許文献2を参照されたい。これらの方法は、Si使用量の劇的な削減(従来のポリシリコン、インゴット形成、及びウェハ形成プロセスによって作成された現在商業的に入手可能な薄いSiウェハを用いるのに比べて約80%の)を可能にすると同時に、適切な光トラップ及び表面不動態化による高い電池効率を維持する。しかしながら、これらのプロセスは、従来のウェハ生産に対してコスト競争力がない。課題は、シリコン使用量の削減の利益を得ることができるような十分に低コストのエピタキシャル堆積プロセスを提供することである。本発明は、そうした低コストのエピタキシャル堆積ツール及びサプライチェーンの劇的な簡略化を提供することができる。
【0033】
太陽光発電用途のためのエピタキシャルに堆積されたシリコンウェハの要件
PVデバイス用のシリコンウェハの生産のためのエピタキシャル反応装置の技術仕様を提供するために、半導体デバイスの製造のために製造されるウェハとは異なる、シリコンウェハの具体的な物理的要件を理解することが有用である。
【0034】
第1に欠陥密度を考える−これは、欠陥が少数キャリアの寿命の低減又はウェハの強度の低減をもたらさない限り、主要な考慮事項ではない。1cm
2当たり1×10
5の欠陥密度は、これが依然として許容可能な少数キャリア寿命(10μsより長い)、並びに電池及びモジュールへの処理を可能にするのに十分な機械的強度をもたらすので、許容可能である。半導体用途において、欠陥密度要件は、主としてリソグラフィにより定められる微細構造部のために、1cm
2当たり1未満であることである。欠陥密度は成長速度と共に増大し、1分当たり約1ミクロンを上回る成長速度は、欠陥密度を仕様より大きくするので、欠陥密度要件は、成長速度を制限する。太陽光利用用途に対するこの要件の緩和は、1分当たり4μmを十分に超えるエピタキシャル層の成長速度を使用できることを意味する。この高い成長速度は、本発明のエピタキシャル反応装置の実施形態において達成可能である。
【0035】
第2に厚さ均一性を考える−半導体のエピタキシにおいて、ウェハにわたる厚さ均一性の要件は、2%未満(リソグラフィにおける厳しい被写界深度の制限により引き起こされる)であり、他方、太陽光利用用途については、約+/−10%の厚さの変動が許容可能である。この緩和された厚さ均一性要件は、シリコン前駆体ガス空乏モードで動作することができる、本発明のエピタキシャル反応装置の幾つかの実施形態において達成することができる(反応装置が空乏モードで動作されるとき、TCS利用率は50%を超えるように示される)。
【0036】
さらに、シリコンウェハの製造コストを削減するために、高出力型シリコンウェハ製造システムが必要である。エピタキシャル堆積システム内のウェハのスループットを増大させるための手法は、非常に大きいウェハのバッチを全て同時に加熱し、シリコンを堆積させることを必要とする。この手法に関する主な問題は、そうしたチャンバの容積は大きく、長い加熱及び冷却時間を必要とすることである。従って、1時間当たり200ウェハを得るために、加熱及び冷却時間を考慮に入れて、バッチサイズが600ウェハを上回る必要がある。これは設計を非常に複雑にし、これまでのところ、そうした設計が実際的でないことが分かっている。さらに、
図1に示されるように、これらの大型バッチ反応装置は、TCS空乏がほとんどない、従ってTCS利用率が低い領域において実行されるように設計せざるを得ない。(ウェハ・キャリアを通る前駆体ガスの経路長が増大するにつれて、TCS空乏を補償するのがますます困難になり、その結果、非常に大型のバッチ反応装置の場合、空乏モードでの動作は実際的ではない。)
【0037】
本発明のエピタキシャル反応装置は、半導体産業におけるエピタキシャル・シリコンの要件と比較して、より緩和された欠陥密度及び厚さ均一性の要件をうまく利用する。本発明のエピタキシャル反応装置の1つの実施形態は、以下の要件:即ち、(1)1時間当たり約200ウェハを上回るスループット、(2)半導体デバイス用途についての1分当たり1μmと比較して、1分当たり3.5μmを上回るシリコン堆積速度、(3)約+/−10%より良好な厚さ均一性(半導体デバイス用途についての+/−1%と比較して)、(4)シリコンの粉砕、融解などのための大きなエネルギー収支をも含む従来のプロセスのエネルギー要件の約50%にすぎない、効率的な電力利用率、即ち、同等のスループットの従来のシーメンス反応装置に匹敵する電力利用率、(5)約50%の効率的なTCS利用率(半導体デバイス用途についての5%と比較して)を有する。上記の要件を可能にする重要な革新を以下に説明する。
【0038】
高スループットの小型バッチ反応装置
本発明の実施形態において、システムに複数の小型バッチ反応装置を用いる小型バッチ構想を用いてスループットを増大させる。基板温度及び基板表面の上のガス流の制御が小型反応装置においてより容易に達成されるので、複数の小型バッチ反応装置は、単一の大型反応装置に優る利点を有する。さらに、複数の小型バッチ反応装置は、予定されている及び予定されていない保守の両方に対処しながら、連続的な高スループットを保持することがより容易であるので、保守に関して言えばより望ましい。
図3は、複数の小型バッチ反応装置310に基づいたシリコンウェハ・エピタキシャル堆積システム300の一例を示す。装填ステーション320において、複数の基板が基板キャリア内に装填され、次いで予熱チャンバ330に移送され、そこで基板及びキャリアが400℃まで加熱される。キャリアは、トンネル340を通って、輸送装置により輸送され、小型反応装置310の1つに挿入される。(代替的に、基板が装填されたキャリアを、室温で反応装置内に直接配置し、反応装置内で完全に堆積温度まで加熱することができる)。次に、キャリアを約1,150℃まで加熱し、基板上にシリコンウェハをエピタキシャルに堆積させる。シリコン堆積プロセスが完了した後、基板キャリアは約400乃至600℃に冷却され、次いでキャリアが小型反応装置310から取り出され、トンネル340(その側部、上部及び輸送ロボットは図示されていない)を通して輸送され、冷却チャンバ350内に配置されて室温まで冷却されてから、システム300から取り出される。その間、未処理の基板を有するキャリアがエピタキシャル反応装置内に装填され、従って、連続的な動作が保証される。基板キャリアが依然として400乃至600℃である間、基板キャリアを小型反応装置から取り出すことにより、反応装置を経るプロセス・サイクル時間が低減される。トンネルを窒素ガス(酸素が1%未満)で充填することができ、又は、基板キャリアが挿入される又は取り出されるとき、反応装置内で過剰圧力の窒素を用いて、望ましくないガスが反応装置内に入らないようにすることができる。さらに、堆積されたシリコンの酸化を最小にすることが望ましい場合、トンネルにおいて窒素環境を用いることができる。高温の基板キャリアの移動は、低い熱伝導性、低い総熱容量、低重量のキャリア・アームを有するロボットによって実施できることに留意されたい。このキャリア・アームは、基板キャリアの熱からロボットを保護すると同時に、より重要なことに、基板キャリアの急激すぎる冷却も回避する。
【0039】
図3は、8個の小型バッチ反応装置を有するシステムの特定の例である。しかしながら、これらのシステムは、主として輸送装置によって制限される個数の、4個から10個までの間の小型バッチ反応装置を有することができる。さらに、他の輸送装置は、システムごとに異なる範囲の及び/又はより広範囲の小型バッチ反応装置を収容することができる。
【0040】
小型バッチ手法は、シリコン基板の表面にわたってウェハ・キャリアを通る前駆体ガスの経路長を、堆積厚さ均一性要件を満たすことができるように制御するのに十分に短く保持することにより、空乏モード堆積の使用を可能にする。例えば、以下の
図7及び
図8は、単に2つの基板の幅にすぎない、シリコン基板にわたる前駆体ガスの経路長を示し、ここでは、高いTCS利用率(>50%)を有する十分に均一な堆積厚さが実験的に確認されている。
図11A及び
図11Bを参照されたい。
【0041】
さらに、
図3を参照して上述した小型バッチ反応装置システムに対して、当業者であれば、本発明の範囲内に入るシステムの多くの変形が存在することを認識するであろう。例えば、システムは、トンネルなしに構成し、長い直線移動を行うロボットによって送達されるように位置合わせされた多数の反応装置を含むことができる。さらに、パススルー処理のために、即ち、基板ホルダが反応装置の一方の側にゲート・バルブを通して装填され、反対側のゲート・バルブを通して取り出されるように、反応装置を構成することができる。後者の構成は、装填用に1つ及び取り出し用に1つの、少なくとも2つのロボットを必要とする。さらに、より低いシステム・スループットを許容できる場合、反応装置を単一のロボットの周りにクラスター化することができ、これは、堆積された層の酸化を最小にする必要がある場合に環境を容易に制御できる、ロボットのための小さいチャンバの利点を有する。
【0042】
エピタキシャル反応装置
図4は、反応装置310のうちの1つについてのプロセス・チャンバ400を示す。プロセス・チャンバ400は、ステンレス鋼又は他の適切な材料で作成された容器401と、基板キャリアを挿入し、取り出すためのゲート・バルブ402と、基板キャリアの空間的に制御可能な急速な加熱をもたらすためのランプ・モジュール403と、ガス、冷媒などを供給し、除去するための種々の開口部404とを含む。当業者には明らかになるように、本発明の特徴を明瞭に示すために、電気コネクタ、機械的調整装置などは示されていない。
【0043】
図5Aは、基板キャリアが処理位置にあるプロセス・チャンバ400の内部を示す、X−Xに沿った切取図である。ガス・マニホルド405、熱チョーク505及びガス供給チャネル504が、基板キャリアの上部及び底部に示される。基板キャリアは、切取図内で、基板502の1つの層だけ(
図7及び
図8から明らかとなるように基板キャリア内には基板の複数の層が含まれる)がサセプタ501上に示されるように図示される。
図5B及び
図5Cは、それを通して基板キャリア500が挿入され、取り出されるゲート・バルブ402を有するプロセス・チャンバ400の2つの部分切取図を示す。
【0044】
前述のように、基板キャリアは、基板の装填及び取り出しを容易にするために、ロードロック402を通して反応装置から取り出すことができる。基板キャリアの取り出しのさらなる詳細は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2010年10月21日に公開されたSivaramakrishnan他による特許文献1に記載されている。
【0045】
以下で論じられるように、反応装置の構成要素の温度は、シリコン堆積が基板キャリア内でのみ、主として基板表面上で行われるように注意深く制御される。さらに、基板キャリアは、反応装置の反応チャンバ内のガス・マニホルドと係合して基板キャリア内にプロセス・ガスを含み、それにより反応装置の反応チャンバの低頻度の洗浄及び高い反応装置の稼働率を可能にするように構成することができる。(プロセス・ガスを反応装置の窓721から遠ざけて、窓の表面上へのシリコン堆積を防止する。
図7及び
図8を参照されたい。)従って、取り出し可能な基板キャリアだけが、堆積したシリコンを除去するための頻繁な洗浄を必要とし、この洗浄は反応装置の外部で容易に行うことができる。プロセス・ガスはチャネル内を通過する際に予熱されるので、ガス供給チャネル504の表面上に幾らかのシリコンが堆積されることもあり、従って、ガス供給チャネルもまた洗浄を必要とし得ることに留意されたい。ガス供給チャネルは、洗浄を容易にするために取り外し可能な基板キャリア内に組み込まれる。さらに、熱チョーク505は、少量のシリコン堆積が存在し得る遷移領域にあり、同じく洗浄を容易にするために取り外し可能な基板キャリア内に含められる。
【0046】
基板キャリアに必要な洗浄の頻度は、幾つかある要因の中でも、堆積されるシリコンの厚さに依存し、プロセス歩留りを監視することによって容易に決定することができる−即ち、粒子の生成が歩留りに最大の影響を与え、従って、洗浄の頻度を決めると予想される。基板キャリアは、HF/HNO
3などによる標準的なシリコン・エッチングを用いて洗浄される。
【0047】
エピタキシャル反応装置:基板キャリア
本発明の実施形態において、好ましくは、低い総熱容量及び高い放射率(黒体型)によって特徴付けられる基板キャリアによって、スループットを増大させることができ、これらの特性は、キャリアが迅速に加熱及び冷却されることを可能にし(低熱容量)、さらにキャリア内の基板が迅速に均一の温度に達することも可能にする(高放射率)。さらに、非常に小さい基板キャリアの容積により、反応装置内に注入される全ての反応物ガスの最大の使用が可能になる。これは、(1)基板キャリア容積の大部分が基板及びサセプタ・ハードウェアにより消費され、(2)プロセス・ガスに曝される基板キャリア内部の表面積の大部分が基板で覆われ、非基板表面上にシリコンを堆積させるために最小限のTCSが使用されるためである。さらに、基板キャリアは、直接加熱されないキャリアの表面を流れる熱を低減させるように構成することができる。
【0048】
図6は、これらの概念に基づいた基板キャリア500の一例の斜視図を示す。
図7及び
図8は、
図4の反応装置400のY−Yに沿った断面図を示す。
図7及び
図8の断面図は、
図6のY’−Y’に沿った基板キャリア500の断面図も示すことに留意されたい。さらに、
図5の切取図も基板キャリアの部分を示す。基板キャリア500は、基板502を保持するためのサセプタ501と、基板キャリアの端部を通る熱流量を減らすための熱反射器503と、上部及び底部のガス供給チャネル504と、基板キャリア500をマニホルド405から熱的に分離するための上部及び底部の熱チョーク505とを含む。基板キャリア500の外部のサセプタ501の広い面積は、窓721を通して、且つ、
図7に示される実施形態においては、透明な構造層を通して、ランプ・モジュール403により直接加熱されることに留意されたい。
【0049】
熱反射器503は、間にガスを有する一連の平行プレートを含む。
図6、及び熱反射器の断面を示す
図10を参照されたい。基板に最も近いプレートは、一般に、炭化シリコン又は炭化シリコン被覆グラファイトで作成され、基板から最も遠いプレートは、一般に、石英で作成される。基板処理の際、プレート間のガス(一般的には、水素)は流れない。このように構成された熱反射器は、熱流に対して高いインピーダンスをもたらし、基板キャリアの堆積領域内で安定した温度を維持する助けとなる。さらに、基板キャリアを冷却するとき、プレート間の空間を通して窒素ガスを流し、冷却時間を減らすことができる。
【0050】
熱チョーク505は、炭化シリコン被覆グラファイト又は石英で作成することができる。熱チョークは、効率的な熱除去のための冷却ジャケットと連結して構成することができる。冷却ジャケット1090の断面が
図10に示され、冷却ジャケットは、熱を除去するために冷媒が流れる反応チャンバ壁の一部分である。さらに、熱チョークのフィン様表面の上のガス流を用いて、必要な場合には処理中に且つ基板キャリアの冷却中に、熱を除去することができる。
【0051】
図7及び
図8を参照して、エピタキシャル反応装置のシリコン堆積領域を詳細に説明する。流れの第1の方向が矢印701で示されるプロセス・ガスは、外部サセプタ509及び端部キャップ506(
図6及び
図10を参照されたい)で囲まれた基板キャリアの内部容積内に向けられる。プロセス・ガスは、上部ガス・マニホルド405を通り、基板502の表面の上の内部容積を通って流れ、下部ガス・マニホルドを通って流れ出る。以下により詳しく説明されるように、内部容積に露出される基板502の表面は、多孔質シリコンで作成できる剥離層を有する。シリコンのエピタキシャル堆積は、基板502の剥離層の上に行われる。内部サセプタ507/508が内部容積を分離する。サセプタ509、507/508の内面は、基板502で覆われる。ランプ・モジュール403のような熱源により、熱放射702が与えられる。熱放射702は、窓721を通して伝えられ、サセプタ509、507/508及びサセプタ上に取り付けられた基板502を加熱する。外部サセプタ509が加熱され、次いで熱放射が生じ、これが内部サセプタ507/507を加熱する。エピタキシャル堆積が完了した後、基板及び基板キャリアを冷却するために、基板キャリア内のチャネルを通して、不活性ガスが流される。この冷却プロセスは、反応装置から除去する前に、基板キャリアからあらゆる残留プロセス・ガスをパージする。典型的には、室温及び大気圧の又はことによると僅かに過剰圧力の窒素ガスが、冷媒及びパージ・ガスとして用いられる。さらに、冷却ガスを、反応装置内の基板キャリアの外面の上に流すこともでき、前述のように、冷却ガスを熱チョークの上に及び熱反射器を通して流し、基板キャリアの冷却速度を増すこともできる。
【0052】
プロセス・ガスが標準堆積流量で流れる内部チャネルは、ガス流が層流であり、粒子状物質が蓄積することがある「デッド」スペースが存在しないように構成されることが好ましい。さらに、これらのチャネルの幅、即ち対向する基板表面間の間隔は、特定の堆積速度要件が与えられた場合に、適切な層流領域を確保するように選択される。空乏モードにおける堆積速度は、流量、TCS/H
2比、及びウェハの表面に存在する境界層の厚さの関数である。一般に、チャネル幅は、基板キャリアをコンパクトに保持し、境界層を小さく保持するために最小にされ、この最小チャネル幅は、所望の堆積速度が増すにつれて、層流を維持するように増大する。例えば、8mmから12mmまでの間のチャネル幅は、1分当たり10−20グラムのTCS流量による1分当たり約4ミクロンの堆積速度に適している。さらに、6mmから20mmまでの間のチャネル幅及び1分当たり2−90グラムの流量を用いることができるが、堆積速度は、これらの範囲にわたって大きく変化する。
【0053】
プロセス・ガスの流れの方向を示す、
図7及び
図8の矢印701を参照すると、処理中に、流れの方向を逆にすることができ、その場合、流れの方向は図に示される下向きの代りに上向きとなることに留意されたい。エピタキシャル堆積中に実施された場合、これは、クロスフロー処理(cross−flow processing)と呼ばれる。クロスフロー処理は、種々の方法で実施することができ、例えば、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2010年10月21日に公開されたSivaramakrishnan他への特許文献1を参照されたい。さらに、クロスフロー処理は、分離層のアニールなどの他のプロセス・ステップ及び冷却の際に用いることもできる。
【0054】
さらに、構造層731を基板キャリアの外面に付加し、即ち、外部サセプタ509の外面に取り付けることができる。
図7を参照されたい。構造層731は、基板キャリアに対する追加の支持を与え、且つ、放射を吸収する外部サセプタ509に熱放射を直ちに伝える材料で作成される。構造層731は、石英で作成することができ、外部サセプタ509は、例えば、炭化シリコンで作成することができる。内部サセプタ507/508もまた炭化シリコンで作成することができる。
【0055】
さらに、両面上に剥離層を有するように作製され、且つ、エピタキシャル反応装置内でエピタキシャル・シリコンが同時に両側上に堆積される基板である両面基板802を、特別なサセプタ・プレート508内に配置して、同時エピタキシャル・シリコン堆積のために、基板の2つの側を2つの異なるチャネルに露出させるのを可能にすることができる。
図8を参照されたい。両面基板の使用により、さらに軽いウェハ・キャリアが可能になり、従って、さらに速い加熱及び冷却プロセス、従ってより高いスループットが可能になる。以下により詳細に説明されるように、剥離層は多孔質シリコンとすることができる。
【0056】
図7及び
図8に示される基板キャリアは、本発明の特定の実施形態の例である。本発明による基板キャリアのさらに別の実施形態は、1つより多い内部サセプタを含むことができ、及び/又は、片面及び/又は両面エピタキシャル堆積のために基板を保持するように構成することができる。追加の内部サセプタを他のサセプタと平行に導入し、プロセス・ガスが基板の表面の上を流れる追加のチャネルを形成することができる。これらの追加のサセプタは、単一の内部サセプタを有する基板キャリアの場合について上述したように熱放射によって加熱される。さらに、基板を傾斜させること(その結果、基板はプロセス・ガスの流れ方向に対して小さい角度をなす)により、境界層の厚さに影響を及ぼすことができる。具体的には、ガスが流れているチャネルが狭い場合、流量が増し、境界層の厚さが減少する。従って、ガスは、傾斜した基板に沿って、最も多くがチャネルに当たる端部に向けて流れるので、基板を流れ方向に対してある角度だけ傾斜させることにより、ガスの速度が増し、境界層の厚さが低減する。基板を傾斜させるための基板ホルダは、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2010年10月21日に公開されたSivaramakrishnan他への特許文献1に記載される。
【0057】
24個の125mm平方のシリコン基板を保持するように設計された
図6−
図8及び
図12に示されるような基板キャリアは、実質的にSiC及びSiC被覆グラファイトから製造することができ、約42キログラム(シリコン基板なしで)を超えない全質量を有する。さらに、両面基板が用いられる場合、これは、1つの内部サセプタを有するキャリアについては恐らく25−30%及び2つの内部サセプタを有するキャリアについては50%の、著しい重量の削減をもたらす。デュアルランプ・モジュールを用いて、そうした基板キャリアを、約15分以内で500℃から1,150℃まで加熱することができ、500℃までの冷却時間も同様の時間である。前述のように、堆積システムは、基板キャリアが依然として400乃至600℃である間、反応装置から基板キャリアを取り出すことを可能にし、従って、反応装置を経るプロセス・サイクル時間を低減させるように構成することができる。炭化シリコンは、その化学的不活性及び純度、並びに高熱放射率のために使用されることに留意されたい。シリコンが上に堆積される構成要素は、炭化シリコンで作成されることが好ましく、それは(1)シリコンがよく付着し、(2)湿式エッチング及び乾式エッチングの両方に対する優れた選択性のために、炭化シリコンからシリコンが容易に除去され、(3)炭化シリコン内で一般的な不純物の拡散性が低く、(4)炭化シリコンを熱拡散器に適した選択とする優れた熱的特性を有するためである。
【0058】
エピタキシャル反応装置:熱源
本発明の実施形態において、次の特性:1)急速加熱及び電気エネルギーの熱への効率的な変換を可能にする低熱容量、(2)外部サセプタの表面の上に伝えられる熱の空間的制御、及び(3)発生した熱の大部分が基板キャリアに向けられることを保証するための効率的な反射器を有する、反応装置内で基板を加熱するための熱源により、スループットを低コストで増大させることができる。そうした熱源が、
図9A及び
図9Bに示される。熱源900は、全てが反射器901内に収容される、サセプタ用ランプ711、マニホルド用ランプ712、及び垂直ランプを含む。ランプは、基板の均一な加熱を可能にするために、及び、基板キャリア及びマニホルドの異なる構成要素の温度を制御するのに必要とされる場合、個別に又はグループで制御される。加熱ランプは、基板を1,200℃まで急速且つ均一に加熱するのを可能にするように構成され、ランプへの電力は、反応物ガスが流れている間でさえも、一定の基板温度を可能にするようにリアルタイムで調節される。適切なランプの一例は、タングステンハロゲンランプである。
【0059】
図7及び
図8に示されるように、各エピタキシャル反応装置について2つの熱源900が存在する。反応装置の1つの特定の実施形態において、各組のランプは110kWの定格であり、これは、36個の、125mm×125mmのシリコン基板を1,150℃に加熱し、ガスが基板キャリア内を流れている処理中に、この温度を維持するのに適している。
【0060】
図10は、ガス流の方向に沿った(プロット1001)、及び、ガス流の方向に垂直な(プロット1002)、基板キャリア及びガス・マニホルドの外面上で計測された正規化された放射照度プロファイルを示す。放射照度は、温度に比例するが、熱損失を説明するものではないことに留意されたい。放射照度は、ミリメートル単位で測定されるサセプタを横切る位置の関数として、ワット毎mm
2の単位で測定される(IRスペクトルで測定される)。セクションY−Y及びZ−Zの部分を示す、エピタキシャル反応装置の中央部分の断面図が、それぞれ放射照度プロットの上及び下に与えられる。図示の便宜上、第2のランプ・モジュール(基板キャリアの反対側の)は、これらの断面図に示されないことに留意されたい。矢印で示すように、プロット1001及び1002は、それぞれ上及び下の図に対応する。図の水平目盛と放射照度プロットの横座標が対応し、例えば、プロット1001のサイド・ピークは、空間的にガス・マニホルド405の位置に対応する。
【0061】
放射照度プロット1001は、ガス・マニホルド405、熱チョーク505、ガス供給チャネル504、並びにサセプタ及び基板において、温度がどのように制御されるかを示す。ガスは、マニホルド405内で専用のランプ712により加熱される、即ち、ガスは、前駆体ガスが解離する温度又は前駆体ガスからの堆積が生じる温度よりも間違いなく低くなるように加熱される。温度は、ガス・マニホルド405からの基板キャリアの何らかの熱的分離をもたらす熱チョーク505内で低下することが分かる。
図10に示されるように、熱チョークがもたらす熱的分離は、ガス・マニホルド及び基板キャリアの内部の、ある程度の独立した温度制御を可能にする。次に、温度は、熱チョークから基板を保持しているサセプタまでガス供給チャネルに沿って増大することが分かる。(幾つかの実施形態において、プロセス・ガスが流れるチャネルの表面は、チャネルの壁からプロセス・ガスへの熱伝達を高めるための、フィンのような構造部で覆われる。そうした構造部は、好ましくは、基板にわたる均一なガス流を維持しながら、プロセス・ガスへの熱伝達を改善するように設計される)。基板及びサセプタは、一定の堆積温度に維持される。ガス供給チャネル、サセプタ及び基板の温度は、ランプ711の列によって制御される。2つの理由で、即ち、(1)基板の均一な温度を保証するため、及び(2)上述のようにクロスフロー処理を可能にするため、温度プロファイルにおける対称性が必要であることに留意されたい。
【0062】
反応装置を通る一方向のガス流を考え、
図10の断面Y−Y及びプロット1001を参照すると、ガスは、最初にガス・マニホルドの1つの中で予熱され、次に理想的には、第1の組のガス供給チャネルに沿って流れる際に堆積温度に向けて加熱され、基板を横切って流れる直前に堆積温度に達する。基板を横切って流れた後、次に、枯渇ガスが第2の組のガス供給チャネルに沿って流れ、その後に第2のガス・マニホルドを通して排気される。クロスフロー処理の際、ガス流の方向が逆にされ、排気マニホルドがガス供給マニホルドになる等。
【0063】
放射照度プロット1002は、熱反射器503、端部キャップ506、並びにサセプタ及び基板において、温度がどのように制御されるかを示す。サセプタ及び基板は一定の堆積温度に維持され、端部キャップはおよそ同じ温度に保持される。温度は、熱反射器を通って低下することが分かる。端部キャップ、サセプタ及び基板の温度は、基板キャリアの全長を延びるランプ・モジュール内のランプ711の列によって制御される。ランプ902は端部キャップ及び熱反射器を加熱するように配置され、ランプ902がもたらす余分な熱は、基板及びサセプタの全幅にわたる温度が同じであることを保証し、且つ、端部キャップに隣接する基板及びサセプタの縁部における温度低下を回避するためのものである。基板の均一な温度を保証するために、温度プロファイルにおける対称性が必要であることに留意されたい。
【0064】
上記の例は、基板が保持される領域において、サセプタにわたる温度がかなり均一である状況を説明するが、温度を基板にわたって意図的に変化させる実施形態も考えられる。基板にわたる温度の不均一性は、TCS空乏を補償する助けとして用いられる。ランプ・モジュール内のランプは、そうした不均一な温度プロファイルに適合させるようにプログラムすることができ、個々のランプ又はランプのグループに供給される電力は、独立に制御される。
【0065】
エピタキシャル反応装置:空乏モードの堆積
本発明の実施形態において、エピタキシャル・シリコン堆積のコストは、反応装置をTCS空乏モードで動作させて、低コスト・プロセスに必要な高いTCS利用率を達成することによって削減することができる。例えば、TCS前駆体ガスが基板表面にわたって流れる際にTCSが消費されるので、さらに下流でガスが基板キャリアから出ると、非常に僅かなTCSしか存在しない。本発明によるプロトタイプの反応装置設計における実験は、60%に至るTCS利用率を示している。
図1に見られるように、TCSが空乏化するにつれて、堆積速度は劇的に減少する。従って、基板上に堆積されたシリコンの厚さもまた、ガス流の方向に沿って劇的に減少する。従って、厚さの減少を補償するために、ガス流の方向を逆にし、低い堆積速度を有していた領域が今度は高い堆積速度を有するようにし、逆もまた同等である。それぞれ左から右及び右から左へのプロセス・ガスの流れの方向に沿った、基板上のシリコン堆積層度を示す、
図11Aの曲線1101及び1102を参照されたい。曲線1103は、2つの堆積についての平均堆積速度を示し、比較的均一な膜厚を達成することができるが、中央に小さいピークがあることを示す。逆に、
図11Bの曲線1104は、中央に僅かな低下(dip)を示す。
図11A及び
図11Bは、流量を変化させることによって、十分に均一な膜厚を得ることができることを示し、
図11Aの低流量は、60乃至100標準状態リットル毎分(slm)の範囲であり、
図11Bの高流量は、150乃至300slmの範囲である。
図7及び
図8に関して前述したように、クロスフローを種々の方法で実施することができ、同じく引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2010年10月21日に公開されたSivaramakrishnan他への特許文献1を参照されたい。
【0066】
クロスフローの概念は単純であるが、実際には、空乏プロファイルは、(
図1の顕著な特徴である)高度に非線形とすることができるので、クロスフローを用いて、基板上の堆積シリコンの均一な厚さを達成することは困難である。しかしながら、厚さの変動を平均化するために、厚さのプロファイルがほぼ線形になるようにTCS/H
2比、温度及び流量を調節し、次いで流れの方向を逆にすることが成功裏に実施されている。この技術を用いると、反対方向の流れの間をほぼ平均化することにより、TCS利用率を高く保持しながら、要求される+/−10%未満の厚さ変動が達成される。
【0068】
図12Aは、
図6に示されるような基板キャリアを通るY’−Y’に沿った断面図を示す。
図12B−
図12Dは基板キャリアの細部を示し、
図12E及び
図12Fは、基板装填のプロセスにおける(
図12E)、及び、基板が所定の位置にある(
図12F)、サセプタの平面図を示す。
図12A−
図12C、
図12E及び
図12Fを参照すると、キャリアは、外部サセプタ1201及び中央サセプタ1203を有するように示され、サセプタは、図示のようにコネクタ部品1204によって互いに連結される。外部サセプタ1201は、それぞれ1つの基板を支持し、中央サセプタ1203は、両側に1つずつ2つの基板を支持するが、中央サセプタは、両面堆積するように構成することもできる(
図8の中央サセプタ508の断面を参照されたい)。基板は、サセプタ内の溝1208、及びサセプタの底部にあるスロット1205内に滑り込み、固定クランプ1202によって所定の位置に保持される。熱チョーク505及びガス供給チャネル504が、キャリアの上部及び底部に示される。基板キャリアを通るガス流の一例が、矢印で示される。
【0069】
固定クランプ1202の細部が、
図12Dに示され、固定クランプは、ウェハの上縁部全体にわたって同じ断面を有する。さらに、ウェハの下縁部を捕捉する、サセプタ1201及び1203の底部にあるスロット1205は、逆転されていることを除いて、
図12Dに示されるのと同じ断面プロファイルを有し、スロットの形状は、以下で説明されるクランプの形状と同じ目的を果たし、ウェハ表面にわたるガス流の方向の逆転に適応する。さらに、基板の垂直縁部を捕捉する溝1208は、基板が滑り込む及び滑り出るのを容易にできるようにより大きい公差を有することを除いて、
図12Dに示されるのと同じ断面プロファイルを有し、溝1208は、以下で説明されるクランプの形状と同じ目的を果たす。固定クランプの構造は、基板とサセプタとの間のエピタキシャル堆積されたシリコン1207の架橋なしに、基板表面の上のより厚いシリコンが堆積するのを可能にする。例えば、クランプの寸法が、A=1.5mm、B=1.6mm及びC=0.5mmのときに、200ミクロンのウェハを架橋なしに堆積させることができる。基板からウェハを分離する前に、トリミング又はスクライビング技術を用いて、基板の縁部におけるシリコンの不均一な堆積物を除去することができ、ウェハは、縁部付近の1又は2mmの損失を可能にするように、意図的にオーバサイズの基板上に堆積される。
【0070】
図13A−
図13Cは、サセプタ・プレートの代替的な実施形態の斜視図を示す。サセプタ・プレート1301及び取り外し可能スライド1302が、基板1310を所定の位置に保持する。基板1310のコーナー部は、
図13Cに示されるように機械加工されたスロット1311を有する。
図13Bの細部は、取り外し可能スライド1302に取り付けられたくさび1303を示し、このくさびは、ウェハを所定の位置に保持するように、スロット1311内に嵌まる。さらに、
図13Aに見られるように、基板の他のコーナー部に類似のくさびが存在する。
図13A−
図13Cに示される例において、サセプタは、両面堆積に適した中央サセプタである(
図8の中央サセプタの断面を参照されたい)。しかしながら、基板を保持するためのこの同じ手法を、外部サセプタ、及び、片面堆積のために構成された中央サセプタ(
図7の中央サセプタ507を参照されたい)に対して用いることもできる。
【0071】
図14A及び
図14Bは、サセプタ・プレートのさらに別の実施形態を示す。サセプタ・プレート1401及び取り外し可能スライド1402が、基板1410を所定の位置に保持する。基板1410の縁部は、
図14Bに詳細に示されるようにその縁部内に機械加工された溝1411を有する。取り外し可能スライド1402上の突起部1403が、溝1411と嵌合して基板1410を所定の位置に保持する。
図14Aに示されるように、突起部は、サセプタ・プレート1401の底部内縁部上にも配置され、基板の下縁部内の溝1411と嵌合する。
図14A及び
図14Bに示される例において、サセプタは外側サセプタであるが、基板を保持するための同じ手法を、片面堆積及び両面堆積の両方の中央サセプタのために用いることもできる。
【0072】
図15A−
図15Cは、外側サセプタ・プレートの別の実施形態の詳細を示す。この構成は、
図14A及び
図14Bに示すサセプタ・プレートの構成と、基板縁部内の溝と嵌合するように構成された4つの突起部の代わりに、基板1510を捕捉するための、基板の上縁部に2つ及び下縁部に2つの、4つのクランプ1503が存在することを除いて、同じである。この実施形態において、基板1510が、基板縁部内に機械加工されたいずれの溝も有する必要がない。
図15Aは、基板1510を所定の位置に保持するサセプタ・プレート1501及び取り外し可能スライド1502を示す。
図15Bは、クランプ1503の断面細部を示し、基板1510の上縁部がどのように捕捉されるかを示す。クランプ1503の寸法及び表面の角度は、クランプ1503の位置において基板とサセプタ/スライドの間のシリコンの架橋なしに、基板表面の上に厚いシリコンを堆積させるのを可能にするように調節される。さらに、基板1510の縁部の下に、基板の周囲全体の周りに延びる凹部1506が存在する。
図15Cは、Z”−Z”面内の断面図であり、基板1510の水平縁部の下の、サセプタ1501の一部である凹部1506を示す。この凹部は、クランプが配置される場所を除く、基板の上縁部及び下縁部に沿って、
図15Bに示すように配置される。クランプの位置において、凹部は、
図15Bに示されるように配置される。凹部は、堆積中に基板とサセプタ/スライドの間のシリコンの架橋を減らすように配置される。例えば、基板の縁部の下の約1mmの凹部は、基板上に200ミクロンの厚さのウェハを堆積させるときに架橋を防ぐのに十分であった。(これらの5回の堆積後、サセプタを洗浄して、シリコン堆積を除去する)。凹部はまた、基板の縁部の周りの幾らかのシリコン堆積も可能にすることに留意されたい。さらに、基板からウェハを分離する前に、トリミング又はスクライビング技術を用いて、基板の縁部におけるシリコンの不均一な堆積物を除去することができ、ウェハは、縁部付近の1又は2mmの損失を可能にするように、意図的にオーバサイズの基板上に堆積されることに留意されたい。
【0073】
さらに、基板の周囲の周りの凹部1506は、
図13及び
図14のサセプタ/スライドの片面堆積の構造に統合することができる。
【0074】
図12E、
図12F、
図13A及び
図14Aに示されるサセプタ・プレートは、単一の基板を保持するように構成され、
図12Aに示されるように、複数のこれらのサセプタ・プレートを互いに接続して、複数の基板を支持するためのサセプタ・プレートを形成する。しかしながら、複数の基板を支持するようにサセプタ・プレートを構成することもでき、例えば、3つの基板を水平方向列に保持するようにサセプタ・プレートを構成して、サセプタ・プレート501が、上下に接続された2つのこうした「半」プレートで構成されるようにすることができる。さらに、サセプタ・プレート501は、6つの基板全てを保持するように構成された単一のプレートとすることができる。
図5Aを参照されたい。
【0075】
基板を装填するプロセスは、以下の一般的なステップに従う。基板をサセプタ・プレート内に装填し、スロット又は他の保持構造部により基板の下縁部を捕捉する。次に、保持クランプ又はスライドを基板の上縁部の上の所定の位置に滑り込ませる。次に、基板キャリア内で装填されたサセプタを組み立て、これは、別個のサセプタの間にコネクタ部品を挿入するステップを含むことができる。次に、上部ガス供給チャネル及び熱チョークを加えて、基板キャリアを完全に組み立てる。例えば、
図12Aの断面図を参照されたい。
【0076】
エピタキシャル反応装置:ガス・マニホルド
クロスフロー処理を効率的に実施できるように、反応物ガスのための注入装置として働き、排気部としても働くことができるガス・マニホルドが好ましい。マニホルド405の実施形態の斜視図が、
図16に示される。マニホルド1600は、ボディ1601と、ガス注入チューブ1602と、ガス排気チューブ1603と、以下でより詳細に説明されるような、注入ガスと排気ガスの分離のための分離プレート1604と、ガス排気開口部1605と、ガス注入スリット1606と、ガス・マニホルドを基板キャリアに対して位置合わせし、密封するための位置合わせリッジ1620とを有する。
【0077】
図17は、断面Y”−Y”に平行であり、
図4の断面Y−Yにも平行な平面で切り取られた、
図16のマニホルドの第1の実施形態の図を示す。マニホルドは、1つ又はそれ以上の、場合によっては2つ又は3つの開口部1731が形成された、長い正方形断面のパイプ・ボディ1701を有する。開口部1731は、プロセス・ガスをマニホルドに供給するための外部ガス供給ラインに接続される。円形断面のパイプ1715が、パイプ・ボディ1701の内部に溶接される。開口部1731は、同じくパイプ1715を通って延びる。パイプ1715の長さに沿って2列に形成された等間隔に配置された複数の開口部1708を有するガス拡散プレート1707は、パイプ1715の注入部を出口部から分離し、パイプ1715の長さに沿って均一に配置された複数の開口部1709を通る、マニホルドの長さに沿った、マニホルドから基板キャリア500の内部への均一なプロセス・ガスの供給を保証するが、拡散プレートの機能が維持されれば、開口部1708の配置を変えることができる。マニホルドを通るプロセス・ガスの流れは、矢印1710及び1711で示される。プレート1704は、プロセス・ガスと排気ガスの完全な分離を確実にするために、パイプ・ボディ1701に統合される。プレート1704は、それを通して基板キャリアが排気される多数の開口部1705を有するが、この特定の例においては、開口部1705はマニホルドの長さに沿って列をなして等間隔に配置され、効率的なガス排気が達成される限り、他の開口部1705の配置を用いることもできる。排気ガスの流れは、矢印1712及び1713で示される。排気ガスは、チャンバ1714を通ってマニホルドの長さに沿って流れ、いずれかの端部において、真空ポンプに取り付けられた排気ガスライン(例えば、1603)を通って除去される。マニホルドは、プロセス・ガス供給モードのみ又は排気モードのみで用いられ、同時に両方のモードで用いられないことに留意されたい。
図17に示されるマニホルドの構成は、排気ガスとプロセス・ガスが混合することなしに、ガス流の方向の非常に迅速な切り替えを可能にし、さらに高インピーダンスのガス注入(効率的なガスの予熱に適した)及び低インピーダンスのガス排気をもたらす。さらに、以下により詳細に説明されるように、基板キャリアは、反応装置の反応チャンバ内でガス・マニホルドと係合して、基板キャリア内にプロセス・ガスを含むように構成することができ、それにより反応装置の反応チャンバのための低い洗浄頻度及び高い反応装置の稼働率を可能にする。
【0078】
さらに、マニホルドは、必要であれば、ガスの予熱を強化するために、マニホルドを通過するガスの経路長を長くするように構成することができる。例えば、
図18A及び
図18Bは、マニホルドを通る、より長いプロセス・ガスの経路長を有するように設計されたマニホルドの斜視図を示す。マニホルドは、
図16の断面Y”−Y”及びX”−X”に平行な平面内で切断されており、
図18Bは完全なマニホルドの長さの半分だけを示す。1つ又はそれ以上の、場合によっては2つ又は3つの開口部1831が形成された、長い正方形断面のパイプ・ボディ1801を有する。開口部1831は、プロセス・ガスをマニホルドに供給するための外部ガス供給ラインに接続される。一連のチューブ・セクション1816及び1817、並びにチュープ1818が、パイプ・ボディ1801の内部に取り付けられる。開口部1831も同様にパイプ・セクション1816を通って延びる。ガスは、開口部1831を通ってマニホルドに入った後、マニホルドの端部まで流れてバッフル1817の周りに達し、次にマニホルドの長さに沿って戻り、開口部1819を通ってパイプ1818内に入ることになる。パイプ1818内には、パイプ1818の長さに沿って2列に形成された等間隔に配置された複数の小さい開口部1808を有し、且つ、パイプ1818の注入部を排気部から分離するガス拡散プレート1807がある。拡散プレートは、複数の開口部1809を通る、マニホルドの長さに沿った、マニホルドから基板キャリア500の内部への均一なプロセス・ガス供給を保証にする。プロセス・ガスと排気ガスの完全な分離を確実にするために、プレート1804はパイプ・ボディ1801に統合される。
図17に関して一般的に上述されたように、プレート1804は、基板キャリアを排気する多数の開口部1805を有する。排気ガスは、チャンバ1814を通り、マニホルドの長さに沿ってマニホルドのいずれかの端部まで流れ、そこで、排気ライン(例えば、1603)によって真空ポンプに接続された開口部1832を通って排気される。
【0079】
図19A及び
図19Bは、
図18A及び
図18Bに示されるマニホルドの実施形態の変形を示す。
図19A及び
図19Bは、マニホルドを通る、より長いプロセス・ガスの経路長を有するマニホルド設計の斜視図を示す。
図19Aは、
図16の断面Y”−Y”に平行な平面内で切断されたマニホルドの図を示す。
図19Bは、
図16の面X”−X”内の断面を示し、マニホルドを通過する注入ガス流を示す。マニホルドは、長い正方形断面のパイプ・ボディ1901を有する。場合によっては2つ又は3つのガス注入チューブ1902が、プロセス・ガスをマニホルドに供給する。側壁1916及び底部プレート1921を有する矩形断面の箱が、パイプ・ボディ1901の内部に取り付けられる。箱内には、バッフル1917、開口部1919を有するプレート1918、及びマニホルドの長さに沿って2列に形成され、等間隔に配置された複数の小さい開口部1908を有するガス拡散プレート1907が含まれる。ガスは、注入チューブ1902を通ってマニホルドに入った後、マニホルドの端部まで流れてバッフル1917の周りに達し、次にマニホルドの長さに沿って戻り、開口部1919を通過することになる。次に、ガスは、複数の開口部1908を通って拡散プレート1907を通過し、次いでプレート1921内の複数の開口部1909を通ってガス注入スリット1906内に入り、このスリットにより、ガスが、マニホルドの長さに沿ってマニホルドから基板キャリア500の内部に供給される。プロセス・ガス及び排出ガスの完全な分離を確実にするために、プレート1904は、パイプ1901内に統合される。一般的に
図17に関して上述されたように、プレート1904は、これを通して基板キャリアが排気される多数の開口部1905を有する。排出ガスは、チャンバ1914を通り、マニホルドの長さに沿ってマニホルドのいずれかの端部まで流れ、そこで、排気ライン(例えば、1603)により真空ポンプに排気される。
マニホルドの構成要素は、例えば、石英又はSiCから製造することができる。
【0080】
図20は、ガス・マニホルドと基板キャリアとの係合の詳細を示す、Y−Yの面に平行な面内の断面図である。
図20は、マニホルドの次の部分:即ち、マニホルド・ボディ2001の底部、排気開口部2005を有する分離プレート2004、ガス注入スリット2006、排気チャンバ2014及び位置合わせリッジ2020を示す。
図20は、基板キャリアの次の部分:即ち、熱チョーク2010の上部、ガス流仕切り2011(ガス流を、基板キャリアを通る2つの流路に分離する。
図12Aを参照されたい)及び位置合わせリッジ2010と嵌合するように設計された受け用チャネル2012を示す。位置合わせリッジ及び受け用チャネルが、マニホルドと基板キャリアとの間の完全なシールを形成することに留意されたい。これは、
図16の位置合わせリッジ1620の図から明白である。位置合わせリッジと適合する受け用チャネルの台形セクションは、2つの部分が一緒になったときに、位置合わせ不良に対する何らかの公差を有した状態でマニホルドと基板キャリアが嵌合することを可能にする、即ち、台形の傾斜した縁部により、2つの部分が適切な位置合わせに案内される。マニホルドと基板キャリアは、それらの部分を矢印で示される方向に共に移動させることによって係合されることに留意されたい。一方又は両方の部分を移動させることができ、係合解除には、部分の反対方向の移動を必要とする。基板キャリアとマニホルドの係合のさらなる詳細は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2010年10月21日に公開されたSivaramakrishnan他への特許文献1に記載されている。台形セクションのリッジ及びチャネルはまた、石英(マニホルド)及び炭化シリコン(熱チョーク)とすることができる、嵌合部分の材料の熱膨張の差を吸収する。リッジ及びチャネルは、
図20において非常に良く似た寸法を有するように示されるが、より典型的には、これら部分の係合を容易にするために、部分の位置合わせ公差の範囲内の位置合わせを可能にすることを条件として、チャネルをリッジよりも2倍広くすることができる。さらに、リッジ及びチャネルは台形断面を有することに限定されるものではなく、傾斜した縁部を有することを条件として、他の断面を有するリッジ及びチャネルを用いることもできる。さらに、リッジは基板キャリア上にあってもよく、チャネルはマニホルド上にあってもよい。さらに、シール及び位置合わせをもたらすのに必要とされる、任意の数の適合するリッジ及びチャネルを用いることができる。
【0081】
完全に組み立てられた基板キャリアをエピタキシャル反応装置内に装填するために、以下の一般的なステップに従うことができる。基板キャリアは、ロボットによってエピタキシャル反応装置に移送される。1つ又は両方のガス・マニホルドを上/下に移動させて、基板キャリアを所定の位置に移動させるためのスペースをもたらす。基板キャリアを反応装置内のガス・マニホルドの間の所定の位置に移動させる。上述のように位置合わせリッジ及びチャネルの助けにより基板キャリアとガス・マニホルドを嵌合し、シールする。例えば、基板キャリアを下部ガス・マニホルドの上まで降下させ、次いで上部ガス・マニホルドを基板キャリアの上の位置まで降下させることができる。反応装置から基板キャリアを除去するために、プロセスを逆にする。
【0082】
コスト・モデルの再検討
本発明を用いて達成されると予想されるシリコンウェハの製造コストの削減は、ここ当分の間、単結晶シリコン太陽電池のコスト競争力を可能にするであろう。本発明のシリコン・エピタキシャル反応装置の実施形態を用いて、シリコン太陽電池製造のための本発明の商業的利点を実証する。各々が36個の125×125ミリメートル平方の基板を有する10個の小型バッチ反応装置を備えたシステムを想定したコスト・モデルを使用する。システムは、基板温度を制御するための加熱ランプ及びクロスフロー堆積を用いて、TCS空乏モードで動作する。1分当たり3.5ミクロンの速度での180ミクロン厚のウェハの成長が仮定される。低い熱質量の基板キャリアの設計により、25分間での室温からの加熱及び約500℃までの冷却が可能になる。(温度が500−600℃に達すると、サセプタが堆積チャンバから冷却チャンバに移される。)
【0083】
上記の仮定を用いると、1分当たり3.5ミクロンの速度での180μm厚のシリコンの同時堆積のための時間は51.4分であり、基板のバッチを室温から約1,150℃まで加熱し、次いで、反応装置から取り出す前に、堆積温度から500−600℃に冷却するためのオーバーヘッド時間は約25分であり、オーバーヘッドを含めた堆積のための合計時間は:
51.5+25=76.5分と与えられる。
これは、36個の基板を有する10個の小型バッチ・システムに対して、以下のスループットを与える。:
36×10×60/76.5=1時間当たり282個のウェハ
次に、本堆積システムについてのASP資本償却コストを$300万と仮定すると、90%の動作可能時間及び90%の利用率で7年間にわたり、
3.0×10
6/(282×0.9×0.9×24×350×7)=ウェハ当たり$0.22
が減価償却される。
【0084】
消費されるTCSのコストは、$3/kgのTCS及び50%のTCS利用率を仮定して、ウェハ当たり$0.20となる。主として水素である他のガスのコストは、ウェハ当たりおよそ$0.10である。さらに、ランプ、サセプタ及び基板などの他の消耗品のコストは、ウェハ当たり$0.10と見積もられる。
【0085】
基板を加熱するのに消費される電力のコストは、10個の小型バッチ反応装置の各々についての2つのランプユニットのそれぞれが、110kWの平均電力定格を有すると仮定すると、以下のように与えられる。
全ランプ点灯時間=51分(堆積)+15分(加熱)=66分
36個のウェハに対して消費される全エネルギー=110×2×66/60=242kWh
4¢/kwhにおけるコスト/ウェハ=242×0.04/36=ウェハ当たり$0.26
【0086】
さらに、再利用可能な単結晶シリコン基板と関連したコストは、ウェハ当たりおよそ$0.05の多孔質シリコン分離層の成長コスト、及び、100回堆積の寿命を仮定して、ウェハ当たり$0.18のシリコン基板再利用及び回収コストを含む。
【0087】
180μm厚エピタキシャル・シリコンウェハの総コストは、上で計算したコストの合計である。
$0.22+$0.20+$0.10+$0.10+$0.26+$0.05+$0.18=ウェハ当たり$1.11
2.65W(17%の効率に対する)の太陽電池出力を仮定すると、Wp当たりのコストは約$0.40となり、これは、背景技術の項の最後に記述した「ウェハ当たり$0.70に近いエピタキシャル堆積の総コスト」の目標を達成するものである。
【0088】
堆積速度及びTCS利用率を含む本明細書での仮定の多くは、プロトタイプ反応装置において検証されている。上記のコストの数字は、1年当たり100MWの控えめな規模での大量生産を仮定して算出された。
【0089】
さらに、本発明は、50μm未満の非常に薄いウェハを含む種々の厚さのウェハの生産を可能にする。本発明のエピタキシャル反応装置を用いた薄いシリコンウェハの堆積は、180μmウェハについて上述したような商業利益を有し、ウェハが薄くなるとより大きくなる切断損失のために従来のウェハ生産の効率が低下するので、より多くの商業利益を有する。
【0090】
全てのウェハ厚に対する商業利益に加えて、多くの差別化された技術的利点により、持続的なコストの優位性が可能になる。コストの優位性には、(1)高モジュール・パッキング密度のための完全正方形のウェハ、(2)高品質単結晶ウェハ、即ち、チョクラルスキーウェハにおけるような溶存酸素が存在しないこと、(3)ウェハをp型又はn型のいずれかにドープできること、及び(4)高効率(より高いV
oc及びより低い再結合損失)のための内蔵BドープBSF(裏面フィールド)が含まれる。
【0091】
剥離層の詳細
本発明のエピタキシャル反応装置及び堆積方法を説明したので、
図2を参照して、本発明によるシリコンウェハ製造のプロセス・ステップのさらに別の態様を提供する。プロセス・ステップ(210)において、この結晶配向がフッ化水素酸溶液中の陽極酸化による剥離層の形成に最も適合しているため、(100)結晶面の表面を有するシリコン基板が好ましい。ステップ(220)の好ましい実施形態において、剥離層はフッ化水素酸電解液中の陽極酸化によって形成され、この陽極酸化は、異なる多孔率の副層を有する剥離層を形成するように制御される。例えば、高多孔率層がシリコン基板の表面上の低多孔率層の下に形成され、この場合、高多孔率層はウェハの剥離を容易にし、低多孔率層はエピタキシャル成長のための良好なテンプレートを与える。複数の基板のための高スループット処理方法を含む剥離層の形成のさらなる詳細は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2009年9月10日に公開されたRavi他による特許文献2に与えられる。シリコンウェハを基板から分離するための方法は、隣接する層に対する剥離層の高多孔率副層の機械的脆弱性に依存する。ステップ(240)のための適切な方法の幾つかの例が、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2009年9月10日に公開されたRavi他による特許文献2に与えられる。基板からシリコンウェハを分離した後、分離層の残存物は、当業者には周知の技術を用いて、化学的及び/又は機械的処理により容易に除去することができる。上述のように、基板表面の陽極酸化、陽極酸化された表面上へのエピタキシャル堆積、及び基板からのウェハの分離は、基板の両面に対して同時に行うことができ、このことが、スループットのさらなる向上及び製造コストの削減をもたらし得ることに留意されたい。
【0092】
ステップ250に示されるように、基板は再利用可能であり、堆積されたウェハを剥離した後、剥離層の残存物が除去され、ステップ210で開始するプロセス・フローが再び続く。基板を再利用できる回数は、初期基板厚を含む多くの因子に依存する。例えば、多孔質シリコン剥離層が用いられる場合、725ミクロンの厚さの基板は、400乃至500ミクロンの最小使用可能厚に達するまでに、50回又はそれより多く再利用することができる。
【0093】
本発明によるエピタキシャル・シリコンウェハの幾つかの特性
本発明のシリコン・エピタキシャル反応装置及び堆積方法を用いて、5ミクロンから250ミクロンまでの間の厚さのシリコンウェハを堆積させ、厚さ均一性は、125×125ミリメートル平方の正方形ウェハの2×2配列にわたり±4乃至5%と測定され、1ミクロンから300ミクロンまでの間の厚さのウェハは、±10乃至15%よりも良好な厚さ均一性で製造できると予想される。上述のように、これらの結果は、基板温度制御、クロスフローなどと組み合わせられたTCS空乏モードでの操作の成功を強調するものである。さらに、本発明を用いて、500乃至600ミクロンまでの厚さのウェハを作成できると予想される。明らかに、およそ50ミクロン未満の厚さのウェハは、ハンドル又は他の支持を必要とし、エピタキシャル・シリコンウェハのためのハンドルの議論に関しては、例えば、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2009年9月10日に公開されたRavi他による特許文献2を参照されたい。堆積コストよりも厚さ均一性が優先される場合、本発明のエピタキシャル反応装置を用いて、±1乃至2%の厚均一性を達成できることが予想されることに留意されたい。
【0094】
本発明のシリコン・エピタキシャル反応装置及び堆積方法を用いて、基板温度が1,000℃から1,250℃までの範囲であり、1分当たり3.5乃至10ミクロンの堆積速度として、TCS前駆体からシリコンウェハを堆積させた。さらに、950℃から1,300℃までの範囲の堆積が単結晶シリコンウェハをもたらすと予想される。
【0095】
本発明のシリコン・エピタキシャル反応装置及び堆積方法を用いて、60%のTCS利用率でシリコンウェハを堆積させ、ウェハ・キャリア内の非基板表面積をさらに減らすことにより、70%のTCS利用率を達成できることが予想される。さらに、5乃至10%を上回るTCS利用率は、半導体産業において用いられる堆積プロセスに優る改善を表し、40%又はそれより良好なTCS利用率は、現在、本プロセスが太陽電池市場において価格競争力を有する段階を示す。
図1に示されるように、本発明の反応装置は、低いCl/H比において、成長速度対Cl/H比の曲線の屈曲部と同じだけ低くても、動作することができる。(Cl/H比が減少するにつれて、シリコンを基板上に堆積させるのに消費される前駆体ガスの割合が増加するので、前駆体消費の観点から、ブロセスはより効率的となり、より低コストとなる。従って、消費される前駆体のコストを削減するために、低いCl/H比で反応装置を動作させることが望ましい。)本反応装置の設計により、シリコンの成長速度が前駆体ガス流の方向に基板を横切って著しく変化し得る空乏モードにおける堆積を補償するように堆積条件を調整することが可能になるので、本発明のエピタキシャル反応装置は、低いTCS対水素比で動作することができる。
【0096】
本発明のさらに別の実施形態
本発明は、TCS前駆体ガスからエピタキシャル・シリコンウェハを製造するためのツール及び方法に関して説明されたが、ジクロロシラン、シラン、四塩化シリコンなどの他の前駆体ガスを用いることもできる。
【0097】
本発明は、太陽電池用途の正方形シリコン基板を製造するためのツール及び方法に関して説明されたが、本発明の原理及び概念は、様々な寸法を有する正方形シリコン基板、円形シリコン基板(平坦部が有る又は無い)などの製造にも適用可能である。原則的に、所望の形状のテンプレート・シリコン基板を提供することによって、任意の形状のウェハを簡単に形成することができる。代替的に、より大きいシリコン基板を用いることができ、例えば、レーザー・スクライビング・ツールを用いて、異なる形状を定めることができる。次に、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2009年9月10日に公開されたRavi他による特許文献2に記載されるような適切なリフトオフ技術を用いて、形状を除去する。
【0098】
本発明は、単結晶及び多結晶シリコン太陽電池を製造するためのツール及び方法に関して説明されたが、本発明の原理及び概念は、高解像度リソグラフィを必要としない半導体デバイス、マイクロ流体デバイスのような特定のMEMS(微小電気機械システム)などを含む多種多様の用途の結晶シリコンウェハの製造にも適用可能である。さらに、本発明は、より低いTCS変換を犠牲にして、例えば約±1%のより均一な厚さのエピタキシャル・シリコンをもたらすように適合させることができ、半導体産業における次世代シリコン基板、即ち450mmウェハ上にエピタキシャル・シリコンを堆積させることができる。しかしながら、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる2010年10月21日に公開されたSivaramakrishnan他への特許文献1に論じられるように、このレベルの均一性を達成するために、堆積中に基板を回転させること、又は、流れの方向に対して小さい角度で基板を傾斜させることを含むプロセスの付加的な変化を必要とし得る。
【0099】
本発明は、単結晶及び多結晶シリコン太陽電池を製造するためのツール及び方法に関して説明されたが、本発明の原理及び概念は、GaAs、GaN、Ge、Si−Ge、InGaAs、SiCなどを含む様々な結晶性材料のエピタキシャル堆積にも適用可能である。そうした様々な材料の堆積は、未処理結晶シリコン表面よりも大きい格子不整合に適合する、シリコン基板表面上の多孔質シリコン分離層によって可能となる。代替的に、ゲルマニウムのような他の基板を用いることもでき、その上に、陽極酸化を用いて適当な多孔質分離層を形成できると予想され、この分離層が、エピタキシャル膜の堆積を可能にするはずである。
【0100】
本発明は、その特定の実施形態に関して特に説明されたが、当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部の変更及び修正をなし得ることが容易に明らかであるはずである。